(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178086
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】エレベーター制御システムおよびエレベーター制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/20 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B66B1/20 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084622
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 直也
(72)【発明者】
【氏名】星野 孝道
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HA03
3F502HB02
3F502JA31
3F502JA32
3F502JA35
3F502JA36
3F502JA48
3F502JA72
3F502JA81
3F502KA41
(57)【要約】
【課題】複数の昇降路をかごが循環するエレベーターにおいて、かごの運転を適切に制御し得るエレベーター制御システムを提供する。
【解決手段】複数のかごのうちの所定のかごが所定の階床を出発してから所定の階床に戻るまでの時間である一周時間と、エレベーターの輸送量とから定められる情報であって、エレベーターの輸送状況を示す輸送状況情報を記憶する記憶部と、エレベーターの輸送量に係る輸送量情報を記録する輸送量情報記録部と、記憶部により記憶されている輸送状況情報と、輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、複数のかごの運転を制御する制御部と、を設けるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の昇降路と前記昇降路間の移動通路とからなる経路を循環する複数のかごを備えるエレベーターを制御するためのエレベーター制御システムであって、
前記複数のかごのうちの所定のかごが所定の階床を出発してから前記所定の階床に戻るまでの時間である一周時間と、前記エレベーターの輸送量とから定められる情報であって、前記エレベーターの輸送状況を示す輸送状況情報を記憶する記憶部と、
前記エレベーターの輸送量に係る輸送量情報を記録する輸送量情報記録部と、
前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、前記複数のかごの運転を制御する制御部と、
を備えるエレベーター制御システム。
【請求項2】
前記複数のかごの各々について一周時間に係る一周時間情報を記録する一周時間情報記録部を備え、
前記記憶部は、前記一周時間情報記録部により記録された一周時間情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とから輸送状況情報を生成して記憶する、
請求項1に記載のエレベーター制御システム。
【請求項3】
前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とから、前記複数のかごの一周時間を推測する一周時間推測部と、
前記一周時間推測部により推測された一周時間を用いて、前記複数のかごの各々がホール呼びボタンが押された階床に到着する到着予測時間を算出し、算出した到着予測時間に基づいて、前記複数のかごの中から一のかごをホール呼びに割り当てる割り当て部と、
を備える、請求項1に記載のエレベーター制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、第1の運転モードと前記第1の運転モードよりも輸送力が大きい第2の運転モードとを切り替え可能であり、
前記制御部は、
前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とから、前記エレベーターの輸送力が限界であると判定した場合、前記第1の運転モードから前記第2の運転モードに切り替え、
前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とから、前記エレベーターの輸送力に余裕があると判定した場合、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに切り替える、
請求項2に記載のエレベーター制御システム。
【請求項5】
前記第1の運転モードでは、前記複数のかごは、全ての階床に停止可能であり、
前記第2の運転モードでは、前記複数のかごの各々は、分割された担当の階床に停止可能であり、
前記制御部は、前記輸送量情報記録部により記録された任意の時間区間内の輸送量の増加量に対する前記一周時間情報記録部により記録された前記時間区間内の一周時間の増加量の比率が閾値を下回った場合に、前記第1の運転モードから前記第2の運転モードに切り替える、
請求項4に記載のエレベーター制御システム。
【請求項6】
前記複数の昇降路の上端および下端に前記移動通路が設けられている、
請求項1に記載のエレベーター制御システム。
【請求項7】
前記移動通路は、3つ以上設けられ、
前記記憶部は、前記かごが移動可能な経路ごとに輸送状況情報を記憶し、
前記制御部は、前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、前記複数のかごのうちの少なくとも1つに対して経路を切り替える、
請求項1に記載のエレベーター制御システム。
【請求項8】
前記エレベーターは、複数設けられ、
