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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178224
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】超音波洗浄装置および洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/00 20200101AFI20221125BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
D06F39/00 Z
B08B3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084855
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉田 賢司
【テーマコード(参考)】
3B166
3B201
【Fターム(参考)】
3B166AA01
3B166AA11
3B166AA15
3B166AB04
3B166AE01
3B166AE02
3B166BA48
3B166BA52
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA11
3B166CB02
3B166CB12
3B166DA31
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE04
3B166DF01
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166GA27
3B201AA46
3B201AB01
3B201BB02
3B201BB03
3B201BB84
3B201BB93
3B201BB94
3B201CB12
(57)【要約】
【課題】被洗浄物を貯水槽内にセットしやすい超音波洗浄装置を提供する。
【解決手段】超音波洗浄装置50は、水が溜められる貯水槽210を有する貯水部200と、貯水槽210の真上に配置され、先端から発生させた超音波を貯水槽210内にセットされた被洗浄物に作用させる超音波発生体110と、貯水部200を上下方向に移動可能に支持する支持部310と、貯水部200と支持部310との間に配置され、貯水部200に上方向の弾性力を付与するコイルバネ320と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が溜められる貯水槽を有する貯水部と、
前記貯水槽の真上に配置され、先端から発生させた超音波を前記貯水槽内にセットされた被洗浄物に作用させる超音波発生体と、
前記貯水部を上下方向に移動可能に支持する支持部と、
前記貯水部と前記支持部との間に配置され、前記貯水部に上方向の弾性力を付与する弾性部材と、
を備えることを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波洗浄装置において、
前記超音波発生体が収容されるハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記超音波発生体の先端を取り囲むガード部と、をさらに備え、
前記ガード部は、前記超音波発生体の先端よりも前記貯水槽側に突出する、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波洗浄装置において、
前記ガード部は、前記貯水槽の底面と対向する面が凹凸形状を有する、
ことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項4】
洗濯物を収容して洗濯するための洗濯槽と、
請求項1ないし3の何れか一項に記載の超音波洗浄装置と、
を備えることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波洗浄装置および当該超音波洗浄装置を備える洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
上面板における洗濯物の投入口の周囲、たとえば、投入口の前側に、超音波洗浄装置が配置された洗濯機が、特許文献1に記載されている。超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽と、貯水槽の真上に配置された超音波発生体と、を備える。ユーザは、被洗浄物の汚れが付着した部分、即ち被洗浄部分を、超音波発生体と貯水槽との間に挿入するようにして、貯水槽内にセットする。被洗浄部分が、貯水槽に溜められた水に浸される。
【0003】
超音波発生体の先端が被洗浄部分に浸透した水に接触し、この状態で超音波発生体から超音波振動が放出される。超音波振動が被洗浄部分に含まれる水に伝播し、当該水にキャビテーションが生じる。このキャビテーションの効果により、被洗浄部分から汚れが剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-10243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の超音波洗浄装置では、超音波発生体の先端が被洗浄部分に浸透した水に接触しやすいよう、超音波発生体の先端と貯水槽の底面との間の距離が比較的に小さくされることが望ましい。しかしながら、この場合、ユーザが、超音波発生体と貯水槽との間に被洗浄部分を挿入しづらくなり、被洗浄部分、即ち被洗浄物を貯水槽内にセットしづらくなることが懸念される。
【0006】
