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特開2022-178118防護パネル、防護パネル付き扉、及び防護パネル付きボックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178118
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】防護パネル、防護パネル付き扉、及び防護パネル付きボックス
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/08 20060101AFI20221125BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20221125BHJP
   A61G 10/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
E04H3/08 C
F24F7/06 C
A61G10/02 M
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084675
(22)【出願日】2021-05-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】518070618
【氏名又は名称】株式会社レブセル
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 健二
【テーマコード(参考)】
3L058
4C341
【Fターム(参考)】
3L058BF03
4C341JJ01
4C341KK07
4C341KL04
4C341LL06
(57)【要約】
【課題】板部の表側と裏側との間で物を移動させる際に、板部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのを防止することが可能な防護パネル、防護パネル付き扉、及び防護パネル付きボックスを提供する。
【解決手段】防護パネル10は、板部11と、物を板部11の裏側から表側へあるいは裏側から表側へ移動させるためのケース部20とを備える。ケース部20は、板部11に貫通して配置されている。板部11は、ケース部20よりも上方に設けられた腕部挿入口15及び16を含む。ケース部20は、板部11の裏側の部分の上面を開閉可能な第1扉であって、腕部挿入口15又は16に挿入されたユーザの手又は腕部により開閉される第1扉と、ケース部20の表側の部分の側面を開閉可能な第2扉と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光を透過する板部と、
物を前記板部の裏側から表側へあるいは表側から裏側へ移動させるために当該物が内部に配置されるケース部であって、前記板部に貫通して配置されたケース部と、を備え、
前記板部は、表側からユーザの手及び腕部が挿入される少なくとも1つの腕部挿入口であって、前記ケース部よりも上方に設けられた少なくとも1つの腕部挿入口を含み、
前記ケース部は、
前記ケース部のうちの前記板部の裏側の部分の上面を開閉可能な第1扉であって、前記少なくとも1つの腕部挿入口に挿入されたユーザの手又は腕部により開閉される第1扉と、
前記ケース部のうちの前記裏側の部分よりも表側の部分の上面又は側面を開閉可能な第2扉と、を含む、防護パネル。
【請求項2】
前記ケース部のうちの前記板部から裏側に突出する長さは、前記ケース部のうちの前記板部から表側へ突出する長さよりも大きい、請求項1に記載の防護パネル。
【請求項3】
前記第1扉は、スライド移動して開閉可能に構成されている、請求項1または2に記載の防護パネル。
【請求項4】
前記ケース部のうちの前記裏側の部分の上面は、物を一時的に載置するための載置部を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の防護パネル。
【請求項5】
前記第2扉は、前記表側の部分の側面に配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の防護パネル。
【請求項6】
前記ケース部は、可視光を透過する材料により構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の防護パネル。
【請求項7】
前記少なくとも1つの腕部挿入口は、前記ケース部の上方に設けられた一対の腕部挿入口を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の防護パネル。
【請求項8】
前記板部は、貫通孔を有し、
前記貫通孔を塞いで配置された可撓性の部材を含む圧力確認部材を、さらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の防護パネル。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の防護パネルと、
前記防護パネルを回動可能に構造物に接続するヒンジと、を備えた、防護パネル付き扉。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の防護パネルが一壁部として構成されたボックス本体部を備え、
前記第1扉は、前記ボックス本体部の内部に配置されている、防護パネル付きボックス。
【請求項11】
前記ボックス本体部内を陰圧にする排気装置をさらに備える、請求項10に記載の防護パネル付きボックス。
【請求項12】
