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特開2022-178103エレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178103
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】エレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20221125BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20221125BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B1/14 L
B66B3/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084651
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土本 秀男
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 泰
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
3F502
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303CB41
3F303DC34
3F304BA17
3F304BA26
3F502MA07
(57)【要約】
【課題】保守作業を効率的に行うことができるエレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法を提供する。
【解決手段】エレベーターシステムの監視装置3は、エレベーター1の異常を検出する。情報判定部505は、エレベーター1の異常に関するアンケートを作成する。呼び受付部504は、利用者7の携帯端末8からエレベーター1の呼び登録を受付ける。制御部501は、エレベーター1の呼び登録を行った利用者7の携帯端末8に、アンケートを送信し、携帯端末8からアンケートの回答を受信する。情報判定部505は、アンケートの回答を集計し、集計結果からエレベーター1において重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を決定する。そして、制御部501は、重点確認項目を保守員9の携帯端末10に送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の携帯端末から呼び登録が可能なエレベーターシステムにおいて、
エレベーターの異常を検出する異常検出部と、
前記異常検出部が前記エレベーターの異常を検出した場合に、前記エレベーターの異常に関するアンケートを作成する情報判定部と、
利用者の携帯端末から前記エレベーターの呼び登録を受付ける呼び受付部と、
前記エレベーターの呼び登録を行った利用者の携帯端末に前記アンケートを送信し、利用者の携帯端末から前記アンケートの回答を受信する送受信部と、を備え、
前記情報判定部は、前記アンケートの回答を集計し、集計結果から前記エレベーターにおいて重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を作成し、
前記送受信部は、前記重点確認項目を保守員の携帯端末に送信する
エレベーターシステム。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記エレベーターの異常を検出した階である発生階を特定し、
前記情報判定部は、前記エレベーターの呼び登録に応じて昇降する乗りかごが前記発生階を通過する場合に、前記アンケートを作成する
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記情報判定部は、前記エレベーターの呼び登録に応じて昇降する乗りかごが通過した各階に対して、前記アンケートの回答に応じたポイントを加算し、ポイントの合計が予め定めた重点箇所閾値を越えた階を前記重点確認項目に含める
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記異常検出部は、
前記エレベーターを診断運転させて、前記診断運転において測定した測定値が予め定めた故障判定閾値以上である場合に、前記エレベーターの運転を停止し、
前記測定値が前記故障判定閾値未満であり、且つ、予め定めたアンケート作成閾値以上である場合に、前記異常を検出する
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
利用者の携帯端末から呼び登録が可能なエレベーターシステムの保守方法において、
異常検出部が、エレベーターの異常を検出し、
情報判定部が、前記異常検出部が前記エレベーターの異常を検出した場合に、前記エレベーターの異常に関するアンケートを作成し、
呼び受付部が、利用者の携帯端末から前記エレベーターの呼び登録を受付け、
送受信部が、前記エレベーターの呼び登録を行った利用者の携帯端末に前記アンケートを送信し、利用者の携帯端末から前記アンケートの回答を受信し、
前記情報判定部が、前記アンケートの回答を集計し、集計結果から前記エレベーターにおいて重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を作成し、
前記送受信部が、前記重点確認項目を保守員の携帯端末に送信する
エレベーターシステムの保守方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベーターは、地震が発生して乗りかごを停止してから所定時間が経過すると、乗りかご内を無人にした状態で診断運転を実施する。診断運転では、平常運転よりも低速で乗りかごを走行させると共に、乗りかごを各階に停止させて、ドアの開閉動作を行う。そして、診断運転において異常が確認されなければ、平常運転を再開する。特許文献1には、試験運転の結果を利用者や保守員に連絡するエレベーター制御システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-210713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたエレベーター制御システムは、自動診断運転に関する情報を利用者と保守員へ通知するのみである。そして、自動診断運転においてエレベーターが正常に動作した場合は、保守員が点検する前にエレベーターを平常運転させる。しかし、運転が再開されたエレベーターの利用者が異常音や異常振動を感じ取った場合は、保守会社にエレベーターの異常を連絡する手間が生じる。
