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特開2022-178180ボンディング治具およびボンディング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178180
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ボンディング治具およびボンディング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H01L21/60 301K
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084768
(22)【出願日】2021-05-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-10
(71)【出願人】
【識別番号】399028078
【氏名又は名称】ハイソル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】生稲 新太郎
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044DD01
5F044DD02
(57)【要約】
【課題】透明電極を視認可能に照明する。
【解決手段】透明電極11にワイヤボンディングを行うときに使用されるボンディング治具100であって、光半導体10の透明電極11を載置する載置台1と、照明光を反射する反射鏡2と、反射鏡2の反射面2aと載置面1aとの角度を可変する角度修正手段3,4,5,6とを備える。また、反射鏡2の一辺は、載置面1aの縁部近傍に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極にワイヤボンディングを行うときに使用されるボンディング治具であって、
前記透明電極を載置する載置台と、
照明光を反射する反射鏡と、
前記反射鏡の反射面と前記載置台の載置面との角度を可変する角度修正手段と
を備えることを特徴とするボンディング治具。
【請求項2】
請求項1に記載のボンディング治具であって、
前記反射鏡の一辺は、前記載置面の縁部近傍に配置されている
ことを特徴とするボンディング治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディング治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイや受発光素子等の光半導体では、ITO(Indium Tin Oxide)等で透明電極が形成されていることが多い。透明電極は上方から形状を把握することが困難なので、ワイヤボンディングを行うときに、ワイヤ端部を電極に載置することも困難になる。特許文献1,2には、ITOパターンを撮像する撮像装置が開示されている。例えば、特許文献1に記載の技術は、光源及びカメラの角度を規定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-191057号公報
【特許文献2】特開2005-283319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、透明電極の法線に対するカメラ及び光源の角度を適切な値に固定している。そのため、光源が変わったり、光半導体の形状や厚さが変わったりしたときには、カメラ及び光源の位置関係を修正しなければならない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、透明電極を視認可能に照明することができるボンディング治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、第1発明は、透明電極(11)にワイヤボンディングを行うときに使用されるボンディング治具(100)であって、前記透明電極を載置する載置台と、照明光を反射する反射鏡(2)と、前記反射鏡の反射面(2a)と前記載置面(1a)との角度を修正する角度修正手段(3,4,5,6)とを備えることを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、透明電極を視認可能に照明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態であるボンディング治具の模式図である。
図2】光半導体の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態であるボンディング治具の平面図、及び正面図である。
図4】本発明の第1実施形態であるボンディング治具の左側面図、及び右側面図である。
図5】透明電極に金属ワイヤをボンディングしている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態であるボンディング治具の模式図であり、図2は、光半導体10の構成を示す斜視図である。X,Zの方向は、図1の矢印に従う。
