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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178278
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】放熱部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20221125BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084970
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503190785
【氏名又は名称】尼得科超▲しゅう▼科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】No.184-3,Zhongxing N.St.,Sanchong Dist.,New Taipei City 24158,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 奕桓
(72)【発明者】
【氏名】西川 和宏
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA11
5E322BA05
5E322EA10
5E322EA11
5F136BA03
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】冷却性能を向上させる放熱部材を提供する。
【解決手段】放熱部材1は、冷媒が流れる方向に沿う第1方向及びそれに直交する第2方向に広がり、第1方向及び第2方向に直交する第3方向に厚みを有する板形状のベース部2と、ベース部から第3方向一方側に突出し、第1方向に延び、第2方向に複数配置され、第2方向に交差する面に沿って冷媒を導くフィン30~50と、を有する。フィン夫々は、第1フィン301~501を有する。フィン夫々は、第1フィンの下流側である第1方向一方側に連設され、第1フィンと第1フィンと第2方向に隣接されるフィンとの間に形成される流路の第3方向一方側端21よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第2フィン302~502と、第1フィンの第1方向他方側に連設され、流路の第3方向一方側端よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第3フィン303~503と、の少なくとも一方を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる方向に沿う第1方向、かつ第1方向に直交する第2方向に広がり、第1方向および第2方向に直交する第3方向に厚みを有する板形状のベース部と、
前記ベース部から前記第3方向一方側に突出し、第1方向に延び、第2方向に複数配置され、第2方向に交差する面に沿って前記冷媒を導くフィンと、
を有し、
少なくともいずれかの前記フィンは、第1フィンを有し、
前記少なくともいずれかのフィンは、
前記第1フィンの下流側である第1方向一方側に連設され、前記第1フィンと前記第1フィンと第2方向に隣接される前記フィンとの間に形成される流路の第3方向一方側端よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第2フィンと、
前記第1フィンの第1方向他方側に連設され、前記流路の第3方向一方側端よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第3フィンと、
の少なくとも一方を有する、放熱部材。
【請求項2】
前記少なくともいずれかのフィンは、前記第2フィンを有し、
前記第2フィンと、前記第2フィンの第1方向一方側に配置される後段フィンとの間には、第1方向の間隔が形成される、請求項1に記載の放熱部材。
【請求項3】
少なくともいずれかの前記第2フィンと前記後段フィンとを第1方向に連結する連結フィンを有する、請求項2に記載の放熱部材。
【請求項4】
前記第3フィンの第1方向長さは、前記第2フィンの第1方向長さよりも長い、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放熱部材。
【請求項5】
前記第2フィンまたは前記第3フィンが複数第2方向に隣接することで形成され、前記複数のフィンから構成されるフィン群における第2方向両端部に配置される端部フィン群を有し、
前記端部フィン群の間に第3方向他方側に凹む凹部が形成される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放熱部材。
