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特開2022-178179車両用シートオーダーシステム及び測定用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178179
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】車両用シートオーダーシステム及び測定用シート
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20221125BHJP
   A47C 31/12 20060101ALI20221125BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20221125BHJP
【FI】
G06Q50/04
A47C31/12
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084763
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼面 啓
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 寿美
【テーマコード(参考)】
3B087
5L049
【Fターム(参考)】
3B087DE10
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】車両の走行環境に合わせたオーダーシートの設計が可能な車両用シートオーダーシステムを提供する。
【解決手段】本開示の一態様は、車両に設置されるように構成されたシート本体と、車両の走行時におけるシート本体の着席者の姿勢を検出するように構成されたセンサとを有する測定用シートと、センサから取得した着席者の姿勢の経時データに基づいて、車両に設置されるオーダーシートを設計するように構成されたシート設計装置と、を備える車両用シートオーダーシステムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置されるように構成されたシート本体と、前記車両の走行時における前記シート本体の着席者の姿勢を検出するように構成されたセンサとを有する測定用シートと、
前記センサから取得した前記着席者の姿勢の経時データに基づいて、前記車両に設置されるオーダーシートを設計するように構成されたシート設計装置と、
を備える、車両用シートオーダーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートオーダーシステムであって、
前記シート設計装置は、前記経時データと前記オーダーシートの仕様とに基づいて、前記車両の走行時における前記測定用シートでの前記着席者の姿勢変化と、前記車両の走行時における前記オーダーシートでの前記着席者の姿勢変化との比較が可能な性能確認データを作成するように構成される、車両用シートオーダーシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートオーダーシステムであって、
前記センサは、前記シート本体が前記着席者から受ける圧力と、前記シート本体に発生する加速度と、を検出するように構成される、車両用シートオーダーシステム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用シートオーダーシステムであって、
前記シート設計装置は、
ユーザー端末に前記オーダーシートの仕様を含む設計情報を送信する処理と、
前記ユーザー端末から前記オーダーシートの発注を受け付ける処理と、
を実行するように構成される、車両用シートオーダーシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用シートオーダーシステムであって、
前記シート設計装置は、前記ユーザー端末による指示によって前記測定用シートの初期形状を選択する処理を実行するように構成される、車両用シートオーダーシステム。
【請求項6】
車両に設置されるように構成されたシート本体と、
前記車両の走行時における前記シート本体の着席者の姿勢を検出するように構成されたセンサと、
を備え、
前記センサは、検出した前記着席者の姿勢を、前記車両に設置されるオーダーシートを設計するように構成されたシート設計装置に送信するように構成される、測定用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用シートオーダーシステム及び測定用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設置されるシートをユーザーの要望にあわせてカスタマイズするオーダーシステムが知られている(特許文献1参照)。このオーダーシステムでは、ロボットシートをユーザーが調整することで、シートをカスタマイズする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-253392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のオーダーシステムのロボットシートは店舗等の施設に設置され、静的な状態においてロボットシートの調整が行われる。そのため、実際に設置される車両の走行環境を考慮したシートのカスタマイズはできない。