そこで、本発明は、被洗浄物を貯水槽内にセットしやすい超音波洗浄装置および洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、超音波洗浄装置に関する。本態様に係る超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽を有する貯水部と、前記貯水槽の真上に配置され、先端から発生させた超音波を前記貯水槽内にセットされた被洗浄物に作用させる超音波発生体と、前記貯水部を上下方向に移動可能に支持する支持部と、前記貯水部と前記支持部との間に配置され、前記貯水部に上方向の弾性力を付与する弾性部材と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、被洗浄物を貯水槽内にセットする際、貯水部を押し下げて、超音波発生体と貯水槽の底面との間隔を拡げることができる。これにより、ユーザは、被洗浄物を、貯水槽と超音波発生体との間に容易に挿入でき、貯水槽内に容易にセットできる。
【0009】
本態様に係る超音波洗浄装置において、前記超音波発生体が収容されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記超音波発生体の先端を取り囲むガード部と、をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記ガード部は、前記超音波発生体の先端よりも前記貯水槽側に突出する。
【0010】
上記の構成によれば、被洗浄物における超音波発生体の近傍部分を、ガード部と貯水槽の底面とで挟み込み、弾性部材の弾性力により下方からガード部に押し付けることができる。これにより、被洗浄物における超音波発生体の近傍部分が平らに伸びやすくなり、当該近傍部分に超音波発生体からの超音波が作用しやすくなる。よって、被洗浄物の汚れ落ちが良くなることが期待される。
【0011】
上記の構成とされた場合、さらに、前記ガード部は、前記貯水槽の底面と対向する面が凹凸形状を有するような構成とされ得る。
【0012】
このような構成とされれば、超音波発生体の動作による振動が伝播してガード部が振動することにより、凹凸形状の部分で被洗浄物がたたき洗いされ得る。これにより、被洗浄物の汚れ落ちが一層良くなることが期待される。
【0013】
本発明の第2の態様は、洗濯機に関する。本態様に係る洗濯機は、洗濯物を収容して洗濯するための洗濯槽と、第1の態様に係る超音波洗浄装置と、を備える。
【0014】
上記の構成によれば、第1の態様に係る超音波洗浄装置と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被洗浄物を貯水槽内にセットしやすい超音波洗浄装置および洗濯機を提供できる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2(a)は、実施の形態に係る、収納部に収納された状態の超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。図2(b)および(c)は、実施の形態に係る、収納部から引き出された状態の超音波洗浄装置および上面板の要部の斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置の側面断面図である。
図4図4は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置の正面断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る、超音波洗浄装置の正面断面図である。
図6図6は、変更例1に係る、超音波洗浄装置の正面断面図である。
図7図7(a)および(b)は、それぞれ、変更例1に係る、ガード体の平面図および断面図である。
図8図8(a)ないし(d)は、変更例1の他の構成例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0020】
全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御部16が配置される。制御部16は、全自動洗濯機1による洗濯運転および超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0021】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配置される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。なお、外槽20と洗濯脱水槽22とにより、本発明の洗濯槽が構成される。
【0022】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配置される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0023】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0024】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。
【0025】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、主に、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0026】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽210に供給される洗剤を含む水を、洗浄水として溜めることができる。貯留タンク60には、貯留タンク60内からの洗浄水の流出口を開閉する供給バルブ61が設けられる。供給バルブ61に繋がる供給ノズル62が、貯留タンク60から超音波洗浄装置50の貯水槽210の上方へと延びる。
