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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178094
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】水槽装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20221125BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A01K63/00 A
A01K63/04 Z
A01K63/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084631
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】521216762
【氏名又は名称】株式会社だんご2112
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】波多野 幾也
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104CA03
2B104CB07
2B104CB13
2B104EA01
2B104EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の課題は、複雑な構造を必要とせず、簡易な構造であっても、魚が遡上する様子を観察可能な水槽装置を得ることである。
【解決手段】本発明の水槽装置100は、水を貯留することが可能なように構成された水槽本体100aと、水槽本体100a内に水流を発生させるように構成された水流発生手段110と、水槽本体100aの一部を区分するように構成された第1の壁部材101とを備え、水流発生手段110および第1の壁部材101は、水槽本体100a内を循環する水の流れを生じさせるように構成されており、水槽本体100a内を循環する水の流れの方向に対して交差する方向に配置されている第2の壁部材102をさらに備え、かつ、第2の壁部材102の高さが水槽内に貯留される水の水面の高さと略同じであるように、水を貯留するように構成されており、第2の壁部材を乗り越えて魚が遡上することを可能にするように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽装置であって、前記水槽装置は、
水を貯留することが可能なように構成された水槽本体と、
前記水槽本体内に水が貯留されている場合に、前記水槽本体内に水流を発生させるように構成された水流発生手段と、
前記水槽本体の一部を区分するように構成された第1の壁部材と
を備え、
前記水流発生手段および前記第1の壁部材は、前記水槽本体内に水が貯留されている場合に、前記水槽本体内を循環する水の流れを生じさせるように構成されており、
前記水槽装置は、前記水槽本体内を循環する水の流れの方向に対して交差する方向に配置されている第2の壁部材をさらに備え、
前記水槽本体内は、前記第1の壁部材の高さが前記水槽内に貯留される水の水面の高さよりも大きく、かつ、前記第2の壁部材の高さが前記水槽内に貯留される水の水面の高さと略同じであるように、水を貯留することが可能なように構成されており、これにより、前記第2の壁部材を乗り越えて魚が遡上することを可能にする、水槽装置。
【請求項2】
前記水槽装置は、前記第2の壁部材の上流側に配置されている第3の壁部材をさらに備え、
前記第3の壁部材は、前記水槽本体内を循環する水の流れを複数の水路内を流れる複数の水の流れに分割するように構成されており、
前記第2の壁部材は、前記複数の水の流れの方向に対して交差する方向に配置されている、請求項1に記載の水槽装置。
【請求項3】
前記水流発生手段は、複数の水流発生部を含み、
前記複数の水流発生部のそれぞれは、前記複数の水路のうちの対応する1つ内に配置されている、請求項2に記載の水槽装置。
【請求項4】
前記水槽装置は、前記第2の壁部材の上流側に配置されている第4の壁部材をさらに備え、
前記第4の壁部材は、前記水槽本体内を循環する水の流れが、前記水槽本体の底面と前記第4の壁部材の底面との間を通過するように配置されており、
前記第4の壁部材の高さは、前記第2の壁部材の高さ以上である、請求項1~3のいずか一項に記載の水槽装置。
【請求項5】
前記水流発生手段は、前記水槽本体の外部に配置されているポンプを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の水槽装置。
【請求項6】
