(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178241
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084880
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BB12
3E013BC04
3E013BC14
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF26
3E013BF32
3E013BF36
3E013BG15
(57)【要約】
【課題】内容物を電子レンジで加熱した後に内容物が漏れ出ることなく持ち運ぶことができる包装体を提供する。
【解決手段】包装体1は、電子レンジで加熱される内容物Cを収容する。包装体1は、内容物Cを収容する収容空間12を有する容器10と、容器10に取り付けられる蓋20とを備える。蓋20は、収容空間12を塞ぐように容器10に取付けられるとともに、加熱によって生じる水蒸気Xを排出するための通蒸口34を形成した蓋材30と、蓋材30に、通蒸口34を塞ぐように貼着されたラベル40とを備えている。ラベル40は、内容物Cを加熱する前に蓋材30から部分的に貼着状態が残るように剥がされて通蒸口34を露出させ、内容物Cを加熱している際に通蒸口34を露出した状態を維持し、内容物Cを加熱した後に通蒸口34を覆うように蓋材30に再貼着可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジで加熱される内容物を収容する包装体であって、
前記内容物を収容する収容空間を有する容器と、該容器に取り付けられる蓋とを備え、
該蓋が、前記収容空間を塞ぐように前記容器に取付けられるとともに、加熱によって生じる水蒸気を排出するための通蒸口を形成した蓋材と、該蓋材に、前記通蒸口を塞ぐように貼着されたラベルとを備え、
該ラベルは、前記内容物を加熱する前に前記蓋材から部分的に貼着状態が残るように剥がされて前記通蒸口を露出させ、前記内容物を加熱している際に前記通蒸口を露出した状態を維持し、前記内容物を加熱した後に前記通蒸口を覆うように前記蓋材に再貼着可能であることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記ラベルは、前記蓋材に貼着される粘着層で構成される最内層と、該最内層に積層される中間層と、該中間層に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%であることを特徴とする請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmであることを特徴とする請求項2又は3に記載の包装体。
【請求項5】
電子レンジで加熱される内容物を収容する包装体であって、
複数のシート部を有するシートと、前記内容物を収容する収容空間が形成されるように前記複数のシート部をシールするシール部とを備え、前記複数のシート部のうちのいずれか一つのシート部に、加熱によって生じる蒸気を排出するための通蒸口を形成すると共に、該通蒸口が形成された前記いずれか一つのシート部に、前記通蒸口を塞ぐように貼着されたラベルを備え、
該ラベルは、前記内容物を加熱する前に前記いずれか一つのシート部から部分的に貼着状態が残るように剥がされて前記通蒸口を露出させ、前記内容物を加熱している際に前記通蒸口を露出した状態を維持し、前記内容物を加熱した後に前記通蒸口を覆うように前記いずれか一つのシート部に再貼着可能であることを特徴とする包装体。
【請求項6】
前記ラベルは、前記いずれか一つのシート部に貼着される粘着層で構成される最内層と、該最内層に積層される中間層と、該中間層に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層とを備えていることを特徴とする請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%であることを特徴とする請求項6に記載の包装体。
【請求項8】
前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmであることを特徴とする請求項6又は7に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子レンジで内容物を加熱することによって収容空間の圧力が上昇した場合に加熱によって生じる水蒸気を自動的に排出するように構成される包装体が知られている。
例えば、特許文献1には、容器本体のフランジ部に熱シールして容器本体の開口部を封止するために使用する蓋材であって、蒸気抜き孔と、この蒸気抜き孔を封止する蒸気抜きラベルと有する蓋材が開示されている。この蓋材の蒸気抜き孔ラベルは、熱収縮性フィルムからなる最外層である第1層と、熱収縮性を有しないフィルムからなる第2層と、粘着層を有し、第1層と第2層を接着する接着層は、1本以上の帯状の欠膠部分を有し、帯状の欠膠部分は第1層の熱収縮方向に直交するものである。
【0003】
特許文献1に示す蓋材によれば、包装体を電子レンジで加熱した場合、発生した水蒸気の温度によって、熱収縮性フィルムが収縮し、蒸気抜きラベルが上方に反り返ることにより蒸気抜き孔が開口して自動的に水蒸気が放出されることになる。
【0004】
また、特許文献2には、蒸気抜き用の開口部を備える容器と、開口部を覆うように貼付された通蒸ラベルとを有するラベル付き容器であって、通蒸ラベルが、開口部から排出される蒸気が通過する通蒸口を形成可能であり、所定の温度域で発色状態が変化する示温インク部を含む可変表示部を有するラベル付き容器が開示されている。
特許文献2に示すラベル付き容器によれば、通蒸ラベルが通蒸口を形成可能とされているため、マイクロ波処理用容器の開口部を閉塞しつつ、内容物が加熱された際には蒸気を排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-20782号公報
【特許文献2】特開2019-177907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これら特許文献1に示す蓋材及び特許文献2に示すラベル付き容器にあっては、以下の課題があった。
