(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178060
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】燃料ガスの圧力調整器の検査方法、及び燃料ガスの圧力調整器の検査システム
(51)【国際特許分類】
G01M 3/04 20060101AFI20221125BHJP
G01M 3/28 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01M3/04 H
G01M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084572
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】迫 江美
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA37
2G067BB02
2G067CC04
2G067DD02
(57)【要約】
【課題】簡易且つ好適に切替弁の閉塞性を検査することを可能にする。
【解決手段】主流路2の上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する切替弁5と、切替弁5の上流側と下流側とをバイパスするバイパス流路3と、バイパス流路3を開閉する開閉弁4とを備える燃料ガスの圧力調整器1の検査方法であって、開閉弁4を開いた状態で、切替弁5が閉じた状態に維持される所定流量の燃料ガスを上流側から下流側に流して下流側又はバイパス流路3の圧力を測定する第1測定ステップと、開閉弁4を閉じた状態で、所定流量の燃料ガスを上流側から下流側に流して下流側又はバイパス流路3の圧力を測定する第2測定ステップと、第1測定ステップで測定した圧力と第2測定ステップで測定した圧力との差に基づいて、切替弁5の良否判定をする判定ステップとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主流路の上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する切替弁と、前記主流路における前記切替弁の上流側と下流側とをバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉する開閉弁とを備える燃料ガスの圧力調整器の検査方法であって、
前記開閉弁を開いた状態で、前記切替弁が閉じた状態に維持される所定流量の燃料ガスを前記主流路における前記切替弁の上流側から下流側に流して当該下流側又は前記バイパス流路の圧力を測定する第1測定ステップと、
前記開閉弁を閉じた状態で、前記所定流量の燃料ガスを前記主流路における前記切替弁の上流側から下流側に流して当該下流側又は前記バイパス流路の圧力を測定する第2測定ステップと、
前記第1測定ステップで測定した圧力と前記第2測定ステップで測定した圧力との差に基づいて、前記切替弁の良否判定をする判定ステップと
を備える燃料ガスの圧力調整器の検査方法。
【請求項2】
前記判定ステップでは、前記第1測定ステップで測定した圧力と前記第2測定ステップで測定した圧力との差が0.1kPa未満である場合に、前記切替弁を異常と判定する請求項1に記載の燃料ガスの圧力調整器の検査方法。
【請求項3】
主流路の上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する切替弁と、前記主流路における前記切替弁の上流側と下流側とをバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉する開閉弁とを備える燃料ガスの圧力調整器の検査方法であって、
前記開閉弁を開いた状態で、前記切替弁が閉じた状態に維持される所定流量の燃料ガスを前記主流路における前記切替弁の上流側から下流側に流して当該下流側の流量と前記バイパス流路の流量とを測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定した前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量との差に基づいて、前記切替弁の良否判定をする判定ステップと
を備える燃料ガスの圧力調整器の検査方法。
【請求項4】
前記判定ステップでは、前記測定ステップで測定した前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量との差である第1の値と、前記開閉弁と前記切替弁とが開いた状態で前記所定流量の燃料ガスが前記主流路における前記切替弁の上流側から下流側に流れた場合における前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量との差である第2の値とを比較し、前記第1の値と前記第2の値との間に所定の差が無い場合に、前記切替弁を異常と判定する請求項3に記載の燃料ガスの圧力調整器の検査方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の圧力調整器の検査方法の実施に用いる圧力調整器の検査システムであって、
前記第1測定ステップで測定された圧力と前記第2測定ステップで測定された圧力とが入力される入力部と、
