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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177983
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】眼科用顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/135 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A61B3/135
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084440
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】水野 晃
(72)【発明者】
【氏名】宮下 賢治
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA01
4C316AB16
4C316AB17
4C316AB19
4C316FB21
4C316FY04
4C316FY05
(57)【要約】
【課題】被検眼の観察の対象及び目的と検者の利き目とに対応した観察像を取得可能な眼科用顕微鏡を提供する。
【解決手段】被検眼を観察するための観察系であって、且つ対物レンズ及び一対の観察光路を有する観察系と、観察光路ごとの被検眼の観察光をステレオ撮像可能な撮像系と、観察光路の双方からの観察光を撮像系でステレオ撮像した第1画像を取得する第1モードと、観察光路の一方の観察光を撮像系で撮像した第2画像のみを取得する第2モードと、観察光路の他方の観察光を撮像系で撮像した第3画像のみを取得する第3モードと、に選択的に切替可能なモード切替部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼を観察するための観察系であって、且つ対物レンズ及び一対の観察光路を有する観察系と、
前記観察光路ごとの前記被検眼の観察光をステレオ撮像可能な撮像系と、
前記観察光路の双方からの前記観察光を前記撮像系でステレオ撮像した第1画像を取得する第1モードと、前記観察光路の一方の前記観察光を前記撮像系で撮像した第2画像のみを取得する第2モードと、前記観察光路の他方の前記観察光を前記撮像系で撮像した第3画像のみを取得する第3モードと、に選択的に切替可能なモード切替部と、
を備える眼科用顕微鏡。
【請求項2】
前記モード切替部が、
前記観察光路ごとに挿脱自在に設けられたシャッタと、
前記第1モードでは前記観察光路の双方から前記シャッタを退避させ、前記第2モードでは前記観察光路の一方から前記シャッタを退避させ且つ前記観察光路の他方に前記シャッタを挿入し、前記第3モードでは前記観察光路の一方に前記シャッタを挿入し且つ前記観察光路の他方から前記シャッタを退避させるシャッタ切替機構と、
を備える請求項1に記載の眼科用顕微鏡。
【請求項3】
前記撮像系が、前記観察光路の双方からの前記観察光をステレオ撮像して前記第1画像を出力し、
前記モード切替部が、前記撮像系から出力された前記第1画像のトリミングを行うトリミング部であり、
前記トリミング部が、前記第2モードでは前記第1画像から前記第2画像をトリミングし、前記第3モードでは前記第1画像から前記第3画像をトリミングし、前記第1モードでは待機状態となる請求項1に記載の眼科用顕微鏡。
【請求項4】
前記観察系が双眼の接眼レンズを備え、前記接眼レンズの一方と前記対物レンズとの間に前記観察光路の一方が設けられ、且つ前記接眼レンズの他方と前記対物レンズとの間に前記観察光路の他方が設けられており、
前記観察光路の一方及び他方を通る前記観察光の一部を前記観察光路の光路外に偏向可能な偏向素子を備え、
前記撮像系が、前記偏向素子により偏向された前記観察光路の一方の前記観察光と、前記偏向素子により偏向された前記観察光路の他方の前記観察光と、を撮像可能である請求項1から3のいずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
【請求項5】
前記撮像系が、前記観察光路ごとに前記偏向素子により偏向された前記観察光の双方を、共通の撮像素子により撮像可能である請求項4に記載の眼科用顕微鏡。
【請求項6】
前記偏向素子が、前記観察光路の双方に跨る配置で設けられている請求項4又は5に記載の眼科用顕微鏡。
【請求項7】
前記観察光路ごとに、前記対物レンズと前記偏向素子との間に設けられた変倍光学系と、
前記観察光路ごとに、前記偏向素子と前記変倍光学系との間に設けられた絞りと、
を備える請求項4から6のいずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
【請求項8】
