(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178164
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】二重容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/42 20060101AFI20221125BHJP
B65D 1/02 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
B29C49/42
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084740
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 雄飛
【テーマコード(参考)】
3E033
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA14
3E033BA30
3E033BB08
3E033DB01
3E033DD02
3E033DE05
3E033FA03
4F208AG03
4F208AG07
4F208AG28
4F208AH55
4F208LA09
4F208LB01
4F208LB22
4F208LG06
4F208LW02
4F208LW24
4F208LW25
(57)【要約】
【課題】容器本体の外気導入孔を精度良く形成可能な、二重容器の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、容器本体を有する二重容器の製造方法であって、前記方法は、成形工程と、外気導入孔形成工程を備え、前記成形工程では、前記容器本体となる容器成形体を形成し、前記容器成形体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記外気導入孔形成工程では、前記容器成形体に設けた凸部においてカッターを用いて前記外殻を局所的に切除することによって、前記外殻と内袋の間の空間に外気を導入可能にする外気導入孔を前記外殻に形成し、前記外気導入孔形成工程は、前記カッターが前記凸部に当接したときに前記カッターが前記凸部の頂上に向かって滑ることを抑制する滑り抑制手段が設けられるか、及び/又は前記凸部の切除位置を示す段差が前記凸部に設けられた状態で行われる、方法が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体を有する二重容器の製造方法であって、
前記方法は、成形工程と、外気導入孔形成工程を備え、
前記成形工程では、前記容器本体となる容器成形体を形成し、
前記容器成形体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、
前記外気導入孔形成工程では、前記容器成形体に設けた凸部においてカッターを用いて前記外殻を局所的に切除することによって、前記外殻と内袋の間の空間に外気を導入可能にする外気導入孔を前記外殻に形成し、
前記外気導入孔形成工程は、前記カッターが前記凸部に当接したときに前記カッターが前記凸部の頂上に向かって滑ることを抑制する滑り抑制手段が設けられるか、及び/又は前記凸部の切除位置を示す段差が前記凸部に設けられた状態で行われる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記外気導入孔形成工程は、前記滑り抑制手段が設けられた状態で行われ、
前記滑り抑制手段は、前記凸部が前記カッター側に向かってせり出すせり出し部を含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の方法であって、
前記外気導入孔形成工程は、前記滑り抑制手段が設けられた状態で行われ、
前記滑り抑制手段は、前記カッターに設けたガイドを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器本体となる容器成形体に設けた凸部においてカッターを用いて外殻を局所的に切除することによって、外殻に外気導入孔を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第110480984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、カッターが凸部に当接したときにカッターが凸部の頂上に向かって滑ってしまい、外気導入孔を精度良く形成することができない場合がある。