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特開2022-178174肌貼付用フィルム、および、転写シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178174
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】肌貼付用フィルム、および、転写シート
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20221125BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20221125BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61F13/02 310T
A61F13/02 310Z
A61K9/70 401
A61L15/22 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084756
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 和代
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076AA73
4C076BB31
4C076EE01A
4C081AA03
4C081AA12
(57)【要約】
【課題】肌に対する密着性を高められるとともに、塗布薬の塗布領域上での縒れや破れおよびべたつきを抑えることができる肌貼付用フィルム、および、転写シートを提供する。
【解決手段】肌貼付用フィルム10は、60mN以上290mN以下の膜強度を有する薄膜部20と、薄膜部20よりも大きい平均厚さおよび膜強度を有する厚膜部21であって、200mN以上700mN以下の膜強度を有する厚膜部21とを備える。肌貼付用フィルム10の表面と対向する位置から見て、肌貼付用フィルム10の外縁に沿った環状領域ORに仮想的に区画された領域であって、当該環状領域ORの周方向に沿って並ぶ複数の領域が、薄膜部20に含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
60mN以上290mN以下の膜強度を有する薄膜部と、
前記薄膜部よりも大きい平均厚さおよび膜強度を有する厚膜部であって、200mN以上700mN以下の膜強度を有する厚膜部と、
を備える肌貼付用フィルムであって、
前記肌貼付用フィルムの表面と対向する位置から見て、
前記肌貼付用フィルムの外縁に沿った環状領域に仮想的に区画された領域であって、当該環状領域の周方向に沿って並ぶ複数の領域が、前記薄膜部に含まれる
肌貼付用フィルム。
【請求項2】
前記環状領域における周方向の全体が、前記薄膜部に含まれる
請求項1に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項3】
前記厚膜部の膜強度は、200mN以上400mN以下である
請求項1または2に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項4】
前記薄膜部の膜強度は、前記厚膜部の膜強度の0.1倍以上0.8倍以下である
請求項1~3のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項5】
前記肌貼付用フィルムは、
前記肌貼付用フィルムの表面と対向する位置から見て、前記肌貼付用フィルムの全体に広がる広域層と、
前記肌貼付用フィルムの表面と対向する位置から見て、前記肌貼付用フィルムの一部に位置する狭域層と、を備える
請求項1~4のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項6】
前記広域層と前記狭域層との組成は互いに異なる
請求項5に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項7】
前記肌貼付用フィルムは、第1面と、前記第1面とは反対側の面であって肌に貼り付けられる第2面とを有し、
前記第1面から前記第2面に向かう方向に、前記広域層、前記狭域層がこの順に並ぶ
請求項5または6に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項8】
前記肌貼付用フィルムは、第1面と、前記第1面とは反対側の面であって肌に貼り付けられる第2面とを有し、
前記第2面から前記第1面に向かう方向に、前記広域層、前記狭域層がこの順に並ぶ
請求項5または6に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項9】
前記狭域層は、粒子を含む
請求項5~8のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項10】
前記広域層と前記狭域層との間に、アンカー層を備える
請求項5~9のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項11】
前記肌貼付用フィルムの厚さは、前記薄膜部に含まれる最も薄い部分から、前記厚膜部に含まれる最も厚い部分に向けて、連続的に変化する
請求項1~4のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項12】
前記肌貼付用フィルムの厚さは、前記薄膜部に含まれる最も薄い部分から、前記厚膜部に含まれる最も厚い部分に向けて、多段階的に変化する
請求項1~4のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項13】
前記肌貼付用フィルムの主成分は、高分子材料である
請求項1~12のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項14】
前記肌貼付用フィルムの主成分は、生体適合性樹脂である
請求項1~13のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の肌貼付用フィルムと、
前記肌貼付用フィルムを支持する支持基材と、
を備える転写シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌貼付用フィルム、および、肌貼付用フィルムを肌に貼り付けるための転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
創傷の治療や関節部の固定等のために肌に貼り付けられる部材として、絆創膏やドレッシング材等の貼付用部材が知られている。貼付用部材は、基材と粘着剤層とを含む積層体である。例えば、特許文献1には、伸縮性を有する編布と、ポリウレタンフィルムと、粘着剤層との積層構造を有する貼付用部材が記載されている。特許文献1の貼付用部材によれば、関節の動きに追従できる柔軟性、伸びによる皮膚の拘束を抑えられる低モジュラス性、テーピングの緩みを抑えられるキックバック性等の特性が良好に得られる。
【0003】
一方、数μm以下の厚さを有する薄型フィルムは、肌の表面形状に対する高い追従性を有するため、粘着剤を用いずとも肌に密着する。そこで、特許文献2や非特許文献1では、薄型フィルムを、創傷の治療等の医療用途や、スキンケアやメイクアップ等の美容用途に用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4102129号明細書
【特許文献2】国際公開第2014/058066号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.Fujie et al.,Adv.Funct.Mater.,2009年,19巻,2560-2568頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クリームや軟膏のように粘性の高い塗布薬を肌に塗布すると、その塗布領域はべたついた状態となる。その結果、使用者が不快感を覚えたり、塗布領域に触れた衣服等に塗布薬が付着したりする問題が生じる。塗布領域を上述の貼付用部材で覆えば、こうした問題は解消されるが、肌のキメ、すなわち、肌表面の微小な凹凸への貼付用部材の追従性が低いと、貼付用部材の貼付部分で肌がつっぱるような違和感を使用者が覚えたり、貼付用部材が剥がれやすかったりする。特許文献1に記載のように、柔軟性の高い貼付用部材が提案されてはいるものの、その柔軟性は関節の曲がりに追従できる程度であって、肌表面の凹凸に追従するには不十分である。
【0007】
そこで、上述の薄型フィルムを、塗布薬の塗布領域を覆う用途に用いることが検討されている。べたつきの大きい塗布薬は乾燥し難いため、塗布薬の塗布領域に薄型フィルムを貼り付けた場合、肌と薄型フィルムとの間で塗布薬が半固形状に保たれやすい。そのため、薄型フィルムの貼付部分の表面を擦ると、薄型フィルムに縒れや破れが生じる場合がある。したがって、上記用途に用いられる薄型フィルムには、肌に密着して剥がれにくいことと共に、塗布領域上での縒れや破れを抑え、塗布薬の染み出しにより薄型フィルムの貼付部分がべたつくことを抑制できることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための肌貼付用フィルムは、60mN以上290mN以下の膜強度を有する薄膜部と、前記薄膜部よりも大きい平均厚さおよび膜強度を有する厚膜部であって、200mN以上700mN以下の膜強度を有する厚膜部と、を備える肌貼付用フィルムであって、前記肌貼付用フィルムの表面と対向する位置から見て、前記肌貼付用フィルムの外縁に沿った環状領域に仮想的に区画された領域であって、当該環状領域の周方向に沿って並ぶ複数の領域が、前記薄膜部に含まれる。
【0009】
