(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178144
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20221125BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084712
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐生 清
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 祐司
(72)【発明者】
【氏名】明星 敏之
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA33
2H200GA47
2H200GB11
2H200GB22
2H200GB23
2H200JA02
2H200JB06
2H200JB49
2H200JB50
2H200JC03
2H200JC09
2H200JC12
2H200JC19
2H200JC20
2H200PA11
2H200PB18
2H270LA15
2H270LA18
2H270LA99
2H270LD15
2H270MB16
2H270MB25
2H270MB30
2H270MB32
2H270MB39
2H270MB41
2H270MB43
2H270MC40
2H270MC41
2H270MD11
2H270MF16
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】駆動ローラの摩耗の度合いを予測することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、感光体ドラム13上に形成されたトナー像が1次転写される中間転写ベルト21と、1次転写されたトナー像を用紙に2次転写する2次転写ベルト27cと、2次転写ベルト27cを回転させる駆動ローラ27bと、トナー像を検出する検出センサ28と、制御部41とを備える。制御部41は、複数のライン画像を含む第1条件および第2条件に応じたトナー像を中間転写ベルト21上に形成させ、ライン画像同士の間隔である第1間隔および第2間隔を算出し、第1間隔と第2間隔との差が閾値を超えている場合、駆動ローラ27bの回転速度を補正する。第2条件は、第1条件よりもトナー像の面積が大きく設定されていること。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成されたトナー像が1次転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトと当接する転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部において前記中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を、用紙に2次転写する2次転写ベルトと、
表面に弾性層を有し、駆動源によって回転駆動され、前記2次転写ベルトを回転させる駆動ローラと、
前記中間転写ベルト上に形成されたトナー像を検出する検出センサと、
制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、複数のライン画像を含む第1条件および第2条件に応じたトナー像を前記中間転写ベルト上に形成させ、前記検出センサの検出結果に基づいて、前記第1条件におけるライン画像同士の間隔を第1間隔として算出し、前記第2条件におけるライン画像同士の間隔を第2間隔として算出し、前記第1間隔と前記第2間隔との差が閾値を超えている場合、前記駆動ローラの回転速度を補正するとともに、
前記第2条件は、前記第1条件よりもトナー像の面積が大きく設定されていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記検出センサは、前記中間転写ベルトの幅方向での端部に対向する位置に設けられ、
前記第1条件および前記第2条件は、前記幅方向において、前記検出センサに対向する位置に前記ライン画像を形成し、
前記第2条件は、前記幅方向で前記ライン画像と重ならない位置に速度ズレ検出用画像を形成すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記中間転写ベルトの搬送方向における前記転写ニップ部から前記検出センサまでの距離をニップ距離としたとき、
前記速度ズレ検出用画像は、前記ライン画像よりも前記搬送方向での下流側から設けられ、前記ライン画像までの距離が、前記ニップ距離よりも長いこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、前記第1条件と前記第2条件とに基づくトナー像を連続して前記中間転写ベルト上に形成させること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の画像形成装置であって、
