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特開2022-178192光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178192
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/11 20200101AFI20221125BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20221125BHJP
【FI】
H05B47/11
H05B47/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084790
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 和生
(72)【発明者】
【氏名】市川 重範
(72)【発明者】
【氏名】成田 瑞恵
(72)【発明者】
【氏名】篠山 千之
(72)【発明者】
【氏名】畑中 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】菊池 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】徳村 朋子
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA03
3K273QA02
3K273RA02
3K273RA17
3K273SA04
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA68
3K273UA20
(57)【要約】
【課題】調光器具を複数の領域で共用しつつ、複数の領域の明るさを安定して制御することができる光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラムを提供すること。
【解決手段】画像データを取得する撮像装置110と、画像データから複数の領域a1、a2の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて複数の領域a1、a2で共用する調光器具DL1を調光制御する調光器具制御装置120と、を有する光環境制御システム100であって、調光器具制御装置120が、複数の領域a1、a2に優先順位を設定した領域優先順位情報140aが記憶された記憶部140を備え、領域優先順位情報140aによる優先順位上位の領域a1を優先順位下位の領域a2より優先して輝度を許容範囲内に収まるように調光器具DL1を調光制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得する撮像装置と、前記画像データから複数の領域の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて前記複数の領域で共用する調光器具を調光制御する調光器具制御装置と、を有する光環境制御システムであって、
前記調光器具制御装置が、前記複数の領域に優先順位を設定した領域優先順位情報が記憶された記憶部を備え、
前記領域優先順位情報による優先順位上位の前記領域を優先順位下位の前記領域より優先して輝度が許容範囲内に収まるように前記調光器具を調光制御することを特徴とする光環境制御システム。
【請求項2】
前記記憶部には、前記複数の領域それぞれの輝度許容範囲の情報が記憶され、
前記調光器具制御装置が、
前記画像データから前記複数の領域の輝度を算出する輝度算出部と、
前記輝度算出部によって算出された前記領域の輝度が前記輝度許容範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記領域の輝度を前記輝度許容範囲内に収めるように前記調光器具を調光制御する調光制御部と、
を備え、
前記調光制御部が、優先順位上位の前記領域の輝度について前記判定部が前記輝度許容範囲内であると判定した場合のみ、優先順位下位の前記領域の輝度が前記輝度許容範囲内に収まるように前記調光器具を調光制御することを特徴とする請求項1に記載の光環境制御システム。
【請求項3】
前記判定部が、優先順位上位の前記領域の輝度について前記輝度許容範囲内であると判定した場合のみ、優先順位下位の前記領域の前記輝度に対する判定を実行することを特徴とする請求項2に記載の光環境制御システム。
【請求項4】
前記撮像装置が複数設けられ、該複数の撮像装置の各撮像装置によって取得された画像データが前記複数の領域の各領域に対応することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光環境制御システム。
【請求項5】
前記調光器具が、照明器具、ブラインド又はルーバーの少なくともいずれか1つの種類のものを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光環境制御システム。
【請求項6】
前記複数の領域が、複数のグループに分けられており、各グループ内で複数の領域に優先順位が設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光環境制御システム。
【請求項7】
前記複数の領域が、タスク側およびアンビエント側の前記領域を含み、
前記領域優先順位情報が、タスク側の前記領域をアンビエント側の前記領域よりも上位の優先順位として順位付けした情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光環境制御システム。
【請求項8】
画像データから複数の領域の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて前記複数の領域で共用する調光器具を調光制御する光環境制御方法であって、
領域優先順位情報により前記複数の領域に優先順位を設定するステップと、
優先順位上位の前記領域を優先順位下位の前記領域より優先して前記輝度を許容範囲内に収めるように前記調光器具を調光制御するステップと、
を含むことを特徴とする光環境制御方法。
【請求項9】
前記画像データから前記複数の領域の輝度を算出する輝度算出ステップと、
前記輝度算出ステップによって算出された前記領域の輝度が許容範囲内であるか否かを判定する判定ステップと、