【0005】
また、利用者から連絡を受けた保守会社は、点検する予定であった保守員がすぐに現地に向かうことができなければ、新たな保守員を手配することになる。そして、到着した保守員が異常音や異常振動が発生する場所を調査するため、エレベーターを復旧するまでに時間を要してしまう。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、保守作業を効率的に行うことができるエレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一態様のエレベーターシステムは、異常検出部と、情報判定部と、呼び受付部と、送受信部とを備える。異常検出部は、エレベーターの異常を検出する。情報判定部は、異常検出部がエレベーターの異常を検出した場合に、エレベーターの異常に関するアンケートを作成する。呼び受付部は、利用者の携帯端末からエレベーターの呼び登録を受付ける。送受信部は、エレベーターの呼び登録を行った利用者の携帯端末に、アンケートを送信し、利用者の携帯端末からアンケートの回答を受信する。また、情報判定部は、アンケートの回答を集計し、集計結果からエレベーターにおいて重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を決定する。そして、送受信部は、重点確認項目を保守員の携帯端末に送信する。
【0008】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様のエレベーターシステムの保守方法は、異常検出部が、エレベーターの異常を検出し、情報判定部は、異常検出部がエレベーターの異常を検出した場合に、エレベーターの異常に関するアンケートを作成する。呼び受付部は、利用者の携帯端末からエレベーターの呼び登録を受付け、送受信部は、エレベーターの呼び登録を行った利用者の携帯端末にアンケートを送信し、利用者の携帯端末からアンケートの回答を受信する。その後、情報判定部が、アンケートの回答を集計し、集計結果からエレベーターにおいて重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を決定する。そして、送受信部が、重点確認項目を保守員の携帯端末に送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法によれば、保守作業を効率的に行うことができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの概要を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムにおける各装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの保守処理の例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの保守処理の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態に係るアンケート作成処理の例を示すフローチャートである。
図6】異常が検出された診断項目に応じたアンケート項目の抽出を説明する表である。
図7】本発明の第1実施形態に係る利用者の携帯端末に表示するアンケート入力画面の一例を示す図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る重点確認項目の作成を説明する図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る利用者の携帯端末に表示する呼び登録画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムについて、図1図8を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
[エレベーターシステムの概要]
まず、本発明の第1実施形態に係るエレベーターシステムの概要について、図1を参照して説明する。
図1は、エレベーターシステムの概要を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、エレベーターシステムは、エレベーター1と、制御装置2と、監視装置3と、監視センター5と、利用者7の携帯端末8と、保守員9の携帯端末10とを備える。
【0014】
エレベーター1は、図示されないが、建屋の昇降路内に設けられた乗りかごと、一端が乗りかごに取付けられた主ロープと、この主ロープの他端が取付けられ、昇降路内に吊り下げられた釣合い錘とを有している。また、エレベーター1は、例えば、昇降路の上部に設けられた機械室に回転可能に設置され、主ロープが巻き掛けられた巻上機を有している。巻上機は、制御装置2から受信した制御信号に従って回転する。その結果、乗りかごは、釣合い錘に対して相対的に昇降する。
【0015】
制御装置2は、エレベーター1全体の制御を行う。制御装置2は、エレベーター1と通信可能に接続されている。制御装置2は、エレベーター1における乗りかごの昇降動作、乗りかごの昇降速度、ドアの開閉動作などを制御する。また、制御装置2は、監視装置3と通信可能に接続されている。制御装置2は、エレベーター1に異常が発生した場合に、その異常を監視装置3へ通知する。
【0016】