即ち、特許文献1に示す蓋材の場合、包装体を電子レンジで加熱した後においては、蒸気抜き孔が開口したままである。このため、内容物を収容した包装体を持ち運んだ際に、例えば店頭から当該包装体をテイクアウトした際に、内容物が蒸気抜き孔から漏れ出してしまうおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に示すラベル付き容器の場合、ラベル付き容器を電子レンジで加熱した後においては、マイクロ波処理用容器の開口部は通蒸ラベルで覆われているものの、通蒸ラベルに形成された通蒸口は開いたままである。このため、特許文献1に示す蓋材と同様に、内容物を収容したラベル付き容器を持ち運んだ際に、内容物が通蒸口から漏れ出してしまうおそれがある。
【0008】
従って、本発明はこの従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、内容物を電子レンジで加熱した後に内容物が漏れ出ることなく持ち運ぶことができる包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る包装体は、電子レンジで加熱される内容物を収容する包装体であって、前記内容物を収容する収容空間を有する容器と、該容器に取り付けられる蓋とを備え、該蓋が、前記収容空間を塞ぐように前記容器に取付けられるとともに、加熱によって生じる水蒸気を排出するための通蒸口を形成した蓋材と、該蓋材に、前記通蒸口を塞ぐように貼着されたラベルとを備え、該ラベルは、前記内容物を加熱する前に前記蓋材から部分的に貼着状態が残るように剥がされて前記通蒸口を露出させ、前記内容物を加熱している際に前記通蒸口を露出した状態を維持し、前記内容物を加熱した後に前記通蒸口を覆うように前記蓋材に再貼着可能であることを要旨とする。
【0010】
この包装体によれば、内容物を加熱した後に通蒸口を覆うようにラベルを蓋材に再貼着することで、通蒸口を封止でき、内容物が通蒸口から漏れ出ることなく持ち運ぶことができる。また、ラベルは、内容物を加熱している際に通蒸口を露出した状態を維持しているので、その通蒸口から水蒸気を通蒸することができる。内容物を加熱している際にラベルが通蒸口を塞いでしまうと、水蒸気が他の箇所、例えば、蓋材と容器との取付け部分(シール部分)から通蒸し、加熱後に持ち運ぶときにその取付け部分から内容物が漏れ出てしまうことがある。
【0011】
また、この包装体において、前記ラベルは、前記蓋材に貼着される粘着層で構成される最内層と、該最内層に積層される中間層と、該中間層に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層とを備えていることが好ましい。
この包装体によれば、ラベルは熱収縮性フィルムで構成される最外層を備えているから、内容物を加熱している際に発生した水蒸気の温度によって熱収縮性フィルムが蓋材に部分的に貼着しているところを中心に外方向に反るように収縮し、これによりラベルが反り返り、通蒸口を露出した状態を維持することができる。そして、この熱収縮性フィルムがラベルにおいて最外層に配置されているから、熱収縮性フィルムが外方向に反るように収縮する際にその収縮を阻害する層状物はなく、ラベルが容易且つ円滑に反り返り、通蒸口を露出した状態を維持することができる。
【0012】
また、この包装体において、前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%であることが好ましい。
この包装体によれば、内容物を加熱している際に、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまったり、ラベルの反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避できる。熱収縮性フィルムの熱収縮率が、5%未満であると、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの熱収縮率が、50%よりも大きいと、ラベルの反り返り量が大きすぎて蓋材に再貼着できなくなるおそれがある。
【0013】
また、この包装体において、前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmであることが好ましい。
この包装体によれば、内容物を加熱している際に、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまったり、ラベルの反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避できる。熱収縮性フィルムの厚みが30μmよりも厚いと、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの厚みが12μmよりも薄いと、ラベルの反り返り量が大きすぎて蓋材に再貼着できなくなるおそれがある。
【0014】
また、本発明の別の態様に係る包装体は、電子レンジで加熱される内容物を収容する包装体であって、複数のシート部を有するシートと、前記内容物を収容する収容空間が形成されるように前記複数のシート部をシールするシール部とを備え、前記複数のシート部のうちのいずれか一つのシート部に、加熱によって生じる蒸気を排出するための通蒸口を形成すると共に、該通蒸口が形成された前記いずれか一つのシート部に、前記通蒸口を塞ぐように貼着されたラベルを備え、該ラベルは、前記内容物を加熱する前に前記いずれか一つのシート部から部分的に貼着状態が残るように剥がされて前記通蒸口を露出させ、前記内容物を加熱している際に前記通蒸口を露出した状態を維持し、前記内容物を加熱した後に前記通蒸口を覆うように前記いずれか一つのシート部に再貼着可能であることを要旨とする。
【0015】
この包装体によれば、内容物を加熱した後に通蒸口を覆うようにラベルを通蒸口を形成したいずれか一つのシート部に再貼着することで、通蒸口を封止でき、内容物が通蒸口から漏れ出ることなく持ち運ぶことができる。また、ラベルは、内容物を加熱している際に通蒸口を露出した状態を維持しているので、その通蒸口から水蒸気を通蒸することができる。内容物を加熱している際にラベルが通蒸口を塞いでしまうと、水蒸気がシール部から通蒸し、加熱後に持ち運ぶときにそのシール部から内容物が漏れ出てしまうことがある。
【0016】
また、この包装体において、前記ラベルは、前記いずれか一つのシート部に貼着される粘着層で構成される最内層と、該最内層に積層される中間層と、該中間層に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層とを備えていることが好ましい。
この包装体によれば、ラベルは熱収縮性フィルムで構成される最外層を備えているから、内容物を加熱している際に発生した水蒸気の温度によって熱収縮性フィルムがいずれか一つのシート部に部分的に貼着しているところを中心に外方向に反るように収縮し、これによりラベルが反り返り、通蒸口を露出した状態を維持することができる。そして、この熱収縮性フィルムがラベルにおいて最外層に配置されているから、熱収縮性フィルムが外方向に反るように収縮する際にその収縮を阻害する層状物はなく、ラベルが容易且つ円滑に反り返り、通蒸口を露出した状態を維持することができる。