【請求項6】
前記端部フィン群は、前記第3フィンから構成され、
前記フィン群は、第1方向に複数配置されるフィン群のうち最も第1方向他方側に配置される、請求項5に記載の放熱部材。
【請求項7】
少なくともいずれかの前記フィンは、第1方向一方側に対向する対向面を有するスポイラーを有し、
前記フィンの第1方向中央位置を基準とした前記スポイラーの位置の重心は、前記第1方向中央位置よりも第1方向一方側に位置する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放熱部材。
【請求項8】
少なくともいずれかの前記フィンは、第1方向一方側に対向する対向面を有するスポイラーを有し、
前記複数のフィンから構成されるフィン群は、第1方向に複数配置されるフィン群において、最も第1方向他方側のフィン群よりも第1方向一方側に配置され、
最も第1方向他方側の前記スポイラーは、前記複数のフィン群において第1方向に配置されるスポイラーのうち最も第1方向他方側に配置される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の放熱部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱体の冷却に放熱部材が用いられる。放熱部材は、ベース部と、複数のフィンと、を有する。複数のフィンは、ベース部から突出する。複数のフィンにおける隣接するフィン同士の間を水などの冷媒が流れることにより、発熱体の熱は冷媒に移動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第106546116号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の放熱部材には、冷却性能を改善する余地があった。
【0005】
上記状況に鑑み、本開示は、冷却性能を向上させることができる放熱部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な放熱部材は、冷媒が流れる方向に沿う第1方向、かつ第1方向に直交する第2方向に広がり、第1方向および第2方向に直交する第3方向に厚みを有する板形状のベース部と、前記ベース部から前記第3方向一方側に突出し、第1方向に延び、第2方向に複数配置され、第2方向に交差する面に沿って前記冷媒を導くフィンと、を有する。少なくともいずれかの前記フィンは、第1フィンを有する。前記少なくともいずれかのフィンは、前記第1フィンの下流側である第1方向一方側に連設され、前記第1フィンと前記第1フィンと第2方向に隣接される前記フィンとの間に形成される流路の第3方向一方側端よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第2フィンと、前記第1フィンの第1方向他方側に連設され、前記流路の第3方向一方側端よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第3フィンと、の少なくとも一方を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の例示的な放熱部材によれば、冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態に係る放熱部材の斜視図である。
図2図2は、放熱部材の第2方向一方側へ視た側面図である。
図3図3は、放熱部材の第3方向一方側から視た平面図である。
図4図4は、放熱部材における上流側フィン群の一部拡大図である。
図5図5は、上流側フィン群と中央フィン群との間付近の構成を示す一部拡大図である。
図6図6は、第2フィン付近の冷媒の流れを模式的に示す図である。
図7図7は、上流側フィン群における端部フィン群付近の構成を示す一部拡大図である。
図8図8は、第3フィン付近の冷媒の流れを模式的に示す図である。
図9図9は、上流側フィン群と中央フィン群の間付近の構成を示す一部拡大図である。
図10図10は、中央フィン群の側面図である。
図11図11は、スポイラーの構成例を示す斜視図である。
図12図12は、スポイラーの配置数の変形例を示す側面図である。
図13図13は、スポイラーの配置数の変形例を示す側面図である。
図14図14は、下流側フィン群の側面図である。
図15図15は、下流側フィン群の側面図である。
図16図16は、中央フィン群の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
