IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気硝子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-微小物体の検査方法 図1
  • 特開-微小物体の検査方法 図2
  • 特開-微小物体の検査方法 図3
  • 特開-微小物体の検査方法 図4
  • 特開-微小物体の検査方法 図5
  • 特開-微小物体の検査方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178212
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】微小物体の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084833
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 哲広
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB02
2G051DA01
2G051DA09
(57)【要約】
【課題】微小物体の画像データを取得し、取得した画像データに基づき当該微小物体の外観検査を行う微小物体の検査方法であって、高精度に微小物体の外観検査を行うことが可能な、微小物体の検査方法を提供する。
【解決手段】回転テーブル31に微小物体100を投入する投入工程S20と、投入された微小物体100を回転テーブル31によって所定のセクション(投入セクションSa1、ズレ検知セクションSa2、正面撮像セクションSa3、上面撮像セクションSa4、背面撮像セクションSa5、搬出セクションSa6)に搬送する搬送工程S30と、回転テーブル31から微小物体100を搬出する搬出工程S40とを備え、投入工程S20、搬送工程S30、及び搬出工程S40において、微小物体100の外観検査を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小物体の画像データを取得し、取得した画像データに基づき当該微小物体の外観検査を行う微小物体の検査方法であって、
回転テーブルに微小物体を投入する投入工程と、
投入された前記微小物体を前記回転テーブルによって所定のセクションに搬送する搬送工程と、
前記回転テーブルから前記微小物体を搬出する搬出工程とを備え、
前記投入工程、前記搬送工程、及び前記搬出工程において、前記微小物体の外観検査を行う、
ことを特徴とする微小物体の検査方法。
【請求項2】
前記搬出工程においては、
前記微小物体の下面に対して外観検査を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の微小物体の検査方法。
【請求項3】
前記投入工程及び前記搬出工程においては、
吸着ノズルによって前記微小物体の上面を吸着して保持し、
前記吸着ノズルによって前記微小物体を所定方向に移動させる、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の微小物体の検査方法。
【請求項4】
前記吸着ノズルは、複数の吸着孔を有する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の微小物体の検査方法。
【請求項5】
前記投入工程においては、
前記微小物体の第1側面、及び当該第1側面と対向する第2側面に対して外観検査を行い、
垂直方向の第1軸心を中心にして前記吸着ノズルを回転させて、前記微小物体の向きを変えることにより、
前記微小物体の一方側から、前記第1側面及び前記第2側面の画像データを各々取得する、
ことを特徴とする、請求項3または請求項4に記載の微小物体の検査方法。
【請求項6】
前記投入工程における前記微小物体の移動途中に、前記吸着ノズルに対する前記微小物体の、所定の吸着位置からのズレ量を検知する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の微小物体の検査方法。
【請求項7】
前記投入工程において前記微小物体の外観検査を行う際、
検知した前記ズレ量に基づき、前記第1軸心を中心にして、前記吸着ノズルの回転量を調整することにより、前記微小物体のずれた吸着位置を補正する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の微小物体の検査方法。
【請求項8】
前記搬送工程において、
前記微小物体は、
前記回転テーブルに設けられる吸着ステージに載置され、当該吸着ステージによって下面を吸着された状態で保持される、
ことを特徴とする、請求項1~請求項7の何れか一項に記載の微小物体の検査方法。
【請求項9】
前記搬送工程において、前記微小物体の正面、及び当該正面と対向する背面に対して外観検査を行う、
ことを特徴とする、請求項8に記載の微小物体の検査方法。
【請求項10】
前記吸着ステージは、上方に突出した台座部を有し、
前記微小物体は、前記台座部に載置され、当該台座部を介して下面を吸着される、
ことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の微小物体の検査方法。
【請求項11】
前記台座部は、複数の吸着孔を有する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の微小物体の検査方法。
【請求項12】
前記搬送工程における前記微小物体の搬送途中に、前記台座部に対する前記微小物体の、所定の吸着位置からのズレ量を検知する、
ことを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の微小物体の検査方法。
【請求項13】
前記搬送工程において前記微小物体の外観検査を行う際、
検知した前記ズレ量に基づき、前記所定のセクションにおいて前記台座部の中心を通過する垂直方向の第2軸心を中心にして、前記微小物体の正面の画像データを取得する第1撮像手段を回転させることにより、前記微小物体のずれた吸着位置を補正する、
ことを特徴とする、請求項12に記載の微小物体の検査方法。
【請求項14】
前記搬送工程において前記微小物体の外観検査を行う際、
検知した前記ズレ量に基づき、前記所定のセクションにおいて前記台座部の中心を通過する垂直方向の第3軸心を中心にして、前記微小物体の背面の画像データを取得する第2撮像手段を回転させることにより、前記微小物体のずれた吸着位置を補正する、
ことを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の微小物体の検査方法。
【請求項15】
前記微小物体は、前記台座部から一部が食み出るように載置される、
ことを特徴とする、請求項10~請求項14の何れか一項に記載の微小物体の検査方法。
【請求項16】
前記搬送工程において、前記微小物体の上面に対して外観検査を行う、
ことを特徴とする、請求項1~請求項15の何れか一項に記載の微小物体の検査方法。
【請求項17】
前記微小物体は、光学部品である、
ことを特徴とする、請求項1~請求項16の何れか一項に記載の微小物体の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小物体の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばマイクロプリズムや角型レンズ等のような、光通信の分野に用いられる光学部品においては、小型化の要望が増々高くなり、外形サイズ上、1辺の寸法が最小のもので1mmにも満たない微小のものが用いられるようになっている。
このような光学部品からなる微小物体の製造工程においては、製造された微小物体の外観検査を行う場合、当該微小物体の姿勢を保持することが困難であることから、従来から、微小物体の姿勢を安定して保持し、当該微小物体の高精度な外観検査を実現するための様々な検査装置が提示されている。
例えば、特許文献1においては、フィーダと、当該フィーダに対向配置された回転テーブルとを備え、前記フィーダの搬送経路には微小物体の姿勢を安定させる溝が形成され、前記回転テーブルにはV字状の複数のポケットが周縁部に等間隔で設けられ、前記ポケットはV字状の両谷面にて適宜吸気と排気が切替えられる構成となっており、前記フィーダの搬送方向下流側の端部にて、微小物体の上面及び一方側面を撮像するとともに、前記回転テーブルのポケットに保持された状態で、当該回転テーブルの回転中に微小物体の下面、他方側面、前面、及び後面を撮像することにより、取得した画像データに基づき微小物体の外観検査を行う検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-326059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1における検査装置によれば、微小物体の上面及び一方側面を撮像する際には、フィーダの溝に沿って微小物体の姿勢を安定して保持することができ、また微小物体の下面、他方側面、前面、及び後面を撮像する際には、回転テーブルにおけるポケットのV字状の両谷面に沿って微小物体の姿勢を安定して保持することができるため、より高精度な微小物体の外観検査を行うことが可能である。
しかしながら、上記の検査装置を用いた微小物体の検査方法では、一連の外観検査が終了した後においても、引き続き微小物体は、回転テーブルにおけるポケットのV字状の両谷面に表面(上面及び一方側面)を接触させた状態で搬送され、その後、所定の搬出部にて搬出されることから、当該外観検査の完了後に新たな傷や欠損等が微小物体に発生する可能性がある。
そのため、より確実に検査精度を向上させるための技術が切望されていた。
【0005】