上記構成によれば、薄膜部が位置する肌貼付用フィルムの端部では、肌に対する肌貼付用フィルムの密着性が高められるため、肌からの肌貼付用フィルムの剥離が抑えられる。一方、厚膜部の位置する部分では、塗布薬の塗布領域上における肌貼付用フィルムの縒れや破れおよびべたつきが抑えられる。
【0010】
上記構成において、前記環状領域における周方向の全体が、前記薄膜部に含まれてもよい。
上記構成によれば、肌貼付用フィルムの端部において、その周方向の全域で肌との密着性が高められる。したがって、肌からの肌貼付用フィルムの剥離がより好適に抑えられる。
【0011】
上記構成において、前記厚膜部の膜強度は、200mN以上400mN以下であってもよい。
上記構成によれば、厚膜部に皺が生じることや厚膜部が肌から浮くことが抑えられるため、肌貼付用フィルムの貼付部分が目立つことが抑えられる。
【0012】
上記構成において、前記薄膜部の膜強度は、前記厚膜部の膜強度の0.1倍以上0.8倍以下であってもよい。
上記構成によれば、薄膜部と厚膜部との機能の違いが良好に得られる。また、薄膜部と厚膜部との膜強度の差が大きすぎないため、薄膜部と厚膜部との境界部分が外力に弱くなることが抑えられる。
【0013】
上記構成において、前記肌貼付用フィルムは、前記肌貼付用フィルムの表面と対向する位置から見て、前記肌貼付用フィルムの全体に広がる広域層と、前記肌貼付用フィルムの表面と対向する位置から見て、前記肌貼付用フィルムの一部に位置する狭域層と、を備えてもよい。
【0014】
上記構成によれば、複数の層の積層によって、厚さおよび膜強度が部分的に異なる肌貼付用フィルムが容易にかつ的確に実現される。
【0015】
上記構成において、前記広域層と前記狭域層との組成は互いに異なってもよい。
上記構成によれば、例えば、広域層を、肌と密着する機能に適した材料から構成し、狭域層を、膜強度を高めやすい材料のように、塗布薬の塗布領域の被覆に適した材料から形成することができる。したがって、各層の機能をより高めることができる。
【0016】
上記構成において、前記肌貼付用フィルムは、第1面と、前記第1面とは反対側の面であって肌に貼り付けられる第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向かう方向に、前記広域層、前記狭域層がこの順に並んでもよい。
【0017】
上記構成によれば、肌貼付用フィルムが肌に貼り付けられたときに、広域層が狭域層を覆う。したがって、狭域層が広域層によって保護されるため、狭域層が露出されている形態と比較して、指等の接触に起因して広域層と狭域層とが剥離することが抑えられる。
【0018】
上記構成において、前記肌貼付用フィルムは、第1面と、前記第1面とは反対側の面であって肌に貼り付けられる第2面とを有し、前記第2面から前記第1面に向かう方向に、前記広域層、前記狭域層がこの順に並んでもよい。
【0019】
上記構成によれば、肌貼付用フィルムが肌に貼り付けられたときに、広域層の全面が肌に接するため、肌貼付用フィルムと肌との間に隙間が形成されにくい。
【0020】
上記構成において、前記狭域層は、粒子を含んでもよい。
上記構成によれば、粒子の特性に応じて、肌貼付用フィルムから肌に対して作用する機能を高めることや、こうした機能の多様化が可能である。また、狭域層は厚膜部を構成するため、広域層よりも厚く形成することができる。したがって、広域層に粒子を含有させる場合と比較して、含有可能な粒子の種類や含有量の自由度が高められる。
【0021】
上記構成において、前記広域層と前記狭域層との間に、アンカー層を備えてもよい。
上記構成によれば、肌貼付用フィルムを構成する層間の密着性が高められる。
【0022】
上記構成において、前記肌貼付用フィルムの厚さは、前記薄膜部に含まれる最も薄い部分から、前記厚膜部に含まれる最も厚い部分に向けて、連続的に変化してもよい。
上記構成によれば、厚さの差に起因した段差が肌貼付用フィルムの表面や裏面に形成されることが抑えられる。したがって、厚さの異なる部分の境界が視認されることが抑えられる。また、上記段差に指等が引っ掛かることに起因して肌貼付用フィルムが破断することが抑えられる。
【0023】
上記構成において、前記肌貼付用フィルムの厚さは、前記薄膜部に含まれる最も薄い部分から、前記厚膜部に含まれる最も厚い部分に向けて、多段階的に変化してもよい。
上記構成によれば、複数の平坦な層に積層によって肌貼付用フィルムを形成することが可能である。したがって、厚さが連続的に変化する形態と比較して、肌貼付用フィルムの形成が容易である。
【0024】
上記構成において、前記肌貼付用フィルムの主成分は、高分子材料であってもよい。
上記構成によれば、膜強度の的確な制御が可能である。
【0025】
上記構成において、前記肌貼付用フィルムの主成分は、生体適合性樹脂であってもよい。
上記構成によれば、肌への貼り付けに対する肌貼付用フィルムの適性の向上が可能である。
【0026】
上記課題を解決するための肌貼付用フィルムは、上記肌貼付用フィルムと、前記肌貼付用フィルムを支持する支持基材と、を備える。
上記構成によれば、転写シートの保管時や移動時に、肌貼付用フィルムの変形が抑えられる。また、支持基材に支持されていることにより、肌貼付用フィルムが取り扱いやすくなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、肌に対する肌貼付用フィルムの密着性を高められるとともに、塗布薬の塗布領域上での肌貼付用フィルムの縒れや破れおよびべたつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態の肌貼付用フィルムの平面構造の一例を示す図。
図2】一実施形態の肌貼付用フィルムの平面構造の他の例を示す図。
図3】一実施形態の肌貼付用フィルムについて、膜強度の測定対象領域の一例を示す図。
図4】第1形態の転写シートの断面構造を示す図。
図5】一実施形態の肌貼付用フィルムの使用方法を示す図であって、肌に塗布薬を塗布した状態を示す図。
図6】一実施形態の肌貼付用フィルムの使用方法を示す図であって、肌に転写シートを貼り付ける工程を示す図。
図7】一実施形態の肌貼付用フィルムの使用方法を示す図であって、肌に貼り付けられた肌貼付用フィルムを示す図。
図8】第2形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
図9】第3形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
図10】第4形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
図11】第5形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
図12】第6形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
図13】第7形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
図14】第8形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
図15】第9形態の肌貼付用フィルムの断面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照して、肌貼付用フィルム、および、転写シートの一実施形態を説明する。
[肌貼付用フィルムの概略構成]
図1が示すように、肌貼付用フィルム10は、第1面11Fと、第1面11Fとは反対側の面である第2面11Rとを有している。肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられたとき、第2面11Rは肌に対向し、第1面11Fは、肌とは反対側に位置する最外面となる。
【0030】
第1面11Fと対向する位置から見た平面視において、肌貼付用フィルム10は、肌貼付用フィルム10の外縁に沿った環状領域ORと、環状領域ORの内側に位置する中央領域CRとを有している。そして、肌貼付用フィルム10は、主として環状領域ORに位置する薄膜部20と、主として中央領域CRに位置する厚膜部21とを備えている。図1は、環状領域ORの全体が薄膜部20であり、中央領域CRの全体が厚膜部21である例を示している。なお、図1および図2においては、薄膜部20の位置する部分にドットを付して示している。
【0031】
環状領域ORは、上記平面視にて一定の幅を有する帯状に延びる閉環状の領域である。環状領域ORの外縁は、肌貼付用フィルム10の外縁と一致する。中央領域CRは、上記平面視における肌貼付用フィルム10の外形に対応する図形の重心Eを含む。
【0032】
上記平面視において、中央領域CRの面積は、肌貼付用フィルム10の総面積の10%以上45%以下であることが好ましい。一例では、肌貼付用フィルム10が45mmの直径を有する円形状であるとき、環状領域ORは7.5mmの幅を有する領域であり、中央領域CRは重心Eを中心に30mmの直径を有する円形の領域である。
【0033】
上記平面視における肌貼付用フィルム10の形状は特に限定されず、肌貼付用フィルム10は、矩形等の多角形形状であってもよいし、円形状や楕円形状であってもよいし、こうした図形以外の直線や曲線で囲まれる形状であってもよい。
【0034】
厚膜部21の平均厚さは、薄膜部20の平均厚さよりも大きい。そして、厚膜部21の膜強度は、薄膜部20の膜強度よりも大きい。薄膜部20の膜強度は、60mN以上290mN以下であり、厚膜部21の膜強度は、200mN以上700mN以下である。
【0035】
上記平均厚さは、複数の測定点で測定された肌貼付用フィルム10の厚さの平均値である。測定点は、例えば、10cmにつき5個以上の割合で設けられる。上記膜強度は、肌貼付用フィルム10の破断に要する最小の圧縮荷重の大きさである。
【0036】