前記ボックス本体部の底部に配置された車輪であって、前記ボックス本体部を移動させる車輪をさらに備える、請求項10または11に記載の防護パネル付きボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護パネル、防護パネル付き扉、及び防護パネル付きボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体を採取するための防護パネル付きボックスが知られている。例えば、特許文献1には、側面部材を有する検体採取ボックスが開示されている。この側面部材には、検体採取者の腕部が挿入される開口部が設けられている。検体採取者は、検体採取ボックス内に入った状態で、開口部を介して腕部を検体採取ボックスの外に出し、検体採取ボックスの外に居る被検者から検体を採取する。これにより、被検者の検体を採取する作業中に、被検者がくしゃみや咳を行った場合でも、検体採取ボックス内の検体採取者に飛沫が付くのを防止することが可能となる。その結果、被検者が感染症を患っている場合でも、検体採取者が二次感染することが防止されている。
【0003】
また、従来、化学実験で用いられるドラフトチャンバーが知られている。例えば、特許文献2には、装置内部が陰圧の状態で、開口部を介して実験対象物に対して作業可能なドラフトチャンバーが開示されている。このドラフトチャンバーでは、前面部に設けられた開口部から装置内部に空気が流入することにより、作業者側に、実験作業中に実験対象物から発生する有害な気体が漏洩するのが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3228999号公報
【0005】
【特許文献2】特開2015-39646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1及び上記特許文献2に記載されている装置では、ユーザが検体を採取する作業又は実験作業中に、側面部材又は前面部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのが防止されている。しかしながら、上記特許文献1及び上記特許文献2に記載されている装置では、ユーザの作業後にユーザが物(検体や実験対象物)を取得する際においては、側面部材又は前面部(板部)よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのが防止されているとはいえない。すなわち、上記特許文献1の検体採取ボックスでは、検体採取作業後に、検体(物)を検体採取者の手から他の場所に移動させる場合、検体採取者とは別に、検体採取ボックス外で検体採取者の手から検体を受け取る作業者が必要となる。このため、この物を受け取る作業者と被検者とは共に、検体採取ボックスの外に居る状態となるため、当該作業者(ユーザ)が二次感染する可能性がある。また、上記特許文献2のドラフトチャンバーでは、実験作業後に開口部が開いた状態のまま、ドラフトチャンバーから実験対象物を取り出すことになり、実験対象物を取り出す際に開口部を介してドラフトチャンバーから外部に気体が漏れ出す場合がある。また、ユーザ側(表側)から板部を越えて裏側に物を移動させる際にも、上記の場面において、有害な物質がユーザ側に及ぶ可能性がある。
【0007】
この開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、板部の表側と裏側との間で物を移動させる際に、板部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのを防止することが可能な防護パネル、防護パネル付き扉、及び防護パネル付きボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、以下に開示する、本開示の第1の態様に係る防護パネルは、可視光を透過する板部と、物を前記板部の裏側から表側へあるいは表側から裏側へ移動させるために当該物が内部に配置されるケース部であって、前記板部に貫通して配置されたケース部と、を備え、前記板部は、表側からユーザの手及び腕部が挿入される少なくとも1つの腕部挿入口であって、前記ケース部よりも上方に設けられた少なくとも1つの腕部挿入口を含み、前記ケース部は、前記ケース部のうちの前記板部の裏側の部分の上面を開閉可能な第1扉であって、前記少なくとも1つの腕部挿入口に挿入されたユーザの手又は腕部により開閉される第1扉と、前記ケース部のうちの前記裏側の部分よりも前記表側の部分の上面又は側面を開閉可能な第2扉と、を含む。なお、本開示では、「物」とは、人体から得られる「検体」、人以外の動物から得られる検査対象物、及び化学分野における「実験対象物」のみならず、ワクチンなどの薬剤や注射器、差し入れ等の飲食物、本などの娯楽物なども含まれる、広い概念を意味している。
【0009】
本開示の第2の態様に係る防護パネル付き扉は、第1の態様に係る防護パネルと、前記防護パネルを回動可能に構造物に接続するヒンジと、を備える。
【0010】
本開示の第3の態様に係る防護パネル付きボックスは、第1の態様に係る防護パネルが一壁部として構成されたボックス本体部を備え、前記第1扉は、前記ボックス本体部の内部に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
上記の第1~第3の態様の構成によれば、板部の表側と裏側との間で物を移動させる際に、板部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態における防護パネル付きボックス100の構成を示す斜視図である。