本発明は、以上に示した現状の問題点に鑑みてなされたものであり、微小物体の画像データを取得し、取得した画像データに基づき当該微小物体の外観検査を行う微小物体の検査方法であって、高精度に微小物体の外観検査を行うことが可能な、微小物体の検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本発明に係る微小物体の検査方法は、微小物体の画像データを取得し、取得した画像データに基づき当該微小物体の外観検査を行う微小物体の検査方法であって、回転テーブルに微小物体を投入する投入工程と、投入された前記微小物体を前記回転テーブルによって所定のセクションに搬送する搬送工程と、前記回転テーブルから前記微小物体を搬出する搬出工程とを備え、前記投入工程、前記搬送工程、及び前記搬出工程において、前記微小物体の外観検査を行うことを特徴とする。
このような構成を有する微小物体の検査方法によれば、例えば、搬送工程の実施中、常に回転テーブルに接触していた微小物体の表面(例えば、載置された状態の微小物体であれば、その下面)については、検査方法の最終段階である搬出工程において、当該微小物体の外観検査が行なわれる。
従って、従来のように、一連の外観検査が終了した後においても、引き続き微小物体の側面が他の部材(例えば、回転テーブルにおけるポケットのV字状の両谷面)と接触することで、当該外観検査の完了後に新たな傷や欠損等が発生するような虞もなく、より高精度な微小物体の外観検査を行うことができる。
また、上記他の部材と接触していた、微小物体の一部の表面について、新たな検査工程を別途設けることなく、搬出工程を行う際に、合わせて上記の外観検査を行うことができるため、より高効率に微小物体の外観検査を行うことができる。
【0008】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記搬出工程では、前記微小物体の下面に対して外観検査を行うことが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、前工程である搬送工程の実施中、常に下面を介して回転テーブルに載置させた状態で微小物体を保持するような場合でも、検査方法の最終段階である搬出工程において、当該回転テーブルに接触していた微小物体の下面に対して外観検査を行うことができ、より高精度な微小物体の外観検査を行うことができる。
【0009】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記投入工程及び前記搬出工程では、吸着ノズルによって前記微小物体の上面を吸着して保持し、前記吸着ノズルによって前記微小物体を所定方向に移動させることが好ましい。
このような構成を有することにより、微細な外形サイズからなる微小物体であっても、下面を開放させた状態で確実に保持することができ、投入工程によって回転テーブルの所定の位置に微小物体を容易に載置し、また搬出工程によって当該所定の位置に載置された微小物体を容易に取り出すことができる。
【0010】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記吸着ノズルは、複数の吸着孔を有することが好ましい。
このような構成を有することにより、たとえ微細な外形サイズからなる微小物体であっても、不意に微小物体の角部が吸着孔に吸い込まれて、吸着状態が不安定になるようなこともなく、所定の吸着状態を保持しつつ、吸着ノズルによって確実に微小物体を保持することができる。
【0011】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記投入工程では、前記微小物体の第1側面、及び当該第1側面と対向する第2側面に対して外観検査を行い、垂直方向の第1軸心を中心にして前記吸着ノズルを回転させて、前記微小物体の向きを変えることにより、前記微小物体の一方側から、前記第1側面及び前記第2側面の画像データを各々取得することが好ましい。
微小物体の外観検査において、微小物体の画像データは、バックライト等によって微小物体を他方側から照らしつつ、撮像手段によって当該微小物体を一方側から撮像することにより取得する場合がある。
本発明に係る微小物体の検査方法によれば、このような手法によって微小物体の画像データを取得する場合であっても、投入工程において、微小物体の2箇所の側面(第1側面及び第2側面)に対して、画像データを順次取得することができるため、より高効率に微小物体の外観検査を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る微小物体の検査方法においては、前記投入工程における前記微小物体の移動途中に、前記吸着ノズルに対する前記微小物体の、所定の吸着位置からのズレ量を検知することが好ましい。
このような構成を有することにより、投入工程において、事前に検知したズレ量に基づき微小物体の吸着位置を補正することができ、当該投入工程における微小物体の外観検査を高精度に行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る微小物体の検査方法においては、前記投入工程において前記微小物体の外観検査を行う際、検知した前記ズレ量に基づき、前記第1軸心を中心にして、前記吸着ノズルの回転量を調整することにより、前記微小物体のずれた吸着位置を補正することが好ましい。
このような構成を有することにより、他に別途、吸着ノズルに対する微小物体の吸着位置を補正するための装置を、新たに設ける必要もなく、事前に検知したズレ量に基づき、微小物体の吸着位置に合わせて吸着ノズルの向き調整し、上記撮像手段に対して相対的に微小物体の吸着位置を補正することができる。
そのため、撮像対象となる微小物体の側面(具体的には、微小物体の第1側面及び第2側面)を、当該撮像手段によって真正面から捉えることができ、投入工程における微小物体の外観検査を、高精度且つ経済的に行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記搬送工程では、前記微小物体が、前記回転テーブルに設けられる吸着ステージに載置され、当該吸着ステージによって下面を吸着された状態で保持されることが好ましい。
このような構成を有することにより、たとえ微細な外形サイズからなる微小物体であっても、回転テーブルに設けられる吸着ステージに載置された状態で、確実に保持することができるため、当該回転テーブルによる搬送途中に、不意に微小物体が脱落等して、傷や欠損等が発生するのを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る微小物体の検査方法では、前記搬送工程において、前記微小物体の正面、及び当該正面と対向する背面に対して外観検査を行うことが好ましい。
搬送工程において、微小物体は、下面を介して回転テーブルに載置された状態で保持されており、当該下面を除く他の表面は、外部に開放された状態となっている。
従って、本発明に係る微小物体の検査方法によれば、他に何ら障害物を有することなく、微小物体の正面及び背面に対して、容易に外観検査を行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記吸着ステージは、上方に突出した台座部を有し、前記微小物体は、前記台座部に載置され、当該台座部を介して下面を吸着されることが好ましい。
このような構成を有することにより、例えば、バックライト等によって微小物体を他方側から照らしつつ、撮像手段によって当該微小物体を一方側から撮像することにより、微小物体の画像データを取得する場合であっても、バックライトによる吸着ステージの影が、当該画像データに映り込むのを抑制することができ、微小物体の外観検査をより高精度に行うことができる。
【0017】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記台座部は、複数の吸着孔を有することが好ましい。
このような構成を有することにより、たとえ微細な外形サイズからなる微小物体であっても、不意に微小物体の角部が吸着孔に吸い込まれて、吸着状態が不安定になるようなこともなく、所定の吸着状態を保持しつつ、台座部によって確実に微小物体を保持することができる。
【0018】
また、本発明に係る微小物体の検査方法においては、前記搬送工程における前記微小物体の搬送途中に、前記台座部に対する前記微小物体の、所定の吸着位置からのズレ量を検知することが好ましい。
このような構成を有することにより、搬送工程において、事前に検知したズレ量に基づき微小物体の吸着位置を補正することができ、当該搬送工程における微小物体の外観検査を高精度に行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る微小物体の検査方法においては、前記搬送工程において前記微小物体の外観検査を行う際、検知した前記ズレ量に基づき、前記所定のセクションにおいて前記台座部の中心を通過する垂直方向の第2軸心を中心にして、前記微小物体の正面の画像データを取得する第1撮像手段を回転させることにより、前記微小物体のずれた吸着位置を補正することが好ましい。
このような構成を有することにより、事前に検知したズレ量に基づき、微小物体の吸着位置に合わせて第1撮像手段の撮像位置を調整し、第1撮像手段に対して相対的に微小物体の吸着位置を補正することで、撮像対象となる微小物体の正面を、当該第1撮像手段によって真正面から捉えることができ、搬送工程における微小物体の外観検査を、高精度に行うことができる。
また、上記第2軸心は、前記所定のセクションにおいて前記台座部の中心を通過する垂直方向の軸心であることから、第2軸心を中心にして第1撮像手段を回転させて、当該第1撮像手段に対して相対的に微小物体の吸着位置を補正する場合、台座部と第1撮像手段との間の距離は、常に同等に保持される。
