(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017805
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】流体発電システム及びその設置構造
(51)【国際特許分類】
F03B 17/06 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
F03B17/06
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120577
(22)【出願日】2020-07-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】511216204
【氏名又は名称】東福 憲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100101926
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 孝和
(72)【発明者】
【氏名】東福 憲郎
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA08
3H074AA12
3H074BB11
3H074CC12
3H074CC20
(57)【要約】
【課題】流体のエネルギを電気エネルギに変換して大きな発電量を得るための流体発電システム及びその設置構造を提供する。
【解決手段】流体発電システムは流体駆動装置1Aと発電装置1Bとを備えている。流体駆動装置1Aは第1~第3の回転体2A,2B,4と無端ベルト3Aとで構成され、発電装置1Bは回転方向変換器5Aと発電機6とで構成されている。回転方向変換器5Aは流体駆動装置1Aの出力軸21bと発電機6の回転軸60との間に設けられている。無端ベルト3Aは第1及び第2の回転体2A,2Bに巻き付けられ、その表面には、第1の抵抗部材30が立設されている。第3の回転体4は第2の回転体2Bに一体に組み付けられ、その表面には、第2の抵抗部材40が立設されている。そして、シャフト部21の外端部が出力軸21bとして機能する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備えた流体発電システムであって、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、上記第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を上記出力軸とする第3の回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の流体発電システムにおいて、
上記流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を同一方向又は逆方向に変換可能な回転方向変換器を設けた、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の流体発電システムにおいて、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて回転可能な回転体を有し、当該回転体に巻き付けられた無端ベルトによって上記出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の流体発電システムにおいて、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に設けたギア機構を介して、上記出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第3の抵抗部材が円周面に所定間隔で立設された第4の回転体を、上記流体駆動装置における第1の回転体の回転中心軸又は第2の回転体の回転中心軸の少なくとも一方の端部側に連結した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
その回転中心軸が上記第1及び第2の回転体の回転中心軸と平行な複数の補助回転体を、上記第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトとの間に並設すると共に、
上記第1ないし第3の回転体と複数の補助回転体のそれぞれを、上下動自在に支持した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記第1の抵抗部材を、可撓性素材で形成された上記受圧面部と、当該受圧面部を上記無端ベルトの表面に起立させて支持する支持部材とで形成した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
複数の上記第1の抵抗部材を、上記受圧面部が交互に逆向きになるように、上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
第1の抵抗部材を、互いに背中合わせに接合された1対の上記受圧面部と、これら1対の受圧面部を上記無端ベルトの表面に起立させて支持する支持部材とで形成した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記流体駆動装置における第1及び第2の回転体と無端ベルトと複数の第1の抵抗部材とで構成される機構部分の少なくとも周囲を、複数の第1の抵抗部材に非接触状態で囲み、波風から当該機構部分を保護する枠状のカバー体を設けた、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項11】
請求項10に記載の流体発電システムにおいて、
上記カバー体は、上記流体駆動装置の上記機構部分を上方から覆う上面部を有する、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項12】
請求項6ないし請求項11のいずれかに記載の流体発電システムを流体上に設置するための流体発電システムの設置構造であって、
流体中に固定した支持体によって、上記流体駆動装置における第1,第2及び第3の回転体と複数の補助回転体のそれぞれを上下動自在に支持することにより、
上記無端ベルトが流体面近傍で流体面とほぼ平行に位置するように、上記第1の回転体と第2の回転体とを位置させると共に、
流体面側の無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材を、当該流体内に完没させた、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。
【請求項13】
請求項12に記載の流体発電システムの設置構造であって、
複数の補助回転体のうちの1つ以上の補助回転体を、流体内に位置させることにより、流体面側の無端ベルト部分と当該無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材を、流体内に完没させた、 sr
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水力等の流体エネルギを効率的に電気エネルギに変換して発電効率を高めることができる流体発電システム及びその設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の枯渇に加えて地球温暖化等の地球環境問題が深刻化していることから、自然エネルギを利用した発電装置、及び発電方法が注目されている。特に、CO2の排出権問題やRPS(Renewable Portfolio Standard)制度の導入により、今後さらにその重要性が増すことが予想される。
【0003】
例えば、自然エネルギ源である太陽光を利用する太陽光発電装置は、その設置が容易であるとともに発電コストも比較的安いことから、住宅や農業ハウスの屋根発電からメガソーラー発電所のような大規模設備までその普及が急速に進んでいる。
【0004】
また、従来の固定式の太陽光発電装置に加えて、設置工事等が不要であり、運搬や設置場所の変更を容易に行える携帯型の太陽光発電装置も注目されている。例えば特訴文献1には、電源のない野外等の任意の場所に設置して利用することができる携帯型の太陽光発電装置が開示されている。
【0005】
具体的には、電気的に接続した多数のシート状、又はフィルム状の太陽光発電シートを収納ケース内に引き伸ばし自在に収納した状態で持ち運び可能とし、使用者は任意の場所にて収納ケースから太陽光発電シートを引き出すことで、電源のない野外においても太陽光を効率的に利用して発電することで電気機器を利用することが可能となっている。
【0006】
また、風力や水力といった流体を作業体として駆動装置を駆動させることで発電機を発電させる流体駆動装置も数多く提案されている。例えば特許文献2には、河川や農業用水路等の水路に設置して、自然エネルギ源としての水を利用する水力発電装置が開示されている。
【0007】
具体的には、対向配置された2枚の円盤部と、円盤部の中心軸部から放射状に等間隔で取り付けられたパドル部からなる本体部を備え、水中のパドル部が水流圧を受けることにより、パドル部が接続される水軸が得られる回転力を利用して発電装置を駆動する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-86203号公報
【特許文献2】特開2012-92750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1に開示の太陽光発電装置においては、発電量が天候や日射量に左右されてしまい、特に晴れた日の昼間の日射量が比較的大きな時間帯でしか安定的な発電ができないという問題がある。
【0010】
一方、上記した特許文献2に開示の水力発電装置が設置される河川や農業用水路等では、季節ごとに所定の流量が維持されるように水量調整がされるため、継続的に一定の流量を確保ずることが可能である。そのため、太陽光発電装置のように日射量等の外部要因により発電量が不安定となることがなく、一年を通して安定的な発電が可能である。
【0011】
しかしながら、特許文献2に開示の水力発電装置は、その直径が最大で約1,4m程度と大型であり、例えば水深の浅い河川や、流速の遅い河川に設置した場合に、パドル部が水車を回転させるだけの十分な水圧を受けることができず、目論見通りの発電量が得られないことが凝念される。