前記第1測定ステップで測定されて前記入力部に入力された圧力と前記第2測定ステップで測定されて前記入力部に入力された圧力との差を算出し、前記判定ステップを実行する判定部と
を備える圧力調整器の検査システム。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の圧力調整器の検査方法の実施に用いる圧力調整器の検査システムであって、
前記測定ステップで測定された前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量とが入力される入力部と、
前記測定ステップで測定されて前記入力部に入力された前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量との差を算出し、前記判定ステップを実行する判定部と
を備える圧力調整器の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスの圧力調整器の検査方法、及び燃料ガスの圧力調整器の検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスの圧力調整器として、主流路の上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する切替弁と、主流路における切替弁の上流側と下流側とをバイパスするバイパス流路と、このバイパス流路を流れる微小の燃料ガスを検知する漏洩検知センサとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の圧力調整器は、主流路の流量が設定流量未満であるときに切替弁が閉じた状態になって微小流量の燃料ガスがバイパス流路を流れる設定になっている。このバイパス流路における微小流量の燃料ガスを漏洩検知センサが検出することにより、燃料ガスの微小漏洩を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の圧力調整器では、主流路の流量が設定流量未満であるときに切替弁が確実に閉じることを検査することが前提となるので、切替弁の閉塞性を検査する必要がある。その切替弁の閉塞性の検査方法として、圧力調整器に設けられたダイヤフラムを利用して主流路における切替弁の上流側の圧力を上昇させ、主流路における切替弁の上流側と下流側との圧力差を測定することで、切替弁の閉塞性を検査する検査方法が考えられる。
【0005】
しかしながら、この検査方法では、切替弁を付勢するバネの微小な付勢力に合わせて、主流路における切替弁の上流側の圧力を調整する必要があるが、この調整作業は困難である。また、主流路における切替弁の上流側と下流側とで容積が異なることから、圧力の測定に温度の影響が及ぶ。さらに、主流路における切替弁の上流側と下流側とに検圧用の孔を空ける必要がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、簡易且つ好適に切替弁の閉塞性を検査することが可能な燃料ガスの圧力調整器の検査方法、及び燃料ガスの圧力調整器の検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る燃料ガスの圧力調整器の検査方法は、主流路の上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する切替弁と、前記主流路における前記切替弁の上流側と下流側とをバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉する開閉弁とを備える燃料ガスの圧力調整器の検査方法であって、前記開閉弁を開いた状態で、前記切替弁が閉じた状態に維持される所定流量の燃料ガスを前記主流路における前記切替弁の上流側から下流側に流して当該下流側又は前記バイパス流路の圧力を測定する第1測定ステップと、前記開閉弁を閉じた状態で、前記所定流量の燃料ガスを前記主流路における前記切替弁の上流側から下流側に流して当該下流側又は前記バイパス流路の圧力を測定する第2測定ステップと、前記第1測定ステップで測定した圧力と前記第2測定ステップで測定した圧力との差に基づいて、前記切替弁の良否判定をする判定ステップとを備える。
【0008】
また、本発明に係る燃料ガスの圧力調整器の検査方法は、主流路の上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する切替弁と、前記主流路における前記切替弁の上流側と下流側とをバイパスするバイパス流路と、前記バイパス流路を開閉する開閉弁とを備える燃料ガスの圧力調整器の検査方法であって、前記開閉弁を開いた状態で、前記切替弁が閉じた状態に維持される所定流量の燃料ガスを前記主流路における前記切替弁の上流側から下流側に流して当該下流側の流量と前記バイパス流路の流量とを測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定した前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量との差に基づいて、前記切替弁の良否判定をする判定ステップとを備える。
【0009】