なお、図面においては、第1方向をX方向として、X1を第1方向一方側、X2を第1方向他方側として示す。第1方向は、冷媒Wが流れる方向Fに沿い、下流側をF1、上流側をF2として示す。また、第1方向に直交する第2方向をY方向として、Y1を第2方向一方側、Y2を第2方向他方側として示す。また、第1方向および第2方向に直交する第3方向をZ方向として、Z1を第3方向一方側、Z2を第3方向他方側として示す。なお、上記直交とは、90度から若干ずれた角度での交差も含む。また、上記の各方向は、放熱部材1を各種機器に組み込んだときの方向を限定しない。
【0011】
<1.放熱部材の全体構成>
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る放熱部材1の斜視図である。図2は、放熱部材1の第2方向一方側へ視た側面図である。図3は、放熱部材1の第3方向一方側から視た平面図である。
【0012】
放熱部材1は、第1方向に配置される複数の発熱体6A,6B,6C(図2図3)を冷却する装置である。発熱体6A,6B,6Cは、例えば、車両の車輪を駆動するためのトラクションモータに備えられるインバータのパワートランジスタである。当該パワートランジスタは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。この場合、放熱部材1は、トラクションモータに搭載される。なお、発熱体の個数は、3個以外の複数個であってもよい。
【0013】
放熱部材1は、ベース部2と、放熱フィン部10と、を有する。放熱フィン部10は、上流側フィン群3と、中央フィン群4と、下流側フィン群5と、を有する。
【0014】
ベース部2は、第1方向かつ第2方向に広がり、第3方向に厚みを有する板形状である。ベース部2は、熱伝導性の高い金属から構成され、例えば銅板から構成される。
【0015】
上流側フィン群3、中央フィン群4、および下流側フィン群5は、この順に第1方向他方側(上流側)から第1方向一方側(下流側)に向けて、ベース部2の第3方向一方側に配置される。後述するように、フィン群3,4,5は、例えばろう付けにより、ベース部2の第3方向一方側面21に固定される。
【0016】
発熱体6A,6B,6Cは、ベース部2の第3方向他方側面22に直接的または間接的に接触される(図2)。第3方向に視て、発熱体6A,6B,6Cは、それぞれフィン群3,4,5と重なる(図3)。
【0017】
上流側フィン群3よりも上流側から冷媒Wが上流側フィン群3に供給されることで、冷媒Wは、フィン群3,4,5を順に流れ、下流側フィン群5から下流側へ排出される。このとき、発熱体6A,6B,6Cから発生した熱は、それぞれベース部2およびフィン群3,4,5を介して冷媒Wに移動する。これにより、発熱体6A,6B,6Cが冷却される。
【0018】
<2.フィン群の形成方法>
ここで、放熱フィン部10(フィン群3,4,5)の具体的な形成方法の一例について図4も参照して説明する。図4は、放熱部材1における上流側フィン群3の一部拡大図である。
【0019】
フィン群3,4,5は、フィンプレートFPを第2方向に複数配置することで、いわゆるスタックドフィンとして構成される。フィンプレートFPは、第1方向に延びる金属板から構成され、例えば、銅板により構成される。なお、図示されるフィンプレートFP1,FP2,FP3,FP4,FP5,FP6は、いずれもフィンプレートFPの一種である。すなわち、フィンプレートの総括的な符号として、FPを用いる。
【0020】
図4においては、フィンプレートFPについての理解のため、最も第2方向他方側に位置するフィンプレートFPをハッチングにて示している。フィンプレートFPは、フィン30,40,50を有する。なお、フィン40,50は、図1に図示している。フィン30,40,50は、それぞれフィン群3,4,5を構成する。
【0021】
図4に示すように、フィン30は、第1フィン301と、第2フィン302と、第3フィン303と、を有する。
【0022】
第1フィン301は、底板部301Aと、壁部301Bと、天板部301Cと、を有する。壁部301Bは、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする板状である。底板部301Aは、壁部301Bの第3方向他方側端部から第2方向一方側へ折り曲げられて形成される。天板部301Cは、壁部301Bの第3方向一方側端部から第2方向一方側へ折り曲げられて形成される。底板部301Aと天板部301Cとは、第3方向に対向する。これにより、第1フィン301は、第1方向に直交する切断面で、コ字状の断面を有する。
【0023】
なお、底板部301Aと、後述する底板部302A,303Aは、フィンプレートFPの第1方向全長にわたって延びる底板部BTの一部である。
【0024】
