(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178203
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電子機器用の接合体及び電子部品の接合方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20221125BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
H05K1/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084815
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】割栢 亮
【テーマコード(参考)】
5E319
5E336
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AC16
5E319BB02
5E319CC22
5E319GG05
5E336AA09
5E336CC32
5E336CC37
5E336CC38
5E336CC44
5E336GG05
(57)【要約】
【課題】電子部品の電極同士をはんだで接合する際に、はんだが横に広がることで生じる電極間ショートの発生を抑制する。
【解決手段】対向する第1電極部11と第2電極部21とを接合材3で接合することで第1電子部品1と第2電子部品2とが一体に形成された電子部品の接合体において、第1電子部品1の第1電極部11が形成された面12a及び第2電子部品2の第2電極部21が形成された面22aに垂直な方向から見て、対向する第1電極部11及び第2電極部21の対のうち、一部の対は第1電極部11が第2電極部21の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、他の対は第2電極部21が第1電極部11の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、且つ、第1電極部11が小面積電極部である対と、第2電極部が小面積電極部である対とを隣接して配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子部品の一の面に形成された複数の第1電極部と、第2電子部品の一の面に形成され前記第1電極部それぞれと対向する複数の第2電極部とを備え、対向する前記第1電極部と前記第2電極部とが、接合材を介して電気的に接続された電子機器用の接合体であって、
前記第1電子部品の前記一の面及び前記第2電子部品の前記一の面に垂直な方向から見て、前記対向する前記第1電極部及び前記第2電極部の対のうち、一部の対は前記第1電極部が前記第2電極部の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、他の対は前記第2電極部が前記第1電極部の外形よりも内側に位置する前記小面積電極部であり、且つ、前記第1電極部が前記小面積電極部である前記一部の対と前記第2電極部が前記小面積電極部である前記他の対とが隣接して配置されていることを特徴とする電子機器用の接合体。
【請求項2】
前記小面積電極部は、前記第1電子部品又は前記第2電子部品の前記一の面から突出した突形状の電極であり、前記小面積電極部と対をなす前記第1電極部又は前記第2電極部は、前記第1電子部品又は前記第2電子部品の前記一の面に積層され前記突形状の電極よりも薄い層電極からなることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用の接合体。
【請求項3】
前記突形状の電極は、前記一の面に積層された基体部と、当該基体部の上面から突出した突状部とからなり、
前記層電極は、前記基体部と同一の厚みを有する基体部からなることを特徴とする請求項2に記載の電子機器用の接合体。
【請求項4】
前記第1電極部及び前記第2電極部は、縦横に整列して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器用の接合体。
【請求項5】
前記接合材は、はんだであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電子機器用の接合体。
【請求項6】
前記第1電子部品は半導体素子であり、前記第2電子部品は配線基板であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電子機器用の接合体。
【請求項7】
第1電子部品に形成された第1電極部と第2電子部品に形成された第2電極部とを接合材を介して電気的に接合することで、前記第1電子部品と前記第2電子部品とを接合する電子部品の接合方法であって、