【0017】
また、この包装体において、前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%であることが好ましい。
この包装体によれば、内容物を加熱している際に、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまったり、ラベルの反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれはない。熱収縮性フィルムの熱収縮率が、5%未満であると、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの熱収縮率が、50%よりも大きいと、ラベルの反り返り量が大きすぎていずれか一つのシート部に再貼着できなくなるおそれがある。
【0018】
また、この包装体において、前記最外層を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmであることが好ましい。
この包装体によれば、内容物を加熱している際に、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまったり、ラベルの反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避できる。熱収縮性フィルムの厚みが30μmよりも厚いと、ラベルが反り返らずに通蒸口を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの厚みが12μmよりも薄いと、ラベルの反り返り量が大きすぎて蓋材に再貼着できなくなるおそれがある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る包装体によれば、内容物を電子レンジで加熱した後に内容物が漏れ出ることなく持ち運ぶことができる包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装体の、内容物を加熱する前の状態の斜視図である。
【
図2】
図1に示す状態からラベルを部分的に剥がした状態の包装体の斜視図である。
【
図4】
図2に示す状態から内容物を加熱している状態の斜視図である。
【
図6】
図4に示す状態からラベルを再貼着した状態の包装体の斜視図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る包装体の、内容物を加熱する前の状態の正面図である。
【
図8】
図7に示す状態からラベルを部分的に剥がした状態の包装体の正面である。
【
図10】
図8に示す状態から内容物を加熱している状態の斜視図である。
【
図12】
図10に示す状態からラベルを再貼着した状態の包装体の正面図である。
【
図13】比較例4の包装体を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
(第1実施形態)
図1には、本発明の第1実施形態に係る包装体の、内容物を加熱する前の状態が示されている。
図1に示す包装体1は、電子レンジで加熱される内容物Cを収容するとともに、内容物Cから発生した水蒸気X(
図4及び
図5参照)を排出する。内容物Cは、電子レンジで加熱されることによって水蒸気を発生する被加熱物であり、例えば食品である。
【0023】
この包装体1は、内容物Cを収容する収容空間12を有する容器10と、容器10に取り付けられる蓋20とを備えている。
容器10は、内容物Cを収容する収容空間12を有する上面が開口した直方体形状の容器本体11と、容器本体11の上縁に設けられたフランジ部13とを備えている。容器10の材質は、例えば、フィラー入りポリプロピレンである。
【0024】
蓋20は、
図1に示すように、収容空間12を塞ぐように容器10に取付けられる。
蓋20は、
図1に示すように、収容空間12を塞ぐように容器10に取付けられるとともに、加熱によって生じる水蒸気を排出するための通蒸口34を形成した蓋材30と、蓋材30に、通蒸口34を塞ぐように貼着されたラベル40とを備えている。
蓋材30は、縦方向(
図1における上下方向)の幅が狭く横方向(
図1における左右方向)の長さが長い所定の板厚を有する長方形平板状に形成され、容器本体11に設けられたフランジ部13にヒートシールされて容器本体11の開口を閉塞し、収容空間12を塞ぐ。
【0025】
蓋材30は、
図1に示すように、フランジ部13にヒートシールされる最内層31、最内層31に積層される中間層32、及び中間層32に積層される最外層33を備えている。最内層31としては、イージーピールシーラントが使用される。中間層32としては、延伸基材、例えば、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、延伸ナイロンフィルム(ONy)などが用いられる。また、最外層33は、透明の延伸基材、例えば、透明蒸着PETが用いられる。
【0026】
なお、最内層31と中間層32との間及び最外層33と中間層32との間には、図示はしないが、ガスバリア層が設けられている。
通蒸口34は、
図1に示すように、蓋材30の略中央部に形成され、横U字形にした1本の切れ目線で形成されている。蓋材30に横U字形にした通蒸口34を形成することで、通蒸口34の内側の領域には基端部35aから片持ち梁状に横方向に延びる舌片35が形成される。
【0027】
また、ラベル40は、
図1に示すように、所定の板厚を有する長方形平板状に形成され、その長手方向が横方向となるように、蓋材30に、通蒸口34を塞ぐように貼着される。
このラベル40は、
図2及び
図3に示すように、内容物Cを加熱する前に蓋材30から部分的に貼着状態が残るように剥がされて通蒸口34を露出させる。
ここで、ラベル40を剥がす際には、
図2及び
図3に示すように、ラベル40の、蓋材30に形成された舌片35の基端部35a側の長手方向一端部40bから剥がし、ラベル40の長手方向他端部40c側の基端部40aの貼着状態が残るようにする。これにより、
図3に示すように、舌片35が基端部35aを中心に外方向(上方向)にやや持ち上がるように回転しつつ、通蒸口34が露出する。
【0028】
このように、ラベル40を基端部40aの貼着状態が残るように蓋材30から剥がすことで、後述するラベル40の再貼着の際に、通蒸口34をしっかり塞げるような正確な位置に再貼着できることになる。