【0012】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、水力等の流体エネルギを効率的に電気エネルギに変換して高発電効率と大きな発電量を得ることができる流体発電システム及びその設置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、第1の発明は、流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備えた流体発電システムであって、流体駆動装置は、第1の回転体と、第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を出力軸とする第3の回転体とを備え、発電装置は、流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである構成とした。
かかる構成により、流体駆動装置の無端ベルトに設けられた複数の第1の抵抗部材が、流体中で流体圧を受けると、無端ベルトが巻き付けられた第1の回転体と第2の回転体とが、流体圧方向に回転する。また、第2の抵抗部材が流体圧を受け、第3の回転体が水車のように回転する。つまり、流体中の流体圧によって、第2の回転体の回転と共に第3の回転体も回転し、大きな回転エネルギがこれら第2の回転体と第3の回転体とによって生成され、この回転エネルギに対応した回転力が流体駆動装置の出力軸に出力される。
すると、この大きな回転力は、発電装置における発電機の回転軸に伝達され、発電機による発電動作が行われる。
このように、この発明では、第2の回転体と第3の回転体とによって生成された大きな回転エネルギを発電装置に直接伝達する構成であるので、回転効率が向上し、その分、発電装置の発電機による発電量も増大する。
【0014】
第2の発明は、第1の発明に係る流体発電システムにおいて、流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を同一方向又は逆方向に変換可能な回転方向変換器を設けた構成とする。
かかる構成により、流体の流れ方向に変化がない場合には、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を、回転方向変換器によって、例えば同一方向に設定することができる。そして、流体の流れ方向が逆転した場合には、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を、回転方向変換器によって、逆方向に設定することができる。つまり、この発明によれば、流体発電システムの向きを流体の流れ方向に合わせて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る流体発電システムにおいて、発電装置は、流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて回転可能な回転体を有し、当該回転体に巻き付けられた無端ベルトによって出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである構成とした。
かかる構成により、流体駆動装置の第2の回転体と第3の回転体とによる回転力は、発電装置の回転体に伝達され、この回転体の回転力は、無端ベルトを介して発電機の回転軸に伝達される。つまり、この発明によれば、流体駆動装置の出力軸の回転速度を、発電装置の回転体の径の大きさに対応した回転速度に変速して、発電機に伝達することができる。
【0016】
第4の発明は、第1又は第2の発明に係る流体発電システムにおいて、発電装置は、流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に設けたギア機構を介して、出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである構成とした。
かかる構成により、流体駆動装置の第2の回転体と第3の回転体とによる回転力は、発電装置のギア機構を介して発電機の回転軸に伝達される。つまり、この発明によれば、流体駆動装置の出力軸の回転速度を、発電装置のギア機構のギア比に対応した大きさに変速して、発電機に伝達することができる。
【0017】
第5の発明は、第1ないし第4の発明のいずれかの発明に係る流体発電システムにおいて、流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第3の抵抗部材が円周面に所定間隔で立設された第4の回転体を、流体駆動装置における第1の回転体の回転中心軸又は第2の回転体の回転中心軸の少なくとも一方の端部側に連結した構成とする。
かかる構成により、第3の抵抗部材が流体圧を受けて、第4の回転体が回転するので、その回転力が、第4の回転体が連結されている第1又は第2の回転体に加わる。この増加した回転力は、第2の回転体、第3の回転体を通じて、発電機に伝達されるので、発電量のさらなる増大を図ることができる。
【0018】
第6の発明は、第1ないし第5の発明のいずれかの発明に係る流体発電システムにおいて、その回転中心軸が第1及び第2の回転体の回転中心軸と平行な複数の補助回転体を、第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトとの間に並設すると共に、第1ないし第3の回転体と複数の補助回転体のそれぞれを、上下動自在に支持した構成とする。
かかる構成により、無端ベルトが流体面近傍で流体面とほぼ平行に位置するように、第1の回転体と第2の回転体とを移動させて、流体面側の無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材を、当該流体内に完没させるように、流体発電システムを設置することができる。これにより、流体内の第1の抵抗部材が、流体圧を受けて、第1及び第2の回転体が無端ベルトと共に回転する。この際、複数の補助回転体は、第1及び第2の回転体と同じ水平位置に配置されていても、第1及び第2の回転体は、何ら支障なく回転する。
ここで、無端ベルトに弛みやずれが生じている場合には、所定の補助回転体を適宜上方に移動させて、無端ベルトの張りを維持することができる。この結果、無端ベルトの弛み防止やずれ防止を図ることができるだけでなく、第1の抵抗部材の安定化をも図ることができる。
また、複数の補助回転体のうちの1つの補助回転体を流体内に移動させて、流体面側の無端ベルト部分を三角形状に湾曲させることで、流体中にある無端ベルト部分の長さを通常の水平な形状にあるときよりも長くすることができる。この結果、流体中の多くの第1の抵抗部材によって流体圧を受けることができ、回転力のさらなる向上を図ることができる。
【0019】
第7の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかの発明に係る流体発電システムにおいて、第1の抵抗部材を、可撓性素材で形成された受圧面部と、当該受圧面部を無端ベルトの表面に起立させて支持する支持部材とで形成した構成とする。
かかる構成により、第1の抵抗部材は、流れに対向する受圧面部で流体圧を受けて、第1の回転体及び第2の回転体を回転させる。そして、流体の流れ方向が変わった場合には、可撓性素材で形成された受圧面部が流れ方向に撓む。この結果、受圧面部が流れに対向するように変化し、流体圧を受けて、第1の回転体及び第2の回転体を回転させる。
つまり、この発明によれば、流体の流れの向きの変化に応じて、第1の抵抗部材の受圧面部の向きが変わるので、流体の流れの向きが変わった場合に、流体発電システムを流れの向きに対応させて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
【0020】
第8の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかの発明に係る流体発電システムにおいて、複数の第1の抵抗部材を、受圧面部が交互に逆向きになるように、無端ベルトの表面に所定の間隔で立設した構成とする。
かかる構成により、流体の流れが変わっても、流れの方向に対向する受圧面部を有する第1の抵抗部材が、流体を捉えるので、流体発電システムを流れの向きに対応させて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
【0021】
第9の発明は、第1ないし第6の発明のいずれかの発明に係る流体発電システムにおいて、第1の抵抗部材を、互いに背中合わせに接合された1対の受圧面部と、これら1対の受圧面部を無端ベルトの表面に起立させて支持する支持部材とで形成した構成とする。
かかる構成により、流体の流れが変わっても、互いに背中合わせに接合された1対の受圧面部のうち、流れの方向に対向する受圧面部が流体を捉えるので、流体発電システムを流れの向きに対応させて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる。
【0022】
第10の発明は、第1ないし第9の発明のいずれかに係る流体発電システムにおいて、流体駆動装置における第1及び第2の回転体と無端ベルトと複数の第1の抵抗部材とで構成される機構部分の少なくとも周囲を、複数の第1の抵抗部材に非接触状態で囲み、波風から当該機構部分を保護する枠状のカバー体を設けた構成とする。
かかる構成により、暴風や増水等が生じ、波風が起こっても、カバー体が、第1及び第2の回転体と無端ベルトと複数の第1の抵抗部材とで構成される機構部分を保護する。
【0023】
第11の発明は、第10の発明に係る流体発電システムにおいて、カバー体は、流体駆動装置の機構部分を上方から覆う上面部を有する構成とした。
かかる構成により、第1及び第2の回転体と無端ベルトと複数の第1の抵抗部材とで構成される機構部分が、カバー体によって周囲だけでなく上方からも保護される。
【0024】
第12の発明は、第6ないし第11の発明のいずれかの発明に係る流体発電システムを流体上に設置するための流体発電システムの設置構造であって、流体中に固定した支持体によって、流体駆動装置における第1,第2及び第3の回転体と複数の補助回転体のそれぞれを上下動自在に支持することにより、無端ベルトが流体面近傍で流体面とほぼ平行に位置するように、第1の回転体と第2の回転体とを位置させると共に、流体面側の無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材を、当該流体内に完没させた構成とする。
かかる構成により、流体内の第1の抵抗部材が流体圧を受けて、第1及び第2の回転体と無端ベルトとが回転する。この際、複数の補助回転体は、第1及び第2の回転体と同じ水平位置に配置されていても、第1及び第2の回転体は何ら支障なく回転する。
【0025】
第13の発明は、第12の発明に係る流体発電システムの設置構造であって、複数の補助回転体のうちの1つ以上の補助回転体を、流体内に位置させることにより、流体面側の無端ベルト部分と当該無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材を、流体内に完没させた構成とする。
