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特開2022-178256画像処理装置、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178256
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】画像処理装置、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20221125BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20221125BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20221125BHJP
   H04N 1/401 20060101ALI20221125BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20221125BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H04N1/60 160
H04N1/60 300
G06T1/00 510
H04N1/407 780
H04N1/401
B41J2/525
G03G15/01 J
G03G15/01 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084914
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 彩子
(72)【発明者】
【氏名】久保 昌彦
【テーマコード(参考)】
2C262
2H300
5B057
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA04
2C262AA24
2C262AA26
2C262AA27
2C262AB11
2C262AC03
2C262BA14
2C262BA16
2C262BB03
2C262BC07
2C262BC13
2C262FA13
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC02
2H300EC05
2H300EJ09
2H300EJ10
2H300EJ48
2H300EJ50
2H300FF14
2H300FF20
2H300GG12
2H300GG17
2H300QQ25
2H300QQ28
2H300RR31
2H300RR37
2H300RR40
2H300SS04
2H300SS07
2H300SS08
2H300SS12
2H300TT03
2H300TT04
5B057AA11
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH07
5B057CH18
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC25
5C077LL19
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP37
5C077PQ08
5C077PQ23
5C077TT03
5C079HB03
5C079HB08
5C079HB12
5C079KA17
5C079LA02
5C079LA11
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA04
5C079MA10
5C079NA03
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】ハイライト部のメタリックトナー量を多くしても、メタリックトナーが存在するハイライト部の色再現が明るく計測され、プロファイルによる色変換後の色再現が自然な印象となる画像処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】メタリックトナーが使用されている場合の第1カラーパッチと、メタリックトナーを使用せず当該メタリックトナー以外のCMYKトナーが使用されている場合の第2カラーパッチとを記憶し、第1カラーパッチを測定することにより得られた第1測色値と第2カラーパッチを測定することにより得られた第2測色値とに基づいて第3測色値を算出し、第3測色値から入力色値を出力色値に変換するプロファイルを作成し、入力色値からプロファイルにより色変換されたCMYKトナーの総量がしきい値以下の場合に、第3測色値は第1測色値と第2測色値の間の値となり、しきい値を超える場合の第3測色値は第1測色値に一致する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
メタリックトナーが使用されている場合に用いられる第1カラーパッチと、メタリックトナーを使用せず当該メタリックトナー以外のCMYKトナーが使用されている場合に用いられる第2カラーパッチとを記憶し、
前記第1カラーパッチを測定することにより得られた第1測色値と、前記第2カラーパッチを測定することにより得られた第2測色値とを受付け、
前記第1カラーパッチを測色した第1測色値と、前記第2カラーパッチを測色した第2測色値とに基づいて第3測色値を算出し、当該第3測色値から入力色値を出力色値に変換するプロファイルを作成し、
