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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178262
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】毛髪化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20221125BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20221125BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/46
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084923
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】青木 里奈
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC692
4C083AD132
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD442
4C083BB11
4C083CC05
4C083CC31
4C083CC33
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE21
4C083EE29
(57)【要約】
【課題】毛髪のパサつき感の補修や毛髪自体の強度低下を抑制すること、更には、その持続性を得ることができる毛髪化粧料組成物を提供する。
【解決手段】本毛髪化粧料組成物は、(A)シリコーンオイルと、(B)カルボキシメチル基を有する化合物と、を含む。また、(B)成分は、カルボキシメチルシステインとすることができる。更に、(A)は式(1)で表される化合物とすることができる。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分を含むことを特徴とする毛髪化粧料組成物。
(A):シリコーンオイル
(B):カルボキシメチル基を有する化合物
【請求項2】
前記(B)が、カルボキシメチルシステイン又はその塩である請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
前記(A)が、下記式(1)で表される化合物を含む請求項1又は2に記載の毛髪化粧料組成物。
【化1】
【請求項4】
前記(A)と前記(B)とを、(A)/(B)=0.02~120の質量比で含む請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項5】
更に、下記成分を含む請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の毛髪化粧料組成物。
(C):植物油
【請求項6】
120℃以上の熱処理を受ける毛髪に適用する請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の毛髪化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料組成物に関する。更に詳しくは、毛髪に対する熱ダメージを抑制する毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は日常的に水(温水等)を用いて洗浄されるため、そのつどの乾燥を要している。その際には、例えば、ヘアドライヤーが用いられる。ヘアドライヤーは、熱風により毛髪乾燥時間を短縮できるが、同時に毛髪に対して熱負荷を掛けることになる。また、より強い熱負荷を掛けるものとしてヘアアイロンによるスタイリングが挙げられる。一般に、ヘアドライヤーは100℃以下の熱風を毛髪に当てるものであるのに対し、ヘアアイロンは120℃以上の熱を毛髪に対して直接付与するため、毛髪に対する熱ダメージはより大きいことが知られている。このような熱負荷によって、毛髪に熱ダメージが付与されると、毛髪のパサつき感を生み、毛髪自体の強度低下を引き起こすという問題がある。
このような毛髪に対する熱ダメージを抑制することを目的とした技術として、下記特許文献1~3が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-051078号公報
【特許文献2】特開2011-046632号公報
【特許文献2】特開2019-077651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、(A)ジメチコノール、(B)ブロック共重合型のポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体、(C)揮発性シリコーン、(D)植物油を含有する非水型毛髪化粧料が開示されている。そして、この毛髪化粧料によれば、ストレートアイロンの熱から毛髪を保護する効果を得ることが示されている。
特許文献2には、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体及びポリアミノ酸からなる群から選ばれる1種以上を含有する毛髪用熱保護剤が開示されている。そして、この毛髪用熱保護剤によれば、熱から毛髪を保護することができ、特に熱によるランチオニン生成を抑制する効果が高く、健康的な毛髪を維持し得ることが示されている。
特許文献3には、アリトール、タリトールのいずれか、又は両方を含有する毛髪用化粧料が開示されている。そして、この毛髪用化粧料によれば、毛髪の酸化、熱ダメージ等による劣化を抑制することができ、ツヤ、コシを有する美しい髪を保ち得ることが示されている。
【0005】
このような技術集積により、毛髪に対する熱ダメージを抑制することができる毛髪化粧料類が種々上市されるようになるに伴い、より実感し易い顕著な効果が求められるようになっている。このような流れのなか、昨今、毛髪のパサつき感の補修や毛髪自体の強度低下を抑制すること、更には、その持続性が求められるという実情がある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、毛髪のパサつき感の補修や毛髪自体の強度低下を抑制すること、更には、その持続性を得ることができる毛髪化粧料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下に示す通りである。