前記水流発生手段は、前記水槽本体の内部に配置されているエアーリフタを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の水槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚が泳ぐ様子を観察可能な水槽装置であって、特に水の流れに逆らって泳ぐ習性を有する魚の遡上する様子を観察可能な水槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水槽の中で魚を入れることで魚の泳ぎを観察することは一般的に行われてきた。また、水の流れに逆らって泳ぐ習性を有する魚(例えば、サケ、マス、アユやウグイ)が遡上する様子を観察可能な水槽装置も存在している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-335338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の水槽装置は、魚が水の流れに逆らって遡上する様子を見ることが可能であるが、段差の異なる複数の水槽と、上流端の水槽と下流端の水槽とを接続する回帰手段とを備える必要があり、非常に複雑な構造で大型であるため家庭などに設置することができず、また価格も高価になってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、これら従来の複雑な構造を必要とせずに、簡易な構造の水槽であっても魚の遡上を観察することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
水槽装置であって、前記水槽装置は、
水を貯留することが可能なように構成された水槽本体と、
前記水槽本体内に水が貯留されている場合に、前記水槽本体内に水流を発生させるように構成された水流発生手段と、
前記水槽本体の一部を区分するように構成された第1の壁部材と
を備え、
前記水流発生手段および前記第1の壁部材は、前記水槽本体内に水が貯留されている場合に、前記水槽本体内を循環する水の流れを生じさせるように構成されており、
前記水槽装置は、前記水槽本体内を循環する水の流れの方向に対して交差する方向に配置されている第2の壁部材をさらに備え、
前記水槽本体内は、前記第1の壁部材の高さが前記水槽内に貯留される水の水面の高さよりも大きく、かつ、前記第2の壁部材の高さが前記水槽内に貯留される水の水面の高さと略同じであるように、水を貯留することが可能なように構成されており、これにより、前記第2の壁部材を乗り越えて魚が遡上することを可能にする、水槽装置。
(項目2)
前記水槽装置は、前記第2の壁部材の上流側に配置されている第3の壁部材をさらに備え、
前記第3の壁部材は、前記水槽本体内を循環する水の流れを複数の水路内を流れる複数の水の流れに分割するように構成されており、
前記第2の壁部材は、前記複数の水の流れの方向に対して交差する方向に配置されている、項目1に記載の水槽装置。
(項目3)
前記水流発生手段は、複数の水流発生部を含み、
前記複数の水流発生部のそれぞれは、前記複数の水路のうちの対応する1つ内に配置されている、項目2に記載の水槽装置。
(項目4)
前記水槽装置は、前記第2の壁部材の上流側に配置されている第4の壁部材をさらに備え、
前記第4の壁部材は、前記水槽本体内を循環する水の流れが、前記水槽本体の底面と前記第4の壁部材の底面との間を通過するように配置されており、
前記第4の壁部材の高さは、前記第2の壁部材の高さ以上である、項目1~3のいずか一項に記載の水槽装置。
(項目5)
前記水流発生手段は、前記水槽本体の外部に配置されているポンプを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の水槽装置。
(項目6)
前記水流発生手段は、前記水槽本体の内部に配置されているエアーリフタを含む、項目1~4のいずれか一項に記載の水槽装置。(項目1)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複雑な構造を必要とせず、簡易な構造であっても、水の流れに逆らって泳ぐ習性を有する魚が遡上する様子を観察可能な水槽装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1による水槽装置100の斜視図。
図2図1に示す水槽装置100において魚が遡上する様子を示す側面図。
図3】本発明の実施形態2による水槽装置200の斜視図。
図4】本発明の実施形態3による水槽装置300の斜視図。
図5】本発明の実施形態3による水槽装置300の側面図。