入力色値から前記プロファイルにより色変換されたCMYKトナーの総量がしきい値以下の場合に、前記第3測色値は前記第1測色値と前記第2測色値の間の値となり、前記しきい値を超える場合の前記第3測色値は前記第1測色値に一致することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
メタリックトナー量は前記色変換後の前記CMYKトナーの総量に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第3測色値の算出では、前記CMYKトナーの総量が前記しきい値以下の場合、当該CMYKトナーの総量が少ない場合は前記第2測色値に近く、当該CMYKトナーの総量が多い場合には前記第1測色値に近くなるように算出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第3測色値の算出では、前記CMYKトナーの総量が0%の場合、当該第3測色値は前記第2測色値に一致することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記メタリックトナー量の決定では、前記CMYKトナーの総量が少なければ少ないほど、前記メタリックトナー量を増加するように当該メタリックトナー量を決定する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記メタリックトナー量の決定では、前記CMYKトナーの総量が前記しきい値以下の範囲では、当該しきい値を超える範囲より、当該メタリックトナー量を増加するように補正する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像処理装置として機能させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1以上のプロセス色トナーと、メタリックトナーとを用いて印刷を行う印刷装置と、入力色値を、前記メタリックトナーを用いずに印刷を行う場合の前記印刷装置の色再現特性に応じた各プロセス色トナーの量に変換する通常用色変換手段と、メタリック度毎に、当該メタリック度に対応するメタリックトナーの量を算出するメタリックトナー量算出手段と、メタリック度の指定を受け付けるメタリック度指定受付手段と、前記メタリック度指定受付手段に対して指定されたメタリック度に応じて入力色値を色変換した変換結果の各量の各プロセス色トナーと、当該指定されたメタリック度に応じて前記メタリックトナー量算出手段が求めた量のメタリックトナーと、を用いて前記印刷装置で印刷を行った場合の印刷結果の測色値が、当該入力色値を前記通常用色変換手段が変換した変換結果の各量の各プロセス色トナーを用いて前記印刷装置で印刷を行った場合の印刷結果の測色値と同等となるよう、前記入力色値を色変換するメタリック用色変換手段と、メタリックモードが指定された場合に、入力色値を、前記メタリック度指定受付手段に対して指定されたメタリック度に対応する前記メタリック用色変換手段が変換した変換結果の前記各プロセス色トナーの量と、当該メタリック度に応じて前記メタリックトナー量算出手段が求めたメタリックトナーの量と、を前記印刷装置に入力して前記印刷装置に印刷を実行させる印刷実行手段と、を備える画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5910405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メタリック感を向上させるためCMYKトナー量の少ないハイライト部のメタリックトナー量を多くした場合、メタリックトナーの隠蔽性により、拡散光が暗くなってしまうため、目視の印象とは異なり、測色器では明るく計測されない。このような条件では測色器で計測された測色値に基づいて作成したプロファイルで色変換を行うことにより、ハイライト部の色再現が不自然な印象となる課題があった。
【0005】
本発明は、CMYKトナー量にかかわらず用いられるカラーパッチが同じである場合と比較して、ハイライト部のメタリック感を向上させるために、ハイライト部のメタリックトナー量を多くしても、メタリックトナーが存在するハイライト部の色再現が明るく計測され、プロファイルによる色変換後の色再現が自然な印象となる画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る画像処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、メタリックトナーが使用されている場合に用いられる第1カラーパッチと、メタリックトナーを使用せず当該メタリックトナー以外のCMYKトナーが使用されている場合に用いられる第2カラーパッチとを記憶し、前記第1カラーパッチを測定することにより得られた第1測色値と、前記第2カラーパッチを測定することにより得られた第2測色値とを受付け、前記第1カラーパッチを測色した第1測色値と、前記第2カラーパッチを測色した第2測色値とに基づいて第3測色値を算出し、当該第3測色値から入力色値を出力色値に変換するプロファイルを作成し、入力色値から前記プロファイルにより色変換されたCMYKトナーの総量がしきい値以下の場合に、前記第3測色値は前記第1測色値と前記第2測色値の間の値となり、前記しきい値を超える場合の前記第3測色値は前記第1測色値に一致することを特徴とする。
【0007】