前記第1電極部と前記第2電極部とを接合したときに、前記第1電子部品の一の面及び前記第2電子部品の一の面に垂直な方向から見て、接合された前記第1電極部及び前記第2電極部の対のうち、一部の対は前記第1電極部が前記第2電極部の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、他の対は前記第2電極部が前記第1電極部の外形よりも内側に位置する前記小面積電極部であり、且つ、前記第1電極部が前記小面積電極部である前記一部の対と前記第2電極部が前記小面積電極部である前記他の対とが隣接するように前記第1電極部及び前記第2電極部を、前記第1電子部品の一の面及び前記第2電子部品の一の面のそれぞれに配置し、
前記一の対に含まれる前記小面積電極部である前記第1電極部と前記他の対に含まれる前記第2電極部とが対向し、前記他の対に含まれる前記小面積電極部である前記第2電極部と前記一の対に含まれる前記第1電極部とが対向するように、前記第1電極部と前記第2電極部とを接合材を介して電気的に接合することを特徴とする電子部品の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用の接合体及び電子部品の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は時代と共に集積度の上昇や多機能化に伴って、端子数が増えてきている。これに伴い半導体素子を配線基板に実装する方式として、リードフレームを用いたはんだ接合から、半導体素子の実装面に電極(ピン)を格子状に並べ、これをはんだ接続するBGA(Ball Grid Array)という方式に変わり、多ピン化を実現している。
近年はさらなる高集積化が進むことから、半導体素子の電極をより小さく、また電極間距離を狭くすることでさらに端子数を増やす必要が出てきた。
【0003】
ところが半導体素子の電極間距離が狭くなることで、半導体素子等の電子部品の電極と配線基板の電極とを接続するためのはんだの体積を考慮する必要がでてきた。これは、従来のはんだ接続では、配線基板と電子部品との間に挟まれたはんだが横に広がり、電極間ショートが生じる懸念があるためである。
【0004】
そこで、はんだの広がりを抑えるために、ソルダーレジストなどの絶縁層や不導体層の下にあった電極を突出させてピラー電極とし、配線基板のピラー電極と電子部品のピラー電極とを少量のはんだで接続することで、電極間ショートを回避するようにした実装方式が行われている。
【0005】
この方式は、はんだ量を少なくすることで横方向への広がりを抑えられる一方で、はんだがすべて合金化してしまうことではんだの機械特性が大きく変化したり、配線基板などの反りに対する許容量が少なくなり、コールドジョイントが発生し電子部品を配線基板に実装できなくなったりする場合がある。
【0006】
そのため、例えば特許文献1でははんだ層をめっきにより形成することで、従来のはんだ印刷方式によるはんだ高さのばらつきを改善し、均等な厚さで十分なはんだを得るようにした方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この方法では電極間距離が狭くなる場所において、はんだが横に広がることで生じる電極間ショートがなくなるわけではない。
さらに実際の配線基板は多少の反りがあり、電子部品及び配線基板間の電極どうしの距離が一部分では狭く、一部分では広くなる。そのため電子部品及び配線基板間の電極間距離が広い部分を接続させようすると、電子部品及び配線基板間の電極間距離の狭い部分においては電極間距離の広い部分よりも一層近接するため、はんだが電極間に収まらず横へはみ出してしまうという問題がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、配線基板と半導体素子等といった電子部品の電極同士をはんだで接合する際に、はんだが横に広がることで生じる電極間ショートの発生を抑制することの可能な電子機器用の接合体及び電子部品の接合方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1電子部品の一の面に形成された複数の第1電極部と、第2電子部品の一の面に形成され第1電極部それぞれと対向する複数の第2電極部とを備え、対向する第1電極部と第2電極部とが、接合材を介して電気的に接続された電子機器用の接合体であって、第1電子部品の一の面及び第2電子部品の一の面に垂直な方向から見て、対向する第1電極部及び第2電極部の対のうち、一部の対は第1電極部が第2電極部の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、他の対は第2電極部が第1電極部の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、且つ、第1電極部が小面積電極部である一部の対と第2電極部が小面積電極部である他の対とが隣接して配置されている、電子機器用の接合体が提供される。
