(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178166
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】肉含有食品用の品質改良剤、肉含有食品、および、肉含有食品の作製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 13/40 20160101AFI20221125BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20221125BHJP
【FI】
A23L13/40
A23L35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084742
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西 健未
(72)【発明者】
【氏名】太田 賢
【テーマコード(参考)】
4B036
4B042
【Fターム(参考)】
4B036LF13
4B036LH01
4B036LH11
4B036LK02
4B042AC10
4B042AD20
4B042AH01
4B042AK01
4B042AK09
(57)【要約】
【課題】加熱前後の種のまとまりが良好であり、加熱後の適度な硬さを有し、加熱後のヌメリが低減された肉含有食品を作製することができる肉含有食品用の品質改良剤、その品質改良剤を含む肉含有食品、および、肉含有食品の作製方法を提供する。
【解決手段】ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、を含む、肉含有食品用の品質改良剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、を含むことを特徴とする肉含有食品用の品質改良剤。
【請求項2】
ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、肉用材料と、を含むことを特徴とする肉含有食品。
【請求項3】
ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、肉用材料と、を用いて肉含有食品を作製することを特徴とする肉含有食品の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用肉および人工肉のうちの少なくとも1つを含む肉含有食品用の品質改良剤、その品質改良剤を含む肉含有食品、および、肉含有食品の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食用肉の代替品として、大豆タンパク等の植物性タンパクを主成分とする人工肉が近年注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
人工肉は、大豆タンパク等の植物性タンパクに油、水、増粘剤等を混合して作製するのが一般的であるが、人工肉を用いるハンバーグ等の人工肉加工食品は、加熱前後の種のまとまりや、加熱後の適度な硬さや、加熱後のヌメリの低減、抑制を同時に実現することは困難である。人工肉だけではなく、食用肉を用いるハンバーグ等の食用肉加工食品にも同様の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、加熱前後の種のまとまりが良好であり、加熱後の適度な硬さを有し、加熱後のヌメリが低減された肉含有食品を作製することができる肉含有食品用の品質改良剤、その品質改良剤を含む肉含有食品、および、肉含有食品の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、を含む、肉含有食品用の品質改良剤である。
【0007】
本発明は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、肉用材料と、を含む、肉含有食品である。
【0008】
本発明は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、肉用材料と、を用いて肉含有食品を作製する、肉含有食品の作製方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって、加熱前後の種のまとまりが良好であり、加熱後の適度な硬さを有し、加熱後のヌメリが低減された肉含有食品を作製することができる肉含有食品用の品質改良剤、その品質改良剤を含む肉含有食品、および、肉含有食品の作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<肉含有食品用の品質改良剤>
本実施形態に係る肉含有食品用の品質改良剤は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、を含む組成物である。
【0012】
本発明者らは、食用肉および人工肉のうちの少なくとも1つを含む肉含有食品を作製する際に、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、を組み合わせることによって、加熱前後の種のまとまりが良好であり、加熱後の適度な硬さを有し、加熱後のヌメリが低減された肉含有食品を作製することができることを見出した。
【0013】
