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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177991
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】スロープパネル
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/00 20060101AFI20221125BHJP
   A61G 3/06 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
B60R3/00
A61G3/06 711
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084459
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄亮
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】木暮 孝典
(72)【発明者】
【氏名】田中 正明
(72)【発明者】
【氏名】前田 秀旭
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022AE03
(57)【要約】
【課題】高い強度を確保する。
【解決手段】スロープパネル30は、上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72が形成する嵌合凹部75を有した第1パネル部材81と、上側挿入片部73及び下側挿入片部74が形成する挿入嵌合部76を有した第2パネル部材82と、を備える。これらの第1パネル部材81及び第2パネル部材82は、その嵌合凹部75と挿入嵌合部76とが嵌合することにより互いに連結される。また、第1パネル部材81及び第2パネル部材82は、複数の縦壁部50を介して上板部51と下板部52とが接続された中空構造を有する。そして、第2パネル部材82は、その挿入嵌合部76と嵌合凹部75とが嵌合する状態で、この嵌合凹部75を構成する上側嵌合片部71の先端71aが配置される位置に設けられた縦壁部50aを備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口部の下端に形成される傾斜路の幅方向に延在するとともに上下方向に離間して設けられた上側嵌合片部及び下側嵌合片部を備える第1パネル部材と、
前記傾斜路の幅方向に延在するとともに上下方向に離間して設けられた上側挿入片部及び下側挿入片部を備える第2パネル部材と、を備え、
前記上側嵌合片部及び下側嵌合片部の間に形成される隙間を嵌合凹部とし、
前記上側挿入片部及び下側挿入片部を挿入嵌合部として、
前記嵌合凹部と前記挿入嵌合部とが嵌合することにより前記第1パネル部材及び第2パネル部材が連結されるとともに、
前記第1パネル部材及び第2パネル部材は、前記傾斜路の幅方向に延在する複数の縦壁部を介して上板部と下板部とが接続された中空構造を有するものであって、
前記第2パネル部材は、前記嵌合凹部と前記挿入嵌合部とが嵌合する状態で、前記上側嵌合片部の先端が配置される位置に設けられた前記縦壁部を備えるスロープパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のスロープパネルにおいて、
前記上側嵌合片部が前記上板部とともにパネル面を構成すること、
を特徴とするスロープパネル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスロープパネルにおいて、
前記第2パネル部材は、前記上側挿入片部と前記上板部とが段部を形成するとともに、前記嵌合凹部と前記挿入嵌合部との前記嵌合により前記段部内に配置された前記上側嵌合片部の先端が、前記段部の壁面に当接するように構成されること、
を特徴とするスロープパネル。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のスロープパネルにおいて、
前記傾斜路の長さ方向において、前記嵌合凹部が地面側に配置され、前記挿入嵌合部が前記ドア開口部側に配置されること、を特徴とするスロープパネル。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載のスロープパネルにおいて、
地面に当接する接地部を有した接地パネル部材を備え、
前記接地パネル部材は、前記中空構造を有し、前記上板部及び前記接地部が連続したパネル面を形成するとともに、
前記傾斜路の長さ方向における前記ドア開口部側から前記地面側に向かって前記上板部と前記下板部との間隔が狭まるように構成されること、を特徴とするスロープパネル。
【請求項6】
請求項5に記載のスロープパネルにおいて、
前記接地部には、前記パネル面に連続して前記地面に当接する薄板部材が設けられること、を特徴とするスロープパネル。
【請求項7】
請求項6に記載のスロープパネルにおいて、
前記薄板部材が弾性変形可能に構成されること、
を特徴とするスロープパネル。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のスロープパネルにおいて、
前記薄板部材は、前記地面に対する当接位置から前記傾斜路の長さ方向に離間するに従って徐々に傾斜が増加する湾曲形状を有して前記地面と前記パネル面とを接続すること、
