IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-銀イオンミスト噴霧装置 図1
  • 特開-銀イオンミスト噴霧装置 図2
  • 特開-銀イオンミスト噴霧装置 図3
  • 特開-銀イオンミスト噴霧装置 図4
  • 特開-銀イオンミスト噴霧装置 図5
  • 特開-銀イオンミスト噴霧装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178245
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】銀イオンミスト噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20221125BHJP
   A61H 33/10 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A47K4/00
A61H33/10 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084887
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】市川 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】太田 将嵩
【テーマコード(参考)】
2D132
4C094
【Fターム(参考)】
2D132GA00
4C094AA01
4C094DD09
4C094DD40
4C094EE17
4C094FF11
4C094FF16
4C094GG16
(57)【要約】
【課題】浴室内の広範囲を銀イオンで効率的に除菌するとともに、銀イオンによる可動ルーバの黒ずみを防止して、美観の低下を防止する。
【解決手段】銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオン生成ユニット60及び送風機13を作動させるとともに、可動ルーバ16を回動させて、ミストノズル30から浴室4内に銀イオンミストを噴霧する銀イオンミスト噴霧処理を実行し、銀イオンミスト噴霧処理後、銀イオン生成ユニット60を停止させ、ミストノズル30に対して可動ルーバ16を所定の洗浄位置に保持した状態で、ミストノズル30から可動ルーバ16に水ミストを噴霧する水ミスト噴霧処理を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を送風する送風機と、
浴室内に空気を送風する吹出口を有する外装部材と、
吹出口に設けられ、アクチュエータによって吹出口からの風向を変更可能な可動ルーバと、
吹出口を介して浴室内にミストを噴霧するミストノズルと、
ミストノズルに接続された給水路と、
給水路に銀イオンを溶出させる銀イオン生成ユニットと、
銀イオンミスト噴霧運転を実行する制御装置と、を備える銀イオンミスト噴霧装置において、
制御装置は、銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオン生成ユニット及び送風機を作動させるとともに、可動ルーバを回動させて、ミストノズルから浴室内の所定の噴霧範囲に銀イオンミストを噴霧する銀イオンミスト噴霧処理と、
銀イオンミスト噴霧処理後、銀イオン生成ユニットを停止させ、ミストノズルに対して可動ルーバを所定の洗浄位置に保持した状態で、ミストノズルから可動ルーバに水ミストを噴霧する水ミスト噴霧処理と、を実行する銀イオンミスト噴霧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の銀イオンミスト噴霧装置において、
制御装置は、水ミスト噴霧処理において、送風機を停止させる銀イオンミスト噴霧装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の銀イオンミスト噴霧装置において、
水ミスト噴霧処理でミストノズルから可動ルーバに噴霧した水ミストの洗浄液が浴槽内に滴下するように設けられている銀イオンミスト噴霧装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の銀イオンミスト噴霧装置は、さらに、
浴室内の人の存在を検知する人感センサと、
報知器と、を備え、