また、本発明に係る燃料ガスの圧力調整器の検査システムは、請求項1又は2に記載の圧力調整器の検査方法の実施に用いる圧力調整器の検査システムであって、前記第1測定ステップで測定された圧力と前記第2測定ステップで測定された圧力とが入力される入力部と、前記第1測定ステップで測定されて前記入力部に入力された圧力と前記第2測定ステップで測定されて前記入力部に入力された圧力との差を算出し、前記判定ステップを実行する判定部とを備える。
【0010】
さらに、本発明に係る燃料ガスの圧力調整器の検査システムは、請求項3又は4に記載の圧力調整器の検査方法の実施に用いる圧力調整器の検査システムであって、前記測定ステップで測定された前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量とが入力される入力部と、前記測定ステップで測定されて前記入力部に入力された前記主流路の流量と前記バイパス流路の流量との差を算出し、前記判定ステップを実行する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易且つ好適に切替弁の閉塞性を検査することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力調整器の検査方法を用いて検査する圧力調整器を示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す圧力調整器を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、
図1及び
図2に示す圧力調整器を示す正面断面図であり、圧力調整器の検査方法の第1測定ステップにおける圧力調整器を示す正面断面図である。
【
図4】
図4は、
図1及び
図2に示す圧力調整器を示す正面断面図であり、圧力調整器の検査方法の第2測定ステップにおける圧力調整器を示す正面断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の他の実施形態に係る圧力調整器の検査方法の測定ステップにおける圧力調整器を示す正面断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態及び他の実施形態に係る圧力調整器の検査方法を実証するための実験を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る圧力調整器の検査システムの概略を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の実施形態に係る圧力調整器の検査システムの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、実施形態は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用される。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力調整器1の検査方法を用いて検査する圧力調整器1を示す正面図である。この図に示すように、圧力調整器1は、一次調整器10と、二次調整器20と、漏洩検知器30と、配管40とを備える。また、圧力調整器1は、主流路2と、バイパス流路3と、開閉弁4と、切替弁5(
図2~6参照)とを備える。
【0015】
主流路2の上流側部分は、二次調整器20の一部を構成し、主流路2の下流側部分は、配管40により構成されている。主流路2の上流側部分と下流側部分との境界には、切替弁5が設けられている。この切替弁5は、主流路2の上流側と下流側との圧力差に応じて開閉する。
【0016】
バイパス流路3は、主流路2における切替弁5の上流側と下流側とをバイパスする流路である。このバイパス流路3には、開閉弁4とレバー6とが設けられている。レバー6が操作されることにより、開閉弁4が開状態と閉状態とに切り替えられ、バイパス流路3が開閉される。
【0017】
一次調整器10は、いわゆる切替機能付きの元調整器であって、左右にLPガスボンベ(図示省略)が接続される。この一次調整器10は、切替レバー11を備える。この切替レバー11が操作されることにより、左右のLPガスボンベ(図示せず)の何れかから燃料ガスを導入するかが選択される。
【0018】
図2は、
図1に示す圧力調整器1を示す側面断面図である。この図に示すように、一次調整器10は、内部にダイヤフラム12等を備えている。一次調整器10は、ダイヤフラム12の動作に応じて内部の弁体を開閉動作させることによって高圧の燃料ガスを中圧とする一次減圧を行う。一次調整器10により一次減圧された燃料ガスは、二次調整器20に供給される。
【0019】
二次調整器20は、一次調整器10から供給された中圧の燃料ガスを低圧とする二次減圧を行う。二次調整器20は、主流路2の上流側部分を構成する配管部21と、この配管部21に連通したガス室Gに面して配されたダイヤフラム22と、減圧弁25等を備える。二次調整器20は、ダイヤフラム22の動作に応じて減圧弁25を開閉することによって二次減圧を行う。二次調整器20により二次減圧された燃料ガスは、下流側の配管40に供給される。
【0020】
二次調整器20では、燃料ガスの流量が設定流量未満である場合に、切替弁5が閉状態になることにより、燃料ガスがバイパス流路3に流れる。他方で、二次調整器20では、燃料ガスの流量が設定流量以上である場合に、切替弁5が開状態になることにより、燃料ガスが主流路2とバイパス流路3との双方に流れる。
