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  • 特開-ドローンを使ったRFIDシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178296
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ドローンを使ったRFIDシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B65G61/00 526
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085007
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(72)【発明者】
【氏名】唐木 太一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】滞留した配送物を探知することを可能にするなど、柔軟で機動性に富んだRFIDシステムを提供する。
【解決手段】一又は二以上の中継点を経由すると共に、前記中継点において配送先に向けて荷物を仕分けし配送する荷物配送システムであって、前記荷物に取り付けられる固有識別符号を有するICタグと、前記ICタグの固有識別符号を読み取る固有識別符号読取手段を搭載したドローンと、からなるRFIDシステムであって、前記ドローンは位置情報を取得する位置情報取得手段を有し、前記ICタグから固有識別符号を読み取った際に当該位置情報をリンクさせることを特徴とする、ドローンを使ったRFIDシステム。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は二以上の中継点を経由すると共に、前記中継点において配送先に向けて荷物を仕分けし配送する荷物配送システムであって、
前記荷物に取り付けられる固有識別符号を有するICタグと、
前記ICタグの固有識別符号を読み取る固有識別符号読取手段を搭載したドローンと、
からなるRFIDシステムであって、
前記ドローンは位置情報を取得する位置情報取得手段を有し、前記ICタグから固有識別符号を読み取った際に当該位置情報をリンクさせることを特徴とする、
ドローンを使ったRFIDシステム。
【請求項2】
前記ドローンは前記中継点内を自律飛行し、任意の固有識別符号を付されたICタグを探索し、発見した際に遠隔の管理者に前記位置情報を通知することを特徴とする、
請求項1に記載のドローンを使ったRFIDシステム。
【請求項3】
山岳部における土砂に取り付けられる固有識別符号を有するICタグと、
前記ICタグの固有識別符号を読み取る固有識別符号読取手段を搭載したドローンと、
からなるRFIDシステムであって、
前記ドローンは位置情報を取得する位置情報取得手段を有し、前記ICタグから固有識別符号を読み取った際に当該位置情報をリンクさせることを特徴とする、
ドローンを使ったRFIDシステム。
【請求項4】
前記ドローンは前記山岳部を自律飛行し、任意の固有識別符号を付されたICタグを探索し、発見した際に遠隔の管理者に前記位置情報を通知することを特徴とする、
請求項3に記載のドローンを使ったRFIDシステム。
【請求項5】
前記位置情報が既知の情報と異なっている場合に、地滑りが発生したと判断する地滑り推定手段を有することを特徴とする、
請求項3乃至4に記載のドローンを使ったRFIDシステム。











【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電波を用いてICタグのデータを非接触で読み書きするシステムであるところのRFIDについて、倉庫などで滞留している当該ICタグを貼付した配送物を、空中を飛行するドローンが追跡するシステムに関する。また、前記ICタグを埋め込んだ土壌を前記ドローンが追跡し、土砂崩れを無人遠隔で検知するシステムに関する。

【背景技術】
【0002】
RFID(radio frequency identification)は、近距離無線通信を用いた自動認識技術であり、一般的に、無線通信を用いてICタグを貼付した対象物を識別・管理するシステムやその部品のことを言う。
【0003】
RFIDを用いれば商品のタグを手に取って読み取る必要がなく、スキャナをかざすだけでまとめて読み取ることが可能である。そのため、たな卸し等にかかる時間を大幅に短縮できる。また、電波で通信をするため、箱の中に入っているICタグを読み取ることが可能で、また、タグ自体の汚れにも強い。
【0004】
このような特徴から、RFIDは追跡管理のようなトレーサビリティ分野のみならず、入退室の遠隔管理や災害時の情報収集などの防犯・セキュリティ分野においても期待されている技術である。
【0005】