本実施形態の肌貼付用フィルム10によれば、薄膜部20の膜強度が290mN以下であることにより、粘着剤を用いずとも薄膜部20が肌に密着する程度に、薄膜部20が薄くなる。言い換えれば、肌表面の凹凸に対する薄膜部20の追従性が良好に得られるため、肌に対する薄膜部20の密着性が高められる。また、薄膜部20の膜強度が60mN以上であることにより、薄膜部20の強度が過度に低くなることが抑えられるため、薄膜部20の破れが抑えられる。なお、薄膜部20の平均厚さは、例えば、0.05μm以上0.6μm以下である。
【0037】
一方、厚膜部21の膜強度は、薄膜部20の膜強度よりも大きく、200mN以上である。これにより、クリームや軟膏のように乾きにくい塗布薬の塗布領域上に厚膜部21が配置された場合に、厚膜部21の表面を擦ったとしても、厚膜部21に縒れや破れが生じ難くなる。そして、塗布薬が、厚膜部21の破れから表面に出る、あるいは、厚膜部21を透過して表面に出ることが抑えられることにより、厚膜部21の表面が塗布薬でべたつくことが抑えられる。
【0038】
また、厚膜部21の膜強度が、700mN以下であることにより、肌表面の凹凸に対する厚膜部21の追従性が過度に低くなることが抑えられる。その結果、厚膜部21に皺が形成されることや厚膜部21が肌から浮くことが抑えられるため、肌貼付用フィルム10の貼付部分が目立つことが抑えられる。さらに、肌貼付用フィルム10の貼り付けに起因した肌のつっぱり等の違和感を使用者が抱くことも抑えられる。肌表面の凹凸に対する厚膜部21の追従性の向上の観点では、厚膜部21の膜強度は400mN以下であることが好ましい。
【0039】
以上のように、厚膜部21では、膜強度を相対的に大きくすることにより、塗布薬の塗布領域上での肌貼付用フィルム10の縒れや破れおよびべたつきを抑え、薄膜部20では、膜強度を相対的に小さくすることにより、肌貼付用フィルム10の肌に対する密着性を確保している。
【0040】
通常、塗布薬は1つの点の周りに広がるように塗布される。肌貼付用フィルム10の中央部分に厚膜部21が位置することにより、塗布薬の塗布領域に厚膜部21が重なるように、肌に肌貼付用フィルム10を配置することが容易に可能である。そして、薄膜部20が肌貼付用フィルム10の端部に位置するため、肌貼付用フィルム10の端部において、肌に対する密着性を高めることができる。一般に、肌貼付用フィルムが肌に貼られている状態においては、肌貼付用フィルムはその端部から剥がれやすい。これに対し、本実施形態の肌貼付用フィルム10では、端部にて肌との密着性が高められているため、肌貼付用フィルム10の全域で、当該フィルムが肌から剥がれることを抑えることができる。
【0041】
なお、薄膜部20と厚膜部21との機能の違いを良好に得るためには、薄膜部20の膜強度は、厚膜部21の膜強度の0.8倍以下であることが好ましい。また、薄膜部20と厚膜部21との膜強度の差が大きすぎると、薄膜部20と厚膜部21との境界部分が外力に弱くなりやすい。そのため、薄膜部20の膜強度は、厚膜部21の膜強度の0.1倍以上であることが好ましい。
【0042】
薄膜部20と厚膜部21との膜強度は、各部の厚さ、各部の材料の組成、各部の材料の分子量等によって調整できる。ここで、フィルムの厚さと膜強度とは相関を有しているが、フィルムの厚さが同程度であっても、フィルムの材料の組成や分子量によって、フィルムの膜強度は変わる。塗布薬の塗布領域上でのフィルムの縒れや破れおよびべたつきの抑制には、フィルムにおける変形や欠陥の生じにくさや、薬剤に対する耐性といった、フィルムの強度に関わる因子が大きく影響する。したがって、厚膜部21の厚さが大きくても、膜強度が小さいと、フィルムの縒れや破れおよびべたつきの抑制が不十分となる。本実施形態では、薄膜部20と厚膜部21との膜強度を規定することで、塗布薬の塗布領域に貼り付けることに適した肌貼付用フィルム10を得ている。
【0043】
なお、環状領域ORの全体が薄膜部20でなくてもよく、環状領域OR内でその周方向に沿って間欠的に並ぶ複数の領域が薄膜部20に含まれていればよい。具体的には、図2が示すように、環状領域ORに、環状領域ORの周方向に沿って間欠的に並ぶ複数の薄膜部20が位置し、薄膜部20以外の部分が厚膜部21であってもよい。この場合、厚膜部21は、中央領域CRに加えて、環状領域ORの一部にも位置する。
【0044】
言い換えれば、図3が示すように、60mN以上290mN以下の膜強度を有する領域を低強度領域LRとするとき、複数の低強度領域LRが、環状領域OR内でその周方向に沿って並んでいればよい。図1に示したように、環状領域ORの全体が1つの薄膜部20であるとき、複数の低強度領域LRは、1つの薄膜部20に含まれる。図2に示したように、環状領域ORに複数の薄膜部20が位置するとき、複数の低強度領域LRは、複数の薄膜部20に分散して含まれる。
【0045】
低強度領域LRは、環状領域ORに仮想的に区画される領域であって、環状領域ORの幅と同一の直径を有し、環状領域ORにおける幅方向の中点を中心として設定される円形領域である。低強度領域LRは、膜強度の計測が可能な大きさを有する。例えば、低強度領域LRの直径は、3mm以上である。
【0046】
複数の低強度領域LRは、環状領域OR内で均等に分散していることが好ましい。例えば、図3が示すように、上記平面視における肌貼付用フィルム10の外接円の中心を通り互いに直交する直線A1,A2が環状領域ORと重なる4箇所に低強度領域LRが配置されることが好ましい。
【0047】
また、厚膜部21は、少なくともその一部が中央領域CRに位置していればよいが、重心Eを含むことが好ましい。厚膜部21は、膜強度の計測が可能な大きさを有する。例えば、厚膜部21は、重心Eを中心とする直径が3mmの円形領域よりも大きい。なお、中央領域CRの一部に薄膜部20が位置していてもよい。
【0048】
環状領域ORに、複数の薄膜部20が間欠的に並ぶ場合であっても、肌貼付用フィルム10の全体が厚膜部21である場合と比較して、肌貼付用フィルム10の端部における肌との密着性は高められる。上述のように、環状領域OR内で均等に分散している複数の低強度領域LRが薄膜部20に含まれていれば、肌貼付用フィルム10の端部における肌との密着性が、当該端部の周方向の広い範囲で高められるため、肌貼付用フィルム10が肌からより剥がれ難くなる。
【0049】
ただし、肌貼付用フィルム10の剥離をより好適に抑えるためには、環状領域ORの全体が薄膜部20であることが好ましい。薄膜部20の幅が0.5mm以上であれば、薄膜部20と肌との接触面積が十分に確保されるため、肌貼付用フィルム10の剥離が的確に抑えられる。
【0050】
[第1形態]
以下、上述した肌貼付用フィルム10、および、肌貼付用フィルム10を備える転写シートの具体的な構造の例として、第1形態~第9形態を順に説明する。第1形態~第9形態は互いに組み合わせて実施してもよい。なお、図面においては、肌貼付用フィルム10の厚さを誇張して示している。
【0051】
図4が示す第1形態の肌貼付用フィルム10Aは、単一の層から構成されており、薄膜部20と厚膜部21とは同一の材料から形成されている。
肌貼付用フィルム10の材料は、当該フィルムが汗で溶解し難いように耐水性を有するとともに、毒性、皮膚刺激性、および、皮膚感作性の低い樹脂であることが好ましい。例えば、肌貼付用フィルム10Aの材料は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン等のエステル樹脂およびそれらの共重合樹脂である。また、肌貼付用フィルム10Aの材料には、化粧品の皮膜形成剤として使用される樹脂を用いてもよく、こうした樹脂としては、例えば、アクリル樹脂やシリコーンおよびそれらの共重合樹脂、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース等のセルロース誘導体が挙げられる。また、肌貼付用フィルム10Aの材料には、医療用品の材料としての使用実績が高い樹脂である、ポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、スチレンブタジエン系エラストマー、ポリイミドを用いてもよい。
【0052】
以上例示したように、肌貼付用フィルム10Aの主成分は、高分子材料であることが好ましく、生体適合性樹脂であることがより好ましい。肌貼付用フィルム10Aの主成分は、肌貼付用フィルム10Aにおいて最も含有割合の高い成分である。
【0053】
図4においては、第2面11Rが平坦であって、第1面11Fは、薄膜部20と厚膜部21との厚さの違いに起因した凹凸を有している。これに限らず、第1面11Fが平坦であって、第2面11Rが上記凹凸を有していてもよいし、第1面11Fと第2面11Rとの双方が上記凹凸を有していてもよい。
【0054】
第1形態の肌貼付用フィルム10Aにおいて、薄膜部20はほぼ一様な厚さを有し、厚膜部21もほぼ一様な厚さを有する。薄膜部20と厚膜部21との境界付近で、肌貼付用フィルム10Aの厚さは徐々に変化してもよいし、二値的に変化してもよい。言い換えれば、薄膜部20と厚膜部21との境界付近に形成される側面11Sは、肌貼付用フィルム10Aの厚さ方向に対して傾斜していてもよいし、当該厚さ方向に沿って延びていてもよい。側面11Sに指等が引っ掛かって肌貼付用フィルム10Aが破断することを抑えられる観点では、側面11Sは傾斜している方が好ましい。図4では、側面11Sが上記厚さ方向に対して傾斜している形態を例示している。
【0055】
第1形態の転写シート30Aは、肌貼付用フィルム10Aと、肌貼付用フィルム10Aを支持する支持基材31とを備えている。支持基材31の平均膜厚は、例えば、5μm以上500μm以下である。支持基材31は、転写シート30Aの保管時や、肌貼付用フィルム10Aを貼り付けの対象位置まで移動させるときに、肌貼付用フィルム10Aの変形を抑える機能を有する。支持基材31に支持されていることにより、肌貼付用フィルム10Aが取り扱いやすくなる。
【0056】