第2態様に係る画像処理装置は、前記プロセッサは、メタリックトナー量は前記色変換後の前記CMYKトナーの総量に基づいて決定されることを特徴とする。
【0008】
第3態様に係る画像処理装置は、前記プロセッサは、前記第3測色値の算出では、前記CMYKトナーの総量が前記しきい値以下の場合、当該CMYKトナーの総量が少ない場合は前記第2測色値に近く、当該CMYKトナーの総量が多い場合には前記第1測色値に近くなるように算出されることを特徴とする。
【0009】
第4態様に係る画像処理装置は、前記プロセッサは、前記第3測色値の算出では、前記CMYKトナーの総量が0%の場合、当該第3測色値は前記第2測色値に一致することを特徴とする。
【0010】
第5態様に係る画像処理装置は、前記プロセッサは、前記メタリックトナー量の決定では、前記CMYKトナーの総量が少なければ少ないほど、前記メタリックトナー量を増加するように当該メタリックトナー量を決定する。
【0011】
第6態様に係る画像処理装置は、前記プロセッサは、前記メタリックトナー量の決定では、前記CMYKトナーの総量が前記しきい値以下の範囲では、当該しきい値を超える範囲より、当該メタリックトナー量を増加するように補正する。
【0012】
第7態様に係る画像処理プログラムは、コンピュータを、第1態様~第6態様のいずれか1つに記載の画像処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
第1態様によれば、CMYKトナー量にかかわらず用いられるカラーパッチが同じである場合と比較して、ハイライト部のメタリック感を向上させるために、ハイライト部のメタリックトナー量を多くしても、メタリックトナーが存在するハイライト部の色再現が明るく計測され、プロファイルによる色変換後の色再現が自然な印象となる、という効果を有する。
【0014】
第2態様によれば、CMYKトナーの総量に基づかずメタリックトナー量を決定する場合に比べ、メタリックトナーが存在するハイライト部の色再現を向上させることができる、という効果を有する。
【0015】
第3態様によれば、CMYKトナーの総量に応じて、第3測色値を算出ことができる、という効果を有する。
【0016】
第4態様によれば、CMYKトナーの総量が0%の場合は、第2測色値で第3測色値を算出ことができる、という効果を有する。
【0017】
第5態様によれば、CMYKトナーの総量に応じたハイライト部の色再現を向上させることができる、という効果を有する。
【0018】
第6態様によれば、CMYKトナーの総量が多いシャドー部の色再現を保ったまま、メタリックトナーが存在するハイライト部の色再現を向上させることができる、という効果を有する。
【0019】
第7態様によれば、CMYKトナー量にかかわらず用いられるカラーパッチが同じである場合と比較して、ハイライト部のメタリック感を向上させるために、ハイライト部のメタリックトナー量を多くしても、メタリックトナーが存在するハイライト部の色再現が明るく計測され、プロファイルによる色変換後の色再現が自然な印象となる、画像処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る画像処理システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置の概略ブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略ブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置のプリントエンジンの一例の構成を説明するための説明図である。
図5】本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図6】従来技術に記載されているプロファイルで色変換後のCMYK色の色値(C,M,Y,K)の各成分の合計であるCMYKトナー量とメタリックトナー量との関係の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るプロファイルによる色変換後のプロセス色の色値(C,M,Y,K)の各成分の合計であるCMYKトナー量とメタリックトナー量との関係の一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置のプロファイルの作成処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係る画像形成装置の色変換の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
図1は、本実施形態に係る画像処理システム10の概略構成を示す図である。
【0023】
図1に示すように、画像処理システム10は、画像処理装置100と、画像形成装置200とが、ネットワークNなどの通信手段に接続されて構成されている。なお、通信手段としては、後述するように、LAN(=Local Area Network)、WAN(=Wide Area Network)、インターネット、イントラネットやイーサネット(登録商標)などの各種ネットワークを適用することができる。また、図1では、画像処理装置100を1台と、画像形成装置200を1台の例を示しているが、この数に限定するものではない。ここで、画像処理装置100は、本実施形態では、PC(Personal Computer)である。また、画像形成装置200は、プリント機能などの各種の機能を有するものである。なお、画像形成装置200は、プリント機能の他に、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナー機能などを有してもよい。