かかる構成により、複数の補助回転体のうちの1つ以上の補助回転体を流体内に位置させているので、流体面側の無端ベルト部分が多角形状に湾曲して、流体中にある無端ベルト部分の長さが、通常の水平な形状にあるときよりも長くなる。この結果、流体中に完没している多くの第1の抵抗部材が、流体圧を受け、回転力がさらに高まる。
また、第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトとを流体面よりも上にあるように設定し、上記1つ以上の補助回転体を流体内に位置させるように設定することで、流体面上にある第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトの部分とが、流体による抵抗を受けないので、第1の回転体と第2の回転体との回転効率が高まる。
【発明の効果】
【0026】
以上詳しく説明したように、この発明によれば、第2の回転体と第3の回転体とによる回転力を発電装置に直接伝達するすることができるので、回転効率が向上し、その分、発電装置の発電機による発電量を増大させることができ、その結果、高発電効率と大きな発電力を得ることができるという、優れた効果がある。
また、第3及び第4の発明によれば、流体駆動装置の出力軸の回転速度を、所望の回転速度に変速して、発電機に伝達することができる、効果がある。
さらに、第5,第6及び第13の発明によれば、発電量のさらなる増大を図ることができる、という効果がある。
【0027】
特に、第2及び第7~第9の発明によれば、流体の流れの向きが変わった場合においても、流体発電システムを流れの向きに対応させて動かすことなく、流体発電システムの動作を継続させることができる、という効果がある。
また、第10及び第11の発明によれば、流体駆動装置を暴風や増水等から保護することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】この発明の第1実施例に係る流体発電システムを示す斜視図である。
【
図6】流体発電システムが示す動作を説明するための模式図である。
【
図7】第1実施例における第2の抵抗部材の変形例を示す概略断面図である。
【
図8】この発明の第2実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
【
図10】この発明の第3実施例に係る流体発電システムの要部を示す断面図である。
【
図11】流体発電システムの動作を示す模式図であり、
図11の(a)は、流水方向が図の右方向の場合の動作を示し、
図11の(b)は、流水方向が図の左方向の場合の動作を示す。
【
図12】第3実施例における第2の抵抗部材の変形例を示す概略断面図である。
【
図13】この発明の第4実施例に係る流体発電システムの要部を示す概略断面図である。
【
図14】第4実施例における第2の抵抗部材の変形例を示す概略断面図である。
【
図15】この発明の第5実施例に係る流体発電システムの要部を示す斜視図である。
【
図17】第5実施例における第2の抵抗部材の変形例を示す概略断面図である。
【
図18】第1,第2実施例及び第4実施例に適用された第1の抵抗部材の変形例を示す斜視図である。
【
図20】変形例の第1の抵抗部材を一部破断して示す側面図である。
【
図21】変形例の第1の抵抗部材が示す動作を説明するための側面図である。
【
図22】第3実施例に適用された第1の抵抗部材の変形例を示す斜視図である。
【
図23】第5実施例に適用された第1の抵抗部材の変形例を示す斜視図である。
【
図25】変形例の第1の抵抗部材を一部破断して示す側面図である。
【
図26】この発明の第6実施例に係る流体発電システムを示す斜視図である。
【
図27】第6実施例の流体発電システムの設置状態を示す模式図である。
【
図28】無端ベルトの弛み等を防止した設置構造を示す模式図である。
【
図29】この実施例の流体発電システムの回転力を増大させる設置構造を示す模式図である。
【
図30】流体発電システムの上昇状態を示す模式図である。
【
図31】1つの補助回転体のみを水中に沈めた状態を示す模式図である。
【
図32】この発明の第7実施例に係る流体発電システムを示す斜視図である。
【
図33】図中右方向への流水に対する流体発電システムの設置構造を示す模式図である。
【
図34】図中左方向への流水に対する流体発電システムの設置構造を示す模式図である。
【
図35】この発明の第8実施例に係る流体発電システムを示す斜視図である。
【
図38】この発明の第9実施例に係る流体発電システムを示す断面図である。
【
図39】この発明の第10実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
【
図40】この発明の第11実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
【
図41】この発明の第12実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
【
図42】この発明の第13実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
【
図43】この発明の第14実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
【
図44】下流側の補助脚部とストッパとのみを有する第1の抵抗部材を一部破断して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
(実施例1)
図1は、この発明の第1実施例に係る流体発電システムを示す斜視図であり、
図2は、流体発電システムの平面図であり、
図3は、
図2の矢視A-A断面図である。
図1に示すように、この実施例の流体発電システム1-1は、流体駆動装置1Aと発電装置1Bとを備えている。
【0031】
流体駆動装置1Aは、流体圧に対応した回転力を出力するための装置であり、後述する第2の回転体2Bと第3の回転体4とが組み付けられたシャフト部21の延出部21bを出力軸としている。
この流体駆動装置1Aは、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと無端ベルト3Aと複数の第1の抵抗部材30と第3の回転体4とを有しており、これらの部材は支持体10に組み付けられている。
【0032】
具体的には、支持体10において、同高さの支柱11A,12Aが無端ベルト3Aの長さ方向に並設されている。そして、支柱12Aと同高さの支柱12B,12Cが、支柱12Aと対向するように無端ベルト3Aの幅方向に並設されている。また、支柱11Aと同高さの支柱11Bが、支柱11Aと対向するように無端ベルト3Aの幅方向に並設されている。
【0033】
第1の回転体2Aは、回転中心軸としてのシャフト部20を有し、このシャフト部20の両端部が支柱11A,11Bに回転自在に取り付けられている。
第2の回転体2Bは、第1の回転体2Aと同形であり、第1の回転体2Aと同様に回転中心軸としてのシャフト部21を有している。そして、このシャフト部21の両端部が支柱12A,12B,12Cに回転自在に取り付けられている。
つまり、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとは、シャフト部20,21を平行にした状態で一定の間隔を保っており、無端ベルト3Aは、このような第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとに巻き付けられている。
無端ベルト3Aは、幅広の帯状体であり、多層構造のゴム部材、合成樹脂、金属製チェーンベルト等で形成することができる。
【0034】
複数の第1の抵抗部材30は、無端ベルト3Aの表面上に立設されている。
図4は、第1の抵抗部材を示す斜視図であり、
図5は、
図4の矢視B-B断面図である。
これらの図に示すように、各第1の抵抗部材30は、受圧面部31と、この受圧面部31を保持する支持部材32とによって構成されている。
受圧面部31は、流体圧を受けるための部分であり、断面弧状に凹んでいる。受圧面部31の長さは、無端ベルト3Aの幅にほぼ等しく設定されている。受圧面部31の材質は任意であるが、この実施例では、凹状に湾曲された金属板を適用した。
支持部材32は、枠部32aと、この枠部32aの両端に形成された固定部32b,32bとを有している。枠部32aは、無端ベルト3Aの幅方向に沿って配置され、固定部32b,32bは、無端ベルト3Aにビス等により固定されている。
そして、受圧面部31が枠部32a内に嵌められ、その上端31aと下端31bとが、枠部32aに固着されている。
つまり、凹状の受圧面部31を無端ベルト3Aの長さ方向に向けた状態で、複数の第1の抵抗部材30が、一定間隔で無端ベルト3Aの表面に立設されている。
【0035】
第3の回転体4は、
図1~
図3に示すように、支持体10の支柱12B,12C間に配置され、第2の回転体2Bのシャフト部21に組り付けられている。つまり、第3の回転体4は、第2の回転体2Bと一体に回転するように、組み付けられている。そして、第3の回転体4から外方に延出したシャフト部21の延出部21bが出力軸として機能する。
また、複数の第2の抵抗部材40が、この第3の回転体4の円周面4aに一定間隔で立設されている。各第2の抵抗部材40は、平板状の部材であり、その両面が流体圧を受けるための受圧面部として機能する。
【0036】
一方、発電装置1Bは、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転力を受けて発電動作を行う装置である。この発電装置1Bは、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転力を発電機6の回転軸60で受けて発電動作を行うものである。
具体的には、発電装置1Bは、回転方向変換器5Aと発電機6とを備えている。回転方向変換器5Aは、流体駆動装置1Aの出力軸21bと発電機6の回転軸60との間に設けられている。この回転方向変換器5Aは、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転方向と発電機6の回転軸60の回転方向とを同一方向又は逆方向に手動で変換することができる。このような回転方向変換器5Aとして、全ての周知の変換器を適用することができるので、ここでは、記載を省略する。
【0037】
次に、この実施例の流体発電システム1-1が示す動作について説明する。
図6は、流体発電システムが示す動作を説明するための模式図である。