前記第2モードでは前記第2画像を表示し、前記第3モードでは前記第3画像を表示し、前記第1モードでは前記第1画像を立体視可能に表示する表示部を備える請求項1から7のいずれか1項に記載の眼科用顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の観察に用いられる眼科用顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の観察に用いられる眼科用顕微鏡として細隙灯顕微鏡(スリットランプ又はスリットランプマイクロスコープともいう)が知られている。この細隙灯顕微鏡は、細隙光を用いて被検眼の注目部位の光切片を切り取ることによって注目部位の断面を観察したり、この断面の画像を取得したりする。
【0003】
細隙灯顕微鏡は、照明系及び観察系を備える。照明系は、幅が調整された細隙光を被検眼に照射する。観察系は、細隙光が照射された被検眼からの戻り光を、対物レンズから左右一対の観察光路を介して左右一対の接眼レンズに導く。これにより、検者は、接眼レンズを通して被検眼を観察することができる。
【0004】
この際に、検者にとって接眼レンズを長時間覗く作業は負担となる。このため、観察系には、左右の観察光路から分岐した撮像系(カメラ)が設けられており、戻り光の一部を撮像系に導く。これにより、撮像系により戻り光が連続的に撮像されることで、検者は表示部を通して被検眼をリアルタイムに観察することができる。
【0005】
このような撮像系及び表示部を備える細隙灯顕微鏡として、被検眼を立体的に観察可能(立体視可能)なものが知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、左右一対の観察光路から分岐した戻り光を撮影系でステレオ撮像して、このステレオ撮像で得られた左右一対の観察像を表示部に立体視可能に表示させる顕微鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-107552号公報
【特許文献2】特開平7-222720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
細隙灯顕微鏡で被検眼の観察を行う場合に、被観察部位の疾患の種類によっては上述のステレオ撮像で得られた被検眼の左右一対の観察像を表示部に立体視可能に表示させることが好ましい。一方、単に被検眼の前眼部の観察を行う場合には、上述のステレオ撮像を行う必要がなく、左右一対の観察光路のいずれか一方から分岐した戻り光のみを撮像系で撮像するモノラル撮像を行って、このモノラル撮像で得られた観察像を表示部に表示させればよい。従って、観察の対象及び目的に応じて検者が被検眼の観察を行い易いように、ステレオ撮像による観察像の取得とモノラル撮像による観察像の取得とを自由に切替可能にすることが望ましい。
【0008】
ところで、細隙灯顕微鏡でモノラル撮像を行う場合に、従来では、左右一対の観察光路からそれぞれ分岐した戻り光のうちで、検者の左右眼の一方に対応する観察光路からの戻り光のみをモノラル撮像して得られた観察像を表示部に表示させるのが通常である。この際に、例えば、検者の右眼に対応する観察光路からの戻り光をモノラル撮像した場合には、検者の利き目が右眼であれば問題ない。しかしながら、利き目が左眼である場合には、検者が表示部を通して観察する被検眼の像と接眼レンズを通して観察する被検眼の像との見え方に違いが生じることで、検者が違和感を覚えるおそれがある。このため、検者の利き目に応じて、右眼側の観察光路の戻り光のみを撮像した観察像の取得と、左眼側の観察光路の戻り光のみを撮像した観察像の取得とを自由に切替可能にすることが望ましい。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、被検眼の観察の対象及び目的と検者の利き目とに対応した観察像を取得可能な眼科用顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するための眼科用顕微鏡は、被検眼を観察するための観察系であって、且つ対物レンズ及び一対の観察光路を有する観察系と、観察光路ごとの被検眼の観察光をステレオ撮像可能な撮像系と、観察光路の双方からの観察光を撮像系でステレオ撮像した第1画像を取得する第1モードと、観察光路の一方の観察光を撮像系で撮像した第2画像のみを取得する第2モードと、観察光路の他方の観察光を撮像系で撮像した第3画像のみを取得する第3モードと、に選択的に切替可能なモード切替部と、を備える。
【0011】