監視装置3は、制御装置2を介してエレベーター1の故障や異常を検出する。監視装置3は、本発明に係る異常検出部の一具体例を示す。監視センター5は、一般回線網4を介して監視装置3と接続されている。監視センター5には、監視員6が駐在している。監視員6は、監視センター5において、エレベーター1の監視情報を確認することができる。また、監視員6は、監視装置3から監視センター5に送信された異常の内容を確認した場合に、監視センター5を操作して、保守員9に保守作業の指示を出す。
【0017】
携帯端末8は、エレベーター1の利用者7が携行している。携帯端末8は、一般回線網4を介して監視センター5と接続される。携帯端末8は、エレベーター1のかご呼びを登録する機能を備える。すなわち、携帯端末8は、タッチレスでエレベーター1のかご呼びを行うことができる。携帯端末8は、かご呼びを登録するための呼び登録画面を表示する表示部を備える。
【0018】
携帯端末10は、保守員9が携行している。携帯端末10は、一般回線網4を介して監視センター5と接続される。携帯端末10は、監視員6からの指示を表示する表示部を備える。
【0019】
[各装置の構成]
次に、エレベーターシステムにおける各装置の構成について、図2を参照して説明する。
図2は、エレベーターシステムにおける各装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
(制御装置2)
図2に示すように、制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)等の制御部201、及び記憶部202を有するハードウェアと、記憶部202に記憶され、制御部201により実行されるソフトウェアとを備える。制御装置2では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、エレベーター1の動作制御に必要な機能が実現される。
【0021】
制御部201は、エレベーター1の昇降速度やドアの開閉動作を含むエレベーター1全体の動作を制御するための各種の演算を行う。記憶部202は、制御部201による演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、及び制御部201がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)等を有している。また、記憶部202は、エレベーター1の動作履歴、操作履歴、及び故障履歴等を記憶する。
【0022】
(監視装置3)
監視装置3は、制御装置2と同様に、CPU等の制御部301、及び記憶部302を有するハードウェアと、記憶部302に記憶され、制御部301により実行されるソフトウェアとを備える。監視装置3では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、監視装置3が実行する処理(例えば、エレベーター1の故障や異常を検出する処理)に必要な機能が実現される。
【0023】
制御部301は、エレベーター1の異常の有無を監視するための各種の演算を行う。記憶部302は、制御部301による演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD、及び制御部301がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等を有している。
【0024】
制御部301は、例えば、地震が発生した場合に制御装置2の制御部201に指令を出して、エレベーター1に診断運転をさせる。また、制御部301は、診断運転の際に計測した各種計測値に基づいて、エレベーター1を平常運転とするか運転停止とするかを判定する。また、制御部301は、診断運転の際に計測した各種計測値を、監視センター5に送信する。
【0025】
また、監視装置3は、呼び受信部303を有する。呼び受信部303は、監視センター5から後述する呼び作成指示を受信すると、制御部301を介して制御装置2に呼び作成を指示する。制御装置2の制御部201は、監視装置3から呼び作成指示を受信すると、呼びを作成する。
【0026】
(監視センター5)
監視センター5は、CPU等の制御部501、及び記憶部502を有するハードウェアと、記憶部502に記憶され、制御部501により実行されるソフトウェアとを備える。監視センター5では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、監視センター5が実行する処理に必要な機能が実現される。
【0027】
制御部501は、例えば、後述するアンケートを利用者7の携帯端末8に送信するための各種の演算を行う。制御部501は、携帯端末8にアンケートを送信すると共に、携帯端末8からアンケートの回答を受信する。制御部501は、本発明に係る送受信部の一具体例を示す。
【0028】
記憶部502は、制御部501による演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD、及び制御部501がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等を有している。記憶部502には、エレベーター情報502Aと、監視情報502Bと、利用者情報502Cが格納されている。
【0029】
エレベーター情報502Aは、エレベーターが設置されている建物名及び住所と、エレベーターの識別番号と、監視装置3の有無とを含む。監視情報502Bは、エレベーターの故障情報と、診断運転の測定結果と、アンケート対象情報と、アンケート結果(アンケートの回答)とを含む。アンケート対象情報は、複数のアンケート項目から構成されている。利用者情報502Cは、エレベーターに呼びを登録した、利用者IDと、利用者が乗り降りした階床情報(以下、「乗降階情報」とする)とを含む。
【0030】
また、監視センター5は、表示部503と、呼び受付部504と、情報判定部505とを有する。表示部503は、後述する情報判定部505が判定した結果を表示する。これにより、監視員6は、情報判定部505が判定した結果を確認することができる。表示部503としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを適用することができる。
【0031】