ラベル40の、蓋材30に形成された舌片35の基端部35a側の長手方向一端部40bから剥がすことで、舌片35が蓋材30から千切れてしまうことを防止することができる。ラベル40を、ラベル40の長手方向他端部40c側から剥がすと、舌片35がラベル40に貼りついたまま基端部35aを中心に外方向(上方向)に回転しすぎて、舌片35が蓋材30から千切れてしまうおそれがある。
【0029】
また、ラベル40は、
図4及び
図5に示すように、内容物Cを加熱している際には通蒸口34を露出した状態を維持する。
これにより、内容物Cを加熱している際に、
図4及び
図5に示すように、加熱した内容物Cから発生した水蒸気Xがその通蒸口34から通蒸することができる。ここで、内容物Cを加熱している際にラベル40が通蒸口34を塞いでしまうと、水蒸気が他の箇所、例えば、蓋材30と容器10との取付け部分(シール部分)から通蒸し、加熱後に持ち運ぶときにその取付け部分から内容物Cが漏れ出てしまうことがある。
【0030】
また、ラベル40は、内容物Cを加熱した後には、
図6に示すように、通蒸口34を覆うように蓋材30に再貼着可能となっている。ラベル40を再貼着する際には、貼着されている基端部40aのある長手方向他端部40cと反対側の長手方向一端部40b側から蓋材30に再貼着する。
これにより、通蒸口34を封止でき、内容物Cが通蒸口34から漏れ出ることなく包装体1を持ち運ぶことができる。
【0031】
ここで、ラベル40は、
図3及び
図5に示すように、蓋材30に貼着される粘着層で構成される最内層41と、最内層41に積層される中間層42と、中間層42に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層43とを備えている。
最内層41を構成する粘着層としては、例えば、アクリル粘着層が使用される。
また、中間層42としては、熱収縮性を有しないフィルム、例えば、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、延伸ナイロンフィルム(ONy)などの延伸基材が使用される。
【0032】
更に、最外層43を構成する熱収縮性フィルムとしては、例えば、熱収縮性を有するPETフィルムが用いられる。
このように、ラベル40は熱収縮性フィルムを構成する最外層43を備えているから、
図5に示すように、内容物Cを加熱している際に発生した水蒸気Xの温度によって最外層43を構成する熱収縮性フィルムが、貼着状態が残るラベル40の長手方向他端部40c側の基端部40aを中心に外方向(上方向)に反るように収縮し、これによりラベル40が反り返り、通蒸口34を露出した状態を維持することができる。
【0033】
そして、この熱収縮性フィルムがラベルにおいて最外層43に配置されているから、熱収縮性フィルムが外方向に反るように収縮する際にその収縮を阻害する層状物はなく、ラベル40が容易且つ円滑に反り返り、通蒸口34を露出した状態を維持することができる。
ここで、最外層43を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%となっている。これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル40が反り返らずに通蒸口34を塞いでしまったり、ラベル40の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避することができる。熱収縮性フィルムの熱収縮率が、5%未満であると、ラベル40が反り返らずに通蒸口34を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの熱収縮率が、50%よりも大きいと、ラベル40の反り返り量が大きすぎて蓋材30に再貼着できなくなるおそれがある。
【0034】
また、最外層43を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmとなっている。これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル40が反り返らずに通蒸口34を塞いでしまったり、ラベル40の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避することができる。熱収縮性フィルムの厚みが30μmよりも厚いと、ラベル40が反り返らずに通蒸口34を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの厚みが12μmよりも薄いと、ラベル40の反り返り量が大きすぎて蓋材30に再貼着できなくなるおそれがある。
【0035】
このように構成された包装体1において、包装体1内の内容物Cを喫食する際には、先ず、
図2及び
図3に示すように、内容物Cを加熱する前にラベル40をその長手方向一端部40b側から基端部40aの貼着状態が残るように蓋材30から剥がして通蒸口34を露出させる。
次いで、通蒸口34を露出した包装体1を電子レンジに入れて内容物Cを加熱する。
この加熱の際には、
図4及び
図5に示すように、内容物Cを加熱している際に発生した水蒸気Xの温度によってラベル40の最外層43を構成する熱収縮性フィルムが、貼着状態が残るラベル40の長手方向他端部40c側の基端部40aを中心に外方向(上方向)に反るように収縮し、これによりラベル40が反り返り、通蒸口34を露出した状態を維持する。
【0036】
これにより、加熱した内容物Cから発生した水蒸気Xはその通蒸口34から通蒸する。
次いで、電子レンジによる内容物Cの加熱が完了した後、包装体1を電子レンジから取り出し、ラベル40を、
図6に示すように、貼着されている基端部40aのある長手方向他端部40cと反対側の長手方向一端部40b側から蓋材30に再貼着し、通蒸口34を覆う。
次いで、通蒸口34をラベル40で覆った後、包装体1をマイバッグ等に入れ、持ち運ぶ(テイクアウトする)。
この際に、通蒸口34はラベル40で覆われているから、通蒸口34が封止されており、内容物Cが通蒸口34から漏れ出ることなく包装体1を持ち運ぶことができる。
その後、蓋20を容器10から分離し、加熱された内容物Cを喫食することが可能となる。
【0037】
このように、第1実施形態に係る包装体1によれば、蓋材30に形成された通蒸口34を塞ぐように貼着されたラベル40は、内容物Cを加熱する前に蓋材30から部分的に貼着状態が残るように剥がされて通蒸口34を露出させ、内容物Cを加熱している際に通蒸口34を露出した状態を維持し、内容物Cを加熱した後に通蒸口34を覆うように蓋材30に再貼着可能となっている。
【0038】