[1]本発明の毛髪化粧料組成物は、下記成分を含むことを要旨とする。
(A):シリコーンオイル
(B):カルボキシメチル基を有する化合物
[2]本発明の毛髪化粧料組成物では、前記(B)を、カルボキシメチルシステイン又はその塩にすることができる。
[3]本発明の毛髪化粧料組成物では、前記(A)を、下記式(1)で表される化合物を含むものとすることができる。
【化1】
[4]本発明の毛髪化粧料組成物では、前記(A)と前記(B)とを、(A)/(B)=0.02~120の質量比で含むことができる。
[5]本発明の毛髪化粧料組成物では、更に、下記成分を含むことができる。
(C):植物油
[6]本発明の毛髪化粧料組成物は、120℃以上の熱処理を受ける毛髪に適用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の毛髪化粧料組成物によれば、熱ダメージによって生じる毛髪のパサつき感を補修する効果、熱ダメージによって生じる毛髪自体の強度低下を抑制する効果、更には、その持続性を向上させる効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を説明する。ここで示す事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要で、ある程度以上に本発明の構成的な詳細を示すことを意図しておらず、本説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
本発明の毛髪化粧料組成物(以下、単に「本組成物」ともいう)は(A)成分としてシリコーンオイルを含み、(B)としてカルボキシメチル基を有する化合物を含む。
本組成物は、これら2成分を同時に含むことで、熱ダメージによって生じる毛髪のパサつき感を補修する効果、熱ダメージによって生じる毛髪自体の強度低下を抑制する効果、更には、その持続性を向上させる効果を得ることができる。
【0011】
その機序は定かではないものの、以下のように解することができる。即ち、(A)成分は、それ単独で毛髪の指通りを改善する機能を有するが、(A)成分のみでは、熱ダメージを受けた毛髪を補修し、その強度を向上させるまでの機能は有しない。一方で、(B)成分は、毛髪に浸透されることで、熱ダメージを受けた毛髪を修復することができるものの、(B)成分単独による効果は、感知できる程に十分なものではない。また、(B)成分は毛髪に浸透されても、水洗等によって毛髪外へ容易に流出する状況があり、毛髪の修復を蓄積することが難しい。
これに対し、(A)成分と(B)成分とが共存される場合、(A)成分は、(B)成分が毛髪内へ浸透することを阻害しない。一方で、毛髪内に浸透された(B)成分を毛髪内に留める機能を効果的に発揮できると考えられる。(B)成分は、毛髪内へ浸透することにより毛髪を補修することができるが、(A)成分によって、毛髪内への閉じ込め機能が発揮されることで、感知レベルが変化する程まで補修感を高めることができると考えられる。また、毛髪内へ浸透された(B)成分は、(A)成分によって毛髪内に保持され、水洗等の状況に遭遇しても(B)成分が容易に毛髪外へ流出してしまうことを阻止できると考えられる。そして、(B)成分の添加のたびに(A)成分が共存されることで、(B)成分が繰り返し浸透され、積算的な補修がなされ、(B)成分による補修効果を蓄積・向上させることができると考えられる。これによって、毛髪強度を計測可能なレベルで向上させていると考えられる。
【0012】
以下、本組成物について、より詳しく説明する。
[(A)成分]
(A)成分であるシリコーンオイルは、毛髪内に浸透された(B)成分を毛髪内に留める効果を有する。また、毛髪の乾燥後の指通りを向上させる効果を有する。
シリコーンオイルは、(-Si-O-)の繰り返しからなるポリシロキサン骨格を有し、且つ、流動性を有する成分であればよく、その種類は限定されない。また、その粘度及び重合度についても限定されない。
【0013】
シリコーンオイルは、例えば、下記式(2)により表すことができる。
【化2】
【0014】
式(2)中、Rは各々単独にメチル基、ヒドロキシ基又はフェニル基であり、Rはメチル基、フェニル基又はアミノアルキル基であり、Rはフェニル基又はアミノアルキル基とすることができる。更に、m≧0、n≧1且つ1000≦m+n≦20000の整数とすることができる。
上記のうち、アミノアルキル基の炭素数は限定されないが、例えば、1以上4以下とすることができる。即ち、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0015】
上記式(2)において、Rがメチル基であり、且つ、m=0であるシリコーンオイルとしてジメチルシリコーンオイル(ジメチコン)が挙げられる。即ち、このシリコーンオイルは、下記式(1)で示される。
【化3】
式(2)中、n≧1且つ1000≦n≦20000の整数とすることができる。
【0016】
上記式(2)において、Rがヒドロキシ基であり、且つ、m=0であるシリコーンオイルとしてヒドロキシ末端基を有するジメチルシリコーンオイル(ジメチコノール)が挙げられる。
上記式(2)において、Rがメチル基であり、Rがメチル基又はフェニル基であり、Rがフェニル基であり、且つ、m≧1であるシリコーンオイルとしてメチルフェニルシリコーンオイルが挙げられる。
上記式(2)において、Rがメチル基であり、Rがメチル基又はアミノアルキル基であり、Rがアミノアルキル基であり、且つ、m≧1であるシリコーンオイルとしてアミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0017】
更に、上記式(2)に含まれないシリコーンオイルとして、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、高重合シリコーン(例えば、平均重合度が650以上10,000以下)、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0018】