前記制御部は、前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、前記複数のエレベーターの運転モードを連動して切り替える、
請求項1に記載のエレベーター制御システム。
【請求項9】
複数の昇降路と前記昇降路間の移動通路とからなる経路を循環する複数のかごを備えるエレベーターを制御するためのエレベーター制御方法であって、
記憶部が、前記複数のかごのうちの所定のかごが所定の階床を出発してから前記所定の階床に戻るまでの時間である一周時間と、前記エレベーターの輸送量とから定められる情報であって、前記エレベーターの輸送状況を示す輸送状況情報を記憶することと、
輸送量情報記録部が、前記エレベーターの輸送量に係る輸送量情報を記録することと、
制御部が、前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、前記複数のかごの運転を制御することと、
を含むエレベーター制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、複数の昇降路をかごが循環するエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの昇降路の床面積あたりの輸送力を増加させることを目的として、複数の昇降路を1組として扱い、1組の昇降路間を移動可能な通路を備え、1組の昇降路内に2台以上のかごを配置するマルチシャフトマルチカーエレベーターがある。
【0003】
ここで、ピーク時に輸送力を向上させる方法として、通常運転モードから分割急行運転モードに切り替える方法が公知である。また、所定期間の交通需要の学習結果に応じて、最適な運転モードを立案し、再設定する技術が開示されている(特許文献1参照)。また、利用状況の学習結果に応じて運転モードを決定し、かごの運転を制御する技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-20468号公報
【特許文献2】特開平8-225257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術および特許文献2に記載の技術は、1つの昇降路内をかごが上下方向に移動するエレベーターを対象としているため、複数の昇降路をかごが循環するエレベーターに適用することができない。
【0006】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、複数の昇降路をかごが循環するエレベーターにおいて、かごの運転を適切に制御し得るエレベーター制御システム等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、複数の昇降路と前記昇降路間の移動通路とからなる経路を循環する複数のかごを備えるエレベーターを制御するためのエレベーター制御システムであって、前記複数のかごのうちの所定のかごが所定の階床を出発してから前記所定の階床に戻るまでの時間である一周時間と、前記エレベーターの輸送量とから定められる情報であって、前記エレベーターの輸送状況を示す輸送状況情報を記憶する記憶部と、前記エレベーターの輸送量に係る輸送量情報を記録する輸送量情報記録部と、前記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、前記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、前記複数のかごの運転を制御する制御部と、を設けるようにした。
【0008】
上記構成では、かごの一周時間とエレベーターの輸送量とから定められる輸送状況情報が記憶されているので、エレベーターの輸送状況に応じて、例えば、エレベーターの運転モードを変更したり、ホール呼びをかごに適切に割り当てたりすることができる。上記構成によれば、複数の昇降路をかごが循環するエレベーターにおいて、かごの運転を適切に制御することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利便性の高いエレベーターを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施の形態によるエレベーター制御システムに係る構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態による一周時間情報の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態による輸送量情報の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態によるエレベーターの一例を示す図である。
【
図5】第2の実施の形態によるエレベーター制御システムに係る構成の一例を示す図である。
【
図6】第2の実施の形態による輸送状況情報の一例を示す図である。
【
図7】第3の実施の形態によるエレベーター制御システムに係る構成の一例を示す図である。
【
図8】第3の実施の形態による輸送状況情報の一例を示す図である。
【
図9】第4の実施の形態によるエレベーターの一例を示す図である。
【
図10】第4の実施の形態による輸送状況情報の一例を示す図である。
【
図11】第5の実施の形態によるエレベーターの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(I)第1の実施の形態
以下、本発明の一実施の形態を詳述する。本実施の形態では、複数の昇降路内を複数のかごが循環するマルチシャフトマルチカーエレベーターを例に挙げて説明する。ただし、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
