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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178022
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】管の継手施工確認方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/00 20190101AFI20221125BHJP
   F16L 55/30 20060101ALI20221125BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20221125BHJP
   F16L 21/04 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01M13/00
F16L55/30
F16L1/00 Z
F16L21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084508
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(71)【出願人】
【識別番号】317004999
【氏名又は名称】ヤマトガワ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509175078
【氏名又は名称】中川企画建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤田 弘司
(72)【発明者】
【氏名】小仲 正純
(72)【発明者】
【氏名】吉田 義徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健吾
(72)【発明者】
【氏名】魚津 颯二郎
(72)【発明者】
【氏名】上田 隆司
(72)【発明者】
【氏名】上撫 智也
(72)【発明者】
【氏名】正木 義人
(72)【発明者】
【氏名】檜皮 安弘
(72)【発明者】
【氏名】上野 勝弘
【テーマコード(参考)】
2G024
3H015
【Fターム(参考)】
2G024AA21
2G024BA08
2G024CA22
2G024EA14
2G024FA15
3H015CA01
3H015CA07
3H015CA14
(57)【要約】
【課題】管の敷設環境の影響を受けることなく、プッシュオンタイプの継手接合に際し、受口の内周面に装着されたゴム輪の接合作業中の状態を確認できるようにする。
【解決手段】移動体である台車11にカメラ12と光源13とを搭載した継手施工確認装置10を使用し、管Pの内部に進入させたカメラ12を継手の挿し口2の端面より受口1側に位置づけ、管Pの内部で受口1と挿し口2の隙間に挟まれていくゴム輪3をカメラ12により撮影し、その映像を管Pの外部のモニターMに表示し、受口1への挿し口2の挿入に伴うゴム輪3の挙動をモニターMで確認する。管Pの内部からゴム輪3を撮影するので、管Pの敷設環境の影響を受けることがない。また、接合の途中過程においてゴム輪3の挙動を確認できるので、不具合が発生しても迅速に対処できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受口(1)の内周面に予めゴム輪(3)が装着された状態で挿し口(2)を挿入する形式の継手を備えた管(P)の継手施工確認方法において、
管(P)の内部に進入させたカメラ(12)を継手の挿し口(2)の端面より受口(1)の奥側に位置づけ、受口(1)への挿し口(2)の挿入に伴い受口(1)と挿し口(2)の隙間に挟まれていくゴム輪(3)を、管(P)の内部で前記カメラ(12)により撮影し、その映像を管(P)の外部のモニター(M)に表示し、ゴム輪(3)の挙動を前記モニター(M)で確認することを特徴とする管(P)の継手施工確認方法。
【請求項2】
前記カメラ(12)を挿し口(2)側の管(P)から進行させ、挿し口(2)の端面を越えて受口(1)側の管(P)の内部まで進入させた状態で、前記カメラ(12)によりゴム輪(3)を撮影することを特徴とする請求項1に記載の管(P)の継手施工確認方法。
【請求項3】
前記カメラ(12)を管(P)の内部で移動可能な台車(11)から延びるアーム(15)に取り付けて、前記台車(11)を継手の挿し口(2)側から進行させ、挿し口(2)の端面を越えることなく挿し口(2)側の管(P)の内部に留め、前記アーム(15)を受口(1)側の管(P)の内部へ進入させた状態で、前記カメラ(12)によりゴム輪(3)を撮影することを特徴とする請求項1に記載の管(P)の継手施工確認方法。