図6】本発明の実施形態3の代替案による水槽装置300の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0011】
以下、本発明の水槽装置を構成する要素について説明する。
【0012】
(水槽本体)
水槽本体は、水を貯留するための容器であり、その形状は任意であり得る。水槽本体の形状は、例えば、4つの側壁と底部とを有する直方体や立方体であってもよいし、1つの側壁と底部とを有する円柱体であってもよいし、底部と外周と内周とに側壁を有するドーナツ状であってもよい。1つの実施形態において、水槽本体は、4つの側壁と底部とを有する直方体である。側壁の材質などは略透明であれば任意の材質であり得る。例えば、アクリルなどの透明樹脂であってもよいし、ガラスなどであってもよい。
(水流発生手段)
水流を発生させる手段は任意の形態であり得る。例えば、ポンプであってもよいし、エアーリフタであってもよい。また、水流発生手段は、水槽本体内に設けられていてもよいし、水槽本体の外部に設けられてもよい。好ましい実施形態において、水流発生手段はポンプであって水槽本体の外部に設けられる。ポンプを水槽本体の外部に設けることによって、ポンプの旋回フィンなどで水槽本体の中を泳ぐ魚を損傷させることを抑制できるとともに、ポンプの存在で水の流れる領域が狭まり循環する水の流れの邪魔になる恐れを無くすことが可能となる。また、魚の泳ぎの様子を観察する水槽本体近傍におけるポンプの駆動音による騒音を削減することも可能となる。
【0013】
なお、水流発生手段は1つ以上任意の数を備え得る。例えば、エアーリフタなど水流の強さが大きく取れない場合などは複数設けることによって水流の強さを調整してもよい。
(壁部材)
壁部材は、水槽本体の領域を区分け可能とする部材である。
【0014】
壁部材の上部などには、アクリルパイプを付したり、岩石や擬岩を設けてもよい。そうすることによって、渓流などの自然な環境に近づけることが可能となる。
(第1の壁部材)
第1の壁部材は、水槽本体内部に略水平面に沿った向きによる循環水路が形成可能なように配置される隔壁となる部材であれば、その形状や配置する位置は任意であり得る。例えば、板状であってもよいし、直方体であってもよいし複雑な形状を有していてもよい。
【0015】
水槽本体に水を貯蔵した状態で水流発生手段を駆動した際に、水槽本体内を循環する水の流れを生じさせるように、第1の壁部材は水槽本体内部に配置される。
【0016】
第1の壁部材は、その高さが水槽本体に貯蔵される水面よりも高い位置である。そうすることによって、水槽本体の領域が区分けすることが可能となる。なお、好ましい実施形態において、第1の壁部材の底面は、水槽本体の底部に接しているが、第1の壁部材の底面と水槽本体の底部との間に隙間を有していても良い。ただし、隙間を有する場合は、その隙間は魚が通過できない程度である。また、第1の壁部材の数は、1以上であれば任意であり得る。
(第2の壁部材)
第2の壁部材は、第1の壁部材と水流発生手段によって生じる水槽本体内を循環する水の流れの方向に対して交差する方向に配置されれば、その形状や配置する位置は任意であり得る。例えば、板状であってもよいし、直方体であってもよいし複雑な形状を有していてもよい。1つの実施形態において、第2の壁部材は板状である。
【0017】
第2の壁部材は、その高さが水槽本体に貯蔵される水面とほぼ同じ高さである。なお、水槽本体に貯蔵される水面とは、第2の壁部材を乗り越える場所における水面を除く。また、「ほぼ同じ高さ」とは、水槽本体に貯蔵される水面と同じか、水面に対して±約10mmの範囲のことをいう。
【0018】
このような第2の壁部材を循環する水の流れの方向に対して交差する方向に配置することによって、水槽本体内を循環する水の流れが第2の壁部材にぶつかることになり、第2の壁部材を乗り越える水の流れを生じさせることが可能となる。このように第2の壁部材を乗り越える部分の水の流れを生じさせることにより、その水の流れに逆らって第2の壁部材を乗り越えて遡上する魚の姿を観察することが可能となる。
【0019】
このように、本発明の水槽装置は、水槽本体と水流発生手段の他に、水槽本体内の領域を区分けするための第1の壁部材および第2の壁部材とを備えるという簡単な構造によっても、遡上する魚の姿を観察することを可能とする。
【0020】
なお、好ましい実施形態において、第2の壁部材の底面は、水槽本体の底部に接しているが、第2の壁部材の底面と水槽本体の底部との間に隙間を有していても良い。ただし、隙間を有する場合は、その隙間は魚が通過できない程度である。また、第2の壁部材の数は、1以上であれば任意であり得る。
【0021】