この眼科用顕微鏡によれば、被検眼の観察の対象及び目的と、検者の利き目と、に応じて第1モードから第3モードの中から最適なモードに自由に切り替えることができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る眼科用顕微鏡において、モード切替部が、観察光路ごとに挿脱自在に設けられたシャッタと、第1モードでは観察光路の双方からシャッタを退避させ、第2モードでは観察光路の一方からシャッタを退避させ且つ観察光路の他方にシャッタを挿入し、第3モードでは観察光路の一方にシャッタを挿入し且つ観察光路の他方からシャッタを退避させるシャッタ切替機構と、を備える。これにより、被検眼の観察の対象及び目的と、検者の利き目と、に応じて第1モードから第3モードの中から最適なモードに自由に切り替えることができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科用顕微鏡において、撮像系が、観察光路の双方からの観察光をステレオ撮像して第1画像を出力し、モード切替部が、撮像系から出力された第1画像のトリミングを行うトリミング部であり、トリミング部が、第2モードでは第1画像から第2画像をトリミングし、第3モードでは第1画像から第3画像をトリミングし、第1モードでは待機状態となる。これにより、被検眼の観察の対象及び目的と、検者の利き目と、に応じて第1モードから第3モードの中から最適なモードに自由に切り替えることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科用顕微鏡において、観察系が双眼の接眼レンズを備え、接眼レンズの一方と対物レンズとの間に観察光路の一方が設けられ、且つ接眼レンズの他方と対物レンズとの間に観察光路の他方が設けられており、観察光路の一方及び他方を通る観察光の一部を観察光路の光路外に偏向可能な偏向素子を備え、撮像系が、偏向素子により偏向された観察光路の一方の観察光と、偏向素子により偏向された観察光路の他方の観察光と、を撮像可能である。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科用顕微鏡において、撮像系が、観察光路ごとに偏向素子により偏向された観察光の双方を、共通の撮像素子により撮像可能である。
【0016】
本発明の他の態様に係る眼科用顕微鏡において、偏向素子が、観察光路の双方に跨る配置で設けられている。
【0017】
本発明の他の態様に係る眼科用顕微鏡において、観察光路ごとに、対物レンズと偏向素子との間に設けられた変倍光学系と、観察光路ごとに、偏向素子と変倍光学系との間に設けられた絞りと、を備える。これにより、観察光路のいずれか一方から撮像系に入射する観察光に対して、観察光路の他方の観察光が混ざることが防止される。
【0018】
本発明の他の態様に係る眼科用顕微鏡において、第2モードでは第2画像を表示し、第3モードでは第3画像を表示し、第1モードでは第1画像を立体視可能に表示する表示部を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、被検眼の観察の対象及び目的と検者の利き目とに対応した観察像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の細隙灯顕微鏡の側面図である。
図2】上方側から見た顕微鏡の光学系の配置を示す光学配置図である。
図3】側方側から見た顕微鏡の光学系の配置を示す光学配置図である。
図4図3中において撮像系をA方向側から見た概略図である。
図5】第1実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
図6】顕微鏡のステレオ撮像モード、右視点画像取得モード、及び左視点画像取得モードを説明するための説明図である。
図7】右視点画像取得モード時及び左視点画像取得モード時の切替制御部によるシャッタの挿脱制御を説明するための説明図である。
図8】第2実施形態の細隙灯顕微鏡の制御装置の機能ブロック図である。
図9】画像処理部77による画像処理(トリミング)を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の細隙灯顕微鏡10の側面図である。細隙灯顕微鏡10は、本発明の眼科用顕微鏡に相当するものであり、ベース12と、顔支持部14と、電動駆動部16と、可動テーブル18と、操作レバー20と、第1の支持部22と、顕微鏡支持アーム24と、回動軸26と、第2の支持部28と、回動軸30と、照明系32と、顕微鏡34と、操作部38と、表示部39と、制御装置40と、を備える。
【0022】
ベース12は、不図示の検眼テーブル上に載置されている。このベース12の上面で且つ被検者(被検眼E側)の前端部には顔支持部14が設けられている。また、ベース12の上面には、電動駆動部16及び操作部38が設けられていると共に、可動テーブル18が水平方向(前後方向及び左右方向)に移動自在に保持されている。なお、前後方向は被検者に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向であり、左右方向は被検者の眼幅方向である。
【0023】
顔支持部14は、ベース12に固定され且つ上下方向に延びた一対の支柱14aと、一対の支柱14aの上下方向の中間部に設けられた顎受14bと、一対の支柱14aの上下方向の上端部に設けられた額当14cと、を有する。被検者が顎受14bに顎を載せると共に額当14cに額を当てることで、被検者の顔が顔支持部14により支持される。これにより、被検眼Eの位置が固定される。