本実施の形態における、マルチシャフトマルチカーエレベーターのエレベーター制御システムは、複数の昇降路と昇降路間の移動通路とからなる経路を循環する複数のかごを備える少なくとも一基のマルチシャフトマルチカーエレベーターを制御する。より具体的には、本エレベーター制御システムは、かごが任意の階床を出発してから当該階床に戻るまでの時間(一周時間)と、マルチシャフトマルチカーエレベーターの輸送量とにより定められる輸送状況情報に基づいて、かごの運転を制御する。
【0013】
上記輸送状況情報によれば、複数の昇降路を複数のかごが循環するマルチシャフトマルチカーエレベーターにおいて、複数のかごの運転を適切に制御することができる。
【0014】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は、単数でも複数でも構わない。
【0015】
なお、以下の説明では、図面において同一要素については、同じ番号を付し、説明を適宜省略する。また、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、ホール呼びボタンを特に区別しないで説明する場合には、「ホール呼びボタン110」と記載し、個々のホール呼びボタンを区別して説明する場合には、「ホール呼びボタン110-1」、「ホール呼びボタン110-2」のように記載することがある。
【0016】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は、文脈毎に用いられ、1つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0017】
図1において、100は、全体として第1の実施の形態によるエレベーター制御システムを示す。以下では、出勤時、昼食時等、特に利用者の多い時間帯を想定してエレベーター制御システム100について説明する。
【0018】
図1は、エレベーター制御システム100に係る構成の一例を示す図である。エレベーター制御システム100は、ホール呼びボタン110-1~110-N、エレベーター120-1~120-Pを含んで構成される。エレベーター120は、かご130-1~130-I、昇降路140-1~140-M、昇降路140間を移動可能な移動通路150-1~150-Qを含んで構成される。
【0019】
より具体的には、エレベーター120は、上昇方向(昇り方向)専用のシャフトである昇降路140(上昇方向シャフト)と、下降方向(降り方向)専用のシャフトである昇降路140(下降方向シャフト)とを備える。エレベーター120では、各かご130は、上昇方向シャフト内を昇り方向に移動し、下降方向シャフトを降り方向に移動する。
【0020】
また、エレベーター120は、かご130の移動方向を上昇方向シャフトから下降方向シャフトに変更する第1の移動通路150と、かご130の移動方向を下降方向シャフトから上昇方向シャフトに変更する第2の移動通路150とを備える。例えば、第1の移動通路150が昇降路140の上端に設けられ、第2の移動通路150が昇降路140の下端に設けられてもよいし、第1の移動通路150および第2の移動通路150が昇降路140の上端および下端の間に設けられてもよい。
【0021】
なお、かご130の循環方式は、ローブ循環であってもよいし、レール循環であってもよい。ロープ循環では、2台のかご130を互いに釣合錘とするようにロープで連結して形成されたかごループが、昇降路140内に1以上設けられる。レール循環では、昇降路140にレールが設けられ、複数のかご130がレールに取り付けられている。レール循環では、複数のかご130の各々は、独立して移動可能である。
【0022】
また、エレベーター制御システム100は、群管理制御システム160を備える。群管理制御システム160は、一周時間情報記録部161と輸送量情報記録部162と記憶部163と制御部164とを備える。一周時間情報記録部161は、一周時間情報171を記録する。輸送量情報記録部162は、輸送量情報172を記録する。記憶部163は、輸送状況情報173を記憶する。制御部164は、エレベーター120の制御盤(号機制御装置)に指示を出して、かご130の運転を制御する。
【0023】
一周時間情報171は、一周時間に係る情報である。一周時間は、かご130が一の階床に停車してから、昇降路140および移動通路150を一周して再び、当該一の階床に戻るまでに要する時間である。一周時間には、昇降路140および移動通路150をかご130が移動する時間と、かご130が停車可能な階床(サービス階床)で利用者が乗り降りする時間とが含まれる。
【0024】
輸送量情報172は、輸送量に係る情報である。輸送量とは、例えば、かご130が輸送した人数、かご130が輸送した重量等である。なお、輸送量の取得方法は、問わない。例えば、輸送量は、かご130、乗り場等に設けられているカメラにより取得されてもよいし、かご130に設けられている加重センサにより取得されてもよい。
【0025】
輸送状況情報173は、エレベーター120の輸送状況を示す情報である。輸送状況情報173は、
図6等に示すように、一周時間と輸送量とから定められる情報(例えば、一周時間と輸送量との関係を示す情報)である。
【0026】
なお、輸送状況情報173は、一周時間情報171および輸送量情報172から生成されたエレベーター120の運用を反映した情報(運用情報)であってもよいし、群管理制御システム160または他のコンピュータにおいてシミュレーションされた情報(シミュレーション情報)であってもよい。また、エレベーター制御システム100の導入時は、エレベーター制御システム100は、シミュレーション情報を用いてかご130の運転を制御し、運用情報が蓄積された場合に、運用情報を用いてかご130の運転を制御するようにしてもよい。
【0027】