また、凸部の根本以外の位置で外殻を切除したい場合があるが、その場合、切除位置が分かりにくいので、外気導入孔を精度良く形成することができない場合がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、容器本体の外気導入孔を精度良く形成可能な、二重容器の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、容器本体を有する二重容器の製造方法であって、前記方法は、成形工程と、外気導入孔形成工程を備え、前記成形工程では、前記容器本体となる容器成形体を形成し、前記容器成形体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記外気導入孔形成工程では、前記容器成形体に設けた凸部においてカッターを用いて前記外殻を局所的に切除することによって、前記外殻と内袋の間の空間に外気を導入可能にする外気導入孔を前記外殻に形成し、前記外気導入孔形成工程は、前記カッターが前記凸部に当接したときに前記カッターが前記凸部の頂上に向かって滑ることを抑制する滑り抑制手段が設けられるか、及び/又は前記凸部の切除位置を示す段差が前記凸部に設けられた状態で行われる、方法が提供される。
【0007】
本発明の方法では、滑り抑制手段が設けられるか、及び/又は凸部の切除位置を示す段差が凸部に設けられた状態で行われるので、カッターが滑ったり、切除位置を間違えたりすることがなく、容器本体の外気導入孔を精度良く形成することができる。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記外気導入孔形成工程は、前記滑り抑制手段が設けられた状態で行われ、前記滑り抑制手段は、前記凸部が前記カッター側に向かってせり出すせり出し部を含む、方法である。
好ましくは、前記記載の方法であって、前記外気導入孔形成工程は、前記滑り抑制手段が設けられた状態で行われ、前記滑り抑制手段は、前記カッターに設けたガイドを含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1を底部2c側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3実施形態についての、
図6Aに対応する図である。
【
図9】
図9は、本発明の第5実施形態についての、
図2Bに対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
まず、
図1~
図4を用いて、本発明の二重容器1の製造方法によって製造可能な二重容器1について説明する。二重容器1は、容器本体2と、弁部材3を備える。二重容器1は、容器本体2を圧縮することによって内容物を吐出するスクイズ式容器であっても、ポンプの作用によって内容物を吸い出すポンプ式容器であってもよい。
【0012】
図1に示すように、容器本体2は、口部2aと、胴部2bと、底部2cを備える。口部2aは、開口端を有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部2aは、キャップやポンプなどの口部装着部材を装着可能な係合部を備える。口部装着部材は、不図示の逆止弁を有しており、内容物の吐出は可能であるが、外気が容器本体2内に流入しないように構成される。
【0013】
胴部2bは、口部2aよりも開口端から離れた側に口部2aに隣接して配置される。胴部2bは、口部2aよりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、外接円径を意味する。)が大きい。胴部2bは筒状であり、底部2cは、胴部2bの下端に設けられ、胴部2bの下端を閉塞する。
【0014】
図2Bに示すように、容器本体2は、内袋14と、内袋14を覆うように配置された外殻12を備える。内袋14内の内容物の減少に伴って内袋14が収縮する。外殻12には、外殻12と内袋14の間の空間に外気を導入可能にする外気導入孔15が設けられる。
【0015】
外殻12は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィンなどで構成される。内袋14は、複数の層から構成することが好ましい。例えば、外殻12と接触する層にエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂からなるEVOH層を用い、内容物に接触する層に、例えば、上述のポリオレフィンからなる内面層を用いることができる。そして、上記EVOH層と内面層との間には、接着層を設けることが好ましい。
【0016】
容器本体2は、二軸延伸ブロー成形やダイレクトブロー成形によって形成することができる。容器本体2をダイレクトブロー成形によって形成する場合、容器本体2の底部2cには、一対の分割金型で筒状のパリソンを押し潰して、パリソンの対向する面同士を溶着することによって形成されるシール部27が設けられる。シール部27はシール強度を高めるために底面から突出していることが好ましいが、突出していなくてもよい。