呼び受付部504は、携帯端末8より送信された呼び登録を受け付ける。呼び受付部504は、呼び登録を受信すると、エレベーター情報502Aを検索し、呼び登録対象のエレベーターシステムに監視装置3が有るか否かを判定する。そして、監視装置3が有ると判定した場合に、呼び受付部504は、監視装置3に呼び作成指示を送信する。
【0032】
情報判定部505は、例えば、アンケートを作成するための各種の演算を行う。また、情報判定部505は、監視情報502Bに格納されたアンケートを集計し、重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を作成する。さらに、情報判定部505は、重点確認項目を表示部503に表示させる。これにより、監視員6は、重点確認項目を確認することができる。
【0033】
(携帯端末8)
携帯端末8は、CPU等の制御部801、及び記憶部802を有するハードウェアと、記憶部802に記憶され、制御部801により実行されるソフトウェアとを備える。携帯端末8では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、携帯端末8が実行する処理に必要な機能が実現される。
【0034】
制御部801は、例えば、受信したアンケートを表示するための各種の演算を行う。記憶部802は、制御部801による演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD、及び制御部801がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等を有している。記憶部802には、エレベーター情報802Aと、利用者情報802Bが格納されている。エレベーター情報802Aは、エレベーター1の識別番号を含む。利用者情報802Bは、利用者IDを含む。
【0035】
また、携帯端末8は、表示部803と、呼び登録部804を有する。表示部803は、エレベーター1に対して呼び登録を行うための呼び登録入力画面を表示する。また、表示部803は、監視センター5から送信されたアンケートに回答するためのアンケート入力画面を表示する。呼び登録部804は、利用者7が呼び登録入力画面において、エレベーター1に対して呼び登録を行った際に、エレベーター情報802Aと呼び階床を、制御部801を介して監視センター5に送信する。
【0036】
(携帯端末10)
携帯端末8は、CPU等の制御部1001、及び記憶部1002を有するハードウェアと、記憶部1002に記憶され、制御部1001により実行されるソフトウェアとを備える。携帯端末10では、ハードウェアとソフトウェアとが協働することにより、携帯端末10が実行する処理に必要な機能が実現される。
【0037】
制御部1001は、例えば、受信したアンケートの回答の集計結果や重点確認項目を表示するための各種の演算を行う。記憶部1002は、制御部1001による演算を実行するためのプログラムを格納するROMやHDD、及び制御部1001がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM等を有している。
【0038】
携帯端末10は、表示部1003を有する。表示部1003は、監視センター5から送信されたアンケートの回答の集計結果を表示する。また、表示部1003は、監視センター5から送信された重点確認項目を表示する。これにより、保守員9は、アンケートの回答の集計結果や重点確認項目を確認することができる。
【0039】
[保守処理]
次に、本実施形態に係るエレベーターシステムの保守処理について、図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4は、本実施形態に係るエレベーターシステムの保守処理の例を示すフローチャートである。
【0040】
エレベーター1が設置されている地域で地震が発生した場合に、制御装置2は、地震を検出する。そして、監視装置3は、制御装置2に指令を出して、エレベーター1に診断運転を実施させる(S1)。診断運転が終了すると、制御装置2は、診断結果を監視装置3に送信する。
【0041】
次に、監視装置3は、診断結果は全ての診断項目で良であるか否かを判定する(S2)。診断運転では、例えば、釣合い錘とすれ違わない方向に乗りかごをゆっくり降下させて、巻上機のトルクを検出する。監視装置3は、検出されたトルクに故障判定閾値以上の変化があれば、主ロープに何らか(昇降路内の機器など)の引っ掛かりがあると判定し、診断項目のうちの「昇降路機器のロープ類の引っ掛かり」を不良にする。一方、検出されたトルクの変化が故障判定閾値未満であれば、診断項目のうちの「ロープ類の引っ掛かり」を良にする。
【0042】
S2において、監視装置3が診断結果は全ての診断項目で良でないと判定したとき(S2がNO判定の場合)、監視装置3は、制御装置2に指令を出して、エレベーター1の運転を停止する(S3)。S3の処理後、エレベーターシステムは、保守処理を終了する。一方、S2において、監視装置3が診断結果は全ての診断項目で良であると判定したとき(S2がYES判定の場合)、監視装置3は、制御装置2に指令を出して、エレベーター1を平常運転に戻す(S4)。
【0043】
次に、監視装置3は、診断結果の測定値がアンケート作成閾値以上の診断項目が有るか否かを判定する(S5)。すなわち、各診断項目の測定値をXとした場合に、次の関係式を満たすと、S5がYES判定となる。なお、アンケート作成閾値、及び故障判定閾値は、診断項目に応じて予め定められている。また、アンケート作成閾値は、故障判定閾値よりも小さい。
アンケート作成閾値≦X<故障判定閾値
【0044】
一方、次の関係式を満たす場合は、S5がNO判定となる。
X<アンケート作成閾値
【0045】
S5において、監視装置3が、診断結果の測定値がアンケート作成閾値以上の診断項目が無いと判定したとき(S5がNO判定の場合)、エレベーターシステムは、保守処理を終了する。
【0046】
一方、S5において、監視装置3が、診断結果の測定値がアンケート作成閾値以上の診断項目が有ると判定したとき(S5がYES判定の場合)、監視装置3は、監視センター5の制御部501に診断結果の測定値を送信する。そして、監視センター5の制御部501は、診断結果の測定値を監視情報502Bとして記憶部502に格納すると共に、エレベーター1をアンケート対象に設定する(S6)。