ここで、群管理制御システム160は、例えば、ノートパソコン、サーバ装置等であり、図示は省略するCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、通信部等を含んで構成される。群管理制御システム160の機能(一周時間情報記録部161、輸送量情報記録部162、記憶部163、制御部164等)は、例えば、CPUがROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。
【0028】
また、群管理制御システム160の1つの機能は、複数の機能に分けられていてもよいし、複数の機能は、1つの機能にまとめられていてもよい。また、群管理制御システム160の機能の一部は、別の機能として設けられてもよいし、他の機能に含められていてもよい。また、群管理制御システム160の機能の一部は、エレベーター120の制御盤、群管理制御システム160と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。また、例えば、群管理制御システム160は、エレベーター120の制御盤であってもよい。
【0029】
図2は、一周時間情報171の一例(一周時間テーブル200)を示す図である。
【0030】
一周時間テーブル200は、かご番号201、階202、方向203、および時間204の情報が対応付けられたレコードを記憶する。かご番号201の情報は、かご130を識別可能な識別子を示す情報である。階202の情報は、当該かご130が到着した階床を示す情報である。方向203の情報は、当該かご130が移動する方向を示す情報である。時間204の情報は、当該かご130が当該階床に到着した時間を示す情報である。
【0031】
例えば、一周時間情報記録部161は、利用者が多い時間帯においてかご130が各階床に停車した場合、かご番号201、階202、方向203、および時間204の情報を含むレコードを一周時間テーブル200に追加する。この際、記憶部163は、所定のかご130(例えば、代表のかご130)が所定の階床(例えば、1階)に停車してレコードを追加した場合、一周前のレコードの時間204と、今回のレコードの時間204との差分を一周時間として算出する。
【0032】
なお、一周時間は、代表のかご130の値であってもよいし、複数のかご130の平均値であってもよい。
【0033】
図3は、輸送量情報172の一例(輸送量テーブル300)を示す図である。
【0034】
輸送量テーブル300は、かご番号301、階302、方向303、乗り人数304、降り人数305、および時間306の情報が対応付けられたレコードを記憶する。かご番号301の情報は、かご130を識別可能な識別子を示す情報である。階302の情報は、当該かご130が到着した階床を示す情報である。方向303の情報は、当該かご130が移動する方向を示す情報である。乗り人数304の情報は、当該階床で利用者が乗車した人数(乗り人数)を示す情報である。降り人数305の情報は、当該階床で利用者が降車した人数(降り人数)を示す情報である。時間306の情報は、当該かご130が当該階床に到着した時間を示す情報である。
【0035】
例えば、輸送量情報記録部162は、利用者が多い時間帯において、利用者がかご130に乗車した場合、または、利用者がかご130から降車した場合、かご番号301、階302、方向303、乗り人数304、降り人数305、および時間306の情報を含むレコードを輸送量テーブル300に追加する。
【0036】
記憶部163は、任意のタイミングで、輸送量情報172に含まれるかご130ごとの輸送量から、エレベーター120全体の輸送量に変換(換算)する処理を行う。例えば、記憶部163は、算出した一周時間において、各かご130が輸送した利用者の人数を算出し、算出した利用者の人数の合計を算出する。
【0037】
なお、輸送量としては、かご130が輸送した利用者の人数を例に挙げて説明したが、例えば、かご130の荷重であってもよい。
【0038】
図4は、エレベーター120の一例を示す図である。
図4では、サービス階床が1階から8階までの8階床、かご130の台数が4台、昇降路140が2本、移動通路150が2本、エレベーター120が1基である例を示している。しかしながら、以降で説明するように、本発明は、サービス階床の数、エレベーター120の基数、かご130の台数、昇降路140の本数、移動通路150の本数に限定されることなく、実施可能であることは明白である。
【0039】
本実施の形態によれば、かご130の一周時間とエレベーター120の輸送量とから定められる輸送状況情報173が記憶されているので、エレベーター120の輸送状況に応じて、エレベーター120の運転モードを変更したり、ホール呼びを割り当てたり、かご130の経路を変更したりすることができる。
【0040】
例えば、エレベーター制御システム100は、現在の輸送量に対応する一周時間が閾値より長い場合には、かご130のサービス階床を減らすことで、一周時間を短くすることができる。また、例えば、エレベーター制御システム100は、3つ以上の移動通路150がある場合に、一周時間を加味してかご130をホール呼びに割り当てたり、現在の輸送量に対応する一周時間が閾値より長いときに、一周時間が短くなる経路を通るようにかご130の経路を変更したりすることができる。上記構成によれば、複数の昇降路140をかご130が循環するエレベーター120において、かご130の運転を適切に制御することができる。
【0041】
付言するならば、群管理制御システム160は、プリセットされた輸送状況情報173を用いてもよいので、一周時間情報記録部161を備えていなくてもよい。
【0042】
(II)第2の実施の形態
本実施の形態では、第1の実施の実施の形態と異なる構成について主に説明する。本実施の形態におけるエレベーター制御システム500の動作について、
図5および
図6を用いて説明する。
【0043】