図2図2は、排気装置3の配置位置を説明するための図である。
図3図3は、防護パネル10の正面図である。
図4図4は、防護パネル10のうちのケース部20が配置された部分の断面図である。
図5A図5Aは、部分21に設けられた扉21aが閉じた状態を示す図である。
図5B図5Bは、部分21に設けられた扉21aが開いた状態を示す図である。
図6A図6Aは、部分22に設けられた扉22aが閉じた状態を示す図である。
図6B図6Bは、部分22に設けられた扉22aが開いた状態を示す図である。
図7A図7Aは、防護パネル付きボックス100内が陰圧でない場合の圧力確認部材30の状態を示す図である。
図7B図7Bは、防護パネル付きボックス100内が陰圧である場合の圧力確認部材30の状態を示す図である。
図8図8は、第2実施形態における防護パネル付き扉200の斜視図である。
図9図9は、第3実施形態における防護パネル310の斜視図である。
図10図10は、第4実施形態におけるドラフトチャンバー400の斜視図である。
図11図11は、第1~第4実施形態の第1変形例による防護パネル510の斜視図である。
図12図12は、第1~第4実施形態の第2変形例による防護パネル付きボックス600一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における防護パネル付きボックス100(以下、「ボックス100」という)の構成を示す斜視図である。図2は、排気装置3の配置位置を説明するための図である。ボックス100は、被検者から物を採取するための装置である。例えば、ボックス100は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染の有無を検査するために、被検者から物としての検体を採取する際に使用される。このような感染の可能性がある被検者から検体を採取する場合、被検者からの飛沫が検体採取者にかかるのを防止する必要がある。第1実施形態では、ボックス100の内部に被検者が入った状態で、外部から検体採取者が検体を採取する。これにより、被検者と検体採取者とがボックス100の防護パネル10を隔てた状態で、検体が採取されるので、被検者からの飛沫が検体採取者にかかるのが防止することが可能となる。
【0015】
図1に示すように、ボックス100は、ボックス本体部1と、複数の車輪2とを備える。ボックス本体部1は、例えば、直方体形状を有する。そして、ボックス本体部1は、防護パネル10と、複数の柱状部材1aと、上面パネル1bと、側面パネル1cと、ボックス扉1dと、底板1eとを含む。複数の柱状部材1aは、これに限られないが、アルミフレーム材を用いることができる。上面パネル1bと側面パネル1cとは、可視光を透過する材料(透明な材料)により構成されている。また、ボックス扉1dの一部には、可視光を透過する材料により構成されている。上記の可視光を透過する材料としては、これに限られないが、透明のアクリル樹脂を用いることができる。
【0016】
また、図1に示すように、防護パネル10は、ボックス本体部1の一壁部(X1側の壁部)として構成されている。複数の柱状部材1aは、互いに組み合わされることにより、直方体形状を有するボックス本体部1の各面のフレームを構成している。上面パネル1bは、ボックス本体部1の上面(Z1側の壁部)を構成し、複数の柱状部材1aに固定されている。図2に示すように、側面パネル1cは、一対設けられている。一対の側面パネル1cは、Y1側及びY2側に、それぞれ設けられている。また、側面パネル1cは、複数の柱状部材1aに固定されている。なお、X1方向は、防護パネル10の表側の方向を意味し、X2方向は、防護パネル10の裏側の方向を意味する。また、Y1方向は、表側から防護パネル10を見て、左側の方向を意味し、Y2方向は、右側の方向を意味する。また、Z1方向は、上側の方向を意味し、Z2方向は、下側の方向を意味する。そして、X方向は、X1方向及びX2方向に平行な方向を意味し、Y方向は、Y1方向及びY2方向に平行な方向を意味し、Z方向は、Z1方向及びZ2方向に平行な方向を意味する。
【0017】
また、図1に示すように、ボックス扉1dは、例えば、ボックス本体部1の側面(X2側の壁部)を構成し、ヒンジ1fを介して、柱状部材1aに開閉可能に固定されている。ボックス扉1dは、被検者がボックス本体部1への出入りするための出入り口である。例えば、ボックス扉1dは、防護パネル10に対向する位置に配置されている。また、ボックス扉1dは、ヒンジ1fを介してボックス本体部1に対して、例えば、外開きに回動して開閉する。底板1eは、ボックス本体部1の底面を構成し、複数の柱状部材1aに固定されている。
【0018】
図2に示すように、防護パネル10のY2側に設けられた側面パネル1cには、排気口1gが設けられている。排気口1gは、例えば、矩形状に形成されており、排気口1gの内部にフィルタ3aが配置されている。排気装置3は、ファン3bを含み、当該ファン3bが駆動されることにより、ボックス本体部1内の空気を、フィルタ3aを介して、外部に排気する。これにより、ボックス本体部1の内部が陰圧にされる。そして、柱状部材1aと防護パネル10又はボックス扉1dとの隙間から外部に、汚染された空気が漏出するのを防止することができる。また、フィルタ3aは、例えば、HEPAフィルタである。これにより、ボックス本体部1内に汚染された空気が存在する場合でも、フィルタ3aを介して排気されるので、外部に汚染された空気が漏出するのを防止することができる。また、排気装置3と床面との間に、支柱3cが配置されている。なお、支柱3cなしで、排気装置3をボックス本体部1に取り付けることが可能な場合は、支柱3cは設けられなくてもよい。