これにより、内容物Cを加熱した後に通蒸口34を覆うようにラベル40を蓋材30に再貼着することで、通蒸口34を封止でき、内容物Cが通蒸口34から漏れ出ることなく持ち運ぶことができる。また、ラベル40は、内容物Cを加熱している際に通蒸口34を露出した状態を維持しているので、その通蒸口34から水蒸気Xを通蒸することができる。内容物Cを加熱している際にラベル40が通蒸口34を塞いでしまうと、水蒸気Xが他の箇所、例えば、蓋材30と容器10との取付け部分(シール部分)から通蒸し、加熱後に持ち運ぶときにその取付け部分から内容物Cが漏れ出てしまうことがある。
【0039】
また、第1実施形態に係る包装体1によれば、ラベル40は、蓋材30に貼着される粘着層で構成される最内層41と、最内層41に積層される中間層42と、中間層42に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層43とを備えている。
これにより、ラベル40は熱収縮性フィルムを構成する最外層43を備えているから、内容物Cを加熱している際に発生した水蒸気Xの温度によって熱収縮性フィルムが蓋材30に部分的に貼着しているところを中心に外方向に反るように収縮し、これによりラベル40が反り返り、通蒸口34を露出した状態を維持することができる。そして、この熱収縮性フィルムがラベル40において最外層に配置されているから、熱収縮性フィルムが外方向に反るように収縮する際にその収縮を阻害する層状物はなく、ラベル40が容易且つ円滑に反り返り、通蒸口34を露出した状態を維持することができる。
【0040】
また、第1実施形態に係る包装体1によれば、最外層43を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%である。
これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル40が反り返らずに通蒸口34を塞いでしまったり、ラベル40の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避できる。
また、第1実施形態に係る包装体1によれば、最外層43を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmである。
これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル40が反り返らずに通蒸口34を塞いでしまったり、ラベル40の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避できる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る包装体について
図7乃至
図12を参照して説明する。
図7には、本発明の第2実施形態に係る包装体の、内容物を加熱する前の状態が示されている。
図7に示す包装体101は、
図1に示す第1実施形態に係る包装体1と同様に、電子レンジで加熱される内容物Cを収容するとともに、内容物Cから発生した水蒸気X(
図10及び
図11参照)を排出する。内容物Cは、電子レンジで加熱されることによって水蒸気を発生する被加熱物であり、例えば食品である。
第2実施形態に係る包装体101は、第1実施形態に係る包装体1が容器10と蓋20とで構成されているのに対し、スタンディングパウチを構成する点で相違している。
【0042】
このため、包装体101は、複数(本実施形態にあっては3つ)の第1シート部111、第2シート部112、及び底シート部113を有するシート110と、内容物Cを収容する収容空間114が形成されるように第1シート部111、第2シート部112、及び底シート部113をシールするシール部120とを備えている。
【0043】
第1シート部111及び第2シート部112は、内容物Cを収容する収容空間114が第1シート部111と第2シート部112との間に形成されるように対向している。第1シート部111及び第2シート部112は、左右方向(
図7における左右方向)及び上下方向(
図7における上下方向)に延びる略四角形状に形成される。底シート部113は、第1シート部111の底部(下部)と第2シート部112の底部(下部)との間を閉じるように第1シート部111の底部及び第2シート部112の底部に配置されている。
【0044】
第1シート部111、第2シート部112、及び底シート部113は、
図9に示すように、最内層111a、最内層111aに積層される中間層111b,及び最外層111cを備えている。最内層111aとしては、例えば、無延伸ポリプロピレン(CPP)が使用される。中間層111bとしては、延伸基材、例えば、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、延伸ナイロンフィルム(ONy)などが用いられる。また、最外層111cとしては、透明の延伸基材、例えば、透明蒸着PETが用いられる。
【0045】
シール部120は、上側シール部121、下側シール部122、第1側部シール部123、及び第2側部シール部124を備えている。上側シール部121は、第1シート部111及び第2シート部112の上縁の最内層111a同士を接合する。下側シール部122は、底シート部113の最内層111aと、第1シート部111の下縁の最内層111a及び第2シート部112の下縁の最内層111aとを接合する。第1側部シール部123は、第1シート部111及び第2シート部112の左縁の最内層111a同士を接合する。第2側部シール部124は、第1シート部111及び第2シート部112の右縁の最内層111a同士を接合する。
【0046】
そして、第1シート部111には、加熱によって生じる水蒸気X(
図10及び
図11参照)を排出するための通蒸口115が形成されている。
この通蒸口115は、
図7に示すように、第1シート部111の略中央部に形成され、左右U字形にした1本の切れ目線で形成されている。第1シート部111に左右U字形にした通蒸口115を形成することで、通蒸口115の内側の領域には基端部116aから片持ち梁状に左右方向に延びる舌片116が形成される。
【0047】
また、包装体101は、通蒸口115が形成された第1シート部111に、通蒸口115を塞ぐように貼着されたラベル130を備えている。
このラベル130は、第1実施形態におけるラベル40と同様に、所定の板厚を有する長方形平板状に形成され、その長手方向が左右方向となるように、第1シート部111に、通蒸口115を塞ぐように貼着される。
このラベル130は、
図8及び
図9に示すように、内容物Cを加熱する前に第1シート部111から部分的に貼着状態が残るように剥がされて通蒸口115を露出させる。