そのため、上記補正を行う度に、第1撮像手段のピント(焦点距離)合わせをその都度行う必要もなく、搬送工程における微小物体の外観検査を、容易に行うことができる。
【0020】
また、本発明に係る微小物体の検査方法においては、前記搬送工程において前記微小物体の外観検査を行う際、検知した前記ズレ量に基づき、前記所定のセクションにおいて前記台座部の中心を通過する垂直方向の第3軸心を中心にして、前記微小物体の背面の画像データを取得する第2撮像手段を回転させることにより、前記微小物体のずれた吸着位置を補正することが好ましい。
このような構成を有することにより、事前に検知したズレ量に基づき、微小物体の吸着位置に合わせて第2撮像手段の撮像位置を調整し、第2撮像手段に対して相対的に微小物体の吸着位置を補正することで、撮像対象となる微小物体の背面を、当該第2撮像手段によって真正面から捉えることができ、搬送工程における微小物体の外観検査を、高精度に行うことができる。
また、上記第3軸心は、前記所定のセクションにおいて前記台座部の中心を通過する垂直方向の軸心であることから、第3軸心を中心にして第2撮像手段を回転させて、当該第2撮像手段に対して相対的に微小物体の吸着位置を補正する場合、台座部と第2撮像手段との間の距離は、常に同等に保持される。
そのため、上記補正を行う度に、第2撮像手段のピント(焦点距離)合わせをその都度行う必要もなく、搬送工程における微小物体の外観検査を、容易に行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記微小物体は、前記台座部から一部が食み出るように載置されることが好ましい。
例えば台座部が、平面視矩形状に設けられており、一方の角部を前記第1撮像手段に指向させ、且つ他方の角部を前記第2撮像手段に指向させた状態で配置されている場合には、当該台座部に載置される微小物体は、第1撮像手段と対向する正面において、幅方向(上下方向との直交方向)の両側部の下端を、台座部と非接触の状態で載置させ、また第2撮像手段と対向する背面において、幅方向(上下方向との直交方向)の両側部の下端を、台座部と非接触の状態で載置させることができる。
従って、たとえ第1撮像手段や第2撮像手段によって撮像された画像データにおいて、微小物体とともに台座部が写り込んでいたとしても、台座部に対して、微小物体の正面及び背面の輪郭をより鮮明に映し出すことができるため、搬送工程における微小物体の外観検査を、より高精度に行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る微小物体の検査方法においては、前記搬送工程において、前記微小物体の上面に対して外観検査を行うことが好ましい。
搬送工程において、微小物体は、下面を介して回転テーブルに載置された状態で保持されており、当該下面を除く他の表面は、外部に開放された状態となっていることから、本発明に係る微小物体の検査方法によれば、他に何ら障害物を有することなく、微小物体の上面に対して、容易に外観検査を行うことができる。
【0023】
また、本発明に係る微小物体の検査方法において、前記微小物体は、光学部品であることが好ましい。
本発明に係る微小物体の検査方法によれば、このような、微細な外形サイズからなる微小物体に対して、より高精度且つ高効率に微小物体の外観検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明に係る微小物体の検査方法によれば、より高精度に微小物体の外観検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る微小物体の検査方法を具現化した検査工程の手順を経時的に示した工程図である。
図2図1における検査工程を実施する検査装置の全体的な構成を示した概略模式図である。
図3】検査装置における搬送部の具体的な構成を示した平面図である。
図4】搬送部において、回転テーブルの吸着ステージ上に載置されたワークと撮像手段との配置関係を示した図であって、(a)は正面画像取得部における拡大平面図であり、(b)は背面画像取得部における拡大平面図である。
図5】微小物体を吸着する部位の構成を示した図であって、(a)は吸着ノズルのノズル先端部の構成を示した拡大斜視図であり、(b)は吸着ステージの吸着面の構成を示した拡大斜視図である。
図6】微小物体の一例である微小光学部品の全体的な構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施形態について、図1乃至図6を用いて説明する。
なお、以下の説明に関しては便宜上、図2乃至図4中に示した矢印の方向によって、検査装置1の前後方向、左右方向、及び上下方向を規定して記述する。
また、図6中に示した矢印の方向によって、微小物体100の正面方向、背面方向、右側面方向、左側面方向、上面方向、及び下面方向を規定して説明する。
【0027】
[微小物体100の検査方法]
先ず、本実施形態によって具現化される微小物体100の検査方法について、図1及び図6を用いて説明する。
【0028】
本実施形態における微小物体100の検査方法は、微小物体100の製造工程において、製造された微小物体100の表面に対して、傷の有無や成膜された膜の剥離等の有無、或いは外形寸法の誤差等についての外観検査を行うための検査方法である。
この方法は、後述する図2に示す検査装置1によって実施される。
【0029】
ここで、図6に示すように、外観検査の対象となる微小物体100は、例えば、光通信の分野に用いられる直方体形状の光学部品であって、外形サイズ上、1辺の寸法が最小のもので1mmにも満たない微小のものである。
そして、微小物体100の外観検査は、当該微小物体100における各表面についての画像データを各々取得し、取得したこれらの画像データに基づき行われる。
【0030】
図1に示すように、検査工程S01は、主に、取出し工程S10、投入工程S20、搬送工程S30、及び搬出工程S40等を備え、検査装置1によって経時的に順に実施される。
【0031】
取出し工程S10は、複数の微小物体100・100・・・を所定の配列にて載置したトレイ110(図2を参照)を、図示せぬ保管装置から取り出し、当該トレイ110を一時的な仮置き台に配置する工程である。
ここで、上記仮置き台は、例えば本実施形態においては、回転テーブルによって構成されており、保管装置から取り出されたトレイ110は、仮置き台の上面における所定の投入位置に配置された後、当該仮置き台が回転することによって、所定の搬出位置まで移動される。
【0032】
そして、上記搬出位置にトレイ110が到達すると、仮置き台は一旦停止し、投入工程S20が実施される。
【0033】
投入工程S20は、上記搬出位置に到達したトレイ110から微小物体100を順に取出し、後述する搬送部30に設けられた回転テーブル31(図2を参照)に、当該微小物体100を投入する工程である。
投入工程S20は、経時的に順に行われる第1ズレ検知工程S21、第1画像取得工程S22、及び第2画像取得工程S23を有する。
【0034】
そして、詳細は後述するが、第1ズレ検知工程S21によって、第1吸着ノズル21c(図5(a)を参照)に吸着された微小物体100のズレ量を検知した後、当該ズレ量に基づき微小物体100の吸着位置を補正しつつ、第1画像取得工程S22によって、微小物体100の第1側面(例えば、本実施形態においては右側面101。図6を参照)を撮像し、その後、第2画像取得工程S23によって、当該第1側面と対向する微小物体100の第2側面(例えば、本実施形態においては左側面102。図6を参照)を撮像する。
【0035】
こうして、第1画像取得工程S22及び第2画像取得工程S23によって取得したこれらの画像データに基づき、微小物体100の右側面101及び左側面102における外観検査が各々行われる。
このように、投入工程S20においては、微小物体100の右側面101及び左側面102に対する外観検査が行われる。
【0036】
搬送工程S30は、投入された微小物体100を、回転テーブル31によって所定のセクションに搬送する工程である。
搬送工程S30は、経時的に順に行われる第2ズレ検知工程S31、第3画像取得工程S32、第4画像取得工程S33、及び第5画像取得工程S34を有し、これらの工程S31~S34は、回転テーブル31が回転することによって微小物体100が到達するセクションごとに各々実施される。
【0037】
そして、詳細は後述するが、第2ズレ検知工程S31によって、台座部31c(図5(b)を参照)に吸着された微小物体100のズレ量を検知した後、当該ズレ量に基づき微小物体100の吸着位置を補正しつつ、第3画像取得工程S32によって、微小物体100の正面103(図6を参照)を撮像した後、第4画像取得工程S33によって、微小物体100の上面104(図6を参照)を撮像し、その後、再び上記ズレ量に基づき微小物体100の吸着位置を補正しつつ、第5画像取得工程S34によって、微小物体100の背面105(図6を参照)を撮像する。
【0038】
こうして、第3画像取得工程S32、第4画像取得工程S33、及び第5画像取得工程S34によって取得したこれらの画像データに基づき、微小物体100の正面103、上面104、及び背面105における外観検査が、各々行われる。
このように、搬送工程S30においては、微小物体100の正面103、上面104、及び背面105に対する外観検査が行われる。
【0039】
搬出工程S40は、上記の第3画像取得工程S32、第4画像取得工程S33、及び第5画像取得工程S34が終了した微小物体100を、回転テーブル31から順次取り出し、当該微小物体100を、所定の新たな保管場所へと搬出する工程である。
搬出工程S40は、第6画像取得工程S41を有する。
【0040】