前記領域の輝度を許容範囲内に収めるように調光器具を調光制御する調光制御ステップと、
を含み、
前記調光制御ステップが、優先順位上位の前記領域の輝度について前記判定ステップによって前記領域の輝度が許容範囲内であると判定された場合のみ、優先順位下位の前記領域の輝度が許容範囲内に収まるように前記調光器具を調光制御することを特徴とする請求項8に記載の光環境制御方法。
【請求項10】
前記判定ステップが、優先順位上位の前記領域の輝度について許容範囲内であると判定した場合のみ、優先順位下位の前記領域の輝度に対する判定を実行することを特徴とする請求項9に記載の光環境制御方法。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれか1項に記載の光環境制御方法の各ステップをコンピュータによって実行することを特徴とする光環境制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば輝度に基づいて照明器具、ブラインド等の調光器具を調光制御する光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具、ブラインド等の調光器具を調光制御する技術として、特許文献1には、机上面照度などを検出する照度センサの測定値に基づき、照度が一定になるように照明器具を調光制御する技術が記載されている。この特許文献1に記載された技術は改良されつつ現在も一般的に使用されている。
一方、カメラ等の撮像装置によって取得された画像データを利用して、特に輝度に着目して光環境を制御するシステムが開示されている(特許文献2、3、非特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3954183号公報
【特許文献2】特許第6154100号公報
【特許文献3】特開2018-31136号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小島義包、他5名「輝度画像を利用した照明制御システムの研究」、TRANS.оfIEIEJ、Vоl.38Nо.1、[令和2年6月28日検索]、インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/38/1/38_62/_pdf/-char/ja>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、1つの照明器具によって、タスク側およびアンビエント側等の複数の領域のそれぞれに対応した判定基準で調光制御が行われると、照明器具による明るさの制御が安定せず、好ましい光環境を得ることができないという問題があった。
【0006】
本発明者は上記問題点に鑑み、調光器具を複数の領域で共用しつつ、複数の領域の明るさを安定して制御することができる光環境制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態に係る光環境制御システムは、画像データを取得する撮像装置と、前記画像データから複数の領域の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて前記複数の領域で共用する調光器具を調光制御する調光器具制御装置と、を有する光環境制御システムであって、
前記調光器具制御装置が、前記複数の領域に優先順位を設定した領域優先順位情報が記憶された記憶部を備え、
前記領域優先順位情報による優先順位上位の前記領域を優先順位下位の前記領域より優先して輝度が許容範囲内に収まるように前記調光器具を調光制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の1つの実施形態に係る光環境制御方法は、画像データから複数の領域の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて前記複数の領域で共用する調光器具を調光制御する光環境制御方法であって、
領域優先順位情報により前記複数の領域に優先順位を設定するステップと、
優先順位上位の前記領域を優先順位下位の前記領域より優先して前記輝度を許容範囲内に収めるように前記調光器具を調光制御するステップと、
を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の1つの実施形態に係る光環境制御プログラムは、光環境制御方法の各ステップをコンピュータによって実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る光環境制御システム、光環境制御方法又は光環境制御プログラムによれば、調光器具を複数の領域で共用しつつ、複数の領域の明るさを安定して制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る光環境制御システムの構成を示す模式図である。
図2】光環境制御システムの構成を示すブロック図である。
図3】記憶部に記憶された情報を説明するための図であり、図3のAが領域優先順位情報であり、図3のBが輝度許容範囲の情報であり、図3のCが調光制御対象情報である。
図4】判定部による判定パターンと各判定パターンに調光制御部による調光制御の実行の有無を対応付けた調光制御テーブルを示す図である。
図5】撮像装置によって取得された画像データを説明するための図であり、図5のAが撮像装置の撮像範囲を示す図であり、図5のBが撮像装置の撮像範囲内で選択された2つの領域を示す図である。
図6】調光器具制御装置が実行する調光制御処理の手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2に係る光環境制御システムの構成を示すブロック図である。
図8】判定部による判定に優先順位を対応付けるため優先順位情報に輝度許容範囲の情報を対応付けた判定処理テーブルを示す図である。
図9】本発明の実施形態2に係る光環境制御システムの調光器具制御装置が実行する調光制御処理の手順を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態3に係る光環境制御システムの構成を示すブロック図である。