【0024】
電動駆動部16は、ベース12上で可動テーブル18を水平方向(前後方向及び左右方向)に移動させる。また、可動テーブル18の上面で且つ後方向側(検者側)の後端部には操作レバー20が設けられている。さらに、可動テーブル18の上面には、第1の支持部22が上下方向に移動可能(昇降可能)に設けられている。
【0025】
電動駆動部16は、不図示の複数のモータと、各モータの回転をそれぞれ水平方向及び上下方向の駆動力に変換する不図示の駆動伝達機構と、を備えている。この電動駆動部16は、操作レバー20の操作に応じて可動テーブル18を水平方向に移動させると共に、第1の支持部22を上下方向に移動させる。これにより、被検眼Eに対する第1の支持部22(照明系32及び顕微鏡34)の位置調整が可能となる。
【0026】
操作レバー20は、第1の支持部22(照明系32及び顕微鏡34)を水平方向と上下方向とにそれぞれ手動で移動操作するための操作部材である。例えば、操作レバー20を前後方向又は左右方向に傾倒操作することで、電動駆動部16が可動テーブル18を前後方向又は左右方向に移動させる。また、操作レバー20の軸線周りの回動操作により、電動駆動部16が第1の支持部22を上下方向に移動させる。なお、操作レバー20の頂部には、撮影等に用いるスイッチ20aが設けられている。
【0027】
第1の支持部22には顕微鏡支持アーム24が配設されている。この顕微鏡支持アーム24は、水平アーム部24aと鉛直アーム部24bとを有しており、略L字状に形成されている。
【0028】
水平アーム部24aの前方向側の端部は、上下方向に延びた回動軸26を介して、第1の支持部22上に水平回動可能に取り付けられている。また、この水平アーム部24a上には、回動軸26の延長線上に位置する回動軸30を介して、第2の支持部28が水平回動可能に取り付けられている。
【0029】
なお、回動軸26を中心とした顕微鏡支持アーム24の水平回動、及び回動軸30を中心とした第2の支持部28の水平回動は、検者の手動操作で行ったり或いは不図示の電動回動機構を用いて電動で行ったりしてもよい。
【0030】
鉛直アーム部24bの上端部には顕微鏡34が取り付けられている。また、第2の支持部28には照明系32が設けられている。
【0031】
照明系32は、被検眼Eに対して細隙光を照射する。この照明系32は、細隙灯44及び偏向素子48を備える。細隙灯44は、偏向素子48に向けて細隙光を出射する。なお、細隙灯44の構成は公知技術であるので具体的な説明は省略する。
【0032】
偏向素子48は、細隙灯44の上方位置に設けられている。偏向素子48は、例えばプリズムが用いられ、細隙灯44から出射された細隙光を被検眼Eに向けて偏向する。なお、偏向素子48として、プリズムの代わりにミラー(反射鏡)を用いてもよい。これにより、被検眼Eに対して細隙光が照射される。
【0033】
照明系32は、回動軸30を中心として第2の支持部28と一体に水平回動される。これにより、被検眼Eに対する細隙光の照射方向を調整することができる。
【0034】
なお、照明系32(細隙灯44及び偏向素子48)は、図1に示したものに限定されず、その形状、構造、及び配置は適宜変更である。
【0035】
顕微鏡34は、本発明の観察系に相当するものであり、照明系32により照明されている被検眼Eの観察に用いられる。この顕微鏡34の前方向側(被検眼E側)の前端部には対物レンズ50が設けられ、且つ後方向側(検者側)の後端部には左右一対の接眼レンズ68L,68Rが設けられている。図1中の符号Oは対物レンズ50の光軸である。
【0036】
顕微鏡34は、回動軸26を中心として顕微鏡支持アーム24と一体に水平回動される。これにより、顕微鏡34による被検眼Eの観察方向を調整することができる。また、顕微鏡34には、顕微鏡34の光学系を介して被検眼Eを撮影する撮像系56が設けられている。
【0037】
ベース12の上面で且つ後方向側(検者側)の後端部には、操作部38が設けられている。この操作部38は、詳しくは後述するが、検者による細隙灯44のオンオフ操作と、顕微鏡34の動作モードの切り替えと、に用いられる。
【0038】
表示部39は、LCD(Liquid Crystal Display)等の公知のモニタであって且つステレオ撮像で得られた左右一対の画像を立体視可能に表示可能なモニタが用いられる。この表示部39には、撮像系56により撮像された被検眼Eの観察像が表示され、さらにこの観察像がステレオ撮像で得られた画像である場合には立体視可能に表示される。これにより、検者は、表示部39を通して被検眼Eの観察(立体視を含む)を行うことができる。
【0039】