制御装置は、銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオンミストを噴霧する前に人感センサで浴室内の人の存在が検知されると、浴室内に銀イオンミストが噴霧されることを報知器から報知させる銀イオンミスト噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内に銀イオンミストを噴霧可能な銀イオンミスト噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀イオン発生器を備え、ミストノズルから銀イオンミストを浴室内に噴霧して浴室の除菌を行う浴室洗浄装置が知られている(例えば、特許文献1)。この浴室洗浄装置では、浴室全体にミストを噴霧させるため、浴室の天井壁に浴室洗浄装置を設け、浴室洗浄装置の下面カバーに噴霧方向の異なる複数のミストノズルが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-183283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴室内の所望の範囲に送風を行うため、空気を送風する送風機と、下面カバーの吹出口に風向を変更可能な可動ルーバとを有する浴室空調装置がある。このような送風機及び可動ルーバを使用すれば、銀イオンミストも浴室内の広範囲に噴霧させることができる。
【0005】
しかしながら、ミストノズルから銀イオンミストを噴霧させながら、可動ルーバを回動させると、高濃度の銀イオンが可動ルーバに付着する。銀イオンは乾燥すると酸化して黒色の銀コロイドとなるため、可動ルーバに黒ずみが発生して、美観が低下するという問題ある。特に、暖房運転や乾燥運転では温風が可動ルーバを通過するため、銀イオンミストを噴霧させた後、これらの運転を行うと、可動ルーバに付着した銀イオンの乾燥が促進され、黒ずみが発生しやすい。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、浴室内の広範囲を銀イオンで効率的に除菌するとともに、銀イオンによる可動ルーバの黒ずみを防止して、美観の低下を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
空気を送風する送風機と、
浴室内に空気を送風する吹出口を有する外装部材と、
吹出口に設けられ、アクチュエータによって吹出口からの風向を変更可能な可動ルーバと、
吹出口を介して浴室内にミストを噴霧するミストノズルと、
ミストノズルに接続された給水路と、
給水路に銀イオンを溶出させる銀イオン生成ユニットと、
銀イオンミスト噴霧運転を実行する制御装置と、を備える銀イオンミスト噴霧装置において、
制御装置は、銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオン生成ユニット及び送風機を作動させるとともに、可動ルーバを回動させて、ミストノズルから浴室内の所定の噴霧範囲に銀イオンミストを噴霧する銀イオンミスト噴霧処理と、
銀イオンミスト噴霧処理後、銀イオン生成ユニットを停止させ、ミストノズルに対して可動ルーバを所定の洗浄位置に保持した状態で、ミストノズルから可動ルーバに水ミストを噴霧する水ミスト噴霧処理と、を実行する銀イオンミスト噴霧装置が提供される。
【0008】
上記銀イオンミスト噴霧装置によれば、銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオン生成ユニット及び送風機を作動させるとともに、可動ルーバを回動させ、吹出口を介してミストノズルから浴室内の所定の噴霧範囲に銀イオンミストを噴霧する銀イオンミスト噴霧処理を実行するから、浴室内の広範囲を銀イオンで効率的に除菌することができる。
【0009】
また、上記銀イオンミスト噴霧装置によれば、銀イオンミスト噴霧処理後、銀イオン生成ユニットを停止させ、ミストノズルに対して可動ルーバを所定の洗浄位置に保持した状態で、ミストノズルから可動ルーバに水ミストを噴霧する水ミスト噴霧処理を実行するから、銀イオンミスト噴霧処理で可動ルーバに付着した高濃度の銀イオンを水ミストにより洗い流すことができる。これにより、銀イオンによる可動ルーバの黒ずみを防止して、美観の低下を防止することができる。
【0010】
好ましくは、上記銀イオンミスト噴霧装置において、
制御装置は、水ミスト噴霧処理において、送風機を停止させる。
【0011】
上記銀イオンミスト噴霧装置によれば、水ミスト噴霧処理において、可動ルーバが洗浄位置に保持されているとともに、送風機が停止されているから、可動ルーバに噴霧される水ミストの飛散を低減することができる。これにより、より確実に可動ルーバに付着した銀イオンを洗い流すことができる。
【0012】
好ましくは、上記銀イオンミスト噴霧装置において、
水ミスト噴霧処理でミストノズルから可動ルーバに噴霧した水ミストの洗浄液が浴槽内に滴下するように設けられる。
【0013】
上記銀イオンミスト噴霧装置によれば、水ミスト噴霧処理でミストノズルから可動ルーバに噴霧した水ミストの洗浄液が日常的に洗浄される浴槽内に滴下するから、浴槽の黒ずみの発生を防止することができる。
【0014】