本実施の形態では、昇降路140-1を上昇専用(上昇方向シャフト)とし、昇降路140-2を下降専用(下降方向シャフト)とする場合を例に挙げて説明する。この場合、かご130の一周時間は、例えば、かご130-1が昇降路140-1の1階を出発し、移動通路150-Qを通って下降専用の昇降路140-2に移動した後に下降し、移動通路150-1を通って上昇専用の昇降路140-1に移動した後に上昇し、上昇専用の昇降路140-1の1階に戻ってくるまでの時間を指す。
【0044】
図5は、本実施の形態のエレベーター制御システム500に係る構成の一例を示す図である。
【0045】
一周時間情報記録部161は、全てのかご130の一周時間情報171を記録しており、輸送量情報記録部162は、全てのかご130の輸送量情報172を記録している。記憶部163は、一周時間情報記録部161により記録された一周時間情報171と、輸送量情報記録部162により記録された輸送量情報172とから、輸送状況情報173を生成して記憶する。輸送状況情報173は、例えば、
図6のような関係(グラフ)となる。
【0046】
図6は、輸送状況情報173の一例を示す図である。
図6に示すように、輸送量の増加に従って一周時間も増加していき、一周時間は、ある程度の値で収束する。なお、グラフの形状(例えば、傾き)は、かご130の数、かご130の定員、ビルの高さ(階床の数)等によって異なる。
【0047】
制御部164は、かご130の輸送状況情報173に基づいて、第1の運転モード511と第2の運転モード512とを切り替える。
【0048】
例えば、制御部164は、第1の運転モード511での制御中に、一周時間情報記録部161が記録している一周時間情報171と輸送量情報記録部162が記録している輸送量情報172とを用いて、ある任意の時間区間の始点における輸送量611から終点における輸送量612の増加量に対して、当該時間区間の始点における一周時間621から終点における一周時間622の増加量が第1の閾値を下回った場合には、エレベーター120の輸送力の上限に近い能力を発揮していると判断(エレベーター120の輸送力が限界であると判断)し、第1の運転モード511から、より輸送力が大きい第2の運転モード512に切り替える。
【0049】
逆に、制御部164は、第2の運転モード512での制御中に、第2の閾値を上回った場合には、エレベーター120の輸送力に余裕があると判断し、第2の運転モード512から第1の運転モード511に切り替える。なお、第1の閾値と第2の閾値とは、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0050】
第1の運転モード511としては、通常運転モードが挙げられる。通常運転モードは、全ての階床に、全てのかご130を停止可能な運転が行われる運転モードである。
【0051】
第2の運転モード512としては、例えば、分割急行運転モードが挙げられる。分割急行運転モードは、各かご130を分割された階床に割り当て、割り当てられた階床(担当の階床)に停止可能な運転が行われる運転モードである。分割急行運転モードでは、かご130ごとに停止可能な階床(サービス階床)を分担し、サービス階床を少なくすることで、一周時間が短くなり、輸送力を向上させることが可能となる。なお、分割の方式は、奇数階および偶数階であってもよいし、低層階および高層階であってもよいし、その他の分割の方式であってもよい。また、分割の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【0052】
上記構成によれば、複数の昇降路140をかご130が循環するエレベーター120において、例えば、混雑を緩和するように通常運転モードと分割急行運転モードとを切り替えることが可能になる。
【0053】
(III)第3の実施の形態
本実施の形態では、第1の実施の実施の形態と異なる構成について主に説明する。本実施の形態におけるエレベーター制御システム700における動作について、
図7および
図8を用いて説明する。
【0054】
図7は、本実施の形態のエレベーター制御システム700に係る構成の一例を示す図である。エレベーター制御システム700の群管理制御システム160は、一周時間推測部711、算出部712、評価部713、および割り当て部714を備える。
【0055】
群管理制御システム160は、任意の階床でホール呼びボタン110が押下されたとき(ホール呼びが発生したとき)に、昇降路140内に就役する複数のかご130の何れを割り当てるかを判断する。このとき、一周時間推測部711は、輸送量情報記録部162により記録された情報から直近の任意の時間区間の輸送量811を算出し、これを基に記憶部163により記憶されている輸送状況情報173から一周時間の推測値821を算出する。算出部712は、一周時間推測部711により算出された一周時間の推測値821を基に、全てのかご130について、ホール呼びが発生した階床に到着するまでにかかる時間(到着予測時間)を算出する。評価部713は、算出部712によって算出された全てのかご130の到着予測時間および全てのかご130の他の情報を用いて、各かご130の割り当て評価値を算出する。他の情報とは、例えば、かご130の荷重、利用者の属性、割り当てられた呼びの数等である。割り当て部714は、評価部713によって算出された割り当て評価値が最も高いかご130をホール呼びに割り当てる。
【0056】
例えば、
図11に示すような状態において、4階の上り方向でホール呼びが発生した場合を考える。このとき、一周時間推測部711および算出部712によって各かご130の到着予測時間が算出されるので、評価部713は、算出された到着予測時間と、その他の情報とを用いて評価式を計算し、各かご130の割り当て評価値Vを算出する。評価式は、例えば、以下のようなものである。