上述のシリコーンオイルは、いずれのシリコーンオイルを用いてもよく、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、本組成物では、上記式(1)で表されるジメチルシリコーンオイルを用いることが好ましい。ジメチルシリコーンオイルの利用は、他のシリコーンオイルの利用に比べると、感触(修復感)とその持続性をより高くすることができる。
【0019】
(A)成分としてジメチルシリコーンオイルを用いる場合、その動粘度は限定されないが、例えば、0.5mm/s以上500,000mm/s以下とすることができ、1mm/s以上300,000mm/s以下とすることができ、5mm/s以上150,000mm/s以下とすることができ、5mm/s以上50,000mm/s以下とすることが好ましい。尚、動粘度はJIS Z8803:2011に準拠し、25℃においてオストワルド粘度計により測定される。
【0020】
(A)成分の含有量は限定されないものの、本組成物全体を100質量%とした場合に、仕上がり時の感触低下を抑制する観点から、その下限は0.01質量%、好ましくは0.1質量%、更に好ましくは0.5質量%、特に好ましくは2質量%とすることができる。尚、仕上がりとは、より具体的には、熱ダメージが付与された毛髪に対して、毛髪化粧料組成物を塗布し、水洗し、乾燥させた後の仕上がりを意味する。一方、使用時のハンドリング性の低下を抑制する観点から、その上限は20質量%、好ましくは10質量%、より好ましくは5質量%とすることができる。これらの好ましい範囲では、熱ダメージによって生じる毛髪のパサつき感を補修する効果、熱ダメージによって生じる毛髪自体の強度低下を抑制する効果、更には、その持続性を向上させる効果をより顕著に得ることができる。
【0021】
[(B)成分]
(B)成分であるカルボキシメチル基を有する化合物は、感触(修復感)を向上させる効果を有する。この化合物は、どのような化合物でもよいが、毛髪と馴染み易いという観点からアミノ酸骨格を有する化合物(アミノ酸系化合物)であることが好ましい。即ち、カルボキシメチル基を有するアミノ酸系化合物が好ましい。尚、アミノ酸系化合物には、アミノ酸、その誘導体、これらの複合体等が含まれる。更に、複合体としては、アミノ酸の塩類、ペプチド(ジペプチド、ポリペプチドなど)等が含まれる。また、これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、上述のアミノ酸骨格は、カルボキシル基とアミノ基とを有すること以外その具体的な構造は限定されないが、毛髪への浸透性の良さという観点から分子は小さいことが好ましく、例えば、炭素数20以下(通常2以上)が好ましい。また、カルボキシル基数及びアミノ基数は限定されず、両者は同数であってもよく、異数でもよく、例えば、各々独立に1つ以上4つ以下とすることができる。
【0022】
また、上述のアミノ酸骨格を構成するアミノ酸としては限定されないが、毛髪と馴染み易いという観点からケラチンを構成するアミノ酸であることが好ましく、例えば、システイン、セリン、アラニン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、スレオニン、バリン、プロリン、グルタミン、メチオニン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、シスチン、リシン、ロイシン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本組成物では、上記アミノ酸のなかでも、含硫アミノ酸が好適に用いられ、それらのなかでも、システイン(L-システイン)が好ましい。即ち、(B)成分であるカルボキシメチル基を有する化合物としては、カルボキシメチルシステインが挙げられる。
【0023】
また、カルボキシメチルシステインにおけるカルボキシル基は、システインが有するアミノ基(-NH)及び/チオール基(-SH)に対して備えることができるが、本組成物では、このうち、システインのチオール基に対して結合されたカルボキシル基を有する化合物が好ましい。即ち、(B)成分は、S-(カルボキシメチル)-L-システイン又はその塩であることが好ましい。
【0024】
更に、(B)成分であるカルボキシメチル基を有する化合物が、カルボキシメチルシステインである場合、(B)成分は塩を形成していてもよい。カルボキシメチルシステインに対して塩を形成する成分は、どのような成分でもよく、無機イオンでもよく、有機イオンでもよいが、特にアミノ酸に由来することが好ましい。このアミノ酸としては、前述した各種アミノ酸が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよいが、なかでも、リシンが好ましい。即ち、カルボキシメチルシステインに対して塩を形成する成分がリシンである場合、(B)成分は、カルボキシメチルシステインリシンであるといえる。より具体的には、S-(カルボキシメチル)-L-システインのL-リシン塩であることが好ましい。
【0025】
尚、(B)成分であるカルボキシメチル基を有する化合物が、カルボキシルメチル基を有するアミノ酸(アミノ酸誘導体)である場合、この化合物を構成するアミノ酸は、ペプチド結合を伴って、1又は2以上の他のアミノ酸と結合されていてもよい。他のアミノ酸としては、前述した各種アミノ酸が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0026】
(B)成分の含有量は限定されないものの、本組成物全体を100質量%とした場合に、感触向上効果が低下することを抑制する観点から、その下限は0.01質量%、好ましくは0.1質量%、更に好ましくは0.5質量%とすることができる。一方、使用時のハンドリング性の低下を抑制する観点から、その上限は5質量%、好ましくは2.5質量%、より好ましくは2質量%とすることができる。これらの好ましい範囲では、熱ダメージによって生じる毛髪のパサつき感を補修する効果、熱ダメージによって生じる毛髪自体の強度低下を抑制する効果、更には、その持続性を向上させる効果をより顕著に得ることができる。
【0027】