【0019】
図1に示すように、複数の車輪2は、ボックス本体部1の底部の4つの角部に、それぞれ配置されている。ボックス100(ボックス本体部1)は、複数の車輪2により、移動可能に構成されている。これにより、被検者が居る場所(医療施設や検査施設)に、ボックス100を移動させて、ボックス100を容易に設置することができる。
【0020】
(防護パネルの構成)
次に、図1、及び図3図7を参照して、第1実施形態における防護パネル10の構成について説明する。図3は、防護パネル10の正面図である。図3に示すように、防護パネル10は、板部11と、2つの柱部材12と、2つの梁部材13と、ケース枠部材14と、ケース部20と、圧力確認部材30とを含む。板部11は、上部板部材11aと、中央部板部材11bと、下部板部材11cとを含む。上部板部材11a、中央部板部材11b、及び下部板部材11cは、可視光を透過する材料により構成されている。可視光を透過する材料としては、これに限られないが、アクリル樹脂を用いることができる。2つの柱部材12、2つの梁部材13、及びケース枠部材14としては、これに限られないが、アルミフレーム材を用いることができる。
【0021】
また、図1に示すように、Z方向に延びる2つの柱部材12の間に、Y方向に延びる2つの梁部材13が配置されている。ケース枠部材14は、2つの梁部材13との上下方向の間に配置され、2つの柱部材12に接続されている。そして、2つの柱部材12と上方の梁部材13とケース枠部材14とに囲まれる領域に、上部板部材11aが配置されている。2つの柱部材12と下方の梁部材13とケース枠部材14とに囲まれる領域に、下部板部材11cが配置されている。また、上部板部材11aと下部板部材11cとの上下方向の間に配置され、ケース枠部材14に隣接する領域に、2つの中央部板部材11bが配置されている。
【0022】
図4は、防護パネル10のうちのケース部20が配置された部分の断面図である。ケース部20は、検体Pを板部11の裏側(X2側)から表側(X1側)へ移動させる際に、当該検体Pを一時的に配置するためのケースである。図3に示すように、ケース部20は、板部11に貫通して配置されている。すなわち、ケース部20は、板部11の裏側の面11dよりも裏側(X1方向の位置)から、板部11の表側の面11eよりも表側(X2方向の位置)に亘って配置されている。
【0023】
また、図3に示すように、ケース部20は、ケース枠部材14により囲まれる領域に配置されることにより、上部板部材11aと下部板部材11cとの上下方向の間で、かつ、2つの中央部板部材11bの左右方向の間に配置されている。また、ケース部20は、例えば、ケース枠部材14にボルト・ナット、又は接着剤等の接合部材を用いて固定されている。
【0024】
図3に示すように、板部11の上部板部材11aは、ユーザの手及び腕部が挿入される2つの腕部挿入口15及び16を有する。腕部挿入口15及び16は、ケース部20の上方に配置され、互いに間隔を空けて配置されている。腕部挿入口15及び16は、それぞれ、円形状を有する。また、腕部挿入口15及び16は、それぞれ、上部板部材11aに形成された貫通孔である。
【0025】
図4に示すように、腕部挿入口15には、筒状部材15aが配置されている。また、筒状部材15aには、固定部材15bにより固定されたグローブ40が配置されている。グローブ40は、ゴム又は樹脂製の液体を通過させない材料から構成されている。固定部材15bは、例えば、筒状部材15aの外周にグローブ40の一部を固定するバンドである。固定部材15bは、グローブ40の一部を筒状部材15aの外周との間に挟んでいる。これにより、腕部挿入口15から挿入した検体採取者の手にグローブ40が装着されるので、検体採取者の手に、被検者の飛沫が付着するのを防止することができる。腕部挿入口16は、腕部挿入口15と同様に構成されているため、説明を省略する。
【0026】
(ケース部の構成)
図1に示すように、ケース部20は、例えば、直方体形状を有する。図4に示すように、ケース部20の内部空間は、板部11の裏側から表側へ亘って連続している。また、ケース部20は、可視光を透過する材料により構成されている。可視光を透過する材料としては、これに限られないが、アクリル樹脂を用いることができる。この構成によれば、ケース部20の内部を検体採取者が視認することができる。
【0027】
また、図4に示すように、ケース部20は、ケース部20のうちの、面11dの裏側(X2側)の部分21と、部分21よりも表側(X1側)の部分22とを含む。部分21の面11dから裏側への突出長さL1は、部分22の面11eから表側への突出長さL2よりも大きい。これにより、ケース部20の寸法を確保しながら、検体採取者側(表側)に突出する長さL2を小さくすることができる。この結果、検体採取者が検体を取得する際に、検体採取者の身体とケース部20とが干渉するのを防止することができる。
【0028】
図5Aは、部分21に設けられた扉21aが閉じた状態を示す図である。図5Bは、部分21に設けられた扉21aが開いた状態を示す図である。図5Aに示すように、部分21の上面には、扉21aが設けられている。扉21aにより開口21bが塞がれる。扉21aには、把持部21dが設けられている。把持部21dは、腕部挿入口15又は16に挿入された検体採取者の手により把持可能な位置に設けられている。これにより、ケース部20の上方に配置された腕部挿入口15及び16から挿入された手により、扉21aを容易に開閉することが可能となる。また、ケース部20の左右方向の中心C1は、腕部挿入口15と腕部挿入口16との間に位置する。