【0011】
また、他の態様によれば、第1電子部品に形成された第1電極部と第2電子部品に形成された第2電極部とを接合材を介して電気的に接合することで、第1電子部品と第2電子部品とを接合する電子部品の接合方法であって、第1電極部と第2電極部とを接合したときに、第1電子部品の一の面及び第2電子部品の一の面に垂直な方向から見て、接合された第1電極部及び第2電極部の対のうち、一部の対は第1電極部が第2電極部の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、他の対は第2電極部が第1電極部の外形よりも内側に位置する小面積電極部であり、且つ、第1電極部が小面積電極部である一部の対と第2電極部が小面積電極部である他の対とが隣接するように第1電極部及び第2電極部を、第1電子部品の一の面及び第2電子部品の一の面のそれぞれに配置し、一の対に含まれる小面積電極部である第1電極部と他の対に含まれる第2電極部とが対向し、他の対に含まれる小面積電極部である第2電極部と一の対に含まれる第1電極部とが対向するように、第1電極部と第2電極部とを接合材を介して電気的に接合する、電子部品の接合方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、隣り合う電極間が狭くとも電極間ショートが生じることのない、はんだにより電子部品どうしが接合された電子機器用の接合体及び電子部品の接合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器用の接合体の一例を示す断面図である。
【
図2】第1電子部品の第1電極部が形成された面の一例を示す構成図である。
【
図3】第2電子部品の第2電極部が形成された面の一例を示す構成図である。
【
図4】第1電子部品のA-A断面における断面図である。
【
図5】第1電極部の形成方法を説明するための工程図の一例である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る電子機器用の接合体の動作説明に供する説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る電子機器用の接合体の動作説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0015】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
<構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器用の接合体(以下、単に接合体ともいう。)100の一例を示す断面図である。接合体100は、第1電子部品1と、第2電子部品2とを備える。接合体100は、第1電子部品1の第1電極部11と、第2電子部品2の第2電極部21とがはんだからなる接合材3によって接合されることにより、第1電子部品1と第2電子部品2とは一体に形成される。第1電子部品1は例えば半導体素子であり、第2電子部品2は例えば半導体素子を実装する配線基板である。
【0017】
図2は、第1電子部品1の第1電極部11が形成された面の一例を示す構成図、
図3は、第2電子部品2の第2電極部21が形成された面の一例を示す構成図である。また、
図4は、
図2のA-A断面における断面図であり、
図3のB-B断面における断面図も
図4となる。
【0018】
図2に示すように、第1電子部品1は、部品本体12の一の面12aに複数の第1電極部11が形成されている。第1電極部11は、面12aに垂直となるように形成された細長いピラー状(突形状)の小面積電極部11Aと大面積電極部11Bとを備え、小面積電極部11Aと大面積電極部11Bとは、格子の交点上に交互に配置される。小面積電極部11Aは、面12aに垂直な方向から見て円形であり薄い層状の基体部a1と、基体部a1の中央から突出する突状部a2とからなる。また大面積電極部11Bは、面12aに垂直な方向から見て円形であり薄い層状の基体部a11を備える。基体部a1とa11とは同一の厚みを有する。
【0019】
同様に、
図3に示すように第2電子部品2は、部品本体22の一の面22aに、複数の第2電極部21が形成されている。第2電極部21は、小面積電極部11Aと同一形状の小面積電極部21Aと、大面積電極部11Bと同一形状の大面積電極部21Bと、を備える。小面積電極部21Aと大面積電極部21Bとは、格子の交点上に交互に配置され、且つ、第2電極部21は、第1電子部品1と第2電子部品2とを接合したときに、第1電子部品1の小面積電極部11Aと第2電子部品2の大面積電極部21Bとが対向し、第1電子部品1の大面積電極部11Bと第2電子部品2の小面積電極部21Aとが対向するように配置され、一の面12a、22aに垂直な方向から見て、第2電子部品2の大面積電極部21Bの内側に第1電子部品1の小面積電極部11Aが位置し、第1電子部品1の大面積電極部11Bの内側に、第2電子部品2の小面積電極部21Aが位置するように配置される。