循環する水の流れの方向に対して、第2の部材の交差する方向の角度は、任意であり得る。例えば、交差する角度は、約30°~約90°、好ましくは約45°~約90°、さらに好ましくは約60°~約90°である。
(第3の壁部材)
本発明の水槽装置は、さらに第3の壁部材を備え得る。第3の壁部材は、第2の壁部材の上流側に配置され、水槽本体内を循環する水の流れを複数の水路内を流れる複数の水の流れに分割するものであれば、その形状や配置する位置は任意であり得る。例えば、板状であってもよいし、直方体であってもよいし複雑な形状を有していてもよい。
【0022】
第3の壁部材は、その高さが水槽本体に貯蔵される水面とほぼ同じまたはそれよりも高い位置である。そうすることによって、循環する水の流れを複数の流れに区分けすることが可能となる。なお、好ましい実施形態において、第3の壁部材の底面は、水槽本体の底部に接しているが、第3の壁部材の底面と水槽本体の底部との間に隙間を有していても良い。ただし、隙間を有する場合は、その隙間は魚が通過できない程度である。また、第3の壁部材の数は、1以上であれば任意であり得る。
【0023】
さらに、第3の壁部材は、第2の壁部材の上流側であれば任意の位置に配置され得るが、好ましくは第2の壁部材の近傍もしくは第2の壁部材に当接している。このように、第3の壁部材を第2の壁部材の近傍もしくは第2の壁部材に当接させることによって、第2の壁部材の上流側近傍に、循環する水の流れのうち複数の水路内を流れる水の流れを分割することが可能となり、その複数の水路内にそれぞれ水流発生手段を設けることにより、第2の壁部材を乗り越えるための水の流れの勢いを強くすることが可能となる。その結果、水の流れに逆らって、勢いよく第2の壁部材を乗り越えて遡上する魚の姿を観察することが可能となる。
(第4の壁部材)
本発明の水槽装置は、さらに第4の壁部材を備え得る。第4の壁部材は、その高さが第2の壁部材の高さ以上であって、さらに第4の壁部材の底面は水槽本体の底部とは離れており、第4の壁部材の底面と水槽本体の底部との間に生じる隙間が水槽本体内の水が循環する流れとなるように構成されていれば、その形状は任意であり得る。第4の壁部材は、例えば、板状であってもよいし、直方体であってもよいし複雑な形状を有していてもよい。第4の壁部材は、第2の壁部材の上流側に位置する。また、第4の壁部材は、水槽本体内を循環する水の流れの方向に対して交差する方向に配置され得る。循環する水の流れの方向に対して、第2の部材の交差する方向の角度は、任意であり得る。例えば、交差する角度は、約30°~約90°、好ましくは約45°~約90°、さらに好ましくは約60°~約90°である。
【0024】
第4の壁部材を設けることにより、図1または図3に示す様に水流発生手段で生成された水の流れが第4の壁部材によって第2の壁部材とは異なる方向に流れるのを抑制することが可能となり、効果的に第2の壁部材を超える水の流れを作り出すことが可能となる。
【0025】
また、第4の壁部材を設けることにより、第4の壁部材と水槽本体の底部との間を流れる水槽本体下部を流れる水の流れが、その下流に存在する第2の壁部材を乗り越える水槽本体上部を流れる水の流れへと大きく変化させることができ、その大きく変化する水の流れに逆らって遡上する魚の姿をよりダイナミックに観察することが可能となるという別の効果も得られる。
【0026】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による水槽装置100を説明するための斜視図であり、水槽装置100の構造を模式的に示している。
【0028】
この水槽装置100は、水Wを貯留することが可能なように構成された水槽本体100aと、水槽本体100a内に水Wが貯留されている場合に、水槽本体内に水流を発生させるように構成された水流発生手段110と、水槽本体100aの一部を区分するように構成された第1の壁部材101とを備えている。WL(太字一点鎖線)は水面を示す。
【0029】
ここで、水流発生手段110および第1の壁部材101は、水槽本体110a内に水が貯留されている場合に、水槽本体110a内を循環する水の流れRを生じさせるように構成されている。
【0030】
具体的には、第1の壁部材101は、水槽本体100aの内壁100bとの間に一定の間隔ができるように水槽本体100a内に配置されており、第1の壁部材101に沿って形成される、第1の壁部材101と水槽本体100aの内壁100bとの間の領域は、水槽本体100a内で第1の壁部材101に沿って水が循環可能な水路(循環路)が形成され得る。
【0031】