第2フィン302は、第1フィン301の第1方向一方側に連設され、底板部302Aと、壁部302Bと、を有する。壁部302Bは、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする板状である。壁部302Bは、壁部301Bの第1方向一方側に連設される。壁部302Bの第3方向一方側端面の位置は、壁部301Bの第3方向一方側端面の位置よりも第3方向他方側である。
【0025】
底板部302Aは、壁部302Bの第3方向他方側端部から第2方向一方側へ折り曲げられて形成される。これにより、第2フィン302は、第1方向に直交する切断面で、L字状の断面を有する。なお、第2フィン302の機能などについては、後述する。
【0026】
第3フィン303は、第1フィン301の第1方向他方側に連設され、底板部303Aと、壁部303Bと、天板部303Cと、を有する。壁部303Bは、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする板状である。壁部303Bは、壁部301Bの第1方向他方側に連設される。
【0027】
底板部303Aは、壁部303Bの第3方向他方側端部から第2方向一方側へ折り曲げられて形成される。天板部303Cは、壁部303Bの第3方向一方側端部から第2方向一方側へ折り曲げられて形成される。底板部303Aと天板部303Cとは、第3方向に対向する。これにより、第3フィン303は、第1方向に直交する切断面で、コ字状の断面を有する。天板部303Cの第3方向一方側端面の位置は、壁部301Bの第3方向一方側端面の位置よりも第3方向他方側である。第3フィン303の機能などについては、後述する。
【0028】
フィン40は、第1フィン401と、第2フィン402と、第3フィン403と、を有し、フィン30と同様に構成される(図1)。また、フィン50は、第1フィン501と、第2フィン502と、第3フィン503と、を有し、フィン30と同様に構成される(図1)。
【0029】
なお、図4でハッチングで示したフィンプレートFP(FP1)は、フィン30と40の間、フィン40と50の間には、底板部BTの一部のみを有する。また、図4に示すように、フィンプレートFPには、フィン30と40の間、フィン40と50の間に、底板部BTの一部のみでなく、連結フィンCFを有するものもある(フィンプレートFP2)。連結フィンCFは、第1方向他方側の壁部(例えば302A)と、第1方向一方側の壁部(例えば403A(図4))と、を第1方向に連結する。
【0030】
放熱フィン部10における第2方向他方側端領域R2(図3)においては、上記のような連結フィンCFを有さないフィンプレートFP(第1種フィンプレートFP1)と、連結フィンCFを有するフィンプレートFP(第2種フィンプレートFP2)と、が第2方向に交互に配置される。また、第2方向他方側端領域R2における第2方向一方側端部においては、図4に示すように、第3フィン303が壁部303Bのみを有するフィンプレートFP(第3種フィンプレートFP3)が配置される。第2方向他方側端領域R2において、フィンプレートFP1,FP2,FP3が第2方向に配置されることで、第2方向他方側端領域R2における第1方向他方側端部において、第3フィン303が第2方向に複数配置される。これにより、端部フィン群3Aが形成される(図4)。
【0031】
また、放熱フィン部10における第2方向一方側端領域R1(図3)においては、フィンプレートFP1とFP2が第2方向に交互に配置される。そして、第2方向一方側端領域R1における第2方向一方側端部においては、第1方向かつ第3方向に広がり、かつ第2方向を厚み方向とする平板状のフィンプレートFP4(第4種フィンプレート)が配置される(図3)。
【0032】
第2方向一方側端領域R1において、フィンプレートFP1,FP2,FP4が第2方向に配置されることで、第2方向一方側端領域R1における第1方向他方側端部において、第3フィン303が第2方向に複数配置される。これにより、端部フィン群3Bが形成される(図1)。
【0033】
また、第2方向一方側端領域R1と第2方向他方側端領域R2との間の領域においては、フィンプレートFP1,FP2において第1方向他方側で第3フィン303を有さないフィンプレートFP5,6(第5,6種フィンプレート)が第2方向に交互に配置される(図4)。これにより、端部フィン群3A,3Bとの間に、第3方向他方側へ凹む凹部100が形成される(図1)。
【0034】