RFIDに用いるICタグにはパッシブ型とアクティブ型、さらにセミアクティブ型と3種のものが実用されている。
【0006】
パッシブ型はICタグ内に電池を持たず、スキャナから発する電磁波を整流することで電力を得ており、安価で保守の必要が無いが通信距離は数メートル程度である。アクティブ型はICタグ内に電池を持ち動作し、通信距離は数十メートルに及ぶが電池の寿命による保守が必要で価格も高価である。セミアクティブ型はICタグ内に電池を持つが、スキャナが起動信号を発するまではパッシブ型として動作し、起動信号により起動した後はアクティブ型として動作する。これはアクティブ型に比べて電池寿命が長いという特徴があるが、電池の寿命による保守が必要で高価という欠点がある。
【0007】
一方、近年では、各種センサーによる自律制御機能を搭載したドローンは機体の回転や傾きを検知して安定した飛行が出来るよう進化している。さらに、GPSを搭載して自己位置を把握することで飛行ルートの決定を自動化するなど、人の手によらないドローン利用も増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-3823
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
荷物にICタグを付したRFIDシステムにより中継地点の通過情報を取得することで配送状況を取得する技術は広く使われており、例えば特許文献1のような荷物配送システムが存在する。
【0010】
しかるに、従来のRFIDシステムは当該配送物がスキャナの前を横切ることが前提となっており、そういった中継地点を通ったか通ってないかを把握することが目的であって、中継地点を通っていない場合の対策までは考慮されていなかった。
【0011】
また、人や車の往来の少ない地域における土砂崩れは安全上の大きな懸念事項であるが、従来の地滑りセンサーや路面の振動センサーを用いる方法は、高価なため広く普及していない。これを解決するために棒状のものを斜面に刺し、この棒状の傾きを検知することで土砂崩れを知る方法が考えられている。
【0012】
しかるに、いずれの方法であっても、斜面がその傾度を保ったままずれ落ちてくる土砂崩れには対応しておらず、自然災害が急増している近年ではこれを解決する技術が待たれている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一又は二以上の中継点を経由すると共に、前記中継点において配送先に向けて荷物を仕分けし配送する荷物配送システムであって、
前記荷物に取り付けられる固有識別符号を有するICタグと、
前記ICタグの固有識別符号を読み取る固有識別符号読取手段を搭載したドローンと、
からなるRFIDシステムであって、
前記ドローンは位置情報を取得する位置情報取得手段を有し、前記ICタグから固有識別符号を読み取った際に当該位置情報をリンクさせることを特徴とする、
ドローンを使ったRFIDシステムとする。
【0014】
前記ドローンは前記中継点内を自律飛行し、任意の固有識別符号を付されたICタグを探索し、発見した際に遠隔の管理者に前記位置情報を通知することを特徴とする、
ドローンを使ったRFIDシステムとする。
【0015】
山岳部における土砂に取り付けられる固有識別符号を有するICタグと、
前記ICタグの固有識別符号を読み取る固有識別符号読取手段を搭載したドローンと、
からなるRFIDシステムであって、
前記ドローンは位置情報を取得する位置情報取得手段を有し、前記ICタグから固有識別符号を読み取った際に当該位置情報をリンクさせることを特徴とする、
ドローンを使ったRFIDシステムとする。
【0016】
前記ドローンは前記山岳部を自律飛行し、任意の固有識別符号を付されたICタグを探索し、発見した際に遠隔の管理者に前記位置情報を通知することを特徴とする、
ドローンを使ったRFIDシステムとする。
【0017】
前記位置情報が既知の情報と異なっている場合に、地滑りが発生したと判断する地滑り推定手段を有することを特徴とする、
ドローンを使ったRFIDシステムとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、スキャナー機能をドローンが持つことで、より柔軟で機動性に富んだRFIDシステムが実現できる。
【0019】
本発明の請求項2によれば、例えばICタグを貼付した配送物が滞留していてもドローンがそれを見つけることが可能になる。
【0020】
本発明の請求項3によれば、人の立ち入らないような山岳部等においてもICタグが発する固有識別符号をドローンが掴まえることが可能になる。
【0021】
本発明の請求項4によれば、前記人の立ち入らないような山岳部等におけるICタグが発する固有識別符号をドローンが掴まえた際に、その位置情報をリンクさせることが可能になる。
【0022】