【0027】
排水受け部70は、トレイ状を有し、貯水槽210から排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。排水受け部70が受けた水は、排水パイプ72および溢水パイプ26を通じて排水ホース41に排出される。
【0028】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50を取り囲むようにして、給水装置80が配置される。給水装置80は、水道栓に繋がり、洗濯脱水槽22内へ給水を行う機能を有する。また、給水装置80は、液体の洗剤および柔軟剤がそれぞれ収容される図示しない洗剤タンクおよび柔軟剤タンクを有し、洗剤および柔軟剤を洗濯脱水槽22内に自動投入する自動投入装置としても機能する。さらに、給水装置80は、水道栓からの水と洗剤タンクからの洗剤とにより洗浄水を生成して貯留タンク60に供給する機能も備える。
【0029】
図2(a)は、収納部17に収納された状態の超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。図2(b)および(c)は、収納部17から引き出された状態の超音波洗浄装置50および上面板12の要部の斜視図である。図2(c)では、収納部17の内部が見えるよう、カバー19の図示が省略されている。
【0030】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口18として開口する。出入口18には、投光性を有するほぼ方形状のカバー19が設けられる。
【0031】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、本体部300とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体110を有する。貯水部200には、洗浄水が溜められる貯水槽210が設けられる。超音波発生体110は、貯水槽210の真上に位置する。貯水槽210には、貯留タンク60から供給ノズル62を通じて洗浄水が供給される。
【0032】
図2(a)に示すように、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す。一方、図2(b)および(c)に示すように、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は収納部17に収納される。収納部17の出入口18がカバー19により閉じられる。このとき、カバー19の下端は、貯水部200の前端部に当接する。
【0033】
図3は、超音波洗浄装置50の側面断面図である。図4および図5は、超音波洗浄装置50の正面断面図である。図3は、図4のB-B´線の位置で切断されており、図4および図5は、図3のA―A´線の位置で切断されている。図4は、貯水部200が最も上に位置している状態を示し、図5は、貯水部200が最も下に位置している状態を示す。
【0034】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200が本体部300に保持される。
【0035】
超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120とを備える。超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112とを含む。振動ホーン112は、導電性を有する金属材料で形成され、先端側に向かうにつれて徐々に細くなる形状を有する。振動ホーン112の先端面112aの形状は、細長い長方形状となる。振動ホーン112の上端部には、フランジ部112bが形成される。超音波発生体110は、超音波振動子111の高周波振動により、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。
【0036】
ハウジング120は、樹脂材料により形成され、前後方向に延びた後に下方に屈曲するアーム形状を有し、ハウジング本体130と、キャップ140とを含む。ハウジング本体130は、前後方向に延び、その前端部130aの下面に開口部131を有する。ハウジング本体130には、開口部131の周囲に取付部132が設けられる。
【0037】
キャップ140は、ハウジング本体130の前端部130aに、開口部131を塞ぐように下方から取り付けられ、ハウジング120の先端部121を構成する。キャップ140は、下方に向かって先細りとなる有底筒状を有する。ハウジング120の先端面であるキャップ140の底面には、細長い長方形状を有する開口部141が形成される。キャップ140の前面には、左右方向における中央に、前方へ張り出すガイドリブ142が設けられる。
【0038】
ハウジング120の内部において、超音波発生体110は、そのフランジ部112bが、枠状の固定部材150により上側から押さえ付けられるようにして、取付部132に取り付けられる。固定部材150は、取付部132にネジ等により固定される。振動ホーン112の先端部、即ち超音波発生体110の先端部が、ハウジング120の先端の開口部141から下方に僅かに突出する。
【0039】