【0048】
ここで、ラベル130を剥がす際には、
図8及び
図9に示すように、ラベル130の、第1シート部111に形成された舌片116の基端部116a側の長手方向一端部130bから剥がし、ラベル130の長手方向他端部130c側の基端部130aの貼着状態が残るようにする。これにより、
図9に示すように、舌片116が基端部116aを中心に外方向(上方向)にやや持ち上がるように回転しつつ、通蒸口115が露出する。
このように、ラベル130を基端部130aの貼着状態が残るように第1シート部111から剥がすことで、後述するラベル130の再貼着の際に、通蒸口115をしっかり塞げるような正確な位置に再貼着できることになる。
【0049】
ラベル130の、第1シート部111に形成された舌片116の基端部116a側の長手方向一端部130bから剥がすことで、舌片116が第1シート部111から千切れてしまうことを防止することができる。ラベル130を、ラベル130の長手方向他端部130c側から剥がすと、舌片116がラベル130に貼りついたまま基端部116aを中心に外方向(上方向)に回転しすぎて、舌片116が第1シート部111から千切れてしまうおそれがある。
【0050】
また、ラベル130は、
図10及び
図11に示すように、内容物Cを加熱している際には通蒸口115を露出した状態を維持する。
これにより、内容物Cを加熱している際に、
図10及び
図11に示すように、加熱した内容物Cから発生した水蒸気Xがその通蒸口115から通蒸することができる。ここで、内容物Cを加熱している際にラベル130が通蒸口115を塞いでしまうと、水蒸気が上側シール部121、下側シール部122、第1側部シール部123、及び第2側部シール部124のいずれかから通蒸し、加熱後に持ち運ぶときにそのシール部から内容物Cが漏れ出てしまうことがある。
【0051】
また、ラベル130は、内容物Cを加熱した後には、
図12に示すように、通蒸口115を覆うように第1シート部111に再貼着可能となっている。ラベル130を再貼着する際には、貼着されている基端部130aのある長手方向他端部130cと反対側の長手方向一端部130b側から第1シート部111に再貼着する。
これにより、通蒸口115を封止でき、内容物Cが通蒸口115から漏れ出ることなく包装体101を持ち運ぶことができる。
【0052】
ここで、ラベル130は、
図9及び
図11に示すように、第1シート部111に貼着される粘着層で構成される最内層131と、最内層131に積層される中間層132と、中間層132に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層133とを備えている。
最内層131を構成する粘着層としては、例えば、アクリル粘着層が使用される。
また、中間層132としては、熱収縮性を有しないフィルム、例えば、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、延伸ナイロンフィルム(ONy)などの延伸基材が使用される。
【0053】
更に、最外層133を構成する熱収縮性フィルムとしては、例えば、熱収縮性を有するPETフィルムが用いられる。
このように、ラベル130は熱収縮性フィルムで構成される最外層133を備えているから、
図11に示すように、内容物Cを加熱している際に発生した水蒸気Xの温度によって最外層133を構成する熱収縮性フィルムが、貼着状態が残るラベル130の長手方向他端部130c側の基端部130aを中心に外方向(上方向)に反るように収縮し、これによりラベル130が反り返り、通蒸口115を露出した状態を維持することができる。
【0054】
そして、この熱収縮性フィルムがラベルにおいて最外層133に配置されているから、熱収縮性フィルムが外方向に反るように収縮する際にその収縮を阻害する層状物はなく、ラベル130が容易且つ円滑に反り返り、通蒸口115を露出した状態を維持することができる。
ここで、最外層133を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%となっている。これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル130が反り返らずに通蒸口115を塞いでしまったり、ラベル130の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避することができる。熱収縮性フィルムの熱収縮率が、5%未満であると、ラベル130が反り返らずに通蒸口115を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの熱収縮率が、50%よりも大きいと、ラベル130の反り返り量が大きすぎて第1シート部111に再貼着できなくなるおそれがある。
【0055】
また、最外層133を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmとなっている。これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル130が反り返らずに通蒸口115を塞いでしまったり、ラベル130の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避することができる。熱収縮性フィルムの厚みが30μmよりも厚いと、ラベル130が反り返らずに通蒸口115を塞いでしまうおそれがある。一方、熱収縮性フィルムの厚みが12μmよりも薄いと、ラベル130の反り返り量が大きすぎて第1シート部111に再貼着できなくなるおそれがある。
【0056】
このように構成された包装体101において、包装体101内の内容物Cを喫食する際には、先ず、
図8及び
図9に示すように、内容物Cを加熱する前にラベル130をその長手方向一端部130b側から基端部130aの貼着状態が残るように第1シート部111から剥がして通蒸口115を露出させる。
次いで、通蒸口115を露出した包装体101を電子レンジに入れて内容物Cを加熱する。
【0057】
この加熱の際には、
図10及び
図11に示すように、内容物Cを加熱している際に発生した水蒸気Xの温度によってラベル130の最外層133を構成する熱収縮性フィルムが、貼着状態が残るラベル130の長手方向他端部130c側の基端部130aを中心に外方向(上方向)に反るように収縮し、これによりラベル130が反り返り、通蒸口115を露出した状態を維持する。
これにより、加熱した内容物Cから発生した水蒸気Xはその通蒸口115から通蒸する。
【0058】