本発明の請求項5 によれば、岩盤等に埋め込んだ、あるいは添付したICタグの位置がずれたことで土砂崩れを識別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】RFIDシステムの一般的な利用例
図2】本発明にかかるRFIDシステムの利用例
図3】本発明にかかる処理フロー
図4】土砂崩れの説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例0025】
RFIDシステムの一般的な利用例を図1に示す。1例として図1は荷物配送システムの中継地点での荷物管理を示している。中継地点に届いた荷物103は運搬ベルト101を移動している。
【0026】
荷物103にはICタグ105が貼付されている。ICタグ105を貼付した荷物103が運搬ベルト101上を移動し、スキャナ107の近辺を通過した際に、当該RFIDシステムがパッシブ型であればスキャナ107からの電磁波によってICタグ105は内部で発電し、動作電力を発生し、スキャナ107の近辺を通過した際に通信をすることで荷物103の通過を認識する。
【0027】
また、前記RFIDシステムがアクティブ型であればICタグ105とスキャナ107は通信可能範囲内であれば常時通信をし、伝送路が最短となる位置で荷物103がスキャナ107近辺を通過したと認識する。
【0028】
図2は本発明に係る荷物追跡システムに関するものである。ICタグ205が貼付された荷物203は運搬ベルト201から離れた場所に放置されている。この場合は荷物203はスキャナ207の近辺を通過しないため、当該イレギュラーな状況に対し、一定時間後に管理者に荷物203に関する警告が届き、人力で荷物203を探すことになる。
【0029】
本発明は、このように滞留している荷物203を、スキャナ211を搭載したドローン209が配送所内を飛行し探し出すことを目的とするものである。
【0030】
本発明において、ICタグ205がパッシブ型であればドローン209は荷物203の極近傍を飛行した時に荷物203を発見できるし、ICタグ205がアクティブ型であればその通信距離に応じた距離をドローン209が飛行することで荷物203を発見できる。ドローンはGPSを搭載することで荷物203の位置を正確にしることが出来る。
【0031】
図3は本発明にかかる動作を示したフローチャートである。図2を参照しながら説明する。固定スキャナ207を不通過のままどこかで滞留している荷物203がある場合、管理者に警告が届く。
【0032】
同時に、ドローン209に搭載されたスキャナ211に当該荷物のICタグに蓄積された情報が送信される。ドローン209は配送所内を自律飛行しICタグからの信号を探索する。その結果、スキャナ211と荷物203に搭載されたICタグ205との間で通信が成立すれば荷物を発見したことになり、管理者にその旨通知される。
【0033】
前記通信が成立していない間はドローン209は自律飛行を継続し、ICタグ205の探索をつづける。ここでドローンの自律飛行とは、音波や光といった任意のセンサーを搭載し、壁や人などからの反射を利用して当該壁や人に衝突しないように飛行を続ける技術であり、近年では自動掃除ロボットなどで一般的に広く知られている技術を用いるものである。
【0034】
本発明は前記のように、ドローンにRFIDシステムにおけるスキャナを搭載し、滞留している荷物のICタグと通信が出来るまで自律飛行し、通信が出来た時に紛失していた荷物を発見したとみなし、管理者に通知するシステムに関するものである。
【0035】
次に本発明を一例として土砂崩れに対応した災害監視に利用する方法について述べる。図4(A)は崖の断面を示したもので、斜面401にRFIDシステムのICタグ403を埋め込んだ様子である。
【0036】
土砂崩れが発生すると図4(B)に示すように、斜面405が崩れ、前記ICタグは407の位置にずれる。本発明ではこのようなICタグの位置の変化をRFIDシステムにおけるスキャナを搭載したドローンにより発見する。
【0037】
前記の滞留した配送物の発見システムと同様に、ICタグ407と前記ドローンに搭載したスキャナの通信により当該ICタグの位置を知ることが出来、ドローンに搭載したGPSによりその座標を正確に特定することが可能になる。
【0038】
既存技術として、土砂にICタグを埋設し、スキャナを周辺に多数置くことで、例えば河川からダムへの土砂の流量や流速を検出するシステムがあるが、この場合はスキャナの電源が問題になる。
【0039】
本発明はこのように、ドローンを用いて、土砂崩れが発生する前のICタグ403の位置と任意の測定タイミングでの当該ICタグの位置を比較することで、土砂が動いたかどうかを判断するもので、スキャナを常時設置する必要が無いため、電源供給問題も解決される。

図1
図2
図3
図4