(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178274
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】無機質結合材および無機質被覆材
(51)【国際特許分類】
C04B 28/26 20060101AFI20221125BHJP
C04B 12/04 20060101ALI20221125BHJP
C04B 14/38 20060101ALI20221125BHJP
C04B 14/46 20060101ALI20221125BHJP
E04B 1/94 20060101ALN20221125BHJP
E04B 1/82 20060101ALN20221125BHJP
E04B 1/78 20060101ALN20221125BHJP
【FI】
C04B28/26
C04B12/04
C04B14/38
C04B14/46
E04B1/94 U
E04B1/82 G
E04B1/78 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084964
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】常藤 光
(72)【発明者】
【氏名】谷辺 徹
【テーマコード(参考)】
2E001
4G112
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DE01
2E001DF04
2E001GA03
2E001HA01
2E001HA03
2E001HA31
2E001HA32
2E001HA33
2E001HA34
4G112PA15
4G112PA18
(57)【要約】
【課題】養生過程で発生する針状結晶の析出を抑制することができる技術、即ち、無機質結合材および無機質被覆材を提供すること。
【手段】特定の無機質結合材と無機繊維とを主成分とし、無機質結合材に含まれる成分との含有割合を特定の範囲とする。珪酸アルカリと、石膏と、セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末と、水とを含有し、含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が特定範囲である無機質結合材。当該無機質結合材と、無機繊維とを主成分とする無機質被覆材。上記無機繊維がロックウールであると好適である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪酸アルカリと、石膏と、セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末と、水とを含有し、
含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.1~4.0である無機質結合材。
【請求項2】
含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.2~2.0である請求項1記載の無機質結合材。
【請求項3】
請求項1又は2記載の無機質結合材と、無機繊維とを主成分とする無機質被覆材。
【請求項4】
上記無機繊維がロックウールである請求項3記載の無機質被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機質結合材に関する。詳しくは、養生過程における針状結晶の生成を抑制できる無機質結合材に関する。また、本発明は、無機質被覆材に関する。詳しくは、養生過程における針状結晶の生成を抑制できる無機質被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の部材に耐火性、防火性、吸音性又は断熱性等を付与する目的で、ロックウール等の繊維、及びセメントペースト等の結合材からなるロックウール吹付け材等の吹付け材が吹付けられている。この吹付け材の代表的なものであるロックウール吹付け材は、ロックウール、セメント及び水からなり、耐火性、施工性等の点で優れていることから広く使用されている(例えば特許文献1参照)。セメントは安価で優れた無機質結合材であるが、原料の石灰岩を高温で分解し更に二酸化珪素原料、酸化アルミニウム原料、酸化鉄原料等と高温で反応させ製造するため、製造時に温室効果ガスの代表である二酸化炭素を多く発生させてしまう。このため、セメントを主成分としない無機質結合材を用いた吹付け材及びそのための無機質結合材が望まれる。
【0003】
特定組成の岩綿繊維(ロックウール)の結合材として、リンケイ酸塩、アルカリケイ酸塩(例えば、水ガラス)、ジオポリマー類、コロイドシリカ又はコロイドアルミナを用いることができることの開示がされている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
ところで、結合材を繊維に噴射し合流させ吹付け材として吹付け材層を形成するときに、結合材を加圧した空気とともに噴射させる技術がある(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-348978号公報