支持基材31は、肌貼付用フィルム10Aの第1面11Fを支持している。第1面11Fが凹凸を有する場合、支持基材31における肌貼付用フィルム10Aと接する面は、平坦であってもよいし、上記凹凸に沿った表面形状を有していてもよい。図4では、支持基材31における肌貼付用フィルム10Aと接する面が、第1面11Fの凹凸に沿った表面形状を有する形態を例示している。すなわち、支持基材31は、第1面11Fの凸部に沿って窪む凹部を有しており、言い換えれば、肌貼付用フィルム10Aの凸部が支持基材31に埋まっている。
【0057】
また、図4においては、支持基材31が、肌貼付用フィルム10Aの第1面11Fの外側まで広がっている形態を例示している。すなわち、肌貼付用フィルム10Aの第2面11Rと対向する位置から見て、支持基材31は肌貼付用フィルム10Aよりも大きく、支持基材31の外縁の内側に肌貼付用フィルム10Aの外縁が位置している。これに限らず、第2面11Rと対向する位置から見て、支持基材31と肌貼付用フィルム10Aとの形状が一致し、支持基材31の外縁と肌貼付用フィルム10Aの外縁とが重なっていてもよい。
【0058】
支持基材31としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ナイロン等からなるフィルム、不織布、紙等が好適に用いられる。これらのなかでも、水分を速やかに吸収して拡散できることから、不織布が用いられることが好ましい。不織布を構成する繊維は、例えば、綿、麻、羊毛、パルプ等の天然繊維、レーヨン等の半合成繊維、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸等の合成繊維等である。上記の繊維のなかでも、天然繊維、特にパルプが好適に用いられる。不織布は、一種類の繊維から構成されていてもよいし、二種類以上の繊維から構成されていてもよい。
【0059】
支持基材31として用いる不織布の製造方法は特に限定されない。不織布は、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブロー法、エアレイ法、フラッシュ紡糸法、および、樹脂接着法のいずれかによって製造される。支持基材31として用いる不織布の目付けは、10g/m以上150g/m以下であることが好ましく、肌触り等の使用感に優れることから、20g/m以上50g/m以下であることがより好ましい。
【0060】
支持基材31は、肌貼付用フィルム10Aから支持基材31を剥離しやすくするための層として、シリコーン、フッ素樹脂、オレフィン、ワックス、皮膜形成材、水溶性樹脂等から構成される層を備えていてもよい。特に、シリコーンやオレフィンのような離型性樹脂からなる層を表面に有する支持基材31、あるいは、不織布や紙のように水等の液体によって容易に膨潤して肌貼付用フィルム10Aからの剥離性が高まる支持基材31は、肌貼付用フィルム10Aからの剥離が容易であるため好ましい。なお、肌貼付用フィルム10Aと支持基材31とは、弱粘着剤や弱接着剤を用いて剥離可能に固定されていてもよい。また、肌貼付用フィルム10Aと支持基材31との固定のために、これらの加熱および加圧が行われてもよい。
【0061】
なお、転写シート30Aは、肌貼付用フィルム10Aの第2面11Rを覆う保護層を備えていてもよい。保護層は、第2面11Rを保護する機能を有する。保護層は、例えば、支持基材31の材料として例示した上述の材料から構成されればよい。保護層と支持基材31との材料は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0062】
第1形態の肌貼付用フィルム10Aを例に、肌貼付用フィルム10の使用方法を説明する。以下の肌貼付用フィルム10Aの使用方法は、第2形態以降の肌貼付用フィルム10を用いる場合にも共通する。
【0063】
図5が示すように、まず、肌Skに、塗布薬Dgが塗布される。塗布薬Dgは、クリームや軟膏等の半固形剤や、高粘度のローションやオイル等の液状体である。塗布薬Dgは、美容用の製剤であってもよいし、医薬品であってもよい。塗布薬Dgのべたつきが大きいほど、言い換えれば、塗布薬Dgの粘性が高いほど、また、塗布薬Dgが乾燥による被膜を形成し難いほど、本実施形態の肌貼付用フィルム10を用いることによる有益性が高い。
【0064】
図6が示すように、続いて、肌貼付用フィルム10Aの第2面11Rが、塗布薬Dgの塗布された肌Skに接するように、転写シート30Aが配置される。このとき、塗布薬Dgの塗布領域に厚膜部21が重なるように、転写シート30Aが配置される。そして、支持基材31が肌貼付用フィルム10Aから剥離される。
【0065】
これにより、図7が示すように、肌貼付用フィルム10Aが転写シート30Aから肌Skに転写されて、肌Skに肌貼付用フィルム10Aが貼り付けられる。肌貼付用フィルム10Aは、薄膜部20の位置する端部にて肌Skに密着するため、肌貼付用フィルム10Aの全体が肌Skから剥がれにくくなる。一方、塗布薬Dgの塗布領域上には厚膜部21が位置するため、肌貼付用フィルム10Aの縒れや破れが抑えられるとともに、塗布領域のべたつきも抑えられる。
【0066】
なお、肌貼付用フィルム10Aの全体が塗布薬Dgの塗布領域上に配置されてもよい。この場合でも、肌貼付用フィルム10Aの全体が厚膜部21であるときと比較して、肌貼付用フィルム10Aの剥離は抑えられる。また、肌貼付用フィルム10Aの全体が薄膜部20であるときと比較して、塗布薬Dgの塗布領域上での肌貼付用フィルム10Aの縒れや破れおよびべたつきは抑えられる。なお、肌貼付用フィルム10Aが肌Skに貼り付けられた後に、当該フィルムの上からファンデーション等の化粧料が塗布されてもよい。
【0067】
[第2形態]
第2形態の肌貼付用フィルム10Bおよび転写シート30Bについて、第1形態との相違点を中心に説明する。なお、第1形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0068】
図8が示すように、第2形態の肌貼付用フィルム10Bは、二層構造を有し、広域層12と狭域層13とを備えている。肌貼付用フィルム10Bの第2面11Rと対向する位置から見て、広域層12は、肌貼付用フィルム10Bの全域に位置し、狭域層13は肌貼付用フィルム10Bの一部に位置する。広域層12は支持基材31に接し、狭域層13は、広域層12に対して、支持基材31と反対側に位置する。言い換えれば、肌貼付用フィルム10Bの第1面11Fから第2面11Rに向かう方向に、広域層12、狭域層13の順に並んでいる。第1面11Fは、その全体が広域層12に含まれる。第2面11Rは、その一部が狭域層13に含まれ、残部が広域層12に含まれる。
【0069】
例えば、広域層12の厚さはほぼ一定であり、狭域層13の厚さはほぼ一定である。そして、広域層12上に狭域層13が部分的に積層されていることによって、肌貼付用フィルム10Bの厚さおよび膜強度の差が形成されている。広域層12に狭域層13が積層されていない部分が薄膜部20であり、薄膜部20は広域層12のみから構成される。一方、広域層12に狭域層13が積層されている部分が厚膜部21であり、厚膜部21は、広域層12と狭域層13とから構成される。広域層12の厚さと狭域層13の厚さとの関係は特に限定されないが、狭域層13の平均厚さが広域層12の平均厚さよりも大きいと、薄膜部20と厚膜部21との平均厚さおよび膜強度の差を大きく形成しやすい。
【0070】
狭域層13の端面13Sは、肌貼付用フィルム10Bの厚さ方向に対して傾斜していてもよいし、当該厚さ方向に沿って延びていてもよい。図8では、端面13Sが上記厚さ方向に対して傾斜している形態を例示している。
【0071】
転写シート30Bは、肌貼付用フィルム10Bと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。転写シート30Bから肌貼付用フィルム10Bが肌に転写されると、広域層12に狭域層13が積層されていない部分、すなわち薄膜部20では、広域層12が肌に接する。このように、薄膜部20において、広域層12は肌に密着する機能を有する。一方、広域層12に狭域層13が積層されている部分、すなわち厚膜部21では、狭域層13が肌に接し、狭域層13上を広域層12が覆う。このように、厚膜部21において、広域層12は狭域層13を保護する機能を有する。
【0072】
広域層12と狭域層13との各々の材料には、第1形態の肌貼付用フィルム10Aの材料として例示した材料が用いられる。広域層12の組成と狭域層13の組成とは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。上述のように、狭域層13は、厚膜部21を構成して塗布薬の塗布領域上に配置されるため、膜強度を高めやすい材料から形成されていることが好ましい。また、広域層12は、肌との密着、あるいは、狭域層13の保護という機能に適した材料から形成されていることが好ましい。
なお、広域層12および狭域層13の各々の厚さは一定でなくてもよい。そして、薄膜部20と厚膜部21との双方が、広域層12と狭域層13とから構成されていてもよい。
【0073】
[第3形態]
第3形態の肌貼付用フィルム10Cおよび転写シート30Cについて、第2形態との相違点を中心に説明する。なお、第2形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0074】
図9が示すように、第2形態と比較して、第3形態の肌貼付用フィルム10Cでは、広域層12と狭域層13との積層順序が逆になっている。すなわち、広域層12に対して、支持基材31の位置する側に、狭域層13が位置する。言い換えれば、肌貼付用フィルム10Cの第2面11Rから第1面11Fに向かう方向に、広域層12、狭域層13の順に並んでいる。
【0075】