制御装置40は、各種の演算処理及び制御処理等を実行するコンピュータ等の演算処理装置であり、例えばベース12の下面に設けられている。なお、制御装置40を設ける場所は特に限定はされない。この制御装置40には、細隙灯顕微鏡10の各部が接続されている。制御装置40は、操作レバー20及び操作部38に入力された操作指示に基づき、細隙灯顕微鏡10の各部の動作を統括制御する。例えば制御装置40は、電動駆動部16による照明系32及び顕微鏡34の位置調整と、顕微鏡34の動作モードの切り替えと、撮像系56の制御と、表示部39の表示制御と、を行う。
【0040】
図2は、上方側から見た顕微鏡34の光学系の配置を示す光学配置図である。図3は、側方側から見た顕微鏡34の光学系の配置を示す光学配置図である。
【0041】
図2及び図3に示すように、顕微鏡34は、被検眼Eの立体視が可能な双眼型であり、対物レンズ50と、左右一対の観察光路52L,52R(リレー光学系ともいう)と、左右一対の接眼系54L,54Rと、撮像系56と、を備える。なお、図中の符号OLは対物レンズ50から観察光路52Lを経て左眼用の接眼系54Lに至る観察光軸であり、図中の符号ORは対物レンズ50から観察光路52Rを経て右眼用の接眼系54Rに至る観察光軸である。観察光軸OL,ORは、対物レンズ50において所定の輻輳角θで交差している。
【0042】
観察光路52Lは、細隙光が照射された被検眼Eからの戻り光(観察光)を接眼系54Lまで導く光学系(光路)である。この観察光路52Lには、対物レンズ50から観察光軸OLに沿って、変倍ユニット60Lと、絞り62Lと、ビームスプリッタ64と、が配置されている。
【0043】
観察光路52Rは、戻り光を接眼系54Rまで導く光学系である。この観察光路52Rには、対物レンズ50から観察光軸ORに沿って、変倍ユニット60Rと、絞り62Rと、ビームスプリッタ64と、が配置されている。
【0044】
変倍ユニット60L,60Rは、公知の変倍光学系であり、顕微鏡34で観察される観察像の変倍に用いられる。
【0045】
絞り62L,62Rは、例えば視野絞り62aと撮影絞り62bとを含み、変倍ユニット60L,60Rと接眼系54L,54R(より具体的にはビームスプリッタ64)との間に設けられている。なお、絞り62L,62Rの種類及び数は特に限定はされない。絞り62L,62Rを変倍ユニット60L,60Rとビームスプリッタ64との間に設けることで、観察光路52L,52Rからビームスプリッタ64を経て撮像系56にそれぞれ入射する戻り光を互いに分離させることができる。すなわち、観察光路52L,52Rのいずれか一方から撮像系56に入射する戻り光に対して、観察光路52L,52Rの他方の戻り光が混ざることが防止される。
【0046】
ビームスプリッタ64は、本発明の偏向素子に相当するものであり、観察光路52L,52Rの双方に跨る配置で設けられている。ビームスプリッタ64は、観察光路52L,52Rごとに戻り光の一部を撮像系56(観察光路52L,52Rの光路外)に向けて偏向する。なお、図3中の符号OLaはビームスプリッタ64により観察光軸OLから分岐された分岐光軸を示し、符号ORaはビームスプリッタ64により観察光軸ORから分岐された分岐光軸を示す。
【0047】
また、ビームスプリッタ64は、観察光路52L内を通る戻り光の残りを接眼系54Lに向けて出射すると共に、観察光路52R内を通る戻り光の残りを接眼系54Rに向けて出射する。なお、ビームスプリッタ64が、観察光路52L,52Rごとに個別に設けられていてもよい。
【0048】
接眼系54Lは、プリズムユニット66L及び接眼レンズ68Lにより構成される。また、接眼系54Rは、プリズムユニット66R及び接眼レンズ68Rにより構成される。これにより、検者は、接眼レンズ68L,68Rを覗くことによっても被検眼Eの観察を行うことができる。
【0049】
図4は、図3中において撮像系56をA方向側から見た概略図である。図4及び既述の図3に示すように、撮像系56は、不図示の結像レンズと、ビームスプリッタ64により偏向された観察光路52L,52Rごとの戻り光を撮像する共通の撮像素子56aと、を有する。
【0050】
撮像素子56aは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型であり、分岐光軸OLa,ORaに垂直で且つ分岐光軸OLa,ORaの双方に跨るように配置された矩形状の受光面を有する。これにより、撮像素子56aは、観察光路52L,52Rごとの戻り光を同時撮像、すなわちステレオ撮像することができる。この際に既述の通り、変倍ユニット60L,60Rとビームスプリッタ64との間に設けられた絞り62L,62Rによって、撮像素子56aにそれぞれ入射する戻り光が分離されるため、共通の撮像素子56aで観察光路52L,52Rごとの戻り光を同時撮像する場合であっても良好な画像が得られる。
【0051】
なお、本実施形態では、観察光路52L,52Rごとの戻り光を共通の撮像素子56aで同時撮像可能にしているが、観察光路52L,52Rごとに個別の撮像素子56aで戻り光を撮像してもよい。
【0052】