【特許文献2】特表2012-532830号公報
【特許文献3】実公昭55-054755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セメント以外の無機質結合材として珪酸アルカリに加えてセメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末を配合する無機質結合材を、ロックウールとともに吹付け、ロックウール組成物からなる吹付け材層(被覆材層)を形成し種々検討したところ、吹付け材層を養生する過程で吹付け材層の表面に針状結晶が目視で確認できる程度に析出してしまう場合があることが判明した。本発明は、養生過程で発生する針状結晶の析出を抑制することができる技術、即ち、無機質結合材および無機質被覆材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定の無機質結合材と無機繊維とを主成分とし、無機質結合材に含まれる成分との含有割合を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、次の(1)~(4)を提供するものである。
(1)珪酸アルカリと、石膏と、セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末と、水とを含有し、含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.1~4.0である無機質結合材。
(2)含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.2~2.0である上記(1)の無機質結合材。
(3)上記(1)又は(2)の無機質結合材と、無機繊維とを主成分とする無機質被覆材。
(4)上記無機繊維がロックウールである上記(3)の無機質被覆材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、セメントを主成分としない無機質結合材と無機繊維とを主成分とする吹付け材層(被覆被覆材層)の養生過程において、当該吹付け材層の表面に針状結晶が目視で確認できる程度に生成・析出することを抑制できる無機質結合材が得られる。
本発明によれば、養生過程において、吹付け材層(被覆材層)の表面に針状結晶が目視で確認できる程度に生成・析出することを抑制できるセメントを主成分としない無機質結合材と無機繊維とを主成分とする無機質被覆材が得られる。
また、本発明に用いる結合材及び無機繊維には主成分としてセメントが含まれていないことから、原材料の製造において排出される二酸化炭素の排出量が、結合材の原材料としてセメントを用いた場合に比べて少ない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の無機質結合材は、珪酸アルカリと、石膏と、「セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末」と、水とを含有し、含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.1~4.0であることを特徴とする。ここで、珪酸アルカリ以外の成分中に含まれるアルカリの含有率が少ない場合(2質量%以下)は、珪酸アルカリ中のアルカリの質量に比べて極めて少ないことから当該成分に含まれるアルカリの質量は無視することができる。
【0010】
本発明に用いる石膏としては、無水石膏が無機質結合材の流動性及び可使時間を得易いことから好ましい。また、用いる石膏としては、粒径0.5mm以下の粉末であればよく、好ましくはブレーン比表面積が2000cm2/g以上のものが、反応性が高いことから好ましく、更には、ブレーン比表面積が3000~20000cm2/gのものがより好ましい。
【0011】
本発明の無機質結合材に含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.1未満であると、無機質結合材をロックウールとともに吹付けることにより形成されるロックウール組成物からなる吹付け材層(被覆材層)の養生過程で発生する針状結晶の生成・析出を充分に抑制することができない。また、G/M2Oが4.0を超えると、無機質結合材の流動性が低下又は可使時間が短すぎて吹付けによる吹付け材層(被覆材層)の形成が行えない。吹付けによる吹付け材層(被覆材層)の形成が行える流動性及び可使時間が得易いことから、G/M2Oを0.2~3.8とすることが好ましく、120分以上の可使時間がえられることから、G/M2Oを0.2~2.0とすることがより好ましい。
【0012】
本発明において、石膏を「セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末」の質量に対し0.5~40質量%のとすることが好ましく、2~20質量%とすることがより好ましい。
【0013】
本発明に用いる珪酸アルカリとしては、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム等の珪酸ナトリウム又は水ガラス等の珪酸ナトリウム水溶液、珪酸リチウム又は珪酸リチウム水溶液、珪酸カリウム又は珪酸カリウム水溶液から選ばれる1種或いはこれらの2種以上を用いることが好ましい。より好ましくは、珪酸ナトリウム又は珪酸ナトリウム水溶液から選ばれる1種或いはこれらの2種以上を用いる。