更に、(A)成分と(B)成分とは、どのような配合で含有されてもよいが、(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量[(A)/(B)]は、補修感の持続性が低減することを抑制する観点から、その下限は0.02、好ましくは0.1、より好ましくは0.5、更に好ましくは1とすることができる。一方、感触向上効果が低下することを抑制する観点から、その上限は200、好ましくは150、より好ましくは100、更に好ましくは50、特に好ましくは20、より特に好ましくは5、とりわけ好ましくは2とすることができる。これらの好ましい範囲では、熱ダメージによって生じる毛髪のパサつき感を補修する効果、熱ダメージによって生じる毛髪自体の強度低下を抑制する効果、更には、その持続性を向上させる効果をより顕著に得ることができる。
【0028】
[(C)成分]
(C)成分である植物油は、(A)成分による補修感の持続性向上の作用を、更に、補強する効果を有する。即ち、(C)成分の含有により、毛髪の熱ダメージに対する補修感の持続性を更に向上させることができる。
この植物油は、どのようなものでもよいが、マカデミア種子油、メドウフォーム油、ホホバ種子油、コメ胚芽油、ヒマワリ種子油、オリブ油、ブドウ種子油、アーモンド油、シア脂、ローズヒップ油、ツバキ油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、小麦胚芽油、ハトムギ油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。本組成物では、これらのなかでも、補修感の持続性を向上させるという観点から、マカデミア種子油、メドウフォーム油、ホホバ種子油、コメ胚芽油、ヒマワリ種子油、オリブ油、ブドウ種子油が特に好ましい。
【0029】
(C)成分の含有量は限定されないものの、本組成物全体を100質量%とした場合に、感触向上効果が低減することを抑制する観点から、その下限は0.01質量%、好ましくは0.05質量%、更に好ましくは0.1質量%とすることができる。一方、使用時のハンドリング性能維持の観点から、その上限は5質量%、好ましくは2質量%、更に好ましくは1質量%とすることができる。これらの好ましい範囲では、補修感の持続性向上の効果をより顕著に得ることができる。
【0030】
更に、(A)成分と(B)成分と(C)成分とは、どのような配合でもよいが、(A)成分と(B)成分との合計に対する(C)成分の含有量[(B)/((A)+(C))]は、補修感の持続性を向上させる観点から、その下限は0.0005、好ましくは0.005、より好ましくは0.01、更に好ましくは0.05とすることができる。一方、その上限は7、好ましくは5、より好ましくは3、更に好ましくは1、特に好ましくは0.8とすることができる。これらの好ましい範囲では、補修感やその持続性向上の効果をより顕著に得ることができる。
【0031】
[その他の成分]
本組成物は、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外に、必要に応じて他の成分を含有することができる。
他の成分としては、上記(C)成分以外の油性成分、界面活性剤、溶剤、ポリペプチド類、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、pH調整材、植物エキス等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0032】
[油性成分]
油性成分としては、高級アルコール、炭化水素油、高分子化合物、エステル類、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、フッ素油等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0033】
高級アルコールは、炭素数が6以上の炭素鎖を持つアルコールであれば限定されず、例えば、炭素数8以上40以下の高級アルコールが含まれる。また、その骨格は、飽和でもよく不飽和でもよく、直鎖でもよく分岐鎖でもよい。更に、ヒドロキシ基数は限定されず、1価でもよく多価でもよい。具体的には、セテアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール、フィトステロール、コレステロールなどが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。高級アルコールの配合目的は限定されないが、例えば、粘度調整を目的として利用できる。
【0034】
炭化水素油としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン、パラフィン(パラフィンワックス)、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、合成スクワラン、スクアレン、スクアラン(水添スクアレン)、ポリブテン、ポリエチレン(ポリエチレンワックス)、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、オゾケライト、セレシン、リモネン、テレビン油などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0035】
高分子化合物は限定されず利用することができるが、本組成物では、特にカチオン化セルロース誘導体が好ましく、その他、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、4級化ポリビニルピロリドン等を利用できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0036】
カチオン化セルロース誘導体としては、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(即ち、ポリクオタニウム-10)、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド(即ち、ポリクオタニウム-4)等が挙げられる。
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、即ち、ポリクオタニウム-6)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(即ち、ポリクオタニウム-22)、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-39)等が挙げられる。