ゲル化能を有する増粘剤としては、水に加えたときにゲル化能を有する増粘剤であればよく、特に制限はないが、カードラン、カラギナン、カロブビーンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、アマシードガム、キサンタンガム、ウェランガム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、適度な硬さ、ヌメリの低減が得られる等の点から、カードラン、カラギナン、カロブビーンガムが好ましい。これらの増粘剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0014】
グルコマンナンは、コンニャクイモの塊茎に存在する多糖類である。例えば、コンニャクイモを水洗後、スライスして乾燥して粉砕し、さらに澱粉質等の不純物を分離したものがコンニャク精粉と呼ばれる。このコンニャク精粉にはグルコマンナンが約75~85質量%程度含まれている。グルコマンナンは、グルコース(単糖の一種)とマンノース(単糖の一種)が、およそ2:3の割合で多数結合した食物繊維である。グルコマンナンとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0015】
コンニャク粉は、例えば、コンニャクイモを水洗後、スライスして乾燥して粉砕し、さらに澱粉質等の不純物を分離して得られる粉である。コンニャク粉としては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0016】
炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のナトリウム塩、炭酸カリウム等のカリウム塩、炭酸カルシウム等のカルシウム塩、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩等が挙げられる。これらのうち、適度な硬さ、ヌメリの低減が得られる等の点から、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。これらの炭酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0017】
pH7以上のアルカリリン酸塩は、水に溶解させたときにpH7以上を示すリン酸塩である。具体的には、20~25℃の純水100mL中に、1gのリン酸塩を溶解し、pHを測定してpH7以上を示すリン酸塩である。pH7以上のアルカリリン酸塩としては、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム等が挙げられる。これらのうち、適度な硬さが得られる、ヌメリの低減が得られる等の点から、リン酸三カリウムが好ましい。これらのリン酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0018】
ミネラル塩は、一般的な食塩(塩化ナトリウム)を除く塩類であり、適度な硬さ、ヌメリの低減が得られる等の点から、カリウム、カルシウム、マグネシウム等を含むミネラル塩が好ましく、カリウム、カルシウムを含むミネラル塩がより好ましい。ミネラル塩としては、例えば、海藻カルシウム等が挙げられる。これらのミネラル塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0019】
品質改良剤中のゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤の含有量は、例えば、品質改良剤全体の質量に対して、20~80質量%の範囲であり、30~70質量%の範囲であることが好ましい。ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤の含有量が20質量%未満であると、十分に品質改良効果が得られない場合があり、80質量%を超えると、適度な硬さが得られない場合がある。
【0020】
品質改良剤中のグルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つの含有量は、例えば、品質改良剤全体の質量に対して、20~80質量%の範囲であり、30~70質量%の範囲であることが好ましい。グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つの含有量が20質量%未満であると、十分に品質改良効果が得られない場合があり、80質量%を超えると、ヌメリの低減が不十分となる場合がある。
【0021】
品質改良剤中の炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つの含有量は、例えば、品質改良剤全体の質量に対して、5~40質量%の範囲であり、10~30質量%の範囲であることが好ましい。炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つの含有量が5質量%未満であると、十分に品質改良効果が得られない場合があり、40質量%を超えると、適度な硬さが得られない場合がある。
【0022】
本実施形態に係る品質改良剤は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つ、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つの他に、でん粉、加工でん粉、デキストリン、糖類、食塩、乳化剤等の他の成分を含んでもよいし、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つ、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つの他に、他の成分を含まなくてもよい。