次いで、電子レンジによる内容物Cの加熱が完了した後、包装体101電子レンジから取り出し、ラベル130を、
図12に示すように、貼着されている基端部130aのある長手方向他端部130cと反対側の長手方向一端部130b側から第1シート部111に再貼着し、通蒸口115を覆う。
次いで、通蒸口115をラベル130で覆った後、包装体101をマイバッグ等に入れ、持ち運ぶ(テイクアウトする)。
【0059】
この際に、通蒸口115はラベル130で覆われているから、通蒸口115が封止されており、内容物Cが通蒸口115から漏れ出ることなく包装体101を持ち運ぶことができる。
その後、切断線CLに沿って包装体1を切断して収容空間14を開封し、加熱された内容物Cを喫食することが可能となる。
このように、第2実施形態に係る包装体101によれば、第1シート部111に形成された通蒸口115を塞ぐように貼着されたラベル130は、内容物Cを加熱する前に第1シート部111から部分的に貼着状態が残るように剥がされて通蒸口115を露出させ、内容物Cを加熱している際に通蒸口115を露出した状態を維持し、内容物Cを加熱した後に通蒸口115を覆うように第1シート部111に再貼着可能となっている。
【0060】
これにより、内容物Cを加熱した後に通蒸口115を覆うようにラベル130を第1シート部111に再貼着することで、通蒸口115を封止でき、内容物Cが通蒸口115から漏れ出ることなく包装体101を持ち運ぶことができる。また、ラベル130は、内容物Cを加熱している際に通蒸口115を露出した状態を維持しているので、その通蒸口115から水蒸気Xを通蒸することができる。内容物Cを加熱している際にラベル130が通蒸口115を塞いでしまうと、水蒸気Xが上側シール部121、下側シール部122、第1側部シール部123、及ぶ第2側部シール部124のいずれかから通蒸し、加熱後に持ち運ぶときにそのシール部から内容物Cが漏れ出てしまうことがある。
【0061】
また、第2実施形態に係る包装体101によれば、ラベル130は、第1シート部111に貼着される粘着層で構成される最内層131と、最内層131に積層される中間層132と、中間層132に積層され、熱収縮性フィルムで構成される最外層133とを備えている。
これにより、ラベル130は熱収縮性フィルムを構成する最外層133を備えているから、内容物Cを加熱している際に発生した水蒸気Xの温度によって熱収縮性フィルムが第1シート部111に部分的に貼着しているところを中心に外方向に反るように収縮し、これによりラベル130が反り返り、通蒸口115を露出した状態を維持することができる。そして、この熱収縮性フィルムがラベル130において最外層に配置されているから、熱収縮性フィルムが外方向に反るように収縮する際にその収縮を阻害する層状物はなく、ラベル130が容易且つ円滑に反り返り、通蒸口115を露出した状態を維持することができる。
【0062】
また、第2実施形態に係る包装体101によれば、最外層133を構成する熱収縮性フィルムの熱収縮率は、100℃30分加熱でMD、TD共に、5%~50%である。
これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル130が反り返らずに通蒸口115を塞いでしまったり、ラベル130の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避できる。
また、第2実施形態に係る包装体101によれば、最外層133を構成する熱収縮性フィルムの厚みは、12μm~30μmである。
【0063】
これにより、内容物Cを加熱している際に、ラベル130が反り返らずに通蒸口115を塞いでしまったり、ラベル130の反り返り量が著しく大きくて再貼着できなかったりするおそれを回避できる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、第1実施形態に係る包装体1における容器10の形状及び材質は図示した例に限られない。
また、第1実施形態に係る包装体1における蓋材30の形状及び層構造は図示した例に限られない。蓋材30は、長方形状に形成されているが、容器10の形状に応じて適宜変更することができる。また、蓋材30の中間層32及び最外層33を一つの層構成としてもよい。
【0064】
また、第2実施形態に係る包装体101は、スタンディングパウチを構成するものであるが、スタンディングパウチ以外の平袋タイプのパウチ、ガゼットタイプのパウチ、ピラータイプのパウチなど他のタイプのパウチに適用されても良い。
また、第2実施形態に係る包装体101におけるシート110は、第1シート部111、第2シート部112、及び底シート部113の3つのシート部によって構成されているが、そのシート部の数は複数であれば3つに限定されない。
【0065】
また、第1実施形態に係る包装体1における通蒸口34は蓋材30の略中央部に形成されているが、通蒸口34の形成場所は蓋材30であれば略中央部以外であってもよい。また、第2実施形態に係る包装体101における通蒸口115は、第1シート部111の略中央部に形成されているが、略中央部以外の第1シート部111の他の場所に形成されてもよく、また、第2シート部112や底シート部113に形成されていてもよい。つまり、通蒸口1115は、第1シート部111、第2シート部112、及び底シート部113のいずれか一つのシート部に形成されていればよい。
【0066】
また、第1実施形態に係る包装体1における通蒸口34及び第2実施形態に係る包装体101における通蒸口115の形状は、横U字形や左右U字形に限らず他の形状であってもよい。また、通蒸口34、115は、1本の切れ目線で形成されているが、複数の切れ目線で形成されてもよい。
また、第1実施形態に係る包装体1におけるラベル40及び第2実施形態に係る包装体101におけるラベル130の形状はそれぞれ長方形状に形成されているが、通蒸口34を開閉できる形状であればこれらに限定されない。
また、ラベル40、130において、最外層43、133が熱収縮性フィルムで構成され、中間層42、132が熱収縮性を有しないフィルムで構成されているが、最外層43、133が熱収縮性を有しないフィルムで構成され、中間層42、132が熱収縮性フィルムで構成されていてもよい。
【実施例0067】
本発明の効果を検証すべく、実施例1~3及び比較例1~2の包装体と、実施例4~6及び比較例3~4の包装体とのそれぞれについて、テイクアウト時の内容物の漏れについて調査した。
実施例1~3及び比較例1の包装体における容器、蓋材、及びラベルの仕様は次の通りである。比較例2の包装体については、容器及び蓋材の仕様は実施例1~3及び比較例1の包装体と同様であるが、蓋材に通蒸口を形成せずに、ラベルも貼着しなかった。