好ましくは、上記銀イオンミスト噴霧装置は、さらに、
浴室内の人の存在を検知する人感センサと、
報知器と、を備え、
制御装置は、銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオンミストを噴霧する前に人感センサで浴室内の人の存在が検知されると、浴室内に銀イオンミストが噴霧されることを報知器から報知させる。
【0015】
上記銀イオンミスト噴霧装置によれば、銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオンミストを噴霧する前に人感センサで浴室内の人の存在が検知されると、浴室内に銀イオンミストが噴霧されることを報知器から報知させるから、高濃度の銀イオンミストを噴霧させることができる。また、上記銀イオンミスト噴霧装置によれば、可動ルーバを洗浄する際に滴下する洗浄液が人にかかるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、浴室内の広範囲を銀イオンで効率的に除菌することができるとともに、銀イオンによる可動ルーバの黒ずみを防止して、美観の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る銀イオンミスト噴霧装置が設けられた浴室の一例を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る銀イオンミスト噴霧装置の下面カバーを取り外した状態を示す概略斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る銀イオンミスト噴霧装置の一例を示す概略縦断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る銀イオンミスト噴霧装置の一例を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る銀イオンミスト噴霧装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る銀イオンミスト噴霧運転における水ミスト噴霧処理中のミストノズルと可動ルーバとの位置関係を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る銀イオンミスト噴霧装置を浴室空調装置に適用した場合を例に挙げて説明する。
図1図3に示すように、本実施の形態の浴室空調装置1は、外装部材として、浴室4の天井壁41に開設された取付口40に対して埋め込み状態で取り付けられる略矩形箱状のケース本体11と、その下面の開口部110を浴室4側から覆う下面カバー12とを有している。なお、図1図3を含めて、各図面の各部材の大きさは説明を容易にするために適宜強調されており、実際の大きさを示すものではない。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態では、浴室4の後壁43に沿って略長方形状の浴槽44が配設されており、浴室4の前壁42側に洗い場45が設けられている。また、浴室4の取付口40は、浴槽44の上方位置、すなわち、天井壁41の後壁43寄りに開設されている。浴室空調装置1は、浴室4の取付口40に取り付けられた状態において、浴槽44の上方位置で且つ天井壁41の後壁43寄りに配設され、ケース本体11の前面板22は、洗い場45側(浴室4の前壁42側)に面している。
【0020】
なお、本明細書では、便宜上、浴室4の構造に合わせて、浴室4の前後壁42,43相互が対向する方向を浴室空調装置1の前後方向、左右側壁46,47相互が対向する方向を浴室空調装置1の左右方向とするが、これら前後左右方向は、実際の浴室空調装置1における前後左右方向と異なる場合がある。
【0021】
ケース本体11の上面板21は、略長方形状に形成されており、この上面板21の各辺から下方へ前面板22、後面板23、左側面板24、及び右側面板25が形成されている。これら周面板22,23,24,25の下端縁で囲まれた略矩形状の開口部110は、浴槽44の上域の空間に臨んでいる。
【0022】
上記周面板22,23,24,25の下端縁の外周には、その周縁から水平外方へ広がるようにフランジ26が形成されている。上記フランジ26は、ケース本体11の下面全周に亘って設けられており、ケース本体11は、このフランジ26の上面を取付口40の外周縁の下面側に当接させた状態でボルトナットを用いて固定される。なお、浴室空調装置1は、ケース本体11を浴室4の天井裏に吊り下げ、上記フランジ26の下面を取付口40の外周縁の上面側に当接させた状態で天井壁41に固定してもよい。
【0023】