を特徴とするスロープパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロープパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられたドア開口部の下端に傾斜路を形成するスロープ装置がある。そして、このようなスロープ装置に用いられるスロープパネルには、複数のパネル部材を連結することにより形成されるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のスロープパネルは、上下方向に離間して設けられた上側嵌合片部及び下側嵌合片部を備える第1パネル部材と、同じく上下方向に離間して設けられた上側挿入片部及び下側挿入片部を備える第2パネル部材と、を備えている。また、これらの上側嵌合片部及び下側嵌合片部、並びに上側挿入片部及び下側挿入片部は、それぞれ、そのスロープパネルが形成する傾斜路の幅方向に延設されている。更に、このスロープパネルにおいては、上側嵌合片部及び下側嵌合片部の間に形成される隙間が嵌合凹部を形成し、上側挿入片部及び下側挿入片部が挿入嵌合部を形成する。そして、これらの嵌合凹部と挿入嵌合部とが嵌合することにより、その第1パネル部材及び第2パネル部材が連結される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6552920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなスロープパネルにおいては、その強度の確保が重要な課題となっている。そして、上記従来技術についてもまた、必ずしも十分な強度を確保できるとは言い切れないことから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するスロープパネルは、ドア開口部の下端に形成される傾斜路の幅方向に延在するとともに上下方向に離間して設けられた上側嵌合片部及び下側嵌合片部を備える第1パネル部材と、前記傾斜路の幅方向に延在するとともに上下方向に離間して設けられた上側挿入片部及び下側挿入片部を備える第2パネル部材と、を備え、前記上側嵌合片部及び下側嵌合片部の間に形成される隙間を嵌合凹部とし、前記上側挿入片部及び下側挿入片部を挿入嵌合部として、前記嵌合凹部と前記挿入嵌合部とが嵌合することにより前記第1パネル部材及び第2パネル部材が連結されるとともに、前記第1パネル部材及び第2パネル部材は、前記傾斜路の幅方向に延在する複数の縦壁部を介して上板部と下板部とが接続された中空構造を有するものであって、前記第2パネル部材は、前記嵌合凹部と前記挿入嵌合部とが嵌合する状態で、前記上側嵌合片部の先端が配置される位置に設けられた前記縦壁部を備える。
【0007】
上記構成によれば、第1パネル部材の上側嵌合片部に作用する押し下げ荷重を、その下方に位置する上側挿入片部を介して第2パネル部材の縦壁部に作用する圧縮応力として受けることができる。そして、これにより、高い強度を確保することができる。
【0008】
上記課題を解決するスロープパネルは、前記上側嵌合片部が前記上板部とともにパネル面を構成することが好ましい。
上記構成によれば、上側挿入片部に対して直接的に押し下げ荷重が印加される。従って、このような構成について、その押し下げ荷重を圧縮応力として受ける縦壁部を設けることで、より顕著な効果を得ることができる。
【0009】
上記課題を解決するスロープパネルにおいて、前記第2パネル部材は、前記上側挿入片部と前記上板部とが段部を形成するとともに、前記嵌合凹部と前記挿入嵌合部との前記嵌合により前記段部内に配置された前記上側嵌合片部の先端が、前記段部の壁面に当接するように構成されることが好ましい。
【0010】
即ち、第1パネル部材及び第2パネル部材の各上板部が形成するパネル面に印加された押し下げ荷重は、そのパネル面を下方に撓ませる方向に作用する。しかしながら、上記構成によれば、その押し下げ荷重が、互いに当接した上側嵌合片部の先端及び段部の壁面を介して第1パネル部材及び第2パネル部材に分散される。そして、これにより、高い強度を確保することができる。
【0011】
更に、その上側嵌合片部の先端と段部の壁面との突き当てにより、精度よく、その第1パネル部材及び第2パネル部材を組み付けることができる。そして、これにより、これらの第1パネル部材及び第2パネル部材の連結によって、隙間なく連続したパネル面を形成することができる。
【0012】
上記課題を解決するスロープパネルは、前記傾斜路の長さ方向において、前記嵌合凹部が地面側に配置され、前記挿入嵌合部が前記ドア開口部側に配置されることが好ましい。
上記構成によれば、より高い強度を確保することができる。
【0013】
上記課題を解決するスロープパネルは、地面に当接する接地部を有した接地パネル部材を備え、前記接地パネル部材は、前記中空構造を有し、前記上板部及び前記接地部が連続したパネル面を形成するとともに、前記傾斜路の長さ方向における前記ドア開口部側から前記地面側に向かって前記上板部と前記下板部との間隔が狭まるように構成されることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、地面に対する下板部の干渉を抑制しつつ、その接地部及び上板部に平坦なパネル面を設定することができる。そして、これにより、スロープパネルが形成する傾斜路を利用する際、例えば、そのパネル面上を移動する利用者の車椅子やキャリーケース等の車輪を円滑に転動させることができる。
【0015】
更に、傾斜路の長さ方向、ドア開口部側において、そのフロントパネルに厚みを確保することができる。そして、これにより、高い強度を確保することができる。
上記課題を解決するスロープパネルにおいて、前記接地部には、前記パネル面に連続して前記地面に当接する薄板部材が設けられることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、地面とパネル面との段差を低減することができる。そして、これにより、利用者の車椅子やキャリーケース等の車輪が、円滑に、その地面とパネル面との間を移動できるようになる。