貯水部200は、樹脂材料により形成され、前後方向にやや長く且つ上下方向に扁平であって左側部分が右側部分よりも後方に張り出すような形状を有する。貯水部200の上面部201には、貯水部200の形状に沿った形状を有する貯水槽210が形成される。貯水槽210は、上方に向かって拡がるように、その内周面が傾斜する。
【0040】
貯水槽210には、後面の下部に円形の排水口211が形成される。排水口211は、弁体220により閉塞される。弁体220は、図示しない弁開閉機構により開閉される。超音波洗浄装置50が収納部17から引き出されているとき、弁体220により排水口211が閉鎖された状態となる。超音波洗浄装置50が収納部17に収納されると、弁体220が排水口211から離れて、排水口211が開放される。排水口211が開放されると、貯水槽210内の洗浄水が排水受け部70へ排出される。
【0041】
貯水部200は、前面部202が、左右方向に細長い方形の板状を有し、左右の側面部203が前後方向に細長い方形板状を有する。貯水部200には、前面部202の内側に、前面部202と平行に延びる、細長い方形板状の内壁部204が設けられ、左右の側面部203の内側に、これら側面部203と平行に延びる、細長い方形板状の内壁部205が設けられる。各側面部203と各内壁部205との間に、前後方向に延びる上方に凹む溝部206が形成される。各溝部206は、前方が内壁部204により塞がれる。
【0042】
本体部300は、正面視において、ほぼ方形状を有する。本体部300の上部に、超音波洗浄部100のハウジング120の後部122が固定される。本体部300には、左側に、開口部301が形成される。開口部301は、下側の幅が上側の幅よりも広く、下側を貯水部200の後部が通り、上側を供給ノズル62が通る。
【0043】
本体部300の左右の下端部には、前方へ延びる支持部310が設けられる。支持部310は、細長い直方体形状を有する。各支持部310の上面310aには、前部および後部にコイルバネ320が設置される。左右の支持部310は、貯水部200の左右の溝部206に下方から嵌まり込む。支持部310の前面310bが貯水部200の内壁部204に接触し、支持部310の左右の側面310cが貯水部200の側面部203と内壁部205に接触する。
【0044】
4つのコイルバネ320の上に貯水部200が載る。左右の支持部310は、貯水部200を、4つのコイルバネ320を介して、上下方向に移動可能に支持する。
【0045】
各コイルバネ320は、上端が貯水部200の溝部206に形成された突起207と嵌合し、下端が支持部310の上面310aに形成された突起311と嵌合する。4つのコイルバネ320は、貯水部200に上方向の弾性力を付与する。
【0046】
貯水部200が最も上に位置する状態において、超音波発生体110の振動ホーン112の先端面112aの位置は、貯水槽210の上面の位置よりも少し低く、振動ホーン112の先端部が貯水槽210内に少し入り込んだ状態となる。
【0047】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転を行うことができる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0048】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0049】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0050】
全自動洗濯機1では、洗濯物、即ち被洗浄物の超音波洗浄装置50による洗浄運転を行うことができる。
【0051】
洗浄運転が開始されると、貯留タンク60から貯水槽210へ洗浄水が供給される。貯水槽210内への洗浄水の供給が完了すると、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分、即ち被洗浄部分を、貯水槽210と超音波発生体110との間に挿入するようにして貯水槽210内にセットする。
【0052】
この際、ユーザは、貯水部200を押し下げる。たとえば、ユーザは、被洗浄部分を両側から引っ張り、張った状態の被洗浄部分で貯水部200を押さえつける付けるようにしてもよいし、被洗浄部分の両側を握った手で貯水部200を押さえつける付けるようにしてもよい。図5に示すように、貯水部200がコイルバネ320の弾性力に抗して下方に移動し、超音波発生体110と貯水槽210の底面210aとの間隔が拡がる。これにより、ユーザは、被洗浄部分を、貯水槽210と超音波発生体110との間に容易に挿入でき、貯水槽210内に容易にセットできる。
【0053】
なお、被洗浄物が薄い生地であるなど、超音波発生体110と貯水槽210の底面210aとの間隔を拡げなくても被洗浄部分を容易に貯水槽210内にセットできる場合は、必ずしも貯水部200は押し下げられない。
【0054】
貯水槽210内にセットされた被洗浄物の被洗浄部分が洗浄水で浸され、その内部に浸透した洗浄水が表面に浸み出す。被洗浄部分の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に、超音波発生体110の先端、即ち振動ホーン112の先端が接触する状態となる。超音波発生体110が作動し、振動ホーン112の先端から超音波振動が放出される。超音波振動が被洗浄部分に含まれる水に伝播し、当該水にキャビテーションが生じる。このキャビテーションの効果により、被洗浄部分から汚れが剥離される。。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0055】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、被洗浄物の被洗浄部分を貯水槽210内にセットする際、貯水部200を押し下げて、超音波発生体110と貯水槽210の底面210aとの間隔を拡げることができる。これにより、ユーザは、被洗浄部分を、貯水槽210と超音波発生体110との間に容易に挿入でき、貯水槽210内に容易にセットできる。よって、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0056】