ケース本体11の内部空間には、浴室空調装置1と浴室4との間で浴室4内の空気を循環させたり、浴室4内の空気を換気させたりする送風機であるファン13を収容する通風路100と、通風路100に連通する循環側通風路101及び換気側通風路102とが形成されている。循環側通風路101と換気側通風路102とは、通風路100の下流端から二股に分岐してそれぞれ異なる方向の下流に延びている。循環側通風路101には、ファン13によって通風路100に取り込まれた空気を加熱する熱交換器14が組み込まれている。
【0024】
ファン13は、クロスフローファンであり、その回転軸線がケース本体11の左右両側面板24,25へ向かって水平に延び且つ前面板22と略平行になるよう配設されている。回転軸13aには、ファンモータ13bが設けられている。
【0025】
熱交換器14は、ケース本体11の左右方向へ縦並びで配設される複数の矩形平板状のフィン14aと、これらフィン14aに対して左右方向から貫設される吸熱管14bとを有する。吸熱管14bは、温水循環管路15(図4参照)を通じて図示しない外部の給湯器と接続されている。また、図示しないが、温水循環管路15には、給湯器からの温水の供給を遮断可能な熱動弁が設けられている。
【0026】
循環側通風路101と換気側通風路102との分岐位置には、ダンパ18が設けられている。ダンパ18は、ダンパモータ18bの回転力が伝達される回転軸18aに支持されている。ダンパ18は、後述する銀イオンミスト噴霧運転や暖房運転では、換気側通風路102を閉塞して循環側通風路101を全開にする第1ポジションに位置し、換気運転では、循環側通風路101を閉塞して換気側通風路102を全開にする第2ポジションに位置し、乾燥運転では、循環側通風路101と換気側通風路102との間で循環側通風路101と換気側通風路102とを同時に半開とする第3ポジションに位置するように、制御される。
【0027】
下面カバー12は、その周縁が全周に亘って上方へ起立する略矩形平皿状に形成されており、ケース本体11のフランジ26に対して浴室4の内側から締結ネジ17によって着脱可能な状態で取り付けられる。この下面カバー12には、ケース本体11の左右方向へ長い複数のスリット121と、ケース本体11の左右方向へ長い略矩形状の吹出口122とが開設されている。
【0028】
スリット121は、下面カバー12の中央より後方側(後面板23側)の略領域全体に亘って形成されており、このスリット121を介して浴室4内とケース本体11内の通風路100とが繋がっている。従って、スリット121によって、吸込口が形成されている。一方、吹出口122は、下面カバー12の中央より前方側(前面板22側)の略中間部に形成されている。
【0029】
循環側通風路101の下流側には、可動ルーバ16が設けられている。可動ルーバ16は、ケース本体11の左右方向へ長い横長矩形平板状の第1整流板161及び第2整流板162と、それら各整流板161,162の左右端相互を繋ぐ側端板163とを有する。可動ルーバ16は、側端板163に設けられた回動軸16a(図4参照)が吹出口122の左右側面に対して回動可能な状態で軸支されている。一方の側端板163の回動軸16aには、アクチュエータであるルーバモータ16bが設けられており、ルーバモータ16bによって可動ルーバ16が所定の回転角度範囲内で回動される。
【0030】
第1整流板161は、吹出口122と略同一の幅寸法及び長さ寸法に設定されており、可動ルーバ16を所定の閉位置まで回動させることで、第1整流板161が吹出口122を閉塞し、吹出口122から浴室4内への空気の送風を阻止するように構成されている。また、第2整流板162は、第1整流板161より短い幅寸法に形成されており、第1整流板161と所定の間隔をもって略平行に並設されている。
【0031】
他方の側端板163の外側面には、浴室4内の人の存在を検知する赤外線センサや画像認識センサなどからなる人感センサ19が設けられている。下面カバー12には、ケース本体11の下面の開口部110を浴室4の内側から下面カバー12で覆ったとき、人感センサ19に対応する位置に貫通孔が形成されている。このため、下面カバー12がケース本体11に取り付けられると、人感センサ19の下端に設けられた検知部が下面カバー12の下面から一定の飛び出し量で浴室4内に突出し、浴室4の全体が人感センサ19の視野角に収まる。
【0032】
図2及び図3に示すように、循環側通風路101の下流側であって、可動ルーバ16の前方側(前面板22側)には、上方から吹出口122に臨むように、ミストノズル30が左右に離間して設けられている。ミストノズル30は、吹出口122が可動ルーバ16により閉塞されたとき、可動ルーバ16に覆い隠された状態(非露出状態)となる。これにより、非運転時にはすっきりした外観を形成することができる。
【0033】