前記制御部が算出した前記第1間隔および前記第2間隔を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、新たに前記第1間隔および前記第2間隔を算出した際、前記記憶部に記憶された前記第1間隔と前記第2間隔との差と、新たに算出した前記第1間隔と前記第2間隔との差とを比較すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
複数の像担持体上に形成されたトナー像が1次転写される中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトと当接する転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部において前記中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を、用紙に2次転写する2次転写ベルトと、
表面に弾性層を有し、駆動源によって回転駆動され、前記2次転写ベルトを回転させる駆動ローラと、
前記中間転写ベルト上に形成されたトナー像を検出する検出センサと、
制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記制御部は、前記複数の像担持体のそれぞれに対応する複数のライン画像を含む第1条件および第2条件に応じたトナー像を前記中間転写ベルト上に形成させ、前記検出センサの検出結果に基づいて、前記第1条件におけるライン画像同士の間隔を第1間隔として算出し、前記第2条件におけるライン画像同士の間隔を第2間隔として算出し、前記第1間隔と前記第2間隔との差が閾値を超えている場合、前記駆動ローラの回転速度を補正するとともに、
前記第2条件は、前記第1条件よりもトナー像の面積が大きく設定されていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置であって、
前記制御部が算出した前記第1間隔および前記第2間隔を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
所定時間または所定枚数の画像形成を行った際、前記第1条件と前記第2条件とに基づくトナー像を前記像担持体上に形成させ、
新たに前記第1間隔および前記第2間隔を算出した際、前記記憶部に記憶された前記第1間隔と前記第2間隔との差と、新たに算出した前記第1間隔と前記第2間隔との差とを比較すること
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体上にトナー像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電子写真方式を用いた画像形成装置では、感光体ドラムから中間転写ベルトを介してトナー像を用紙に転写している。このような画像形成装置では、用紙を搬送する際、用紙に当接する部分で速度差が生じると、引っ張りや撓みによって、画像欠陥やしわの発生といった問題が生じてしまう。これを解決する方策として、搬送ベルトの経時変化に応じて、ローラの回転速度を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像形成装置は、トナー像を用紙(記録媒体)に転写する転写装置と、用紙を加熱加圧してトナー像を定着する定着装置と、用紙を転写装置から定着装置に導く転写搬送ベルトと、転写搬送ベルトの経時変化に応じて、転写装置の転写速度と定着装置の定着速度との相対速度が一定となるように制御する経時変化制御手段とを備える。
【0005】
ところで、経時変化が生じるのは搬送ベルトだけに限定されず、搬送ベルトが張架されたローラにおいても、表面が摩耗し小径化することがあり、その結果、搬送ベルトの搬送速度が遅くなることがあった。トナー像が形成された用紙を搬送する搬送ベルトにおいて速度変動が生じると、画像の色ムラ(バンディング)等を発生させる虞があるが、このような画像不良は様々な原因で発生するため、原因を切り分けることが難しかった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、ローラの摩耗の度合いを予測することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体上に形成されたトナー像が1次転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトと当接する転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部において前記中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を、用紙に2次転写する2次転写ベルトと、表面に弾性層を有し、駆動源によって回転駆動され、前記2次転写ベルトを回転させる駆動ローラと、前記中間転写ベルト上に形成されたトナー像を検出する検出センサと、制御部とを備えた画像形成装置であって、前記制御部は、複数のライン画像を含む第1条件および第2条件に応じたトナー像を前記中間転写ベルト上に