水流発生手段110は、水槽本体100a内の水を取り出す取水管112と、水槽本体100a内に溝を噴き出す噴出管113と、ポンプ111とを有し、水槽本体100a内の水が取水管112aを介してポンプ111に吸い込まれ、さらにポンプ111から噴出管112bを介して水槽本体100aに戻されるように構成されている。このように水流発生手段110のポンプ111が水槽本体100a内の水を吸い出して水槽本体100a内に吹き出すことにより、水槽本体100a内には、噴出管112bから水が噴出される方向に沿って水の流れRが形成される。
【0032】
また、水槽装置110は、水槽本体100a内を循環する水の流れRの方向に対して交差する方向(図に示す状態では水の流れRに対して交差角度90°)に配置されている第2の壁部材102をさらに備えている。
【0033】
具体的には、この水槽本体100aでは、第1の壁部材101の一端と水槽本体100aの内壁100bとの間に、これらの間の隙間を埋めるように第2の壁部材102が配置されている。
【0034】
また、水槽本体100a内は、第1の壁部材101の高さが水槽本体100a内に貯留される水Wの水面の高さよりも大きく、かつ、第2の壁部材102の高さは水槽本体100a内に貯留される水Wの水面の高さと略同じであるように、水を貯留することが可能なように構成されている。
【0035】
この水槽装置100では、第1の壁部材101の周りに形成される循環路は、水の流れに交差する第2の壁部材102にぶつかることになり、その結果、第2の壁部材を乗り越える水の流れを生じさせる。なお、実施形態1の水槽装置100を構成する水槽本体100a、第1の壁部材101および第2の壁部材102の構成材料は、アクリルあるいはガラスなどの透明材料が用いられる。
【0036】
図2は、図1に示す水槽装置100において魚が遡上する様子を示す側面図である。
【0037】
このような構成の水槽装置100では、水槽本体100a内に水Wが貯留されている場合に、水流発生手段110により、第1の壁部材101の周囲の循環路で、水の流れに交差する方向に配置されている第2の壁部材102の位置において、第2の壁部材を乗り越える水の流れが発生させることができる。それにより、遡上する習性を有する魚は、第2の壁部材102を超える水の流れを川の流れと捉えて、この流れに逆らって泳ぐ動作を行うこととなる。その結果、水槽本体100a内の魚を観賞している鑑賞者は、水槽本体100a内で魚が水の流れに逆らって第2の壁部材102を乗り越えるように泳ぐ魚の姿を見て、魚が川を遡上する現象として楽しむことができる。
【0038】
なお、実施形態1の水槽装置100では、水流発生手段として、水槽本体の外部に配置されているポンプを含むものを示したが、水流発生手段の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、水流発生手段は、水槽本体100aの内部に配置されるエアーリフタを含むものでもよい。
【0039】
また、実施形態1では、本発明の水槽装置100の一例として、第1の壁部材101と第2の壁部材102との2つの壁部材を有し、第1の壁部材101がその周囲を水が循環するように配置され、第2の壁部材102が循環する水の流れの方向に対して交差する方向に配置されているものを示したが、本発明の水槽装置100は、このような第1の壁部材101および第2の壁部材102以外の壁部材を有するものでもよく、以下の実施形態2および3では、さらなる壁部材を有する水槽装置を説明する。
【0040】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2による水槽装置200を説明するための斜視図であり、循環水の流れを分割する構成を示している。
【0041】
この実施形態2の水槽装置200は、実施形態1の水槽装置100の構成に加えて、第2の壁部材102の上流側に配置されている第3の壁部材203を備え、この第3の壁部材203が水槽本体内を循環する水の流れRを複数の水路(例えば2つの水路)内を流れる複数の水の流れ(例えば2つの水の流れ)R1、R2に分割するようにしたものである。
【0042】
ここで、第3の壁部材203は、第1の壁部材101と同程度の高さを有し、第2の壁部材102に対して垂直になるように配置されている。これにより、この水槽装置200では、第2の壁部材102は、第3の壁部材203により分割された2つの水の流れR1、R2の方向に対して交差する方向に配置されることとなる。
【0043】
また、この水槽装置200では、実施形態1の1つの水流発生手段110に相当する2つの第1の水流発生部210aおよび第2の水流発生部210bを備えており、第1の水流発生部210aは2つの水路のうちの1つの水路の水の流れR1に対応し、第2の水流発生部210bは、2つの水路のうちのもう1つの水路の水の流れR2に対応している。