第2面11Rと対向する位置から見て、広域層12は肌貼付用フィルム10Cの全体に広がり、狭域層13は肌貼付用フィルム10Cの一部に位置する。狭域層13は支持基材31に接し、広域層12は、支持基材31上で狭域層13とその外側とを覆っている。第1面11Fは、その一部が狭域層13に含まれ、残部が広域層12に含まれる。第2面11Rは、その全体が、広域層12に含まれる。
【0076】
例えば、広域層12の厚さはほぼ一定であり、狭域層13の厚さはほぼ一定である。そして、広域層12と狭域層13とが部分的に積層されていることによって、肌貼付用フィルム10Cの厚さおよび膜強度の差が形成されている。肌貼付用フィルム10Cのなかで狭域層13が配置されず広域層12のみからなる部分が薄膜部20であり、広域層12と狭域層13とが積層されている部分が厚膜部21である。広域層12の厚さと狭域層13の厚さとの関係は特に限定されないが、狭域層13の平均厚さが、広域層12の平均厚さよりも大きいと、薄膜部20と厚膜部21との平均厚さおよび膜強度の差を大きく形成しやすい。
【0077】
狭域層13の端面13Sは、肌貼付用フィルム10Cの厚さ方向に対して傾斜していてもよいし、当該厚さ方向に沿って延びていてもよい。図9では、端面13Sが上記厚さ方向に沿って延びている形態を例示している。
【0078】
転写シート30Cは、肌貼付用フィルム10Cと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。肌貼付用フィルム10Cの第1面11Fのうち、広域層12に含まれる部分では、支持基材31は広域層12と接し、狭域層13に含まれる部分では、支持基材31は狭域層13と接している。なお、支持基材31は第1面11Fの全面と接していなくてもよい。また、図9では、狭域層13が配置されている領域の周囲で、肌貼付用フィルム10Cと支持基材31との間に隙間が形成されている形態を例示しているが、こうした隙間は形成されていなくてもよい。なお、肌貼付用フィルム10Cの厚さは、膜が実在する部分での第1面11Fと第2面11Rとの間の長さである。
【0079】
第3形態の肌貼付用フィルム10Cでは、広域層12は、薄膜部20において肌に密着する機能を有する。広域層12と狭域層13との各々の材料には、第1形態の肌貼付用フィルム10Aの材料として例示した材料が用いられる。広域層12の組成と狭域層13の組成とは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。上述のように、狭域層13は、厚膜部21を構成するため、膜強度を高めやすい材料から形成されていることが好ましい。また、広域層12は、肌との密着という機能に適した材料から形成されていることが好ましい。
なお、広域層12および狭域層13の各々の厚さは一定でなくてもよい。そして、薄膜部20と厚膜部21との双方が、広域層12と狭域層13とから構成されていてもよい。
【0080】
[第4形態]
第4形態の肌貼付用フィルム10Dおよび転写シート30Dについて、第2形態との相違点を中心に説明する。なお、第2形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0081】
図10が示すように、第4形態の肌貼付用フィルム10Dにおいて、狭域層13は、粒子14を含有している。狭域層13が粒子14を含有していること以外は、広域層12および狭域層13の構成は第2形態と同様である。また、転写シート30Dは、肌貼付用フィルム10Dと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。
【0082】
粒子14は、肌貼付用フィルム10Dの機能を高める、もしくは、肌貼付用フィルム10Dに機能を付加する機能性物質から構成される。例えば、粒子14は、紫外線散乱剤、着色顔料や無機顔料、薬効成分を担持した樹脂粒子等である。狭域層13は、厚膜部21を構成して肌に対向するため、狭域層13が上記機能性物質から構成される粒子14を含有していることで、肌貼付用フィルム10Dから肌に対して作用する機能を高めることや、こうした機能の多様化が可能である。また、狭域層13は厚膜部21を構成するため、広域層12よりも厚く形成することができる。したがって、広域層12に粒子14を含有させる場合と比較して、含有可能な粒子14の種類や含有量の自由度が高められる。
【0083】
なお、粒子14の粒径は、狭域層13における粒子14を含有しない部分の厚さよりも小さくてもよいし、大きくてもよい。また、粒子14は、図10が示すように狭域層13の表面に露出していてもよいし、露出していなくてもよい。
【0084】
[第5形態]
第5形態の肌貼付用フィルム10Eおよび転写シート30Eについて、第3形態との相違点を中心に説明する。なお、第3形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図11が示すように、第5形態の肌貼付用フィルム10Eにおいて、狭域層13は、粒子14を含有している。狭域層13が粒子14を含有していること以外は、広域層12および狭域層13の構成は第3形態と同様である。また、転写シート30Eは、肌貼付用フィルム10Eと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。
【0086】
粒子14は、第4形態と同様、肌貼付用フィルム10Eの機能を高める、もしくは、肌貼付用フィルム10Eに機能を付加する機能性物質から構成される。狭域層13が上記機能性物質から構成される粒子14を含有していることで、肌貼付用フィルム10Dから肌に対して作用する機能を高めることや、こうした機能の多様化が可能である。また、狭域層13は厚膜部21を構成するため、広域層12よりも厚く形成することができる。したがって、広域層12に粒子14を含有させる場合と比較して、含有可能な粒子14の種類や含有量の自由度が高められる。
【0087】
なお、粒子14の粒径は、狭域層13における粒子14を含有しない部分の厚さよりも小さくてもよいし、大きくてもよい。また、粒子14は、図11が示すように狭域層13の表面に露出していてもよいし、露出していなくてもよい。狭域層13における支持基材31と接する面に粒子14が露出している場合、当該面における粒子14に起因した凹凸は、支持基材31に埋まっていてもよいし、埋まっていなくてもよい。
【0088】
[第6形態]
第6形態の肌貼付用フィルム10Fおよび転写シート30Fについて、第2形態との相違点を中心に説明する。なお、第2形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0089】
図12が示すように、第6形態の肌貼付用フィルム10Fは、広域層12と狭域層13との間に、中間層15を備えている。中間層15は、アンカー層としての機能、すなわち、肌貼付用フィルム10Fを構成する層における層間の密着性を高める機能を有する。中間層15は、少なくとも狭域層13が位置する領域で、広域層12と狭域層13との間に挟まれていればよい。すなわち、第2面11Rと対向する位置から見て、中間層15は、少なくとも狭域層13の全体と重なっていればよく、図12が示すように、狭域層13よりも大きくてもよい。肌貼付用フィルム10Fのなかで、広域層12と中間層15と狭域層13との三層構造を有する部分は、厚膜部21を構成する。狭域層13と中間層15との二層構造を有する部分は、その膜強度に応じて、薄膜部20を構成していてもよいし、厚膜部21を構成していてもよい。広域層12のみが位置する部分は、薄膜部20を構成する。
【0090】
広域層12と狭域層13との間に中間層15が挟まれていること以外は、広域層12および狭域層13の構成は第2形態と同様である。転写シート30Fは、肌貼付用フィルム10Fと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。
【0091】
第6形態においては、広域層12と狭域層13とは、互いに異なる組成を有する。そして、中間層15は、狭域層13に対する広域層12の密着性よりも、狭域層13に対して高い密着性を有し、かつ、広域層12に対する狭域層13の密着性よりも、広域層12に対して高い密着性を有するように、構成されている。例えば、広域層12が、耐水性の高い樹脂から形成され、狭域層13が、保湿効果の高い水溶性成分であるヒアルロン酸やコラーゲンを含有する場合、広域層12と狭域層13との密着性が低くなる場合がある。こうした場合に、中間層15を、水溶性樹脂と疎水性樹脂との共重合体や、水溶性樹脂と疎水性樹脂とを混合した材料から形成することで、広域層12および狭域層13のいずれに対しても中間層15の親和性が高まる。それゆえ、肌貼付用フィルム10Fにおける層間の密着性が高められる。
【0092】
なお、第3形態に、中間層15を備える形態が適用されてもよい。すなわち、第2面11Rから第1面11Fに向かう方向に、広域層12、狭域層13がこの順に並ぶ形態において、広域層12と狭域層13との間に中間層15が挟まれていてもよい。
【0093】
[第7形態]
第7形態の肌貼付用フィルム10Gおよび転写シート30Gについて、第2形態との相違点を中心に説明する。なお、第2形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0094】
図13が示すように、第7形態の肌貼付用フィルム10Gは、互いに異なる組成を有する端部構成部16と中央構成部17とを備えている。端部構成部16と中央構成部17とは、いずれも支持基材31に接している。第2面11Rと対向する位置から見て、端部構成部16の少なくとも一部は、環状領域ORに位置し、中央構成部17の少なくとも一部は、中央領域CRに位置する。端部構成部16と中央構成部17とは、これらの部分の端部において互いに接続されている。
【0095】