図11】撮像装置によって取得された画像データを説明するための図であり、図11のAが撮像装置の撮像範囲を示す図であり、図11のBが撮像装置の撮像範囲内で選択された領域a1~領域a4を示す図である。
図12】本発明の実施形態3に係る光環境制御システムの記憶部に記憶された情報を説明するための図であり、図12のAが優先順位情報であり、図12のBが輝度許容範囲の情報であり、図12のCが調光制御対象情報である。
図13】複数の領域で共用される照明器具が複数の照明器具である例を説明するための図である。
図14】複数の領域で共用される照明器具が複数の照明器具である例に関する調光制御対象情報を説明するための図である。
図15】本発明の実施形態4に係る光環境制御システムを説明するための図である。
図16】1つの照明器具を共用する領域が3つ以上である場合の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る光環境制御システム、光環境制御方法及光環境制御プログラムを説明する。但し、以下に示す実施形態は本発明の技術思想を具体化するための光環境制御システム、光環境制御方法及光環境制御プログラムを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0013】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラムについて、図1図6を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る光環境制御システム100の構成を示す模式図である。図2は、光環境制御システム100の構成を示すブロック図である。図3は、記憶部140に記憶された情報を説明するための図であり、図3のAが領域優先順位情報140aであり、図3のBが輝度許容範囲の情報140bであり、図3のCが調光制御対象情報140cである。図4は、判定部150による判定パターンと各判定パターンに調光制御部160による調光制御の実行の有無を対応付けた調光制御テーブル140dを示す図である。図5は、撮像装置110によって取得された画像データを説明するための図であり、図5のAが撮像装置110の撮像範囲を示す図であり、図5のBが撮像装置110の撮像範囲内で選択された2つの領域a1、a2を示す図である。図6は、調光器具制御装置120が実行する調光制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0014】
本発明の実施形態1に係る光環境制御システム100は、輝度に基づいて調光器具としての照明器具DL1を調光制御する光環境制御システムであり、机上面(タスク:オフィス作業での書類や人の顔)、あるいは、壁や天井(アンビエント:天井・壁・床など作業者の周辺)などの複数の領域の光環境を良好に保つ必要があるオフィス等に設けられる。
ここで、調光器具とは、照明器具に限定せず、例えば、ブラインド、ルーバー等を含み、調光対象となる領域の輝度の調整が可能な器具である。
【0015】
この光環境制御システム100は、画像データを取得する撮像装置110と、画像データから2つの領域a1、a2の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて2つの領域a1、a2の両方の領域の輝度に影響を与える共用の照明器具DL1を調光制御する調光器具制御装置120と、を有する。
本発明の実施形態では、照明器具として調光可能なものを用いて光環境制御システム100を説明する。
【0016】
光環境制御システム100は、図1に示すように、撮像装置110と調光器具制御装置120とが、例えば、LAN(Local Area Network)によって接続されており、照明器具DL1と調光器具制御装置とが、例えば、BACnet(登録商標)(Building Automation and Control Networking protocol)によって接続されている。
【0017】
撮像装置110は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラによって実現される。
この撮像装置110は、オフィス内の窓面、壁面および天井面が撮像範囲に入る位置に設置される。より具体的には、撮像装置110は、この実施形態1では、明るさの調光対象領域となる机上面の領域a1および天井面の領域a2が撮像範囲に入る位置に設置されている(図5参照)。
すなわち、撮像装置110は、調光対象領域となる2つの領域a1、a2が撮像範囲に入るように設置されている。
撮像装置110によって取得された画像データは、LANを介して調光器具制御装置120に送られる。
【0018】
調光器具制御装置120は、例えば、PC(personal Computer)によって実現される。この調光器具制御装置120は、光環境制御システム100の調光制御に関するソフトウェアが実装されており、PCでは以下で説明する制御方法を実現する光環境制御プログラムが実行される。
より具体的には、調光器具制御装置120は、輝度算出部130と、記憶部140と、判定部150と、調光制御部160と、を備える(図2参照)。
【0019】
輝度算出部130は、撮像装置110によって取得された画像データから2つの領域a1、a2の輝度を算出する。より具体的には、画像データから予め設定された2つの領域a1、a2を選択し、選択した2つの領域a1、a2のそれぞれの輝度を算出する。
各領域a1、a2における輝度の算出処理としては、例えば、各領域a1、a2のピクセル毎の輝度を算出し、各領域a1、a2の全ピクセル数の平均輝度をその領域a1、a2の輝度として算出する。
【0020】
記憶部140は、判定部150および調光制御部160が実施する処理に必要な情報を記憶する。
この記憶部140は、領域優先順位情報140a、2つの領域a1、a2それぞれの輝度許容範囲の情報140b、および、調光制御対象情報140cを記憶する。
【0021】
領域優先順位情報140aは、図3のAに示すように、2つの領域a1、a2と優先順位とを対応付けた情報である。
この本実施形態では、机上面の領域a1が優先順位1にされ、天井面の領域a2が優先順位2に設定されている。すなわち、領域優先順位情報140aは、机上面の領域a1を天井面の領域a2よりも上位の優先順位に設定する情報である。
【0022】