【0024】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、画像処理装置100は、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ストレージ104、入力部105、表示部106、通信部107を有する。各構成は、バス108を介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
CPU101は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU101は、ROM102又はストレージ104からプログラムを読み出し、RAM103を作業領域としてプログラムを実行する。CPU101は、ROM102又はストレージ104に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM102又はストレージ104には、プログラムが格納されている。
【0027】
ROM102は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM103は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ104は、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0028】
入力部105は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0029】
表示部106は、第1デバイスの一例であって、例えば、液晶ディスプレイである。表示部106は、CPU101の制御に基づき各種の情報を表示する。また、表示部106は、タッチパネル方式を採用して、入力部105として機能してもよい。本明細書にあっては、液晶ディスプレイを入力デバイスとして説明する。
【0030】
通信部107は、画像形成装置200や、図示しないサーバ装置等の他の機器と通信するためのものであり、例えば、LAN、公衆回線、インターネット、イントラネット、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0031】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0032】
図3に示すように、画像形成装置200は、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、ストレージ204、入力部205、表示部206、文書読取部207、プリントエンジン208、通信部209を有する。各構成は、バス210を介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
CPU201は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU201は、ROM202又はストレージ204からプログラムを読み出し、RAM203を作業領域としてプログラムを実行する。CPU201は、ROM202又はストレージ204に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM202又はストレージ204には、プログラムが格納されている。
【0034】
ROM202は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM203は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ204は、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0035】
入力部205は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0036】
表示部206は、例えば、液晶ディスプレイである。表示部206は、CPU201の制御に基づき各種の情報を表示する。また、表示部206は、タッチパネル方式を採用して、入力部205として機能してもよい。
【0037】
文書読取部207は、画像形成装置200の上部に設けられた図示しない自動送り装置の給紙台に置かれた文書を1枚ずつ取り込み、取り込んだ文書を光学的に読み取って画像情報を得るものである。あるいは、文書読取部207は、プラテンガラスなどの台に置かれた文書を光学的に読み取って画像情報を得るものである。
【0038】
プリントエンジン208は、画像処理装置100から得られた画像情報に基づく画像、又は文書読取部207による読み取りによって得られた画像情報を、紙などの記録媒体に形成、すなわち、印刷するものである。
【0039】
通信部209は、画像処理装置100や、図示しないサーバ装置等の他の機器と通信するためのものであり、例えば、LAN、公衆回線、インターネット、イントラネット、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0040】