【0021】
二次調整器20は、配管部21と、ダイヤフラム22と、コイルスプリング23と、リンク機構24と、減圧弁25と、筐体26とを備える。筐体26は、コイルスプリング23を収容する円筒形状のコイル収容部26Aと、空気室A及びガス室Gを構成する円盤状の空気/ガス室部26Bとを備える。コイル収容部26Aは、空気/ガス室部26Bの中央部から突出しており、コイル収容部26Aの中心軸は、空気/ガス室部26Bの中心軸に対して同軸に配されている。
【0022】
コイルスプリング23は、圧縮コイルバネであり、コイル収容部26Aの軸方向に伸縮可能な状態でコイル収容部26Aに収容されている。このコイルスプリング23の一端は、コイル収容部26Aの先端側に固定されている。ダイヤフラム22は、空気/ガス室部26B内をコイル収容部26A側の空気室Aと配管部21側のガス室Gとに隔てる弾性変形可能な円盤である。このダイヤフラム22の中央部にコイルスプリング23の他端が取り付けられている。また、ダイヤフラム22の周縁部は、空気/ガス室部26Bの内周壁部に取り付けられている。
【0023】
ガス室Gの圧力の上昇により、ダイヤフラム22は、コイルスプリング23の弾性力に抗して空気室A側に膨出するように変形する。他方で、ガス室Gの圧力の低下により、ダイヤフラム22は、コイルスプリング23の弾性力によりガス室G側に付勢されると共に弾性復帰する。
【0024】
リンク機構24は、第1の軸部24Aと、第2の軸部24Bと、L字状のリンク24Cとを備える。第1の軸部24Aは、ダイヤフラム22の中心に取り付けられている。この第1の軸部24Aは、コイルスプリング23やコイル収容部26Aの中心に対して同軸に配されており、ダイヤフラム22の中心からガス室Gに突出している。他方で、第2の軸部24Bの一端は、減圧弁25の弁体25Aの中心に取り付けられている。この第2の軸部24Bは、配管部21の中心軸に対して同軸に配されており、減圧弁25の弁体25Aの中心からガス室Gに突出している。
【0025】
リンク24Cは、第1リンク部24C1と、この第1リンク部24C1より長尺の第2リンク部24C2とを備える。第1リンク部24C1は、配管部21に形成された孔21Hを通して、配管部21内と筐体26内とに跨がるように配されている。第1リンク部24C1の一端は、第2の軸部24Bの他端に連結され、第1リンク部24C1の他端は、第2リンク部24C2の一端と一体的に形成されている。この第1リンク部24C1の中央部は、配管部21における孔21Hの周縁部に回動可能に支持されている。
【0026】
第2リンク部24C2の他端は、第1の軸部24Aの先端に連結されている。ガス室Gの圧力の上昇により、ダイヤフラム22が空気室A側に膨出するように変形すると、第2リンク部24C2の他端が空気室A側に変位し、第1リンク部24C1の一端が減圧弁25の弁座25Bから離れる方向に変位する。この際、ダイヤフラム22が所定状態になると、弁体25Aが弁座25Bに圧接した閉状態となり、燃料ガスのガス室Gへの導入が遮断される。他方で、ガス室Gの圧力の低下により、ダイヤフラム22が上記所定状態からガス室G側に弾性復帰すると、第2リンク部24C2の他端が配管部21側に変位し、第1リンク部24C1の一端が減圧弁25の弁座25B側に変位する。この際、弁体25Aが弁座25Bから離間した開状態となり、燃料ガスがガス室Gに導入される。二次調整器20は、燃料ガスをガス室Gに導入する動作と、燃料ガスのガス室Gへの導入を遮断する動作とを繰り返すことにより、燃料ガスを減圧する。
【0027】
配管40は、配管部21と同軸に配されている。この配管40の上流端と配管部21の下流端とが接続されている。配管40と配管部21との接続部に切替弁5が設けられている。切替弁5は、弁体51と、弁座52と、軸部53と、ガイド54と、コイルスプリング55とを備える。
【0028】
弁座52は、配管40と配管部21との接続部に設けられ、弁体51は、弁座52より下流側に配されている。軸部53は、弁体51の中心に取り付けられ、弁座52の挿通孔を通して弁体51から配管部21側に突出している。軸部53の先端にはフランジ部53Aが設けられている。ガイド54は、配管40と配管部21との接続部に設けられ、軸部53を配管部21の軸方向に沿って案内している。
【0029】
コイルスプリング55は、圧縮コイルバネであり、フランジ部53Aとガイド54との間に挟まれた状態で設けられている。配管部21と配管40との圧力差が所定の設定値未満の場合に、切替弁5は、弁体51が弁座52に圧接した閉状態となり、配管部21から配管40への燃料ガスの流れが遮断される。他方で、配管部21と配管40との圧力差が上記の所定の設定値以上の場合に、切替弁5は、弁体51がコイルスプリング55の弾性力に抗して弁座52から離間した開状態となり、配管部21から配管40へ燃料ガスが流れる。
【0030】
図3及び
図4は、
図1に示す圧力調整器1を示す正面断面図である。これらの図に示すように、漏洩検知器30は、バイパス流路3と、開閉弁4と、レバー6(
図1参照)と、漏洩検知センサ31と、圧力センサ32とを備え、バイパス流路3を流れる微小流量の燃料ガスを漏洩検知センサ31により検知することによって、二次調整器20(
図2参照)よりも下流側で生じた燃料ガスの微小な漏洩を検知する。