【請求項4】
前記カメラ(12)として、画角が180°未満の広角レンズ付きカメラ(12a)を用い、ゴム輪(3)を全周にわたって撮影できるように、前記カメラ(12)を位置づけることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の管(P)の継手施工確認方法。
【請求項5】
前記カメラ(12)として、画角が360°の天球カメラ(12b)を用い、その画角によりゴム輪(3)を全周にわたって撮影できるように、前記カメラ(12)を管径方向中心部に位置づけることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の管(P)の継手施工確認方法。
【請求項6】
受口(1)の内周面に予めゴム輪(3)が装着された状態で挿し口(2)を挿入する形式の継手を備えた管(P)の継手施工確認装置(10)において、
管(P)の内部を管軸方向に沿って移動可能な移動体に、受口(1)と挿し口(2)の隙間に挟まれていくゴム輪(3)を管(P)の内部で撮影するためのカメラ(12)と、その撮影対象であるゴム輪(3)を照明するための光源(13)とが搭載され、
前記カメラ(12)が撮影した映像を管(P)の外部のモニター(M)に送信する機能を備えていることを特徴とする管(P)の継手施工確認装置(10)。
【請求項7】
前記移動体が台車(11)であり、前記台車(11)に管(P)の内部で管軸方向に沿って移動させるための押し棒(14)が連結されていることを特徴とする請求項6に記載の管(P)の継手施工確認装置(10)。
【請求項8】
前記カメラ(12)は、前記台車(11)から前記押し棒(14)とは反対側へ延びるアーム(15)に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の管(P)の継手施工確認装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管の継手接合時において、ゴム輪が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを確認するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダクタイル鉄管は、水道管や下水道管、ガス管等として地中に埋設され、管路を構成しており、管同士は、受口に挿し口が挿入される継手形式にて接合されている。継手としては、受口に挿し口を挿入した状態で、密封性を得るためのゴム輪を受口と挿し口の隙間に押輪で押し込み、ボルトで締め付けるメカニカルタイプと呼ばれるK形等のほか、受口の内周面に予めゴム輪を装着し、受口に挿し口を挿入するだけで簡単に接合可能なプッシュオンタイプと呼ばれるT形、NS形、PII形等が知られている。
【0003】
一例として、T形継手の接合工程を説明する。この接合に際しては、図6(a)に示すように、受口1の内周面の溝部1aにゴム輪3のヒール部3aを予め嵌め込んでおき、挿し口2の端部外周面とゴム輪3の内周面に滑剤を塗布しておく。次に、図6(b)に示すように、挿し口2を受口1に挿入し、これに伴い、図6(c)に示すように、受口1の溝部1aより奥側の内周面と挿し口2の外周面との間に、ゴム輪3のバルブ部3bが圧縮されつつ挟み込まれるようにする。
【0004】
ここで、ゴム輪3のヒール部3aが予め受口1の内周面の溝部1aに正しく収まっていない等の原因により、継手接合時にゴム輪3のずれや欠損、傷付き等が生じて、止水性能に不具合が生じることがある。このような不具合は、管Pの内部からは比較的確認しやすいが、管径が800mm未満である場合、管内に人が入ることができない。
【0005】
その対策として、図7(a)に示すように、継手接合後に、管Pの外部において、受口1の端面側から受口1と挿し口2の隙間に薄板ゲージ20と呼ばれる検査具を差し込むことにより、ゴム輪3の位置を確認し、図7(b)に示すように、この作業を管Pの継手部の全周にわたって行う方法が知られている(同旨の先行技術として下記特許文献1([0052]、図7(a))参照)。
【0006】