形成させ、前記検出センサの検出結果に基づいて、前記第1条件におけるライン画像同士の間隔を第1間隔として算出し、前記第2条件におけるライン画像同士の間隔を第2間隔として算出し、前記第1間隔と前記第2間隔との差が閾値を超えている場合、前記駆動ローラの回転速度を補正するとともに、前記第2条件は、前記第1条件よりもトナー像の面積が大きく設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る画像形成装置では、前記検出センサは、前記中間転写ベルトの幅方向での端部に対向する位置に設けられ、前記第1条件および前記第2条件は、前記幅方向において、前記検出センサに対向する位置に前記ライン画像を形成し、前記第2条件は、前記幅方向で前記ライン画像と重ならない位置に速度ズレ検出用画像を形成する構成としてもよい。
【0009】
本発明に係る画像形成装置では、前記中間転写ベルトの搬送方向における前記転写ニップ部から前記検出センサまでの距離をニップ距離としたとき、前記速度ズレ検出用画像は、前記ライン画像よりも前記搬送方向での下流側から設けられ、前記ライン画像までの距離が、前記ニップ距離よりも長い構成としてもよい。
【0010】
本発明に係る画像形成装置では、前記制御部は、前記第1条件と前記第2条件とに基づくトナー像を連続して前記中間転写ベルト上に形成させる構成としてもよい。
【0011】
本発明に係る画像形成装置では、前記制御部が算出した前記第1間隔および前記第2間隔を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、新たに前記第1間隔および前記第2間隔を算出した際、前記記憶部に記憶された前記第1間隔と前記第2間隔との差と、新たに算出した前記第1間隔と前記第2間隔との差とを比較する構成としてもよい。
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、複数の像担持体上に形成されたトナー像が1次転写される中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトと当接する転写ニップ部を形成し、前記転写ニップ部において前記中間転写ベルト上に1次転写されたトナー像を、用紙に2次転写する2次転写ベルトと、表面に弾性層を有し、駆動源によって回転駆動され、前記2次転写ベルトを回転させる駆動ローラと、前記中間転写ベルト上に形成されたトナー像を検出する検出センサと、制御部とを備えた画像形成装置であって、前記制御部は、前記複数の像担持体のそれぞれに対応する複数のライン画像を含む第1条件および第2条件に応じたトナー像を前記中間転写ベルト上に形成させ、前記検出センサの検出結果に基づいて、前記第1条件におけるライン画像同士の間隔を第1間隔として算出し、前記第2条件におけるライン画像同士の間隔を第2間隔として算出し、前記第1間隔と前記第2間隔との差が閾値を超えている場合、前記駆動ローラの回転速度を補正するとともに、前記第2条件は、前記第1条件よりもトナー像の面積が大きく設定されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像形成装置では、前記制御部が算出した前記第1間隔および前記第2間隔を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、所定時間または所定枚数の画像形成を行った際、前記第1条件と前記第2条件とに基づくトナー像を前記像担持体上に形成させ、新たに前記第1間隔および前記第2間隔を算出した際、前記記憶部に記憶された前記第1間隔と前記第2間隔との差と、新たに算出した前記第1間隔と前記第2間隔との差とを比較する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、トナー量が異なる第1条件と第2条件とによって、転写ニップ部での滑りに差をつけた状態で、ライン画像の間隔を比較することで、駆動ローラの弾性層の摩耗の度合いを予測することができる。これを駆動ローラの制御に反映することで、中間転写ベルトと2次転写ベルトとの速度ズレを補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図3】展開した中間転写ベルトと、第1条件に基づいて形成されたトナー像との関係を示す展開説明図である。
【
図4】展開した中間転写ベルトと、第2条件に基づいて形成されたトナー像との関係を示す展開説明図である。
【
図5】第3検出パターンが転写ニップ部に到達した際の第1検出パターンとの位置関係を示す展開説明図である。
【
図6】展開した中間転写ベルトと、第1条件および第2条件に基づいて形成されたトナー像との関係を示す展開説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
【0018】
画像形成装置1は、外部から伝達された画像データに応じて、所定の用紙に対して多色及び単色の画像を形成する。画像形成装置1は、露光装置11、現像部12、感光体ドラム13(像担持体の一例)、クリーナ装置14、帯電器15、中間転写ベルト装置16、定着装置17、給紙トレイ18、排紙トレイ19、および用紙搬送路20を備える構成とされている。