【0029】
そして、図5Bに示すように、検体採取者(図示を省略)により把持部21dが把持された状態で、扉21aがY2方向にスライド移動されることにより、開口21bが開放される。これにより、扉21aがスライド移動して開閉されるので、腕部挿入口15及び16側に扉を回動させて開く場合と異なり、扉21aと腕部挿入口15及び16との間の距離を小さくすることができる。また、扉21aの上面21eは、検体Pを一時的に載置可能に平坦に形成されている。これにより、取得した検体Pを一時的に上面21eに配置することができる。そして、開口21bが開いた状態で、部分21の内部に、検体Pが配置される。
【0030】
図6Aは、部分22に設けられた扉22aが閉じた状態を示す図である。図6Bは、部分22に設けられた扉22aが開いた状態を示す図である。図6Aに示すように、部分22のX1方向の側面には、2つの扉22aが設けられている。2つの扉22aには、それぞれ、把持部22bが設けられている。把持部22bは、ボックス100の外部に居る検体採取者の手により把持される。そして、図6Bに示すように、検体採取者(図示を省略)により把持部22bがY1方向にスライド移動されることにより、開口22cが開放される。そして、開口22cが開いた状態で、ケース部20の内部から検体P(図5B参照)が取り出される。これにより、ボックス100の内部から外部に検体Pが移動される。この構成によれば、扉22aがケース部20の側面に設けられるので、当該側面からケース部20の部分21に向かって、X2方向に手を挿入することができる。この結果、ケース部20の部分21に検体Pが配置されている場合でも、容易に検体Pを取得することができる。また、扉22aが開放される際に、扉21a(図4参照)を閉じた状態であれば、ボックス100の内部からケース部20に汚染された空気が入らないので、扉22aを開けた場合でも、ボックス100の内部の汚染された空気が外部に流出するのを防止することができる。
【0031】
上記のように、検体採取者は、腕部挿入口15及び16に腕部を挿入した状態で、板部11の裏側において検体を取得する作業を行った後、板部11の裏側において検体採取者自ら扉21aを開いてケース部20の内部に検体Pを配置することができる。この時、扉22aを閉じた状態とすることで、ボックス100内から外部(表側)に汚染された空気が及ぶのを防止することができる。そして、検体採取者は、腕部挿入口15及び16から腕部を取り出して、ケース部20の内部に配置された検体Pを扉22aから検体採取者自ら表側に取り出すことができる。この時、扉21aを閉じた状態とすることで、ボックス100内から外部(表側)に汚染された空気が及ぶのを防止することができる。この結果、検体採取者(ユーザ)による作業後に板部11よりも検体採取者側に検体Pを取り出す際においても、板部11よりも検体採取者側に有害な物質が及ぶのを防止することができる。また、検体採取者とは別の作業者がいなくても、検体採取者が検体Pを取り扱うことが可能となる。
【0032】
(圧力確認部材の構成)
次に、図1図7A及び図7Bを参照して、圧力確認部材30の構成について説明する。図7Aは、ボックス100内が陰圧でない場合の圧力確認部材30の状態を示す図である。図7Bは、ボックス100内が陰圧である場合の圧力確認部材30の状態を示す図である。図1に示すように、板部11には、圧力確認部材30が設けられている。圧力確認部材30は、例えば、腕部挿入口15及び16よりも上方(Z1方向)の位置に設けられている。これにより、検体採取者の目の高さに近い位置に圧力確認部材30が配置されるので、圧力確認部材30を容易に視認することができる。
【0033】
図7Aに示すように、板部11には、面11dから面11eに亘る貫通孔31が形成されている。貫通孔31には、筒状部材32aが配置されている。圧力確認部材30は、可撓性の部材により構成されている。可撓性の部材としては、これに限られないが、ビニール製のシートを用いることができる。圧力確認部材30は、貫通孔31(筒状部材32a)を塞ぐように配置されているとともに、たるませた状態で配置されている。また、圧力確認部材30は、筒状部材32aの外周に固定部材32bにより固定されている。固定部材15bは、例えば、確認部材30の一部を筒状部材32aの外周との間に挟むバンドである。
【0034】
そして、図7Bに示すように、ボックス本体部1内が陰圧となった場合に、圧力確認部材30は、ボックス本体部1の裏側(X2側)に向かって窪む。検体採取者は、圧力確認部材30がボックス本体部1の裏側に向かって窪んだことを視認することにより、ボックス本体部1内が陰圧となったことを確認する。
【0035】
(検体採取ボックスの使用例)
次に、図1図7Bを参照して、第1実施形態によるボックス100の使用例について説明する。
【0036】
まず、検体採取者は、図2に示す排気装置3を操作して、排気装置3によるボックス本体部1内の空気の排気を開始させる。そして、検体採取者は、圧力確認部材30が図7Aのようなたるんだ状態から、図7Bに示すようなボックス本体部1の内側に窪んだ状態に変化するのを確認する。圧力確認部材30がボックス本体部1の内側に窪んだ状態になれば、ボックス本体部1内は陰圧となっている。
【0037】