4級化ポリビニルピロリドンとしては、ビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩(即ち、ポリクオタニウム-11)等が挙げられる。
これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0037】
その他、高分子化合物として、カルボキシビニルポリマーなどのアニオン性ポリマー、水溶性ポリマーなどが挙げられる。水溶性ポリマーとしては、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)などの植物性高分子、デキストラン、プルランなどの微生物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマーなどのビニル系高分子等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0038】
エステル類としては、脂肪酸とアルコールとの脱水反応により得られる構造を有する化合物であれば限定されない。
本組成物では、分岐脂肪酸及び分岐アルコールにより構成され、炭素数30以下のエステルを含むことができる。このようなエステルによれば仕上がり時のべたつきを抑制できる。具体的には、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、12-ステアロイルステアリン酸イソステアリル、12-ステアロイルステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。エステル類の配合目的は限定されないが、例えば、仕上がり時の髪のまとまりや、すすぎ時の滑らかさを向上させることなどを目的として利用できる。
【0039】
更に、本組成物では、上記以外のエステルとして、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(テトラオクタン酸ペンタエリスリチル)、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸プロピレングリコール-3ベンジルエーテルモノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸ポリグリセリル等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0040】
油脂としては、脂肪酸とグリセリンとのトリエステル(トリグリセリド)であればよく、前述の(C)成分である植物油以外の各種油脂が含まれる。即ち、各種動物性油(動物性油脂)が含まれ、例えば、牛脂、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0041】
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0042】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0043】
油性成分の含有量は限定されないものの、本組成物全体を100質量%とした場合に、感触向上効果が低減することを抑制する観点から、その下限は0.01質量%、好ましくは0.05質量%、更に好ましくは0.1質量%とすることができる。一方、使用時のハンドリング性能維持の観点から、その上限は5質量%、好ましくは2質量%、更に好ましくは1質量%とすることができる。
【0044】
[界面活性剤]
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、イオン性の界面活性剤が好ましく、更にはカチオン性界面活性剤がより好ましい。
尚、以下では、ポリオキシエチレン鎖をPOEと表し、ポリオキシプロピレン鎖をPOPとあらわし、これに続くカッコ内の数字はその付加モル数を表し、アルキルに続くカッコ内の数字は脂肪酸鎖の炭素数を表す。
【0045】
カチオン性界面活性剤としては、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩等のアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩等の環式4級アンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0046】
これらのなかでは、アルキル4級アンモニウム塩類が好ましく、更には、モノアルキル型4級アンモニウム塩、及び/又は、ジアルキル型4級アンモニウム塩が好ましく、更には、モノアルキル型4級アンモニウム塩が好ましい。
【0047】
モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化ジPOE(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジPOEステアリルメチルアンモニウム、塩化POE(1)POP(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化POPメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0048】
ノニオン性界面活性剤としては、POEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEモノ脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド類等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのうち、POEアルキルエーテル類としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEラノリン、POEフィトステロール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0049】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0050】