そして、詳細は後述するが、第6画像取得工程S41によって、微小物体100の下面106(図6を参照)を撮像し、これにより取得した画像データに基づき、微小物体100の下面106における外観検査が行われる。
このように、搬出工程S40においては、微小物体100の下面106に対する外観検査が行われる。
【0041】
このように、本実施形態における検査工程S01は、投入工程S20、搬送工程S30、及び搬出工程S40を備え、これらの投入工程S20、搬送工程S30、及び搬出工程S40において、それぞれ微小物体100の外観検査を行う構成となっている。
【0042】
従って、本実施形態における検査工程S01によれば、例えば搬送工程S30の実施中、常に回転テーブル31に接触していた微小物体100の表面(例えば、載置された状態の微小物体100であれば、その下面106)については、検査工程S01の最終段階である搬出工程S40において、当該微小物体100の外観検査を行うことができる。
【0043】
その結果、従来のように、一連の外観検査が終了した後においても、引き続き微小物体100の側面が他の部材(例えば、前述した従来の回転テーブルにおけるポケットのV字状の両谷面)と接触することで、当該外観検査の完了後に新たな傷や欠損等が発生するような虞もなく、より高精度な微小物体の外観検査を行うことができる。
【0044】
また、搬出工程S40を行う際に、合わせて上記の外観検査を行うことができるため、より高効率に微小物体の外観検査を行うことができる。
【0045】
[検査装置1の全体構成]
次に、前述した検査工程S01を実施する、微小物体100の検査装置1の全体構成について、図2及び図5(a)を用いて説明する。
図2に示すように、検査装置1は、主に、投入工程S20を実施する投入部20、搬送工程S30を実施する搬送部30、及び搬出工程S40を実施する搬出部40、並びに検査装置1全体の運転を制御する制御装置(図示せず)等を備える。
【0046】
ここで、検査装置1は、さらに、取出し工程S10を実施する取出し部を備えるが、当該取出し部は、前述した仮置き台(図示せず)、及び移載装置等を備え、当該移載装置は、投入部20が備える第1移載装置21(または、搬出部40が備える第2移載装置41)と略同等の構成からなるため、以下の説明においては記載を省略する。
なお、上記取出し部は、仮置き台を設けることなく、第1移載装置21によって、前述した保管装置(図示せず)に保管されるトレイ110から直接的に、微小物体100を取り出す構成とすることにより、仮置き台を省略することが可能である。
【0047】
投入部20は、搬送部30に向かって微小物体100を所定方向に移動させるとともに、当該微小物体100における右側面101及び左側面102(図6を参照)の外観検査を行う部位である。
投入部20は、第1移載装置21、第1ズレ検知部22、及び側面画像取得部23等を備える。
【0048】
第1移載装置21は、例えば、駆動源や制御系を内装し、前後方向、左右方向、及び上下方向に移動可能な本体部21a、本体部21aより下方に延出して設けられるアーム部21b、及びアーム部21bの下端に設けられる第1吸着ノズル21c等を備える。
また、第1移載装置21は、アーム部21bによって、垂直方向の第1軸心G1を中心にして、第1吸着ノズル21cを回転可能な構成となっている。
【0049】
ここで、図5(a)に示すように、第1吸着ノズル21cの下端面は、円形状の水平面からなる吸着面21c1として形成されており、当該吸着面21c1には、上下方向に貫通する複数(本実施形態においては5個所)の吸着孔21c2・21c2・・・が設けられている。
【0050】
具体的には、吸着面21c1は、微小物体100の外形サイズに合わせて微小サイズに形成されており、例えば本実施形態においては、1.2~1.4mm程度の外径からなる円形状の水平面として形成されている。
また、各吸着孔21c2も同様に、微小サイズに形成されており、例えば本実施形態においては、約0.25mm程度の内径からなる貫通孔として形成されている。
そして、複数の吸着孔21c2・21c2・・・・は、第1軸芯G1と同軸上の位置、及び当該第1軸芯G1を中心とする円周上の等配位置に、各々配置されている。
【0051】
各吸着孔21c2は、配管部材や切替弁等を介して、図示せぬ真空ポンプ等と連通されており、当該切替弁を切替えることにより、吸引状態(吸着孔21c2を介して、対象物を吸引可能な状態)、及び開放状態(当該吸引状態を停止させた状態)に各々切替可能な構成となっている。
【0052】
このように、本実施形態においては、複数の吸着孔21c2・21c2・・・を有する微小サイズの第1吸着ノズル21cが第1移載装置21に備えられており、第1移載装置21は、第1吸着ノズル21cの吸着面21c1を、微小物体100の上面104(図6を参照)に押し当て吸着することによって、当該微小物体100を保持し、トレイ110(図2を参照)から、後述する回転テーブル31の所定位置(吸着ステージ31bの台座部31c)へと、微小物体100を所定方向に移動させる構成となっている。
【0053】
従って、このような複数の微細な吸着孔21c2・21c2・・・を第1吸着ノズル21cに設けることにより、たとえ微細な外形サイズからなる微小物体100であっても、不意に微小物体100の角部が吸着孔21c2に吸い込まれて、当該微小物体100の吸着姿勢が不安定になるようなこともなく、所定の吸着姿勢を保持しつつ、第1吸着ノズル21cによって確実に微小物体100を保持することができる。
【0054】
図2に示すように、第1ズレ検知部22は、微小物体100の下面106(図6を参照)を撮像する第1ズレ検知用カメラ22a等を備える。
第1ズレ検知用カメラ22aは、第1移載装置21の下方であって、当該第1移載装置21による微小物体100の移動方向(図2中の矢印Aの方向であって、本実施形態においては、前方に向かう方向)の中途部において、撮像方向を直上方向に向けた状態で配置される。
【0055】
そして、第1移載装置21によって移動される微小物体100が、第1ズレ検知用カメラ22aの直上に位置する第1検知位置P1に到達すると、第1ズレ検知用カメラ22aは、焦点距離を調整してピントを合わせた後、到達した微小物体100を下方から撮像し、画像データを取得する。
【0056】
第1ズレ検知用カメラ22aによって取得した画像データは、制御装置に送信される。
上記画像データを受信した制御装置は、予め格納されているプログラムに従い、直ちに演算処理を実行し、第1吸着ノズル21cによって保持された微小物体100の、当該第1吸着ノズル21cに対する所定の吸着位置からのズレ量を算出する。
【0057】
具体的には、取得した微小物体100の下面106の画像データに基づき、当該画像データの図心の位置を算出し、当該図心の位置と、予め記憶されている第1吸着ノズル21cの吸着面21c1(図5(a)を参照)の図心の位置(本実施形態においては、第1軸心G1の位置)との比較演算を実行することにより、所定の吸着位置、即ち上記吸着面21c1との同軸上の位置に対する、微小物体100の位置ズレ量を算出する。
また、取得した微小物体100の下面106の画像データに基づき、当該画像データの四隅の位置を算出し、当該四隅の位置と、予め記憶されている所定の吸着位置での微小物体100の四隅の位置との比較演算をすることにより、吸着面21c1に対する微小物体100の向きのズレ量、即ち第1軸心G1を中心とする微小物体100の傾き量を算出する。
【0058】
このように、本実施形態においては、第1移動装置21による微小物体100の移動途中に、第1吸着ノズル21cに対する当該微小物体100の、所定の吸着位置からのズレ量(位置ズレ量及び傾き量)を検知する構成となっている。
【0059】
従って、後述する側面画像取得部23においては、第1ズレ検知部22によって事前に検知した、微小物体100のズレ量(位置ズレ量及び傾き量)に基づき、回転量を適宜調整することにより、微小物体100のずれた吸着位置(ズレ量)を補正し、微小物体100の画像データを取得することができるため、投入部20によって実施される投入工程S20においては、微小物体100の外観検査を高精度に行うことができる。
【0060】
側面画像取得部23は、微小物体100の右側面101及び左側面102を撮像する側面検査用カメラ23a、並びに撮像対象である微小物体100を照らす第1バックライト23b及び第1リング照明23c等を備える。
【0061】
側面検査用カメラ23aは、第1移載装置21による微小物体100の移動方向(矢印Aの方向)の中途部であって、第1ズレ検知用カメラ22aに対して当該移動方向の下流側、且つ当該移動方向に対する平面視直交方向の一方側(本実施形態においては、右側)において、撮像方向を当該平面視直交方向の他方側(本実施形態においては、左側)に向けた状態で配置される。
【0062】
一方、第1バックライト23bは、上記平面視直交方向の他方側(左側)において、光の照射方向を上記平面視直交方向の一方側(右側)に向けた状態で、側面検査用カメラ23aと対向して配置される。
また、第1リング照明23cは、上記平面視直交方向の一方側(右側)であって、側面検査用カメラ23aと第1バックライト23bとの間において、光の照射方向を上記平面視直交方向の他方側(左側)に向けた状態で配置される。
【0063】
そして、第1移載装置21によって移動される微小物体100が、側面検査用カメラ23a及び第1リング照明23cと、第1バックライト23bとの間の第1撮像位置Q1に到達すると、側面検査用カメラ23aは、到達した微小物体100を一方側(右側)から撮像し、画像データを取得する。
【0064】
具体的には、第1撮像位置Q1に微小物体100が到達すると、第1移載装置21は、側面検査用カメラ23aの撮像方向に対して、微小物体100の右側面101(図6を参照)が直交する向きとなるように、上述した微小物体100のズレ量に基づき、第1軸心G1を中心にして、回転量を調整しつつ第1吸着ノズル21cを回転させて、微小物体100の吸着位置を補正する。