【0017】
上記課題を解決するスロープパネルは、前記薄板部材が弾性変形可能に構成されることが好ましい。
上記構成によれば、そのパネル面が形成する傾斜路の角度が異なる場合においても、薄板部材の弾性変形によって、これを吸収することができる。そして、これにより、そのパネル面と地面との角度に依らず、安定的に、地面に接地部を当接させることができる。
【0018】
更に、車椅子やキャリーケース等の車輪が通過する際、この薄板部材が弾性変形することで、その段差が更に小さくなる。そして、これにより、より円滑に、その車椅子やキャリーケース等の車輪が、地面とパネル面との間を移動できるようになる。
【0019】
上記課題を解決するスロープパネルにおいて、前記薄板部材は、前記地面に対する当接位置から前記傾斜路の長さ方向に離間するに従って徐々に傾斜が増加する湾曲形状を有して前記地面と前記パネル面とを接続することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、車椅子やキャリーケース等の車輪が、円滑に、その地面とパネル面との間を移動できるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高い強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】スロープ装置が搭載された車両の斜視図。
図2】スロープ装置が搭載された車両の斜視図。
図3】ドア開口部の下方に設けられたスロープ装置の斜視図。
図4】ドア開口部の下方に設けられたスロープ装置の斜視図。
図5】スロープ装置の概略構成図。
図6】スロープ装置の動作説明図。
図7】スロープ装置の動作説明図。
図8】スロープ装置の動作説明図。
図9】複数のパネル部材が連結されたスロープパネルを備えるスロープ装置の斜視図。
図10】スロープ板の分解斜視図。
図11】スロープパネルの側面図。
図12】スロープパネルを構成する第1パネル部材及び第2パネル部材の斜視図。
図13】第1パネル部材及び第2パネル部材の連結部近傍の拡大図。
図14】地面に当接する接地部を有したフロントパネルの側面図。
図15】接地部の別例を示す断面図。
図16】接地部の別例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、車両用のスロープ装置に関する一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の車両1は、車両前後方向に延在する四角略箱状の車体2を有している。また、車体2の側面2sには、乗員の乗降口となるドア開口部3が設けられている。そして、このドア開口部3には、車両前後方向、相反する方向に開閉動作する一対のスライドドア4f,4rが設けられている。
【0024】
即ち、車両前方側のスライドドア4fは、車両前方側に移動することにより開作動し、車両後方側に移動することにより閉作動する。一方、車両後方側のスライドドア4rは、車両後方側に移動することにより開作動し、車両前方側に移動することにより閉作動する。更に、これらの各スライドドア4f,4rは、それぞれ、図示しないアクチュエータの駆動力に基づき開閉動作するパワースライドドア装置としての構成を有している。そして、本実施形態の車両1は、これらの各スライドドア4f,4rが連動するかたちで、そのドア開口部3を開閉する構成になっている。
【0025】
また、本実施形態の車両1は、ドア開口部3が開状態にある場合において、このドア開口部3の下端にスロープ板10を展開するスロープ装置11を備えている。そして、本実施形態の車両1は、このスロープ板10が形成する傾斜路12を利用することで、その乗員が、例えば、車椅子やベビーカー、或いはキャリーケース等を保有している場合であっても、容易に、そのドア開口部3から乗降することが可能となっている。
【0026】
図3及び図4に示すように、本実施形態の車両1において、このスロープ装置11は、ドア開口部3の下方において、その車体2に設けられた格納部としての格納ボックス13内に設置されている。具体的には、この格納ボックス13は、そのドア開口部3と同一方向に臨む開口部13aを有している。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この開口部13aを介することにより、その格納ボックス13に格納されたスロープ板10を車外に展開し、及び、その展開したスロープ板10を再び格納ボックス13内に格納する構成になっている。
【0027】
詳述すると、本実施形態のスロープ装置11は、その格納ボックス13からドア開口部3の下端に展開されるスロープ板10の展開及び格納方向、つまりは、その格納ボックス13内の奥行き方向に延びる一対のガイドレール20,20を備えている。
【0028】
図3図5に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、これらの各ガイドレール20,20は、格納ボックス13内のスロープ板10を幅方向両側から挟み込む態様で、略平行に配置されている。また、本実施形態のスロープ装置11は、これらの各ガイドレール20に係合する状態で、それぞれ、その係合する各ガイドレール20,20の延伸方向に沿って摺動可能に設けられた一対の移動体21,21を備えている。更に、このスロープ装置11は、スロープ板10の後端部10rに対して回動可能に連結されるとともに移動体21に対して回動可能に連結される一対の支持アーム22,22を備えている。即ち、本実施形態のスロープ装置11は、これらの各支持アーム22,22が、そのスロープ板10と移動体21,21との間の連結機構23を形成する。そして、これにより、各移動体21,21に連動して、そのスロープ板10が展開及び格納方向に移動する構成になっている。