特に、生地の厚い被洗浄物の洗浄が行われる場合であっても、被洗浄部分を容易に貯水槽210内に容易にセットすることが可能となる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0058】
<変更例1>
図6は、変更例1に係る、超音波洗浄装置50の正面断面図である。図7(a)および(b)は、それぞれ、変更例1に係る、ガード体160の平面図および断面図である。
【0059】
本変更例1の超音波洗浄装置50では、ハウジング120の先端面に、ガード体160が設けられる。ガード体160は、シリコーン等のゴム部材により形成され、ハウジング120の先端面に接着剤等により固定される。ガード体160は、ハウジング120の先端面に対応した形状、即ち、開口部141と同じ形状で中央部が開口する方形の板状を有し、超音波発生体110の先端を取り囲む。ガード体160は、超音波発生体110の先端よりも貯水槽210側に突出する。ガード体160は、本発明のガード部に相当する。
【0060】
ガード体160は、貯水槽210の底面210aと対向する下端面160aが、波形の凹凸形状161を有する。凹凸形状161は、下端面160aの全ての領域、即ち開口の周囲全周に亘って形成される。
【0061】
図6に示すように、本変更例1の超音波洗浄装置50では、被洗浄物における超音波発生体110の近傍部分を、ガード体160と貯水槽210の底面210aとで挟み込み、コイルバネ320の弾性力により下方からガード体160に押し付けることができる。これにより、被洗浄物における超音波発生体110の近傍部分が平らに伸びやすくなり、当該近傍部分に超音波発生体110からの超音波が作用しやすくなる。よって、被洗浄物の汚れ落ちが良くなることが期待される。
【0062】
さらに、被洗浄物と接触するガード体160の下端面160aが凹凸形状161を有しており、超音波振動子111の振動が伝播してガード体160が振動することにより、凹凸形状161の部分で被洗浄物がたたき洗いされ得る。これにより、被洗浄物の汚れ落ちが一層良くなることが期待される。
【0063】
なお、上記の例では、ガード体160の下端面160aに、波形の凹凸形状161が全ての領域に亘って形成された。しかしながら、図8(a)に示すように、、波形の凹凸形状161が、ガード体160の下端面160aの一部の領域に設けられてもよい。また、たとえば、図8(b)、(c)に示すように、波形の凹凸形状161でなく、多数の半球状の突起による凹凸形状162が、ガード体160の下端面160aの全ての領域または一部の領域に形成されてもよい。
【0064】
さらに、図8(d)に示すように、ガード体160の下端面160aが凹凸形状を有さず、平坦面とされてもよい。この場合、たたき洗いの効果は期待しにくくなるものの、被洗浄物における超音波発生体110の近傍部分を平らに伸ばす効果は期待できる。
【0065】
さらに、上記の例では、ガード体160がハウジング120と別体に形成された。しかしながら、ガード体160が、ハウジング120、即ちキャップ140と一体形成されてもよい。この場合、キャップ140は、ゴム材料により形成されてもよい。
【0066】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、本体部300の左右の下端部から前方へ延びる2つの支持部310により貯水部200が支持された。しかしながら、支持部の構成は、上記実施の形態の構成に限られず、如何なるものであってもよい。たとえば、貯水部200の下方に一つの平板状の支持部が設けられてもよい。
【0067】
さらに、上記実施の形態では、貯水部200に上方向の弾性力を付与するためにコイルバネ320が用いられた。しかしながら、コイルバネ320以外のバネが用いられてもよいし、ゴムなどバネ以外の弾性部材が用いられてもよい。
【0068】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄装置50が全自動洗濯機1に備えられた。しかしながら、超音波洗浄装置50が、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、ドラム式洗濯機に備えられてもよい。さらに、超音波洗浄装置50が、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機やドラム式洗濯乾燥機に備えられてもよい。ドラム式洗濯機およびドラム式洗濯乾燥機では、外槽と、外槽内に配置されるドラムとによって洗濯槽が構成される。
【0069】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
20 外槽(洗濯槽)
22 洗濯脱水槽(洗濯槽)
50 超音波洗浄装置
110 超音波発生体
120 ハウジング
160 ガード体(ガード部)
161 凹凸形状
200 貯水部
210 貯水槽
310 支持部
320 コイルバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8