【0019】
画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像部12、感光体ドラム13、帯電器15、クリーナ装置14は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションが構成されている。
【0020】
感光体ドラム13は、画像形成装置1の略中央に配置され、接続された駆動源(図示しない)によって回転駆動される。帯電器15は、感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。露光装置11は、感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。現像部12は、感光体ドラム13の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム13の表面に各色のトナー像が形成され、感光体ドラム13上のトナー像は、中間転写ベルト21に転写される。クリーナ装置14は、現像および画像転写の後に感光体ドラム13の表面の残留トナーを除去および回収する。
【0021】
中間転写ベルト装置16は、感光体ドラム13の上側に配置され、中間転写ベルト21、転写駆動ローラ22、転写従動ローラ23、1次転写ローラ24、および中間転写ベルトクリーニング装置25を備えている。なお、1次転写ローラ24は、YMCK用の各色の画像ステーションに対応して4本設けられている。
【0022】
中間転写ベルト21は、転写駆動ローラ22、転写従動ローラ23、および1次転写ローラ24に張架して支持されている。転写駆動ローラ22は、駆動源に接続されて回転駆動し、中間転写ベルト21を搬送方向Cへ周回移動させる。中間転写ベルト21は、中間転写ベルトクリーニング装置25によって残留トナーが除去および回収された後、各感光体ドラム13の表面に形成された各色のトナー像が順次転写されて、中間転写ベルト21の表面にカラーのトナー像が形成される。
【0023】
画像形成装置1は、2次転写ローラ27a、2次転写ベルト27c、および駆動ローラ27bを含む2次転写装置27をさらに備えている。2次転写ベルト27cは、2次転写ローラ27aおよび駆動ローラ27bに張架して支持されている。なお、2次転写ベルト27cを張架するローラは、2次転写ローラ27aおよび駆動ローラ27bの他に、複数設けてもよい。2次転写ローラ27aは、転写駆動ローラ22と対向する位置に設けられ、2次転写ベルト27cを2次転写ローラ27aに当接させて中間転写ベルト21との間に転写ニップ部を形成し、用紙搬送路Sを通じて搬送されて来た用紙Pを転写ニップ部に挟み込んで搬送する。用紙Pは、転写ニップ部を通過する際に、中間転写ベルト21の表面のトナー像が転写される。駆動ローラ27bは、駆動源に接続されて回転駆動し、2次転写ベルト27cを周回移動させる。本実施の形態において、2次転写ベルト27cは、例えば、ゴムやポリイミドなどで形成されており、駆動ローラ27bは、ゴムなどで形成された弾性層が表面に設けられている。
【0024】
給紙トレイ18は、画像形成に使用する用紙Pを蓄積しておくためのトレイであり、露光装置11の下側に設けられている。また、排紙トレイ19は、画像形成装置1の上部に設けられており、画像形成済みの用紙Pを載置するためのトレイである。
【0025】
また、画像形成装置1には、給紙トレイ18の用紙Pを2次転写装置27、定着装置17の順に経由させて排紙トレイ19に送るための用紙搬送路20が設けられている。用紙搬送路20は、S字状の用紙搬送路Sを含み、用紙搬送路Sに沿って、ピックアップローラ31、一対の分離ローラ31a、31b、レジストローラ32、レジスト前ローラ33、定着装置17、および排紙ローラ34が配置されている。
【0026】
ピックアップローラ31は、給紙トレイ18の端部近傍に備えられ、給紙トレイ18から用紙Pを1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。一方の分離ローラ31aは、他方の分離ローラ31bとの間に用紙Pを通過させて1枚ずつ分離しつつ用紙搬送路Sへと搬送する。レジストローラ32は、給紙トレイ18から搬送されている用紙Pを一旦保持し、感光体ドラム13上のトナー像の先端と用紙Pの先端とを合わせるタイミングで用紙Pを2次転写ローラ27aに搬送する。レジスト前ローラ33は、用紙Pの搬送を促進補助するための小型のローラである。
【0027】
定着装置17は、ベルト定着方式とされており、定着ローラ171および加熱ローラ172に定着ベルト173が巻き掛けられ、定着ベルト173を介して定着ローラ171に加圧ローラ174が押圧されるようになっている。定着装置17では、未定着のトナー像が形成された用紙Pを受け取り、用紙Pを定着ベルト173と加圧ローラ174との間に挟み込んで搬送する。定着後の用紙Pは、排紙ローラ34によって排紙トレイ19上に排出される。なお、定着装置17は、ベルト定着方式の定着装置とされているがこれに限定されず、加圧ローラ174で定着ローラ171を直接押圧する方式としてもよい。