【0017】
弁部材3は、外気導入孔15を通じたエアーの流れを制御可能に構成されている。
図3Bに示すように、弁部材3に設けた位置ずれ防止突起3cが容器本体2に係合されている。位置ずれ防止突起3cは、弁部材3がその挿入方向に沿って移動することを防止する突起である。位置ずれ防止突起3cが容器本体2に係合されることによって、弁部材3が位置ずれすることが防止される。
【0018】
図4に示すように、容器本体2の底部2cには、中央凹領域2c1と、その周囲に設けられる周縁領域2c2が設けられている。周縁領域2c2によって容器本体2の接地面が構成される。周縁領域2c2には、弁部材収容凹部7が設けられている。外気導入孔15は、弁部材収容凹部7内に配置されている。弁部材3は、弁部材収容凹部7内に収容されている。この状態では、
図3Aに示すように、弁部材3の外面が周縁領域2c2と面一になっており、弁部材3の外面が容器本体2の接地面の一部を構成している。
【0019】
図3B及び
図4に示すように、弁部材収容凹部7は、容器本体2の側面2dに向かって開口しており、弁部材3は、側面2d側から弁部材収容凹部7内に挿入可能になっている。
【0020】
より具体的な構成は、以下の通りである。
図3Aに示すように、弁部材収容凹部7は、幅広部7aと、幅狭部7bを備える。幅狭部7bは、幅広部7aよりも幅が狭い。幅広部7aと幅狭部7bは繋がっており、幅狭部7bが幅広部7aよりも容器本体2の底部2cの外表面側に配置される。弁部材3は、幅広部3aと、幅狭部3bを備える。幅狭部3bは、幅広部3aよりも幅が狭い。幅広部3aと幅狭部3bは繋がっている。幅広部3aは、幅広部7a内に収容可能であり、好ましくは幅広部7aの相補形状である。幅狭部3bは、幅狭部7b内に収容可能であり、好ましくは幅狭部7bの相補形状である。幅広部3aの幅は、幅狭部7bの幅よりも広いので、弁部材3を底部2c側から弁部材収容凹部7内に挿入することはできない。一方、幅広部3aと幅狭部3bは、側面2d側から幅広部7aと、幅狭部7bに挿入可能になっている。
【0021】
側面2dからの弁部材3の挿入方向は、シール部27の長手方向に垂直な方向(
図2Aの左右方向)であることが好ましい。この方向は、言い換えると、ブロー成形の際の分割金型の開閉方向であり、この方向に延びる弁部材収容凹部7は、精度良く形成することが容易である。
【0022】
弁部材3は、筐体4と、コア5を備える。
図2B及び
図4に示すように、筐体4は、外側開口4aと、容器側開口4bと、コア挿入開口4cを備える。これらの開口は、筐体4の内部で互いに連通している。外側開口4aは、外部に開口しており、中央凹領域2c1に向いている。容器側開口4bは、外気導入孔15側に開口している。コア挿入開口4cは、側面2d側に開口している。
図3Aに示すように、外側開口4aは、幅狭部3bに配置され、
図4及び
図5に示すように、容器側開口4bと、コア挿入開口4cは、幅広部3aに配置される。外気導入孔15は、弁部材収容凹部7内に設けた突起7d上に形成されており、
図2Bに示すように、突起7dが容器側開口4b内に収容されている。
【0023】
コア挿入開口4cを通じて、筐体4内にコア5を挿入可能になっている。
図2Bに示すように、コア5は、外側開口4aと容器側開口4bの間の流路4dを開閉可能に構成されている。具体的には、コア5は、ベース5aと、ベース5aから延びるフラップ5bを備える。ベース5aとフラップ5bの間にはヒンジ5cが設けられている。ベース5aは、フラップ5bよりもコア挿入開口4c側に設けられており、ベース5aがコア挿入開口4cを閉塞する。コア5は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、フラップ5bは、ベース5aを支点にして回動可能に構成されており、フラップ5bが回動することによって、流路4dが開閉される。ヒンジ5cは、フラップ5bが回動されやすくするためのものであり、不要な場合には省略可能である。また、コア5は、筐体4内で変位して流路4dを開閉するものであればよく、例えば、ボール弁のボールであってもよい。
【0024】
二重容器1内の内容物を吐出する際に外殻12を圧縮すると、外殻12と内袋14の間の中間空間にあるエアーによってフラップ5bが流路4dに押し付けられて流路4dが閉じられる。この状態では、外気導入孔15を通じてエアーが流出しないので、外殻12に加えた圧力が内袋14に伝わって内容物が吐出される。内容物の吐出後に外殻12に加えた力を除くと、外殻12の復元力によって外殻12と内袋14の間の中間空間が減圧されることによってフラップ5bが開かれて外側開口4aからのエアーが外気導入孔15を通じて中間空間内に流入する。これによって、外殻12が速やかに元の形状に復帰する。
【0025】