図6に示すように、流体駆動装置1Aの無端ベルト3Aの下側部が水面Sより若干下側になるように、そして、水中Wにある第1の抵抗部材30の凹状の受圧面部31が上流側を向くように、支持体10を水中Wに沈めて固定する。これにより、無端ベルト3Aの複数の第1の抵抗部材30のうち、無端ベルト3Aの下部側に位置する第1の抵抗部材30が、水面Sより下側に位置する。同時に、第3の回転体4の複数の第2の抵抗部材40のうち、第3の回転体4の下部側に位置する第2の抵抗部材40も、水面Sより下側に位置する。
かかる状態においては、水中Wにある複数の第1の抵抗部材30の受圧面部31が流水圧を受けて、水中Wの第1の抵抗部材30が下流側への力を受ける。この結果、第1の抵抗部材30が、下流側に移動し、無端ベルト3A全体が矢印で示すように動き始める。これにより、無端ベルト3Aの移動力が第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとに伝達され、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとが矢印方向に同時に回転する。
また、第3の回転体4の第2の抵抗部材40も流水圧を受けるので、第3の回転体4が第2の回転体2Bと同方向に水車のように回転する。この結果、第2の回転体と第3の回転体とによって大きな回転エネルギが生成され、この回転エネルギに対応した回転力が流体駆動装置1Aの出力軸21bに出力される。
【0038】
すると、この大きな回転力は、
図2に示す流体駆動装置1Aの出力軸21bから発電装置1Bの回転方向変換器5Aを通じて、発電機6の回転軸60に伝達され、発電機6による発電動作が行われる。
【0039】
このとき、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転方向に対する発電装置1Bの発電機6の回転軸60の回転方向を、回転方向変換器5Aによって変えることができる。
例えば、現時点で、発電機6の回転軸60の回転方向が、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転方向と同一である場合に、回転軸60の回転方向を出力軸21bの回転方向と逆方向に変更するには、回転方向変換器5Aを手動で操作するこことで、回転軸60の回転方向を出力軸21bの回転方向に対して逆方向に変更することができる。
【0040】
なお、この実施例では、第1の抵抗部材30の受圧面部31の長さを、無端ベルト3Aの幅にほぼ等しく設定した例を説明したが、受圧面部31の長さを、無端ベルト3Aの幅よりも若干短く設定しても良い。かかる設定により、無端ベルト3Aが第1及び第2の回転体2A,2Bから外れる等の事態を防止して、無端ベルト3Aの安定した回転を得ることができる。
【0041】
また、この実施例では、第3の回転体4に立設する第2の抵抗部材として、平板状の部材で形成した第2の抵抗部材40を適用したが、
図7に示すように、無端ベルト3Aに立設される第1の抵抗部材30と同構造の抵抗部材40Aを第2の抵抗部材として適用してもよい。
【0042】
(実施例2)
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図8は、この発明の第2実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
この実施例の流体発電システム1-2は、流体駆動装置1Aに、第4の回転体4Aを追加設置した点が、上記第1実施例の流体発電システム1-1と異なる。
流体駆動装置1Aの第4の回転体4Aは、第1実施例における流体駆動装置1Aの第3の回転体4と同形であり、第2の抵抗部材40と同構造の第3の抵抗部材41が、第4の回転体4Aの周面に所定間隔で立設されている。
この第4の回転体4Aは、第2の回転体2Bのシャフト部21の一方端部21aに取り付けられている。具体的には、シャフト部21の一方端部21aを長めに設定して、第4の回転体4Aをこの一方端部21aに取り付けると共に、一方端部21aの先端部を支柱12Dで回転自在に支持した。
【0043】
この実施例の流体発電システム1-2が、かかる構成をとっているので、第4の回転体4Aの第3の抵抗部材41が流水圧を受けて、第4の回転体4Aが回転する。これにより、第2の回転体2Bと第3の回転体4と第4の回転体4Aによって、極めて大きな回転エネルギが生成される。そして、この回転エネルギに対応した回転力が、流体駆動装置1Aの出力軸21bに出力され、回転方向変換器5Aを通じて発電機6の回転軸60に伝達される。
【0044】
なお、この実施例では、第4の回転体4Aを第2の回転体2Bのシャフト部21に連結した例を示したが、1つの第4の回転体4Aを第2の回転体2Bのシャフト部21ではなく、第1の回転体2Aのシャフト部20の一方端部20a又は他方端部20bのいずれかに連結しても良い。又は、2つの第4の回転体4Aを、第2の回転体2Bのシャフト部21の一方端部21a,第1の回転体2Aのシャフト部20の一方端部20a又は他方端部20bのいずれか2つにそれぞれ連結しても良い。さらに、
図9に示すように、3つの第4の回転体4Aを、第2の回転体2Bのシャフト部21の一方端部21a,第1の回転体2Aのシャフト部20の一方端部20a,他方端部20bのすべてにそれぞれ連結しても良い。
その他の構成,作用及び効果は上記第1実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0045】
(実施例3)
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図10は、この発明の第3実施例に係る流体発電システムの要部を示す断面図であり、
図11は、流体発電システムの動作を示す模式図であり、
図11の(a)は、流水方向が図の右方向の場合の動作を示し、
図11の(b)は、流水方向が図の左方向の場合の動作を示す。
この実施例の流体発電システム1-3では、流体駆動装置1Aにおける第1の抵抗部材30の構造が上記第1及び第2実施例と異なる。
【0046】
図10に示すように、この実施例に適用される第1の抵抗部材30は、可撓性素材で形成された受圧面部31Aと、受圧面部31Aを支持する支持部材32とで構成されている。
受圧面部31Aは、可撓性素材で形成されていれば良く、布製、合成繊維製、合成樹脂性等、その種類は任意である。この実施例では、受圧面部31Aとして、布製のものを適用した。
流水圧が一点鎖線で示す矢印方向から実線で示す受圧面部31Aに加わると、受圧面部31Aは、流水圧により一点鎖線で示すように撓んで、ヨットの帆のように、流水圧を受ける。また、流水圧の方向が、二点鎖線で示す方向に変化すると、一点鎖線状態の受圧面部31Aが、二点鎖線で示すように、流水圧方向に撓み、ヨットの帆のように、流水圧を受ける。
【0047】
この実施例の流体発電システム1-3の第1の抵抗部材30が、上記構成をとっているので、
図11の(a)に示すように、流水方向が右方向の場合には、第1の抵抗部材30の受圧面部31Aが、流水圧を受けて、右方に撓み、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと無端ベルト3Aとが、第1の抵抗部材30に加わる流水圧によって反時計回りに回転する。同時に第3の回転体4も反時計回りに回転する。
そして、
図11の(b)に示すように、流水方向が左方向に変わった場合には、第1の抵抗部材30の受圧面部31Aが、その流水圧を受けて、左方に撓む。この結果、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと無端ベルト3Aとが時計回りに回転するようになる。同時に第3の回転体4も時計回りに回転する。
つまり、この実施例の流体発電システム1-3によれば、流れが変化するような場所で使用する場合において、流体発電システム1-3全体の向きを流水方向の変化に合わせて移動させる必要がない。流体発電システム1-3の動作を、流水方向を考慮することなく、継続させることができる。
【0048】
なお、この実施例では、第3の回転体4の周面に立設する第2の抵抗部材として、平板状の部材で形成した第2の抵抗部材40を適用したが、
図12に示すように、当該第3実施例に適用された第1の抵抗部材30と同構造の抵抗部材40Bを第2の抵抗部材として適用してもよい。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1及び第2実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0049】
(実施例4)
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図13は、この発明の第4実施例に係る流体発電システムの要部を示す概略断面図である。
この実施例の流体発電システム1-4では、流体駆動装置1Aにおける第1の抵抗部材30の取付構造が上記第1~第3実施例と異なる。
【0050】
図13に示すように、この実施例の流体発電システム1-4では、複数の第1の抵抗部材30が、交互に逆向きになるように、無端ベルト3Aの表面に一定の間隔で立設されている。具体的には、受圧面部31が逆向きになるように、複数の第1の抵抗部材30が交互に配置されている。
これにより、実線矢印で示す方向の流水圧を、左向きの受圧面部31を有した第1の抵抗部材30が受け、二点鎖線矢印で示す方向の流水圧を、右向きの受圧面部31を有した第1の抵抗部材30が受けることができる。
【0051】
この実施例の流体発電システム1-4の第1の抵抗部材30が、上記のように配設されているので、流れが変化するような場所で使用する場合においても、流体発電システム1-4全体の向きを流水方向の変化に合わせて移動させることなく、動作を継続させることができる。
【0052】
なお、この実施例では、第3の回転体4の周面に立設する第2の抵抗部材として、平板状の部材で形成した第2の抵抗部材40を適用したが、
図14に示すように、当該第4実施例に適用された第1の抵抗部材30と同構造及び同配列の抵抗部材40Cを第2の抵抗部材として適用してもよい。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第3実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0053】
(実施例5)
次に、この発明の第5実施例について説明する。
図15は、この発明の第5実施例に係る流体発電システムの要部を示す斜視図であり、
図16は、要部を示す概略断面図である。
この実施例の流体発電システム1-5では、流体駆動装置1Aにおける第1の抵抗部材30’の構造が上記第1~第4実施例と異なる。
【0054】