輝度許容範囲の情報140bは、図3のBに示すように、各領域a1、a2と輝度許容範囲とを対応付けた情報である。
この実施形態1では、机上面の領域a1の輝度の許容範囲を、18cd/m2以上、22cd/m2以下に設定している。
また、天井面の領域a2の輝度の許容範囲を、50cd/m2以上、70cd/m2以下に設定している。
尚、机上面の領域a1は、一般的には、照度を確保することが求められる。撮像装置から算出された輝度と机上面の照度との関係には相関があり、机上面の反射特性に依存するが、完全拡散反射面の場合には、輝度=照度×反射率÷πの関係にある。
また、特定のオフィス環境での実測により、輝度≒照度÷25の関係が得られたことから、照度450~550Lxに相当する輝度18~22cd/m2を、輝度許容範囲に設定している。
この輝度許容範囲18~22cd/m2は一例であり、限定されるものではない。
【0023】
調光制御対象情報140cは、図3のCに示すように、2つの領域a1、a2と、2つの領域a1、a2を調光するための調光制御対象となる照明器具とを対応付けた情報である。
【0024】
また、記憶部には、判定部による2つの領域a1、a2の判定の組み合わせ(判定パターン)と、調光制御部によって照明器具の調光のための制御を実行するか否かの調光制御の実行内容との関係を示した調光制御テーブル140d(図4参照)が記憶されている。
なお、図4中の「+NG」表記は、輝度超過でNGであることを示し、「-NG」表記は、輝度不足でNGであることを示す。
また、図4中の「OK」表記は、領域a1、a2の輝度が輝度許容範囲内であることを示す。
さらに、図4中の「〇」表記は、調光制御部160が照明器具DL1の調光制御を実行することを示し、「-」との表記は、調光制御部160が照明器具DL1の調光制御を実行しないことを示す。
【0025】
判定部150は、輝度算出部130によって算出された領域a1、a2の輝度が輝度許容範囲内であるか否かを判定する。
より具体的には、判定部150は、輝度算出部130によってされた領域a1の輝度が算出されると、輝度許容範囲の情報140bを参照し、算出された輝度が18cd/m2以上、22cd/m2以下の範囲内にあるか否かを判定する。
また、判定部150は、輝度算出部130によってされた領域a2の輝度が算出されると、輝度許容範囲の情報140bを参照し、算出された輝度が50cd/m2以上、70cd/m2以下の範囲内にあるか否かを判定する。
【0026】
なお、この実施形態1では、判定部150が、図4の調光制御テーブル140dに示すように、2つの領域a1とa2について、領域輝度超過でNG(図4中、「+NG」表記)となった場合、輝度不足でNG(図4中、「-NG」表記)となった場合、とを分けて判定する。すなわち、判定部150は、輝度が輝度許容範囲内である場合を含めた9種類の判定パターンで判定する。
【0027】
調光制御部160は、領域a1、a2の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。
この実施形態1では、調光制御部160は、優先順位上位の領域a1の輝度について判定部150が輝度許容範囲内であると判定した場合のみ、優先順位下位の領域a2の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。
より具体的には、図4に示すように、判定部150によって9種類の判定パターンに基づいた判定がなされるようになっており、このうちの2つの判定パターン(図4中、上から4行目および6行目の判定パターン)、すなわち、領域a1の判定がOKであり、領域a2の判定が+NG(輝度超過)の判定パターン、および、領域a1の判定がOKであり、領域a2の判定が-NG(輝度不足)の判定パターンの場合のみ、調光制御部160が領域a2の調光制御を行う。
【0028】
なお、調光制御部160が実行する調光制御としては、例えば、以下の2種類の制御方法があげられる。
[制御方法1]輝度算出部130によって算出された輝度と輝度許容範囲の情報140bとを用いて算出された輝度の差分に応じた調光制御を行う。輝度許容範囲の情報140bより上限輝度と下限輝度が規定されており、この上限輝度又は下限輝度と輝度算出部130によって算出された輝度とを比較することにより調光制御部160は調光制御量を決定する。例えば領域a1の判定が「+NG(輝度超過)」の場合には、輝度算出部130によって算出された輝度が上限輝度と比較され、調光制御部160は領域a1の照明器具DL1の調光制御量を決定する。また、例えば領域a1の判定が「-NG(輝度不足)」の場合には、輝度算出部130によって算出された輝度が下限輝度と比較され、調光制御部160は領域a1の照明器具DL1の調光制御量を決定する。このような制御方法1では、輝度算出部130によって算出された輝度に応じた細やかな調光制御を行うことができる。
【0029】
[制御方法2]判定部150による「+NG(輝度超過)」、「-NG(輝度不足)」、「OK(輝度が輝度許容範囲内)」の判定結果に基づき、調光制御部160は同一判定結果に対して同一の調光制御量を決定する。すなわち、同一の判定結果であれば輝度算出部130によって算出された輝度の大小によらず一律に調光制御される。
例えば、領域a1の判定が「+NG(輝度超過)」の場合、調光制御部160は、領域a1の照明器具DL1の調光率を一律に、例えば10%下げる調光制御を行う。また、領域a1の判定が「-NG(輝度不足)」の場合、調光制御部160は、領域a1の照明器具DL1の調光率を一律に、例えば10%上げる調光制御を行う。
このような制御方法2では、照明器具DL1が同一の判定結果であれば輝度算出部130によって算出された輝度の大小によらず一律に調光制御されるため、調光制御部160を簡素化することが可能である。
なお、「OK(輝度が輝度許容範囲内)」の場合、調光制御部160は、照明器具DL1の調光制御を行わない。
【0030】
照明器具DL1は、調光器具制御装置120に接続され、調光器具制御装置120によって調光制御される。
【0031】
次に、図6を参照して調光器具制御装置120が実行する調光制御処理の手順を説明する。
まず、調光器具制御装置120は、撮像装置110から画像データを取得する(画像データ取得ステップS101)。
この実施形態1では、撮像範囲に2つの領域a1、a2が収まるように撮像装置110が設けられている。