【0028】
感光体ドラム13、転写駆動ローラ22、および駆動ローラ27bは、駆動源に対して直接接続されていなくてもよく、ギアやクラッチなどが間に介在してもよく、感光体ドラム13、転写駆動ローラ22、および駆動ローラ27bを異なる速度で駆動させたり、駆動させるタイミングを異ならせたりする構成としてもよい。
【0029】
中間転写ベルト21の搬送方向Cにおいて、最も下流の感光体ドラム13から転写駆動ローラ22までの間には、中間転写ベルト21の表面に向かって検出センサ28が配置されている。検出センサ28は、中間転写ベルト21上に転写されたトナー像を検出して、検出結果を出力する。検出センサ28は、光を照射し、中間転写ベルト21で反射された光を受けてトナー像の有無を検出する反射型センサとされており、中間転写ベルト21に対しては非接触とされている。検出センサ28の検出対象となるトナー像については、後述する
図3を参照して説明する。
【0030】
図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0031】
画像形成装置1は、上述した感光体ドラム13、中間転写ベルト21、2次転写ベルト27c、駆動ローラ27b、および検出センサ28の他に、制御部41と記憶部42とを備えている。なお、
図2では、画像形成装置1の一部を抜き出して示しており、残りを省略している。
【0032】
記憶部42は、検出センサ28の検出結果を記憶する。なお、記憶部42は、検出センサ28の検出結果を記憶する際、検出結果と伴に、検出結果が出力されたタイミングなどを関連付けて記憶してもよい。
【0033】
制御部41は、駆動源の駆動条件を制御し、これに基づいて、感光体ドラム13、転写駆動ローラ22、および駆動ローラ27bの回転速度が決定される。制御部41は、上述した駆動条件を設定する際、検出センサ28の検出結果を参照する。具体的な制御の内容については、後述する
図3ないし
図5と併せて説明する。
【0034】
図3は、展開した中間転写ベルトと、第1条件に基づいて形成されたトナー像との関係を示す展開説明図である。
【0035】
図3では、展開した中間転写ベルト21のうちの一部を示し、これに対するトナー像(第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2)、検出センサ28、および2次転写ローラ27aの位置関係を模式的に示している。
図3では、中間転写ベルト21のうち、検出センサ28および2次転写ローラ27aに対向する箇所近傍を抜き出して示している。また、
図3では、図面の見易さを考慮して、感光体ドラム13および2次転写ベルト27cを省略している。
【0036】
本実施の形態では、搬送方向C(
図3では、右向き)へ搬送されている状態の中間転写ベルト21に対し、感光体ドラム13に形成されたトナー像が転写される。感光体ドラム13から転写しながら、中間転写ベルト21を搬送方向Cへ搬送することで、トナー像は、順次、搬送方向Cでの上流側(
図3では、左端)から下流側(
図3では、右端)に移動していく。その後、トナー像は、転写ニップ部(
図3では、2次転写ローラ27aに対応する箇所)において、当接した用紙Pに転写される。
【0037】
2次転写ローラ27aは、幅方向W(
図3では、上下方向)において、中間転写ベルト21と略同じくらいの長さとされており、画像形成装置1において画像形成が可能な用紙Pの幅より長い。検出センサ28は、中間転写ベルト21に対し、幅方向Wでの両端部にそれぞれ対向する2箇所に設けられている。なお、検出センサ28は、後述するライン画像に対応した位置に設けられていればよく、中間転写ベルト21の両端部のうち、いずれか一方に対向する1箇所に設けてもよい。
【0038】
画像形成装置1では、駆動条件の決定や、トナー像の形成位置を決定するためのレジスト調整などの際、複数のライン画像を含むトナー像を中間転写ベルト21上に形成し、これを検出センサ28で検出している。本実施の形態では、ライン画像を含む第1条件ZK1として、第1検出パターンKP1と第2検出パターンKP2とを形成している。第1検出パターンKP1は、幅方向Wに対して傾いた矩形状とされており、第2検出パターンKP2は、幅方向Wに平行な矩形状とされている。また、第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2は、搬送方向Cでの位置を少しずらして、それぞれ4つのライン画像で構成されている。4つのライン画像は、4つの感光体ドラム13に対応しており、それぞれ異なる感光体ドラム13から中間転写ベルト21上に転写されている。
【0039】