図15に示すように、この実施例の第1の抵抗部材30’は、上記第1実施例で適用された第1の抵抗部材30と同構造の抵抗部材30A,30Bを有し、これら抵抗部材30A,30Bが背中合わせで接合された構造になっている。具体的には、図左向きの抵抗部材30Aの受圧面部31と図右向きの抵抗部材30Bの受圧面部31とが中間部材33を介して背中合わせに接合されている。
【0055】
この実施例の流体発電システム1-5の第1の抵抗部材30’が、上記のような構造になっているので、
図16の実線矢印で示す右方向の流水圧を第1の抵抗部材30’の抵抗部材30Bの受圧面部31で受け、そして、二点鎖線矢印で示す左方向の流水圧を第1の抵抗部材30’の抵抗部材30Aの受圧面部31で受けることができる。
これにより、流れが変化するような場所で使用する場合においても、流体発電システム1-5全体の向きを流水方向の変化に合わせて移動させることなく、動作を継続させることができる。
【0056】
なお、この実施例では、第3の回転体4の周面に立設する第2の抵抗部材として、平板状の部材で形成した第2の抵抗部材40を適用したが、
図17に示すように、当該第5実施例に適用された第1の抵抗部材30’と同構造の抵抗部材40Dを第2の抵抗部材として適用してもよい。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第4実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0057】
(変形例1)
ここで、上記第1,第2実施例及び第4実施例に適用された第1の抵抗部材30の変形例について説明する。
図18は、第1,第2実施例及び第4実施例に適用された第1の抵抗部材30の変形例を示す斜視図であり、
図19は、本変形例の分解斜視図であり、
図20は、本変形例の第1の抵抗部材を一部破断して示す側面図である。
第1の抵抗部材には、設置場所によって、大きな水圧が加わることがあり、その耐久性に留意する必要がある。特に、第1の抵抗部材を大型にした場合には、この傾向が顕著である。
そこで、この変形例では、
図18に示すように、第1,第2実施例及び第4実施例に適用された第1の抵抗部材30に比べて強固な構造の第1の抵抗部材30Cを提供する。
【0058】
すなわち、
図19に示すように、支持部材32が、枠部32aと長尺状の固定部32bと4つのストッパ34とで構成され、固定部32bが無端ベルト3Aに固定され、枠部32aがこの固定部32bに回転自在に取り付けている。そして、4つのストッパ34が無端ベルト3Aの縁部であって枠部32aの両側にそれぞれ配設されている。
具体的には、枠部32aは、水平な補強部32cを枠内に有し、脚部32d,32dを枠部32aの両下端に有している。
固定部32bは、無端ベルト3Aの幅方向を向くように配設され、回転軸32b1がこの固定部32bに回転自在に挿通されている。
そして、枠部32aの脚部32d,32dが、この回転軸32b1の両側の露出部分に固着されている。
つまり、枠部32aは、
図20の矢印で示すように、固定部32bの回転軸32b1を中心に左右に回転できるようになっている。
4つのストッパ34は、このような枠部32aの両側にそれぞれ配設されている。各ストッパ34は、開口34aを枠部32aの脚部32d側に向けた状態で、無端ベルト3Aの縁部に固定されている。
枠部32aには、先端部がストッパ34に挿入可能な4本の補助脚部32eが設けられている。すなわち、1対の補助脚部32e,32eが、枠部32aの側部であって且つ補強部32cとの接合位置32a1の近傍両側に逆向き状態で突設されている。各脚部32dは、補強部32cとの接合位置32a1近傍からストッパ34側に向かって傾斜し、その先端部をストッパ34の開口34a内に位置させている。
なお、各補助脚部32eの長さは、枠部32aが無端ベルト3Aに対して垂直状態のときに、補助脚部32eの先端が無端ベルト3Aから上方に所定高さ浮いた状態になるような長さに設定されている。
【0059】
一方、受圧面部31は、補強部32cと接合部32fとを介して枠部32aに接合されている。
具体的には、
図19に示すように、3本の接合部32fが、枠部32aの上部と下部とに所定間隔で突設されている。各接合部32fは、枠部32aの上部(下部)から水平に突設されている。そして、受圧面部31の裏面の上部が、枠部32aの上部の3本の接合部32fに接合され、受圧面部31の裏面の下部が、枠部32aの下部の3本の接合部32fに接合され、受圧面部31の裏面のほぼ中央部が、枠部32aの補強部32cに接合されている。
【0060】
次に、第1の抵抗部材30Cの動作について説明する。
図21は、変形例の第1の抵抗部材30Cが示す動作を説明するための側面図である。
図21に示すように、第1の抵抗部材30Cの受圧面部31が、矢印A方向の流水圧を受けると、支持部材32の枠部32aが下流側に傾いて、下流側の補助脚部32eの先端部がストッパ34内に進入する。そして、補助脚部32eの先端部がストッパ34によって係止されて、枠部32aのさらなる傾斜が阻止される。これにより、受圧面部31が受けた流水圧が、補助脚部32eを通じてストッパ34に伝達され、無端ベルト3Aが、ストッパ34に加わった力Fによって、力Fの方向に移動する。この結果、無端ベルト3Aが反時計回りに回転することとなる。
【0061】
ところで、
図4及び
図5に示したように、上記第1実施例等で適用された第1の抵抗部材30では、支持部材32の枠部32aが固定部32bに接合されているので、受圧面部31が水流を受けると、受圧面部31で受けた水圧による力が、固定部32bに集中的に加わることとなる。このため、長期間使用すると、固定部32bが損傷したり、無端ベルト3Aから剥がれたりするおそれがある。特に、第1の抵抗部材30を高流速の水中で使用する場合や、第1の抵抗部材30自体を大型にした場合に、このような問題が生じるおそれがある。
【0062】
これに対して、この変形例の第1の抵抗部材30Cでは、受圧面部31が水圧を受けると、支持部材32の枠部32aが固定部32bを中心に下流側に回転し、補助脚部32eがストッパ34に突き当たる構造になっているので、受圧面部31で受けた水圧による力が、ストッパ34と固定部32bとに分散される。この結果、固定部32bへ加わる力が小さくなるので、固定部32bが損傷したり、無端ベルト3Aから剥がれたりするおそれはほとんどない。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1,第2実施例及び第4実施例に適用された第1の抵抗部材30と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0063】
(変形例2)
次に、上記第3実施例に適用された第1の抵抗部材30の変形例について説明する。
図22は、第3実施例に適用された第1の抵抗部材30の変形例を示す斜視図である。
図22に示すように、この変形例の第1の抵抗部材30Dは、可撓性素材で形成された受圧面部31Aを上記変形例の第1の抵抗部材30Cの枠部32aに取り付けた構造になっている。
但し、受圧面部31Aの枠部32aへの取り付け構造が、上記変形例の第1の抵抗部材30Cと異なる。すなわち、この変形例の第1の抵抗部材30Dでは、枠状の受圧面取付部35が枠部32aの内側に配置され、複数の接合部32gによって枠部32aに接合されている。そして、受圧面部31Aがこの枠状の受圧面取付部35に取り付けられている。
その他の構成、作用及び効果は、上記第3実施例の第1の抵抗部材30及び上記変形例の第1の抵抗部材30Cと同様であるので、それらの記載は省略する。
【0064】
(変形例3)
さらに、上記第5実施例に適用された第1の抵抗部材30’の変形例について説明する。
図23は、第5実施例に適用された第1の抵抗部材30’の変形例を示す斜視図であり、
図24は、本変形例の分解斜視図であり、
図25は、本変形例の第1の抵抗部材を一部破断して示す側面図である。
図23~
図25に示すように、この変形例の第1の抵抗部材30Eは、受圧面部31B,31Cを上記変形例の第1の抵抗部材30Cの枠部32aの両側に取り付けた構造になっている。
具体的には、受圧面部31Bの裏面を枠部32aの一方面の複数の接合部32fと補強部32cとに接合する。そして、受圧面部31Cをこの受圧面部31Bと背中合わせにした状態で、その裏面を、枠部32aの他方面に突設された複数の接合部32f’と補強部32cとに接合した。
その他の構成、作用及び効果は、上記第5実施例の第1の抵抗部材30’及び上記変形例の第1の抵抗部材30Cと同様であるので、それらの記載は省略する。
【0065】
(実施例6)
次に、この発明の第6実施例について説明する。
図26は、この発明の第6実施例に係る流体発電システムを示す斜視図である。
図26に示すように、この実施例の流体発電システム1-6は、流体駆動装置1Aの第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと第3の回転体4と複数の補助回転体2C,2Dが、支持体10によって上下動自在にそれぞれ支持された構造を有している。
【0066】
具体的には、長孔22,22が、支持体10の支柱11A,11Bにそれぞれ形成され、第1の回転体2Aのシャフト部20の両端部が、長孔22,22にそれぞれ回転自在に嵌め込まれている。そして、摘み23,23が、シャフト部20の両端部のそれぞれの先端部に取り付けられている。摘み23,23は、第1の回転体2Aのシャフト部20を所定の高さに回転可能に位置決めするための部材である。
上記のような長孔22,22は、支柱12A,12B,12Cにも設けられており、摘み23,23が、長孔22,22に嵌められた第2の回転体2Bのシャフト部21の先端部にも取り付けられている。
【0067】
補助回転体2C,2Dは、第1及び第2の回転体2A,2Bと同形の回転体であり、中心軸としてのシャフト部25,26を平行にした状態で、第1及び第2の回転体2A,2Bと無端ベルト3Aの間に並設されている。
具体的には、長孔22,22よりも下方に長い長孔24,24が、支持体10の支柱13A,13Bにそれぞれ形成され、補助回転体2Cのシャフト部25の両端部が、長孔24,24にそれぞれ回転自在に嵌め込まれている。そして、摘み23,23が、シャフト部25の両先端部にそれぞれ取り付けられている。同様に、長孔24,24は、支柱14A,14Bにも設けられており、摘み23,23が、長孔24,24に嵌められた補助回転体2Dのシャフト部21の先端部にも取り付けられている。
【0068】
発電装置1Bは、上記したように、回転方向変換器5Aと回転方向変換器5Aに連結された発電機6とを備えている。そして、流体駆動装置1Aの第3の回転体4の出力軸21bが回転方向変換器5Aに連結されている。
【0069】
次に、この実施例の流体発電システムの使用例について説明する。
