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  • 特開-野菜収穫機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178009
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/00 20060101AFI20221125BHJP
   A01D 31/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A01D27/00
A01D31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084490
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072BA30
2B072CB09
2B072GA14
(57)【要約】
【課題】従来、枝豆等の作物体を引抜き収穫する野菜収穫機は、機体を自走させる左右駆動輪を装備した走行装置と、圃場に植生する作物体の茎葉部を挟持し後側斜め上方に搬送して作物体を圃場から引抜く挟持搬送無端体を備えている。しかしながら、左右駆動輪を装備した走行装置で機体を進行する構成であるので、狭い場所(例えば、畦際や道路際)での収穫作業が行なえないものであった。そこで、狭い場所(例えば、畦際や道路際)での収穫作業が作業性良く行なえる野菜収穫機を提供する。
【解決手段】一輪の駆動輪3の左右いずれか一側に伝動ケース6又は/及びエンジン5を設け、駆動輪3の他側に作業部2を設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一輪の駆動輪(3)の左右いずれか一側に伝動ケース(6)又は/及びエンジン(5)を設け、駆動輪(3)の他側に作業部(2)を設けたことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】
伝動ケース(6)の外側方にエンジン(5)を設けたことを特徴とする請求項1記載の野菜収穫機。
【請求項3】
作業部(2)に、作業走行中に作物体(P)の茎葉部(K)を挟んで後方斜め上方に搬送し作物体(P)を圃場から抜取る引抜搬送部(11)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の野菜収穫機。
【請求項4】
伝動ケース(6)から機体後方に向けて操縦ハンドル(8)を延設したことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の野菜収穫機。
【請求項5】
駆動輪(3)の後方に上下調節自在に遊転輪(4)を設けたことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項に記載の野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、枝豆等の作物体を引抜き収穫する野菜収穫機は、機体を自走させる左右駆動輪を装備した走行装置と、圃場に植生する作物体の茎葉部を挟持し後側斜め上方に搬送して作物体を圃場から引抜く挟持搬送無端体を備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-122013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、左右駆動輪を装備した走行装置で機体を進行する構成であるので、狭い場所(例えば、畦際や道路際)での収穫作業が行なえないものであった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、狭い場所(例えば、畦際や道路際)での収穫作業が作業性良く行なえる野菜収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、一輪の駆動輪3の左右いずれか一側に伝動ケース6又は/及びエンジン5を設け、駆動輪3の他側に作業部2を設けた野菜収穫機である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、一輪の駆動輪3の左右いずれか一側に伝動ケース6又は/及びエンジン5を設け、駆動輪3の他側に作業部2を設けたので、一輪の駆動輪3で走行して収穫作業が行なえ、例えば、大型乗用人参収穫機では収穫できず手作業で収穫していた畦際や道路際の畝Uに植生している作物体Pを収穫することができ、収穫作業性や作業効率が良くなる。また、圃場に接地している駆動輪3に対して機体の左右バランスが良くて、機体の操縦操作性が良く、適切に作業性良く収穫作業が行なえる。