即ち、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0051】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。このうち、アミノ酸型両性界面活性剤としては、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ベタイン型両性界面活性剤としては、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0052】
界面活性剤の含有量は限定されないものの、本組成物全体を100質量%とした場合に、その下限は0.01質量%、好ましくは0.05質量%、更に好ましくは0.1質量%とすることができる。一方、その上限は40質量%、好ましくは20質量%、更に好ましくは10質量%とすることができる。
【0053】
[溶剤]
溶剤としては、水が挙げられる。その他、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。
このうち、多価アルコールとしては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、イソプレングリコール、ソルビトールが挙げられる。また、多価アルコールの低級アルキルエーテル類としては、上記各種多価アルコールのモノ低級アルキルエーテルやジ低級アルキルエーテルが挙げられる。更に、低級アルコールとしては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等の炭素数5以下の1価の低級アルコールが挙げられる。
【0054】
溶剤の含有量は限定されず、適宜の配合にすることができるが、本組成物全体を100質量%とした場合、例えば、その下限は0.1質量%、好ましくは0.5質量%、更に好ましくは質量1%とすることができる。一方、その上限は95質量%、好ましくは90質量%、より好ましくは85質量%とすることができる。
【0055】
[ポリペプチド類]
ポリペプチド類としては、動物性蛋白質、植物性蛋白質、これらの加水分解物(加水分解蛋白)、カチオン化加水分解蛋白等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
このうち、動物性蛋白質としては、ケラチン、コラーゲン、シルク、コンキオリン、エラスチン、フィブロイン、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、植物性蛋白質としては、大豆、コムギ、オオムギ、カラスムギ、アーモンド等の植物から得られる植物性蛋白質(大豆蛋白、コムギ蛋白、オオムギ蛋白、カラスムギ蛋白、アーモンド蛋白)が挙げられる。
また、加水分解蛋白には、上述の各種蛋白質を、酸、アルカリ、酵素等により加水分解した成分が含まれる。また、カチオン化加水分解蛋白には、加水分解蛋白を変性剤によりカチオン化させた成分や、予め変性されたカチオン化蛋白を加水分解した成分等が含まれる。
【0056】
上記のうち、加水分解蛋白としては、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解コンキオリン、加水分解大豆蛋白等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、カチオン化加水分解蛋白としては、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ステアリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解大豆蛋白、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コラーゲン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解シルク、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解ケラチン、塩化N-[2-ヒドロキシ-3-(ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コンキオリン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0057】
[防腐剤]
防腐剤としては、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0058】
[pH調節剤]
pH調整剤としては、有機酸、無機酸、それらの塩等が挙げられる。このうち、有機酸としては、酒石酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、レブリン酸、グリコール酸、グルクロン酸、安息香酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)等が挙げられる。また、無機酸としては、リン酸(オルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等)、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。更に、塩類としては、上記有機酸や無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0059】
[植物エキス]
植物エキスとしては、アボカドエキス、アマチャエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オトギリソウエキス、オレンジエキス、カイソウエキス、カミツレエキス、カモミールエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、グレープフルーツエキス、クワエキス、コケモモエキス、ゴボウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、ゼニアオイエキス、ジオウエキス、シソエキス、シナノキエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、セイヨウサンザシエキス、タイムエキス、チャエキス、チョウジエキス、ドクダミエキス、ハイビスカスエキス、ハマメリスエキス、パセリエキス、ビワエキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ライチエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0060】