端部構成部16と中央構成部17とは、肌貼付用フィルム10Gの広がる方向に沿った1つの平面内、言い換えれば、支持基材31の表面に沿った1つの平面内で互いに接している。具体的には、第1面11F内において、端部構成部16と中央構成部17とは、互いに接している。すなわち、第1面11Fは、端部構成部16と中央構成部17とに含まれる。そして、第1面11Fの付近において、肌貼付用フィルム10Gは、支持基材31の表面に沿って延びる領域が部分的に異なる材料から構成された構造を有する。
【0096】
例えば、端部構成部16の厚さはほぼ一定であり、端部構成部16は、中央構成部17との接続部を除く部分で薄膜部20を構成している。また、中央構成部17の厚さはほぼ一定であって、端部構成部16よりも厚く、中央構成部17は、厚膜部21を構成している。
転写シート30Gは、肌貼付用フィルム10Gと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。
【0097】
端部構成部16および中央構成部17の材料には、第1形態の肌貼付用フィルム10Aの材料として例示した材料が用いられる。第7形態では、肌貼付用フィルム10Gが、同一平面内で部分的に異なる材料から構成されるため、互いに異なる材料からなる層が厚さ方向に積層される形態と比較して、肌貼付用フィルム10Gの通気性を高めやすい。したがって、肌貼付用フィルム10Gが貼り付けられている部分に、使用者が閉塞感を感じることが抑えられる。
【0098】
なお、端部構成部16および中央構成部17の各々の厚さは一定でなくてもよい。そして、端部構成部16の一部は、厚膜部21を構成してもよいし、中央構成部17の一部は、薄膜部20を構成してもよい。また、端部構成部16および中央構成部17は、支持基材31から離れた平面内で互いに接していてもよく、要は、第1面11Fに限らず、肌貼付用フィルム10Gの広がる方向に沿った1つの平面内で端部構成部16と中央構成部17とが接していればよい。
【0099】
[第8形態]
第8形態の肌貼付用フィルム10Hおよび転写シート30Hについて、第1形態との相違点を中心に説明する。なお、第1形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0100】
図14が示すように、第8形態の肌貼付用フィルム10Hの厚さは、平面視での肌貼付用フィルム10Hの外縁から中央領域CRにむけて、連続的に大きくなっている。言い換えれば、肌貼付用フィルム10Hの厚さは、肌貼付用フィルム10Hにおける最も薄い部分から最も厚い部分に向けて、連続的に大きくなっている。そして、中央領域CRにて、肌貼付用フィルム10Hは、支持基材31に向けて突き出ている。すなわち、厚さ方向に沿った断面において、第1面11Fは、支持基材31に向けて突き出るように湾曲する曲線を構成し、第2面11Rは、平坦な線を構成する。
【0101】
上記構成によれば、厚さの差に起因した段差が肌貼付用フィルム10の第1面11Fや第2面11Rに形成されることが抑えられる。したがって、厚さの異なる部分の境界が視認されることが抑えられる。また、肌貼付用フィルム10Hが肌に貼られているときに、段差に指等が引っ掛かることに起因して肌貼付用フィルム10Hが破断することが抑えられる。
【0102】
肌貼付用フィルム10Hの材料には、第1形態の肌貼付用フィルム10Aの材料として例示した材料が用いられる。また、転写シート30Hは、肌貼付用フィルム10Hと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。図14においては、支持基材31が、肌貼付用フィルム10Hの第1面11Fに沿った表面形状を有する形態、すなわち、肌貼付用フィルム10Hが支持基材31に埋まっている形態を例示しているが、肌貼付用フィルム10Hは支持基材31に埋まっていなくてもよい。
【0103】
第8形態のように、肌貼付用フィルム10Hの厚さおよび膜強度が連続的に変化する場合であっても、環状領域OR内の複数の低強度領域LRにて測定された肌貼付用フィルム10Hの膜強度が60mN以上290mN以下であれば、低強度領域LRが薄膜部20に含まれると言える。また、中央領域CRにて測定された肌貼付用フィルム10Hの膜強度が200mN以上700mN以下であれば、肌貼付用フィルム10Hは厚膜部21を有すると言える。
【0104】
なお、肌貼付用フィルム10Hは、支持基材31と反対側に突き出る形状を有していてもよいし、支持基材31の位置する側と支持基材31とは反対側との両方に突き出る形状を有していてもよい。言い換えれば、厚さ方向に沿った断面において、第2面11Rが湾曲し、第1面11Fが平坦であってもよいし、第1面11Fと第2面11Rとの双方が湾曲していてもよい。
【0105】
[第9形態]
第9形態の肌貼付用フィルム10Iおよび転写シート30Iについて、第1形態との相違点を中心に説明する。なお、第1形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0106】
図15が示すように、第9形態の肌貼付用フィルム10Iの厚さは、平面視での肌貼付用フィルム10Iの外縁から中央領域CRにむけて、多段階的に大きくなっている。言い換えれば、肌貼付用フィルム10Iの厚さは、肌貼付用フィルム10Iにおける最も薄い部分から最も厚い部分に向けて、多段階的に大きくなっている。そして、中央領域CRにて、肌貼付用フィルム10Iは、支持基材31に向けて突き出ている。すなわち、厚さ方向に沿った断面において、第1面11Fは、複数の段から構成される階段状を有し、第2面11Rは、平坦な線を構成する。
【0107】
肌貼付用フィルム10Iは、複数の層から構成されてもよい。複数の平坦な層の積層によって肌貼付用フィルム10Iを形成する方法であれば、微細な段差を有する型を用いて肌貼付用フィルム10Iを形成する方法と比較して、肌貼付用フィルム10Iの形成が容易である。したがって、製造コストの低減も可能である。
【0108】
肌貼付用フィルム10Iの材料には、第1形態の肌貼付用フィルム10Aの材料として例示した材料が用いられる。また、転写シート30Iは、肌貼付用フィルム10Iと、第1形態と同様の構成を有する支持基材31とを備えている。図15においては、支持基材31が、肌貼付用フィルム10Iの第1面11Fに沿った表面形状を有する形態、すなわち、肌貼付用フィルム10Iにおける第1面11Fの凹凸が支持基材31に埋まっている形態を例示しているが、上記凹凸は支持基材31に埋まっていなくてもよい。
【0109】
第9形態のように、肌貼付用フィルム10Iの厚さが多段階的に変化する場合であっても、環状領域OR内の複数の低強度領域LRにて測定された肌貼付用フィルム10Iの膜強度が60mN以上290mN以下であれば、低強度領域LRが薄膜部20に含まれると言える。また、中央領域CRにて測定された肌貼付用フィルム10Iの膜強度が200mN以上700mN以下であれば、肌貼付用フィルム10Iは厚膜部21を有すると言える。
【0110】
なお、肌貼付用フィルム10Iは、支持基材31と反対側に突き出る形状を有していてもよいし、支持基材31の位置する側と支持基材31とは反対側との両方に突き出る形状を有していてもよい。言い換えれば、厚さ方向に沿った断面において、第2面11Rが階段状を有し、第1面11Fが平坦であってもよいし、第1面11Fと第2面11Rとの双方が階段状を有していてもよい。
【0111】
[転写シートの製造方法]
上述した肌貼付用フィルムおよび転写シートの製造方法を説明する。なお、上述した構成の肌貼付用フィルムおよび転写シートを形成可能であれば、肌貼付用フィルおよび転写シートは、下記の製造方法とは異なる方法によって製造されてもよい。
【0112】
まず、成膜用基材の表面に、肌貼付用フィルム10を成膜する。成膜用基材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、水溶性樹脂、金属酸化物、金属等から構成された基材が用いられる。成膜用基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、シクロオレフィン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂からなる基材や、こうした樹脂基材に対して延伸加工や離型処理やマット加工が施された基材である。あるいは、成膜用基材として、ガラス、石英、アルミニウム等の無機物からなる基材や、こうした無機物からなる基材に対して離型処理やマット加工を施した基材が用いられてもよい。
【0113】
肌貼付用フィルム10の材料が溶媒に溶かされた塗液が、成膜用基材の表面に塗布され、その塗膜が乾燥されることによって、肌貼付用フィルム10が形成される。上記溶媒としては、肌貼付用フィルム10の材料の特性に応じて、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン系溶剤、トルエンやヘキサン等の非極性溶剤等が用いられる。溶媒は、単一の化合物からなる溶媒であってもよいし、複数の有機溶剤の混合溶液であってもよい。
【0114】
塗液の塗布方法は、塗液の塗布量を精密に制御可能な方法であれば特に限定されない。塗布方法は、例えば、グラビア法、マイクログラビア法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、シルクスクリーン法、ダイコーティング法、および、カーテンコーティング法のいずれかであることが好ましい。
【0115】
形成される層の厚さは、塗液に含まれる固形分の割合と塗布方法とによって制御される。肌貼付用フィルム10が複数の層から構成される場合、層ごとに、塗液の塗布と乾燥とが繰り返される。層を部分的に形成する場合、すなわち、パターニングされた層を形成する場合には、ダイレクトグラビア法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷、グラビアオフセット法が適している。
【0116】
成膜用基材から支持基材31上へ肌貼付用フィルム10が転写されることによって、転写シートが形成される。転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられればよい。