【0031】
漏洩検知器30は、バイパス流路3を構成する下流側バイパス配管33及び上流側バイパス配管34を備える。上流側バイパス配管34の上流端は、配管部21における減圧弁25と切替弁5との間に接続され、上流側バイパス配管34の下流端は、下流側バイパス配管33の上流端に接続されている。また、下流側バイパス配管33の下流端は、配管40における切替弁5よりも下流側に接続されている。この上流側バイパス配管34には、開閉弁4とレバー6とが設けられている。
【0032】
開閉弁4が開状態で配管部21と配管40との圧力差が所定の設定値以上の場合に、切替弁5が開状態となり、燃料ガスは、配管部21から配管40へ直接流れると共に、配管部21からバイパス流路3を経由して配管40に流れる。他方で、開閉弁4が開状態で配管部21と配管40との圧力差が所定の設定値未満の場合に、切替弁5が閉状態となり、燃料ガスは、配管部21からバイパス流路3を経由して配管40に流れるのみである。
【0033】
下流側バイパス配管33としては、多層ユニットを例示できる。この多層ユニットは、内部に複数の分流板を有する角筒形状の配管である。また、漏洩検知センサ31としては、超音波式流量センサを例示できる。この超音波式流量センサは、2組の超音波送受信器と、2組の超音波送受信器により送受信された超音波信号の伝搬時間から流量を算出する演算装置とを備える。また、圧力センサ32は、下流側バイパス配管33の圧力を測定する。
【0034】
需要者側での燃料ガスの使用により、配管部21と配管40との圧力差が所定の設定値以上になった場合には、切替弁5が開状態となり、燃料ガスが、配管部21から直接又はバイパス流路3を経由して需要者側に供給される。それに対して、配管40よりも下流側において燃料ガスの微小な漏洩が生じ、配管部21と配管40との圧力差が所定の設定値未満の場合には、微小な流量の燃料ガスが、配管部21からバイパス流路3を経由して配管40に流れる。この際、バイパス流路3を流れる微小な流量の燃料ガスが漏洩検知センサ31により検知されることにより、燃料ガスの微小な漏洩が検知される。
【0035】
ここで、漏洩検知器30による燃料ガスの微小な漏洩の検知を行うためには、配管部21と配管40との圧力差が所定の設定値未満である場合に、切替弁5が閉状態を維持することが前提となる。そのため、切替弁5が正常に閉状態を維持できるか否かを確認するための検査を行う必要がある。以下、圧力調整器1、特に切替弁5の良否を判定するための検査方法について説明する。
【0036】
図3は、本実施形態の圧力調整器1の検査方法の第1測定ステップにおける圧力調整器1の状態を示し、
図4は、本実施形態の圧力調整器1の検査方法の第2測定ステップにおける圧力調整器1の状態を示している。これらの図に示すように、本実施形態の圧力調整器1の検査方法では、圧力計8を配管40の下流側に接続して圧力調整器1の出口圧力P1,P2を測定し、需要者側のガスコンロ9で燃料ガスを燃焼させることにより圧力調整器1から需要者側へ燃料ガスを流す。なお、圧力調整器1の出口圧力P1,P2を主流路2の圧力P1,P2という場合がある。
【0037】
図3に示すように、第1測定ステップでは、開閉弁4を開状態として、ガスコンロ9で燃料ガスを燃焼させることにより、燃料ガスを圧力調整器1から需要者側へ流す。ここで、燃料ガスの流量を、開閉弁4が開状態のときに切替弁5が閉状態に維持される流量(例えば50~100L/h)に設定する。この際、圧力計8により圧力調整器1の出口圧力P1を測定する。
【0038】
図4に示すように、第2測定ステップでは、第1測定ステップでの燃料ガスの流量を維持した状態で、開閉弁4を閉状態に切り替える。この際、圧力計8により圧力調整器1の出口圧力P2を測定する。
【0039】
次に、判定ステップでは、第1測定ステップで測定した出口圧力P1と第2測定ステップで測定した出口圧力P2との差に基づいて、切替弁5の良否を判定する。具体的には、出口圧力P1と出口圧力P2との差(P1-P2)が、所定値(例えば、0.1kPa)以上である場合に、切替弁5を正常(即ち閉塞性に問題なし)と判定し、出口圧力P1と出口圧力P2との差(P1-P2)が、上記所定値未満である場合に、切替弁5を異常(即ち閉塞性に問題あり)と判定する。
【0040】
ここで、切替弁5の閉塞性に問題が無い場合には、第2測定ステップにおいて、切替弁5が開状態に変化しない限り、燃料ガスが配管部21から配管40へ流れない。そのため、第2測定ステップで測定した出口圧力P2は、第1測定ステップで測定した出口圧力P1に比して低くなる。それに対して、切替弁5の閉塞性に問題が有る場合には、第2測定ステップにおいて、切替弁5の状態に変化がなくても、燃料ガスが配管部21から配管40へ流れる。そのため、第2測定ステップで測定した出口圧力P2は、第1測定ステップで測定した出口圧力P1から変化しないか、或いは微量(例えば、0.1kPa未満)しか変化しない。
【0041】
そこで、本実施形態の圧力調整器1の検査方法では、第1測定ステップで測定した出口圧力P1と第2測定ステップで測定した出口圧力P2との差(P1-P2)が0であるか或いは微量(例えば、0.1kPa未満)である場合に、切替弁5の閉塞性が悪いと判定し、検査した圧力調整器1を不合格とする。
【0042】