【0014】
本発明に用いるセメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末(以下、「SiO2含有無機質粉末」ということがある。)とは、セメント及び珪酸アルカリ以外で主な化学組成としてSiO2を含有する無機質粉末のことをいい、例えば、高炉スラグ粉末、フライアッシュ、メタカオリン、シリカフューム、火山灰、火成岩粉末、火成岩焼成物の粉末、下水汚泥スラグ焼成物の粉末、都市ごみ溶融スラグの粉末等が好ましい例として挙げられる。SiO2含有無機質粉末としては、ブレーン比表面積が2000cm2/g以上のものが結合材の硬化が早いことから好ましく、より好ましくは2500cm2/g以上のものを用いる。また、本発明に用いるSiO2含有無機質粉末のブレーン比表面積の上限値としては、結合材の流動性を保持できる時間を長く取れることから、12000cm2/g以下が好ましく、より好ましくは10000cm2/g以下とする。
【0015】
本発明の無機質結合材は、珪酸アルカリと、「セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末」と、水とを含有し、水の含有率が50質量%以上であることが好ましい。ここで、本発明の無機質結合材に含有する水の含有率(CW)は、下記式(1)のように本発明の無機質結合材に含有する水の質量(MW)を無機質結合材の質量(MB)で除した値をパーセント表示で表したものであるが、このときの無機質結合材に含有する水の質量(MW)には、大気中の水分の影響でSiO2含有無機質粉末に含まれる水の質量等のように無視できる程小さい場合はこれを考慮しなくともよい。
【0016】
CW(%)=MW÷MB×100 ・・・・ (1)
【0017】
本発明の無機質結合材に含有する水の含有率(CW)が50質量%以上であると、結合材の噴射に圧縮空気を用いなくとも、半乾式工法による吹付けロックウールで使用している吹付け装置を用いて当該結合材を噴射し、ロックウール等の繊維と合流させ均質な吹付け材層を形成することができる。ここで、均質とは、吹付けに用いる繊維が吹付けロックウールで用いるロックウール(ロックウール粒状綿)のように繊維が塊状(粒状)の場合は、繊維塊の表面に結合材がほぼ均等に付き一部が繊維塊の内部に浸透し、繊維塊と繊維塊の間に結合材が存在する状態をいう。水の含有率(CW)が60質量%以上であると無機質結合材の高い流動性が得易いことからより好ましく、吹付け施工時に発生する粉塵の量が少なく吹付けた無機質被覆材層から無機質結合材が垂れること(液垂れ)が起こり難いことから、60~96質量%が更に好ましく、75~90質量%が最も好ましい。
【0018】
本発明の無機質結合材は、繊維吹付け用結合材として用いる。ここで、繊維とは、結合材とともに吹付け施工できるものであれば特に限定されず、例えば、ロックウール(スラグウールを含む。)、グラスウール、セラミックスウール等の綿状繊維が好適な例として挙げられる。
【0019】
本発明の無機質結合材には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ又はその水溶液を添加してもよい。
【0020】
本発明の無機質結合材は、珪酸アルカリと、「セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末」と、水とを主成分として含有する無機質結合材であるが、これらの他に、他の無機質成分、有機質成分を含有してもよい。この他の無機質成分として、セメントをSiO2含有無機質粉末の質量に対し10質量%以下含有させてもよく、この場合のセメントは主にSiO2含有無機質粉末の刺激剤として作用する。原材料の製造により発生する二酸化炭素の発生量が少ないことから、本発明の繊維吹付け用結合材におけるセメントの含有割合をSiO2含有無機質粉末の質量に対し5質量%以下とすることがより好ましく、2質量%以下とすることが更に好ましい。
【0021】
本発明の無機質被覆材は、上記の無機質結合材と、無機繊維とを主成分とする。本発明における無機繊維は、無機質結合材とともに吹付け施工できるものであれば特に限定されず、例えば、ロックウール、グラスウール、セラミックスウール等の綿状繊維が耐火性、防火性、吸音性又は断熱性の点で好ましく、不燃性であること且つ錆の発生が無いことから、ロックウール、グラスウール又はセラミックスウールがより好ましく、結合材との安定性の点でロックウールが最も好ましい。
本発明において、ロックウールとは、溶融炉で溶融された岩石や高炉スラグ等を主体とする材料が、急冷されながら、繊維化された素材(鉱物繊維)である。例えば、高炉スラグを主体とする材料より製造されたスラグウールなども含まれる。
【0022】
本発明の無機質被覆材(ロックウール被覆材)には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記の成分以外のもの、例えば炭酸ナトリウム,硫酸ナトリウム等のアルカリ金属塩を含む各種のセメント用・モルタル用又はコンクリート用混和材料のうち上記以外のもの、その他の成分(添加剤)が含まれていてもよい。