【0117】
なお、支持基材31上に肌貼付用フィルム10が直接に成膜されてもよい。例えば、支持基材31として、多孔質ではない基材であって、かつ、形成対象の肌貼付用フィルム10の凹凸が反転された窪みを表面に有する基材を用いることで、支持基材31を型として、部分的に厚さが異なる肌貼付用フィルム10の形成が可能である。
【0118】
支持基材31が、軟質ウレタンからなる基材や不織布のように、柔軟性の高い基材である場合には、支持基材31とは異なる成膜用基材上に形成された肌貼付用フィルム10が、支持基材31に転写されることが好ましい。
【0119】
部分的に厚さの異なる肌貼付用フィルム10を形成する方法としては、上述のように、複数回の塗液の塗布を行って複数の層を形成する方法や、窪みを有する基材上に肌貼付用フィルム10を成膜する方法の他に、以下の方法が挙げられる。例えば、異なる基材上に形成した層を支持基材31上に順に転写して積層する方法、スクリーン印刷等の印刷法にて用いる印刷版の網点濃度を段階的に変化させることにより塗液の塗布量を部分的に変化させる方法、乾燥時間を変化させて平滑化を進行させる方法である。
【0120】
支持基材31に肌貼付用フィルム10の凹凸が埋まっている形態は、上述のように支持基材31を型として肌貼付用フィルム10を形成する方法によって形成される。あるいは、支持基材31として柔軟性の高い基材を用いる場合には、支持基材31の表面が肌貼付用フィルム10の表面形状に沿いやすいため、成膜用基材上に形成された肌貼付用フィルム10を支持基材31に転写する方法によっても、支持基材31に肌貼付用フィルム10の凹凸が埋まっている形態を形成できる。
【0121】
[実施例]
上述した肌貼付用フィルムおよび転写シートについて、具体的な実施例および比較例を用いて説明する。
【0122】
(実施例1)
DL-ポリ乳酸(武蔵野化学研究所社製、重量平均分子量45万)を、濃度が3.5質量%となるように酢酸ブチルに溶解して、肌貼付用フィルムの形成のための塗液を生成した。成膜用基材として、シリコーンコーティングによる離型性が付与されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、成膜用基材上に、ダイレクトグラビア法で、上記塗液を45mmの直径を有する円形のパターンに塗布した。そして、塗膜を熱風で乾燥することにより、広域層を形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。
【0123】
続いて、広域層上に、ダイレクトグラビア法で、上記塗液を、30mmの直径を有する円形のパターンに、広域層と中心を合わせて塗布した。そして、塗膜を熱風で乾燥することにより、狭域層を形成した。乾燥時の加熱温度は70℃以上120℃以下の範囲から選択した。これにより、広域層と狭域層との積層体である実施例1の肌貼付用フィルムが形成された。
【0124】
次に、支持基材として不織布(フタムラ化学社製)を肌貼付用フィルムに積層し、成膜用基材を剥離して、肌貼付用フィルムを成膜用基材から支持基材に転写した。不織布の主成分はセルロースであり、目付けは20g/mである。
【0125】
これにより、支持基材上に、狭域層、広域層がこの順に積層された実施例1の転写シートを得た。実施例1の肌貼付用フィルムは、平面視にて幅が7.5mmの環状の薄膜部を端部に有するとともに、平面視にて直径が30mmの円形状の厚膜部を中央部に有する。
実施例1の肌貼付用フィルムについて、後述の方法で膜強度を測定した。薄膜部の膜強度は75mNであり、厚膜部の膜強度は300mNであった。
【0126】
(実施例2)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、実施例2の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例2の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は100mNであり、厚膜部の膜強度は350mNであった。
【0127】
(実施例3)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、実施例3の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例3の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は150mNであり、厚膜部の膜強度は300mNであった。
【0128】
(実施例4)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、実施例4の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例4の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は220mNであり、厚膜部の膜強度は300mNであった。
【0129】
(実施例5)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、実施例5の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例5の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は75mNであり、厚膜部の膜強度は450mNであった。
【0130】
(実施例6)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、実施例6の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例6の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は100mNであり、厚膜部の膜強度は450mNであった。
【0131】
(実施例7)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、実施例7の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。実施例7の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は270mNであり、厚膜部の膜強度は430mNであった。
【0132】
(比較例1)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、比較例1の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。比較例1の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は50mNであり、厚膜部の膜強度は150mNであった。
【0133】
(比較例2)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、比較例2の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。比較例2の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は50mNであり、厚膜部の膜強度は300mNであった。
【0134】
(比較例3)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、比較例3の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。比較例3の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は50mNであり、厚膜部の膜強度は450mNであった。
【0135】
(比較例4)
狭域層を、広域層と同じ大きさに形成したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、比較例4の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。すなわち、比較例4の肌貼付用フィルムは、平面視にて45mmの直径を有する円形状であり、その全体が均一な厚さおよび膜強度を有している。比較例4の肌貼付用フィルムの膜強度は300mNであった。
【0136】
(比較例5)
広域層および狭域層の成膜厚さを変更したこと以外は、実施例1と同様の材料および工程によって、比較例5の肌貼付用フィルムおよび転写シートを得た。比較例5の肌貼付用フィルムについて、薄膜部の膜強度は220mNであり、厚膜部の膜強度は800mNであった。
【0137】
(膜強度の測定)
各実施例および各比較例の肌貼付用フィルムの薄膜部と厚膜部との各々について、以下のように試験片を形成した。
【0138】
まず、厚紙からなる台紙の表裏の同じ位置に両面テープ(ニチバン社製:ナイスタック(登録商標)スポンジ両面テープ スポンジタイプ、NW-P15)を貼り、台紙を約20mmの長さに切り取った。そして、穴あけパンチを用いて、台紙における両面テープが貼られている部分の中央に、直径6mmの穴を開けた。台紙における一方の面の両面テープの剥離フィルムを剥がし、両面テープに肌貼付用フィルムを貼り付けた。これにより、台紙の穴の部分に肌貼付用フィルムが配置された試験片が作製された。薄膜部の試験片では、台紙の穴の部分に薄膜部が配置され、厚膜部の試験片では、台紙の穴の部分に厚膜部が配置されるように、各試験片を作製した。
【0139】
続いて、各試験片に対し、以下のように、卓上圧縮・引張試験機(島津製作所社製:EZ-Test)を用いて膜強度を測定した。