ミストノズル30は、給水圧で水が供給されると、ミストノズル30から一定の広がり角度(例えば、約30度~約60度)で略円錐状にミストを噴霧するように構成されている。また、ミストノズル30は、孔軸線が鉛直方向に対して前方側(前面板22側)に所定の傾き角度(例えば、鉛直方向に対して約10度~約20度)の傾きをもって吹出口122の内側に配設されている。このミストノズル30の傾き角度は、例えば、ファン13を作動させて、可動ルーバ16を回動させたときに、送風により吹出口122からミストが拡散しながら浴室4の前壁42までミストが行き渡るように設定される。
【0034】
図4に示すように、ミストノズル30には、水道水を供給する給水路50が接続されている。給水路50には、上流側から順に、水フィルタ兼水抜き栓51と、2つの給水電磁弁52,53と、大気圧式バキュームブレーカ54と、銀イオン生成ユニット60とが介設されている。また、各給水電磁弁52,53と並列に過圧逃し弁55,56が介装されている。銀イオン生成ユニット60は、ケース本体11の外部に配置されてもよい。また、給水路50に給湯器から温水を供給してもよいし、給湯器の温水循環管路15から分岐した分岐管路に液々熱交換器を設け、給湯器から供給される温水により給水路50を流通する水を熱交換加熱してもよい。
【0035】
銀イオン生成ユニット60は、給水路50からの水に除菌作用のある銀イオンを溶出させ、銀イオンが溶出された水をミストノズル30に供給する。銀イオン生成ユニット60は、従来公知の構成を有し、図示しないが、陰極側の電極と陽極側の銀からなる電極とが水に浸された状態で対向して配置されている。これらの電極間に電圧が印加されることで、陽極側の電極から水に銀イオンが溶出する。従って、給水電磁弁52,53を開弁させた状態で銀イオン生成ユニット60を作動させると、ミストノズル30から銀イオンミストが噴霧され、給水電磁弁52,53を開弁させた状態で銀イオン生成ユニット60の作動を停止させると、ミストノズル30から水ミストが噴霧される。
【0036】
浴室空調装置1は、さらに、浴室空調装置1の運転制御を行う制御装置7と、浴室空調装置1の運転操作や動作設定を使用者が行うためのリモコンRと、所定の報知を行う報知器としてのスピーカ70とを備える。
【0037】
リモコンRは、例えば、浴室4内や浴室4に隣接する脱衣所などに設置される。図示しないが、リモコンRは、その操作(スイッチ操作等)によって、銀イオンミスト噴霧運転、暖房運転、換気運転、乾燥運転などの浴室空調装置1で実行可能な各種運転のオンオフ(運転の実行及びその停止)の指示、可動ルーバ16の風向の設定、浴室4の暖房温度の設定、ファン13の風量設定などを行い得るように構成されている。
【0038】
スピーカ70は、制御装置7の制御によって、使用者に各種報知音や音声を出力する。なお、本実施の形態では、スピーカ70は、リモコンRに搭載されている。しかしながら、スピーカ70は、使用者が報知を認識可能であれば、任意の位置に配置することができる。
【0039】
制御装置7は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路などを含む電子回路ユニットにより構成される。制御装置7は、例えば、ケース本体11内に配置される。なお、制御装置7は、相互に通信可能な複数の電子回路ユニットにより構成されてもよい。また、制御装置7は、ケース本体11の外部に配置されていてもよい。
【0040】
制御装置7は、給湯器の運転制御を行うために給湯器に搭載された図示しない給湯制御装置及びリモコンRとの間で、各種設定データ、指令データなどを有線または無線により通信し得るように構成されている。さらに、制御装置7には、人感センサ19や図示しない温度センサなどの各種センサで検知される検知信号が入力されるように構成されている。
【0041】
そして、制御装置7は、入力データを適宜使用しつつ、実装されたプログラムを実行することで、ファンモータ13b、ルーバモータ16b、ダンパモータ18b、給水電磁弁52,53などの各種制御弁、銀イオン生成ユニット60の動作を制御し、これらの動作制御を通じて、浴室空調装置1の運転制御を行う。
【0042】
次に、図5を参照して、本実施の形態の浴室空調装置1における銀イオンミスト噴霧運転の動作を説明する。なお、この浴室空調装置1では、いずれの運転が実行される場合でも、運転終了時、ダンパ18が換気側通風路102を閉塞して循環側通風路101を全開にする第1ポジションに位置するようにダンパモータ18bが動作制御されるが、銀イオンミスト噴霧運転の開始時にダンパ18が第1ポジションに位置するようにダンパモータ18bを動作制御してもよい。
【0043】
(銀イオンミスト噴霧処理)
使用者によるリモコンRの操作または事前に設定されたタイマ機能などによって銀イオンミスト噴霧運転の実行要求が発生すると、制御装置7はプログラムに従って銀イオンミスト噴霧処理を開始させる。