撮像装置110によって取得された画像データが、LANを介して調光器具制御装置120に送信されることによって、調光器具制御装置120が撮像装置110から画像データを取得する。
【0032】
次に、輝度算出部130が、2つの領域a1、a2の輝度を算出する(輝度算出ステップS102)。
このステップS102の処理では、輝度算出部130が、取得された画像データから予め設定された2つの領域a1、a2を選択し(図5のB参照)、選択した2つの領域a1、a2それぞれの輝度を算出する。
輝度算出部130は、各領域a1、a2のピクセル毎の輝度を算出し、各領域a1、a2の全ピクセル数の平均輝度をその領域a1、a2の輝度として算出する。
【0033】
次に、判定部150が、算出された各領域a1、a2の輝度が輝度許容範囲内であるか否かを判定する(判定ステップS103)。
このステップS103の処理では、判定部150が記憶部140に記憶された輝度許容範囲の情報140bを参照し、算出された各領域a1、a2の輝度が輝度許容範囲内であるか否かを判定する。
すなわち、判定部150は、このステップS103の処理において、優先順位上位および優先順位下位両方の領域a1、a2の輝度について輝度許容範囲内であるか否かを判定する。
ここで、判定部150は、上述したような2つの領域a1、a2に関する9種類の判定パターンの中から、1つの判定パターンを導出する。
【0034】
次に、調光制御部が、2つの領域a1、a2の輝度がともに輝度許容範囲内であるか否かを判断する(判定ステップS104)。
このステップS104の処理は、調光制御部160が、調光のために照明器具DL1の制御を実行するか否かの判断をする処理になる。
ステップS104において、調光制御部160は、2つの領域a1、a2の両方が、判定部150による「OK」の判定がなされたか否かを判断し、2つの領域a1、a2の両方が、判定部150による「OK」の判定がなされた(図4中、上から5行目の判定パターン参照)と判断した場合(ステップS104:Yes)、図4の調光制御テーブル140dに基づき、調光のための照明器具DL1の制御が必要ないため、処理をステップS101に戻す。その後、調光器具制御装置120は、上述した処理を繰り返す。
【0035】
一方、ステップS104において、調光制御部160は、2つの領域a1、a2に対して判定部150による「OK」の判定がなされていないと判断した場合(ステップS104:No)、照明器具DL1を調光制御する(調光制御ステップS105)。
【0036】
ステップS105の処理では、調光制御部160は、図4の調光制御テーブル140dに基づいて照明器具DL1を調光制御する。
調光制御部160が照明器具DL1に対して行う調光制御は、図4の調光制御テーブル140dでの判定部150による9種類の判定パターンに対応して実行される。
なお、2つの領域a1、a2の両方が、判定部150による「OK」の判定がなされた(図4中、上から5行目の判定パターン参照)と判断した場合(ステップS104:Yes)、照明器具DL1の制御の必要がないものであり、残りの8種類のパターンが以下になる。
【0037】
図4の調光制御テーブル140dの上から1行目の判定パターン:
領域a1および領域a2が+NG(輝度超過)と判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a1の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。なお、この場合、調光制御部160は、領域a2の輝度に基づいた照明器具DL1の調光制御を実行しない。
【0038】
図4の調光制御テーブル140dの上から2行目の判定パターン:
領域a1が+NG(輝度超過)であり、領域a2がOKであると判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a1の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。なお、調光制御部160は、領域a2の輝度に基づいた照明器具DL1の制御を実行しない。
【0039】
図4の調光制御テーブル140dの上から3行目の判定パターン:
領域a1が+NG(輝度超過)であり、領域a2が-NG(輝度不足)であると判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a1の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。なお、調光制御部160は、領域a2の輝度に基づいた照明器具DL1の制御を実行しない。
【0040】
図4の調光制御テーブル140dの上から4行目の判定パターン:
領域a1がOKであり、領域a2が+NG(輝度超過)であると判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a2の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。
【0041】
図4の調光制御テーブル140dの上から6行目の判定パターン:
領域a1がOKであり、領域a2が-NG(輝度不足)であると判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a2の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。
【0042】
図4の調光制御テーブル140dの上から7行目の判定パターン:
領域a1が-NG(輝度不足)であり、領域a2が+NG(輝度超過)と判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a1の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。なお、調光制御部160は、領域a2の輝度に基づいた照明器具DL1の制御を実行しない。
【0043】
図4の調光制御テーブルの上から8行目の判定パターン:
領域a1が-NG(輝度不足)であり、領域a2がOKと判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a1の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。なお、調光制御部160は、領域a2の輝度に基づいた照明器具DL1の制御を実行しない。