【0008】
請求項2記載の発明は、伝動ケース6の外側方にエンジン5を設けた請求項1記載の野菜収穫機である。
【0009】
請求項3記載の発明は、作業部2に作業走行中に作物体Pの茎葉部Kを挟んで後方斜め上方に搬送し作物体Pを圃場から抜取る引抜搬送部11を設けた請求項1又は請求項2記載の野菜収穫機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、伝動ケース6から機体後方に向けて操縦ハンドル8を延設した請求項1~請求項3の何れか1項に記載の野菜収穫機である。
【0011】
請求項5記載の発明は、駆動輪3の後方に上下調節自在に遊転輪4を設けた請求項1~請求項4の何れか1項に記載の野菜収穫機である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態にかかる人参引抜機の側面図である。
図2】同人参引抜機の平面図である。
図3】同人参引抜機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態の一実施例として示す野菜収穫機の一種である圃場に植生する人参の作物体を圃場から引抜く人参引抜機を説明する。以下においては、機体の前進方向を基準に、前後、左右と謂う。
【0014】
<全体構成>
人参引抜機は、走行装置1と作物体(人参の根部)Pの収穫作業を行う作業部2を設けたもので、走行装置1は機体を機体前方となる進行方向に向って走行させ、その走行中に作業部2が作物体Pの収穫作業を行っていく。これにより、この人参引抜機は、機体進行方向にそって並ぶ作物体Pを機械的に且つ連続的に収穫していく。
【0015】
<走行装置1>
走行装置1は、圃場に形成された畝Uの上面を走行する駆動回転する一輪の駆動輪3と該駆動輪3の後方を転動する遊転輪4を設けた二輪構成の走行装置で、これにより機体が自走するよう構成している。
【0016】
駆動輪3は、機体後部に配置されたエンジン5から動力が伝動されて駆動回転する。具体的には、エンジン5の動力が、エンジン5の側方に配置されエンジン5に連結する伝動ケースとしてのミッションケース6内の伝動機構に伝動し、該伝動機構を経てミッションケース6の左外側方に突出する車軸7に伝動して該車軸7に取り付けている前記駆動輪3が駆動回転する構成としている。
【0017】
遊転輪4は、駆動輪3の走行跡を転動し、ミッションケース6の後方下部に基部が枢支され下端側が上下動自在に設けた支持アーム4aの下端部に遊転自在に軸支されている。支持アーム4aは、ミッションケース6側面に設けた係合部にて回動位置を所定の角度で固定できる構成となっており、遊転輪4の接地高さを任意に設定できる。
【0018】
また、機体の操縦部として歩行型の操縦ハンドル8をその左右のグリップ部8a,8aが機体後端に位置するように機体後部に設けている。操縦ハンドル8は、下方に傾斜して前方に延び基部がミッションケース6後部上面に固着されている。
【0019】
また、操縦ハンドル8の右グリップ部8aには、操縦者の握り操作により操作される走行クラッチレバー9を設けていて、これにより駆動輪3への伝動を遮断することができる。更に、操縦ハンドル8の左グリップ部8aには、作業部2への伝動を断接するクラッチの操作を行う作業クラッチレバー10を設けていている。
【0020】
即ち、レイアウト構成として、圃場に接地して駆動回転する駆動輪3の右側に操縦ハンドル8の基部が固着されたミッションケース6及びエンジン5を設け、駆動輪3の左側に作業部2を設けている。
【0021】
<作業部2>
作業部2には、作業走行中に作物体Pの茎葉部Kを挟んで後方斜め上方に搬送し作物体Pを圃場から抜取る引抜搬送部11を設けている。従って、走行装置1によって機体を進行方向に向って走行させ、そして、その走行中に、引抜搬送部11が、作物体Pの茎葉部Kを挟んで上方に搬送し作物体Pを圃場から引抜いていく。
【0022】
引抜搬送部11は、駆動輪3左側の前方から後方に至る位置に配置していて、ミッションケース6に支持フレームで支持されている。
【0023】
引抜搬送部11の下方には、茎葉切断装置12と茎葉排出装置13が配置されミッションケース6に支持フレームで支持されている。
【0024】
茎葉切断装置12及び茎葉排出装置13は、ミッションケース6から駆動軸14にて駆動される。