【0029】
また、本実施形態のスロープ装置11は、モータ24を駆動源として、そのスロープ板10に駆動力を付与するアクチュエータ25を備えている。本実施形態のスロープ装置11において、このアクチュエータ25は、各ガイドレール20,20の後端部20rよりも奥側において、その格納ボックス13内に配置されている。更に、本実施形態のスロープ装置11は、ガイドレール20,20の延伸方向に沿って配索される一対の駆動ケーブル26,26を備えている。尚、本実施形態のスロープ装置11において、これらの各駆動ケーブル26,26は、ケーシングパイプ26x,26x内に挿通されることにより、そのアクチュエータ25から各ガイドレール20,20の後端部20rに配索される。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これらの各駆動ケーブル26,26を介して伝達されるアクチュエータ25の駆動力に基づいて、その各移動体21,21が各ガイドレール20,20の延伸方向に沿って移動する構成になっている。
【0030】
具体的には、本実施形態のアクチュエータ25は、モータ24が発生する駆動力に基づき回転する駆動ギヤ27を有している。また、このアクチュエータ25は、その駆動ギヤ27を径方向に挟む二位置において各駆動ケーブル26,26が、それぞれ、この駆動ギヤ27に対して噛合するように構成されている。即ち、本実施形態のアクチュエータ25は、その駆動ギヤ27が回転することにより、これらの各駆動ケーブル26,26を各ガイドレール20,20の延伸方向に沿って摺動させる。更に、本実施形態のスロープ装置11においては、その各駆動ケーブル26,26の端末に各移動体21,21が連結されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、その各駆動ケーブル26,26と一体に、これらの各移動体21,21が、各ガイドレール20,20に案内される状態で、そのスロープ板10の展開及び格納方向に摺動する構成になっている。
【0031】
詳述すると、図6及び図7に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、スロープ板10は、ガイドレール20に対する移動体21及び支持アーム22の係合力に基づいて、略水平な姿勢が保持された状態で格納ボックス13内に収容されている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この略水平な姿勢を保持したまま、そのガイドレール20の延伸方向に沿って、移動体21及び支持アーム22と一体にスロープ板10が展開及び格納方向に移動する構成となっている。
【0032】
また、図8に示すように、本実施形態のスロープ装置11は、格納ボックス13が設けられた車両1の側縁部1sから車幅方向外側に延出する態様で、そのスロープ板10を車外に展開する。更に、本実施形態のスロープ装置11においては、この状態で、その移動体21とスロープ板10との間に介在された支持アーム22が回動することにより、スロープ板10の後端部10rが持ち上がる。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、車両フロア28に後端部10rを近づける態様で、そのスロープ板10が傾斜路12を形成する構成になっている。
【0033】
尚、本実施形態のスロープ装置11において、スロープ板10の後端部10rには、フロア係合部29が設けられている。そして、本実施形態のスロープ装置11は、このフロア係合部29が車両フロア28の縁部28eに係合することで、そのスロープ板10の荷重を車両フロア28が支える構成になっている。
【0034】
(スロープパネルの連結構造)
次に、本実施形態のスロープ板10を構成するスロープパネルの連結構造について説明する。
【0035】
図9図11に示すように、本実施形態のスロープ板10は、略平板状の外形を有したスロープパネル30を備えている。また、スロープ板10は、このスロープパネル30を幅方向に挟み込む左右一対のサイドフレーム31,31を備えている。そして、本実施形態のスロープ板10は、これらの各サイドフレーム31,31が、その前後方向に延在、つまりは、このスロープ板10が形成する傾斜路12の長さ方向(図11中、左右方向)に延在する状態で、ドア開口部3に展開される構成となっている。
【0036】
即ち、本実施形態のスロープ板10は、その幅方向両側をサイドフレーム31,31に挟み込まれたスロープパネル30上を利用者が移動する。更に、このスロープパネル30には、例えば、ゴム等を素材に用いた図示しない滑り止めシートが貼り付けられる。そして、本実施形態のスロープ装置11は、これにより、このスロープ板10、詳しくは、そのスロープパネル30が形成する傾斜路12上を、利用者が安全に移動することのできる構成になっている。
【0037】
また、本実施形態のスロープ装置11において、このスロープパネル30は、複数のパネル部材40を互いに連結することにより形成されている。具体的には、本実施形態のスロープ装置11は、スロープ板10の前端部10fを構成するフロントパネル41を備えている。また、スロープ板10の後端部10rを構成するエンドパネル42を備えている。更に、スロープ装置11は、これらのフロントパネル41とエンドパネル42との間に配置される複数の中間パネル43を備えている。尚、本実施形態のスロープ装置11は、4枚の中間パネル43を備えている。そして、本実施形態のスロープパネル30は、これらの各パネル部材40が、スロープ板10の前後方向、即ち、このスロープパネル30が形成する傾斜路12の長さ方向に連結された構造を有している。