【0044】
図4の調光制御テーブル140dの上から9行目の判定パターン:
領域a1および領域a2が-NG(輝度不足)であると判定部150により判定された場合、調光制御部160は、領域a1の輝度が輝度許容範囲内に収まるように照明器具DL1を調光制御する。なお、調光制御部160は、領域a2の輝度に基づいた照明器具DL1の制御を実行しない。
【0045】
ステップS105において、調光制御部160が照明器具DL1を調光のための制御を実行した後、調光器具制御装置120は、処理をステップS101に戻して上述した処理を繰り返す。
【0046】
本発明の実施形態1に係る光環境制御システム100によれば、複数の領域a1、a2で共用する調光器具DL1を複数の領域a1、a2に設定された優先順位に基づいて調光制御することによって、共用の調光器具DL1に対する複数の領域a1、a2のそれぞれに応じた複数の調光制御要求が発生した場合であっても、優先順位の高い領域に対する調光制御要求を優先して実行することができるため、調光器具DL1を複数の領域a1、a2で共用しつつ、複数の領域a1、a2の明るさを安定して制御することができる。
【0047】
また、本発明の実施形態1に係る光環境制御システム100によれば、2つの領域a1、a2が、タスク側およびアンビエント側両方の領域a1、a2を含み、領域優先順位情報140aが、タスク側の領域a1をアンビエント側の領域a2よりも上位の優先順位として順位付けした情報であるため、アンビエント側の領域a2よりもタスク側の領域a1の調光制御要求を優先して実行することができる。
【0048】
本発明の実施形態1に係る光環境制御方法及び光環境制御プログラムによれば、複数の領域a1、a2で共用する調光器具DL1を複数の領域a1、a2に設定された優先順位に基づいて調光制御することによって、共用の調光器具DL1に対する複数の領域a1、a2のそれぞれに応じた複数の調光制御要求が発生した場合であっても、優先順位の高い領域に対する調光制御要求を優先して実行することができるため、調光器具DL1を複数の領域a1、a2で共用しつつ、複数の領域a1、a2の明るさを安定して制御することができる。
【0049】
また、本発明の実施形態1に係る光環境制御方法及び光環境制御プログラムによれば、2つの領域a1、a2が、タスク側およびアンビエント側両方の領域a1、a2を含み、領域優先順位情報140aが、タスク側の領域a1をアンビエント側の領域a2よりも上位の優先順位として順位付けした情報であるため、アンビエント側の領域a2よりもタスク側の領域a1の調光制御要求を優先して実行することができる。
【0050】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラムについて、図7図9を参照して説明する。
図7は、本発明の実施形態2に係る光環境制御システムの構成を示すブロック図である。図8は、判定部による判定に優先順位を対応付けるため優先順位情報に輝度許容範囲の情報を対応付けた調光制御テーブルを示す図である。図9は、実施形態2に係る光環境制御システムの調光器具制御装置が実行する調光制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0051】
この実施形態2に係る光環境制御システム200は、判定部250が2つの領域a1、a2の優先順位に基づいて判定を実行している点で実施形態1の光環境制御システム100と異なる。なお、上述した実施形態1の光環境制御システム100と同一構成部分について対応する200番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0052】
この光環境制御システム200は、画像データを取得する撮像装置210と、画像データから2つの領域a1、a2の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて2つの領域a1、a2で共用の照明器具DL1を調光制御する調光器具制御装置220と、を有する。
【0053】
記憶部240は、判定部250および調光制御部260が実施する処理に必要な情報を記憶する。
この記憶部240は、領域優先順位情報240a、2つの領域a1、a2それぞれの輝度許容範囲の情報240b、および、調光制御対象情報240cを記憶する。
【0054】
また、記憶部240には、2つの領域a1、a2の優先順位と各領域a1、a2の輝度許容範囲とを対応付けた判定処理テーブル240d(図8参照)が記憶されている。
【0055】
判定部250は、判定処理テーブル240dに基づいて、優先順位上位の領域a1の輝度について輝度許容範囲内であると判定した場合のみ、優先順位下位の領域a2の輝度に対する判定を実行する。
【0056】
次に、図9を参照して調光器具制御装置220が実行する調光制御処理の手順を説明する。
まず、調光器具制御装置220は、撮像装置210から画像データを取得する(画像データ取得ステップS201)。
この実施形態2では、実施形態1と同様に、撮像範囲に2つの領域a1、a2が収まるように撮像装置210が設けられている。
撮像装置210によって取得された画像データが、LANを介して調光器具制御装置220に送信されることによって、調光器具制御装置220が撮像装置210から画像データを取得する。
【0057】
次に、輝度算出部230が、2つの領域a1、a2の輝度を算出する(輝度算出ステップS202)。
【0058】
次に、判定部250が、優先順位上位の領域の輝度が輝度許容範囲内であるか否かを判定する(判定ステップS203)。
ステップS203において、判定部250が、優先順位上位の領域a1の輝度が輝度許容範囲外であると判定した場合(ステップS203:No)、調光制御部260は、照明器具DL1を調光制御する(ステップS205)。その後、調光器具制御装置220は、処理をステップS201に戻して上述した処理を繰り返す。
【0059】
一方、ステップS203において、判定部250が、優先順位上位の領域a1の輝度が輝度許容範囲内であると判定した場合(ステップS203:Yes)、判定部250は、優先順位下位の領域a2の輝度が輝度許容範囲内であるか否かを判定する(判定ステップS204)。