その後、被検者は、図1に示すボックス扉1dを開いて、ボックス本体部1内に入室し、ボックス扉1dを閉める。被検者がボックス本体部1に出入りする際は、検体採取者は、ボックス本体部1の近傍にいないことが好ましい。そして、検体採取者が腕部挿入口15及び16にそれぞれ腕部及び手を挿入し、腕部及び手に、図4に示すグローブ40を装着する。
【0038】
そして、検体採取者が被検者から検体を採取し、図5Bに示すように扉21aを開いて検体をケース部20の内部に配置する。この時、図6Aに示すように、扉22aは閉じている。そして、図5Aに示すように扉21aを閉じる。そして、検体採取者は、腕部挿入口15及び16から腕部及び手を取りだす。その後、図6Bに示すように扉22aを開いてケース部20内に配置された検体Pを取り出す。この時、扉21aは閉じている。これにより、被検者からの飛沫が検体採取者にかかることなく、かつ、ボックス本体部1内を陰圧に保った状態で、ボックス100内(防護パネル10の裏側)から、ボックス100の外部(防護パネル10よりも表側)に、検体Pが移動される。
【0039】
その後、検体採取者が扉22aを閉じる。そして、被検者はボックス扉1dを開いてボックス本体部1内から外部に退出する。
【0040】
上記の使用方法によれば、検体採取者の検体採取作業後に、扉22aを閉じた状態で、扉21aを開いてケース部20内に検体Pを配置するので、ケース部20内に検体Pを配置する際に、板部11の裏側から表側へ有害な物質が及ぶのを防止することができる。そして、扉21aを閉じた状態で、扉22aを開くので、板部11の裏側から表側へ有害な物質が及ぶのを防止しながら、検体Pを取り出すことが可能となる。この結果、検体採取者による作業後に板部11よりも検体採取者側に検体Pを取り出す際においても、板部11よりも検体採取者側に有害な物質が及ぶのを防止することができる。また、検体採取者とは別の作業者がいなくても、被検者から検体Pを採取して、検体Pをボックス100内から外部に移動させることができる。
【0041】
[第2実施形態]
図8を参照して、第2実施形態における防護パネル付き扉200の構成について説明する。図8は、第2実施形態における防護パネル付き扉200の斜視図である。なお、第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0042】
防護パネル付き扉200は、例えば、これに限られないが、医療施設の病室の出入り口、又は介護施設の居室の出入り口に配置される。図8に示すように、防護パネル付き扉200は、防護パネル10と、防護パネル10を回動可能に壁220に接続するヒンジ202と、防護パネル10に配置されたドアノブ203とを含む。ドアノブ203が把持されることにより、防護パネル付き扉200が開き、病室又は居室に被検者又は検体採取者は出入りすることが可能となる。これにより、防護パネル付き扉200は、病室や居室の扉としての機能と、第1実施形態による防護パネル10としての機能と、を兼ね備えることができる。その他の構成及び効果は、第1実施形態による構成及び効果と同様である。
【0043】
[第3実施形態]
図9を参照して、第3実施形態における防護パネル310の構成について説明する。図9は、第3実施形態における防護パネル310の斜視図である。なお、第1又は第2実施形態と同様の構成には、第1又は第2実施形態と同じ符号を用い説明を省略する。
【0044】
図9に示すように、防護パネル310は、2つの脚部301を備える。脚部301は、柱部材12の下端に接続されており、例えば、裏側に延びている。また、2つの脚部301には、2つずつ(計4つの)車輪302が設けられている。これにより、防護パネル310は、移動可能に構成されている。また、板部11の下端から床面に亘って、シート部材303が配置されている。シート部材303は、可撓性を有する部材から構成されており、これに限られないが、例えば、ビニール製のシートである。これにより、板部11よりも下方側において、防護パネル310の裏側から表側に空気が移動するのを防止することができる。また、2つの柱部材12の各々には、把持部304(移動用ハンドル)が設けられている。これにより、ユーザは、把持部304を持って、車輪302を転がすことにより、防護パネル310を容易に移動させることができる。その他の構成及び効果は、第1実施形態による構成及び効果と同様である。
【0045】
[第4実施形態]
図10を参照して、第4実施形態におけるドラフトチャンバー400の構成について説明する。図10は、第4実施形態におけるドラフトチャンバー400の斜視図である。なお、第1~第3実施形態のいずれかと同様の構成には、第1~第3実施形態のいずれかと同じ符号を用い説明を省略する。
【0046】
ドラフトチャンバー400は、化学分野における実験を行う際に、物としての実験対象物が内部(裏側)に配置される装置である。ドラフトチャンバー400は、被検体移動パネル410を備える。第4実施形態によるドラフトチャンバー400によれば、板部11を隔てた状態(裏側)で実験対象物を、腕部挿入口15及び16を介して手により操作することが可能となる。ドラフトチャンバー400は、図示しない排気装置によりフィルタを介して内部の空気が排気されており、実験対象物から有害な気体が発生した場合でも、実験作業者(ユーザ)側(表側)に有害な気体が漏れ出すのが防止されている。また、第4実施形態によれば、実験作業者による実験作業後に、板部11よりも実験作業者側に有害な物質が及ぶのを防止しながら、実験対象物を、ケース部20を介してドラフトチャンバー400の外部に取り外すことが可能となる。その他の構成及び効果は、第1実施形態による構成及び効果と同様である。