転写駆動ローラ22の駆動に伴って、中間転写ベルト21が搬送方向Cへ搬送され、第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2が検出センサ28に対向する位置に到達すると、検出センサ28は、ライン画像を検出したという検出信号を出力する。そして、中間転写ベルト21の搬送に伴って、最初のライン画像が通過した後、次のライン画像が検出され、検出したタイミングに基づいて、ライン画像同士の間隔を把握することができる。複数のライン画像が通過した際、制御部41は、検出センサ28の検出結果に基づいて、第1条件ZK1におけるライン画像同士の間隔を第1間隔として算出する。
【0040】
なお、ライン画像については、形状や数がそれほど重要ではなく、ライン画像同士の間隔が重要とされており、調整したい項目に応じて、形状や数を適宜変更してもよい。また、第1条件ZK1では、1組の第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2に限らず、複数組を繰り返し形成してもよい。本実施の形態では、検出センサ28において、第1検出パターンKP1を検出した後、第2検出パターンKP2を検出するように配置されており、第1検出パターンKP1は、第2検出パターンKP2よりも搬送方向Cでの下流側に配置されているが、第2検出パターンPK2のみでライン画像を形成してもよい。
【0041】
図4は、展開した中間転写ベルトと、第2条件に基づいて形成されたトナー像との関係を示す展開説明図である。
【0042】
図4は、
図3に示す第1条件ZK1とは異なる第2条件ZK2に基づいて形成されたトナー像を示している。第2条件ZK2は、第1条件ZK1に対し、第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2に加えて、第3検出パターンKP3(速度ズレ検出用画像の一例)を含む点が異なる。
【0043】
第3検出パターンKP3は、第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2よりも面積が大きい矩形状とされ、中間転写ベルト21に対し、幅方向Wでの中央に配置されている。つまり、第3検出パターンKP3は、第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2に対し、幅方向Wで重ならない位置に配置されている。そのため、第3検出パターンKP3は、検出センサ28に検出されない位置に設けられている。また、第3検出パターンKP3は、第1検出パターンKP1よりも搬送方向Cでの下流側から形成されている。なお、第3検出パターンKP3については、中間転写ベルト21に付着させるトナー量を多くすることが重要とされており、単に面積を大きくするだけでなく、高い濃度とされていることが好ましい。
【0044】
第2条件ZK2では、第1検出パターンKP1が検出センサ28に到達する前に、第3検出パターンKP3が転写ニップ部に到達するように配置されている。本実施の形態において、搬送方向Cにおける転写ニップ部(駆動ローラ27bに対応)から検出センサ28までの距離をニップ距離SLとすると、第3検出パターンKP3は、搬送方向Cにおいて、最も下流側に1次転写される第1検出パターンKP1までの距離(パターン間距離PL)が、ニップ距離SLよりも長くなるように形成される。つまり、パターン間距離PLは、第1検出パターンKP1における下流側の端部と、第3検出パターンKP3における下流側の端部との間の距離とされている。
図4から中間転写ベルト21を搬送方向Cへ移動させた状態について、
図5を参照して説明する。
【0045】
図5は、第3検出パターンが転写ニップ部に到達した際の第1検出パターンとの位置関係を示す展開説明図である。
【0046】
図5に示すように、中間転写ベルト21を搬送方向Cへ移動させると、第1検出パターンKP1、第2検出パターンKP2、および第3検出パターンKP3も併せて、搬送方向Cへ移動する。第3検出パターンKP3は、搬送方向Cにおいて、少なくとも2つ以上のライン画像(特に、第1検出パターンKP1)を含む範囲よりも長い。そのため、2つのライン画像が検出センサ28を通過する間は、第3検出パターンKP3が転写ニップ部に当接している。複数のライン画像が通過した際、制御部41は、第2条件ZK2におけるライン画像同士の間隔を第2間隔として算出する。
【0047】
ところで、中間転写ベルト21と2次転写ベルト27cとは、出荷時において、両者の回転速度が一致するように調整されている。しかしながら、表面に弾性層を有する駆動ローラ27bでは、経時変化によって弾性層が摩耗し、小径化することがあり、それによって、2次転写ベルト27cの回転速度が遅くなる。中間転写ベルト21は、転写ニップ部で2次転写ベルト27cに当接しているため、2次転写ベルト27cに引っ張られて、回転速度が遅くなることがあった。この際、中間転写ベルト21と2次転写ベルト27cとでは、表面に付着しているトナー量によって、両者に転写ニップ部でのスリップのしやすさが変わる。具体的に、転写ニップ部において、中間転写ベルト21に付着しているトナー量が多いと、摩擦が弱くなり、2次転写ベルト27cの回転速度が遅くなっていても、中間転写ベルト21に遅れが生じにくくなる。
【0048】