【0060】
ステップS204において、判定部250が、優先順位下位の領域a2の輝度が輝度許容範囲内であると判定した場合(ステップS204:Yes)、調光器具制御装置220は、処理をステップS201に戻して上述した処理を繰り返す。
【0061】
一方、ステップS204において、判定部250が、優先順位下位の領域a2の輝度が輝度許容範囲外であると判定した場合(ステップS204:No)、調光制御部260は、照明器具DL1を調光制御する(調光制御ステップS205)。その後、調光器具制御装置220は、処理をステップS201に戻して上述した処理を繰り返す。
【0062】
本発明の実施形態2に係る光環境制御システム200によれば、判定部250が、優先順位上位の領域a1の輝度について輝度許容範囲内であると判定した場合のみ、優先順位下位の領域a2の輝度に対する判定を実行するので、判定部250による判定処理を2つの領域a1、a2の優先順位に従って効率的に行うことができる。
【0063】
本発明の実施形態2に係る光環境制御方法及び光環境制御プログラムによれば、判定ステップが、優先順位上位の領域a1の輝度について輝度許容範囲内であると判定した場合のみ、優先順位下位の領域a2の輝度に対する判定を実行するので、判定ステップによる判定処理を2つの領域a1、a2の優先順位に従って効率的に行うことができる。
【0064】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラムについて、図10図12を参照して説明する。
図10は、本発明の実施形態3に係る光環境制御システム300の構成を示すブロック図である。図11は、撮像装置310によって取得された画像データを説明するための図であり、図11のAが撮像装置310の撮像範囲を示す図であり、図11のBが撮像装置310の撮像範囲内で選択された領域a1~領域a4を示す図である。図12は、本発明の実施形態3に係る光環境制御システム300の記憶部340に記憶された情報を説明するための図であり、図12のAが領域優先順位情報340aであり、図12のBが輝度許容範囲の情報340bであり、図12のCが調光制御対象情報340cである。
【0065】
本実施形態の光環境制御システム300は、調光制御対象となる照明器具が複数あり(DL1、DL2)、各照明器具DL1、DL2のそれぞれが優先順位付けされた複数の領域a1~a4を調光する点で実施形態1、2の光環境制御システムと異なる。複数の領域a1~a4が、複数のグループに分けられており、各グループ内で複数の領域に優先順位が設定されている。例えば、領域a1及びa2が照明器具DL1に対応する1つのグループに分けられ、領域a3及びa4が照明器具DL2に対応する別のグループに分けられる。1つのグループ内で領域a1及びa2の優先順位が設定され、別のグループ内で領域a3及びa4の優先順位が設定される。なお、上述した実施形態1の光環境制御システムと同一構成部分について対応する300番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0066】
本実施形態の光環境制御システム300は、画像データを取得する撮像装置310と、画像データから4つの領域a1~a4の輝度を算出し、算出された輝度に基づいて各領域で共用の照明器具DL1、DL2を調光制御する調光器具制御装置320と、を有する。
光環境制御システム300は、図10に示すように、撮像装置310と調光器具制御装置320とが、例えば、LANによって接続されており、2つの照明器具DL1、DL2と調光器具制御装置320とが、例えば、BACnet(登録商標)によって接続されている。
【0067】
調光器具制御装置320は、輝度算出部330と、記憶部340と、判定部350と、調光制御部360と、を備える。
【0068】
記憶部340は、領域優先順位情報340a、4つの領域a1、a2、a3、a4それぞれの輝度許容範囲の情報340b、および、調光制御対象情報340cを記憶する。
【0069】
領域優先順位情報340aは、図12のAに示すように、4つの領域a1、a2、a3、a4と優先順位とを対応付けた情報である。
本実施形態では、机上面の領域a1、a3が優先順位1にされ、天井面の領域a2、a4が優先順位2に設定されている。すなわち、領域優先順位情報は、机上面の領域a1、a3を天井面の領域a2、a4よりも上位の優先順位に設定する情報である。
【0070】
輝度許容範囲の情報340bは、図12のBに示すように、各領域a1、a2、a3、a4と輝度許容範囲とを対応付けた情報である。
本実施形態では、机上面の領域a1、a3の輝度の許容範囲を、18cd/m2以上、22cd/m2以下に設定している。
また、天井面の領域a2、a4の輝度の許容範囲を、50cd/m2以上、70cd/m2以下に設定している。
【0071】
調光制御対象情報340cは、図12のCに示すように、2つの領域a1、a2と、2つの領域a1、a2を調光制御対象となる照明器具DL1とを対応付けるとともに、2つの領域a3、a4と、2つの領域a3、a4を調光制御対象となる照明器具DL2とを対応付けた情報である。
【0072】
調光器具制御装置320は、照明器具DL1に対応する1つのグループの領域a1及びa2と、照明器具DL2に対応する別のグループの領域a3及びa4とについて、グループ毎に設定した優先順位に基づき、実施形態1又は2において説明したものと同様の方法で、照明器具DL1及びDL2をそれぞれ調光制御する。
【0073】
なお、本実施形態では、光環境制御システム300が2つの照明器具DL1、DL2の調光制御を行うものを例示したが、3つ以上の照明器具を調光制御してもよい。
【0074】
また、本実施形態では、複数の領域で共用される照明器具DL1、DL2が1つであるものを例示したが、複数の領域a1~a4で共用される照明器具が複数の照明器具であっても構わない。
例えば、図13に示すように、領域a1、a2で共用される照明器具を複数の照明器具DL11、DL12・・・DL1nとし、領域a3、a4で共用される照明器具を複数の照明器具DL21、DL22・・・DL2nとする(なお、nは自然数を示す。)。
【0075】