まず、円筒状のサンプル置き台を上記試験機に固定し、試験片をサンプル置き台に設置した。そして、3mmの直径の円柱圧子を圧縮速度10mm/minで試験片における台紙の穴の部分に配置された肌貼付用フィルムに突き刺し、肌貼付用フィルムに円柱圧子を貫通させた。肌貼付用フィルムが破断したときの荷重を、肌貼付用フィルムの膜強度とした。
【0140】
(評価方法)
<密着性の評価>
スキンケアクリームを、被験者の内腕に、約1mg/cm程度塗布し、各実施例および各比較例の転写シートを、厚膜部がスキンケアクリームの塗布領域と接するように貼った。その後、水で支持基材を濡らして、肌貼付用フィルムから支持基材を剥離した。貼り付けられた肌貼付用フィルムの端部を指で擦り、肌貼付用フィルムの剥離が生じるかを確認した。肌貼付用フィルムの剥離が起きなかった場合を「〇」とし、肌貼付用フィルムの端部の一部が剥がれた場合を「△」とし、肌貼付用フィルムの貼付面積の9割以上が剥がれた場合を「×」とした。
【0141】
<べたつきの評価>
密着性の試験と同様に、被験者の内腕にスキンケアクリームを塗布し、その塗布領域に各実施例および各比較例の肌貼付用フィルムを貼り付けた。
【0142】
肌貼付用フィルムを貼付してから30分後に、肌貼付用フィルム上を指で触り、スキンケアクリームのべたつきの程度を評価した。指にスキンケアクリームが付着する程度にべたつきが確認された場合を「×」、指へのスキンケアクリームの付着が確認されなかった場合を「○」とした。
【0143】
<破れにくさの評価>
密着性の試験と同様に、被験者の内腕にスキンケアクリームを塗布し、その塗布領域に各実施例および各比較例の肌貼付用フィルムを貼り付けた。
【0144】
肌貼付用フィルムを貼付してから30分後に、肌貼付用フィルムを指で擦り、肌貼付用フィルムが破れるかを確認した。肌貼付用フィルムが破れなかった場合を「〇」、肌貼付用フィルムが破れた場合を「×」とした。
【0145】
<視認性の評価>
密着性の試験と同様に、被験者の内腕にスキンケアクリームを塗布し、その塗布領域に各実施例および各比較例の肌貼付用フィルムを貼り付けた。
【0146】
肌貼付用フィルムを貼付してから5分後に、肌貼付用フィルムの貼付部分を目視で観察し、肌貼付用フィルムにおける皺の有無、および、肌からの肌貼付用フィルムの浮きの有無を確認した。肌貼付用フィルムの皺および浮きが確認されない場合を「○」とし、肌貼付用フィルムの皺と浮きのうち皺のみが確認された場合を「△」とし、肌貼付用フィルムの皺および浮きの両方が確認された場合を「×」とした。
【0147】
(評価結果)
表1に、各実施例および各比較例について、膜強度の測定結果と、密着性、べたつき、破れにくさ、視認性の各評価結果とを示す。
【0148】
【表1】
【0149】
表1が示すように、薄膜部の膜強度が60mN以上290mN以下であり、かつ、厚膜部の膜強度が200mN以上700mN以下である実施例1~6では、密着性、べたつき、破れにくさ、視認性のすべての評価が良好であった。また、厚膜部の膜強度が400mN以下であると、厚膜部の膜強度が400mNを超えている場合と比較して、皺の発生が抑えられ、視認性の評価がより良好になることが確認された。
【0150】
一方、厚膜部の膜強度が200mNよりも小さい比較例1では、べたつきが感じられるとともに、肌貼付用フィルムの中央部に破れが確認された。また、薄膜部の膜強度が60mNよりも小さい比較例1~3では、肌貼付用フィルムの端部に破れが確認された。また、厚膜部の膜強度が700mNよりも大きい比較例5では、肌貼付用フィルムに皺と浮きが確認され、肌貼付用フィルムの貼付部分が目立って見えた。また、薄膜部の膜強度が290mNよりも大きい比較例4では、肌貼付用フィルムの端部で剥離が確認された。
【0151】
なお、実施例3の肌貼付用フィルムを、薄膜部および厚膜部の双方がスキンクリームの塗布領域に重なるように肌に貼り付けて、密着性の評価を行ったところ、評価結果は「△」であった。すなわち、肌貼付用フィルムの端部の一部で剥離が確認されたが、比較例4と比べると、肌貼付用フィルムの剥がれた面積は少なかった。したがって、薄膜部を塗布薬の塗布領域上に配置した場合にも、肌貼付用フィルムの全体が厚膜部である場合と比較して、肌貼付用フィルムと肌との密着性が高められ、肌貼付用フィルムの剥離が抑えられることが確認された。
【0152】
以上、実施形態および実施例にて説明したように、肌貼付用フィルムおよび転写シートによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)肌貼付用フィルム10において、薄膜部20の膜強度が60mN以上290mN以下であり、厚膜部21の膜強度が、薄膜部20の膜強度よりも大きく、200mN以上700mN以下である。そして、環状領域OR内でその周方向に沿って並ぶ複数の領域が、薄膜部20に含まれる。こうした構成によれば、薄膜部20が位置する肌貼付用フィルム10の端部では、肌に対する肌貼付用フィルム10の密着性が高められるため、肌からの肌貼付用フィルム10の剥離が抑えられる。一方、厚膜部21では、塗布薬の塗布領域上における肌貼付用フィルム10の縒れや破れおよびべたつきが抑えられる。
【0153】
(2)環状領域ORの全体が薄膜部20であれば、肌貼付用フィルム10の端部において、その周方向の全域で肌との密着性が高められる。したがって、肌からの肌貼付用フィルム10の剥離がより好適に抑えられる。
【0154】
(3)厚膜部21の膜強度が200mN以上400mN以下であると、厚膜部21に皺が生じることや厚膜部21が肌から浮くことが抑えられるため、肌貼付用フィルム10の貼付部分が目立つことが抑えられる。
【0155】
(4)薄膜部20の膜強度が、厚膜部21の膜強度の0.1倍以上0.8倍以下であれば、薄膜部20と厚膜部21との機能の違いが良好に得られる。また、薄膜部20と厚膜部21との膜強度の差が大きすぎないため、薄膜部20と厚膜部21との境界部分が外力に弱くなることが抑えられる。
【0156】
(5)厚膜部21が、広域層12と狭域層13とを含む複数の層から構成される形態であれば、複数の層の積層によって、厚さおよび膜強度が部分的に異なる肌貼付用フィルム10を容易に形成することができる。
【0157】
(6)広域層12と狭域層13との組成が異なる形態であれば、広域層12を、端部で肌と密着する機能に適した材料から形成し、狭域層13を、膜強度を高めやすい材料のように、塗布薬の塗布領域の被覆に適した材料から形成することができる。したがって、各層の機能をより高めることができる。
【0158】
(7)肌貼付用フィルム10の第1面11Fから第2面11Rに向かう方向に、広域層12、狭域層13がこの順に並ぶ形態であれば、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられたときに、広域層12が狭域層13を覆う。したがって、狭域層13が広域層12によって保護されるため、狭域層13が露出されている形態と比較して、指等の接触に起因して広域層12と狭域層13とが剥離することが抑えられる。
【0159】
(8)肌貼付用フィルム10の第2面11Rから第1面11Fに向かう方向に、広域層12、狭域層13がこの順に並ぶ形態であれば、肌貼付用フィルム10が肌に貼り付けられたときに、広域層12の全面が肌に接するため、肌貼付用フィルム10と肌との間に隙間が形成されにくい。
【0160】
(9)狭域層13が粒子14を含む形態であれば、粒子の特性に応じて、肌貼付用フィルム10から肌に対して作用する機能を高めることや、こうした機能の多様化が可能である。また、狭域層13は厚膜部21を構成するため、広域層12よりも厚く形成することができる。したがって、広域層12に粒子14を含有させる場合と比較して、含有可能な粒子14の種類や含有量の自由度が高められる。
【0161】
(10)広域層12と狭域層13との間に、アンカー層として機能する中間層15が配置される形態であれば、肌貼付用フィルム10を構成する層間の密着性が高められる。
(11)肌貼付用フィルム10の厚さが、薄膜部20の最も薄い部分から、厚膜部21の最も厚い部分に向けて、連続的に変化する形態であれば、厚さの差に起因した段差が肌貼付用フィルム10の表面や裏面に形成されることが抑えられる。したがって、厚さの異なる部分の境界が視認されることが抑えられる。また、上記段差に指等が引っ掛かることに起因して肌貼付用フィルム10が破断することが抑えられる。
【0162】
(12)肌貼付用フィルム10の厚さが、薄膜部20の最も薄い部分から、厚膜部21の最も厚い部分に向けて、多段階的に変化する形態であれば、複数の平坦な層の積層によって肌貼付用フィルム10を形成することが可能である。したがって、厚さが連続的に変化する形態と比較して、肌貼付用フィルム10の形成が容易である。
【0163】
(13)肌貼付用フィルム10の主成分が高分子材料であると、膜強度の制御が的確に可能である。また、肌貼付用フィルム10の主成分が生体適合性樹脂であると、肌への貼り付けに対する肌貼付用フィルム10の適性の向上が可能である。
【0164】
(14)転写シートが、支持基材31を備えていることにより、転写シートの保管時や移動時に、肌貼付用フィルム10の変形が抑えられる。また、肌貼付用フィルム10が支持基材に支持されていることにより、肌貼付用フィルム10が取り扱いやすくなる。
【符号の説明】
【0165】
CR…中央領域
OR…環状領域
LR…低強度領域
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I…肌貼付用フィルム
11F…第1面
11R…第2面
12…広域層
13…狭域層
14…粒子
15…中間層
16…端部構成部
17…中央構成部
20…薄膜部
21…厚膜部
30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,30H,30I…転写シート
31…支持基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15