このように、各種のフィンプレートFPが第2方向に配置されて、例えばカシメ等により一体化されることで、放熱フィン部10(フィン群3,4,5)が形成される。形成された放熱フィン部10は、例えば、ろう付けにより、ベース部2の第3方向一方側面21に固定される。このように、フィン30,40,50を第1方向に一体化させた構成のフィンプレートFPを用いて放熱フィン部10を構成することで、熱伝導性のためにベース部2の厚みを薄くした場合でも、放熱部材1の剛性を高めることができ、冷媒Wの流れによるたわみなどを抑制できる。
【0035】
このような構成により、フィン群3,4,5において、第2方向に隣接するフィン30,40,50により形成される流路を冷媒Wが流れる。このとき、冷媒Wは、底板部BT上を流れる。なお、フィンプレートFPに底板部BTを設けない場合は、冷媒Wは、ベース部2上を流れる。冷媒Wは、例えばフィン30であれば、壁部303B,301B,302Bの壁面(第2方向に直交する面)に沿って導かれる。
【0036】
すなわち、放熱部材1は、ベース部2から第3方向一方側に突出し、第1方向に延び、第2方向に複数配置され、第2方向に交差する面に沿って冷媒Wを導くフィン30,40,50を有する。
【0037】
また、放熱部材1は、ベース部2から第3方向一方側に突出し、かつ第1方向に延びるフィン30,40,50を第2方向に複数配置されて構成され、第1方向に並んで配置される複数のフィン群3,4,5を有する。
【0038】
<3.下流側フィンと上流側フィン>
次に、フィン30,40において、下流側に配置される第2フィン302,402について、より具体的に説明する。ここでは、図5図6を参照して、第2フィン302を例として説明するが、第2フィン402についても内容は同様である。
【0039】
図5は、上流側フィン群3と中央フィン群4との間付近の構成を示す一部拡大図である。図5に示すように、第2フィン302は、第2方向に複数配置される。第2フィン302の第3方向一方側端の位置は、第1フィン301と第1フィン301と第2方向に隣接されるフィン30との間に形成される流路FPの第3方向一方側端よりも第3方向他方側に位置する。
【0040】
ここで、図6は、第2フィン302付近の冷媒Wの流れを模式的に示す図である。図6の左側は、第2方向に視た側面図、図6の右側は、第3方向に視た平面図である。このように流路FPを流れてきた冷媒Wは、第2フィン302の第3方向一方側の箇所に流れ込むことが可能であり、これにより渦V1が第1フィン301と第2フィン302との境界において発生する。従って、第2フィン302の第3方向一方側付近における冷媒Wの混合(ミキシング)が促進される。
【0041】
ここで、図3に示すように、発熱体6Aの第2方向両端は、第2方向中央側に寄って配置されるため、フィン群3の第2方向両端部を流れる冷媒W1への熱移動は少なく、冷媒W1の温度は比較的低い。これに対し、フィン群3の第2方向中央側を流れる冷媒W2への熱移動は多くなり、冷媒W2の温度は比較的高い。しかしながら、上記のように、フィン群3の下流側出口において、冷媒W1とW2の混合が促進される。これにより、冷媒Wの温度の均一化が促進され、後段側のフィン群4における冷却性能を向上させることができる。
【0042】
また、図5に示すように、第2フィン302と後段側のフィン群4におけるフィン40との間には、連結フィンCFが形成されるとともに、連結フィンCFの第3方向一方側に空間が形成される。または、第2フィン302と後段側のフィン40との間には、連結フィンCFが形成されずに空間が形成される。上記のように形成される空間により、スロットSが形成される。スロットSにより、フィンにおける境界層の成長を止めて冷却性能を向上させる効果、フィン群3の下流側出口から排出される冷媒Wを混合する効果、および、圧力損失を下げる効果が生じる。なお、連結フィンCFを設けることで、放熱部材1の剛性を向上させるとともに、スロットSにおける冷媒Wとの接触面積を増加させて冷却性能を向上させることができる。
【0043】
また、図6に示すように、第2フィン302の第3方向一方側から連結フィンCFまたは底板部BTへ向けて冷媒Wが流れること、および、第2フィン302に沿って流れてきた冷媒Wが連結フィンCFまたは底板部BTの第3方向一方側に流れ込むことで、渦V2が発生する。このような渦V2により、スロットSにおける冷媒Wの混合が促進される。従って、冷媒Wの温度がより均一化され、後段側のフィン群4における冷却性能を向上させることができる。
【0044】
また、上記のように第2フィン302により乱流発生効果が高まるため、乱流の影響により後段側のフィン群4へ冷媒Wが流れ込んだ場合に、境界層の成長が抑制され、冷却性能を向上させることもできる。
【0045】
次に、フィン30,40,50において、上流側に配置される第3フィン303,403,503について、より具体的に説明する。
【0046】