図27は、この実施例の流体発電システムの設置状態を示す模式図である。
なお、この設置構造は、第12の発明に係る流体発電システムの設置構造を具体的に実現する構造でもある。
図27に示すように、流体発電システム1-6の無端ベルト3Aの下側部が水面Sより若干下側になるように、そして、水中Wにある第1の抵抗部材30の凹状の受圧面部31が上流側を向くように、支持体10を水中Wに沈めて固定する。
このとき、第1,第2の回転体2A,2Bと補助回転体2C,2Dとが横一列になるように、摘み23を用いて位置決めしておく。
この状態では、無端ベルト3Aの下側の部分に位置する複数の第1の抵抗部材30が、水中W内に完没しているので、これらの第1の抵抗部材30が、流体圧を受けて、第1及び第2の回転体2Bが無端ベルト3Aと共に支障なく回転すると共に、第2の抵抗部材40が流体圧を受けて、第3の回転体4も回転する。
【0070】
この結果、第2の回転体と第3の回転体とによる大きな回転エネルギが生成され、この大きな回転力が、流体駆動装置1Aの出力軸21bから発電装置1Bの回転方向変換器5Aを通じて、発電機6の回転軸60に伝達され、発電機6による発電動作が行われる。この動作は、上記実施例と同様である。
【0071】
ところで、上記のような設置状態で使用し続けることもできるが、弛みやずれが無端ベルト3Aに生じている場合には、無端ベルト3Aの弛み等を解消しておかなければならない。
【0072】
図28は、無端ベルトの弛み等を防止した設置構造を示す模式図である。
弛み等が無端ベルト3Aに生じている場合には、
図28に示すように、支柱13A,13Bの摘み23,23を緩めて、補助回転体2Cを長孔24,24に沿って上昇させる。そして、無端ベルト3Aに弛みがなくなった位置で、補助回転体2Cを摘み23,23によってその位置に位置決めする。
これにより、無端ベルト3Aの張りを維持することができると共に、第1の抵抗部材30の安定した動きを確保することができる。
【0073】
このような設置構造の流体発電システム1-6は、補助回転体2C,2Dのいずれかを下降させることで、より大きな回転力を得ることができる。
図29は、この実施例の流体発電システムの回転力を増大させる設置構造を示す模式図である。
なお、この設置構造は、第13の発明に係る流体発電システムの設置構造を具体的に実現する構造でもある。
図29に示すように、補助回転体2Dを水中W内に位置させることで、流体発電システム1-6の回転力を増大させることができる。
具体的には、
図27に示す設置状態において、支柱14A,14Bの摘み23,23を緩めて、
図29に示すように、補助回転体2Dを長孔24,24(
図26参照)に沿って下降させる。そして、無端ベルト3Aの水中W内の部分が、逆三角形に湾曲したときに、補助回転体2Dを摘み23,23によってその位置に位置決めする。
これにより、水中Wにある無端ベルト3Aの長さが、通常の水平な形状にあるとき(
図27参照)よりも長くなる。つまり、通常よりも多くの第1の抵抗部材30が水中Wに完没した状態になり、多くの第1の抵抗部材30が、流体圧を受け、回転力がさらに増加する。
【0074】
ところで、増水等によって、水面Sが高くなった場合には、無端ベルト3A等を、水面Sの上昇度に応じて上昇させる必要がある。
図30は、流体発電システムの上昇状態を示す模式図である。
図30に示すように、水面Sが破線から実線の位置に上昇した場合には、流体発電システム1-6の流体駆動装置1Aを上昇移動させて、無端ベルト3Aの下側部が上昇した水面Sより若干下側になるように変更する必要がある。
具体的には、第1の回転体2A,第2の回転体2B,補助回転体2C,2D,第3の回転体4のそれぞれの摘み23を緩めて、これらの部材を長孔24,24(
図26参照)に沿って上昇させる。そして、これらの部材が所望の位置に来たときに、第1の回転体2A,第2の回転体2B,補助回転体2C,2D,第3の回転体4をそれぞれ摘み23によってその位置に位置決めする。
【0075】
発電装置1Bは、上記したように、流体駆動装置1Aの第3の回転体4の出力軸21bに連結された状態にあるので、流体駆動装置1Aを上昇させると、発電装置1Bも一体に上昇することになる。
なお、流体駆動装置1Aを上昇させるときに、発電装置1Bを流体駆動装置1Aから取り外し、流体駆動装置1Aを上昇させた後に、発電装置1Bの回転方向変換器5Aを流体駆動装置1Aの出力軸21bに連結するようにしても良い。
【0076】
人がひざ下まで水に浸かっただけで全く走れなくなることから判るように、水中にある物体に対する水の抵抗は、陸と比べて大きい。
このため、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとの一部や全部を水中に沈めておくと、これらの回転体が大きな水抵抗を受け、回転効率が下がるおそれがある。
そこで、
図31に示すように、例えば、補助回転体2Dのみを水中Wに沈め、その他の第1の回転体2A,第2の回転体2B及び第3の回転体4等は、水面Sより上に位置させておくとが考えられる。
これにより、補助回転体2Dによって水中Wに押し下げられている複数の第1の抵抗部材30が、水の抵抗を受けて、無端ベルト3Aを下流方向に移動させる。この無端ベルト3Aの移動によって第1の回転体2Aと第2の回転体2Bとが回転すると共に、第3の回転体4が回転して、発電を可能にする。このとき、第1の回転体2Aや第2の回転体2Bは、水面Sよりも上に位置しているので、水の抵抗を全く受けずに、スムーズに回転する。この結果、第1の回転体2Aや第2の回転体2Bの回転効率が向上し、発電能力も向上する。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第5実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0077】
(実施例7)
次に、この発明の第7実施例について説明する。
図32は、この発明の第7実施例に係る流体発電システムを示す斜視図である。
図32に示すように、この実施例の流体発電システム1-7は、流体駆動装置1Aにおいて、実施例4の第1の抵抗部材30の取付構造が適用されている点が、上記第6実施例と異なる。
【0078】
すなわち、複数の第1の抵抗部材30が、交互に逆向きになるように、無端ベルト3Aの表面に一定の間隔で立設されている。具体的には、受圧面部31が逆向きになるように、複数の第1の抵抗部材30を交互に配置している。
【0079】
図33は、図中右方向への流水に対する流体発電システムの設置構造を示す模式図であり、
図34は、図中左方向への流水に対する流体発電システムの設置構造を示す模式図である。
図33の矢印で示すように、流水方向が右方向の場合には、補助回転体2Dを水中Wに沈めた設置構造にすることで、第1の抵抗部材30の左向きの受圧面部31が、流水圧を受ける。これにより、無端ベルト3Aと第3の回転体4とが反時計回りに回転し、発電装置1Bが発電動作を開始する。
そして、
図34に示すように、流水方向が左方向に変化した場合には、補助回転体2Dを水面S上に上昇させると共に、補助回転体2Cを水中Wに沈めた設置構造にする。これにより、第1の抵抗部材30の右向きの受圧面部31が、流水圧を受けて、無端ベルト3Aと第3の回転体4とが時計回りに回転し、発電装置1Bが発電動作を継続する。
つまり、この実施例の流体発電システム1-7によれば、流れが変化するような場所で使用する場合においても、流体発電システム1-7全体の向きを流水方向の変化に合わせて移動させる必要がない。
その他の構成、作用及び効果は、上記第4及び第6実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0080】
(実施例8)
次に、この発明の第8実施例について説明する。
図35は、この発明の第8実施例に係る流体発電システムを示す斜視図であり、
図36は、流体発電システムの平面図であり、
図37は、
図36の矢視C-C断面図である。
図35に示すように、この実施例の流体発電システム1-8は、カバー体7が流体駆動装置1Aに取り付けられている点が、上記第6及び第7実施例と異なる。
【0081】
カバー体7は、上下に開口した枠状体である。このカバー体7は、流体駆動装置1Aの複数の第1の抵抗部材30のいずれにも接触しないように、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと補助回転体2C,2Dと無端ベルト3Aと複数の第1の抵抗部材30とで構成される機構部分を周囲から囲んでいる。そして、かかる状態で、カバー体7が支持体10に固定されている。
具体的には、
図36に示すように、カバー体7は、支持体10の支柱11A~14A,11B~14Bの外側に嵌め込まれている。そして、図示しない円孔が、カバー体7の側面であって且つ第1の回転体2Aのシャフト部20の両端部と第2の回転体2Bのシャフト部21の両端部と補助回転体2C,2Dのシャフト部25,26の両端部とに対応する位置に、それぞれ開けられている。シャフト部20,21,25,26の両端部は、これらの円孔に挿通され、摘み23がこれらのシャフト部に締め付けられて、カバー体7が支持体10に固定されている。
また、このカバー体7は、
図37に示すように、カバー体7の下縁7aが水面Sの近傍に位置するように設定されている。つまり、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと補助回転体2C,2Dと無端ベルト3Aと複数の第1の抵抗部材30とで構成される機構部分であって且つ水面S上に位置される機構部分を、周囲から完全に囲むように、カバー体7の取り付け位置が設定されている。
そして、流体駆動装置1Aの第3の回転体4と発電装置1Bは、カバー体7の外側に配置されている(
図36参照)。
【0082】
ところで、水の流れが全体的に一方向に流れ、局所的な複雑な流れを有しない水中で、流体発電システム1-8の流体駆動装置1Aを設置する場合には、カバー体7は、
図37の実線で示すように、カバー体7の下縁7aが水面Sの近傍に位置するように設定すれば十分である。しかし、この流体駆動装置1Aを局所的に複雑な流れを有する水中に設置すると、第1の抵抗部材30等が横揺れ等を起こし、無端ベルト3Aが第1及び第2の回転体2A,2Bから外れるおそれがある。
したがって、流体発電システム1-8の流体駆動装置1Aをこのような水中で使用する場合には、
図37の二点鎖線で示すように、カバー体7の下縁7aが水中W内の第1の抵抗部材30の下端よりも低くなるように設定する。