図3Bに示すように、位置ずれ防止突起3cは、幅広部3aの両側面から突出するように設けられている。幅広部7aの両側面には、位置ずれ防止突起3cを収容する突起収容凹部7cが設けられている。位置ずれ防止突起3cが突起収容凹部7cに係合することによって、容器本体2に対する弁部材3の位置ずれが防止される。位置ずれ防止突起3cには弁部材3の先端3dに向かって低くなる傾斜面が設けられており、これによって、位置ずれ防止突起3cが幅広部7aの縁に当接して挿入が阻害されることが抑制される。
【0026】
位置ずれ防止突起3cは、容器側開口4bよりも弁部材3の先端3dから離れた位置に設けられている。位置ずれ防止突起3cを設ける位置が先端3dに近いほど、弁部材3を挿入するときに強い摩擦抵抗が加わる距離が長くなるので、弁部材3の挿入時の負荷が高くなるからである。
【0027】
位置ずれ防止突起3cは、弁部材3の位置ずれを防止可能な任意の位置に配置可能である。例えば、幅狭部3bに設けたり、弁部材3の底面3e(容器側開口4bが設けられている面)に設けてもよい。また、位置ずれ防止突起3cを弁部材3の底面3eに設ける場合、位置ずれ防止突起3cは、外気導入孔15に係合させてもよい。
【0028】
1-2.二重容器1の構成
図5を用いて、本発明の第1実施形態の二重容器1の製造方法について説明する。この方法は、成形工程と、外気導入孔形成工程を備える。以下、各工程について説明する。
【0029】
(1)成形工程
図5Aに示すように、成形工程では、容器本体2となる容器成形体22を形成する。容器成形体22は、容器本体2と同様に、内袋14と、内袋14を覆うように配置された外殻12を備える。
【0030】
容器成形体22は、ダイレクトブロー成形や二軸延伸ブロー成形によって形成することができる。容器成形体22は、容器本体2と同様の形状を有する部位を有しており、容器成形体22に対して外気導入孔15を形成したり、バリがある場合にはバリを除去したり、口部が袋部で閉じている場合には、袋部を除去したりすることによって容器本体2が形成される。ダイレクトブロー成形では、容器成形体22は、押出機から押し出された溶融状態の筒状積層パリソンを一対の分割金型で挟んでパリソン内部にエアーを吹き込むことによって形成することができる。二軸延伸ブロー成形では、容器成形体22は、内プリフォームに外プリフォームを被せて構成されたプリフォームを加熱して二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。
【0031】
(2)外気導入孔形成工程
外気導入孔形成工程では、容器成形体22に設けた凸部22aにおいてカッター25を用いて外殻12を局所的に切除することによって、外殻12と内袋14の間の空間に外気を導入可能にする外気導入孔15を外殻12に形成して
図5Cに示す構造を得る。
【0032】
外殻12の局所的切除は、カッター25をスライド移動させることによって行うことができる。これによって外気導入孔15が形成される。カッター25は、
図5Aの左右方向にスライド移動させることができる。外気導入孔15の外縁によって構成される面Pは、カッター25のスライド移動の軌跡によって構成される面と一致する。言い換えると、外殻12の局所的切除は、外殻12を円筒状にくり抜くのではなく、外殻12を削り取ることによって行うことができる。
【0033】
このような方法で外殻12を除去する場合は、カッター25が凸部22aに当接したときにカッター25が凸部22aの頂部22cに向かって滑る(相対移動する)虞がある。カッター25が滑る際には、カッター25の高さ位置が変化してもよく、凸部22aがカッター25で押圧されて凹む結果、頂部22cの高さ位置が変化してもよく、これらの両方が起こってもよい。つまり、カッター25と頂部22cの少なくとも一方が変位する結果、カッター25と頂部22cの相対的な高さ位置が変化し、カッター25が凸部22aの頂部22cに向かって滑る。カッター25が滑ると、外気導入孔15を精度良く形成することができない。そこで、本実施形態では、カッター25が凸部22aの頂上に向かって滑ることを抑制する滑り抑制手段として、凸部22aにせり出し部22dが設けられている。せり出し部22dは、凸部22aがカッター25側にせり出した(オーバーハングした)部位であり、せり出し部22dの根本側にカッター25の先端が入るようにカッター25を移動させると、せり出し部22dによってカッター25が頂部22cに向かって滑ることが抑制される。せり出し部22dは、凸部22aに溝を設けることによって形成してもよく、凸部22aからカッター25側に向かって突出する突起を設けることによって形成してもよい。
【0034】
本実施形態では、凸部22aには段差22bが設けられており、段差22bの根本がせり出し部22dの根本と一致する。本実施形態では、段差22bの根本で凸部22aを切除しているので、凸部22a以外の部位では、カッター25と容器成形体22の間に隙間がある。このため、カッター25が容器成形体22を傷付けることが抑制される。