【0038】
詳述すると、これらの各パネル部材40は、それぞれ、スロープパネル30が形成する傾斜路12の幅方向(図9中、左右方向)に延在して配置される長尺略平板状の外形を有している。具体的には、本実施形態のスロープ装置11において、これらの各パネル部材40は、それぞれ、傾斜路12の幅方向に延在する複数の縦壁部50を介して上板部51と下板部52とが接続された中空構造を有している。尚、これらの上板部51及び下板部52もまた、ともに平板形状をなしている。また、これらの各パネル部材40は、それぞれ、その第1端部61がスロープ板10の後端部10r側に配置され、その第2端部62がスロープ板10の後端部10r側に配置される。換言すると、各パネル部材40は、それぞれ、そのスロープパネル30が形成する傾斜路12の長さ方向におけるドア開口部3側に第1端部61が配置され、同じく傾斜路12の長さ方向における地面65側に第2端部62が配置される。そして、これらの各パネル部材40は、それぞれ、互いの第1端部61と第2端部62とが嵌合する態様で、その傾斜路12の長さ方向に隣り合う各パネル部材40,40が互いに連結される構成となっている。
【0039】
具体的には、図11図13に示すように、本実施形態のスロープパネル30において、各中間パネル43は、それぞれ、その第1端部61に、上下方向に離間して設けられた上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72を有している。尚、図12及び図13中、左側が、傾斜路12の長さ方向における地面65側、右側がドア開口部3側となっている。また、これらの各中間パネル43は、それぞれ、その第2端部62に、上下方向に離間して設けられた上側挿入片部73及び下側挿入片部74を有している。更に、エンドパネル42もまた、その第2端部62に、各中間パネル43と同様の上側挿入片部73及び下側挿入片部74を有している。そして、フロントパネル41は、その第1端部61に、各中間パネル43と同様の上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72を有している。
【0040】
本実施形態のスロープパネル30において、これらの上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72、並びに上側挿入片部73及び下側挿入片部74は、それぞれ、スロープ板10の幅方向、つまりはスロープパネル30が形成する傾斜路12の幅方向に延設されている。また、本実施形態のスロープパネル30においては、その上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72の間に形成される隙間が嵌合凹部75を構成する。更に、その上側挿入片部73及び下側挿入片部74が挿入嵌合部76を構成する。そして、本実施形態のスロープパネル30は、これらの嵌合凹部75と挿入嵌合部76とが嵌合することにより、その傾斜路12の長さ方向に隣り合う各パネル部材40が互いに連結される構成となっている。
【0041】
即ち、本実施形態のスロープパネル30においては、その嵌合凹部75及び挿入嵌合部76の嵌合により連結された2つのパネル部材40,40のうち、傾斜路12の長さ方向、地面65側に配置された一方のパネル部材40が、第1パネル部材81を構成する。そして、傾斜路12の長さ方向、ドア開口部3側に配置された他方のパネル部材40が、第2パネル部材82を構成する。
【0042】
つまり、本実施形態のスロープパネル30において、第1端部61に嵌合凹部75を備えるとともに第2端部62に挿入嵌合部76を備える各中間パネル43は、それぞれ、第1パネル部材81及び第2パネル部材82としての機能を有する。また、その第1端部61に嵌合凹部75が設けられたフロントパネル41は、第1パネル部材81としての構成を有する。そして、その第2端部62に挿入嵌合部76が設けられたエンドパネル42は、第2パネル部材82としての構成を有している。
【0043】
さらに詳述すると、図13に示すように、本実施形態のスロープパネル30において、第1パネル部材81は、上板部51と面一になる位置に、その上側嵌合片部71を有している。そして、本実施形態の第1パネル部材81は、これにより、この上側嵌合片部71が、その上板部51とともに、スロープパネル30のパネル面30sを形成する構成になっている。
【0044】
また、第2パネル部材82においては、その上側挿入片部73が、上板部51との間に段部83を形成する。そして、本実施形態のスロープパネル30は、これにより、その嵌合凹部75と挿入嵌合部76との嵌合によって、第2パネル部材82に設けられた段部83内に、その第1パネル部材81の上側嵌合片部71が配置される構成になっている。
【0045】
即ち、本実施形態のスロープパネル30においては、第2パネル部材82の上側挿入片部73及び下側挿入片部74が、第1パネル部材81の上側嵌合片部71と下側嵌合片部72との間に挟み込まれる状態で、その嵌合凹部75と挿入嵌合部76とが嵌合する。また、これにより、その互いに連結された第1パネル部材81と第2パネル部材82との間の上下方向移動、詳しくは、その上板部51及び下板部52に直交する方向の相対移動が制限される。そして、本実施形態のスロープパネル30は、これにより、その第1パネル部材81及び第2パネル部材82が連続したパネル面30sを形成する構成になっている。
【0046】