また、通信部209は、画像形成装置200を公衆回線に接続し、FAX(Facsimile)機能を有する他の画像形成装置と文書読取部207による読み取りによって得られた画像情報を送受信するものである。
【0041】
図4に、本実施形態の画像形成装置200が備えるプリントエンジン208の一例の構成を模式的に示す。この例のプリントエンジン208は、中間転写体方式の電子写真型フルカラープリントエンジンであり、色材として各色のトナーを用いる。また、このプリントエンジン208は、タンデム型の感光体配置構成を有する。この感光体配置構成は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(黒)からなるCMYKトナー用の感光体220の下流に、メタリック感を付加するためのメタリックトナーMt用の感光体220を有する。
【0042】
ここでいうメタリック感とは、金属的な光り方のことであり、滑らかな金属表面が呈する光の正反射による金属光沢感と、様々な方向に向いた金属等の微細な切子面や金属細片の集まりが呈する入射光の向きの変化に応じてキラキラと輝く感じを示すスパークル感とを総称したものである。
【0043】
図4の例では、各感光体220に形成されたトナー像は、中間転写体ベルト224の進行方向に沿って上流側から下流側へ、Y,M,C,K,Mtの順に、中間転写体ベルト224上に見当合わせされた上で転写(一次転写)される。これにより中間転写体ベルト224上には、メタリックトナーMtの層の下にYMCKの各トナーの層を含んだフルカラートナー像が形成される。このフルカラートナー像が、二次転写部228にて、媒体搬送系226により搬送されてくる印刷媒体(例えばシート状の用紙)に対して転写(二次転写)される。これにより、印刷媒体5の表面上には、YMCKの各トナーの層の下にメタリックトナーMtの層が形成されたフルカラートナー像が形成され、このフルカラートナー像が定着部229により印刷媒体に対して定着される。
【0044】
なお、図4の例において、CMYKトナー用の感光体220の配列順が上流側からY,M,C,Kの順であるのはあくまで一例に過ぎない。また、YMCKの感光体220の上流にメタリックトナーMt用の感光体220を配置することを排除するものではない。
【0045】
なお、メタリックトナーMtには、銀色のシルバートナー(Si)や、金色のゴールドトナー(G)などが含まれるが、本実施形態では、シルバートナー(Si)を用いる場合について説明する。
【0046】
画像処理装置100は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。画像処理装置100が実現する機能構成について説明する。
【0047】
図5は、画像処理装置100の機能構成の例を示すブロック図である。
図5に示すように、画像処理装置100は、機能構成として、カラーパッチ作成部120、測色値受付部130、プロファイル作成部140、色変換部150を有する。各機能構成は、CPU101がROM102又はストレージ104に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0048】
(カラーパッチ作成部120)
画像処理装置100のCPU101は、メタリックトナーが使用されている場合に用いられる第1カラーパッチと、メタリックトナーを使用せず当該メタリックトナー以外のCMYKトナーが使用されている場合に用いられる第2カラーパッチとを記憶する。
具体的には、画像形成装置200のCMYKの各トナーとメタリックトナーMtとの任意の組み合わせに対する第1カラーパッチを作成し、画像形成装置200にて印刷する。また、画像形成装置200のメタリックトナーMt以外のCMYKの各トナーの任意の組み合わせに対する第2カラーパッチを作成し、画像形成装置200にて印刷する。測色計(図示せず)を用いて第1カラーパッチを測定することにより第1測色値(L*a*b*)と、第2カラーパッチを測定することにより第2測色値(L*a*b*)とを得る。かかる第1測色値と第2測色値とは、本実施形態では、CIE L*a*bの、デバイス非依存の表色系の値として求められる。また、本実施形態では、測色計によるカラーパッチの測定は、照明から拡散方向(45°)において測定される。なお、照明から拡散方向(45°)から測定する場合に限定されず、他の角度で測定してもよいし、又、複数の角度から測定してもよい。
【0049】
(測色値受付部130)
測色値受付部130は、測色計により第1カラーパッチを測定することにより得られた第1測色値(L*a*b*)と、第2カラーパッチを測定することにより得られた第2測色値(L*a*b*)とを受け付ける。
【0050】
(プロファイル作成部140)
プロファイル作成部140は、メタリックトナーMtを使用した第1カラーパッチを測色した第1測色値とメタリックトナーMtを使用しない第2カラーパッチを測色した第2測色値に基づいて第3測色値を算出し、第3測色値から入力色値を出力色値に変換するプロファイルを作成する。
【0051】