【0005】
本開示の一局面は、車両の走行環境に合わせたオーダーシートの設計が可能な車両用シートオーダーシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に設置されるように構成されたシート本体(11)と、車両の走行時におけるシート本体(11)の着席者の姿勢を検出するように構成されたセンサ(12)とを有する測定用シート(10)と、センサ(12)から取得した着席者の姿勢の経時データに基づいて、車両に設置されるオーダーシートを設計するように構成されたシート設計装置(20)と、を備える車両用シートオーダーシステム(1)である。
【0007】
このような構成によれば、オーダーシートが設置される予定の車両において、車両の走行に伴う着席者の姿勢変化が測定用シート(10)のセンサ(12)により取得される。そのため、車両が実際に走行する道路の形状、起伏、走行速度等の走行環境に合わせたオーダーシートの設計がシート設計装置(20)によって可能となる。また、オーダーシートの設計時にユーザーが拘束される時間を低減できる。
【0008】
本開示の一態様では、シート設計装置(20)は、経時データとオーダーシートの仕様とに基づいて、車両の走行時における測定用シート(10)での着席者の姿勢変化と、車両の走行時におけるオーダーシートでの着席者の姿勢変化との比較が可能な性能確認データを作成するように構成されてもよい。このような構成によれば、ユーザーがオーダーシートによる座り心地の改善を視覚的に把握することができる。そのため、オーダーシートの発注過程におけるユーザーの利便性が向上する。
【0009】
本開示の一態様では、センサ(12)は、シート本体(11)が着席者から受ける圧力と、シート本体(11)に発生する加速度と、を検出するように構成されてもよい。このような構成によれば、測定用シート(10)が比較的簡潔な構成となるため、測定用シート(10)の車両への設置が容易となる。
【0010】
本開示の一態様では、シート設計装置(20)は、ユーザー端末(200)にオーダーシートの仕様を含む設計情報を送信する処理と、ユーザー端末(200)からオーダーシートの発注を受け付ける処理と、を実行するように構成されてもよい。このような構成によれば、オーダーシートの設計完了後、ユーザーが店舗に赴くことなくオーダーシートの仕様確認及び発注をすることができる。
【0011】
本開示の一態様では、シート設計装置(20)は、ユーザー端末(200)による指示によって測定用シート(10)の初期形状を選択する処理を実行するように構成されてもよい。このような構成によれば、ユーザーによるオーダーシートのカスタマイズの幅を広げることができる。
【0012】
本開示の別の態様では、車両に設置されるように構成されたシート本体(11)と、車両の走行時におけるシート本体(11)の着席者の姿勢を検出するように構成されたセンサ(12)と、を備える測定用シート(10)である。センサ(12)は、検出した着席者の姿勢を、車両に設置されるオーダーシートを設計するように構成されたシート設計装置(20)に送信するように構成される。
【0013】
このような構成によれば、オーダーシートが設置される予定の車両に測定用シート(10)が設置されることで、車両の走行に伴って変化する着席者の姿勢がセンサ(12)により取得できる。そのため、車両が実際に走行する道路の形状、起伏、走行速度等の走行環境に合わせたオーダーシートの設計が可能となる。
【0014】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態における車両用シートオーダーシステムを示す模式的な構成図である。
図2図2は、図1の測定用シートの模式図である。
図3図3Aは、図1の車両用シートオーダーシステムの手順を示す模式図であり、図3Bは、図3Aの次の手順を示す模式図である。
図4図4Aは、図3Bの次の手順を示す模式図であり、図4Bは、図4Aの次の手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す車両用シートオーダーシステム1は、ユーザーが自身の車両(以下、「ユーザー車両」ともいう。)に設置される車両用シートとして、好みのオーダーシートを発注するためのシステムである。
【0017】
オーダーシートは、ユーザーの体格及びユーザー車両の走行環境に合わせて、ユーザーの座り心地が向上するようにカスタマイズされる。車両用シートオーダーシステム1は、測定用シート10と、シート設計装置20とを備える。
【0018】
<測定用シート>