【0044】
銀イオンミスト噴霧処理では、制御装置7は、まず、リモコンRのスピーカ70から所定の開始案内(例えば、「銀イオン除菌を開始します。浴室に入らないでください」など)を報知させる(ステップS1)。これにより、使用者に銀イオンミスト噴霧運転の開始を注意喚起することができる。
【0045】
開始案内を報知させると、待機タイマをスタートさせ(ステップS2)、ファン13の作動を開始させる(ステップS3)。所定の待機時間(例えば、1分間)が経過して待機タイマがタイムアップしたときに(ステップS4で、Yes)、人感センサ19からの検知信号で所定時間(例えば、10秒間)、連続して浴室4内に人が存在するかどうかが判断される(ステップS5)。図示しないが、待機時間が経過したときに人感センサ19で浴室4内の人の存在が検知されれば(ステップS5で、Yes)、スピーカ70から再度、開始案内を報知させ、開始案内を再報知させた後でも人感センサ19で浴室4内の人の存在が継続して検知されると、運転の中止案内を報知させて、運転を停止させる。
【0046】
待機時間が経過したときに人感センサ19で浴室4内の人の存在が検知されなければ(ステップS5で、No)、スピーカ70から銀イオンミストの噴霧が開始されるミスト噴霧ブザーを報知させる(ステップS6)。
【0047】
次いで、給水電磁弁52,53を開弁させる(ステップS7)。また、パージタイマをスタートさせ(ステップS8)、所定のパージ時間(例えば、50秒間)、給水路50からミストノズル30に水を供給する。これにより、配管の洗浄及び配管に残っていた水の置換と、銀イオン生成ユニット60への水の充填とが行われ、ミストノズル30から安定してミストを噴霧させることができる。パージ時間が経過してパージタイマがタイムアップすると(ステップS9で、Yes)、銀イオン生成ユニット60を作動させるため、電極への通電を開始させる(ステップS10)。これにより、電極に電圧が印加されて、銀イオンが水に溶出される。
【0048】
銀イオン生成ユニット60を作動させると、第1噴霧タイマをスタートさせ(ステップS11)、ファン13による送風によって浴室4の前壁42に向かって銀イオンミストが噴霧されるように、可動ルーバ16を回動させて、所定の第1噴霧時間(例えば、40秒間)、可動ルーバ16を所定の第1噴霧位置に保持する(ステップS12)。これにより、可動ルーバ16が第1噴霧位置に保持されている間、連続して前壁42に向かって銀イオンミストが噴霧されるから、浴室空調装置1が後壁43寄りに設けられていても、前壁42に銀イオンミストを効率的に噴霧することができる。
【0049】
第1噴霧時間が経過して第1噴霧タイマがタイムアップすると(ステップS13で、Yes)、第2噴霧タイマをスタートさせ(ステップS14)、洗い場45に向かって銀イオンミストが噴霧されるように、可動ルーバ16を回動させて、所定の第2噴霧時間(例えば、15秒間)、可動ルーバ16を所定の第2噴霧位置に保持する(ステップS15)。これにより、可動ルーバ16が第2噴霧位置に保持されている間、連続して洗い場45に向かって銀イオンミストが噴霧されるから、洗い場45の床面に銀イオンミストを効率的に噴霧することができる。
【0050】
第2噴霧時間が経過して第2噴霧タイマがタイムアップすると(ステップS16で、Yes)、第3噴霧タイマをスタートさせ(ステップS17)、浴槽44よりも後壁43側に向かって銀イオンミストが噴霧されるように、可動ルーバ16を回動させ、所定の第3噴霧時間(例えば、30秒間)、可動ルーバ16を所定の第3噴霧位置でスイングさせる(ステップS18)。これにより、可動ルーバ16が第3噴霧位置でスイングされている間、吹出口122から送風される空気によって乱流が形成され、浴槽44から後壁43に亘って銀イオンミストを効率的に噴霧することができる。
【0051】
(水ミスト噴霧処理)
第3噴霧時間が経過して第3噴霧タイマがタイムアップし(ステップS19で、Yes)、銀イオンミスト噴霧処理が終了すると、続けて水ミスト噴霧処理に移行する。この水イオンミスト噴霧処理では、まず銀イオン生成ユニット60の電極への通電を停止させて、銀イオン生成ユニット60の作動を停止させるとともに、ファン13を停止させ、洗浄噴霧タイマをスタートさせる(ステップS20~S22)。次いで、吹出口122が第1整流板161で僅かに開いた状態となるように可動ルーバ16を回動させ、所定の洗浄噴霧時間(例えば、50秒間)、可動ルーバ16を所定の洗浄位置(例えば、図6に示すミストノズル30の孔軸線と前後方向における第1整流板161の延長線との交角θs:約60度~約80度)に保持する(ステップS23)。これにより、ミストノズル30から可動ルーバ16に向かって水ミストが連続して噴霧される。このとき、ファン13は停止されているとともに、吹出口122は可動ルーバ16で略閉塞されているから、可動ルーバ16に噴霧された水ミストの洗浄液は水滴となって、下方の浴槽44内に滴下する。洗浄噴霧時間が経過して洗浄噴霧タイマがタイムアップすると(ステップS24で、Yes)、給水電磁弁52,53を閉弁させて(ステップS25)、水ミスト噴霧処理を終了させる。