そして、微小物体100の吸着位置が補正された後、側面検査用カメラ23aは、焦点距離を調整してピントを合わせて微小物体100を撮像し、当該微小物体100における右側面101の画像データを取得する。
【0065】
側面検査用カメラ23aによる微小物体100の右側面101の撮像が終了すると、次に第1移載装置21は、第1軸心G1を中心にして第1吸着ノズル21cを回転させて、微小物体100の向きを変える。
より具体的には、第1移載装置21は、側面検査用カメラ23aの撮像方向に対して、微小物体100の左側面102(図6を参照)が直交する向きとなるように、前述した微小物体100のズレ量に基づき、第1軸心G1を中心にして、回転量を調整しつつ第1吸着ノズル21cを回転させて、微小物体100の吸着位置を補正する。
そして、微小物体100の吸着位置が補正された後、側面検査用カメラ23aは、焦点距離を調整してピントを合わせて微小物体100を撮像し、当該微小物体100における左側面102の画像データを取得する。
【0066】
こうして、側面検査用カメラ23aによって取得されたこれらの画像データは、制御装置に送信される。
上記画像データを受信した制御装置は、予め格納されているプログラムに従い、直ちに演算処理を実行し、これらの画像データに基づき、微小物体100における右側面101及び左側面102の外観検査を行う。
【0067】
このように、本実施形態においては、投入部20によって投入工程S20を実施する際に、微小物体100の右側面101及び左側面102に対して外観検査を行い、第1軸心G1を中心にして第1吸着ノズル21cを回転させて、微小物体100の向きを変えることにより、当該微小物体100の一方側(右方側)から、右側面101及び左側面102の画像データを各々取得する構成となっている。
【0068】
従って、本実施形態のような、第1バックライト23bによって微小物体100を他方側(左側)から照らすために、側面検査用カメラ23aによって、当該微小物体100の一方側(右側)から微小物体100の画像データを取得する必要がある場合であっても、微小物体100の2箇所の側面(右側面101及び左側面102)に対して、画像データを順次取得することができるため、より高効率に微小物体100の外観検査を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態においては、投入部20において、微小物体100の外観検査を行う際、上述した微小物体100のズレ量に基づき、第1軸心G1を中心にして第1吸着ノズル21cの回転量を調整することにより、微小物体100の吸着位置を補正する構成となっている。
【0070】
従って、他に別途、第1吸着ノズル21cに対する微小物体100の吸着位置を補正するための装置を、新たに設ける必要もなく、事前に検知したズレ量に基づき、微小物体100の吸着位置に合わせて第1吸着ノズル21cの向き調整し、側面検査用カメラ23aに対して相対的に微小物体100の吸着位置を補正することができる。
そのため、撮像対象となる微小物体100の右側面101及び左側面102を、当該側面検査用カメラ23aによって真正面から捉えることができ、投入工程S20における微小物体100の外観検査を、高精度且つ経済的に行うことができる。
【0071】
搬送部30は、投入部20に対して、第1移載装置21による微小物体100の移動方向(矢印Aの方向)の下流側(本実施形態においては、前側)に設けられ、回転テーブル31によって各セクションに微小物体100を搬送することにより、当該微小物体100における正面103、上面104、及び背面105(図6を参照)の外観検査を行う部位である。
なお、搬送部30の詳細な構成については、後述する。
【0072】
搬出部40は、搬送部30を間に挟んで、投入部20に対して上記移動方向(矢印Aの方向)の下流側(前側)に設けられ、搬送部30から取り出した微小物体100を所定方向に移動させるとともに、当該微小物体100における下面106(図6を参照)の外観検査を行う部位である。
搬出部40は、第2移載装置41及び下面画像取得部42等を備える。
【0073】
第2移載装置41は、微小物体100の上面104を吸着可能な第2吸着ノズル41cを備え、当該第2吸着ノズル41cによって微小物体100を保持した状態で、搬送部30より取り出した微小物体100を、新たな保管場所に向けて所定の移動方向(図2中の矢印Bの方向であって、本実施形態においては、前方に向かう方向)へと移動させる。
なお、第2移載装置41及び第2吸着ノズル41cの構成については、上述した第1移載装置21及び第1吸着ノズル21cと、各々略同等な構成からなるため、以下の説明においては記載を省略する。
【0074】
下面画像取得部42は、微小物体100の下面106を撮像する下面検査用カメラ42a、及び撮像対象である微小物体100を照らす第2リング照明42b等を備える。
【0075】
下面検査用カメラ42aは、第2移載装置41の下方であって、当該第2移載装置41による微小物体100の移動方向(矢印B)の中途部において、撮像方向を直上方向に向けた状態で配置される。
また、第2リング照明42bは、第2移載装置41の下方、且つ下面検査用カメラ42aの直上において、光の照射方向を上方に向けた状態で配置される。
【0076】
そして、第2移載装置41によって移動される微小物体100が、下面検査用カメラ42a及び第2リング照明42bの直上に位置する第2撮像位置Q2に到達すると、下面検査用カメラ42aは、焦点距離を調整してピントを合わせた後、到達した微小物体100を下方から撮像し、画像データを取得する。
【0077】
こうして、下面検査用カメラ42aによって取得された画像データは、制御装置に送信される。
上記画像データを受信した制御装置は、予め格納されているプログラムに従い、直ちに演算処理を実行し、これらの画像データに基づき、微小物体100における下面106の外観検査を行う。
【0078】
以上のように、本実施形態における検査装置1は、投入部20によって投入工程S20を実施する場合、及び搬出部40によって搬出工程S40を実施する場合において、吸着ノズル(第1吸着ノズル21cまたは第2吸着ノズル41c)によって微小物体100の上面を吸着して保持し、当該吸着ノズルを介して移載装置(第1移載装置21または第2移載装置41)によって、微小物体100を所定方向に移動させる構成となっている。
【0079】
このような構成を有することにより、たとえ微細な外形サイズからなる微小物体100であっても、吸着ノズル(第1吸着ノズル21cまたは第2吸着ノズル41c)を介して、常に下面106を開放させた状態で確実に保持することができるため、投入工程S20によって回転テーブル31の所定位置(台座部31c)に微小物体100を容易に載置し、また搬出工程S40によって当該所定位置(台座部31c)に載置された微小物体100を容易に取り出すことができる。
【0080】
[搬送部30の構成]
次に、搬送部30の構成について、図2乃至図4、及び図5(b)を用いて、詳細に説明する。
図2及び図3に示すように、搬送部30は、回転テーブル31、第2ズレ検知部32、正面画像取得部33、上面画像取得部34、及び背面画像取得部35等を備える。
なお、図2においては、概略模式図であるため、正面画像取得部33、及び背面画像取得部35の記載は省略する。
【0081】
回転テーブル31は、水平状に配置される円盤形状のテーブル部31a、及び当該テーブル部31aの上面において、テーブル部31aの周縁部に沿って等間隔に設けられる複数の吸着ステージ31b・31b・・・等を備え、テーブル部31aの軸心と同軸上の回転軸心Zを中心として、所定の回転方向(図2及び図3中の矢印Cの方向であって、本実施形態においては、平面視にて反時計回り方向)に回転可能に設けられる。
【0082】
ここで、回転テーブル31には、各々の吸着ステージ31b・31b・・・の位置に応じて、各セクションが割り当てられており、例えば本実施形態においては、回転テーブル31における投入部20側の端部(本実施形態においては、後端部)に投入セクションSa1が割り当てられるとともに、当該投入セクションSa1に対して、上記回転方向(矢印Cの方向)に向かって順に、ズレ検知セクションSa2、正面撮像セクションSa3、上面撮像セクションSa4、背面撮像セクションSa5、及び搬出セクションSa6が割り当てられている。
【0083】
そして、回転テーブル31は、所定の回転角度毎に間欠的に回転することによって、投入セクションSa1において投入された微小物体100を、各々のセクションに順に搬送する構成となっている。
【0084】
回転テーブル31に投入される微小物体100は、各吸着ステージ31bの上端に載置され、当該吸着ステージ31bによって下面を吸着された状態で保持される。
また、各吸着ステージ31bの上端には、上方に突出した台座部31c(図5(b)を参照)が設けられている。
【0085】
台座部31cは、図5(b)に示すように、平面視矩形状に設けられ、その上端面は、微小物体100が載置される載置面31c1として、水平状に形成されている。
また、載置面31c1には、上下方向に貫通する複数(本実施形態においては5個所)の吸着孔31c2・31c2・・・が設けられている。
【0086】
具体的には、載置面31c1は、微小物体100の外形サイズに合わせて微小サイズに形成されており、例えば本実施形態においては、1辺の寸法が1mm以下の矩形状の水平面として形成されている。
また、各吸着孔31c2も同様に、微小サイズに形成されており、例えば本実施形態においては、約0.25mm程度の内径からなる貫通孔として形成されている。