【0047】
次に、利用者7が、携帯端末8を操作してエレベーター1の呼び登録を行う。携帯端末8の呼び登録部804は、エレベーター1の識別番号を含むエレベーター情報802Aと、利用者IDを含む利用者情報802Bと、呼び登録の情報を監視センター5の制御部501に送信する。そして、監視センター5の制御部501は、該当する監視装置3の呼び受信部303に呼び作成指示を送信する(S7)。
【0048】
次に、監視装置3の呼び受信部303は、制御部301を介して制御装置2に呼び作成を指示する。制御装置2の制御部201は、監視装置3から呼び作成指示を受信すると、呼びを作成する。すなわち、制御装置2は、エレベーター1の乗りかごを利用者7がいる階に配車する(S8)。そして、利用者7は、エレベーター1の乗りかごに乗車して、行先階へ移動する(S9)。
【0049】
次に、監視センター5の情報判定部505は、アンケート作成処理を行う(S10)。S10の処理において、情報判定部505は、アンケートを作成するか否かを決定し、アンケートを作成すると決定した場合に、アンケートを作成する。S10の処理については、後で図5を参照して説明する。
【0050】
次に、監視センター5の制御部501は、アンケートが有るか否かを判定する(S11)。S11において、アンケートが無いと判定したとき(S11がNO判定の場合)、エレベーターシステムは、保守処理を終了する。一方、S11において、アンケートが有ると判定したとき(S11がYES判定の場合)、監視センター5の制御部501は、アンケートを携帯端末8に送信する(S12)。アンケートを受信した携帯端末8の制御部801は、表示部803にアンケート入力画面を表示させる。
【0051】
次に、監視センター5の情報判定部505は、利用者7がアンケートに回答したか否かを判定する(S13)。情報判定部505は、予め定められた所定期間が経過するまで、アンケートの回答を待つ。そして、情報判定部505は、所定期間が経過するまでにアンケートの回答を受信し場合に、利用者7がアンケートに回答したと判定する。また、情報判定部505は、所定期間を経過してもアンケートの回答を受信しなかった場合に、利用者7がアンケートに回答しなかったと判定する。
【0052】
S13において、利用者がアンケートに回答したと判定したとき(S13がYES判定の場合)、監視センター5の制御部501は、アンケートの結果を監視情報502Bとして記憶部502に格納する(S14)。一方、S13において、利用者がアンケートに回答しなかったと判定したとき(S13がNO判定の場合)、制御部501は、「アンケート回答無し」を監視情報502Bとして記憶部502に格納する(S15)。
【0053】
そして、予め定めた特定期間(例えば1時間)が経過するまで、利用者を変えてS7からS15の処理を繰り返す(S16)。本実施形態の特定期間は、上述したアンケートの回答を待つ所定期間よりも長く設定されている。なお、特定期間は、所定期間と同じ長さであってもよい。
【0054】
次に、監視センター5の情報判定部505は、アンケートの回答を集計し、異常であるという回答が多い箇所を重点確認項目として表示部503に表示させる(S17)。これにより、監視員6は、重点確認項目を認識することができる。
【0055】
また、S17の処理において、情報判定部505は、重点確認項目を保守員9の携帯端末10に送信する。そして、携帯端末10の制御部1001は、重点確認項目を表示部1003に表示させる。これにより、保守員9は、重点的に保守作業を行う部分を認識することができ、保守作業を効率的に行うことができる。
【0056】
[アンケート作成処理]
次に、保守処理のS10において行うアンケート作成処理について、図5を参照して説明する。
図5は、アンケート作成処理の例を示すフローチャートである。
【0057】
まず、監視センター5の情報判定部505は、異常情報及び異常の発生階を取得する(S21)。異常情報は、アンケート作成閾値以上であった測定値と、その測定値に関連する診断項目を含む。次に、情報判定部505は、エレベーター1がアンケート対象であるか否かを判定する(S22)。なお、アンケート対象は、図3に示す保守処理のS6において設定される。
【0058】
S22において、エレベーター1がアンケート対象でないと判定したとき(S22がNO判定の場合)、情報判定部505は、アンケート作成処理を終了する。すなわち、情報判定部505は、アンケートを作成しないことを決定する。一方、S22において、エレベーター1がアンケート対象であると判定したとき(S22がYES判定の場合)、情報判定部505は、利用者7の乗降階情報を取得する(S23)。
【0059】
次に、情報判定部505は、S21において取得した異常情報が発生階に関係しない診断項目であるか否かを判定する(S24)。例えば、診断項目が「機器の作動異常」である場合は、情報判定部505が診断結果から発生階を検出しない。そのため、情報判定部505は、発生階に関係しない診断項目であると判定する。一方、診断項目が「ロープの引っかかり」である場合は、情報判定部505が診断結果から発生階を検出する。そのため、情報判定部505は、発生階に関係する診断項目であると判定する。
【0060】
S24において、発生階に関係しない診断項目であると判定したとき(S24がYES判定の場合)、情報判定部505は、S26の処理に移行する。一方、S24において、発生階に関係しない診断項目でないと判定したとき(S24がNO判定の場合)、情報判定部505は、S23において取得した乗降階情報に基づいて、利用者7が乗った乗りかごは発生階を通過したか否かを判定する(S25)。
【0061】
S25において、利用者7が乗った乗りかごは発生階を通過してないと判定したとき(S25がNO判定の場合)、情報判定部505は、アンケート作成処理を終了する。すなわち、情報判定部505は、異常が発生したと推定される階を通過していない乗りかごに乗った利用者7に対しては、アンケートを送信しない。これにより、異常が発生していない確率が高い場所で利用者7が異常を感じても、その異常はアンケートの回答として集計されない。その結果、アンケートの集計結果の信頼性を高めることができる。