図7は、上流側フィン群3における端部フィン群3A付近の構成を示す一部拡大図である。第3フィン303の第3方向一方側端の位置は、第1フィン301の第2方向両側に形成される流路FPの第3方向一方側端の位置よりも第3方向他方側である。
【0047】
ここで、図8は、第3フィン303付近の冷媒Wの流れを模式的に示す図である。図8の左側は、第2方向に視た側面図、図8の右側は、第3方向に視た平面図である。このようにベース部2上を流れてきた冷媒Wが第3フィン303の第2方向両側に流れ込むことにより、渦V11が第3フィン303の第1方向他方側端付近に発生する。また、第3フィン303の上を流れてきた冷媒Wが第1フィン301の第2方向両側に流れ込むことにより、渦V12が第1フィン301の第1方向他方側端付近に発生する。また、ベース部2上を流れてきた冷媒Wが第3フィン303の第3方向一方側の第1方向他方側端部に流れ込むため、渦V13が発生する。
【0048】
このように、第3フィン303を設けることで乱流発生効果が高まり、フィン群3に流れ込んだ冷媒Wの整流化が遅れ、境界層の成長が抑制されるため、冷却性能を向上させることができる。なお、第3フィン303による乱流発生効果は、第2フィン302による効果よりも高い。
【0049】
また、図9は、上流側フィン群3と中央フィン群4の間付近の構成を示す一部拡大図である。図9に示すフィン群4における第3フィン403を設けることにより、上記効果と同様に、連結フィンCFまたは底板部BTと第3フィン403との境界において渦V11が発生し、第3フィン403の第3方向一方側には渦V12,V13が発生する。これにより、乱流発生効果が高まり、フィン群4に流れ込んだ冷媒Wによる冷却性能が向上される。なお、フィン50における第3フィン503についても同様の効果である。
【0050】
なお、いずれかのフィン30,40,50は、第2フィンおよび第3フィンともに有さないようにしてもよい。また、いずれかのフィン30,40,50は、第2フィンと第3フィンのいずれか一方のみを有してもよい。
【0051】
すなわち、本実施形態では、少なくともいずれかのフィン30は、第1フィン301を有する。上記少なくともいずれかのフィン30は、第1フィン301の第1方向一方側に連設され、第1フィン301と第1フィン301と第2方向に隣接されるフィン30との間に形成される流路FPの第3方向一方側端よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第2フィン302と、第1フィン301の第1方向他方側に連設され、上記流路FPの第3方向一方側端よりも第3方向他方側に第3方向一方側端を有する第3フィン303と、の少なくとも一方を有する。
【0052】
また、上記少なくともいずれかのフィン30は、第2フィン302を有する。第2フィン302と、第2フィン302の第1方向一方側に配置される後段フィン40との間には、第1方向の間隔が形成される。
【0053】
また、放熱部材1は、少なくともいずれかの第2フィン302と上記後段フィン40とを第1方向に連結する連結フィンCFを有する。
【0054】
<4.リクライニング形状>
ここで、図10は、中央フィン群4の側面図である。図10に示すように、第3フィン403の第1方向長さL3は、第2フィン402の第1方向長さL2よりも長い。第3フィン403の第3方向一方側から熱交換されていない冷媒WUがフィン40により形成される流路に流れ込むため、図10に破線にて等温線を示すように、冷却性能の低下のピークをフィン40の第1方向中心よりも下流側にする効果が生じる。従って、発熱体6Bにおける下流側の冷却性能を向上させることができる。なお、本構成による効果は、下流側フィン群5についても同様である。
【0055】
<5.端部フィン群>
先述したように、放熱フィン部10においては、端部フィン群3A,3Bが構成される。なお、下流側フィン群5における下流側において、第2フィン502により第2方向両端部に端部フィン群が構成されてもよい。
【0056】
すなわち、放熱部材1は、第2フィン502または第3フィン303が複数第2方向に隣接することで形成され、複数のフィン50,30から構成されるフィン群5,3における第2方向両端部に配置される端部フィン群を有する。端部フィン群の間に第3方向他方側に凹む凹部100が形成される。これにより、作業者は凹部100を確認することで、放熱部材1を取り付ける際の取り付け方向ミスを抑制できる。
【0057】
なお、端部フィン群は、上流側フィン群3に構成されることがより望ましい。すなわち、端部フィン群3A,3Bは、第3フィン303から構成され、フィン群3は、第1方向に複数配置されるフィン群3,4,5のうち最も第1方向他方側に配置される。これにより、凹部100を上流側に設けることにより、冷媒Wがフィン群3へ流入する際の第2方向中央側の流路抵抗を低減し、フィン群3における第2方向中央側に位置する発熱体6Aの冷却性能を向上させることができる。