【0057】
V=α×(a1×荷重+a2×割り当て済みホール呼び数+a3×割り当て済みかご呼び数+a4×到着予測時間)
a1、a2、a3、αは、実数値の係数である。なお、評価式は、以上の形式に限定されるものではない。
【0058】
また、例えば、
図9に示すような状態において、かご130-1およびかご130-2が、昇降路140-1、移動通路150-2、昇降路140-2、移動通路150-1からなる経路を循環し、かご130-3およびかご130-4が、昇降路140-1、移動通路150-3、昇降路140-2、移動通路150-1からなる経路を循環する場合に適用してもよい。
【0059】
本実施の形態によれば、かご130の一周時間を加味して、かご130をホール呼びに適切に割り当てることができるようになる。
【0060】
(IV)第4の実施の形態
本実施の形態では、第1の実施の実施の形態と異なる構成について主に説明する。本実施の形態におけるエレベーター制御システム900における動作について、
図9および
図10を用いて説明する。
【0061】
エレベーター制御システム900においては、例えば、
図9に示すように、移動通路150が3本存在するとき、かご130の経路は、
図4に示した経路(第1の経路)に加えて、2つの経路が存在する。
【0062】
1つ目(第2の経路)は、昇降路140-1の1階を出発し、移動通路150-3を通って下降専用の昇降路140-2に移動した後に下降し、移動通路150-1を通って上昇専用の昇降路140-1に移動した後に上昇し、上昇専用の昇降路140-1の1階に戻ってくる経路である。
【0063】
2つ目(第3の経路)は、昇降路140-1の7階を出発し、移動通路150-2を通って下降専用の昇降路140-2に移動した後に下降し、移動通路150-3を通って上昇専用の昇降路140-1に移動した後に上昇し、上昇専用の昇降路140-1の7階に戻ってくる経路である。
【0064】
この場合、記憶部163は、経路ごとに輸送状況情報173を記憶する。例えば、一周時間と輸送量との関係は、
図10に示すようなものとなる。グラフ1001は、最もサービス階床が多い第1の経路における一周時間と輸送量との関係を示す。グラフ1002は、次にサービス階床が多い第2の経路における一周時間と輸送量との関係を示す。グラフ1003は、最もサービス階床が少ない第3の経路における一周時間と輸送量との関係を示す。
【0065】
制御部164は、経路ごとの輸送状況情報173を用いて、例えば、次のような制御を行ってもよい。まず、制御部164は、移動通路150-1および移動通路150-2を通る第1の経路を使用するように、全てのかご130の運転を制御する。この制御中に、制御部164は、一周時間情報記録部161が記録している一周時間情報171と輸送量情報記録部162が記録している輸送量情報172とを用いて、ある任意の時間区間の始点における輸送量から終点における輸送量の増加量に対して、同時間区間の始点における一周時間から終点における一周時間の増加量が閾値を下回ったか否かを判定する。制御部164は、下回ったと判定した場合には、輸送力の上限に近い能力を発揮していると判断し、移動通路150-1および移動通路150-3を通る第2の経路を使用するように、1つのかご130または複数のかご130の運転を制御する。
【0066】
さらに、この制御中に一周時間情報記録部161が記録している一周時間情報171と輸送量情報記録部162が記録している輸送量情報172を用いて、ある任意の時間区間の始点における輸送量から終点における輸送量の増加量に対して、同時間区間の始点における一周時間から終点における一周時間の増加量が閾値を下回ったか否かを判定する。制御部164は、下回ったと判定した場合には、輸送力の上限に近い能力を発揮していると判断し、移動通路150-3および移動通路150-2を通る第3の経路を使用するように、1つのかご130または複数のかご130の運転を制御する。
【0067】
本実施の形態によれば、輸送状況に応じて経路が切り替えられるので、例えば、現在の経路においてエレベーター120の輸送力の上限に近づいたときに、現在の経路よりも短い経路に切り替えることで、エレベーター120の輸送力の向上を図ることができる。
【0068】
(V)第5の実施の形態
本実施の形態では、第2の実施の実施の形態と異なる構成について主に説明する。本実施の形態におけるエレベーター制御システム1100における動作について、
図11を用いて説明する。
【0069】
例えば、
図11に示すように、サービス階床が1階から8階までの8階床、かご130の台数が4台、昇降路140が2本、移動通路150が2本、エレベーター120が2基である場合を例に挙げて説明する。
【0070】
制御部164は、第2の運転モード512に切り替える場合に、かご130-1~かご130-4のサービス階床を1階~4階に、かご130-5~かご130-8のサービス階床を5~8階にするように、複数のエレベーター120間でサービス階床を分担する。
【0071】
このサービス階床の分担は、同一のエレベーター120に就役するかご130は、全て同じ階床にサービスしてもよいし、全エレベーター120の全かご130で異なる階床をサービスしてもよい。全エレベーター120の全かご130が異なる階床をサービスする場合に、サービス階床を排他にしてもよいし、重複させてもよい。また、エレベーター120ごとにサービス階床を排他にしてもよいし、重複させてもよい。サービス階床の決め方は、例えば、サービス階床ごとの輸送量が均等になるように分担してもよい。
【0072】
本実施の形態によれば、例えば、エレベーター120-1およびエレベーター120-2において、全ての階床にかご130が停止可能な通常運転モードで運転されている場合、エレベーター120の輸送力の上限に近づいたときに、エレベーター120-1およびエレベーター120-2の運転モードを、分割された担当の階床にかご130が停止可能な分割急行運転モードに連動して切り替えることで、エレベーター120-1およびエレベーター120-2の輸送力の向上を図ることができる。