【0020】
小面積電極部11A、21A及び大面積電極部11B、21Bは、隣接する電極部同士が接触しなければどのような大きさであっても問題ないが、後述する製造工程における、レジスト解像限界や露光位置精度、めっき条件を考慮して決定する必要がある。
【0021】
小面積電極部11A、21A及び大面積電極部11B、21Bは、銅または銅を含む合金からなることが好ましい。これは配線形成においてめっき法により容易に形成することが可能であるためである。さらに後述する接合材にはんだを用いた場合、合金を形成して接続信頼性を向上させることが可能となる。
【0022】
さらに、小面積電極部11A、21A及び大面積電極部11B、21Bは、第1電子部品1を第2電子部品2に実装する前に、第1電子部品1及び第2電子部品2の少なくともいずれか一方の電極部11又は21の表面に接合材3を被覆しておくことが可能である。
図4では、小面積電極部11A、21Aの先端部分に接合材3を設けている。接合材3としては、錫、または錫を含む合金からなるはんだを用いることができる。また、接合材3として、金属及び有機成分を含む混合物を用いることができる。錫を含む合金からなるはんだを用いる場合は、めっき法により堆積させることが可能である。また、接合材3としてフラックスを含むはんだペーストを使用することで、印刷法やディスペンス法によって電極上にはんだを被覆することも可能である。また図示はしないがはんだ印刷法やディスペンス法によってはんだを被覆する場合は、電極表面を表面処理などによりはんだ濡れ性を確保する手段も追加することができる。
【0023】
さらに、接合材3としてはんだを被覆した場合、ピラー状の小面積電極部11A、21Aの高さが不揃いであっても、はんだにより高さばらつきを吸収し、第1電子部品1の全ての第1電極部11と第2電子部品2の全ての第2電極部21とのそれぞれを、接合材3を介して接合することができる。
【0024】
第1電子部品1と第2電子部品2とは、接合時に、小面積電極部11A、21Aに被覆しておいた接合材3としてのはんだを、大面積電極部11B、21Bに接触させた状態で、リフローを行うことで電気的に接合することができる。
【0025】
なお、
図1~
図4は、接合体100の一部のみを記載したものであり、接合体100は、幅方向及び奥行方法に続いていてもよく逆に、より小さくてもよい。また、部品本体12、22は、
図1~
図4に示す形状に限るものではなく、電極が形成される面12a、22aに電極部を備えていれば、どのような形状であってもよい。
【0026】
<製造方法>
第1電子部品(例えば配線基板)1及び第2電子部品(例えば半導体素子)2は、これら第1及び第2電子部品1、2としての電子部品の公知の製造方法にしたがってその内層を製造する。
【0027】
内層を形成した後、部品本体12、22に、第1電極部11及び第2電極部21を作成する。ここでは、第1電子部品1としての配線基板に、第1電極部11を作成する場合について説明するが、第2電子部品2において第2電極部21を作成する場合も同様に作成することができる。また、第1電極部11、第2電極部21の作成方法は以下の方法に限るものではない。
【0028】
部品本体12を形成した後、
図5(a)に示すように、部品本体12の電極形成面に電解めっきを行うためのシード層(図示せず)を積層し、次にめっきレジスト31を積層し、電極部11となる開口をフォトリソグラフィーによって形成する。次に、この部品本体12のレジスト31間の開口部32に電解銅めっきにより銅を堆積させ、小面積電極部11Aの基体部a1、及び大面積電極部11Bの基体部a11を形成する。
【0029】
次に、
図5(b)に示すようにレジスト31を一度剥離し、再びめっきレジスト33を積層して、フォトリソグラフィーにより開口を設け、小面積電極部11Aの突状部a2形成用の開口部34を形成する。この開口部に再び電解銅めっきを行い、小面積電極部11Aの突状部a2部分を形成する。
【0030】
次に、突状部a2の上に接合材3として電解錫めっきによりはんだを堆積させる。
接合材3は、錫めっき以外にもはんだペーストを充填する方法や異方性導電膜、金属ペーストを使用することも可能である。また、これらに限定されることはなく導電性を得られかつ固定することが可能であれば限定されない。
【0031】
最後に、レジスト33を剥離し、電解めっきのために設けたシード層(図示せず)をエッチングなどにより除去する(