【0023】
他の成分を含む場合、他の成分の含有量は、例えば、品質改良剤全体の質量に対して、80質量%以下であり、好ましくは40質量%以下である。
【0024】
本実施形態に係る品質改良剤は、肉含有食品の品質を改良するために利用することができる。改良する品質としては、例えば、加熱前後の種のまとまり、加熱後の硬さ、加熱後のヌメリ、加熱後のジューシー感等が挙げられる。
【0025】
本実施形態に係る品質改良剤の形態は特に制限されず、例えば、液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状、固形状等のいずれの形態であってもよい。
【0026】
本実施形態に係る品質改良剤は、粉末添加、水、油等に分散後に添加等の処理方法で、肉含有食品の品質の改良に用いることができる。
【0027】
<肉含有食品>
本発明の実施の形態に係る肉含有食品は、上記肉含有食品用の品質改良剤と肉用材料とを含む食品である。すなわち、本実施形態に係る肉含有食品は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、肉用材料と、を含む食品である。
【0028】
本実施形態に係る肉含有食品は、例えば、肉用材料に、上記肉含有食品用の品質改良剤と、食用油、水等とを加え、混合することによって得られる。すなわち、本実施形態に係る肉含有食品は、例えば、肉用材料に、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、食用油、水等とを加え、混合することによって得られる。
【0029】
肉用材料としては、食用肉または人工肉が挙げられる。
【0030】
食用肉としては、例えば、牛、豚、鶏、馬、羊、アヒル、七面鳥等の畜肉類等が挙げられる。
【0031】
人工肉は、植物性タンパク、魚類タンパク、魚卵タンパク、鶏卵タンパク、乳類タンパク、甲殻類タンパク、海藻タンパク、微生物藻類タンパク等のタンパクのうち少なくとも1つを含む肉である。人工肉に用いられる植物性タンパクとしては、大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、落花生、ルビナス、キマメ、ナタ豆、ツル豆、インゲン豆、小豆、ササゲ、レンズ豆、ソラ豆、イナゴ豆、オーツ麦、大麦、小麦、ライ麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯、サツマイモ(SWEET POTATO)、チア、キヌア、アルファルファ、麻(ヘンプ)、アーモンド、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ブラジルナッツ、ピスタチオ、パンプキンシード、ココナッツ、グレープシード、金時豆、黒豆、ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、ケール、クランベリー、ザクロ、菜種、ひまわり種子、綿実種子、亜麻(アマニ)、ゴマ等の植物性タンパクが挙げられる。また、植物性タンパク以外に、魚類、魚卵、鶏卵、乳類、甲殻類、海藻、微生物藻類等のタンパクを用いてもよい。これらのタンパクは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
食用油としては、食用の油であればよく、特に制限はないが、例えば、キャノーラ油、サフラワー油、ぶどう油、大豆油、ひまわり油、とうもろこし油、綿実油、ごま油、なたね油、こめ油、落花生油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、やし油、サラダ油、カカオ脂、アマニ油、あまし油、魚油、ゴマサラダ油、シソ油、ベニバナ油、米ぬか油、エゴマ油や、豚脂、牛脂等の動物性脂等が挙げられ、食す際の口中温度において融解状態となる油を使用することが好ましい。これらの食用油は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0034】
本実施形態に係る肉含有食品は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、上記肉用材料、食用油、水等の他に、澱粉、加工澱粉、小麦粉、コーンフラワー、米粉、食物繊維、食塩、グルタミン酸ソーダ、グラニュー糖、ブドウ糖、酵母エキス、香辛料、香辛料抽出物、凍結解凍蒟蒻ミンチ、ローストオニオン、増粘多糖類、ココアパウダー、ビーツ粉末、卵白、乳タンパク、ゼラチン、コラーゲン、生タマネギ等の他の成分を含んでもよい。
【0035】
肉含有食品としては、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、上記肉用材料と、を含む食品であればよく、特に制限はないが、例えば、ハンバーグ、パティ、ミートボール、ナゲット、つくね、ビーフジャーキー、ソーセージ、サラミ、フランクフルト、アメリカンドック、餃子、焼売、春巻き、肉饅頭、小龍包、メンチカツ、ミートパイ、ミートソース様食品、ラビオリ、ラザニア、ミートローフ、ロールキャベツ、ピーマンの肉詰めやその他種々のひき肉を使用した加工食品、植物性ハンバーグ、植物性メンチカツ、植物性ナゲット等の人工肉を使用した加工食品等が挙げられる。
【0036】