【0025】
引抜搬送部11は、茎葉排出装置13から駆動軸15a,15b及びユニバーサルジョイント15cにて駆動される。
【0026】
引抜搬送部11は、後方上端部の駆動スプロケット16,16と前方下端部のプーリ17,17、そして複数の遊転スプロケット18を左右に設け、それら左右それぞれに引抜搬送部11の搬送体となる左右挟持搬送無端体19,19を巻き掛け、茎葉排出装置13から駆動軸15a,15b及びユニバーサルジョイント15cにて駆動される駆動スプロケット16,16の駆動回転により左右の左右挟持搬送無端体19,19が駆動回転する構成としている。
【0027】
引抜搬送部11の前方下端部には、作物体Pの左右側で畝U(圃場)内まで延びる左右バー20,20が設けられている。左右バー20,20は、作物体Pの茎葉部Kを引き起こすと共に作物体Pの根部回りの土を解す作用をする。
【0028】
従って、引抜搬送部11は、機体の前進に伴って、左右バー20,20が作物体Pの茎葉部Kを引き起こし作物体Pの根部回りの土を解す。そして、左右挟持搬送無端体19,19の前方下端部にて作物体Pの茎葉部Kを左右両側から挟んで斜め上方後部に搬送することにより、作物体Pの根部を畝U(圃場)から引き抜いて斜め上方後部に搬送する。
【0029】
茎葉切断装置12は、肩揃え搬送装置21と切断カッター22から構成される。
【0030】
肩揃え搬送装置21は、ミッションケース6から駆動軸14にて駆動される左右挟持搬送ベルト21a,21aにて構成され、引抜搬送部11が畝U(圃場)から引き抜いて斜め上方後部に搬送してきた作物体Pの茎葉部Kを挟持して後方に水平状に搬送する。
【0031】
従って、作物体Pの茎葉部Kの上部は引抜搬送部11に挟持されて上方後部に搬送され、作物体Pの茎葉部Kの下部は肩揃え搬送装置21の左右挟持搬送ベルト21a,21aに挟持されて後方水平状に搬送されるので、作物体Pの根部上端が左右挟持搬送ベルト21a,21a下辺に接当して、作物体Pの根部上端が水平に揃えられた状態で後方に搬送される。
【0032】
切断カッター22は、左右円盤カッター22a,22aよりなり、肩揃え搬送装置21から左右駆動軸23,23にて駆動回転する。
【0033】
従って、肩揃え搬送装置21の左右挟持搬送ベルト21a,21aに挟持されて作物体Pの根部上端が水平に揃えられた状態で後方に搬送されてきた作物体Pの茎葉部K基部(根部上端のすぐ上の部分)が左右円盤カッター22a,22a間に入り込んで切断される。切断された作物体Pの根部は、下方の畝U(圃場)上面に落下して引抜収穫される。
【0034】
茎葉排出装置13は、ミッションケース6から駆動軸14にて駆動される左右挟持搬送ベルト13a,13aにて構成され、肩揃え搬送装置21の左右挟持搬送ベルト21a,21aの上方中途部から後方位置に配置されている。
【0035】
従って、左右挟持搬送ベルト21a,21aに挟持された作物体Pの茎葉部Kは茎葉排出装置13に引き継がれて後方に搬送され、作物体Pの根部が切断された茎葉部Kのみが茎葉排出装置13の左右挟持搬送ベルト13a,13a後端から機体後方の畝U(圃場)上面に放出される。
【0036】
一方、遊転輪4は、支持アーム4aの回動位置を任意の角度で固定して接地高さを任意に設定できるので、駆動輪3の後方位置にある遊転輪4接地高さを調節することで、駆動輪3よりも前方位置にある引抜搬送部11の前方下端部の畝U(圃場)上面に対する作用高さを調節して、作物体Pの茎葉部Kの挟持位置を条件に応じて調節することができ、作物適応性が向上し適正な引抜き収穫作業が行なえる。
【0037】
以上要するに、人参引抜機は、一輪の駆動輪3で走行して作物体Pの引抜き収穫作業が行なえるので、例えば、大型乗用人参収穫機では収穫できず手作業で収穫していた畦際や道路際の畝Uに植生している作物体Pを収穫することができ、収穫作業性や作業効率が良くなる。
【0038】
また、人参引抜機は、圃場に接地して駆動回転する駆動輪3の右側に操縦ハンドル8の基部が固着されたミッションケース6及びエンジン5を設け、駆動輪3の左側に作業部2を設けているので、圃場に接地している駆動輪3に対して機体の左右バランスが良くて、機体の操縦操作性が良く、適切に作業性良く引抜き収穫作業が行なえる。
【符号の説明】
【0039】
2 作業部
3 駆動輪
4 遊転輪
5 エンジン
6 伝動ケース(ミッションケース)
8 操縦ハンドル
11 引抜搬送部
K 茎葉部
P 作物体
図1
図2
図3