【0073】
(VI)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0074】
上述の実施の形態においては、本発明をエレベーター制御システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0075】
また、上述の実施の形態において、プログラムの一部またはすべては、プログラムソースから、群管理制御システムを実現するコンピュータのような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、ネットワークで接続されたプログラム配布サーバまたはコンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。また、上述の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0076】
また、上述の実施の形態において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部または一部が1つのテーブルであってもよい。
【0077】
また、上述の実施の形態において、説明の便宜上、エレベーター制御システムの情報を、テーブルを用いて説明したが、データ構造はテーブルに限定されるものではない。エレベーター制御システムの情報は、XML(Extensible Markup Language)、YAML(YAML Ain’t a Markup Language)、ハッシュテーブル、木構造等、テーブル以外のデータ構造によって表現されてもよい。
【0078】
また、上述の実施の形態において、統計値として平均値を用いる場合について説明したが、統計値は、平均値に限るものではなく、最大値、最小値、最大値と最小値との差、最頻値、中央値、標準偏差等の他の統計値であってもよい。
【0079】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0080】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0081】
(1)
複数の昇降路(例えば、昇降路140)と上記昇降路間の移動通路(例えば、移動通路150)とからなる経路を循環する複数のかご(例えば、かご130)を備えるエレベーター(例えば、エレベーター120)を制御するためのエレベーター制御システム(例えば、エレベーター制御システム100,500,700,900,1100)であって、上記複数のかごのうちの所定のかごが所定の階床を出発してから上記所定の階床に戻るまでの時間である一周時間と、上記エレベーターの輸送量とから定められる情報であって、上記エレベーターの輸送状況を示す輸送状況情報(例えば、輸送状況情報173)を記憶する記憶部(例えば、記憶部163、群管理制御システム160、エレベーター120の制御盤、回路、群管理制御システム160と通信可能な他のコンピュータ)と、上記エレベーターの輸送量に係る輸送量情報(例えば、輸送量情報172)を記録する輸送量情報記録部(例えば、輸送量情報記録部162、群管理制御システム160、エレベーター120の制御盤、回路、群管理制御システム160と通信可能な他のコンピュータ)と、上記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、上記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、上記複数のかごの運転を制御する制御部(例えば、制御部164、群管理制御システム160、エレベーター120の制御盤、回路、群管理制御システム160と通信可能な他のコンピュータ)と、を備える。
【0082】
輸送状況情報は、プリセットされていてもよいし、エレベーター制御システムにおいて記録されたデータより算出されてもよい。上記かごの駆動方式については、ロープ循環でもよいし、レール循環でもよく、問わない。上記エレベーターは、複数設けられていてもよい。
【0083】
上記構成では、かごの一周時間とエレベーターの輸送量とから定められる輸送状況情報が記憶されているので、エレベーターの輸送状況に応じて、例えば、エレベーターの運転モードを変更したり、ホール呼びをかごに適切に割り当てたりすることができる。上記構成によれば、複数の昇降路をかごが循環するエレベーターにおいて、かごの運転を適切に制御することができる。
【0084】
(2)
上記エレベーター制御システムは、上記複数のかごの各々について一周時間に係る一周時間情報(例えば、一周時間情報171)を記録する一周時間情報記録部(例えば、一周時間情報記録部161、群管理制御システム160、エレベーター120の制御盤、回路、群管理制御システム160と通信可能な他のコンピュータ)を備え、上記記憶部は、上記一周時間情報記録部により記録された一周時間情報(例えば、
図2参照)と、上記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報(例えば、
図3参照)とから輸送状況情報(例えば、
図6参照)を生成して記憶する。
【0085】
上記構成では、設置されているエレベーターの一周時間と輸送量とが記録され、エレベーターの運用が反映された輸送状況情報が生成されて記憶されるので、エレベーターの運用に応じて、かごの運転を制御することができるようになる。
【0086】
(3)