図5(c))。これにより、部品本体(基板本体)12の電極形成面12aに、T型のピラー状の小面積電極部11Aと、薄い層電極からなる大面積電極部11Bとが形成される。
【0032】
なお、ここでは図示しないが、必要に応じてソルダーレジストを積層させることも可能である。さらに、接合材3をめっきではなく、はんだ印刷法やはんだボールを実装する方法なども選択できる。また、接合材3を設ける前に、突状部a2の先端に対して表面処理を行うことも可能である。
【0033】
以上の工程により第1電子部品1としての配線基板に第1電極部11(11A、11B)が作成された。同様の手順で、第2電子部品2としての半導体素子に第2電極部21(21A、21B)を作成する。
【0034】
そして、第1電子部品1及び第2電子部品2それぞれにおいて、第1電極部11及び第2電極部21を作成した後、第1電子部品(配線基板)1に第2電子部品(半導体素子)2を実装する実装工程(接合工程)を行う。
【0035】
この実装工程(接合工程)は、公知の実装方法を用いることができる。一般的な方法としては、第1電子部品1の第1電極部11と第2電子部品2の第2電極部21とが対向し、且つ第1電子部品1の小面積電極部11Aと第2電子部品2の大面積電極部21Bとが対向するようにアライメントマークにより位置合わせを行い、第1電極部11と第2電極部21とを接触させた状態で加熱を行い、接合材3をなすはんだを溶融させて第1電極部11と第2電極部21とを接合する。
【0036】
これにより、
図1に示すように、第1電子部品1の小面積電極部11Aと第2電子部品2の大面積電極部21Bが接合され、第1電子部品1の大面積電極部11Bと第2電子部品2の小面積電極部21Aとが接合された、実装基板が形成される。
【0037】
<効果>
本実施形態に係る接合体100は、
図4に示すように、第1電子部品1及び第2電子部品2それぞれにおいて、小面積電極部11A、21Aと隣接する電極部は大面積電極部11B、21Bとなっている。そのため、第1電子部品1の第1電極部11と第2電子部品2の第2電極部21との接合部分で、小面積電極部11A、21Aの外周からはんだがはみ出したとしても、大面積電極部11B、21Bからはんだがはみ出すことはない。つまり、第1電子部品1及び第2電子部品2の接合部分においてはみ出すはんだの横への広がりを、大面積電極部11B、21Bにおいて吸収することができる。そのため、第1電極部11と第2電極部21とを、接続するに十分な接合材3を用いて接合することができ、接合体100の信頼性を向上させることができる。
【0038】
また、第1電子部品1と第2電子部品2とを接合する際に、
図6に示すように位置ずれが生じた場合、大面積電極部11B、21B上の、小面積電極部11A、21Aが対向する位置がずれることになり、大面積電極部11B、21B上のはんだが接する領域がその縁部寄りの位置となるが、面12aと垂直な方向から見て、小面積電極部11A、21Aは大面積電極部11B、21Bの内側に存在し、第1電極部11と第2電極部21との接合部分ではんだが接合部分周囲にはみだしたとしても、はんだが大面積電極部11B、21Bの外周にはみ出すことを抑制することができる。そのため、隣接する第1電極部11どうし、第2電極部21どうしの間で、はんだを介して電極間ショートが生じることを抑制することができる。
【0039】
仮に、
図7に示すように、電子機器用の接合体200が、第1電子部品210と第2電子部品220とを有し、第1電子部品210の第1電極部211が全て同一形状であり、部品本体212の電極部が形成された面212aに垂直な方向から見て円形の基体部a211と基体部a211の中央部から突出する突状部a212とから形成され、第2電子部品220の第2電極部221が全て同一形状であり、部品本体222の電極部が形成された面222aに垂直な方向から見て円形の基体部a221から形成され、面212a、222aに垂直な方向から見て基体部a211と基体部a221とが一致する場合、第1電極部211と第2電極部221とに位置ずれが生じた場合には、これらを接続するためのはんだが、第1電極部211と第2電極部221との接合部分で第1電極部211の突状部a212及び第2電極部221の接合部からはみ出し、第2電極部221の外周からはみだし、第2電子部品220において、隣接する第2電極部221間ではんだを介して電極間ショートが生じる可能性がある。
【0040】
そのため、第2電極部221におけるはんだのはみ出し分を考慮して第2電極部221間の距離を設定する必要があり、すなわち、第2電極部221間の距離をある程度確保する必要があり、これに伴って第1電極部211間の距離も確保する確保する必要がある。つまり、はんだのはみ出し分を考慮すると、隣接する電極間の距離がより広くなるように配置する必要がある。また、隣接する電極部どうしの間での短絡を回避するために電極を小さくすると、位置ずれが生じた場合に電極と対向しなくなる可能性がある。