尚、本実施形態のスロープパネル30においては、第2パネル部材82の下側挿入片部74もまた、その下板部52との間に段部84を形成する。そして、本実施形態のスロープパネル30は、嵌合凹部75と挿入嵌合部76とが嵌合することにより、この段部84内に、その第2パネル部材82の下側挿入片部74が配置される構成となっている。
【0047】
また、本実施形態のスロープパネル30においては、第1パネル部材81の下側嵌合片部72には、複数の貫通孔85が設けられている。更に、第2パネル部材82の下側挿入片部74にも、複数の貫通孔86が設けられている。そして、本実施形態のスロープパネル30は、これらの各貫通孔85,86に挿通された締結部材87の締結力に基づいて、その嵌合凹部75と挿入嵌合部76との嵌合により連結された各パネル部材40,40が固定される構成になっている。
【0048】
更に、本実施形態のスロープパネル30においては、この下側嵌合片部72と下側挿入片部74との締結により、その上板部51及び下板部52に直交する方向において、第1パネル部材81と第2パネル部材82とが位置決めされる。そして、本実施形態のスロープパネル30は、この状態で、その第2パネル部材82の段部83内に配置された上側嵌合片部71が、その第2パネル部材82の上板部51と面一となるように構成されている。
【0049】
また、図10及び図13に示すように、本実施形態のスロープ装置11において、上記サイドフレーム31,31は、その各パネル部材40の長手方向両端部に嵌合する状態で、その幅方向両側からスロープパネル30を挟み込む。更に、本実施形態の各サイドフレーム31,31は、それぞれ、この状態で、その各パネル部材40に設けられた各貫通孔85,86に臨む複数の貫通孔88を有している。そして、本実施形態のスロープ装置11は、この貫通孔88を利用して、そのスロープパネル30を構成する各パネル部材40の長手方向両端部が、それぞれ、各サイドフレーム31,31に共締めされる構成となっている。
【0050】
さらに詳述すると、図13に示すように、本実施形態のスロープパネル30において、第2パネル部材82は、挿入嵌合部76と嵌合凹部75とが嵌合する状態で、その上側嵌合片部71の先端71aが配置される位置に設けられた縦壁部50aを備えている。具体的には、本実施形態の第2パネル部材82において、この縦壁部50aは、その挿入嵌合部76を構成する上側挿入片部73と下側挿入片部74とを接続する態様で設けられている。そして、本実施形態のスロープパネル30は、これにより、第1パネル部材81の上板部51とともにパネル面30sを形成する上側嵌合片部71に印加された押し下げ荷重を、この縦壁部50aで受ける構成になっている。
【0051】
更に、本実施形態のスロープパネル30においては、この第2パネル部材82の段部83内に配置された上側嵌合片部71の先端71aが、その段部83の壁面89に当接する。そして、本実施形態のスロープパネル30は、これにより、そのパネル面30sに印加された押し下げ荷重を、各パネル部材40に分散させることのできる構成となっている。
【0052】
また、本実施形態の第1パネル部材81は、その嵌合凹部75と第2パネル部材82の挿入嵌合部76とが嵌合する状態で、この挿入嵌合部76を構成する上側挿入片部73の先端73aが配置される位置に設けられた縦壁部50bを備えている。そして、本実施形態の第1パネル部材81は、これにより、上側嵌合片部71に過大な押し下げ荷重が印加された場合に、その荷重を、下方に位置する第2パネル部材82の挿入嵌合部76を介して、この縦壁部50bで受けることのできる構成となっている。
【0053】
(スロープパネルの接地構造)
次に、本実施形態のスロープパネル30における接地構造について説明する。
図9及び図14に示すように、本実施形態のスロープパネル30において、スロープ板10の前端部10fを構成するフロントパネル41は、その第2端部62に、地面65に対して当接する接地部90を有している。
【0054】
詳述すると、本実施形態のフロントパネル41において、この接地部90は、そのスロープパネル30が形成する傾斜路12の幅方向(図14中、紙面に直交する方向)に延在する略平板状の外形を有している。また、この接地部90は、そのスロープ板10の最前端となる位置(図14中、左側の端部)に、傾斜路12の幅方向に延在する断面略円形の円柱形状部91を有している。即ち、本実施形態のフロントパネル41は、スロープ板10がドア開口部3の下端に展開された状態で、この接地部90に設けられた円柱形状部91が地面65に当接する。そして、本実施形態のフロントパネル41は、これにより、その地面65に対するスロープパネル30の角度に依らず、安定的に、その地面65に対して当接することのできる構成となっている。
【0055】
また、本実施形態のフロントパネル41は、この接地部90及び上板部51が連続したパネル面30sを形成する。更に、このフロントパネル41は、中間パネル43に連結される第1端部61側から接地部90が設けられた第2端部62側に向かって(図14中、右側から左側)、その上板部51と下板部52との間隔Dが狭まるように構成されている。そして、本実施形態のフロントパネル41は、これにより、その下板部52が、地面65に干渉し難い構造となっている。
【0056】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のスロープパネル30においては、パネル面30sを構成する第1パネル部材81の上側嵌合片部71に作用する押し下げ荷重が、この上側嵌合片部71の先端71aを介して、その下方に位置する上側挿入片部73に伝達される。そして、この押し下げ荷重が、圧縮応力として、その上側嵌合片部71の先端71aが配置された位置に設けられた第2パネル部材82の縦壁部50aに作用する。