ボンディング治具100(図1)は、載置台1と、回動部材3と、軸体4と、マイクロメータヘッド5と、付勢部材6とを有する。光半導体10(図2)は、矩形状の基板12に複数の透明電極11が形成されたものである。この複数の透明電極11は、基板12の一辺の近傍に配列されている。ボンディング治具100は、例えば、光半導体10やディスプレイ等に形成されている透明電極11に金属ワイヤの一端をボンディングするときに使用される。透明電極11は、ITO膜であるが、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、ZnO、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)、IZO(登録商標)(インジウムドープ酸化亜鉛)、TiO(二酸化チタン)などであっても構わない。
【0011】
載置台1は、透明電極11(本実施形態では透明電極11を備える光半導体10)を載置するものであり、直方体状の金属部材である。回動部材3は、軸体4を中心に回動する部材であり、軸体4よりも上側の板状部材(反射鏡取付部3a)に反射鏡2が取り付けられている。なお、反射鏡2は、照明光を反射する反射面2aを有する平面鏡であるが、曲面鏡であっても構わない。軸体4は、載置台1の載置面1aの一辺の近傍に配設されている。付勢部材6は、一端が回動部材3の下部(駆動部3b)に取り付けられており、回動部材3の下部に対し、X方向の引張力を付与している。また、マイクロメータヘッド5は、先端部5aをマニュアルで精密移動させるものであり、マイクロメータヘッド5の操作量によって回動部材3及び反射鏡2の回動角が調整される。なお、回動部材3と、軸体4と、マイクロメータヘッド5と、付勢部材6とで、反射鏡2の反射面2aと載置台1の載置面1aとの角度を修正する角度修正手段が構成されている。
【0012】
ボンディング治具100の周囲には、載置台1に載置されている光半導体10を上方から観察する顕微鏡(不図示)と、光半導体10を照明する光源(例えば、リング型、ライン型、ストレート型、面発光型等の照明器具)とが配置されている。ここで、単に、光半導体10の上方から照明を行うと、透明電極11の透過率が高いので、光半導体10に形成された透明電極11の形状を顕微鏡で確認することが困難である。
【0013】
しかしながら、反射鏡2を適切な角度に回動させて、照明光を透明電極11に対して、低角度で入射させると、透明電極11のエッジで光の干渉等が起こるため、透明電極11の形状を顕微鏡で確認し易くなる。ここで、本実施形態のボンディング治具100によれば、マイクロメータヘッド5の操作によって反射鏡2の回動角(傾斜角)を調整できるので、操作者が顕微鏡で確認しながらでも、適切な角度になるまで反射鏡2を回動させることができる。反射鏡2の調整により透明電極11を確認できるようになったら、例えば、透明電極11の上に金属ワイヤ50(図4参照)の一端を載置し、金属ワイヤ50及び透明電極11に超音波を印加することにより、金属接合(ボンディング)する。
【0014】
また、反射鏡2の一辺は、載置台1の載置面1aの縁部近傍に配設されており、載置台1の縁辺と平行である。したがって、光半導体10が矩形状であり、その一辺に沿って、複数の透明電極11が配列されている場合には、作業者は、マイクロメータヘッド5の1回の調整で、複数の透明電極11を観察することができる。
【0015】
図3,4を参照して、ボンディング治具100の一例をより詳細に説明する。図3(a)は、本発明の第1実施形態であるボンディング治具100の平面図であり、図3(b)は、その正面図である。図4(a)は、本発明の第1実施形態であるボンディング治具100の左側面図であり、図4(b)は、その右側面図である。なお、X,Y,Zの方向は、図の矢印に従う。
前記したように、ボンディング治具100は、少なくとも、載置台1と、反射鏡2と、回動部材3と、軸体4と、マイクロメータヘッド5と、付勢部材6とを有する。
【0016】
載置台1の上面(載置面1a)には、複数の吸着孔1bが形成されている。吸着孔1bは、空気を吸入することにより、載置された光半導体10を吸着固定する。吸着孔1bの数、位置等に制限はないが、本実施形態では、反射鏡2の近傍に複数の吸着孔1bが形成されている。回動部材3は、載置台1の一辺に沿って延在する反射鏡取付部3aと、反射鏡取付部3aの一端から下方向に延在する駆動部3bとにより側面視L字状に形成されている。反射鏡取付部3aは、側面視矩形状、正面視I字状の板材であり、載置台1の載置面1aの縁部近傍において、載置面1aの上方に配置されている。反射鏡取付部3aは、駆動部3bにより片持ち支持されており、反射鏡取付部3aの下縁と載置面1aとの間には隙間が形成されている。反射鏡2は、反射鏡取付部3aの側面(吸着孔1b側の側面)に取り付けられている。
【0017】
駆動部3bは、載置台1の側方(正面側)に配置されている。駆動部3bには、軸支持部3cが形成されている。軸支持部3cは、ブロック状の部材であり、軸支持部3cの上部には、軸体4が貫設されている。軸体4は、載置面1aに平行であり、反射鏡2の近傍に配設されている。軸体4の一端は、載置台1の側部に支持されている。また、軸支持部3cには、マイクロメータヘッド5の先端部5aが当接する当接部材3dが取り付けられている。なお、マイクロメータヘッド5は、ホルダ5cを介して、載置台1の側部に固定されている。軸支持部3cの下部には、係止部3eが設けられている。係止部3eは、付勢部材6の一端が係止される部分であり、軸支持部3cの下面に螺入されたボルトからなる。付勢部材6は、回動部材3の下部(軸体4よりも下側の部分)をマイクロメータヘッド5側に付勢する部材である。