【0044】
ここでは、第1の水流発生部210aは、実施形態1の水槽装置100に含まれる水流発生手段110と同様、取水管212aと、噴出管213aと、ポンプ211aとを有し、第2の水流発生部210bは、取水管212bと、噴出管213bと、ポンプ211bとを有する。
【0045】
そして、第1の水流発生部210aの噴出管213aから噴出される水により、第3の壁部材103により分割されている水路の1つに水の流れR1が発生し、第2の水流発生部210bの噴出管213bから噴出される水により、分割されている水路のもう1つにもう1つの水の流れR2が発生するようになっている。
【0046】
この実施形態2の水槽装置200におけるその他の構成は実施形態1の水槽装置100におけるものと同一である。
【0047】
この実施形態2の水槽装置200では、第2の壁部材102の上流側に第3の壁部材を配置し、第3の壁部材により、水槽本体内を循環する水の流れを2つの水路内を流れる複数の水の流れR1、R2に分割し、それぞれの水路には、対応する水流発生部(第1の水流発生部210aおよび第2の水流発生部210b)を設けているので、第2の壁部材102を乗り越える水流の勢いを、強くすることが可能となる。その結果、水槽装置200の鑑賞者は、勢いの強い水流の流れに逆らってダイナミックに遡上する魚の動きを観察することが可能となる。
【0048】
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態3による水槽装置300を説明するための斜視図であり、図5は側面図であって、循環水の流れを第4の壁部材の底面と水槽本体100aの底面との間に通過させる構成を示している。
【0049】
この実施形態3の水槽装置300は、実施形態1の水槽装置100の構成に加えて、第2の壁部材102の上流側に配置された第4の壁部材104を備え、第4の壁部材104は、水槽本体100a内を循環する水の流れが、水槽本体100aの底面101aと第4の壁部材104の底面104aとの間を通過するように配置されている。ここで、第4の壁部材104の高さは、第2の壁部材102の高さ以上である。
【0050】
なお、実施形態3の水槽装置300におけるその他の構成は、実施形態1の水槽装置100におけるものと同一である。
【0051】
このような構成の実施形態3の水槽装置300では、第2の壁部材102の上流側に第4の壁部材104を配置し、水槽本体100a内を循環する水の流れが、水槽本体100aの底面101aと第4の壁部材104の底面104aとの間を通過するようにした。その結果、第4の壁部材を設けることにより、図1または図3に示す様に水流発生手段で生成された水の流れが第4の壁部材によって第2の壁部材とは異なる方向に流れるのを抑制することが可能となり、効果的に第2の壁部材を超える水の流れを作り出すことが可能となる。さらに、第4の壁部材と水槽本体の底部との間を流れる水槽本体下部を流れる水の流れが、その下流に存在する第2の壁部材を乗り越える水槽本体上部を流れる水の流れへと大きく変化させることができ、その大きく変化する水の流れに逆らって遡上する魚の姿をよりダイナミックに観察することが可能となる。また、第2の壁部材102を乗り越えて遡上した魚が、第2の壁部材102を越えて第4の壁部材104をすり抜けるときは、水槽本体100aの底面101aに向けて潜り込むこととなる。従った、水槽装置300の鑑賞者はり、魚の遡上動作だけでなく、第4の壁部材104を通り抜ける際に、魚が急激に潜航する動作を見ることができ、水槽装置300で飼育している魚の行動をより楽しむことができる。
【0052】
図4に示す実施形態3では、第2の壁部材が第1の壁部材の一端に、第1の壁部材と平行に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。図6は、本発明の実施形態3の代替案による水槽装置300の斜視図を示す。図6に示す様に、第2の壁部材を第1の壁部材と略直交に設ける場合であっても良い。
【0053】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、複雑な構造を必要とせず、簡易な構造であっても、魚が遡上する様子を観察可能な水槽装置を得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0055】
100 水槽装置
100a 水槽本体
101 第1の壁部材
102 第2の壁部材
103 第3の壁部材
104 第4の壁部材
110 水流発生手段
R 循環水路(水の流れ)
WL 水面
図1
図2
図3
図4
図5
図6