【0058】
上記をさらに換言すれば、最も第1方向他方側に配置されるフィン群3の第1方向他方側端部において、または、最も第1方向一方側に配置されるフィン群5の第1方向一方側端部において、第2方向両端部に配置される端部フィン群3A,3Bを有し、端部フィン群3A,3Bの間に第3方向他方側に凹む凹部100が形成される。
【0059】
そして、端部フィン群3A,3Bは、最も第1方向他方側に配置されるフィン群3に含まれることが望ましい。
【0060】
<6.スポイラー>
図1,2に示すように、中央フィン群4および下流側フィン群5においては、フィン40,50にスポイラー7が形成される。
【0061】
ここで、図11には、スポイラー7の構成例を示す斜視図を示す。フィン40,50は、第1方向に延びて冷媒Wを導くガイド面40S,50Sを有する。スポイラー7は、フィン40,50を第2方向に貫通する開口部70を有する。スポイラー7は、突出部71,72を有する。突出部71,72は、開口部70の縁において、同じ第2方向一方側に折り曲げられることで形成され、第1方向に対向する。開口部70および突出部71,72は、フィン40,50に切り込みを入れて折り曲げることで形成できる。突出部71は、突出部72よりも第1方向他方側に配置される。
【0062】
突出部71,72は、冷媒Wが流れる方向、すなわち第1方向一方側に対向する対向面71S,72Sを有する。対向面71S,72Sは、突出部71,72に含まれる。スポイラー7は、対向面71S,72Sにより冷媒Wの流れを妨げる機能を有する。対向面71S,72S付近に冷媒Wの乱流を発生させやすくなり、フィン40,50による冷却性能を向上させることができる。
【0063】
突出部の数は、2個に限らず、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。すなわち、スポイラー7は、開口部70の縁においてガイド面40S,50Sから第2方向に突出する少なくとも1つの突出部71,72を有する。突出部71,72は、上記のように容易に形成できる。
【0064】
また、上記少なくとも1つの突出部71,72は、複数である。これにより、対向面71S,72Sが複数設けられるため、乱流の発生箇所を増やし、冷却性能をより向上させることができる。
【0065】
また、突出部71,72は、第1方向一方側かつ第3方向他方側に傾く。これにより、冷媒Wを突出部71,72により発熱体6B,6C側へ導くことができ、冷却性能を向上させることができる。さらに、突出部71,72は、2つ設けられ、かつ同じ方向に突出する。これにより、互いに対向する2つの突出部71,72の間を冷媒Wが通ることで、冷媒Wを発熱体6B,6C側へ導くことができる。なお、突出部71,72は、互いに別の方向に突出してもよい。
【0066】
フィン群4,5において、例えば、それぞれ第2方向一方側端に位置するフィン40,50以外のフィン40,50において、スポイラー7が設けられる。すなわち、少なくともいずれかのフィン群4,5に含まれる少なくともいずれかのフィン40,50は、スポイラー7を有する。図2に示すように、例えば、同じ第2方向位置におけるフィン30,40,50において、スポイラー7の数は、0個、4個、6個としている。なお、例えば、図12に示すように、同じ第2方向位置におけるフィン30,40,50において、スポイラー7の数を2個、4個、6個のように、フィン30にスポイラー7を設けたうえで個数を調整してもよい。さらに、例えば、図13に示すように、同じ第2方向位置におけるフィン30,40,50において、スポイラー7の数を0個、4個、4個のように、下流側で個数を同じにしてもよい。
【0067】
すなわち、複数のフィン群3,4,5における同じ第2方向位置の各々のフィン30,40,50に含まれるスポイラー7の個数は、第1方向一方側に向かうほど多くなる。発熱体6A,6B,6Cのように発熱体が第1方向に配置されている場合、下流側へ向かうほど冷媒Wの温度が高くなるため、下流側の冷却性能を向上させる必要がある。そこで、スポイラー7の個数が下流側へ向かうほど多くしているため、冷却性能を向上すべき下流側の冷却性能を向上させ、発熱体6A,6B,6C間の温度差を抑制できる。
【0068】
また、図14に示すように、少なくともいずれかのフィン群5において、第3方向一方側の突出部72の少なくとも一部は、第2方向に視て、フィン50において最も第3方向一方側の第3方向一方側端T1よりも第3方向他方側に位置する第3方向一方側端であるフィン端T2よりも第3方向一方側に配置され、第3方向他方側の突出部71の少なくとも一部は、上記フィン端T2よりも第3方向他方側に配置される。