そして、複数の吸着孔31c2・31c2・・・・は、載置面31c1の軸心(図5(b)における第2軸心G2または第3軸心G3)と同軸上の位置、及び当該同軸上の位置を中心とする円周上の等配位置に、各々配置されている。
【0087】
各吸着孔31c2は、配管部材や切替弁等を介して、図示せぬ真空ポンプ等と連通されており、当該切替弁を切替えることにより、吸引状態(吸着孔31c2を介して、対象物を吸引可能な状態)、及び開放状態(当該吸引状態を停止させた状態)に各々切替可能な構成となっている。
【0088】
このように、本実施形態においては、複数の吸着孔31c2・31c2・・・を有する微小サイズの台座部31cが、吸着ステージ31bの上端に設けられており、回転テーブル31に投入された微小物体100は、台座部31cに載置された状態で、当該台座部31cを介して下面106(図6を参照)を吸着され、吸着ステージ31bによって保持される構成となっている。
【0089】
従って、たとえ微細な外形サイズからなる微小物体100であっても、不意に微小物体100の角部が吸着孔31c2に吸い込まれて、当該微小物体100の吸着姿勢が不安定になるようなこともなく、所定の吸着姿勢を保持しつつ、台座部31cによって確実に微小物体100を保持することができる。
また、たとえ微細な外形サイズからなる微小物体100であっても、回転テーブル31に設けられる吸着ステージ31b(より具体的には、台座部31c)に載置された状態で、確実に保持することができるため、当該回転テーブル31による搬送途中に、不意に微小物体100が脱落等して、傷や欠損等が発生するのを防止することができる。
【0090】
図2に示すように、第2ズレ検知部32は、ズレ検知セクションSa2に設けられ、微小物体100の上面104(図6を参照)を撮像する第2ズレ検知用カメラ32a等を備える。
第2ズレ検知用カメラ32aは、回転テーブル31の上方であって、平面視にて吸着ステージ31bの移動軌跡上において、撮像方向を直下方向に向けた状態で配置される。
【0091】
そして、回転テーブル31の回転動作によって搬送される微小物体100が、ズレ検知セクションSa2に到達し、第2ズレ検知用カメラ32aの直下に位置する第2検知位置P2に配置されると、第2ズレ検知用カメラ32aは、焦点距離を調整してピントを合わせた後、到達した微小物体100を上方から撮像し、画像データを取得する。
【0092】
第2ズレ検知用カメラ32aによって取得した画像データは、制御装置に送信される。
上記画像データを受信した制御装置は、予め格納されているプログラムに従い、直ちに演算処理を実行し、吸着ステージ31bの台座部31c(図5(b)を参照)によって保持された微小物体100の、当該台座部31cに対する所定の吸着位置からのズレ量を算出する。
【0093】
具体的には、取得した微小物体100の上面104の画像データに基づき、当該画像データの図心の位置を算出し、当該図心の位置と、予め記憶されている台座部31cの図心(本実施形態においては、後述する第2軸心G2または第3軸心G3の位置)の位置との比較演算を実行することにより、所定の吸着位置、即ち上記台座部31cとの同軸上の位置に対する、微小物体100の位置ズレ量を算出する。
また、取得した微小物体100の上面104の画像データに基づき、当該画像データの四隅の位置を算出し、当該四隅の位置と、予め記憶されている所定の吸着位置での微小物体100の四隅の位置との比較演算をすることにより、台座部31cに対する微小物体100の向きのズレ量、即ち台座部31cの軸心を中心とする微小物体100の傾き量を算出する。
【0094】
このように、本実施形態においては、回転テーブル31による微小物体100の搬送途中に、台座部31cに対する当該微小物体100の、所定の吸着位置からのズレ量(位置ズレ量及び傾き量)を検知する構成となっている。
【0095】
従って、後述する正面画像取得部33及び背面画像取得部35においては、第2ズレ検知部32によって事前に検知した、微小物体100のズレ量(位置ズレ量及び傾き量)に基づき、微小物体100の吸着位置を補正し、微小物体100の画像データを取得することができるため、搬送部30によって実施される搬送工程S30においては、微小物体100の外観検査を高精度に行うことができる。
【0096】
図3に示すように、正面画像取得部33は、正面撮像セクションSa3に設けられ、第1撮像手段の一例であって微小物体100の正面103(図6を参照)を撮像する正面検査用カメラ33a、撮像対象である微小物体100を照らす第2バックライト33b及び第3リング照明33c、並びにこれらの機器33a・33b・33cを支持する第1支持フレーム33d等を備える。
【0097】
正面検査用カメラ33aは、回転テーブル31におけるテーブル部31aの上方であって、吸着ステージ31bの上端に対して上記回転軸心Z側に対向する位置において、撮像方向をテーブル部31aの径方向外側に向けた状態で配置される。
【0098】
一方、第2バックライト33bは、回転テーブル31におけるテーブル部31aの上方であって、吸着ステージ31bの上端に対して上記回転軸心Z側との反対側に対向する位置において、光の照射方向をテーブル部31aの径方向内側に向けた状態で配置される。
また、第3リング照明33cは、回転テーブル31におけるテーブル部31aの上方であって、吸着ステージ31bの上端に対して上記回転軸心Z側に対向し、且つ正面検査用カメラ33aと第2バックライト33bとの間となる位置において、光の照射方向をテーブル部31aの径方向外側に向けた状態で配置される。
【0099】
そして、第1支持フレーム33dは、これらの正面検査用カメラ33a、第2バックライト33b、及び第3リング照明33cを一体的に支持するとともに、所定のセクション(本実施形態においては、正面撮像セクションSa3)において台座部31cの中心を通過する垂直方向の第2軸心G2(図4(a)を参照)を中心にして水平方向(図3中の矢印Cの方向)に回転可能、且つテーブル部31aの径方向両側(図3中の矢印Dの方向)に移動可能に構成されている。
【0100】
このような構成からなる正面画像取得部33において、吸着ステージ31bによって保持された微小物体100が正面撮像セクションSa3に搬送され、正面検査用カメラ33a及び第3リング照明33cと、第2バックライト33bとの間の第3撮像位置Q3に到達すると、正面検査用カメラ33aは、到達した微小物体100を撮像し、画像データを取得する。
【0101】
具体的には、第3撮像位置Q3に微小物体100が到達すると、正面検査用カメラ33aの撮像方向に対して、微小物体100の正面103が直交する向きとなるように、ズレ検知セクションSa2において検知された微小物体100のズレ量に基づき、回転量を調整しつつ、第2軸心G2を中心にして第1支持フレーム33dが回転され、微小物体100のずれた吸着位置が補正される。
【0102】
そして、微小物体100の吸着位置が補正された後、上記径方向(矢印Dの方向)に沿って第1支持フレーム33dが移動することにより、正面検査用カメラ33aの焦点距離が調整され、当該正面検査用カメラ33aは、微小物体100を撮像し、当該微小物体100における正面103の画像データを取得する。
【0103】
こうして、正面検査用カメラ33aによって取得された画像データは、制御装置に送信される。
上記画像データを受信した制御装置は、予め格納されているプログラムに従い、直ちに演算処理を実行し、これらの画像データに基づき、微小物体100における正面103の外観検査を行う。
【0104】
このように、本実施形態においては、搬送部30の正面撮像セクションSa3において、微小物体100の正面103の外観検査を行う際、ズレ検知セクションSa2にて検知した上記ズレ量に基づき、第1支持フレーム33dを介して、第2軸心G2を中心にして、正面検査用カメラ33aを回転させることにより、微小物体100の吸着位置を補正する構成となっている。
【0105】
従って、事前に検知したズレ量に基づき、微小物体100の吸着位置に合わせて正面検査用カメラ33aの撮像位置を調整し、当該正面検査用カメラ33aに対して相対的に微小物体の吸着位置を補正することで、撮像対象となる微小物体100の正面103を、正面検査用カメラ33aによって真正面から捉えることができ、搬送部30によって実施される搬送工程S30においては、微小物体100の外観検査を高精度に行うことができる。
【0106】
また、第1支持フレーム33dの回転中心である第2軸心G2は、吸着ステージ31bにおける台座部31cの軸心と同軸上に位置することから、第2軸心G2を中心にして正面検査用カメラ33aを回転させて、当該正面検査用カメラ33aに対して相対的に微小物体100の吸着位置を補正する場合、台座部31cと正面検査用カメラ33aとの間の距離は、常に同等に保持されるため、上記補正を行う度に、正面検査用カメラ33aのピント(焦点距離)合わせをその都度行う必要もなく、搬送工程S30における微小物体100の外観検査を、容易に行うことができる。
【0107】
さらに、撮像対象の微小物体100は、吸着ステージ31bの上端より上方に突出した台座部31cに載置され、当該台座部31cを介して下面106を吸着されることにより、保持された状態となっている。
【0108】
従って、本実施形態のように、第2バックライト33bによって微小物体100を他方側(テーブル部31aの径方向外側)から照らしつつ、正面検査用カメラ33aによって当該微小物体100を一方側(テーブル部31aの径方向内側)から撮像することにより、微小物体100の画像データを取得する場合であっても、第2バックライト33bによる吸着ステージ31bの影が、当該画像データに映り込むのを抑制することができ、微小物体100の外観検査をより高精度に行うことができる。
【0109】
本実施形態においては、台座部31cから一部が食み出るような状態によって、微小物体100が載置されている。