【0047】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0048】
(1)上記第1~第4実施形態では、図4に示すように、ケース部20の部分22が表側に長さL2分、突出する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図11に示す第1変形例による防護パネル510のように、ケース部520は、表側(X1側)に突出せずに、ケース部520の表側の部分の側面522bは、板部11と面一に配置されていてもよい。
【0049】
(2)上記第1、第2及び第4実施形態では、被検体移動パネルの裏側の空間を陰圧にする例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、図12に示す第2変形例による防護パネル付きボックス600のように、防護パネル付きボックス600の内部が陽圧にされてもよい。例えば、防護パネル付きボックス600には、図示しない給気装置が接続されており、当該給気装置により防護パネル付きボックス600内が陽圧に維持される。この場合、圧力確認部材30は、防護パネル付きボックス600から外側に向かって突出する形状となるので、圧力確認部材30を視認することにより、ユーザは、防護パネル付きボックス600内が陽圧であることを確認することができる。
【0050】
(3)上記第1~第4実施形態では、ケース部20の部分21の上面のみに扉21aを設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ケース部20の部分21の側面にも扉を設けてもよい。
【0051】
(4)上記第1~第4実施形態では、ケース部20の部分22の側面に扉22aを設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ケース部20の部分22の上面に扉を設けてもよい。
【0052】
(5)上記第1~第4実施形態では、ケース部20の扉21a及び22aをそれぞれスライド移動して開閉可能に構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ケース部20の扉を回動して開閉するように構成してもよい。
【0053】
(6)上記第1~第4実施形態では、ケース部20を、可視光を透過する材料により構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、ケース部を、可視光を透過しない材料(例えば、金属や可視光を透過しない樹脂材料)により構成されてもよい。
【0054】
(7)上記第1~第4実施形態では、腕部挿入口を防護パネルに一対設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、腕部挿入口を防護パネルに1つのみ設けてもよいし、3つ以上の数設けてもよい。
【0055】
(8)上記第1実施形態では、ボックス本体部1を直方体に形成する例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、ボックス本体部1は、立方体であってもよいし、円柱状であってもよいし、ドーム状であってもよい。
【0056】
(9)上記第1~第4実施形態では、移動される「物」として、「検体」及び「実験対象物」を例として挙げたが、本開示はこれに限られない。例えば、「物」として、ワクチンなどの薬剤や注射器、差し入れ等の飲食物、本などの娯楽物などを、防護パネルを介して、裏側から表側あるいは表側から裏側に移動させてもよい。
【0057】
(10)上記第1~第4実施形態では、「物」を、板部の裏側から表側に移動させる例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、「物」を、板部の表側から裏側に移動させてもよい。
【0058】
また、上述した防護パネル、は、以下のように説明することができる。
【0059】
第1の構成に係る防護パネルは、可視光を透過する板部と、物を板部の裏側から表側へあるいは表側から裏側へ移動させるために当該物が内部に配置されるケース部であって、板部に貫通して配置されたケース部と、を備え、板部は、表側からユーザの手及び腕部が挿入される少なくとも1つの腕部挿入口であって、ケース部よりも上方に設けられた少なくとも1つの腕部挿入口を含み、ケース部は、ケース部のうちの板部の裏側の部分の上面を開閉可能な第1扉であって、少なくとも1つの腕部挿入口に挿入されたユーザの手又は腕部により開閉される第1扉と、ケース部のうちの裏側の部分よりも表側の部分の上面又は側面を開閉可能な第2扉と、を含む(第1の構成)。
【0060】
上記第1の構成によれば、板部の表側と裏側との間で物を移動させる際に、板部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのを防止することができる。ユーザの作業後に、第2扉を閉じた状態で、第1扉を開いてケース部内に物を配置することができるので、ケース部内に物を配置する際に、板部の裏側から表側へ有害な物質が及ぶのを防止することができる。そして、第1扉を閉じた状態で、第2扉を開けば、板部の裏側から表側へ有害な物質が及ぶのを防止しながら、物を取り出すことが可能となる。この結果、ユーザによる作業後に板部よりもユーザ側に物を取り出す際においても、板部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのを防止することができる。そして、第1扉がケース部の上面に設けられているので、ケース部の上方に配置された腕部挿入口から挿入された手により、第1扉を容易に開閉することが可能となる。