肉含有食品におけるゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤の配合量は、例えば、肉含有食品全体の質量に対して0.1質量%~10質量%の範囲であり、0.5質量%~5質量%の範囲であることが好ましい。肉含有食品全体の質量に対するゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤の配合量が0.1質量%未満であると、十分に品質改良効果が得られない場合があり、10質量%を超えると、適度な硬さが得られない場合がある。
【0037】
肉含有食品におけるグルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つの配合量は、例えば、肉含有食品全体の質量に対して0.1質量%~3質量%の範囲であり、0.3質量%~2質量%の範囲であることが好ましい。肉含有食品全体の質量に対するグルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つの配合量が0.1質量%未満であると、十分に品質改良効果が得られない場合があり、3質量%を超えると、ヌメリが強くなる場合がある。
【0038】
肉含有食品における炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つの配合量は、例えば、肉含有食品全体の質量に対して0.01質量%~2質量%の範囲であり、0.1質量%~1質量%の範囲であることが好ましい。肉含有食品全体の質量に対する炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つの配合量が0.01質量%未満であると、十分に品質改良効果が得られない場合があり、2質量%を超えると、適度な硬さが得られない場合がある。
【0039】
人工肉における植物性タンパク等のタンパクの配合量は、人工肉の質量に対して5質量%~30質量%の範囲であることが好ましく、10質量%~20質量%の範囲であることがより好ましい。人工肉の質量に対する植物性タンパク等のタンパクの配合量が5質量%未満であると、保型性が低下する場合があり、30質量%を超えると、風味が低下する場合がある。
【0040】
本実施形態に係る肉含有食品において、その他の成分の配合量は、各種肉含有食品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0041】
本実施形態に係る肉含有食品は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、を用いて作製したものであり、肉含有食品の作製方法は、各種肉含有食品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0042】
本実施形態に係る肉含有食品は、加熱前後の種のまとまりが良好であり、加熱後の適度な硬さを有し、加熱後のヌメリが低減された肉含有食品である。
【0043】
<肉含有食品の作製方法>
本発明の実施の形態に係る肉含有食品の作製方法は、上記肉含有食品用の品質改良剤と肉用材料とを用いて肉含有食品を作製する方法である。すなわち、本実施形態に係る肉含有食品の作製方法は、ゲル化能を有する少なくとも1種の増粘剤と、グルコマンナンおよびコンニャク粉のうち少なくとも1つと、炭酸塩、pH7以上のアルカリリン酸塩、およびミネラル塩のうち少なくとも1つと、肉用材料と、を用いて肉含有食品を作製する方法である。
【0044】
例えば、肉用材料に、上記肉含有食品用の品質改良剤と、食用油、水等とを加え、混合して、各種肉含有食品の製造の常法に従い、肉含有食品を作製すればよい。
【0045】
このようにして、加熱前後の種のまとまりが良好であり、加熱後の適度な硬さを有し、加熱後のヌメリが低減された肉含有食品を作製することができる。
【実施例0046】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
<実施例1~5、比較例1~6>
以下の実施例1~5、比較例1~6について、表1に示す組成(質量%)で以下の方法によって植物性ハンバーグを作製した。
【0048】
[植物性ハンバーグ作製方法]
(1)水戻しした粒状大豆たん白に、硬化油、食塩以外の原材料を加え撹拌する。
(2)硬化油を加え撹拌し、食塩を加え撹拌する。
(3)加熱前の種のまとまりを確認し、80g/個に成型し、スチームで95℃10分間、オーブンで250℃4分間加熱する。
(4)ブラストフリーザーにて-20℃で50分間急速冷凍する。
(5)レトルト袋で真空処理し、-20℃で一晩以上(12時間以上)冷凍庫にて保管する。
(6)レンジアップ(500Wで2分間)後、5分間放熱し、官能評価を行う。
【0049】
[官能評価]
8人の評価者によって、加熱前後の種のまとまり、加熱後の硬さ、ヌメリについて、以下の基準で5段階評価を行い、平均点を算出した。結果を表2に示す。
【0050】
(加熱前後の種のまとまり)
5点:非常にまとまりがある
4点:まとまりがある
3点:どちらともいえない
2点:ややまとまりがない
1点:全くまとまりがない
(加熱後の硬さ)
5点:適度な硬さがある
4点:やや適度な硬さがある
3点:どちらともいえない
2点:やわらかい
1点:非常にやわらかい
(加熱後のヌメリ)
5点:ヌメリが非常に弱い
4点:ヌメリが弱い
3点:どちらともいえない
2点:ヌメリが強い
2点:ヌメリが非常に強い
【0051】
【0052】
【0053】
実施例では、加熱前後の種のまとまり、加熱後の硬さ、ヌメリについて、いずれも優れていた。
【0054】
このように、実施例では、加熱前後の種のまとまりが良好であり、加熱後の適度な硬さを有し、加熱後のヌメリが低減された肉含有食品を作製することができた。