なお、第1測定ステップと第2測定ステップとで漏洩検知器30の圧力センサ32によりバイパス流路3の圧力P1’,P2’を測定し、これらの差(P1’-P2’)が0であるか或いは微量(例えば、0.1kPa未満)である場合に、切替弁5の閉塞性が悪いと判定し、検査した圧力調整器1を不合格とするようにしてもよい。
【0043】
次に、本発明の他の実施形態に係る圧力調整器1の検査方法について説明する。
図5は、本発明の他の実施形態に係る圧力調整器1の検査方法の測定ステップにおける圧力調整器1を示す正面断面図である。この図に示すように、本実施形態では、配管40から需要者側に流れる燃料ガスの流量を測定する流量センサ101を、配管40の下流側に設置する。
【0044】
本実施形態の圧力調整器1の検査方法では、測定ステップにおいて、開閉弁4を開状態にしてガスコンロ9で燃料ガスを燃焼させることにより、燃料ガスを圧力調整器1から需要者側へ流す。上述の実施形態と同様に、燃料ガスの流量を、開閉弁4が開状態のときに切替弁5が閉状態に維持される流量(例えば50~100L/h)に設定する。この際、配管40から需要者側に流れる燃料ガスの流量F1を流量センサ101により測定し、バイパス流路3を流れる燃料ガスの流量F2を漏洩検知センサ31により測定する。
【0045】
次に、判定ステップでは、測定ステップで測定した主流路2の流量F1とバイパス流路3の流量F2との差に基づいて、切替弁5の良否を判定する。具体的には、事前に、切替弁5と開閉弁4とを開状態にして同流量の燃料ガスを圧力調整器1から需要者側に流した場合における主流路2の流量F1’とバイパス流路3の流量F2’との差(第2の値(F1’-F2’))を予め求めておき、測定ステップで測定した主流路2の流量F1とバイパス流路3の流量F2との差(第1の値(F1-F2))と、第2の値(F1’-F2’)とを比較する。比較の結果、第1の値(F1-F2)が、第2の値(F1’-F2’)よりも有意に小さい場合(例えば、1/2~1/10以下)場合には、切替弁5の閉塞性に問題は無いと判定し、第1の値(F1-F2)と第2の値(F1’-F2’)との間に有意な差(例えば、第1の値(F1-F2)が第2の値(F1’-F2’)の1/2~1/10倍より大きい)が無い場合には、切替弁5の閉塞性に問題が有ると判定する。
【0046】
ここで、切替弁5の閉塞性に問題が無い場合には、測定ステップにおいて、切替弁5が開状態に変化しない限り、燃料ガスがバイパス流路3を経由せずに配管部21から配管40へ流れることはない。そのため、測定ステップで測定したバイパス流路3の流量F2は、切替弁5が開状態である場合におけるバイパス流路3の流量F2’に比して大きくなる。それに対して、切替弁5の閉塞性に問題が有る場合には、測定ステップにおいて、切替弁5の状態に変化がなくても、燃料ガスが配管部21から配管40へ直接流れる。そのため、測定ステップで測定したバイパス流路3の流量F2は、切替弁5が開状態である場合におけるバイパス流路3の流量F2’に対して有意な差がなくなる。
【0047】
そこで、本実施形態の圧力調整器1の検査方法では、測定ステップで測定した主流路2の流量F1とバイパス流路3の流量F2との差である第1の値(F1-F2)と、切替弁5が開状態の場合における主流路2の流量F1’とバイパス流路3の流量F2’との差である第2の値(F1’-F2’)との間に有意な差が無い場合に、切替弁5の閉塞性が悪いと判定し、検査した圧力調整器1を不合格とする。
【0048】
以下、本発明の一実施形態及び他の実施形態に係る圧力調整器1の検査方法を実証するために行った実験について説明する。
図6は、当該実験を説明するための図である。
【0049】
図6に示すように、本実験では、配管40の下流側に主流路メータ102と、流量調整バルブ103とを設置した。主流路メータ102は、配管40から下流側へ流れる燃料ガスの流量と圧力とを測定する。また、流量調整バルブ103は、配管40から下流側へ流れる燃料ガスの流量を調整する。本実験では、圧力調整器1の入口圧力を0.1MPaに設定し、切替レバー11により、右側のLPガスボンベを選択した。
【0050】
図7は、実験結果を示す表である。この表に示すように、本実験では、第1~第8条件で、主流路メータ102、漏洩検知センサ31による燃料ガスの流量の測定と、主流路メータ102、圧力センサ32による圧力の測定とを実施した。
【0051】
第1~第4条件では、切替弁5を閉状態にし、第5~第8条件では、切替弁5を開状態にした。また、配管40から下流側へ流れる燃料ガスの流量を、流量調整バルブ103により、第1、第5条件の0[L/h]、第2、第6条件の3[L/h]、第3、第7条件の50[L/h]、第4、第8条件の100[L/h]と変化させた。なお、切替弁5の閉状態では、弁体51と弁座52との隙間が0mmであり、切替弁5の開状態では、弁体51と弁座52との隙間が約0.08mmである。
【0052】
そして、各条件で、開閉弁4を開状態にして、主流路メータ102、漏洩検知センサ31による燃料ガスの流量の測定と、主流路メータ102、圧力センサ32による圧力の測定とを実施した。また、各条件で、開閉弁4を閉状態にして、主流路メータ102による燃料ガスの流量の測定と、主流路メータ102、圧力センサ32による圧力の測定とを実施した。
【0053】