測定用シート10は、ユーザー車両の走行環境下でのユーザー(つまり着席者)の姿勢変化を測定するためのシートである。測定用シート10は、図2に示すように、シート本体11と、センサ12とを有する。
【0019】
シート本体11は、ユーザー車両に設置されるように構成されている。シート本体11は、将来設置されるオーダーシートの代わりに、ユーザー車両の車室(例えば運転席又は助手席)に仮設置される。ユーザーは、シート本体11に着席してユーザー車両を一定時間使用する。
【0020】
センサ12は、ユーザー車両の走行時におけるシート本体11の着席者の姿勢を検出し、検出した姿勢をシート設計装置20に送信するように構成されている。「着席者の姿勢」には、着席者の体の位置に加えて、ユーザー車両の加減速及びカーブの通過に伴って着席者に生じる加速度も含まれる。
【0021】
具体的には、センサ12は、シート本体11が着席者から受ける圧力を検出するように構成された圧力センサ12Aと、シート本体11に発生する加速度を検出するように構成された加速度センサ12Bとを有する。
【0022】
圧力センサ12Aは、シート本体11における着席者の圧力分布を検出する。圧力センサ12Aは、シート本体11のシートクッション及びシートバックに配置されている。加速度センサ12Bは、シート本体11に発生する前後方向及び左右方向の加速度を検出する。なお、加速度センサ12Bは、シート本体11の外部に配置されていてもよい。
【0023】
図1に示すように、センサ12は、インターネット等のネットワーク100を介して、検出した着席者の姿勢を示すデータ(つまり、圧力及び加速度の大きさ)をシート設計装置20に送信するように構成されている。
【0024】
センサ12は、シート設計装置20と直接通信を行ってもよいし、ユーザー端末200を介してシート設計装置20と通信を行ってもよい。また、センサ12は、ユーザー車両のECU(エレクトロニックコントロールユニット)を介して、シート設計装置20と通信を行ってもよい。センサ12は、例えば、有線又は近距離無線通信によって、ユーザー端末200又はユーザー車両のECUと通信を行うことができる。
【0025】
センサ12は、一定期間(例えば1週間)毎に、収集したデータを直接又は他の機器を介してシート設計装置20に送信する。また、センサ12は、検出及び通信用の内部電源を有している。
【0026】
<シート設計装置>
シート設計装置20は、センサ12から取得した着席者(つまりユーザー)の姿勢の経時データに基づいて、ユーザー車両に設置されるオーダーシートを設計するように構成されている。
【0027】
シート設計装置20は、ユーザー車両の外部(つまり地上施設)に配置されたネットワークサーバーである。シート設計装置20は、例えばプロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備えるコンピュータで構成される。シート設計装置20は、通信部21と、記憶部22と、設計処理部23と、注文処理部24とを有する。
【0028】
通信部21は、測定用シート10及びユーザー端末200とデータの送受信を行う。具体的には、通信部21は、測定用シート10のセンサ12から姿勢の経時データを受信する。また、通信部21は、ユーザー端末200からユーザー情報及び注文指令を受信すると共に、ユーザー端末200にオーダーシートの設計情報を送信する。
【0029】
記憶部22は、ユーザーの登録情報、センサ12から取得したデータ、オーダーシートの仕様(つまりスペック)等を記憶する。
【0030】
設計処理部23は、ユーザーの登録情報に含まれるユーザーの体格と、センサ12から取得したユーザーの姿勢の経時データとから、ユーザーに最適なオーダーシートを設計するように構成されている。
【0031】
具体的には、設計処理部23は、ユーザーの体格にフィットし、かつ、ユーザー車両の走行環境において加速度によるユーザーの体の動きが抑制されるオーダーシートを設計する。オーダーシートのスペックの決定は、例えば、強化学習等の統計学的手法を用いて得られた人工知能、関数、テーブル等によって行われる。
【0032】
オーダーシートの設計には、シートクッション及びシートバックを構成するパッドの形状及び材質(例えば、硬さ、密度等)の調整又は選択が含まれる。また、オーダーシートのカスタムは、後述する測定用シート10の初期形状をベースに行われる。
【0033】
また、設計処理部23は、ユーザーが希望する表皮のデザイン(例えば、材質、色、模様等)をオーダーシートの仕様に反映する。表皮のデザインは、ユーザー端末200によって選択される。
【0034】
オーダーシートの設計後、設計処理部23は、ユーザーがオーダーシートの性能を確認するための性能確認データを作成する。性能確認データは、センサ12が出力した経時データと、設計処理部23が設計したオーダーシートの仕様とに基づいて作成される。
【0035】
性能確認データは、ユーザー車両の走行時における測定用シート10での着席者の姿勢変化と、ユーザー車両の走行時におけるオーダーシートでの着席者の姿勢変化との比較が可能なシミュレーションデータである。