具体的には、図4(a)に示すように、台座部31cは、前述したように平面視矩形状に設けられており、一方の角部31c3を正面検査用カメラ33aに指向させた状態で配置されている。
そして、台座部31cに載置される微小物体100は、正面検査用カメラ33aと対向する正面103において、幅方向(上下方向との直交方向であって、本実施形態においては前後方向)の両側部の下端を台座部31cから食み出させることで、台座部31cと非接触の状態で載置されている。
【0110】
このような構成を有することにより、たとえ正面検査用カメラ33aによって撮像された画像データにおいて、微小物体100とともに台座部31cが写り込んでいたとしても、台座部31cに対して、微小物体100の正面103の輪郭をより鮮明に映し出すことができるため、搬送部30によって実施される搬送工程S30においては、微小物体100の外観検査を、より高精度に行うことができる。
【0111】
図2に示すように、上面画像取得部34は、上面撮像セクションSa4に設けられ、微小物体100の上面104(図6を参照)を撮像する上面検査用カメラ34a、及び撮像対象である微小物体100を照らす第4リング照明34b等を備える。
【0112】
上面検査用カメラ34aは、回転テーブル31の上方であって、平面視にて吸着ステージ31bの移動軌跡上において、撮像方向を直下方向に向けた状態で配置される。
また、第4リング照明34bは、回転テーブル31の上方であって、平面視にて吸着ステージ31bの移動軌跡上、且つ上面検査用カメラ34aの直下において、光の照射方向を下方に向けた状態で配置される。
【0113】
そして、吸着ステージ31bによって保持された微小物体100が上面撮像セクションSa4に搬送され、上面検査用カメラ34a及び第4リング照明34bの直下に位置する第4撮像位置Q4に到達すると、上面検査用カメラ34aは、到達した微小物体100を撮像し、画像データを取得する。
【0114】
こうして、上面検査用カメラ34aによって取得された画像データは、制御装置に送信される。
上記画像データを受信した制御装置は、予め格納されているプログラムに従い、直ちに演算処理を実行し、これらの画像データに基づき、微小物体100における上面104の外観検査を行う。
【0115】
図3に示すように、背面画像取得部35は、背面撮像セクションSa5に設けられ、第2撮像手段の一例であって微小物体100の背面105(図6を参照)を撮像する背面検査用カメラ35a、撮像対象である微小物体100を照らす第3バックライト35b及び第5リング照明35c、並びにこれらの機器35a・35b・35cを支持する第2支持フレーム35d等を備える。
【0116】
背面検査用カメラ35aは、回転テーブル31におけるテーブル部31aの上方であって、吸着ステージ31bの上端に対して上記回転軸心Z側との反対側に対向する位置において、撮像方向をテーブル部31aの径方向内側に向けた状態で配置される。
【0117】
一方、第3バックライト35bは、回転テーブル31におけるテーブル部31aの上方であって、吸着ステージ31bの上端に対して上記回転軸心Z側に対向する位置において、光の照射方向をテーブル部31aの径方向外側に向けた状態で配置される。
また、第5リング照明35cは、回転テーブル31におけるテーブル部31aの上方であって、吸着ステージ31bの上端に対して上記回転軸心Z側との反対側に対向し、且つ背面検査用カメラ35aと第3バックライト35bとの間となる位置において、光の照射方向をテーブル部31aの径方向内側に向けた状態で配置される。
【0118】
そして、第2支持フレーム35dは、これらの背面検査用カメラ35a、第3バックライト35b、及び第5リング照明35cを一体的に支持するとともに、所定のセクション(本実施形態においては、背面撮像セクションSa5)において台座部31cの中心を通過する垂直方向の第3軸心G3(図4(b)を参照)を中心にして水平方向(図3中の矢印Eの方向)に回転可能、且つテーブル部31aの径方向両側(図3中の矢印Fの方向)に移動可能に構成されている。
【0119】
このような構成からなる背面画像取得部35において、吸着ステージ31bによって保持された微小物体100が背面撮像セクションSa5に搬送され、背面検査用カメラ35a及び第5リング照明35cと、第3バックライト35bとの間の第5撮像位置Q5に到達すると、背面検査用カメラ35aは、到達した微小物体100を撮像し、画像データを取得する。
【0120】
具体的には、第5撮像位置Q5に微小物体100が到達すると、背面検査用カメラ35aの撮像方向に対して、微小物体100の背面105が直交する向きとなるように、ズレ検知セクションSa2において検知された微小物体100のズレ量に基づき、回転量を調整しつつ、第3軸心G3を中心にして第2支持フレーム35dが回転され、微小物体100のずれた吸着位置が補正される。
【0121】
そして、微小物体100の吸着位置が補正された後、上記径方向(矢印Fの方向)に沿って第2支持フレーム35dが移動することにより、背面検査用カメラ35aの焦点距離が調整され、当該背面検査用カメラ35aは、微小物体100を撮像し、当該微小物体100における背面105の画像データを取得する。
【0122】
こうして、背面検査用カメラ35aによって取得された画像データは、制御装置に送信される。
上記画像データを受信した制御装置は、予め格納されているプログラムに従い、直ちに演算処理を実行し、これらの画像データに基づき、微小物体100における背面105の外観検査を行う。
【0123】
このように、本実施形態においては、搬送部30の背面撮像セクションSa5において、微小物体100の背面105の外観検査を行う際、ズレ検知セクションSa2にて検知した上記ズレ量に基づき、第2支持フレーム35dを介して、第3軸心G3を中心にして、背面検査用カメラ35aを回転させることにより、微小物体100の吸着位置を補正する構成となっている。
【0124】
従って、事前に検知したズレ量に基づき、微小物体100の吸着位置に合わせて背面検査用カメラ35aの撮像位置を調整し、当該背面検査用カメラ35aに対して相対的に微小物体100の吸着位置を補正することで、撮像対象となる微小物体100の背面105を、背面検査用カメラ35aによって真正面から捉えることができ、搬送部30によって実施される搬送工程S30においては、微小物体の外観検査を高精度に行うことができる。
【0125】
また、第2支持フレーム35dの回転中心である第3軸心G3は、吸着ステージ31bにおける台座部31cの軸心と同軸上に位置することから、第3軸心G3を中心にして背面検査用カメラ35aを回転させて、当該背面検査用カメラ35aに対して相対的に微小物体100の吸着位置を補正する場合、台座部31cと背面検査用カメラ35aとの間の距離は、常に同等に保持されるため、上記補正を行う度に、背面検査用カメラ35aのピント(焦点距離)合わせをその都度行う必要もなく、搬送工程S30における微小物体100の外観検査を、容易に行うことができる。
【0126】
さらに、前述した正面画像取得部33と同様に、撮像対象の微小物体100は、吸着ステージ31bの上端より上方に突出した台座部31cに載置され、当該台座部31cを介して下面106を吸着されることにより、保持された状態となっている。
【0127】
従って、本実施形態のように、第3バックライト35bによって微小物体100を一方側(テーブル部31aの径方向内側)から照らしつつ、背面検査用カメラ35aによって当該微小物体100を他方側(テーブル部31aの径方向外側)から撮像することにより、微小物体100の画像データを取得する場合であっても、第3バックライト35bによる吸着ステージ31bの影が、当該画像データに映り込むのを抑制することができ、微小物体100の外観検査をより高精度に行うことができる。
【0128】
本実施形態においては、前述した正面画像取得部33と同様に、背面画像取得部35においても、台座部31cから一部が食み出るような状態によって、微小物体100が載置されている。
具体的には、図4(b)に示すように、台座部31cは、前述したように平面視矩形状に設けられており、他方の角部31c4を背面検査用カメラ35aに指向させた状態で配置されている。
そして、台座部31cに載置される微小物体100は、背面検査用カメラ35aと対向する背面105において、幅方向(上下方向との直交方向であって、本実施形態においては前後方向)の両側部の下端を台座部31cから食み出させることで、台座部31cと非接触の状態で載置されている。
【0129】
このような構成を有することにより、たとえ背面検査用カメラ35aによって撮像された画像データにおいて、微小物体100とともに台座部31cが写り込んでいたとしても、台座部31cに対して、微小物体100の背面105の輪郭をより鮮明に映し出すことができるため、搬送部30によって実施される搬送工程S30においては、微小物体100の外観検査を、より高精度に行うことができる。
【0130】
以上のように、本実施形態においては、搬送部30の正面撮像セクションSa3及び背面撮像セクションSa5において、微小物体100の正面103、及び当該正面103と対向する背面105に対して、それぞれ外観検査を行う構成となっている。
また、さらに搬送部30の上面撮像セクションSa4において、微小物体100の上面104に対して外観検査を行う構成となっている。
【0131】
従って、本実施形態のように、微小物体100が、下面106(図6を参照)を介して回転テーブル31に載置された状態で保持されており、当該下面106を除く他の表面は、外部に開放された状態となっている場合には、他に何ら障害物を有することなく、微小物体100の正面103、背面105、及び上面104に対して、容易に外観検査を行うことができる。