上記エレベーター制御システムは、上記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、上記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とから、上記複数のかごの一周時間を推測する一周時間推測部(例えば、一周時間推測部711、群管理制御システム160、エレベーター120の制御盤、回路、群管理制御システム160と通信可能な他のコンピュータ)と、上記一周時間推測部により推測された一周時間を用いて、上記複数のかごの各々がホール呼びボタンが押された階床に到着する到着予測時間を算出し、算出した到着予測時間に基づいて、上記複数のかごの中から一のかごをホール呼びに割り当てる割り当て部(例えば、算出部712、評価部713、および割り当て部714、群管理制御システム160、エレベーター120の制御盤、回路、群管理制御システム160と通信可能な他のコンピュータ)と、を備える。
【0087】
上記構成では、例えば、かごの一周時間を加味して、最適なかごがホール呼びに割り当てられるので、エレベーターの輸送力の向上を図ることができる。
【0088】
(4)
上記制御部は、第1の運転モード(例えば、第1の運転モード511、通常運転モード)と上記第1の運転モードよりも輸送力が大きい第2の運転モード(例えば、第2の運転モード、分割急行運転モード)とを切り替え可能である。上記制御部は、上記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、上記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とから、上記エレベーターの輸送力が限界であると判定した場合、上記第1の運転モードから上記第2の運転モードに切り替え、上記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、上記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とから、上記エレベーターの輸送力に余裕があると判定した場合、上記第2の運転モードから上記第1の運転モードに切り替える。
【0089】
上記構成では、輸送量に応じてかごの運転モードを切り替えることができるので、例えば、混雑を緩和するように、かごの運転を制御することができる。
【0090】
(5)
上記第1の運転モードでは、上記複数のかごは、全ての階床に停止可能であり、上記第2の運転モードでは、上記複数のかごの各々は、分割された担当の階床に停止可能であり、上記制御部は、上記輸送量情報記録部により記録された任意の時間区間内の輸送量の増加量に対する上記一周時間情報記録部により記録された上記時間区間内の一周時間の増加量の比率が閾値を下回った場合に、上記第1の運転モードから上記第2の運転モードに切り替える(例えば、
図6参照)。
【0091】
上記構成では、例えば、エレベーターの輸送力の上限に近づいたときに、各かごが、分割された担当の階床に停止するように制御されるので、出勤時、昼食時等、特に利用者の多い時間帯において、エレベーターの輸送力の向上を図ることができる。
【0092】
(6)
上記複数の昇降路の上端および下端に上記移動通路が設けられている(例えば、
図4参照)。
【0093】
上記構成によれば、複数の昇降路をかごが循環するエレベーターにおいて、全ての階床にかごが停止できるようになる。
【0094】
(7)
上記移動通路は、3つ以上設けられ(例えば、
図9参照)、上記記憶部は、上記かごが移動可能な経路ごとに輸送状況情報を記憶し(例えば、
図10参照)、上記制御部は、上記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、上記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、上記複数のかごのうちの少なくとも1つに対して経路を切り替える。
【0095】
上記構成では、輸送状況に応じて経路が切り替えられるので、例えば、現在の経路においてエレベーターの輸送力の上限に近づいたときに、複数のかごのうちの少なくとも1つに対して現在の経路よりも短い経路に切り替えることで、エレベーターの輸送力の向上を図ることができる。
【0096】
(8)
上記エレベーターは、複数設けられ、上記制御部は、上記記憶部により記憶されている輸送状況情報と、上記輸送量情報記録部により記録された輸送量情報とに基づいて、上記複数のエレベーターの運転モードを連動して切り替える(例えば、
図11参照)。
【0097】
上記構成によれば、例えば、全てのエレベーターにおいて、全ての階床にかごが停止可能な第1の運転モードで運転されている場合、一のエレベーターの輸送力の上限に近づいたときに、各エレベーターの運転モードを、分割された担当の階床にかごが停止可能な第2の運転モードに切り替えることで、エレベーターの輸送力の向上を図ることができる。
【0098】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【0099】
「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という形式におけるリストに含まれる項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができると理解されたい。同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形式においてリストされた項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができる。
【符号の説明】
【0100】
100……エレベーター制御システム、120……エレベーター、130……かご、140……昇降路、150……移動通路、162……輸送量情報記録部、163……記憶部、164……制御部。