そして、第1~第8条件について、開閉弁4が開状態のときに主流路メータ102により測定された主流路2の流量と漏洩検知センサ31により測定されたバイパス流路3の流量との差を算出した。また、第2~第4、第6~第8条件については、開閉弁4が開状態のときに主流路メータ102により測定された主流路2の圧力と、開閉弁4が閉状態のときに主流路メータ102により測定された主流路2の圧力との差を算出した。さらに、第2~第4、第6~第8の条件については、開閉弁4が開状態のときに圧力センサ32により測定されたバイパス流路3の圧力と、開閉弁4が閉状態のときに圧力センサ32により測定されたバイパス流路3の圧力との差を算出した。
【0054】
まず、開閉弁4を開状態にしたときの主流路2の流量とバイパス流路3の流量との差(以下、流量差という)について検討する。流量調整バルブ103の設定流量が0[L/h]の第1条件と第5条件との間では、流量差に有意な差は確認できないものの、流量調整バルブ103の設定流量が3[L/h]の第2条件と第6条件との間、流量調整バルブ103の設定流量が50[L/h]の第3条件と第7条件との間、及び流量調整バルブ103の設定流量が100[L/h]の第4条件と第8条件との間では、流量差に有意な差を確認できた。具体的には、第2条件での流量差は、第6条件での流量差の約1/5と有意に小さく、第3条件での流量差は、第7条件での流量差の約1/10と有意に小さく、第4条件での流量差は、第8条件での流量差の約1/10と有意に小さいことを確認できた。
【0055】
以上により、開閉弁4を開状態にして主流路2とバイパス流路3とに燃料ガスを流し、主流路2の流量F1とバイパス流路3の流量F2とを測定し、主流路2の流量F1とバイパス流路3の流量F2との差(F1-F2)と、切替弁5が開状態の場合における主流路2の流量F1’とバイパス流路3の流量F2’との差(F1’-F2’)とを比較し、これらの間に有意な差が有る場合に切替弁5の閉塞性に問題は無いと判定し、これらの間に有意な差が無い場合に切替弁5の閉塞性に問題が有ると判定するという検査方法の有効性が実証された。
【0056】
次に、開閉弁4を開状態にしたときの主流路2の圧力と開閉弁4を閉状態にしたときの主流路2の圧力との差(以下、主流路2の圧力差という)について検討する。流量調整バルブ103の設定流量が3[L/h]の第2条件と第6条件との間、流量調整バルブ103の設定流量が50[L/h]の第3条件と第7条件との間、流量調整バルブ103の設定流量が100[L/h]の第4条件と第8条件との間では、主流路2の圧力差に有意な差があることを確認できた。具体的には、第5~第8条件での主流路2の圧力差は0.1[kPa]未満と0に等しいのに加えて、第2条件での主流路2の圧力差は、第6条件での主流路2の圧力差よりも約0.1[kPa]以上大きいように有意に大きく、第3条件での主流路2の圧力差は、第7条件での主流路2の圧力差よりも約0.3[kPa]以上大きいように有意に大きく、第4条件での主流路2の圧力差は、第8条件での主流路2の圧力差よりも約0.3[kPa]以上大きいように有意に大きいことを確認できた。
【0057】
以上により、開閉弁4を開状態にして主流路2とバイパス流路3とに燃料ガスを流して主流路2の圧力P1を測定し、開閉弁4を閉状態にして主流路2に燃料ガスを流して主流路2の圧力P2を測定し、圧力P1と圧力P2との差(P1-P2)が有意な大きさである場合に切替弁5の閉塞性に問題は無いと判定し、圧力P1と圧力P2との差(P1-P2)が0に等しいか或いは微量(例えば、0.1[kPa]未満)である場合に切替弁5の閉塞性に問題が有ると判定するという検査方法の有効性が実証された。
【0058】
次に、開閉弁4を開状態にしたときのバイパス流路3の圧力と開閉弁4を閉状態にしたときのバイパス流路3の圧力との差(以下、バイパス流路3の圧力差という)について検討する。流量調整バルブ103の設定流量が3[L/h]の第2条件と第6条件との間、流量調整バルブ103の設定流量が50[L/h]の第3条件と第7条件との間、流量調整バルブ103の設定流量が100[L/h]の第4条件と第8条件との間では、バイパス流路3の圧力差に有意な差が有ることを確認できた。具体的には、第5~第8条件でのバイパス流路3の圧力差は0.1[kPa]未満と0に等しいのに加えて、第2条件でのバイパス流路3の圧力差は、第6条件でのバイパス流路3の圧力差よりも0.1[kPa]以上大きいように有意に大きく、第3条件でのバイパス流路3の圧力差は、第7条件でのバイパス流路3の圧力差よりも0.3[kPa]以上大きいように有意に大きく、第4条件でのバイパス流路3の圧力差は、第8条件でのバイパス流路3の圧力差よりも0.3[kPa]以上大きいように有意に大きいことを確認できた。
【0059】
以上により、開閉弁4を開状態にして主流路2とバイパス流路3とに燃料ガスを流してバイパス流路3の圧力P1’を測定し、開閉弁4を閉状態にして主流路2に燃料ガスを流してバイパス流路3の圧力P2’を測定し、圧力P1’と圧力P2’との差(P1’-P2’)が有意な大きさである場合に切替弁5の閉塞性に問題が無いと判定し、圧力P1’と圧力P2’との差(P1’-P2’)が0であるか或いは微量(例えば、0.1[kPa]未満)である場合に切替弁5の閉塞性に問題が有ると判定するという検査方法の有効性が実証された。
【0060】