【0052】
なお、上記のようにして水ミスト噴霧処理が終了すると、乾燥運転に移行する(ステップS26)。図示しないが、この乾燥運転では、ファン13を再度、作動させるとともに、ダンパ18を既述した第3ポジションに移動させ、給湯器から温水を熱交換器14に供給して、設定された乾燥時間、温風を浴室4に送風しながら、浴室4内の空気の一部を外部に排出させる。
【0053】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、銀イオンミスト噴霧運転の実行要求があったとき、銀イオン生成ユニット60及びファン13を作動させるとともに、可動ルーバ16を浴室4やミストノズル30の構造に合わせて所定の噴霧位置に回動させて、吹出口122を介してミストノズル30から浴室4内に銀イオンミストが噴霧される。従って、浴室4内の広範囲に銀イオンを付着させることができる。
【0054】
また、本実施の形態によれば、銀イオンミスト噴霧処理後、銀イオン生成ユニット60及びファン13を停止させ、ミストノズル30に対して可動ルーバ16を所定の洗浄位置に保持した状態で、ミストノズル30から可動ルーバ16に水ミストを噴霧する水ミスト噴霧処理を実行するから、銀イオンミスト噴霧処理で可動ルーバ16に付着した高濃度の銀イオンを水ミストにより洗い流すことができる。これにより、銀イオンによる可動ルーバ16の黒ずみを防止して、美観の低下を防止することができる。特に、水ミスト噴霧処理では、可動ルーバ16が洗浄位置に保持されているとともに、ファン13も停止されているから、可動ルーバ16に噴霧される水ミストの飛散を低減することができる。また、可動ルーバ16に小粒径の水ミストを噴霧させるから、可動ルーバ16の広範囲に付着した銀イオンを効率的に洗い流すことができる。また、水ミスト噴霧処理中、浴槽44内には銀イオンを含む洗浄液が滴下するが、水ミストによって洗浄液中の銀イオン濃度は低下しており、また日常的に洗浄される浴槽44内に洗浄液が低下するから、浴槽44の黒ずみも防止できる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、人感センサ19で浴室4内に人がいないことを確認して、銀イオンミストを噴霧させるから、除菌効果の高い高濃度の銀イオンミストを噴霧させることができる。また、可動ルーバ16を洗浄する際に滴下する洗浄液が人にかかるのを防止することができる。
【0056】
また、本実施の形態では、銀イオンミスト噴霧運転後、乾燥運転を実行するから、浴室4内に噴霧された銀イオンが壁面から流れ落ちる前に、壁面に銀イオンを付着させておくことができ、高い除菌効果を得ることができる。また、乾燥運転で可動ルーバ16を温風が通過しても、乾燥運転前に可動ルーバ16に付着した銀イオンは洗い流されているから、銀イオンの乾燥による黒ずみを確実に防止することができる。
【0057】
従って、本実施の形態によれば、浴室4内の広範囲を銀イオンで効率的に除菌することができるとともに、銀イオンによる可動ルーバ16の黒ずみを防止して、美観の低下を防止することができる。
【0058】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、銀イオンミスト噴霧処理において、銀イオン生成ユニットの作動よりも後に可動ルーバを回動させている。しかしながら、本発明では、銀イオン生成ユニットの作動よりも前あるいは同時に可動ルーバを回動させてもよい。
【0059】
(2)上記実施の形態では、銀イオンミスト噴霧装置は浴室の天井壁に埋め込まれている。しかしながら、本発明では、銀イオンミスト噴霧装置は浴室の側壁に設けられてもよい。
【0060】
(3)上記実施の形態では、銀イオンミスト噴霧装置は、浴室空調装置に適用されている。しかしながら、本発明では、銀イオンミスト噴霧装置単独で使用してもよい。また、銀イオンミスト噴霧装置を、サウナミスト機能などの他の機能を有する浴室空調装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 浴室空調装置
4 浴室
7 制御装置
13 ファン
16 可動ルーバ
30 ミストノズル
50 給水路
60 銀イオン生成ユニット
122 吹出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6