【0068】
(容器)
材質:フィラー入りPP
寸法:縦方向長さ185mm×横方向長さ185mm×深さ50mmの容器本体、フランジ部の幅8mm
(蓋材)
材質:(最外層)透明蒸着PET厚み12μm/(中間層)NY厚み15μm/(最内層)イージーピール厚み30μm
寸法:縦方向長さ185mm×横方向長さ185mm
通蒸口:横U字形の通蒸口を蓋材の中央部に形成
【0069】
(ラベル)
材質:(最外層)表1におけるA~DのPET/(中間層)OPP厚み50μm/(最内層)アクリル粘着層厚み20μm
ラベルの最外層を構成するA~DのPETついて、
PET-Aは東洋紡社製DE041でその熱収縮率は、100℃30分加熱で、MD:10(%)、TD:5(%)、PET-Bは東洋紡社製DE032でその熱収縮率は、100℃30分加熱で、MD:50(%)、TD:30(%)、PET-Cは東洋紡社製S7200でその熱収縮率は、100℃30分加熱で、MD:40(%)、TD:45(%)、PET-Dは東洋紡社製E5100で熱収縮性なし、である。
寸法:縦方向長さ30mm×横方向長さ30mm
貼着位置:蓋材の中央部の通蒸口を塞ぐ位置に貼着
【0070】
(その他の条件)
内容物としてスープパスタを容器内に充填した後、蓋材を容器にヒートシールし、電子レンジで600W、3分加熱した。その後、調理済み包装体を入れた手下げ袋を右手で持った状態で早歩き(時速5km)で100m歩行した。
実施例1~3及び比較例1~2の包装体の調査結果を表1に示す。
【0071】
【0072】
実施例1~3については、レンジアップ中において、ラベルが凹カール状態を維持して通蒸口から水蒸気が通蒸した。そして、テイクアウト時の内容物の漏れについては被験者10人につき漏れが発見されず、判定結果は「○」であった。
比較例1については、レンジアップ中において、ラベルが通蒸口に密着し、水蒸気が蓋材と容器のシール部分(シールフランジ)から通蒸した。このため、テイクアウト時の内容物の漏れについては被験者10人のうち4人が内容物のシールフランジからの漏れを発見し、判定結果は「×」であった。
【0073】
また、比較例2については、蓋材に通蒸口が形成されていないため、容器のコーナー部分において蓋材をフランジ部から剥離した。このため、コーナー剥離箇所から水蒸気が通蒸した。そして、テイクアウト時の内容物の漏れについては被験者10人のうち6人が内容物のコーナー剥離箇所からの漏れを発見し、判定結果は「×」であった。
【0074】
以上の結果から、容器、蓋材、及びラベルを備えた包装体において、最外層を熱収縮性フィルムで構成したラベルを用いることで、テイクアウト時の内容物の漏れを抑制できることが確認した。
また、実施例4~6及び比較例3の包装体におけるスタンディングパウチ及びラベルの仕様は次の通りである。比較例4の包装体については、後述する。
【0075】
(スタンディングパウチ)
各シート部の材質:(最外層)透明蒸着PET厚み12μm/(中間層)NY厚み15μm/(最内層)CPP厚み60μm
寸法:上下方向の高さ158mm×左右方向長さ160mm、各シール部の幅6mm
通蒸口:左右U字形の通蒸口を第1シート部の中央部に形成
【0076】
(ラベル)
材質:(最外層)表2におけるA~DのPET/(中間層)OPP厚み50μm/(最内層)アクリル粘着層厚み20μm
ラベルの最外層を構成するA~DのPETついて、
PET-Aは東洋紡社製DE041でその熱収縮率は、100℃30分加熱で、MD:10(%)、TD:5(%)、PET-Bは東洋紡社製DE032でその熱収縮率は、100℃30分加熱で、MD:50(%)、TD:30(%)、PET-Cは東洋紡社製S7200でその熱収縮率は、100℃30分加熱で、MD:40(%)、TD:45(%)、PET-Dは東洋紡社製E5100で熱収縮性なし、である。
寸法:縦方向長さ30mm×横方向長さ30mm
貼着位置:第1シート部の中央部の通蒸口を塞ぐ位置に貼着
【0077】
(その他の条件)
内容物としてスープパスタを各シート部間に形成される収容空間内に充填した後、シール部で各シートをシールし、電子レンジで600W、3分加熱した。その後、調理済み包装体を入れた手下げ袋を右手で持った状態で早歩き(時速5km)で100m歩行した。
【0078】
(比較例4について)
比較例4の包装体については、
図13に示されており、この包装体201は、3つの第1シート部211、第2シート部212、及び底シート部213を有するシート210と、内容物Cを収容する収容空間214が形成されるように第1シート部211、第2シート部212、及び底シート部213をシールするシール部220とを備えている。シール部220は、上側シール部221、下側シール部222、第1側部シール部223、及び第2側部シール224を備えている。
【0079】
そして、第1シート部211、第2シート部212、及び底シート部213のそれぞれの材質は、最外層:透明蒸着PET厚み12μm/中間層:NY厚み15μm/最内層:CPP厚み60μmである。また、スタンディングパウチの寸法は、上下方向の高さ158mm×左右方向長さ160mmである。また、上側シール部221、下側シール部222、第1側部シール部223、及び第2側部シール224の各々の幅は6mmである。
比較例4の包装体201においては、通蒸口が形成されず、ラベルは貼着されていない。このため、水蒸気を通蒸するために
図13に示すように第1シート部211及び第2シート部212のコーナー部にあるコーナー切断線230に沿って切断した。
実施例4~6及び比較例3~4の包装体の調査結果を表2に示す。
【0080】
【0081】
実施例4~6については、レンジアップ中において、ラベルが凹カール状態を維持して通蒸口から水蒸気が通蒸した。そして、テイクアウト時の内容物の漏れについては被験者10人につき漏れが発見されず、判定結果は「○」であった。
比較例3については、レンジアップ中において、ラベルが通蒸口に密着し、水蒸気が側部シール部から通蒸した。このため、テイクアウト時の内容物の漏れについては被験者10人のうち8人が内容物の側部シール部からの漏れを発見し、判定結果は「×」であった。
【0082】
また、比較例4については、第1シート部211及び第2シート部212のコーナー部にあるコーナー切断線230に沿って切断した箇所から水蒸気が通蒸した。そして、テイクアウト時の内容物の漏れについては被験者10人のうち6人が内容物のコーナー切断箇所からの漏れを発見し、判定結果は「×」であった。
以上の結果から、スタンディングパウチを想定した包装体において、最外層を熱収縮性フィルムで構成したラベルを用いることで、テイクアウト時の内容物の漏れを抑制できることが確認した。