図8は、本発明の一実施形態に係る圧力調整器1の検査システム100の概略を示す図である。この図に示すように、検査システム100は、圧力センサ32により測定された圧力P1’,P2’が入力され、入力された圧力P1’,P2’に基づいて、圧力調整器1の良否を判定する端末110を備える。
【0061】
端末110は、パーソナルコンピュータや携帯端末等であり、圧力センサ32から圧力P1’,P2’が入力される入力部111と、入力部111に入力された圧力P1’,P2’に基づいて、圧力調整器1の良否を判定する処理部112と、操作部113と、表示部114とを備える。なお、端末110は、操作部113と表示部114との機能を一体化したタッチパネルを備えてもよい。
【0062】
この端末110と圧力センサ32とは、有線又は無線で接続可能であり、圧力センサ32で測定された圧力P1’,P2’が入力部111に入力される。なお、作業者の入力操作により、圧力P1’,P2’が入力部111に入力されるようにしてもよい。
【0063】
処理部112は、開閉弁4を開状態にして圧力P1’を測定する第1測定ステップの実施を指示する表示を表示部114に表示させる。作業者は、表示部114に表示された指示に従って第1測定ステップを実施することになる。この第1測定ステップが実施されると圧力センサ32によりバイパス流路3の圧力P1’が測定されてこの圧力P1’が入力部111に入力される。処理部112は、入力部111に入力された圧力P1’を記憶部(図示省略)に記憶させる。
【0064】
処理部112は、開閉弁4を閉状態にして圧力P2’を測定する第2測定ステップの実施を指示する表示を表示部114に表示させる。作業者は、表示部114に表示された指示に従って第2測定ステップを実施することになる。この第2測定ステップが実施されると圧力センサ32によりバイパス流路3の圧力P2’が測定されてこの圧力P2’が入力部111に入力される。処理部112は、入力部111に入力された圧力P2’を記憶部に記憶させる。
【0065】
処理部112は、記憶部に記憶された圧力P1’と圧力P2’との差(P1’-P2’)が所定の閾値(例えば、0.1[kPa])以上であるか否かを判定し、所定の閾値以上である場合には、圧力調整器1を合格と判定し、所定の閾値未満である場合には、圧力調整器1を不合格と判定する。処理部112は、圧力調整器1の判定結果を表示部114に表示させる。
【0066】
なお、圧力センサ32に代えて圧力計8を使用し、圧力計8によって測定される主流路2の圧力P1,P2を入力部111に入力し、処理部112が、主流路2の圧力P1,P2に基づいて、圧力調整器1の良否を判定するようにしてもよい。
【0067】
図9は、本発明の他の実施形態に係る圧力調整器1の検査システム200の概略を示す図である。この図に示すように、検査システム200は、流量センサ101で測定された主流路2の流量F1と、漏洩検知センサ31により測定されたバイパス流路3の流量F2とが入力され、入力された流量F1,F2に基づいて、圧力調整器1の良否を判定する端末210を備える。
【0068】
端末210は、パーソナルコンピュータや携帯端末等であり、流量センサ101から流量F1が入力され,漏洩検知センサ31から流量F2が入力される入力部211と、入力部211に入力された流量F1,F2に基づいて、圧力調整器1の良否を判定する処理部212と、操作部213と、表示部214とを備える。なお、端末210は、操作部213と表示部214との機能を一体化したタッチパネルを備えてもよい。
【0069】
この端末210と流量センサ101、及び漏洩検知センサ31とは、有線又は無線で接続可能であり、流量センサ101で測定された主流路2の流量F1と漏洩検知センサ31により測定されたバイパス流路3の流量F2とが入力部211に入力される。なお、作業者の入力操作により、流量F1,F2が入力部211に入力されるようにしてもよい。
【0070】
処理部212は、開閉弁4を開状態にして流量F1,F2を測定する測定ステップの実施を指示する表示を表示部214に表示させる。作業者は、表示部214に表示された指示に従って測定ステップを実施することになる。この測定ステップが実施されると流量センサ101により主流路2の流量F1が測定されてこの流量F1が入力部211に入力される。また、漏洩検知センサ31によりバイパス流路3の流量F2が測定されてこの流量F2が入力部211に入力される。
【0071】
処理部212は、入力部211に入力された流量F1と流量F2との差(F1-F2)が所定の閾値(例えば、流量F1の10%未満等)未満であるか否かを判定し、所定の閾値未満である場合には、圧力調整器1を合格と判定し、所定の閾値以上である場合には、圧力調整器1を不合格と判定する。処理部212は、圧力調整器1の判定結果を表示部214に表示させる。
【0072】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、適宜公知や周知の技術を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 圧力調整器
2 主流路
3 バイパス流路
4 開閉弁
5 切替弁
100 検査システム
111 入力部
112 処理部(判定部)
200 検査システム
211 入力部
212 処理部(判定部)
F1 流量
F2 流量
F1’ 流量
F2’ 流量
P1 圧力
P2 圧力
P1’ 圧力
P2’ 圧力