【0062】
一方、S25において、利用者7が乗った乗りかごは発生階を通過したと判定したとき(S25がYES判定の場合)、又はS24がYES判定の場合、情報判定部505は、アンケートを作成する(S26)。アンケートの作成は、記憶部502に格納された監視情報502Bに含まれる複数のアンケート項目から、異常を検出した診断項目に対応するアンケート項目を抽出することにより行われる。S26の処理後、情報判定部505は、アンケート作成処理を終了する。
【0063】
本実施形態は、発生階に関係しない診断項目に対応するアンケート、又は発生階に関係する診断項目に対応するアンケートを作成するようにした。しかし、本発明に係るアンケートとしては、発生階に関係しない診断項目と発生階に関係する診断項目において異常が検出された場合に、その両方に関するアンケートを作成するようにしてもよい。
【0064】
[アンケート項目の抽出]
次に、アンケート項目の抽出について、図6を参照して説明する。
図6は、異常が検出された診断項目に応じたアンケート項目の抽出を説明する表である。
【0065】
図6には、診断項目として、「ロープの引っかかり」、「かごと釣合い重りの衝突」、「機器の作動異常」、「戸開平異常」、「位置ずれ」が挙げられている。
【0066】
「ロープの引っかかり」の診断は、釣合い重りとすれ違わない方向に乗りかごを昇降して、巻上げ機のトルクを検出する。巻上げ機の検出トルクが故障判定閾値以上である場合は、エレベーターの運転を停止するため、アンケート項目は抽出されない。
【0067】
「ロープの引っかかり」の診断において、巻上げ機の検出トルクが故障判定閾値未満であり、且つ、アンケート作成閾値以上である場合は、異常が検出される。この場合は、アンケート項目として、「普段と異なるかごの揺れを感じましたか」、「かご停止時に普段と異なる振動を感じましたか」、「エレベーターを降りるときに段差はありましたか」が抽出される。
【0068】
また、故障判定閾値未満であり、且つ、アンケート作成閾値以上であるトルクが検出された階床が、発生階となる。したがって、「ロープの引っかかり」は、発生階に関係する診断項目である。なお、故障判定閾値及びアンケート作成閾値は、診断項目に応じて適宜設定される。
【0069】
「かごと釣合い重りの衝突」の診断は、釣合い重りとすれ違う位置に乗りかごを昇降して、巻上げ機のトルクを検出する。巻上げ機の検出トルクが故障判定閾値以上である場合は、エレベーターの運転を停止するため、アンケート項目は抽出されない。
【0070】
「かごと釣合い重りの衝突」の診断において、巻上げ機の検出トルクが故障判定閾値未満であり、且つ、アンケート作成閾値以上である場合は、異常が検出される。この場合は、アンケート項目として、「普段と異なるかごの揺れを感じましたか」、「かご停止時に普段と異なる振動を感じましたか」、「エレベーターを降りるときに段差はありましたか」が抽出される。また、釣合い重りと乗りかごがすれ違う階床が、発生階となる。したがって、「かごと釣合い重りの衝突」は、発生階に関係する診断項目である。
【0071】
「機器の作動異常」の診断は、昇降路に設置された機器の作動において、機器用異常コード又は機器用特定異常コードが出力されたか否かを検出する。機器用異常コードが出力された場合は、エレベーターの運転を停止するため、アンケート項目は抽出されない。機器用異常コードは、エレベーター1の運転を停止して、機器の保守・点検、或いは交換が必要な場合に出力される。
【0072】
昇降路機器の作動において、機器用特定異常コードが出力された場合は、異常が検出される。この場合は、アンケートの項目として、「かご停止時に普段と異なる振動を感じましたか」、「エレベーターを降りるときに段差はありましたか」が抽出される。「昇降路機器の作動異常」は、発生階に関係しない診断項目である。機器用特定異常コードは、エレベーター1を平常運転させることができる程度に機器が作動するが、保守・点検が必要な場合に出力される。
【0073】
「戸開平異常」の診断は、ドアの開平において、ドア用異常コード又はドア用特定異常コードが出力されたか否かを検出する。ドア用異常コードが出力された場合は、エレベーターの運転を停止するため、アンケート項目は抽出されない。ドア用異常コードは、エレベーター1の運転を停止して、ドアの保守・点検、或いは交換が必要な場合に出力される。
【0074】
ドアの開平において、ドア用特定異常コードが出力された場合は、異常が検出される。この場合は、アンケートの項目として、「ドア開閉時に異常音はありましたか」、「エレベーターを降りるときに段差はありましたか」、「ドアが普段と異なる動きをしましたか」が抽出される。「戸開平異常」は、発生階に関係しない診断項目である。
【0075】
「位置ずれ」の診断は、乗りかごと乗り場に設けたセンサーが両者のずれを検出する。「位置ずれ」の診断において、乗りかごと乗り場のずれが故障判定閾値以上である場合は、エレベーターの運転を停止するため、アンケート項目は抽出されない。
【0076】
「位置ずれ」の診断において、乗りかごと乗り場のずれが故障判定閾値未満であり、且つ、アンケート作成閾値以上である場合は、異常が検出される。この場合は、アンケート項目として、「ドア開閉時に異常音はありましたか」、「エレベーターを降りるときに段差はありましたか」、「ドアが普段と異なる動きをしましたか」が抽出される。「位置ずれ」は、発生階に関係しない診断項目である。
【0077】
[アンケート入力画面]
次に、利用者7の携帯端末8に表示するアンケート入力画面の一例について、図7を参照して説明する。
図7は、利用者7の携帯端末8に表示するアンケート入力画面の一例を示す図である。
【0078】
図7は、「昇降路機器のロープ類の引っかかり」に係るアンケート項目が抽出されたアンケート入力画面である。図7に示すように、アンケート入力画面には、「普段と異なるかごの揺れを感じましたか」等の3つのアンケート項目831と、各アンケート項目に対する回答の選択肢832と、回答送信ボタン833が表示される。
【0079】