[安定剤]
安定剤としては、フェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0061】
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸)、無水亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用しても植物エキス、香料、生薬抽出物、ビタミン、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。よい。
【0062】
上記以外にも、更に、糖類(ソルビトール、マルトース、グリコシルトレハロース、N-アセチルグルコサミンなど)、無機塩(塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、緩衝剤(リン酸ナトリウムなど)、キレート化剤(エデト酸及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩など)、ビタミン類、香料、着色剤及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種等の成分を含有できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0063】
[毛髪化粧料組成物の形態・使用]
本組成物の剤型は限定されず、用途や目的に応じて適宜選択でき、例えば、固体状、液体状、水溶液状、分散液状、乳化物状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、泡状(フォーム状)等とすることができる。更に、泡状に用いる場合、エアゾール式で用いてもよいし、ノンエアゾール式で用いてもよい。また、ノンエアゾール式で用いる場合には、ポンプフォーマー式としてもよく、スクイズフォーマー式としてもよい。
更に、本組成物は、1剤式として用いてもよく、2剤以上に分割した多剤式として用いてもよい。また、多剤式の場合においては、使用前に混合して用いてもよく、順次個別に使用してもよい。
【0064】
本組成物の用途は限定されず、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、各種前処理剤(熱ダメージ処理、酸化染毛処理、毛髪脱色処理、毛髪脱染処理、パーマネントウエーブ処理等の各種処理を行う前に利用する前処理剤)、各種後処理剤(熱ダメージ処理、酸化染毛処理、毛髪脱色処理、毛髪脱染処理、パーマネントウエーブ処理等の各種処理を行った後に利用する後処理剤)等とすることができる。これらのうちでは後処理剤とすることが好ましい。
【0065】
本組成物は、前述の通り、特に熱ダメージに対する効果を発揮できることから、上述のなかでも、熱ダメージ処理が加わる前の毛髪に対して適用されることや、日常的、積算的に適用することができる。
また、上述の熱ダメージ処理としては、ドライヤー乾燥、ヘアアイロンを用いたスタイリング等が含まれる。このうち、ヘアアイロンを用いたスタイリングは、ストレート用ヘアアイロンの使用、カール用ヘアアイロンの使用、ウェーブ用アイロンの使用、巻き髪用コテの使用、ワッフル用アイロンの使用、更に、これら以外の呼称であっても毛髪に接触させて熱処理を行うアイロン、コテ類の器具の使用の全てを含む意味である。更に、一般家庭で使用される120℃以上220℃以下程度の設定温度の器具の使用だけでなく、美理容専門店で使用される200℃以上240℃以下、更には、それ以上の温度に設定可能な器具の使用も含む意味である。即ち、本組成物は、120℃以上の熱処理を受ける毛髪に対して好適に適用することができる。
【0066】
本組成物は、水や温湯で濡れた状態の毛髪に適用されてもよいし、乾いた毛髪に適用されてもよい。また、適用後は、洗い流してもよいし、洗い流さなくてもよい。また、本組成物を毛髪へ塗布する場合の塗布方法は限定されず、手櫛による塗布、スプレー(噴霧)による塗布、コーム又は刷毛を用いた塗布等を利用できる。
【実施例0067】
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0068】
[1]毛髪化粧料組成物の調製
下記に示す成分を、表1-3に示す質量割合で混合することにより、実施例1-11及び比較例1-6の毛髪化粧料組成物を調製した。調製方法は以下の通りである。
【0069】
(1)調製方法
このうち、実施例1-10及び比較例1-6の毛髪化粧料組成物は、いずれも全成分を一括した1剤式の毛髪化粧料組成物であり、以下の手順により得る。即ち、フェノキシエタノール、加水分解ケラチン及びカミツレエキス以外の各成分を容器に入れ、80℃で溶解、乳化し、40℃に冷却して乳化物を得る。その後、得られた乳化物にフェノキシエタノール、加水分解ケラチン及びカミツレエキスを添加し、合計100%となるように精製水を加える。尚、この際、混合機として「乳化試験器ET-SA型」(日光ケミカルズ社製)を用いた。
一方、実施例11は、用事式の毛髪化粧料組成物(使用直前に混合して髪毛に塗布するトリートメント)であり、(A)成分と(B)成分とが、2つの別々のカップに入るようにし、使用時にこれらのカップの内容物を混合してできるようにした毛髪化粧料組成物である。
【0070】
(2)成分の詳細
表1-3に示す各成分は、以下の通りである。
・(A)シリコーンオイル(低粘度):ジメチルポリシロキサン(非変性)、信越化学工業株式会社製、品名「信越シリコーン KF-96A-10cs」、動粘度10mm/s(25℃)
・(A)シリコーンオイル(高粘度):ジメチルポリシロキサン(非変性)、信越化学工業株式会社製、品名「信越シリコーン KF-96H-1万cs」、動粘度10000mm/s(25℃)
・(A)変性シリコーンオイル:アミノエチルアミノプロピルジメチコン、信越化学工業株式会社製、品名「信越シリコーン X-22-9435」
・(B)カルボキシメチルシステインリシン:シネルガ社製、品名「Hair APP」
・(C)マカデミア種子油:精製マカデミア油