【0061】
第1の構成において、ケース部のうちの板部から裏側に突出する長さは、ケース部のうちの板部から表側へ突出する長さよりも大きく構成されてもよい(第2の構成)。
【0062】
上記第2の構成によれば、ケース部の寸法を確保しながら、ユーザ側(表側側)に突出する長さを小さくすることができる。この結果、ユーザが腕部挿入口に腕部を挿入して作業を行う際に、ユーザの身体とケース部とが干渉するのを防止することができる。
【0063】
第1または第2の構成において、第1扉は、スライド移動して開閉可能に構成されていてもよい(第3の構成)。
【0064】
ここで、第1扉がケース部の外側に回動して開くように構成される場合には、第1扉と腕部挿入口から挿入した腕部とが干渉しないように、第1扉と腕部挿入口との間の距離を確保する必要がある。これに対して、上記第3の構成によれば、第1扉がスライド移動して開閉されるので、第1扉と腕部挿入口との間の距離を小さくすることができる。
【0065】
第1~第3のいずれか1つの構成において、ケース部のうちの裏側の部分の上面は、物を一時的に載置するための載置部を含んでもよい(第4の構成)。
【0066】
上記第4の構成によれば、取得した物を一時的に載置部に配置することができる。
【0067】
第1~第4のいずれか1つの構成において、第2扉は、表側の部分の側面に配置されていてもよい(第5の構成)。
【0068】
上記第5の構成によれば、第2扉が側面に設けられるので、側面からケース部の裏側の部分に向かって、手を挿入することができる。この結果、ケース部の裏側の部分に物が配置されている場合でも、容易に物を取得することができる。
【0069】
第1~第5のいずれか1つの構成において、ケース部は、可視光を透過する材料により構成されていてもよい(第6の構成)。
【0070】
上記第6の構成によれば、第1扉及び第2扉が閉じた状態であっても、ケース部の内部をユーザが視認することができる。
【0071】
第1~第6のいずれか1つの構成において、少なくとも1つの腕部挿入口は、ケース部の上方に設けられた一対の腕部挿入口を含んでもよい(第7の構成)。
【0072】
上記第7の構成によれば、ユーザは両方の腕部をそれぞれ一対の腕部挿入口に挿入することができる。
【0073】
第1~第7のいずれか1つの構成において、板部は、貫通孔を有してもよく、貫通孔を塞いで配置された可撓性の部材を含む圧力確認部材を、さらに備えてもよい(第8の構成)。
【0074】
上記第8の構成によれば、陰圧室(陰圧ボックス)又は陽圧室(陽圧ボックス)の一部として防護パネルが構成された場合に、陰圧室又は陽圧室の内部が、陰圧又は陽圧か、あるいは外部と同じ圧力かを、ユーザが視認することができる。
【0075】
第9の構成に係る防護パネル付き扉は、第1~第8のいずれか1つの構成の防護パネルと、防護パネルを回動可能に構造物に接続するヒンジと、を備える(第9の構成)。
【0076】
上記第9の構成によれば、ユーザによる作業後に板部よりもユーザ側に物を取り出す際においても、板部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのを防止することが可能な防護パネル付き扉を提供することができる。
【0077】
第10の構成に係る防護パネル付きボックスは、上記第1~第8のいずれか1つの構成の防護パネルが一壁部として構成されたボックス本体部を備え、第1扉は、ボックス本体部の内部に配置されている(第10の構成)。
【0078】
上記第10の構成によれば、ユーザによる作業後に板部よりもユーザ側に物を取り出す際においても、板部よりもユーザ側に有害な物質が及ぶのを防止することが可能な防護パネル付きボックスを提供することができる。ここで、被検者が外部に居る状態で物が採取される場合には、被検者からの有害な物質(飛沫)を含む空気が防護パネル付きボックスの外部で充満しないように、屋外に防護パネル付きボックスを配置する必要がある。これに対して、上記第10の構成によれば、内部で被検者の物が採取することができるので、有害な物質を含む空気が防護パネル付きボックスの外部で充満しないため、施設内に防護パネル付きボックスを配置して使用することができる。
【0079】
第10の構成において、ボックス本体部内を陰圧にする排気装置をさらに備えてもよい(第11の構成)。
【0080】
上記第11の構成によれば、ボックス本体部に汚染された空気がある場合に、ボックス本体部から外部に汚染された空気が漏れだすのを防止することができる。
【0081】
第10または第11の構成において、ボックス本体部の底部に配置された車輪であって、ボックス本体部を移動させる車輪をさらに備える(第12の構成)。
【0082】
上記第12の構成によれば、防護パネル付きボックスを車輪により容易に移動させることができる。
【符号の説明】
【0083】
1…ボックス本体部、2…車輪、3…排気装置、10,310,410,510…防護パネル、11…板部、11a…上部板部材、11b…中央部板部材、11c…下部板部材、15,16…腕部挿入口、20,520…ケース部、21…部分(裏側の部分)、21a…扉(第1扉)、21e…上面、22…部分(表側の部分)、22a…扉(第2扉)、30…圧力確認部材、31…貫通孔、100,600…防護パネル付きボックス、200…防護パネル付き扉、202…ヒンジ、400…ドラフトチャンバーb…側面
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12