そこで、本実施の形態では、中間転写ベルト21に付着しているトナー量によって、2次転写ベルトとの摩擦が変化することを利用し、中間転写ベルト21と2次転写ベルト27cとの回転速度のズレが生じた原因を特定することを採用した。
【0049】
上述したように、2つのライン画像が検出センサ28を通過する際、速度ズレ検出用画像が転写ニップ部に位置しているので、2次転写ベルト27cの回転速度の遅れが、中間転写ベルト21の回転速度に影響しにくくなる。このように、異なる条件で検出した第1間隔と第2間隔とを比較した際、両者が異なる場合は、中間転写ベルト21と2次転写ベルト27cとの回転速度のズレが生じた原因が、2次転写ベルト27cにあると特定できる。
【0050】
画像形成装置1では、制御部41が、第1条件ZK1に基づくトナー像での第1間隔と、第2条件ZK2に基づくトナー像での第2間隔とを比較し、第1間隔と第2間隔との差が閾値を超えている場合、駆動ローラ27bの回転速度を補正する。なお、補正の内容については、後述する。
【0051】
上述したように、トナー量が異なる第1条件ZK1と第2条件ZK2とによって、転写ニップ部での滑りに差をつけた状態で、ライン画像の間隔を比較することで、駆動ローラ27bの弾性層の摩耗の度合いを予測することができる。これを駆動ローラ27bの制御に反映することで、中間転写ベルト21と2次転写ベルト27cとの速度ズレを補正することができる。
【0052】
第2条件ZK2では、ライン画像以外に速度ズレ検出用画像を設けることで、転写ニップ部での滑りに差をつけることができる。また、速度ズレ検出用画像は、ライン画像には干渉しないので、ライン画像を確実に検出できる。
【0053】
画像形成装置1では、第1条件ZK1に基づくトナー像と、第2条件ZK2に基づくトナー像とを形成しているが、両者を連続して形成するようにしてもよい。
【0054】
図6は、展開した中間転写ベルトと、第1条件および第2条件に基づいて形成されたトナー像との関係を示す展開説明図である。
【0055】
第1条件ZK1と第2条件ZK2とを連続的に実施する際、中間転写ベルト21上には、搬送方向Cの下流側(
図6では、右端)から上流側(
図6では、左端)に向かって、第1条件ZK1に基づくトナー像、第2条件ZK2に基づくトナー像の順に形成されている。つまり、第1条件ZK1における第2検出パターンKP2の後に、第2条件ZK2における第3検出パターンKP3と第1検出パターンKP1とが順に配置されている。このように、第1条件ZK1と第2条件ZK2とを連続的に実施する際、両者の間に速度ズレ検出用画像を配置して、余白を有効に活用することができる。その結果、第1条件ZK1と第2条件ZK2とを含むトナー像を設けた範囲の全長を短縮することができる。
【0056】
本実施の形態では、第1間隔および第2間隔を測定する際、第1検出パターンKP1の検出結果を参照しているが、これに限定されず、第2検出パターンKP2の検出結果を参照してもよいし、第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2の検出結果を参照してもよい。例えば、第1検出パターンKP1および第2検出パターンKP2の検出結果を参照する際には、ブラックに対応した感光体ドラム13から転写された第1検出パターンKP1と第2検出パターンKP2との間隔に基づいて、第1間隔および第2間隔を測定すればよい。
【0057】
また、4つの感光体ドラム13がそれぞれライン画像を転写する構成について説明したが、これに限定されず、4つの感光体ドラム13のうち、いずれか1つが複数のライン画像を転写し、ライン画像同士の間隔を測定する構成としてもよい。
【0058】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、第2実施形態は、
図1ないし
図6に示す第1実施形態と略同様の構成とされているので、図面および説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0059】
画像形成装置1では、第1間隔および第2間隔を測定した際、これを記憶部42に記憶させている。そして、異なる機会に第1間隔および第2間隔を測定した際、制御部41は、以前に記憶部42に記憶された第1間隔と第2間隔との差と、新たに出力された第1間隔と第2間隔との差とを比較する。このように、以前の出力結果と比較することで、使用状況による弾性層の摩耗の度合いを予測することができる。
【0060】
新たな第1間隔および第2間隔の測定については、画像形成を行った累積時間や累積枚数が所定の閾値を超えたときに実施するようにしてもよい。また、ライン画像を形成するのに併せて、レジスト調整を行ってもよい。このように、ライン画像の検出に基づくレジスト調整と併せて、使用状況による弾性層の摩耗の度合いを予測することができる。
【0061】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
12 現像部
13 感光体ドラム(像担持体の一例)
21 中間転写ベルト
27 2次転写装置
27a 2次転写ローラ
27b 駆動ローラ
27c 2次転写ベルト
28 検出センサ
41 制御部
42 記憶部