【0035】
2.第2実施形態
図6を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0036】
第1実施形態では、凸部22aの頂部22cが平坦であったが、本実施形態では、凸部22aは頂部22cが上に凸となるように湾曲している。また、第1実施形態では、凸部22aに段差22bが設けられていたが、本実施形態では、凸部22aに段差22bが設けられていない。
【0037】
本実施形態でも、凸部22aにせり出し部22dが設けられており、せり出し部22dの根本側にカッター25の先端が入るようにカッター25を移動させると、せり出し部22dによってカッター25が頂部22cに向かって滑ることが抑制される。
【0038】
3.第3実施形態
図7を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0039】
本実施形態では、凸部22aにせり出し部22dが設けられておらず、代わりに、カッター25が凸部22aの頂部に向かって滑ることを抑制する滑り抑制手段として、カッター25にガイド26が設けられている。ガイド26は、カッター25の上面に当接するように配置されており、カッター25は、ガイド26に案内されてスライド移動する。このような構成によれば、カッター25の上方の移動がガイド26によって妨げられるので、カッター25が凸部22aの頂上に向かって滑ることが抑制される。なお、せり出し部22dとガイド26を併用することも可能である。
【0040】
4.第4実施形態
図8を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0041】
本実施形態では、凸部22aは、第1実施形態と同様に段差22bを有するが、凸部22aにせり出し部22dが設けられていない。
【0042】
本実施形態では、凸部22aの頂部22cと凸部22aの根本22eの間の高さ位置で凸部22aを切除することが想定されているが、凸部22aが段差22bを有さない形状であれば、どの高さ位置において凸部22aを切除すべきか分かりにくい。一方、本実施形態では、凸部22aに段差22bが設けられており、段差22bが凸部22aの切除位置を示す目印となり、例えば、段差22bの根本において凸部22aを切除することができる。従って、本実施形態によれば、凸部22aを正確な位置で切除することができ、外気導入孔15の形成工程の精度を向上させることができる。
【0043】
5.第5実施形態
図9を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0044】
第1実施形態では、外気導入孔15の近傍において内袋14が外殻12に密着しており、内袋14が外殻12から剥離しにくいという問題がある。このような問題を解決すべく、本実施形態では、弁部材3が、本体部3fと、本体部3fから外気導入孔15に向かって突出する挿入部3gを備える構成を採用している。挿入部3gが、外気導入孔15内に挿入される。挿入部3gを外気導入孔15に挿入する際に、内袋14を押圧して、外気導入孔15の近傍において内袋14を外殻12から剥離させることができる。これによって、内袋14が外殻12から剥離されやすくなり、外殻12と内袋14の間の空間への外気導入性が向上する。
【0045】
6.その他実施形態
・上記実施形態では、外気導入孔15は、弁部材収容凹部7内に設けているが、別の位置に設けてもよい。例えば、外気導入孔15は、胴部2bに設けてもよい。
・上記実施形態では、二重容器1は、弁部材3を備えているが、弁部材3は、上記実施形態とは別の構成のものであってもよく、省略してもよい。弁部材3を省略する場合、「弁部材収容凹部7」は単に「凹部」と称することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 :二重容器
2 :容器本体
2a :口部
2b :胴部
2c :底部
2c1 :中央凹領域
2c2 :周縁領域
2d :側面
3 :弁部材
3a :幅広部
3b :幅狭部
3c :位置ずれ防止突起
3d :先端
3e :底面
3f :本体部
3g :挿入部
4 :筐体
4a :外側開口
4b :容器側開口
4c :コア挿入開口
4d :流路
5 :コア
5a :ベース
5b :フラップ
5c :ヒンジ
7 :弁部材収容凹部
7a :幅広部
7b :幅狭部
7c :突起収容凹部
7d :突起
12 :外殻
14 :内袋
15 :外気導入孔
22 :容器成形体
22a :凸部
22b :段差
22c :頂部
22d :せり出し部
22e :根本
25 :カッター
26 :ガイド
27 :シール部
P :面