【0057】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)スロープパネル30は、上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72が形成する嵌合凹部75を有した第1パネル部材81と、上側挿入片部73及び下側挿入片部74が形成する挿入嵌合部76を有した第2パネル部材82と、を備える。これらの第1パネル部材81及び第2パネル部材82は、その嵌合凹部75と挿入嵌合部76とが嵌合することにより互いに連結される。また、第1パネル部材81及び第2パネル部材82は、複数の縦壁部50を介して上板部51と下板部52とが接続された中空構造を有する。そして、第2パネル部材82は、その挿入嵌合部76と嵌合凹部75とが嵌合する状態で、この嵌合凹部75を構成する上側嵌合片部71の先端71aが配置される位置に設けられた縦壁部50aを備える。
【0058】
上記構成によれば、第1パネル部材81の上側嵌合片部71に作用する押し下げ荷重を、その下方に位置する上側挿入片部73を介して第2パネル部材82の縦壁部50aに作用する圧縮応力として受けることができる。そして、これにより、高い強度を確保することができる。
【0059】
(2)上側嵌合片部71が上板部51とともにパネル面30sを構成する。
上記構成によれば、上側嵌合片部71に対して直接的に押し下げ荷重が印加される。従って、このような構成について、その押し下げ荷重を圧縮応力として受ける縦壁部50aを設けることで、より顕著な効果を得ることができる。
【0060】
(3)第2パネル部材82は、その上側挿入片部73と上板部51とが段部83を形成する。そして、嵌合凹部75と挿入嵌合部76との嵌合により、この段部83内に配置された上側嵌合片部71の先端71aが、その段部83の壁面89に当接するように構成される。
【0061】
即ち、第1パネル部材81及び第2パネル部材82の各上板部51が形成するパネル面30sに印加された押し下げ荷重は、そのパネル面30sを下方に撓ませる方向に作用する。しかしながら、上記構成によれば、その押し下げ荷重が、互いに当接した上側嵌合片部71の先端71a及び段部83の壁面89を介して第1パネル部材81及び第2パネル部材82に分散される。そして、これにより、高い強度を確保することができる。
【0062】
更に、その上側嵌合片部71の先端71aと段部83の壁面89との突き当てにより、精度よく、その第1パネル部材81及び第2パネル部材82を組み付けることができる。そして、これにより、これらの第1パネル部材81及び第2パネル部材82の連結によって、隙間なく連続したパネル面30sを形成することができる。
【0063】
(4)スロープパネル30は、このスロープパネル30が形成する傾斜路12の長さ方向において、その嵌合凹部75が地面65側に配置され、その挿入嵌合部76がドア開口部3側に配置されるように構成される。これにより、より高い強度を確保することができる。
【0064】
(5)スロープパネル30は、地面65に当接する接地部90を有した接地パネル部材としてのフロントパネル41を備える。また、このスロープパネル30は、その接地部90と上板部51とが連続したパネル面30sを形成する。そして、スロープパネル30は、このスロープパネル30が形成する傾斜路12の長さ方向におけるドア開口部3側から地面65側に向かって、その上板部51と下板部52との間隔Dが狭まるように構成される。
【0065】
上記構成によれば、地面65に対する下板部52の干渉を抑制しつつ、その接地部90及び上板部51に平坦なパネル面30sを設定することができる。そして、これにより、スロープパネル30が形成する傾斜路12を利用する際、例えば、そのパネル面30s上を移動する利用者の車椅子やキャリーケース等の車輪を円滑に転動させることができる。
【0066】
更に、傾斜路12の長さ方向、ドア開口部3側において、そのフロントパネル41に厚みを確保することができる。そして、これにより、高い強度を確保することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
・上記実施形態では、第1パネル部材81は、上板部51と面一になる位置に、その上側嵌合片部71を有する。そして、これにより、この上側嵌合片部71が、その上板部51とともに、スロープパネル30のパネル面30sを形成することとした。
【0068】
しかし、これに限らず、上側嵌合片部71の配置は、必ずしも上板部51と面一になる位置でなくともよい。例えば、上板部51の下方に上側嵌合片部71が配置される構成としてもよい。つまり、パネル面30sに印加された押し下げ荷重が間接的に上側嵌合片部71に作用する構成であってもよい。上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72が嵌合凹部75を形成し、上側挿入片部73及び下側挿入片部74が挿入嵌合部76を形成する構成であればよい。そして、これらの上側嵌合片部71及び下側嵌合片部72、並びに上側挿入片部73及び下側挿入片部74の上下方向位置は、任意に変更してもよい。
【0069】
・上記実施形態では、第2パネル部材82の縦壁部50aは、挿入嵌合部76を構成する上側挿入片部73と下側挿入片部74とを接続する態様で設けられることとした。しかし、これに限らず、上側挿入片部73と下板部52とを接続する態様で設けられる構成であってもよい。即ち、挿入嵌合部76と嵌合凹部75とが嵌合する状態で、その上側嵌合片部71の先端71aが配置される位置に縦壁部50aが設けられていればよい。これにより、その上側嵌合片部71に作用する押し下げ荷重を、圧縮応力として、この上側挿入片部73に配置された上側挿入片部73を介して縦壁部50aが受けることができる。