つまり、第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと補助回転体2C,2Dと無端ベルト3Aと複数の第1の抵抗部材30とで構成される機構部分全体を、周囲から完全に囲むように、カバー体7の取り付け位置を設定する。これにより、カバー体7自体は多少大きくなるが、上記のような局所的な複雑な流れによる影響を防止することができる。この結果、無端ベルト3Aの安定した回転とずれ防止とを図ることができる。
【0083】
流体発電システム1-8がかかる構成をとることにより、暴風や増水等が生じ、波風が起こっても、流体駆動装置1Aの第1の回転体2Aと第2の回転体2Bと補助回転体2C,2Dと無端ベルト3Aと複数の第1の抵抗部材30とで構成される機構部分であって且つ水面S上に位置される機構部分は、カバー体7で保護される。
【0084】
なお、この実施例では、浸水の完全防止を図るために、円孔をカバー体7の側面に開けて、そこに第1の回転体2Aのシャフト部20等の両端を挿通して、摘み23によって固定する構成を例示した。
しかし、円孔の代わりに、支柱11Aや支柱13A等に形成されている長孔22,24(
図35参照)と同形の長孔を、長孔22,24に対応したカバー体7の側面位置に開けることで、カバー体7を上下動自在に支持体10に取り付けることができる。この場合、若干の浸水は免れないが、カバー体7を支持体10から取り外すことなく、カバー体7自体や補助回転体2C,2D等を上下動させることができるので、非常に便利である。
その他の構成、作用及び効果は、上記第6及び第7実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0085】
(実施例9)
次に、この発明の第9実施例について説明する。
図38は、この発明の第9実施例に係る流体発電システムを示す断面図である。
図38に示すように、この実施例の流体発電システム1-9では、カバー体7が上面部70を有している点が、上記第8実施例と異なる。
具体的には、カバー体7の上縁7b上にドーム状の上面部70を形成した。これにより、カバー体7の上開口は、上面部70によって完全に塞がれるので、流体発電システム1-9の上記機構部分は、カバー体7によって周囲と上方から完全に覆われ、波風から完全に保護される。
その他の構成、作用及び効果は、上記第8実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0086】
(実施例10)
次に、この発明の第10実施例について説明する。
図39は、この発明の第10実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
図39に示すように、この実施例の流体発電システム1-10は、発電装置の構造が、上記第1~第9実施例に適用された発電装置の構造と異なる。
【0087】
具体的には、流体駆動装置1Aの出力軸21bと発電装置1Bの発電機6の回転軸60とが連結部材61によって直結されている。
かかる構成により、流体駆動装置1Aの出力軸21bから出力される大きな回転力が、発電装置1Bの発電機6に直接伝達される。
その他の構成,作用及び効果は上記第1~第9実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0088】
(実施例11)
次に、この発明の第11実施例について説明する。
図40は、この発明の第11実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
図40に示すように、この実施例の流体発電システム1-11は、発電装置の構造が、上記第1~第10実施例に適用された発電装置の構造と異なる。
【0089】
すなわち、流体駆動装置1Aの出力軸21bと発電装置1Bの発電機6の回転軸60とがベルト機構5Bを介して連結されている。
具体的には、ベルト機構5Bは、回転体としてのプーリー51と、このプーリー51と径が異なるプーリー52と、プーリー51,52に巻き付けられた無端ベルト53とで構成されている。
ベルト機構5Bのプーリー51は、流体駆動装置1Aの出力軸21bに取り付けられ、プーリー52は、発電機6の回転軸60に取り付けられている。
つまり、ベルト機構5Bは、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転力をプーリー51で受け、無端ベルト53及びプーリー52によって、出力軸21bの回転力を発電機6の回転軸60に伝えることができる。
【0090】
かかる構成により、流体駆動装置1Aの出力軸21bから出力された回転力は、ベルト機構5Bのプーリー51に伝達される。そして、このプーリー51の回転力が、無端ベルト53及びプーリー52を介して発電機6の回転軸60に伝達される。
したがって、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転速度は、ベルト機構5Bによって、ベルト機構5Bのプーリー51,52の径比に対応した回転速度に変速された後、発電装置1Bの発電機6に伝達されることとなる。
その他の構成,作用及び効果は上記第1~第10実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0091】
(実施例12)
次に、この発明の第12実施例について説明する。
図41は、この発明の第12実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
図41に示すように、この実施例の流体発電システム1-12は、発電装置の構造が、上記第1~第11実施例に適用された発電装置の構造と異なる。
【0092】
すなわち、流体駆動装置1Aの出力軸21bと発電装置1Bの発電機6の回転軸60とがギア機構5Cを介して連結されている。
具体的には、ギア機構5Cは、歯数が異なるギア54とギア55とで構成されており、ギア54は、流体駆動装置1Aの出力軸21bに取り付けられ、ギア55は、発電機6の回転軸60に取り付けられている。
つまり、ギア機構5Cは、ギア54,55によって、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転力を発電機6の回転軸60に伝えることができる。
【0093】
かかる構成により、流体駆動装置1Aの出力軸21bから出力された回転力は、ギア機構5Cのギア54,55を介して発電機6の回転軸60に伝達される。
したがって、流体駆動装置1Aの出力軸21bの回転速度は、ギア機構5Cによって、ギア54,55のギア比に対応した回転速度に変速された後、発電装置1Bの発電機6に伝達されることとなる。
その他の構成,作用及び効果は上記第1~第11実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0094】
(実施例13)
次に、この発明の第13実施例について説明する。
図42は、この発明の第13実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
図42に示すように、この実施例の流体発電システム1-13は、発電装置の構造が、上記第11実施例に適用された発電装置の構造と異なる。
【0095】
すなわち、回転方向変換器5Aが、ベルト機構5Bと発電機6との間に介設されている。
具体的には、回転方向変換器5Aがベルト機構5Bのプーリー52の回転軸と発電機6の回転軸60との間に連結されており、これにより、回転方向変換器5を手動操作することにより、発電機6の回転軸60の回転方向を変えることができる。
その他の構成,作用及び効果は上記第11実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0096】
(実施例14)
次に、この発明の第14実施例について説明する。
図43は、この発明の第14実施例に係る流体発電システムを示す平面図である。
図43に示すように、この実施例の流体発電システム1-14は、発電装置の構造が、上記第12実施例に適用された発電装置の構造と異なる。
【0097】
すなわち、回転方向変換器5Aが、ギア機構5Cと発電機6との間に介設されている。
具体的には、回転方向変換器5Aがギア機構5Cのギア55の回転軸と発電機6の回転軸60との間に連結されており、これにより、回転方向変換器5を手動操作することにより、発電機6の回転軸60の回転方向を変えることができる。
その他の構成,作用及び効果は上記第12実施例と同様であるので、それらの記載は省略する。
【0098】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、流体発電システムとして、水を利用した発電システムを例示したが、流体発電システムは、水を利用したものに限定されるものではない。例えば、大気中に設置し、風圧から得たエネルギを電気エネルギに変換する風力発電システムとして適用することも可能である。
また、上記変形例1の第1の抵抗部材30Cでは、
図18に示すように、1対の補助脚部32e,32eを枠部32aの両側に逆向き状態で突設し、これらの補助脚部32e,32eが進入可能な1対のストッパ34,34を無端ベルト3Aの縁部に配設した構造になっているが、第1の抵抗部材30Cの構造を、
図44に示すように、下流側に位置する補助脚部32eとストッパ34とのみを設け、上流側に位置する補助脚部32eとストッパ34とを除いた構造にしても良い。変形例2の第1の抵抗部材30Dについても同様である。
【符号の説明】
【0099】
1-1~1-14…流体発電システム、 1A…流体駆動装置、 1B…発電装置、 2A…第1の回転体、 2B…第2の回転体、 2C,2D…補助回転体、 3A,53…無端ベルト、 4…第3の回転体、 4A…第4の回転体、 4a…円周面、 5A…回転方向変換器、 5B…ベルト機構、 5C…ギア機構、 6…発電機、 7…カバー体、 7a…下縁、 7b…上縁、 10…支持体、 11A~14A,11B~14B,12C,12D…支柱、 20,21,25,26,53…シャフト部、 20a,21a…一方端部、 20b…他方端部、 21b…出力軸、 22,24…長孔、 23…摘み、 30,30’,30C,30D,30E…第1の抵抗部材、 30A,30B,40A~40D…抵抗部材、 31,31A,31B,31C…受圧面部、 31a…上端、 31b…下端、 32…支持部材、 32a…枠部、 32a1…接合位置、 32b…固定部、 32b1,60…回転軸、 32c…補強部、 32d…脚部、 32e…補助脚部、 32f,32f’,32g…接合部、 33…中間部材、 34…ストッパ、 34a…開口、 35…受圧面取付部、 40…第2の抵抗部材、 41…第3の抵抗部材、 51,52…プーリー、 54,55…ギア、 61…連結部材、 70…上面部、 S…水面、 W…水中。
【手続補正書】