また、図8に示すように、ゴム輪3のヒール部3aにマーキング3cを施しておき、継手接合後に、管Pの外部において、挿し口2の外周側に位置づけた検査具のカメラ30を受口1の端面側へ向け、カメラ30の映像で受口1と挿し口2の隙間からマーキング3cが視認できるかどうかで接合状態の良否を確認する方法も知られている(同旨の先行技術として下記特許文献2([0028]、図9(a)-(d))参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012―123589号公報
【特許文献2】特開2016―206044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えば、図9に示すように、管Pが壁面Wから張り出した架台40に支持されてUバンド41で固定された露出配管において、管Pと壁面Wとの間隔が狭い場合や、図10に示すように、多条の管Pが並列に配置され、管P同士の間隔が狭い場合や、図11に示すように、湾曲した掘削溝Dの内部において、管Pが継手により許容角度の範囲内で曲げて配管され、掘削溝Dの側面と管Pの継手部との間隔が狭い場合といった条件下では(各図において破線の楕円部分参照)、管Pの外部から上述のような確認方法を実施することが困難であり、ゴム輪3の装着状態が正常であるかどうか判断することが容易でないという問題があった。
【0009】
また、上述のような確認方法では、継手接合後にゴム輪3の装着状態を確認することから、図12に示すように、ゴム輪3より受口1の奥側でロックリング4と挿し口突部5とを係合させ、受口1からの挿し口2の離脱を防止する耐震継手において、ゴム輪3の装着状態に異常が発見された場合に、施工をやり直すには、ロックリング4と挿し口突部5の係合を解除するという非常に煩雑な解体作業が必要になるという問題があった。
【0010】
そこで、この発明は、管の敷設環境の影響を受けることなく、継手接合に際し、受口内周面に装着されたゴム輪の接合作業中の状態を確認できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明は、受口の内周面に予めゴム輪が装着された状態で挿し口を挿入する形式の継手を備えた管の継手施工確認方法において、
管の内部に進入させたカメラをゴム輪が撮影可能となる継手の挿し口の端面より受口の奥側に位置づけ、受口への挿し口の挿入に伴い受口と挿し口の隙間に挟まれていくゴム輪を、管の内部で前記カメラにより撮影し、その映像を管の外部のモニターに表示し、ゴム輪の挙動を前記モニターで確認することとしたのである。
【0012】
また、前記カメラを挿し口側の管から進行させ、挿し口の端面を越えて受口側の管の内部まで進入させた状態で、或いは、受口側の管内に予め前記カメラを設置しておいた状態で、前記カメラによりゴム輪を撮影することとしたのである。
【0013】
或いは、前記カメラを管の内部で移動可能な台車から延びるアームに取り付けて、前記台車を継手の挿し口側から進行させ、挿し口の端面を越えることなく挿し口側の管の内部に留め、前記アームを受口側の管の内部へ進入させた状態で、前記カメラによりゴム輪を撮影することとしたのである。
【0014】
また、前記カメラとして、画角が180°未満の広角レンズ付きカメラを用い、ゴム輪を全周にわたって撮影できるように、前記カメラを位置づけることとしたのである。
【0015】
或いは、前記カメラとして、画角が360°の天球カメラを用い、その画角によりゴム輪を全周にわたって撮影できるように、前記カメラを管径方向中心部に位置づけることとしたのである。
【0016】
また、受口の内周面に予めゴム輪が装着された状態で挿し口を挿入する形式の継手を備えた管の継手施工確認装置において、
管の内部を管軸方向に沿って移動可能な移動体に、受口と挿し口の隙間に挟まれていくゴム輪を管の内部で撮影するためのカメラと、その撮影対象であるゴム輪を照明するための光源とが搭載され、
前記カメラは、撮影した映像を管の外部のモニターに送信する機能を備えているものを提供することとしたのである。
【0017】
また、前記移動体が台車であり、前記台車に管の内部で管軸方向に沿って移動させるための押し棒が連結されているものとしたのである。
【0018】
また、前記カメラは、前記台車から前記押し棒とは反対側へ延びるアームに取り付けられているものとしたのである。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る管の継手施工確認方法及び装置によると、受口の内周面に予め装着されたゴム輪を、管の内部に進入させたカメラにより撮影し、その映像を管の外部のモニターに表示するので、ゴム輪が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを、管の敷設環境の影響を受けることなく、確認することができる。