図2及び図3に戻って、観察光路52Lにはシャッタ70Lが挿脱自在に設けられ、且つ観察光路52Rにはシャッタ70Rが挿脱自在に設けられている。これらシャッタ70L,70Rの観察光路52L,52Rに対する挿脱は、シャッタ切替機構72により実行される。なお、観察光路52L上でのシャッタ70Lの位置と、観察光路52R上でのシャッタ70Rの位置とは図2図3に示した配置に限定されるものではなく、観察光路52L,52R上で適宜変更可能である。また、シャッタ70L,70Rをビームスプリッタ64と撮像素子56aとの間に設けてもよい。
【0053】
シャッタ切替機構72は、既述のシャッタ70L,70Rと共に本発明のモード切替部として機能する。このシャッタ切替機構72は、不図示のアクチュエータにより構成されており、後述の制御装置40の制御の下、観察光路52Lに対するシャッタ70Lの挿脱と、観察光路52Rに対するシャッタ70Rの挿脱と、を個別に行う。これにより、観察光路52L,52Rの双方からシャッタ70L,70Rを退避させたり、観察光路52Lのみからシャッタ70Lを退避させたり、観察光路52Rのみからシャッタ70Rを退避させたりすることができる。
【0054】
図5は、第1実施形態の制御装置40の機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置40の機能は、各種のプロセッサ(Processor)を用いて実現される。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置40の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0055】
制御装置40は、不図示の記憶部から読み出したプログラムを実行することで、駆動制御部73、照明制御部74、切替制御部75、画像取得部76、及び表示制御部78として機能する。
【0056】
駆動制御部73は、操作レバー20に対する入力操作に応じて電動駆動部16を駆動して、照明系32及び顕微鏡34を前後左右上下に移動させることで、被検眼Eに対する照明系32及び顕微鏡34の位置調整を行う。
【0057】
照明制御部74は、操作部38に対する細隙灯44のオンオフ操作(或いは細隙灯顕微鏡10の電源のオンオフ操作)に応じて、細隙灯44からの細隙光の出射をオンオフさせる。
【0058】
切替制御部75は、操作部38に対する顕微鏡34の動作モードの切替操作に応じて、シャッタ切替機構72を駆動して、観察光路52Lに対するシャッタ70Lの挿脱と、観察光路52Rに対するシャッタ70Rの挿脱と、を個別に制御する。
【0059】
顕微鏡34の動作モードには、ステレオ撮像モード(本発明の第1モードに相当)と、右視点画像取得モード(本発明の第2モードに相当)と、左視点画像取得モード(本発明の第3モードに相当)と、が含まれる。
【0060】
図6は、顕微鏡34のステレオ撮像モード、右視点画像取得モード、及び左視点画像取得モードを説明するための説明図である。図6の符号6Aに示すように、ステレオ撮像モードは、例えば被検眼Eの特定の疾患の観察を行う際に選択されるモードであって、且つ観察光路52L,52Rごとの戻り光を撮像素子56aでステレオ撮像した観察像80Aを取得するモードである。この観察像80Aは、本発明の第1画像に相当する左右一対の被検眼Eの像、すなわち観察光路52Lの戻り光を撮像した左視点画像81Lと、観察光路52Rの戻り光を撮像した右視点画像81Rと、を含む。
【0061】
図6の符号6Bに示すように、右視点画像取得モードは、利き目が右眼の検者による被検眼Eの前眼部の観察(ここでは被検眼Eの立体視が不要な観察)の際に選択されるモードであって、観察光路52Rの戻り光のみを撮像素子56aで撮像した観察像80Bを取得するモードである。この観察像80Bは、本発明の第2画像に相当する右視点画像81Rのみを含む。
【0062】
図6の符号6Cに示すように、左視点画像取得モードは、利き目が左眼の検者による被検眼Eの前眼部の観察の際に選択されるモードであって、観察光路52Lの戻り光のみを撮像素子56aで撮像した観察像80Cを取得するモードである。この観察像80Bは、本発明の第3画像に相当する左視点画像81Lのみを含む。
【0063】
図5に戻って、切替制御部75は、操作部38でステレオ撮像モードへの切替操作がなされた場合に、シャッタ切替機構72を駆動して、観察光路52L,52Rの双方からシャッタ70L,70Rを退避させる(図2参照)。これにより、観察光路52L,52Rの双方からの戻り光が撮像素子56aの受光面にそれぞれ入射して撮像素子56aにより撮像される。その結果、撮像素子56aから観察像80Aが出力される。
【0064】
図7は、右視点画像取得モード時及び左視点画像取得モード時の切替制御部75によるシャッタ70L,70Rの挿脱制御を説明するための説明図である。図7の符号7Aに示すように、切替制御部75は、操作部38で右視点画像取得モードへの切替操作がなされた場合に、シャッタ切替機構72を駆動して、観察光路52Rからシャッタ70Rを退避させると共に、観察光路52Lにシャッタ70Lを挿入する。これにより、観察光路52Rからの戻り光のみが撮像素子56aの受光面に入射して撮像素子56aにより撮像される。その結果、撮像素子56aから観察像80Bが出力される。