【提出日】2020-11-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、上記第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を上記出力軸とする第3の回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである、
流体発電システムにおいて、
その回転中心軸が上記第1及び第2の回転体の回転中心軸と平行な複数の補助回転体を、上記第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトとの間に並設すると共に、
上記複数の補助回転体のそれぞれを、上下動自在に支持した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項2】
流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、上記第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を上記出力軸とする第3の回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである、
流体発電システムにおいて、
複数の上記第1の抵抗部材を、上記受圧面部が交互に逆向きになるように、上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項3】
流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、上記第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を上記出力軸とする第3の回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである、
流体発電システムにおいて、
上記第1の抵抗部材を、互いに背中合わせに接合された1対の上記受圧面部と、これら1対の受圧面部を上記無端ベルトの表面に起立させて支持する支持部材とで形成した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を同一方向又は逆方向に変換可能な回転方向変換器を設けた、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて回転可能な回転体を有し、当該回転体に巻き付けられた無端ベルトによって上記出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に設けたギア機構を介して、上記出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第3の抵抗部材が円周面に所定間隔で立設された第4の回転体を、上記流体駆動装置における第1の回転体の回転中心軸又は第2の回転体の回転中心軸の少なくとも一方の端部側に連結した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項8】
請求項1,請求項1を引用する請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記第1の抵抗部材を、可撓性素材で形成された上記受圧面部と、当該受圧面部を上記無端ベルトの表面に起立させて支持する支持部材とで形成した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記流体駆動装置における第1及び第2の回転体と無端ベルトと複数の第1の抵抗部材とで構成される機構部分の少なくとも周囲を、複数の第1の抵抗部材に非接触状態で囲み、波風から当該機構部分を保護する枠状のカバー体を設けた、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項10】
請求項9に記載の流体発電システムにおいて、
上記カバー体は、上記流体駆動装置の上記機構部分を上方から覆う上面部を有する、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項11】
請求項1,請求項1を引用する請求項4ないし請求項10のいずれかに記載の流体発電システムを流体上に設置するための流体発電システムの設置構造であって、
流体中に固定した支持体によって、上記流体駆動装置における第1,第2及び第3の回転体と複数の補助回転体のそれぞれを上下動自在に支持することにより、
上記無端ベルトが流体面近傍で流体面とほぼ平行に位置するように、上記第1の回転体と第2の回転体とを位置させると共に、
流体面側の無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材を、当該流体内に完没させた、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。
【請求項12】
請求項11に記載の流体発電システムの設置構造であって、
複数の補助回転体のうちの1つ以上の補助回転体を、流体内に位置させることにより、流体面側の無端ベルト部分と当該無端ベルト部分に位置する複数の第1の抵抗部材を、流体内に完没させた、
ことを特徴とする流体発電システムの設置構造。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、上記第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を上記出力軸とする第3の回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである、
流体発電システムにおいて、
その回転中心軸が上記第1及び第2の回転体の回転中心軸と平行な複数の補助回転体を、上記第1の回転体と第2の回転体と無端ベルトとの間に並設すると共に、
上記複数の補助回転体のそれぞれを、上下動自在に支持し、
上記第1及び第2の回転体を、流体の表面の上方に位置させて固定すると共に、
上記複数の補助回転体のうち最下流に位置する補助回転体を、上記流体内に、完没させた、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項2】
流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、上記第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を上記出力軸とする第3の回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである、
流体発電システムにおいて、
上記各第1の抵抗部材を、断面略半円弧状の上記受圧面部と、当該受圧面部が上記無端ベルトの長さ方向を向くように、当該受圧面部を上記無端ベルトの表面に起立させる支持部材とで形成し、
これら複数の第1の抵抗部材を、上記受圧面部が交互に逆向きになるように、上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項3】
流体圧に対応した回転力を出力可能な出力軸を有する流体駆動装置と、当該流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて発電動作を行う発電装置とを備え、
上記流体駆動装置は、
第1の回転体と、
上記第1の回転体と所定間隔を保ち且つその回転中心軸が上記第1の回転体の回転中心軸と平行な第2の回転体と、
上記第1の回転体と第2の回転体とに巻き付けられた無端ベルトと、
各抵抗部材が流体圧を受けるための凹状の受圧面部を有し且つ上記無端ベルトの表面に所定の間隔で立設された複数の第1の抵抗部材と、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第2の抵抗部材が円周面に所定の間隔で立設され、上記第2の回転体と一体に回転可能で且つその回転中心軸を上記出力軸とする第3の回転体と
を備え、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を発電機の回転軸で受けて発電動作を行うものである、
流体発電システムにおいて、
上記各第1の抵抗部材を、それぞれが断面略半円弧状の1対の上記受圧面部と、当該1対の受圧面部が上記無端ベルトの長さ方向を向くように、当該1対の受圧面部を上記無端ベルトの表面に起立させる支持部材とで形成し、
上記各第1の抵抗部材における1対の受圧面部のそれぞれが互いに逆向きになるように、当該1対の受圧面部を背中合わせに接合した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に、流体駆動装置の出力軸の回転方向に対する発電機の回転軸の回転方向を同一方向又は逆方向に変換可能な回転方向変換器を設けた、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸の回転力を受けて回転可能な回転体を有し、当該回転体に巻き付けられた無端ベルトによって上記出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記発電装置は、
上記流体駆動装置の出力軸と発電機の回転軸との間に設けたギア機構を介して、上記出力軸の回転力を発電機の回転軸に伝えるものである、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
流体圧を受けるための受圧面部を有する複数の第3の抵抗部材が円周面に所定間隔で立設された第4の回転体を、上記流体駆動装置における第1の回転体の回転中心軸又は第2の回転体の回転中心軸の少なくとも一方の端部側に連結した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項8】
請求項1,請求項1を引用する請求項4ないし請求項7のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記第1の抵抗部材を、可撓性素材で形成された上記受圧面部と、当該受圧面部を上記無端ベルトの表面に起立させて支持する支持部材とで形成した、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の流体発電システムにおいて、
上記流体駆動装置における第1及び第2の回転体と無端ベルトと複数の第1の抵抗部材とで構成される機構部分の少なくとも周囲を、複数の第1の抵抗部材に非接触状態で囲み、波風から当該機構部分を保護する枠状のカバー体を設けた、
ことを特徴とする流体発電システム。
【請求項10】
請求項9に記載の流体発電システムにおいて、
上記カバー体は、上記流体駆動装置の上記機構部分を上方から覆う上面部を有する、
ことを特徴とする流体発電システム。