・流動パラフィン:Sonneborn社製、品名「Carnation」
・カチオン化セルロース誘導体:塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、アクゾノーベル株式会社製、品名「セルコート SC-230M」
・システイン:試薬
・リシン:試薬
・ベヘントトリモニウムクロリド80%:カチオン活性剤、ベヘントリモニウムクロリド:イソプロパノール:水=80質量%:18質量%:2質量%の混合物
・ネオペンタン酸イソデシル:エステル、高級アルコール工業株式会社、品名「ネオライト100P」
【0071】
[2]毛髪化粧料組成物の評価
(1)感触(パサつき感の補修効果)の評価
以下の要領により、感触の評価を行った。
乾いた状態の評価用毛束を、200℃のヘアアイロンを用いて1分間プレスを行う操作を5回繰り返した。その後、実施例1-11及び比較例1-6の毛髪化粧料組成物15gを、刷毛を用いて評価用毛束に均等に塗布し、5分後に水を用いて洗い流した。次いで、余剰水分をタオル吸水させた後、ドライヤーを用いて乾燥させて、感触評価用毛束を得た。
得られた感触評価用毛束の感触を5名の専門パネラーによって評価した。具体的には、下記5段階の評点から、各パネラーが自らの評価と最も近い評点を1つ選択した。
「5」:とても良い
「4」:やや良い
「3」:どちらでもない
「2」:やや悪い
「1」:とても悪い
その後、パネラー5名が選択した評点の算術平均(必要により小数第二位を四捨五入)によって各試験例に対する評価の平均点を算出した。更に、得られた平均点を以下の基準にあてはめて、対応する5段階の値を選択し、表1-3の「感触」の欄に示した。
「5」:平均点が4.5を超える
「4」:平均点が3.5を超え且つ4.5以下である
「3」:平均点が2.5を超え且つ3.5以下である
「2」:平均点が1.5を超え且つ2.5以下である
「1」:平均点が1.5以下である
【0072】
(2)持続性の評価
以下の要領により、感触(パサつき感の補修効果)の持続性の評価を行った。
上記(1)で評価した感触評価用毛束を5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、余剰水分をタオル吸水させた後、加熱乾燥させる操作を行った。この洗浄から乾燥までの操作を合計3回繰り返して行うことにより、持続性評価用毛束を得た。
得られた持続性評価用毛束の感触を5名の専門パネラーによって評価した。この評価は、上記(1)感触の評価と同様にして行い、対応する5段階の値を選択して、表1-3の「持続性」の欄に示した。
【0073】
(3)毛髪自体の強度の評価
以下の要領により、毛髪自体の強度を行った。
(3-1)毛髪化粧料組成物を作用させた毛髪
上記(1)で行った感触評価用毛束を作成する操作を、1日おきに合計5回繰り返して(即ち、毛髪化粧料組成物による作用の積算を行うことになる)、毛髪自体の強度を評価するための毛束を得た。得られた毛髪自体の強度を評価するための毛束から、任意に20本のサンプル毛髪を取り出して、各1本ずつのサンプル毛髪の断面積当たりの破断応力(N/mm)を、水中引張試験(サンプル毛髪を水に浸漬した状態で測定)により測定し、得られた20本分の測定値から、その平均値を算出した。尚、引張圧縮試験機には、株式会社今田製作所製、型式「SV-201N」を用い、測定条件はサンプル長20mm、引張速度20mm/secとした。また、各サンプル毛髪の断面積は、(毛髪の平均径/2)×2×π(単位はμm)により計測した値を利用した。
【0074】
(3-2)毛髪化粧料組成物を作用させた毛髪
上記(1)で用いたものと同様の評価用毛束(いずれの毛髪化粧料組成物も塗布してない毛束)から任意に20本のサンプル毛髪を取り出して、各1本ずつのサンプル毛髪の断面積当たりの破断応力を、上記と同様に水中引張試験により測定し、得られた20本分の測定値から、その平均値を算出した。
【0075】
(3-3)評価方法
上記(3-2)で得られた破断応力の平均値を100%とした場合の、上記(3-1)で得られた各実施例及び比較例による破断応力の平均値の増加率を算出した。そして、得られた増加率を以下の基準にあてはめて、対応する5段階の値を選択し、表1-3の「毛髪自体の強度」の欄に示した。
「5」:増加率が15%を超える
「4」:増加率が10%を超え且つ15%以下である
「3」:増加率が5%を超え且つ10%以下である
「2」:増加率が0%を超え且つ5%以下である
「1」:増加率が0%以下である(上昇しなかった)
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
(4)実施例の効果
表1-3から、比較例1に示す通り、(A)成分を含むものの(B)成分を含まない組成物は、感触、持続性及び引張強度の3つの評価項目においていずれも評価2に留まる。一方、比較例2に示す通り、(B)成分を含むものの(A)成分を含まない組成物は、感触及び引張強度の2つの評価項目で、比較例1、3及び4を超えて評価3を得ることができるものの十分な性能が得られていないことが分かる。
これに対して、実施例1-11のいずれの実施例においても、感触、持続性及び引張強度の3つの評価項目において評価は4以上となっており、各比較例に比べて評価が飛躍的に向上していることが分かる。
更に、比較例3及び4の結果から、システイン及びリシンでは、(B)成分の代用ができないことが分かる。同様に、比較例5、6の結果から、(A)成分以外の他の油性成分では、(A)成分の代用ができないことが分かる。
【0080】
また、表3からは、A/B値が20~150である実施例5及び7は、比較例と比べると顕著に優れた結果が得られるが、A/B値はより小さい領域において、更に、飛躍的な効果が得られていることが分かる。また、そのなかでも、A/B値が0.002~0.05である実施例6及び8に比べて、実施例1~4、9及び10においては、極めて優れた熱ダメージ補修性能を発揮できることが分かる。そして、実施例1、9及び10の比較から、(A)成分は、変性シリコーンオイルよりも、非変性のジメチルシリコーンオイルにおいてより優れた効果が得られ、更に、(C)成分を含むことでより優れた効果を得ることが分かる。
更に、表1の結果から、使用法に拠らず、成分配合が同じであれば、優れた効果を発揮できることが分かる。