【0065】
図7の符号7Bに示すように、切替制御部75は、操作部38で左視点画像取得モードへの切替操作がなされた場合に、シャッタ切替機構72を駆動して、観察光路52Lからシャッタ70Lを退避させると共に、観察光路52Rにシャッタ70Rを挿入する。これにより、観察光路52Lからの戻り光のみが撮像素子56aの受光面に入射して撮像素子56aにより撮像される。その結果、撮像素子56aから観察像80Cが出力される。
【0066】
図5に戻って、画像取得部76は、不図示の通信インタフェースを介して、撮像素子56aに対して有線接続或いは無線接続されている。画像取得部76は、ステレオ撮像モード、右視点画像取得モード、及び左視点画像取得モードの各動作モード時において、撮像素子56aから観察像(観察像80A,80B,80Cのいずれか)を取得して、この観察像を表示制御部78へ出力する。
【0067】
表示制御部78は表示部39の表示を制御する。表示制御部78は、ステレオ撮像モード時には画像取得部76から取得した観察像80Aから左視点画像81L及び右視点画像81Rをそれぞれ抽出し、左視点画像81L及び右視点画像81Rを表示部39に立体視可能に表示させる。なお、具体的な表示方法は公知技術(例えばレンチキュラレンズ方式、アクティブシャッタ方式等)であるので、ここでは説明を省略する。
【0068】
また、表示制御部78は、右視点画像取得モードには画像取得部76から取得した観察像80Bから右視点画像81Rを抽出して、この右視点画像81Rを表示部39に表示させる。さらに、表示制御部78は、左視点画像取得モードには画像取得部76から取得した観察像80Cから左視点画像81Lを抽出して、この左視点画像81Lを表示部39に表示させる。
【0069】
以上のように本実施形態では、顕微鏡34にシャッタ70L,70R及びシャッタ切替機構72を設けることで、顕微鏡34によるステレオ撮像及びモノラル撮像の切替と、モノラル撮像に用いられる観察光路52R,52Lの切替と、が可能になる。これにより、被検眼Eの観察の対象及び目的に対応してステレオ撮像とモノラル撮像(右視点画像取得モード、左視点画像取得モード)との切り替えを行うと共に、モノラル撮像時には検者の利き目に応じて右視点画像取得モードと左視点画像取得モードとの切り替えを行うことができる。その結果、被検眼Eの観察の対象及び目的と検者の利き目とに対応した被検眼Eの観察像(観察像80A~80C)が得られる。
【0070】
例えば被検眼Eの疾患の種類等に応じて被検眼Eの立体視が好ましい場合には、顕微鏡34をステレオ撮像モードに切り替えることで、観察像80A(左視点画像81L及び右視点画像81R)を取得して、左視点画像81L及び右視点画像81Rを表示部39に立体視可能に表示させられる。
【0071】
また、被検眼Eの前眼部の観察を行う場合であって且つ検者の利き目が右眼である場合には、顕微鏡34を右視点画像取得モードに切り替えることで、観察光路52Rの戻り光のみを撮像素子56aで撮像して観察像80Bを取得し、この観察像80Bに基づき右視点画像81Rを表示部39に表示可能である。さらに、検者の利き目が左眼である場合には、顕微鏡34を左視点画像取得モードに切り替えることで、観察光路52Lの戻り光のみを撮像素子56aで撮像して観察像80Cを取得し、この観察像80Cに基づき左視点画像81Lを表示部39に表示可能である。これにより、検者の利き目に対応した被検眼Eの像(右視点画像81R又は左視点画像81L)を表示部39に表示可能である。その結果、表示部39を通して観察される被検眼Eの像と接眼レンズ68L,68Rを通して観察される被検眼の像との見え方が一致するので、検者の違和感を低減可能である。
【0072】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の細隙灯顕微鏡10の制御装置40の機能ブロック図である。上記第1実施形態では、シャッタ切替機構72によりシャッタ70L,70Rの挿脱を制御することで顕微鏡34の動作モードを選択的に切替可能にしているが、第2実施形態では顕微鏡34にシャッタ70L,70R等を設けることなく動作モードを選択的に切替可能にしている。
【0073】
図8に示すように、第2実施形態の細隙灯顕微鏡10は、シャッタ70L,70R及びシャッタ切替機構72を設ける代わりに制御装置40が画像処理部77として機能する点を除けば上記第1実施形態と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0074】
第2実施形態の顕微鏡34は、シャッタ70L,70Rを備えていないので、撮像素子36aが常に観察光路52L,52Rの双方からの戻り光を撮像し、画像取得部76が常に撮像素子36aから観察像80Aを取得して画像処理部77へ出力する。