【0018】
付勢部材6は、例えば、軸支持部3cと載置台1との間に配置された引張コイルばねであり、回動部材3の下部をマイクロメータヘッド5の方向に引き寄せる。しかしながら、マイクロメータヘッド5の先端部5aが当接部材3dの移動を制限するので、回動部材3の回動量は、マイクロメータヘッド5の操作量によって規制される。すなわち、マイクロメータヘッド5の先端を進出させると、付勢部材6に抗して回動部材3が回動(図3(b)では右回りに回動)し、反射鏡2と載置面1aのなす角度が小さくなり、マイクロメータヘッド5の先端を退行させると、付勢部材6の引張力(復元力)により回動部材3が回動(図3(b)では左回りに回動)し、反射鏡2と載置面1aのなす角度が大きくなる。
【0019】
図5は、透明電極11に金属ワイヤ50をボンディングしている状態を示す図である。
ワイヤボンディング装置200は、ボンディング治具100と、ボンディングツール40と、超音波振動子60とを備えて構成される。ワイヤボンディング装置200は、ボンディングによって、光半導体10に形成された透明電極11に金属ワイヤ50の端部50aを接合するものである。
【0020】
ボンディングツール40は、金属ワイヤ50の端部50aを吸着し、不図示のステージ(例えば、Zステージ)を用いて、吸着した端部50aを透明電極11まで移動させるために使用される。また、超音波振動子60は、ボンディングツール40を固定しており、ボンディングツール40を介して金属ワイヤ50の端部50a及び透明電極11に超音波を印加する。
【0021】
以上説明したように、本実施形態のボンディング治具100によれば、反射鏡2の反射面と載置面1aとの角度を適切に修正することができるので、透明電極11のエッジで生じる光の干渉等が適切にして、透明電極11の形状を顕微鏡で確認することができる。これにより、ワイヤボンディング装置200は、透明電極11の形状を顕微鏡で観察しながら、金属ワイヤ50の端部50aを適切な位置に配置して、ワイヤボンディングを行うことができる。
【符号の説明】
【0022】
1 載置台
1a 載置面
2 反射鏡
2a 反射面
3 回動部材(角度修正手段)
3c 軸支持部
3e 係止部
4 軸体(角度修正手段)
5 マイクロメータヘッド(角度修正手段)
6 付勢部材(角度修正手段)
10 光半導体
11 透明電極
12 基板
100 ボンディング治具
200 ワイヤボンディング装置
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極に超音波でワイヤボンディングを行うときに使用されるボンディング治具であって、
前記透明電極を載置する載置台と、
照明光を反射し、前記透明電極を照明する反射鏡と、
前記反射鏡の反射面と前記載置台の載置面との角度を可変する角度修正手段と
を備えることを特徴とするボンディング治具。
【請求項2】
請求項1に記載のボンディング治具であって、
前記反射鏡で照明された前記透明電極の形状を観察する顕微鏡をさらに備える
ことを特徴とするボンディング治具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のボンディング治具であって、
前記反射鏡の一辺は、前記載置面の縁部近傍に配置されている
ことを特徴とするボンディング治具。
【請求項4】
透明電極を載置する載置台と、照明光を反射し、前記透明電極を照明する反射鏡と、前記反射鏡の反射面と前記載置台の載置面との角度を可変する角度修正手段とを備えたボンディング治具を用い、超音波でワイヤボンディングを行うボンディング方法であって、
前記透明電極の形状を観察可能になるまで前記角度を可変することを特徴とするボンディング方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、ボンディング治具およびボンディング方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、透明電極を視認可能に照明することができるボンディング治具およびボンディング方法を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記目的を達成するために、第1発明は、透明電極(11)に超音波でワイヤボンディングを行うときに使用されるボンディング治具(100)であって、前記透明電極を載置する載置台と、照明光を反射し、前記透明電極を照明する反射鏡(2)と、前記反射鏡の反射面(2a)と前記載置面(1a)との角度を修正する角度修正手段(3,4,5,6)とを備えることを特徴とする。また、第2発明は、透明電極を載置する載置台と、照明光を反射し、前記透明電極を照明する反射鏡と、前記反射鏡の反射面と前記載置台の載置面との角度を可変する角度修正手段とを備えたボンディング治具を用い、超音波でワイヤボンディングを行うボンディング方法であって、前記透明電極の形状を観察可能になるまで前記角度を可変することを特徴とする。なお、括弧内の符号や文字は、実施形態において付した符号等であって、本発明を限定するものではない。