【0069】
また、図14に示すように、スポイラー7は、第1方向一方側に向かうにつれて、第3方向一方側、第3方向他方側の順に交互に位置する。
【0070】
最も上流側に位置する第3方向一方側のスポイラー7A(ハイポジションスポイラー)は、ベース部2から第3方向一方側に遠い冷媒Wをベース部2側に強制的に誘導する。第3方向他方側のスポイラー7B(ローポジションスポイラー)は、冷媒Wをベース部2側の面に衝突させるように導く。最も上流側以外の第3方向一方側のスポイラー7Cは、ベース部2側の面で衝突して跳ね返った冷媒Wを再び、ベース部2側に戻す。
【0071】
また、図15に示すように、少なくともいずれかのフィン群5において、スポイラー7は、第1方向に沿って第3方向に交互に位置し、第1方向に隣接して第1方向他方側が第1方向一方側よりも第3方向他方側に位置するスポイラー7D,7E間の第1方向間隔Laは、第1方向に隣接して第1方向他方側が第1方向一方側よりも第3方向一方側に位置するスポイラー7E,7F間の第1方向間隔Lbよりも短い。
【0072】
第1方向他方側のスポイラー7Dによりベース部2側に導かれる冷媒Wは、勢いよくベース部2側の面で跳ね返るため、再度冷媒Wをベース部2側に導くため、スポイラー7D,7Eの間隔は短くする必要がある。第1方向一方側のスポイラー7Eによりベース部2側に導かれる冷媒Wは、第1方向他方側のスポイラー7Dによりベース部2側に導かれる冷媒Wよりも跳ね返る際の勢いは少ないため、スポイラー7E,7Fの間隔は長くてもよい。
【0073】
また、図16に示すように、フィン40の第1方向中央位置を基準=0として、上流側を+、下流側を-とする。そして、フィン40における各スポイラー7の上記基準に対する位置xの重心(平均)をとると、重心は下流側(-)となっている。
【0074】
すなわち、少なくともいずれかのフィン群4において、フィン40の第1方向中央位置を基準としたスポイラー7の位置の重心は、第1方向中央位置よりも第1方向一方側に位置する。これにより、フィン群4と第3方向に視て重なる発熱体6Bにおける冷却性能を向上すべき下流側の部分の冷却性能を向上させることができる。
【0075】
また、図2に示すように、最も上流側のフィン群3においては、スポイラー7は設けないようにしている。すなわち、複数のフィン群3,4,5において最も第1方向他方側に配置されるスポイラー7は、最も第1方向他方側のフィン群3よりも第1方向一方側に配置されるフィン群4に含まれる。これにより、冷却性能の向上を比較的に必要としない最も上流側のフィン群3において、スポイラー7を設けないようにすることができる。これにより、スポイラー7を形成する加工コストを低減できる。
【0076】
さらに換言すれば、複数のフィン40から構成されるフィン群4は、第1方向に複数配置されるフィン群3,4,5において、最も第1方向他方側のフィン群3よりも第1方向一方側に配置され、最も第1方向他方側のスポイラー7は、複数のフィン群3,4,5において第1方向に配置されるスポイラー7のうち最も第1方向他方側に配置される。
【0077】
<7.その他>
以上、本開示の実施形態を説明した。なお、本開示の範囲は上述の実施形態に限定されない。本開示は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0078】
例えば、発熱体と放熱部材との間に、ベイパーチャンバーまたはヒートパイプを設ける構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本開示は、各種発熱体の冷却に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 放熱部材
2 ベース部
3 上流側フィン群
3A,3B 端部フィン群
4 中央フィン群
5 下流側フィン群
6A 発熱体
6A,6B,6C 発熱体
7 スポイラー
10 放熱フィン部
21 第3方向一方側面
22 第3方向他方側面
30,40,50 フィン
40S,50S ガイド面
70 開口部
71,72 突出部
71S,72S 対向面
100 凹部
301 第1フィン
301A 底板部
301B 壁部
301C 天板部
302 第2フィン
302A 底板部
302B 壁部
303 第3フィン
303A 底板部
303B 壁部
303C 天板部
401 第1フィン
402 第2フィン
403 第3フィン
501 第1フィン
502 第2フィン
503 第3フィン
BT 底板部
CF 連結フィン
FP フィンプレート
S スロット
W 冷媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16