【0020】
また、継手接合後ではなく接合の途中過程において、継手の内部の受口と挿し口の隙間に挟まれていくゴム輪の挙動をその場で確認できるので、ゴム輪が一部ずれるなどの装着状態に不具合が発生しても、迅速に対処することができる。
【0021】
特に、NS形等の耐震継手において、受口の内面に装着されているロックリングを挿し口突部が通過する前の段階で、ゴム輪の装着状態の異常を感知できるので、不具合発生時のロックリングと挿し口突部の係合を解除する非常に煩雑な解体作業が不要となる。
【0022】
また、移動体である台車にカメラと光源を搭載したので、小径の管においても、カメラをゴム輪の近傍に位置づけて、効率よく撮影することができ、映像を記録することで、完成検査時において、継手接合が正常であったかどうかを検証することができる。
【0023】
さらに、ゴム輪と共に挿し口の挿入過程を確認できるので、挿し口の管径中心が受口の管径中心から外れていた場合に、挿し口側の管径中心を修正することで、継手接合の作業を正確かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明に係る管の継手施工確認方法及び装置の第1実施形態を示す管軸方向の断面図
図2】同上の第2実施形態を示す管軸方向の断面図
図3】同上の第3実施形態を示す管軸方向の断面図
図4】同上の第4実施形態を示す管軸方向の断面図
図5図3の360°カメラの取付部分を示す分解斜視図
図6】T形継手における(a)接合初期過程、(b)接合中間過程、(c)接合状態をそれぞれ示す管軸方向の部分断面図
図7】薄板ゲージによる継手接合後の確認方法を説明する(a)管軸方向の部分断面図、(b)(a)のA-A位置での管径方向の全周断面図
図8】管の外部に位置づけたカメラによる継手接合後の確認方法を説明する管軸方向の部分断面図
図9】壁近傍の露出配管の例を示す管径方向の断面図
図10】多条配管の例を示す管軸方向の配置図
図11】掘削溝内における曲げ配管の例を示す管軸方向の配置図
図12】耐震継手の例を示す管軸方向の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。ここでは、プッシュオンタイプのT形継手を備えた管Pの受口1と挿し口2を接合する場合について例示している(図6参照)が、ロックリングを備えたプッシュオンタイプの耐震継手(NS形やPII形)についても同様である。この継手における接合に際しては、受口1の内周面の溝部1aに予めゴム輪3のヒール部3aを嵌め込んでおく。
【0026】
図1は、この発明に係る管の継手施工確認方法及び装置の第1実施形態を示す。
【0027】
この第1実施形態において使用する継手施工確認装置10は、移動体である台車11の車体に、ゴム輪3を撮影するカメラ12として、画角が180°未満の広角レンズ付きカメラ12aを搭載するとともに、カメラ12の後方から撮影対象を照射する光源13を搭載したものである。カメラ12と光源13の位置関係をこのようにすると、カメラ12の撮影範囲に光源13が干渉することがない。
【0028】
台車11には、カメラ12に対して光源13とは反対方向へ延びる長尺の押し棒14が連結され、押し棒14は、長さ方向の途中の位置において、車輪付きの支柱14aにより管Pの内部底面上を管軸方向に沿って移動可能に支持されるようになっている。
【0029】
カメラ12は、撮影した映像を管Pの外部に設置されたモニターMに送信する機能を備えており、カメラ12とモニターMとの通信は、押し棒14に沿ったケーブルを介して行われる。このケーブルは、押し棒14が中空である場合には、押し棒14の内部に挿通するようにしてもよい。
【0030】
上記のような継手施工確認装置10を使用して、受口1の内周面に装着されたゴム輪3が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを確認するには、台車11を挿し口2側の管Pの内部に挿入し、押し棒14を押すことにより、台車11を継手方向へ進行させ、挿し口2の端面を越えて受口1側の管Pの内部まで進入させる。ここで、台車11は継手接合前に受口1側の管Pの内部に設置しておいてもよい。また、挿し口2側の管Pは押し棒14を内部に挿通させながら接合してもよい。
【0031】