選択肢832は、「不明」、「有」、「無」を有する。「有」は、揺れや振動、段差を感じた場合に選択され、「無」は、揺れや振動、段差を感じなかった場合に選択される。「不明」は、揺れや振動、段差を感じたか感じなかったか分からない場合に選択される。
回答送信ボタン833が押されると、制御部801は、選択肢832により選択された回答を監視センター5に送信する。
【0080】
[重点確認項目の作成]
次に、重点確認項目の作成について、図8を参照して説明する。
図8は、重点確認項目の作成を説明する図である。
【0081】
図8は、例として、アンケートの項目のうちの「普段と異なるかごの揺れはあったか」に対する回答の集計を示している。このアンケート項目は、例えば、「昇降路機器のロープ類の引っかかり」の診断において、巻上げ機の検出トルクがアンケート作成閾値以上である場合に抽出されたものとする。また、診断運転において、アンケート作成閾値以上のトルクを検出した発生階は、3階とする。
【0082】
図8に示すように、利用者7Aは、診断運転後に1階から6階(反対でもよい)まで乗りかごに乗車した。そして、利用者7Aは、「普段と異なるかごの揺れはあったか」というアンケート項目に対して、「感じた(有)」と回答した。利用者7Bは、診断運転後に2階から4階(反対でもよい)まで乗りかごに乗車した。そして、利用者7Bは、「普段と異なるかごの揺れはあったか」というアンケート項目に対して、「感じた(有)」と回答した。
【0083】
利用者7Cは、診断運転後に4階から6階(反対でもよい)まで乗りかごに乗車した。利用者7が乗車した乗りかごは、発生階である3階を通過していない。そのため、利用者7Aの携帯端末8には、アンケートが送信されない。したがって、利用者7Cの携帯端末8からはアンケートの回答が返信されない。
【0084】
利用者7Dは、診断運転後に2階から3階(反対でもよい)まで乗りかごに乗車した。そして、利用者7Dは、「普段と異なるかごの揺れはあったか」というアンケート項目に対して、「感じた(有)」と回答した。利用者7Eは、診断運転後に3階から4階(反対でもよい)まで乗りかごに乗車した。そして、利用者7Eは、「普段と異なるかごの揺れはあったか」というアンケート項目に対して、「感じない(無)」と回答した。
【0085】
重点確認項目を作成する場合に、監視センター5の情報判定部505は、利用者7が乗った乗りかごが通過した各階に対して、利用者7のアンケート結果に応じたポイントを加算する。具体的には、「感じた(有)」の回答には「+1」を加算し、「感じない(無)」の回答には「-1」を加算する。また、「わからない(不明)」の回答には「0」を加算する。
【0086】
例えば、利用者7Aは、1階から6階(反対でもよい)まで乗りかごに乗車して、「感じた(有)」と回答したため、1階から6階の各階に「+1」を加算する。一方、利用者7Eは、3階から4階(反対でもよい)まで乗りかごに乗車して、「感じない(無)」と回答したため、3階と4階に「-1」を加算する。このように、ポイントを加算することにより、ポイントの合計値は、1階が「+1」、2階が「+3」、3階が「+2」、4階が「+1」、5階が「+1」、6階が「+1」となる。
【0087】
本例では、重点箇所閾値として「+2」を設定する。つまり、情報判定部505は、ポイントの合計値が「+2」以上の階である2階と3階を重点階に決定する。そして、情報判定部505は、診断項目と重点階に基づいて、「昇降路機器のロープ類の引っかかりについて2階と3階を重点的に確認してください」という重点確認項目を作成する。なお、重点確認項目の文言は、適宜設定することができる。
【0088】
情報判定部505は、表示部503に重点確認項目を表示させる。これにより、監視員6は、重点確認項目を認識することができる。なお、情報判定部505は、重点確認項目と一緒に、アンケートの集計結果を表示させてもよい。これにより、監視員6は、「感じた(有)」、「感じない(無)」、「わからない(不明)」のそれぞれの合計人数を把握することができる。
【0089】
また、情報判定部505は、制御部501を介して保守員9の携帯端末10に重点確認項目を送信する。重点確認項目を受信した携帯端末10の制御部1001は、表示部1003に重点確認項目を表示させる。これにより、保守員9は、重点確認項目を認識することができる。なお、情報判定部505は、重点確認項目と一緒に、アンケートの集計結果を携帯端末10に送信してもよい。これより、携帯端末10の制御部1001は、表示部1003に重点確認項目とアンケートの集計結果を表示させる。その結果、保守員9は、「感じた(有)」、「感じない(無)」、「わからない(不明)」のそれぞれの合計人数を把握することができる。
【0090】
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態に係るエレベーターシステムの保守処理について、図9を参照して説明する。
図9は、第2実施形態に係る利用者の携帯端末に表示する呼び登録画面の一例を示す図である。
【0091】
第2実施形態に係るエレベーターシステムは、第1実施形態に係るエレベーターシステムと同じ構成であり、保守処理が第1実施形態と異なる。そのため、ここでは、第2実施形態に係るエレベーターシステムの保守処理について説明する。
【0092】
第1実施形態に係る保守処理では、利用者7がエレベーター1の乗りかごに乗って行先階へ移動した(図3のS9参照)後に、アンケートを作成(図4のS10参照)し、作成したアンケートを携帯端末8に送信(図4のS12参照)した。一方、第2の実施形態に係る保守処理では、利用者7が携帯端末8で呼び登録を行ったときに、アンケートを作成し、作成したアンケートを携帯端末8に送信する。これにより、アンケートは、利用者7がエレベーター1の乗りかごに乗る前に携帯端末8に送信される。
【0093】
図9は、呼び登録後に、アンケートへの協力をお願いする通知を表示したものである。図9に示すように、呼び登録画面には、利用者7が現在いる階を入力するための現在階の選択ボタン811と、利用者7の行先階を入力するための行先階の選択ボタン812と、エレベーター呼び登録ボタン813とが表示される。
【0094】