【0023】
本発明の無機質被覆材(ロックウール被覆材)は、ロックウール吹付工法における半乾式工法と同様な吹付工法で製造することが好ましい。この場合、半乾式工法のロックウール吹付工法におけるセメントペーストの代わりに、上記の無機質結合材を用い、無機繊維がロックウール以外の場合は、ロックウールの代わりに当該無機繊維を用いる。圧送ホース内を圧送させた無機繊維(ロックウール)を、圧送ホースに連通した吹付けノズルの吐出口から吐出させ、これに上記の無機質結合材を噴霧することで、ロックウール組成物からなる本発明の無機質被覆材を製造することができる。
【0024】
本発明の無機質被覆材(ロックウール被覆材)は、ロックウールとセメントペーストとを主成分とするロックウール組成物(吹付けロックウール)の代替物として用いることができる。即ち、耐火被覆材、吸音性被覆材(吸音材)又は断熱性被覆材(断熱材、保温材)として用いることができる。特に、含有する繊維がロックウール、グラスウール又はセラミックスウールの場合は、本発明の無機質被覆材は、主成分としては可燃性の材料が含まれていないことから、可燃性材料の含有量を抑える又は可燃性材料の含有させないことで、不燃性被覆材とすることができる。
【実施例0025】
[実施例1]
珪酸アルカリ、石膏、「セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末」及び水を用い、表1に示す配合割合で繊維吹付け用無機質結合材を作製した。用いた材料を以下に示した。表1中の「%」は「質量%」を意味する。
【0026】
<使用材料>
(1)珪酸アルカリ:3号水ガラス(SiO2;28.93質量%,Na2O;9.34質量%,H2O;61.73質量%),記号;WG3
(2)セメント及び珪酸アルカリ以外のSiO2含有無機質粉末:高炉スラグ粉末(高炉スラグ微粉末4000,ブレーン比表面積;4130cm2/g),記号;BSF
(3)石膏:無水石膏(粒径;0.2mm以下且つブレーン比表面積が7000cm2/gの粉末),記号;GY
(4)水:佐倉市上水
【0027】
【0028】
作製した無機質結合材について、以下に示す評価試験を行い、その結果を表2に示した。
<流動性試験>
作製直後と作製後120分後において、攪拌機でかき混ぜ、ロックウール吹付け材の半乾式工法による吹付工法に汎用的に用いられている装置を使用してセメントスラリーの代わりに作製した無機質結合材を噴射可能な程度の流動性を有しているか否かを確認した。噴射可能な程度の流動性を有している場合を「良好」(記号:○)、噴射可能な程度の流動性を有していない場合を「不良」(記号:×)と評価した。
【0029】
<吹付け試験>
作製した無機質結合材をロックウール(粒状綿、太平洋マテリアル社製)とともに、ロックウール吹付け材の半乾式工法による吹付工法に汎用的に用いられている装置を用い、吹付けガン(ノズル)より噴射し、容器(内寸20(cm)×20(cm)×5(cm))の内側に吹付け、無機質被覆材(ロックウール被覆材)からなる無機質被覆材層を形成し、室温20℃、湿度60%RHの恒温室で1ヵ月養生した。その後、目視で無機質被覆材層の表面を確認して、針状結晶が析出していない場合を「良好」(記号:○)、針状結晶が析出している場合を「不良」(記号:×)と評価した。
【0030】
【0031】
本発明の実施例に当たる配合No.2~No.8の無機質結合材は、何れも、ロックウール吹付け材の半乾式工法による吹付工法に汎用的に用いられている装置を用い吹付けガンのセメントペースト用噴射口よりセメントペーストの代わりに噴射し、同時に吹付けガンより噴射されたロックウールと合流混合させることで形成した無機質被覆材は、1ヵ月間養生しても針状結晶の形成・析出は見られなかった。また、吹付け施工時に発生する粉塵は、セメントペーストを用いる半乾式工法による吹付工法による吹付け施工時に発生する粉塵に比べて少なかった。
【0032】
それに対し、無機質結合材に含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.1未満である配合No.1の無機質結合材を用いて配合No.2~No.8の無機質結合材と同様に形成した無機質被覆材は、1ヵ月間養生しても針状結晶の形成・析出が見られた。しかし、配合No.1の無機質結合材を用いて吹付け施工を行ったときに発生する粉塵は、配合No.2~No.8の無機質結合材を用いたときと同様に、セメントペーストを用いる半乾式工法による吹付工法による吹付け施工時に発生する粉塵に比べて少なかった。
【0033】
また、無機質結合材に含有するアルカリの酸化物換算の質量(M2O)に対する石膏の質量(G)の比率(G/M2O)が0.2~2.0である配合No.2~No.6の無機質結合材は、何れも、120分後においても吹付けによる被覆材層の形成が行える流動性があり、可使時間120分を確保でき非常に優れていた。それに対し、配合No.7及びNo.8の無機質結合材は、可使時間がそれぞれ90分及び80分であり可使時間60分以上と優れていたが、配合No.2~No.6無機質結合材よりは劣っていた。