【0036】
具体的には、性能確認データは、体圧変化データと、人体挙動データとを含む。体圧変化データは、ユーザー車両の走行時における測定用シート10及びオーダーシートそれぞれの着席者の体圧分布の変化を示すデータである。体圧分布の変化は、センサ12から取得された体圧分布によって算出される。ユーザーは、体圧変化データにより、オーダーシートにおける体圧分布変化の抑制性能が確認できる。
【0037】
人体挙動データは、ユーザー車両の走行時における着席者の体の動きを示すデータである。着席者の体の動きは、センサ12から取得された加速度によって算出される。ユーザーは、人体挙動データにより、オーダーシートにおける体感加速度の抑制性能が確認できる。
【0038】
また、設計処理部23は、性能確認データの一部として、ユーザーが選択した表皮のデザインを反映したオーダーシートの意匠データを作成する。意匠データは、オーダーシートの外観の画像データである。
【0039】
設計処理部23は、オーダーシートの設計情報を、データを取得した測定用シート10に紐づけられたユーザー端末200に通信部21を介して送信する。オーダーシートの設計情報には、オーダーシートの仕様及び性能確認データが含まれる。
【0040】
注文処理部24は、初期形状選択処理と、発注受付処理とを実行するように構成されている。
【0041】
初期形状選択処理では、注文処理部24は、ユーザー端末200による指示によって測定用シート10の初期形状を選択する。初期形状は、例えば、標準タイプ、スポーツタイプ、及び標準タイプとスポーツタイプとの中間タイプの中から選択される。また、注文処理部24は、ユーザー端末200による指示によってオーダーシートの表皮のデザインを選択する。
【0042】
初期形状選択処理は、測定用シート10をユーザー車両に設置する前に実行される。注文処理部24は、初期形状選択処理において選択された初期形状を、測定用シート10を提供するサービス提供者の端末に送信する。サービス提供者は、選択された初期形状の測定用シート10を用意し、ユーザー又はユーザー車両を取り扱うディーラーに発送する。
【0043】
発注受付処理では、注文処理部24は、ユーザー端末200からオーダーシートの発注を受け付ける。発注受付処理は、設計処理部23によるオーダーシートの設計完了後に実行される。
【0044】
注文処理部24は、ユーザー端末200からの発注を受けて、オーダーシートの製造指示をサービス提供者の端末に送信する。サービス提供者は、製造指示を受けたオーダーシートを製造し、ユーザー又はディーラーに発送する。
【0045】
<ユーザー端末>
ユーザー端末200は、例えばプロセッサと、RAM、ROM等の記憶媒体と、入出力部とを備える持ち運び可能なコンピュータである。
【0046】
ユーザー端末200としては、例えば、スマートフォン、タブレット、ノート型PC等が挙げられる。ユーザー端末200は、通信部201と、記憶部202と、表示部203と、入力部204と、処理部205とを有する。
【0047】
通信部201は、ネットワーク100を介して、シート設計装置20と通信を行う。記憶部202は、シート設計装置20との間でデータを送受信するためのアプリケーションプログラムを記憶している。表示部203は、文字及び画像を表示するディスプレイである。入力部204は、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力機器である。
【0048】
処理部205は、ユーザー情報入力処理と、設計情報表示処理と、発注処理とを実行する。
【0049】
ユーザー情報入力処理では、処理部205は、ユーザーの氏名、住所、メールアドレス、年齢、性別、身長、体重等の個人情報の入力を受け付ける。処理部205は、入力部204によって入力された個人情報をシート設計装置20に送信し、会員登録を行う。
【0050】
また、ユーザー情報入力処理では、処理部205は、表示部203に測定用シート10の初期形状の各タイプのイメージと、表皮のデザインのイメージとを表示させる。処理部205は、入力部204によって選択された初期形状及び表皮のデザインをシート設計装置20に送信する。
【0051】
設計情報表示処理では、処理部205は、シート設計装置20から送信された設計情報を表示部203に表示させる。具体的には、オーダーシートの仕様、性能確認データ、価格が表示部203に表示される。
【0052】
発注処理では、処理部205は、入力部204による発注の入力を受けて、シート設計装置20に注文指令を出力する。また、処理部205は、注文指令と共にオーダーシートの費用を電子決済する。
【0053】
<車両用シートオーダーシステムの使用方法>
以下、車両用シートオーダーシステム1を用いた車両用シートのオーダーサービスについて説明する。
【0054】