【0041】
これに対し、本実施形態における接合体100は、
図4に示すように隣り合う電極部どうしが小面積電極部11A、21Aと大面積電極部11B、21Bであるため、電極部の中心間距離を狭くしたまま、一方の電極部の面積を広くすることができる。つまり、接合部分でのはんだのはみ出しによる隣り合う電極間でのショートを回避しつつ、隣り合う電極間の距離を短くすることができる。
【0042】
<変形例>
(1)第1電子部品1及び第2電子部品2は、半導体素子と配線基板との組み合わせに限るものではない。例えば、半導体素子どうしであってもよく、配線基板どうしであってもよく、その組み合わせに制限はない。
【0043】
(2)上記実施形態においては、小面積電極部11A、21Aとして、T型のピラーを用いた場合について説明したが、これに限らず、ストレート型のピラーを用いることも可能である。また、小面積電極部11A、21Aは、円柱に限らず、多角柱等、柱状であってもよく、また、円錐、多角錘等、錘形であってもよく、小面積電極部11A、21Aが形成された面と大面積電極部11B、21Bが形成された面とに垂直な方向から見て、小面積電極部が対をなす大面積電極部の内側に位置する形状であればよい。
【0044】
(3)上記実施形態では、大面積電極部11B、21Bは、薄い層電極で形成しているが、これに限るものではなく、薄層状の第一電極層と第一電極層の上に積層され第一電極層の外形よりも小さい外形を有する第二電極層とを備えた二段形状の層電極から形成することも可能である。
【0045】
(4)上記実施形態においては、第1電極部11及び第2電極部21を格子の交点上に配置しているが、これに限るものではなく、任意の位置に配置することができ、その場合には隣接する電極部が小面積電極部11A、21Aと大面積電極部11B、21Bとの組み合わせとなるように配置すればよい。
【0046】
(5)上記実施形態においては、第1電子部品1の各第1電極部11は小面積電極部11Aか又は大面積電極部11Bのいずれかからなり、第2電子部品2の各第2電極部21は小面積電極部21Aか又は大面積電極部21Bのいずれかからなる場合について説明したが、これに限るものではない。第1電子部品1の面12a及び第2電子部品2の面22aに垂直な方向から見て、対向する第1電極部11及び第2電極部21の対において、第1電極部11が第2電極部21の外形よりも内側に位置する対と、第2電極部21が第1電極部11の外形よりも内側に位置する対とが、隣接して配置されていればよい。
【0047】
また、例えば、縦横整列して配置された第1電極部11及び第2電極部21において、いずれかの行又は列のみ、大面積電極部と小面積電極部とが交互に並ぶように配置し、他の行及び列については、第1電極部11及び第2電極部21が同一形状となるように形成してもよく、少なくとも、第1電極部11が第2電極部21の外形よりも内側に位置する対(第一の対)と、第2電極部21が第1電極部11の外形よりも内側に位置する対(第二の対)とを有し、且つこれら対が、隣接して配置されている電極部を有していればよい。
【0048】
(6)上記実施形態においては、部品本体12の電極形成面12aの上に、第1電極部11及び第2電極部21を形成する場合について説明したがこれに限るものではない。例えば、小面積電極部11A、21Aの基体部a1の上面と、大面積電極部11B、21Bの上面と、部品本体12の電極形成面とが面一となるように、第1電極部11及び第2電極部21を形成してもよい。
【0049】
(7)上記実施形態においては、小面積電極部11Aと21A、大面積電極部11Bと21Bはそれぞれ同一形状とした場合について説明したがこれに限るものではなく、例えば、突状部a2の形状が異なっていてもよく、要は、小面積電極部11A、21Aが形成された面と大面積電極部11B、21Bが形成された面とに垂直な方向から見て、小面積電極部が対をなす大面積電極部の内側に位置する形状であればよい。
【0050】
(8)上記実施形態においては、小面積電極部11A、21Aの先端に、接合材3を設けているが、小面積電極部11A、21Aに替えて、大面積電極部11B、21Bの小面積電極部11A、21Aと対向する部分に接合材3を設けてもよく、また、小面積電極部11A、21A側及び大面積電極部11B、21B側の両方に設けてもよい。
【0051】
なお、上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 第1電子部品
2 第2電子部品
3 接合材
11 第1電極部
21 第2電極部
11A、21A 小面積電極部
11B、21B 大面積電極部