例えば、利用者7は、現在いる階として1F(1階)を入力し、行先階として6F(6階)を入力し、エレベーター呼び登録ボタン813を押す。これにより、携帯端末8は、利用者7の呼び登録の情報を監視センター5に送信する。監視センター5の情報判定部505は、利用者7の呼び登録の情報から乗降階情報を取得する。そして、情報判定部505は、アンケート作成処理を行う。
【0095】
アンケート作成処理において、アンケートが作成された場合に、監視センター5の制御部501は、アンケートを携帯端末8に送信する。アンケートを受信した携帯端末8の制御部801は、図9に示すように、呼び登録画面にアンケートへの協力をお願いするアンケート依頼通知814を表示する。アンケート依頼通知814を押すと、携帯端末8の制御部801は、図7に示すようなアンケート作成画面を表示部803に表示させる。
【0096】
第2実施形態に係る呼び登録では、利用者7がエレベーター1の乗りかごに乗る前や乗っているときにアンケートの内容を確認することができる。これにより、乗りかごに乗車中に注目する点を利用者7に認識させることができる。
【0097】
3.まとめ
以上説明したように、上述した実施形態のエレベーターシステムは、監視装置3(異常検出部)と、情報判定部505と、呼び受付部504と、制御部501(送受信部)とを備える。監視装置3は、エレベーター1の異常を検出する。情報判定部505は、監視装置3がエレベーター1の異常を検出した場合に、エレベーター1の異常に関するアンケートを作成する。呼び受付部504は、利用者7の携帯端末8からエレベーター1の呼び登録を受付ける。制御部501は、エレベーター1の呼び登録を行った利用者7の携帯端末8に、アンケートを送信し、利用者7の携帯端末8からアンケートの回答を受信する。また、情報判定部505は、アンケートの回答を集計し、集計結果からエレベーター1において重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を作成する。そして、制御部501は、重点確認項目を保守員9の携帯端末10に送信する。これにより、保守員9は、重点的に保守作業を行う部分を認識することができ、保守作業を効率的に行うことができる。
【0098】
また、上述した実施形態における監視装置3(異常検出部)は、エレベーター1の異常を検出した階である発生階を特定する。そして、情報判定部505は、エレベーター1の呼び登録に応じて昇降する乗りかごが発生階を通過する場合に、アンケートを作成する。これにより、異常が発生していない確率が高い場所で利用者7が異常を感じても、その異常はアンケートの回答として集計されない。その結果、アンケートの集計結果の信頼性を高めることができる。
【0099】
また、上述した実施形態における情報判定部505は、エレベーター1の呼び登録に応じて昇降する乗りかごが通過した各階に対して、アンケート結果に応じたポイントを加算し、ポイントの合計が予め定めた重点箇所閾値を越えた階を重点確認項目に含める。これにより、保守員9は、重点的に保守作業を行う階を認識することができ、保守作業を効率的に行うことができる。
【0100】
また、上述した実施形態における監視装置3(異常検出部)は、エレベーター1を診断運転させて、その診断運転において測定した測定値が予め定めた故障判定閾値以上である場合に、エレベーター1の運転を停止する。また、測定値が故障判定閾値未満であり、且つ、予め定めたアンケート作成閾値以上である場合に、異常を検出する。これにより、エレベーター1の運転を停止するほどではないが、保守作業を行う必要がある異常を検出した場合に、アンケートを作成することができる。その結果、アンケートの集計結果に基づいて重点確認項目を作成することができる。したがって、保守員9は、保守作業を効率的に行うことができる。
【0101】
また、上述した実施形態におけるエレベーターシステムの保守方法は、監視装置3(異常検出部)が、エレベーターの異常を検出し、情報判定部505は、監視装置3がエレベーター1の異常を検出した場合に、エレベーター1の異常に関するアンケートを作成する。呼び受付部504は、利用者7の携帯端末8からエレベーター1の呼び登録を受付け、制御部501(送受信部)が、エレベーター1の呼び登録を行った利用者7の携帯端末8にアンケートを送信し、利用者7の携帯端末8からアンケートの回答を受信する。その後、情報判定部505が、アンケートの回答を集計し、集計結果からエレベーター1において重点的に保守作業を行う部分を示す重点確認項目を作成する。そして、制御部501が、重点確認項目を保守員9の携帯端末10に送信する。これにより、保守員9は、重点的に保守作業を行う部分を認識することができ、保守作業を効率的に行うことができる。
【0102】
以上、本発明のエレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のエレベーターシステム及びエレベーターシステムの保守方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0103】
例えば、上述した実施形態では、監視装置3(異常検出部)と監視センター5が一般回線網4を介して接続されている。しかし、本発明に係る異常検出部は、情報判定部、制御部等と同じハードウェアとして構成されていてもよい。また、上述した実施形態では、地震が発生した場合に、診断運転を行った。しかし、本発明に係る異常を検出するための診断運転は、地震発生時に限定されず、例えば、定期的に行うものであってもよい。
【0104】
また、上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1…エレベーター、 2…制御装置、 3…監視装置(異常検出部)、 4…一般回線網、 5…監視センター、 6…監視員、 7…利用者、 8…携帯端末、 9…保守員、 10…携帯端末、 501…制御部(送受信部)、 502…記憶部、 502A…エレベーター情報、 502B…監視情報、 502C…利用者情報、 503…表示部、 504…呼び受付部、 505…情報判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9