この光環境制御システム300は、領域優先順位情報340a(図14のA)と輝度許容範囲の情報340b(図14のB)は前述の図12と同様であるが、調光制御対象情報340cが各領域a1~a4に対して複数の照明器具が対応付けられた情報になる(図14のC参照)。
複数の照明器具は、例えば、照明器具に対応付けた領域に応じて定めることができる。すなわち、照明器具DL11、DL12・・・DL1nは、天井面の領域a2内に配置された照明器具群とし、照明器具DL21、DL22・・・DL2nは、天井面の領域a4内に配置された照明器具群とする。
なお、このように複数の照明器具を共用する場合の調光制御の具体的な方法は、単一の照明器具の輝度を調整するものだけに特定されるものではなく、例えば複数の照明器具を選択的に点灯および消灯することによっても各領域の調光制御が可能である。
【0076】
本実施形態の光環境制御システム300は、調光制御対象となる複数の照明器具に対してそれぞれ割り当てられた複数の領域に優先順位を付けた調光制御を行うことができる。
【0077】
[実施形態4]
本発明の実施形態4に係る光環境制御システム、光環境制御方法及び光環境制御プログラムについて、図15を参照して説明する。
図15は、本発明の実施形態4に係る光環境制御システム400の構成を説明するための図である。
本実施形態の光環境制御システム400は、2台の撮像装置410を設けている点で実施形態1~3の光環境制御システム100、200、300と異なる。なお、上述した実施形態1の光環境制御システム100と同一構成部分について対応する400番台の符号を付すことにより、その重複する説明を省略する。
【0078】
なお、本実施形態では、光環境制御システム400に2台の撮像装置410が設けられるものを例示したが、3台以上の撮像装置410を設けてもよい。
【0079】
本実施形態の光環境制御システム400は、2台の撮像装置410が設けられ、2台の撮像装置410によって取得された画像データに2つの領域a1、a2が属するようになっている。
本実施形態の光環境制御システム400は、各撮像装置410が専用で各領域a1、a2を撮像することができるので、領域a1、a2の周囲の画像をできるだけ少なくした画像を取り込むことができ、領域a1、a2を抽出し易くすることができる。
このため、領域a1、a2ごとに各撮像装置410を対応づけて、情報を調光器具制御装置に記憶させておくことによって、1台の撮像装置が取得した1つの画像データから複数の領域を選択する処理を省略することができ、結果的に、調光器具制御装置による調光制御処理を簡略化することができる。
【0080】
なお、本発明の実施形態1~4に係る光環境制御システム100~400は、一つの照明器具DL1、あるいは、所定の照明器具群を共用する領域が2つであるものを例示したが、1つの照明器具DL1、あるいは、所定の照明器具群を共用する領域は3つ以上であっても構わない。例えば、図16に示すように、机上面の領域a1、天井面の領域a2、さらには壁面の領域a3に対して優先順位を付けて1つの照明器具DL1、あるいは、所定の照明器具群を共用した調光制御を行うようにしてもよい。
【0081】
また、本発明の実施形態1~4に係る光環境制御システム100~400は、領域の平均輝度の算出処理について簡単に示したが、算術平均と幾何平均を適宜使用する、輝度の閾値を設けて光源を平均化の対象から除外するなどの処理を加えてもよい。
【0082】
また、本発明の実施形態1~4に係る光環境制御システム100~400は、机上面の領域として、集合した机により形成される長方形(机上面全体)としたが、机上面の一部の範囲あるいは机上面と床面を含む範囲としてもよい。
【0083】
また、本発明の実施形態1~4に係る光環境制御システム100~400は、1つの優先順位関係をあらかじめ定めることとしたが、複数の異なる優先順位関係を設定し、これを人の操作やスケジュール設定により、その空間の使用目的に応じて切り替えて運用する様にしても良い。例えば机上面と天井面の2領域を有するホールにおいて、講習会など手元資料の視認性が重要な場合は机上面優先、イベント利用では天井面優先、といった運用ができる。
【0084】
また、本発明の実施形態1~4に係る光環境制御システム100~400は、許容範囲を設定する領域の最大および最小輝度をあらかじめ定めることとしたが、システムを運用して蓄積されるデータを参照して可変させる仕組みを用いることもできる。
【0085】
また、本発明の実施形態1~4に係る光環境制御システム100~400は、調光制御対象となる調光器具が照明器具であるものを例示したが、調光器具は、調光することができる器具であればその他の調光器具を用いても構わない。例えば、調光器具として、ブラインド、ルーバーを用いてもよいし、種類の異なる調光器具を組み合わせて用いてもよい。なお、ブラインドあるいはルーバーを調光制御する場合、ブラインドあるいはルーバーの角度を調整する。
【0086】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の技術思想を具体化するための光環境制御システムを例示するものであって、本発明をこれらに特定するものではなく、その他の実施形態のものにも等しく適用し得るものであり、また、これらの実施形態の一部を省略、追加、変更することや、各実施形態の態様を組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0087】
100,200,300,400 光環境制御システム、110,210,310,410 撮像装置、120,220,320 調光器具制御装置、130,230,330 輝度算出部、140,240,340 記憶部、140a,240a,340a 領域優先順位情報、140b,240b,340b 輝度許容範囲の情報、140c,240c,340c 調光制御対象情報、140d 調光制御テーブル、240d 判定処理テーブル、150,250,350 判定部、160,260,360 調光制御部、DL1,DL2 照明器具(調光器具)、DL11~DL1n 照明器具(調光器具)、DL21~DL2n 照明器具(調光器具)。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
図11
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図16