【0075】
図9は、画像処理部77による画像処理(トリミング)を説明するための説明図である。図9に示すように、画像処理部77は、本発明のモード切替部及びトリミング部に相当するものであり、操作部38で選択された動作モードが右視点画像取得モード又は左視点画像取得モードである場合には、画像取得部76から入力される観察像80A(右視点画像81R及び左視点画像81L)に対してトリミング処理を施す。
【0076】
画像処理部77は、操作部38により動作モードが右視点画像取得モードに切り替えられた場合には、画像取得部76より入力された観察像80Aから右視点画像81Rのみをトリミングして、この右視点画像81Rを表示制御部78へ出力する。これにより、表示制御部78により右視点画像81Rが表示部39に表示される。
【0077】
また、画像処理部77は、操作部38により動作モードが右視点画像取得モードに切り替えられている場合には、画像取得部76より入力された観察像80Aから左視点画像81Lのみをトリミングして、この左視点画像81Lを表示制御部78へ出力する。これにより、表示制御部78により左視点画像81Lが表示部39に表示される。
【0078】
さらに、画像処理部77は、操作部38により動作モードがステレオ撮像モードに切り替えられている場合には、待機状態(作動停止状態)となり、観察像80Aをそのまま表示制御部78へ出力する。これにより、表示制御部78により左視点画像81L及び右視点画像81Rが表示部39に立体視可能に表示される。
【0079】
以上のように第2実施形態では、画像処理部77によるソフトウェア処理により動作モードの切り替えを行うことができるので、第1実施形態のようなシャッタ70L,70R等が不要となり、細隙灯顕微鏡10の製造コストを低減させることができる。
【0080】
[その他]
上記各実施形態では、シャッタ70L,70R又は画像処理部77により動作モードの切り替えを行っているが、撮像素子56aの動作制御により動作モードを切り替えてもよい。
【0081】
例えば撮像素子56aの受光面を、観察光路52Rからの戻り光を受光する第1受光領域と観察光路52Lからの戻り光を受光する第2受光領域とに分ける。そして、不図示の撮像制御部(モード切替部)により撮像素子56aの第1受光領域及び第2受光領域での撮像・撮像停止を個別に制御する。この制御としては、例えば、撮像素子56aに対する、XYアドレス方式による読み出し制御(CMOS型)或いは部分的な電子シャッタ制御等が挙げられる。これにより、上記第2実施形態と同様にシャッタ70L,70R等を設けることなく動作モードが切替可能になるので、上記第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0082】
上記第1実施形態では、シャッタ切替機構72によりシャッタ70L,70Rの挿脱を制御することで顕微鏡34の動作モードを選択的に切替可能にしているが、例えば、ビームスプリッタ64が観察光路52L,52Rごとに個別に設けられている場合には、観察光路52L,52Rごとにビームスプリッタ64の挿脱を制御することで動作モードの切り替えを行ってもよい。
【0083】
上記実施形態では照明系32が偏向素子48の下方に設けられているZeiss式(Littman式)の細隙灯顕微鏡10を例に挙げて説明したが、照明系32が偏向素子48の上方に設けられているHaag式(Goldmann式)の細隙灯顕微鏡10にも本発明を適用することができる。
【0084】
上記各実施形態では細隙灯顕微鏡10を例に挙げて説明したが、手術用顕微鏡等の各種眼科用顕微鏡に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 細隙灯顕微鏡
12 ベース
14 顔支持部
14a 支柱
14b 顎受
14c 額当
16 電動駆動部
18 可動テーブル
20 操作レバー
20a スイッチ
22 第1の支持部
24 顕微鏡支持アーム
24a 水平アーム部
24b 鉛直アーム部
26 回動軸
28 第2の支持部
30 回動軸
32 照明系
34 顕微鏡
36a 撮像素子
38 操作部
39 表示部
40 制御装置
44 細隙灯
48 偏向素子
50 対物レンズ
52L,52R 観察光路
54L,54R 接眼系
56 撮像系
56a 撮像素子
60L,60R 変倍ユニット
62L,62R 絞り
62a 視野絞り
62b 撮影絞り
64 ビームスプリッタ
66L,66R プリズムユニット
68L,68R 接眼レンズ
70L,70R シャッタ
72 シャッタ切替機構
73 駆動制御部
74 照明制御部
75 切替制御部
76 画像取得部
77 画像処理部
78 表示制御部
80A,80B,80C 観察像
81L 左視点画像
81R 右視点画像
E 被検眼
OL,OR 観察光軸
OLa,ORa 分岐光軸
θ 輻輳角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9