【0070】
・上記実施形態では、第1パネル部材81の下側嵌合片部72に設けられた貫通孔85及び第2パネル部材82の下側挿入片部74に設けられた貫通孔86を用いて、これらの下側嵌合片部72及び下側挿入片部74が締結されることとした。しかし、これに限らず、締結以外の方法で、これらの下側嵌合片部72及び下側挿入片部74が固定される構成としてもよい。そして、その他の方法で、その連結された第1パネル部材81及び第2パネル部材82が固定される構成であってもよい。
【0071】
・上記実施形態では、スロープパネル30が形成する傾斜路12の長さ方向において、その嵌合凹部75が地面65側に配置され、その挿入嵌合部76がドア開口部3側に配置されることとした。しかし、これに限らず、その嵌合凹部75がドア開口部3側に配置され、その挿入嵌合部76が地面65側に配置される構成であってもよい。
【0072】
・第1パネル部材81及び第2パネル部材82として互いに連結されるパネル部材40の数は、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、フロントパネル41は、その接地部90に設けられた円柱形状部91が地面65に当接することとした。しかし、これに限らず、地面65に当接する部分の形状は、任意に変更しても良い。
【0073】
例えば、図15に示すフロントパネル41Bの接地部90Bのように、この接地部90Bが上板部51とともに形成するパネル面30sに連続して地面65に当接する薄板部材100を備える構成としてもよい。これにより、地面65とパネル面30sとの段差を低減して、利用者の車椅子やキャリーケース等の車輪が、円滑に、その地面65とパネル面30sとの間を移動できるようになる。
【0074】
更に、この薄板部材100は、例えば、ゴムや樹脂等の素材を用いて弾性変形可能に構成されている。そして、この別例の接地部90Bは、これにより、その地面65とパネル面30sとの角度に依らず、安定的に、その地面65に対して当接することのできる構成となっている。
【0075】
即ち、スロープパネル30Bが形成する傾斜路12の角度が異なる場合においても、薄板部材100の弾性変形によって、これを吸収することができる。更に、車椅子やキャリーケース等の車輪が、通過する際、この薄板部材100が弾性変形することにより、その段差を更に小さくすることができる。そして、これにより、より円滑に、その車椅子やキャリーケース等の車輪が、地面65とパネル面30sとの間を移動できるようになる。
【0076】
・また、例えば、図16に示すフロントパネル41Cの接地部90Cのように、その薄板部材100Cが、湾曲形状を有して地面65とパネル面30sとを接続するように構成してもよい。即ち、この薄板部材100Cは、地面65に対する当接位置Pから、そのスロープパネル30Cが形成する傾斜路12の長さ方向に離間にするに従って、換言するとドア開口部3側(図16中、右側)に向かって、徐々に、その傾斜が増加するように構成されている。そして、これにより形成される湾曲形状によって、その地面65とパネル面30sとを連続的に接続する構成になっている。このような構成を採用しても、車椅子やキャリーケース等の車輪が、円滑に、その地面65とパネル面30sとの間を移動できるようになる。
【0077】
・また、上記のような薄板部材100,100Cは、必ずしもスロープパネル30が形成する傾斜路12の幅方向、全域に亘って延在していなくともよい。例えば、図9中の領域αに示すような、車椅子の車輪が通過する位置に対して、部分的に薄板部材100,100Cを配置する構成であってもよい。更に、スロープ板10がドア開口部3の下端に展開された後、そのフロントパネル41Cの接地部90Cから薄板部材100Cが突出する可動式の構成としてもよい。そして、その他の形状を有する薄板部材100についてもまた、このような可動式の構成としてもよい。
【0078】
・ドア開口部3の下端にスロープ板10が展開される構成については、任意に変更してもよい。例えば、単純に、ドア開口部3の下端に展開されたスロープ板10の前端部10fが自重により地面65に接地することで、そのスロープパネル30が傾斜路12を形成する構成に適用してもよい。そして、モータ24等の駆動源を有することなく、手動によって、そのスロープ板10が展開される構成に適用してもよい。
【0079】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記第1パネル部材は、前記嵌合凹部と前記挿入嵌合部とが嵌合する状態で、前記上側挿入片部の先端が配置される位置に設けられた前記縦壁部を備えること、を特徴とするスロープパネル。
【0080】
上記構成によれば、上側嵌合片部に過大な押し下げ荷重が作用した場合においても、その押し下げ荷重を、下方に位置する前記第2パネル部材の挿入嵌合部を介して、その第1パネル部材の縦壁部で受けることができる。
【0081】
(ロ)下側嵌合片部と下側挿入片部とが締結されること、を特徴とするスロープパネル。これにより、簡素な構成にて、安定的に、その嵌合凹部及び挿入嵌合部の嵌合により連結された第1パネル部材及び第2パネル部材を固定することができる。
【符号の説明】
【0082】
30…スロープパネル
50…縦壁部
50a…縦壁部
51…上板部
52…下板部
71…上側嵌合片部
72…下側嵌合片部
73…上側挿入片部
74…下側挿入片部
75…嵌合凹部
76…挿入嵌合部
81…第1パネル部材
82…第2パネル部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16