【0132】
[検査装置1の動作手順]
次に、検査装置1によって検査工程S01を実施する場合の、当該検査装置1の動作手順について、図1及び図2を用いて説明する。
【0133】
先ず始めに、複数の微小物体100・100・・・が載置されたトレイ110が、図示せぬ保管装置から取り出され、取り出されたトレイ110は、一時的な仮置き台(図示せず)に投入された後、当該仮置き台によって所定の搬出位置へと移動される(取出し工程S10)。
【0134】
そして、上記所定の搬出位置にトレイ110が到達すると、第1移載装置21は、第1吸着ノズル21cを介して、当該トレイ110上の1個の微小物体100を吸着して保持し、搬送部30に向かって移動を開始する(投入工程S20)。
【0135】
搬送部30への移動を開始した第1移載装置21は、保持した微小物体100が第1検知位置P1に到達すると、一旦移動を停止する。
そして、第1移載装置21が一旦停止すると、第1ズレ検知部22は、微小物体100の下面106(図6を参照)の画像データを取得し、第1吸着ノズル21cに対する微小物体100のズレ量を検知する(第1ズレ検知工程S21)。
【0136】
第1吸着ノズル21cに対する微小物体100のズレ量を検知した後、第1移載装置21は、移動を再開する。
そして、保持した微小物体100が第1撮像位置Q1に到達すると、第1移載装置21は、再び移動を停止する。
【0137】
第1移載装置21が再び停止すると、側面画像取得部23は、検知した上記ズレ量に基づき微小物体100の吸着位置を補正しつつ、当該微小物体100の右側面101(図6を参照)の画像データを取得し(第1画像取得工程S22)、続いて、当該微小物体100の左側面102(図6を参照)の画像データを取得する(第2画像取得工程S23)。
【0138】
そして、これら微小物体100の右側面101及び左側面102における画像データの取得が終了すると、当該画像データに基づき外観検査が実行されるとともに、第1移載装置21は、移動を再開する。
その後、保持した微小物体100が、搬送部30における回転テーブル31の投入セクションSa1に到達すると、第1移載装置21は、移動を停止して吸着ステージ31bの台座部31c(図5(b)を参照)に微小物体100を載置し、当該微小物体100を搬送部30に投入する。
これにより、投入工程S20は終了する。
【0139】
投入セクションSa1に位置する吸着ステージ31bに、微小物体100が載置されると、回転テーブル31は、回転移動を開始し、当該微小物体100を各セクションに搬送する(搬送工程S30)。
具体的には、回転テーブル31は、所定の回転角度毎に間欠的に回転することにより、吸着ステージ31bに載置された微小物体100を、ズレ検知セクションSa2、正面撮像セクションSa3、上面撮像セクションSa4、背面撮像セクションSa5、及び搬出セクションSa6の順に搬送する。
【0140】
ズレ検知セクションSa2に搬送され、第2検知位置P2に微小物体100が到達すると、第2ズレ検知部32は、微小物体100の上面104(図6を参照)の画像データを取得し、台座部31cに対する微小物体100のズレ量を検知する(第2ズレ検知工程S31)。
【0141】
台座部31cに対する微小物体100のズレ量を検知した後、微小物体100は、続いて正面撮像セクションSa3に搬送され、第3撮像位置Q3(図3を参照)に到達する。
第3撮像位置Q3に微小物体100が到達すると、正面画像取得部33(図3を参照)は、ズレ検知セクションSa2において検知した上記ズレ量に基づき微小物体100の吸着位置を補正しつつ、当該微小物体100の正面103(図6を参照)の画像データを取得する(第3画像取得工程S32)。
【0142】
微小物体100の正面103における画像データの取得が終了すると、微小物体100は、続いて上面撮像セクションSa4に搬送され、第4撮像位置Q4に到達する。
第4撮像位置Q4に微小物体100が到達すると、上面画像取得部34は、微小物体100の上面104の画像データを取得する(第4画像取得工程S33)。
【0143】
微小物体100の上面104における画像データの取得が終了すると、微小物体100は、続いて背面撮像セクションSa5に搬送され、第5撮像位置Q5(図3を参照)に到達する。
第5撮像位置Q5に微小物体100が到達すると、背面画像取得部35(図3を参照)は、ズレ検知セクションSa2において検知した上記ズレ量に基づき微小物体100の吸着位置を補正しつつ、当該微小物体100の背面105(図6を参照)の画像データを取得する(第5画像取得工程S34)。
【0144】
微小物体100の背面105における画像データの取得が終了すると、微小物体100は、続いて搬出セクションSa6に搬送される。
また、各セクション(正面撮像セクションSa3、上面撮像セクションSa4、及び背面撮像セクションSa5)において取得した画像データに基づき、外観検査が実行される。
これにより、搬送工程S30は終了する。
【0145】
搬出セクションSa6に微小物体100が到達すると、第2移載装置41は、第2吸着ノズル41cを介して、吸着ステージ31bの台座部31cより微小物体100を吸着して保持し、所定の新たな保管場所に向かって移動を開始する(搬出工程S40)。
【0146】
上記新たな保管場所への移動を開始した第2移載装置41は、保持した微小物体100が第2撮像位置Q2に到達すると、一旦移動を停止する。
第2移載装置41が一旦停止すると、下面画像取得部42は、微小物体100の下面106(図6を参照)の画像データを取得する(第6画像取得工程S41)。
【0147】
そして、微小物体100の下面106における画像データの取得が終了すると、当該画像データに基づき外観検査が実行されるとともに、第2移載装置41は、移動を再開する。
その後、保持した微小物体100が、上記新たな保管場所に到達すると、第2移載装置41は、当該新たな保管場所に微小物体100を配置する。
これにより、搬出工程S40が終了するとともに、一連の検査工程S01を実施する場合の、検査装置1の動作手順が完了する。
【0148】
このように、本実施形態においては、搬出工程S40において、微小物体100の下面106に対して外観検査を行うことから前工程である搬送工程S30の実施中、常に回転テーブル31の吸着ステージ31b(より具体的には、台座部31c)に接触していた、微小物体100の下面106については、検査工程S01の最終段階である搬出工程S40で外観検査を行うこととなり、より高精度な微小物体の外観検査を行うことができる。
【0149】
なお、本発明の別実施形態として、例えば、搬送部30に備えられる正面画像取得部33、上面画像取得部34、及び背面画像取得部35の配列については、前述した本実施形態の順序に限定さるものではなく、回転テーブル31の回転方向に向かって、何れの順序で配置されていてもよい。
即ち、搬送工程S30において、第3画像取得工程S32、第4画像取得工程S33、及び第5画像取得工程S34の実施される順序については、前述した本実施形態によるもの以外の何れの順序であってもよい。
【0150】
また、これらの正面画像取得部33、上面画像取得部34、及び背面画像取得部35のうち、上面画像取得部34を上記回転方向の最上流側に配置するとともに、第2ズレ検知部32を廃止し、当該上面画像取得部34の上面検査用カメラ34aによって、第2ズレ検知工程S31及び第4画像取得工程S33を、ともに実施する構成としてもよい。
【0151】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0152】
1 検査装置
20 投入部
21 第1移載装置
21a 本体部
21b アーム部
21c 第1吸着ノズル(吸着ノズル)
21c1 吸着面
21c2 吸着孔
22 第1ズレ検知部
22a 第1ズレ検知用カメラ
23 側面画像取得部
23a 側面検査用カメラ
23b 第1バックライト
23c 第1リング照明
30 搬送部
31 回転テーブル
31a テーブル部
31b 吸着ステージ
31c 台座部
31c1 載置面
31c2 吸着孔
31c3 台座部の一方の角部
31c4 台座部の他方の角部
32 第2ズレ検知部
32a 第2ズレ検知用カメラ
33 正面画像取得部
33a 正面検査用カメラ(第1撮像手段)
33b 第2バックライト
33c 第3リング照明
33d 第1支持フレーム
34 上面場像取得部
34a 上面検査用カメラ
34b 第4リング照明
35 背面画像取得部
35a 背面検査用カメラ(第2撮像手段)
35b 第3バックライト
35c 第5リング照明
35d 第2支持フレーム
40 搬出部
41 第2移載装置
41c 第2吸着ノズル(吸着ノズル)
42 下面画像取得部
42a 下面検査用カメラ
42b 第2リング照明
100 微小物体
101 右側面(第1側面)
102 左側面(第2側面)
103 正面
104 上面
105 背面
106 下面
110 トレイ
G1 第1軸心
G2 第2軸心
G3 第3軸心
P1 第1検知位置
P2 第2検知位置
Q1 第1撮像位置
Q2 第2撮像位置
Q3 第3撮像位置
Q4 第4撮像位置
Q5 第5撮像位置
Z 回転軸心
S01 検査工程
S10 取出し工程
S20 投入工程
S21 第1ズレ検知工程
S22 第1画像取得工程
S23 第2画像取得工程
S30 搬送工程
S31 第2ズレ検知工程
S32 第3画像取得工程
S33 第4画像取得工程
S34 第5画像取得工程
S40 搬出工程
S41 第6画像取得工程
Sa1 投入セクション
Sa2 ズレ検知セクション
Sa3 正面撮像セクション
Sa4 上面撮像セクション
Sa5 背面撮像セクション
Sa6 搬出セクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6