そして、カメラ12を受口1の範囲から管軸方向の奥側に少し離れた管径方向中心部に位置づけて、光源13から照射しつつ、管Pの内部で受口1と挿し口2の隙間に挟まれていくゴム輪3のバルブ部3bをカメラ12により撮影し、受口1への挿し口2の挿入に伴うゴム輪3の挙動をモニターMに表示された映像で確認する。
【0032】
図2は、この発明に係る管の継手施工確認方法及び装置の第2実施形態を示す。
【0033】
この第2実施形態において使用する継手施工確認装置10は、第1実施形態のものと同様、ゴム輪3を撮影するカメラ12として、画角が180°未満の広角レンズ付きカメラ12aを使用するものであるが、カメラ12及び光源13は、台車11から押し棒14とは反対側へ延びるアーム15の先端部に取り付けられている。他の部分の構成は、第1実施形態と同様である。
【0034】
上記のような継手施工確認装置10を使用して、受口1の内周面に装着されたゴム輪3が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを確認するには、アーム15が継手側へ向くようにして台車11を挿し口2側の管Pの内部に挿入し、押し棒14を押すことにより、台車11を継手方向へ進行させ、挿し口2の端面を越えることなく挿し口2側の管Pの内部に留め、アーム15を受口1側の管Pの内部へ進入させる。
【0035】
そして、カメラ12を受口1の範囲から管軸方向の奥側に少し離れた管径方向中心部に位置づけて、光源13から照射しつつ、管Pの内部で受口1と挿し口2の隙間に挟まれていくゴム輪3のバルブ部3bをカメラ12により撮影し、受口1への挿し口2の挿入に伴うゴム輪3の挙動を管Pの外部のモニターMに表示された映像で確認する。
【0036】
この第2実施形態では、アーム15の長さのため、台車11の管Pへの挿入時の取り扱いに注意を要するものの、台車11が挿し口2の端面に臨む段差や受口1の基部の段差を通過しないので、台車11に段差の通過に伴う衝撃が作用せず、台車11の転倒や衝撃によるカメラ12や光源13の故障、管内面に施工された塗膜の損傷等が防止される。
【0037】
ここで、第1、第2実施形態とも複数台のカメラ12を設置し、それぞれのカメラ12でゴム輪3を周方向に分割して撮影し、それらの撮影範囲の集合によってゴム輪3全体を撮影するようにし、各カメラ12から送信されて外部のモニターMに表示された画像でゴム輪3の挙動を確認することもできる。
【0038】
図3は、この発明に係る管の継手施工確認方法及び装置の第3実施形態を示す。
【0039】
この第3実施形態において使用する継手施工確認装置10は、第1及び第2実施形態のものと異なり、ゴム輪3を撮影するカメラ12として、画角が360°の天球カメラ12bを使用するものである。天球カメラ12bは、図5に示すように、保持板16の中間部の貫穴に嵌め入れられて、上下から押さえ薄板17により挟持され、ボルト17aとナット17bとで上下の押さえ薄板17を締め付けて、保持板16に固定されている。
【0040】
そして、保持板16の両端部は、図3に示すように、それぞれ連結棒18及びこれに螺合するソケット19を介して台車11及び押し棒14に接続されている。他の部分の構成は、第1実施形態と同様である。
【0041】
上記のような継手施工確認装置10を使用して、受口1の内周面に装着されたゴム輪3が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを確認するには、台車11を挿し口2側の管Pの内部に挿入し、押し棒14を押すことにより、台車11を継手方向へ進行させ、挿し口2の端面を越えて受口1側の管Pの内部まで進入させる。
【0042】
そして、カメラ12のレンズ部分を受口1の範囲内の管径方向中心部に位置づけて、光源13から照射しつつ、管Pの内部で受口1と挿し口2の隙間に挟まれていくゴム輪3のバルブ部3bをカメラ12により撮影し、受口1への挿し口2の挿入に伴うゴム輪3の挙動をモニターMに表示された映像で確認する。
【0043】
この第3実施形態のように、カメラ12として画角が360°の天球カメラ12bを使用すると、画像の歪みはあるものの、カメラ12をゴム輪3に近い位置に設置して、1台のカメラ12により、ゴム輪3の装着状態を全周にわたって詳細に漏れなく確認することができる。ここで、管軸方向におけるカメラ12の視野の有効範囲は、2本の視野限界線αで囲まれた領域である。
【0044】
なお、ソケット19を備えた台車11を、継手接合前に受口1側の管Pの内部に設置しておき、その後、両端に連結棒18を有するカメラ12を挿し口側2の管Pの内部に挿入し、カメラ12の先端の連結棒18を台車11側のソケット19と連結させてもよい。さらに、挿し口2側の管Pは押し棒14等を内部に挿通させながら接合してもよい。