プロファイル作成部140による測色値からプロファイルの作成手法は、既知の手法を用いる。例えば、出力色値であるCMYKの各トナーの組み合わせについてのカラーパッチを測色して測色値であるL*a*b*を取得することにより、C、M、Y、KとL*a*b*との組が得られる。この組を用いることにより(L*、a*、b*)=f(C、M、Y、K)なる関数が得られるので、これを用いて公知の方法でプロファイルを作成することができる。このプロファイルを用いることにより、入力色値L*a*b*から出力色値であるCMYKを求めることができる。なお、このプロファイル作成時に用いる関数としては、重回帰式、ニューラルネットワーク、ダイレクトルックアップテーブルを用いた補間など、一般的な関数を用いることができる。また、プロファイルは、ICCプロファイル等に代表される公知の色変換方法用の色変換パラメータである。具体的には、入力色値であるL*a*b*から出力色値であるCMYKを出力するダイレクトルックアップテーブルが代表的に用いられるが、色変換方法はダイレクトルックアップテーブルだけに限らず、マトリックス変換等の他方式でもよい。
【0052】
また、プロファイル作成部140は、第1測色値と第2測色値を元に算出される第3測色値から、プロファイルを作成する。プロファイルは、入力色値(L*a*b*)から出力色値(C, M, Y, K)を算出するプロファイルである。
【0053】
第3測色値について、具体的に説明する。
第3測色値Lab3は、プロファイル変換後のCMYKトナー量の総量であるCMYKトナー量が第1しきい値以下の場合は、次の式1によって算出される。
Lab3 =(1.0 - rate) * Lab2 + rate * Lab1
ここで、rateは、CMYKトナー量/第1しきい値である。Lab1はメタリックトナーMtを使用した第1測色値であり、Lab2はメタリックトナーMtを使用しない第2測色値である。また、第1しきい値については、メタリックトナーMtを使用した場合の第1測色値が測色計で暗く計測されてしまうハイライト部を設定するためのしきい値であり、本実施形態では、100%である。なお、第1しきい値は、100%に限定されないが、例えば、50%~150%の範囲であることが望ましい。
【0054】
すなわち、上述の式1は、CMYKトナー量が第1しきい値以下のハイライト部の場合は、メタリックトナーMtの影響により、測色計で暗く測定されてしまうため、暗く測色されるメタリックトナーMtを使用している第1測色値と、明るく見えるメタリックトナーMtを使用していない第2測色値を用いて、CMYKトナー量が0%では第2測色値、CMYKトナー量が第1しきい値では第1測色値となり、CMYKトナー量が0%を超え第1しきい値以下の間では、第1測色値から第2測色値までに線形的に補間されるように、第3測色値を算出する。
【0055】
また、CMYKトナー量が第1しきい値を超える場合は、次の式2によって第3測色値が作成される。
Lab3=Lab1
すなわち、CMYKトナー量が第1しきい値を超える場合は、第3測色値として、メタリックトナーMtを使用した第1測色値をそのまま使用する。第1しきい値を超える場合は、第1測色値を使ってプロファイルを決定することにより、メタリックトナーMtが色再現に与える影響をCMYKトナー量で補正することができ、入力色値に近い色再現を得ることが可能となる。
【0056】
そして、上述した式1,式2を元に算出された第3測色値Lab3を使用して既知の手法を用いてプロファイルを作成する。
【0057】
(色変換部150)
色変換部150は、まず、画像形成装置200に印刷させるRGB等の画像データを印刷4原色のCMYK色空間に変換することによってCMYK4色の画像データを生成する。
【0058】
また、色変換部150は、メタリックトナーMtを使用して印刷する場合は、プロファイルで変換することでプロファイルの色値(C,M,Y,K)に変換する。また、プロファイルで変換した色値(C,M,Y,K)から、後述するCMYKトナー量に対するメタリックトナー量を算出する。
【0059】
色変換部150による変換後の各プロセス色の色値(C,M,Y,K,Mt)の各成分は、C,M,Y,K,Mtの各色トナーの濃度(画素当たりのトナー量)に対応している。
【0060】
色変換部150により求められた各画素の色値(C,M,Y,K,Mt)は、プリントエンジン208に出力され、C,M,Y,K,Mtに応じてそれぞれ対応する感光体2に対する露光を制御することで画像を形成する。
【0061】
図6に、従来技術に記載されているプロファイルで色変換後のCMYK色の色値(C,M,Y,K)の各成分の合計であるCMYKトナー量とメタリックトナー量との関係の一例を示す。例示する関数では、CMYKトナー量が0~100%の範囲ではメタリックトナー量が0%から第1しきい値の一例である100%まで直線的に上昇し、CMYKトナー量が100~第2しきい値の一例である150%の範囲ではメタリックトナー量=100%の一定値であり、CMYKトナー量が150~260%の範囲ではメタリックトナー量が100%から0%まで直線的に下降する。このように第1しきい値からCMYKトナー量が0%までメタリックトナー量を減らすことにより、ハイライト部の測色値は見た目に近い明るい値として測定されるので、メタリックトナーMtを使用した第1測色値のみを用いてプロファイルを作成しても、ハイライト部の色再現は自然な印象が得られる。しかしながら、図6では、ハイライト部のメタリックトナー量が少ないことで、ハイライト部のメタリック感が弱くなってしまうという課題がある。
なお、かかるCMYKトナー量とメタリックトナー量との関係は、相関関係が図6に示すような関係であれば、図6に示す量に限定されない。
【0062】
図7に、本発明のプロファイルによる色変換後のプロセス色の色値(C,M,Y,K)の各成分の合計であるCMYKトナー量とメタリックトナー量との関係の一例を示す。例示する関係では、CMYKトナー量が0~150%の範囲ではメタリックトナー量=100%の一定値であり、CMYKトナー量が150~260%の範囲ではメタリックトナー量が100%から0%まで直線的に下降する。