まず、ユーザーはユーザー端末200に、車両用シートのオーダーサービスを利用するためのアプリケーションをインストールする。アプリケーションのインストール後、ユーザーはアプリケーションを通じて、サービスへの会員登録を行う。続いてユーザーは、アプリケーションにおいて、測定用シート10の初期形状の選択と表皮のデザインの選択とを行う。
【0055】
図3Aに示すように、ユーザーがユーザー端末200に入力した情報は、シート設計装置20に送信される。サービス提供者Pは、ユーザーが選択した初期形状の測定用シート10を用意し、ユーザーに配送する。ユーザーは、配送された測定用シート10をユーザー車両300に取り付ける。なお、サービス提供者Pは、測定用シート10をユーザーの居所以外の場所(例えば、ディーラー)に配送してもよい。
【0056】
ユーザーは、測定用シート10を設置した状態で、ユーザー車両300を予め定めた測定期間(例えば、2週間)、通勤やドライブとして日常的に使用する。図3Bに示すように、測定用シート10は、測定期間中にセンサ12が検出した経時データをシート設計装置20に送信する。
【0057】
図4Aに示すように、測定期間の経過後、シート設計装置20はオーダーシートの仕様及び性能確認データを作成し、ユーザー端末200に送信する。オーダーシートの仕様及び性能確認データは、アプリケーション内で表示される。
【0058】
ユーザーは、オーダーシートの仕様に同意した場合、ユーザー端末200のアプリケーションにて発注操作を行う。図4Bに示すように、シート設計装置20は、発注操作を受けてオーダーシートの製造をサービス提供者Pに指示する。
【0059】
サービス提供者Pは、製造したオーダーシートSをユーザーに配送する。ユーザーは、受け取ったオーダーシートSをユーザー車両300に取り付ける。また、ユーザーは、測定用シート10をサービス提供者Pに返却する。
【0060】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)オーダーシートが設置される予定のユーザー車両において、ユーザー車両の走行に伴う着席者の姿勢変化が測定用シート10のセンサ12により取得される。そのため、ユーザー車両が実際に走行する道路の形状、起伏、走行速度等の走行環境に合わせたオーダーシートの設計がシート設計装置20によって可能となる。また、オーダーシートの設計時にユーザーが拘束される時間を低減できる。
【0061】
(1b)シート設計装置20が測定用シート10とオーダーシートとを比較可能な性能確認データを作成することによって、ユーザーがオーダーシートによる座り心地の改善を視覚的に把握することができる。そのため、オーダーシートの発注過程におけるユーザーの利便性が向上する。
【0062】
(1c)センサ12が圧力と加速度とを検出するように構成されることで、測定用シート10が比較的簡潔な構成となる。そのため、測定用シート10のユーザー車両への設置が容易となる。
【0063】
(1d)ユーザー端末200にオーダーシートの設計情報を送信し、ユーザー端末200から発注を受け付けることで、オーダーシートの設計完了後、ユーザーが店舗に赴くことなくオーダーシートの仕様確認及び発注をすることができる。
【0064】
(1e)測定用シート10の初期形状を選択可能とすることで、ユーザーによるオーダーシートのカスタマイズの幅を広げることができる。
【0065】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0066】
(2a)上記実施形態の車両用シートオーダーシステムにおいて、シート設計装置は、必ずしもオーダーシートの性能確認データを作成しなくてもよい。例えば、シート設計装置は、オーダーシートの仕様のみをユーザーに提供してもよい。
【0067】
(2b)上記実施形態の車両用シートオーダーシステムにおいて、センサは、着席者の姿勢として、必ずしも圧力及び加速度を検出しなくてもよい。また、センサは、圧力及び加速度以外のデータを取得してもよい。例えば、センサは、着席者の姿勢を画像として取得してもよい。また、センサは、着席者の体重を検出してもよい。
【0068】
(2c)上記実施形態の車両用シートオーダーシステムにおいて、シート設計装置は、必ずしもユーザー端末と通信するように構成されなくてもよい。例えば、シート設計装置は、ユーザーから直接、情報の入力及びオーダーシートの発注を受け付けるように構成されてもよい。この場合、シート設計装置は、例えば車両を販売するディーラーに設置される。
【0069】
(2d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0070】
1…車両用シートオーダーシステム、10…測定用シート、11…シート本体、
12…センサ、12A…圧力センサ、12B…加速度センサ、20…シート設計装置、
21…通信部、22…記憶部、23…設計処理部、24…注文処理部、
100…ネットワーク、200…ユーザー端末、201…通信部、202…記憶部、
203…表示部、204…入力部、205…処理部、300…ユーザー車両、
P…サービス提供者、S…オーダーシート。
図1
図2
図3
図4