【0045】
図4は、この発明に係る管の継手施工確認方法及び装置の第4実施形態を示す。
【0046】
この第4実施形態において使用する継手施工確認装置10は、第3実施形態のものと同様、ゴム輪3を撮影するカメラ12として、画角が360°の天球カメラ12bを使用するものであるが、カメラ12及び光源13は、台車11から押し棒14とは反対側へ延びるアーム15の先端部に延設された保持板16に取り付けられている。他の部分の構成は、第2実施形態と同様である。
【0047】
上記のような継手施工確認装置10を使用して、受口1の内周面に装着されたゴム輪3が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを確認するには、アーム15が継手側へ向くようにして台車11を挿し口2側の管Pの内部に挿入し、押し棒14を押すことにより、台車11を継手方向へ進行させ、挿し口2の端面を越えることなく挿し口2側の管Pの内部に留め、アーム15を受口1側の管Pの内部へ進入させる。
【0048】
そして、カメラ12のレンズ部分を受口1の範囲内の管径方向中心部に位置づけて、光源13から照射しつつ、管Pの内部で受口1と挿し口2の隙間に挟まれていくゴム輪3のバルブ部3bをカメラ12により撮影し、受口1への挿し口2の挿入に伴うゴム輪3の挙動をモニターMに表示された映像で確認する。
【0049】
この第4実施形態では、第3実施形態と同様、画像の歪みはあるものの、1台のカメラ12により、ゴム輪3の装着状態を全周にわたって漏れなく確認することができ、また、第2実施形態と同様、台車11が挿し口2の端面に臨む段差や受口1の基部の段差を通過しないので、台車11に段差の通過に伴う衝撃が作用せず、台車11の転倒や衝撃によるカメラ12や光源13の故障、管内面に施工された塗膜の損傷等が防止される。
【0050】
上記各実施形態に係る管の継手施工確認方法及び装置によると、受口1の内周面に予め装着されたゴム輪3を、管Pの内部に進入させたカメラ12により撮影し、その映像を管Pの外部のモニターMに表示するので、ゴム輪3が所定の位置に収まるように施工されているかどうかを、管Pの敷設環境の影響を受けることなく、確認することができる。
【0051】
また、継手接合後ではなく接合の途中過程において、継手の内部の受口1と挿し口2の隙間に挟まれていくゴム輪3の挙動を確認できるので、ゴム輪3の装着状態に不具合が発生しても、迅速に対処することができる。
【0052】
特に、図12に示すような耐震継手に適用した場合、受口1の内面に装着されているロックリング4を挿し口突部5が通過する前の段階で、ゴム輪3の装着状態の異常を感知することができるので、不具合発生時のロックリング4と挿し口突部5の係合を解除する非常に煩雑な解体作業が不要となる。
【0053】
また、移動体である台車11にカメラ12と光源13を搭載したので、人が入れない小径の管Pにおいても、カメラ12をゴム輪3の近傍に位置づけて、効率よく撮影することができ、施工時に撮影された映像を記録することで、完成検査時において、継手接合が正常であったかどうかを検証することができる。
【0054】
なお、上記各実施形態では、カメラ12及び光源13を搭載して管Pの内部に進入させる移動体として台車11を例示したが、管Pの内部の条件次第によっては、移動体としてドローンを使用することも考えられる。
【0055】
また、カメラ12とモニターMとの通信をケーブルにより行う有線通信の場合について例示したが、管Pの内部における電波到達状況によっては、無線通信としてもよい。さらに、カメラ12として、内蔵光源を有するものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 受口
1a 溝部
2 挿し口
3 ゴム輪
3a ヒール部
3b バルブ部
3c マーキング
4 ロックリング
5 挿し口突部
10 継手施工確認装置
11 台車
12 カメラ
12a 広角レンズ付きカメラ
12b 天球カメラ
13 光源
14 押し棒
14a 支柱
15 アーム
16 保持板
17 押さえ薄板
17a ボルト
17b ナット
18 連結棒
19 ソケット
20 薄板ゲージ
30 カメラ
40 架台
41 Uバンド
D 掘削溝
M モニター
P 管
W 壁面
α 視野限界線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12