なお、かかるCMYKトナー量とメタリックトナー量との関係は、相関関係が図7に示すような関係であれば、図7に示す量に限定されない。
【0063】
図7では、第1測色値と第2測色値とを用いて作成したプロファイルを使用することにより、第1しきい値に対してCMYKトナー量が少ない部分の測色値は、メタリックトナーMtを使わない第2測色値に近い値に補正される。そして、補正の結果、CMYKトナー量が少ないハイライト部において、メタリックトナー量を増やしても、測色値が暗く測定されることはなく、プロファイルによる色変換により自然な色再現が得られる。また、図7ではCMYKトナー量が0%から第1しきい値までの領域のメタリックトナー量が図6に比べて多くなっているため、ハイライト部において強いメタリック感が得られる。
【0064】
なお、図6及び図7の例において、CMYKトナー量が第2しきい値である150%を超える範囲で、CMYKトナー量の増加に応じてメタリックトナー量徐々に減らしているのは、シャドー部の色再現性を担保するためである。CMYKトナー量の多いシャドー部において、メタリックトナー量を多くすると、メタリックトナーの影響により濃い色再現が得られないが、CMYKトナー量の多いシャドー部のメタリックトナー量を減らすことにより、濃い色再現が得られるようになる。
【0065】
次に、画像処理装置100の作用について説明する。
【0066】
図8は、プロファイルを作成する場合の画像処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
ステップS100において、CPU101(カラーパッチ作成部120)は、第1カラーパッチと第2カラーパッチとを作成し、プロファイルを作成する画像形成装置200で印刷する。そして、次のステップS101に進む。
【0068】
ステップ101において、CPU101(測色値受付部130)は、ステップS100で印刷されたカラーパッチを測色計で測色した結果(第1測色値と第2測色値)を受け付ける。そして、次のステップS102に進む。
【0069】
ステップS102において、CPU101(プロファイル作成部140)は、ステップS101で受け付けた測色値に基づいて、プロファイル(第1プロファイル、第2プロファイル、第3プロファイル)を作成し、記憶する。そして、処理を終了する。
【0070】
図9は、作成したプロファイルを用いて色変換をする場合の画像処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS200において、印刷するデータ(画像)を受け付ける。なお、画像処理装置100で印刷するデータを受け付ける場合に限定されず、印刷するデータを作成してもよい。そして、次のステップS201に進む。
【0072】
ステップS201において、図8のステップS102で作成し、記憶されたプロファイルを使用して印刷するデータの色変換を行い、各色成分(C’,M’,Y’,K’,Si)を算出する。そして、次のステップS202に進む。
【0073】
ステップS202において、ステップS201で色変換された各色成分(C’,M’,Y’,K’,Si)に応じて画像形成装置200で印刷をする。そして、処理を終了する。
【0074】
なお、上記各実施形態では、画像処理のプログラムがROM102又はストレージ104に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークNを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0075】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0076】
例えば、画像処理装置100の色変換部150の機能は、画像形成装置200のCPU201が行うようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0078】
また、上述した実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上述した各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0079】
100 画像処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 ストレージ
105 入力部
106 表示部
107 通信部
108 バス
120 カラーパッチ作成部
130 測色値受付部
140 プロファイル作成部
150 色変換部
200 画像形成装置
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 ストレージ
205 入力部
206 表示部
207 文書読取部
208 プリントエンジン
209 通信部
210 バス
220 感光体
224 中間転写体ベルト
226 媒体搬送系
228 二次転写部
229 定着部
図1
図2
図3
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図5
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図9