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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178302
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】塗料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20221125BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20221125BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20221125BHJP
   C09D 133/26 20060101ALI20221125BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20221125BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20221125BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/63
C09D7/40
C09D133/26
C09D133/00
C09D175/04
C09D163/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085021
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(72)【発明者】
【氏名】富澤 彰文
(72)【発明者】
【氏名】児島 敬
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG001
4J038CG171
4J038DA002
4J038DA162
4J038DA172
4J038DB001
4J038DG001
4J038DG262
4J038DG302
4J038EA011
4J038JA69
4J038JC13
4J038JC14
4J038KA03
4J038KA09
4J038MA08
4J038MA14
4J038NA03
4J038NA06
4J038PA07
4J038PA18
4J038PA19
4J038PB05
4J038PB07
4J038PB09
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC06
4J038PC08
4J038PC10
(57)【要約】
【課題】基材等の各種材料の表面に、優れた親水性(の持続性)及び耐食性を有し、さらには、耐水性にも優れる、親水性皮膜を形成させるための塗料組成物を提供すること。
【解決手段】親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)を含有し、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、親水性樹脂(A)及びスルホン酸系界面活性剤(B)の固形分総量が、10~35質量%である塗料組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)を含有し、
親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、
親水性樹脂(A)及びスルホン酸系界面活性剤(B)の固形分総量が、10~35質量%である塗料組成物。
【請求項2】
親水性樹脂(A)がポリアクリルアミド樹脂又は重合体を構成するモノマー成分の総量に対して、アミド基含有モノマーの総量が50質量%以上の親水性アクリル系重合体の少なくとも一つを含有する請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
親水性樹脂(A)の重量平均分子量が5000~350000である請求項1又は2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
疎水性樹脂(C)がアクリル樹脂(C1)、ポリウレタン樹脂(C2)、及びエポキシ樹脂(C3)から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、
各成分の固形分総量が親水性樹脂(A)5~25質量%、スルホン酸系界面活性剤(B)5~15質量%、疎水性樹脂(C)20~60質量%、架橋剤(D)20~60質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性及び耐食性に優れる塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、車両部品、建材、家電用部品等の成形加工品、鋳造品、又は、シート、コイル若しくは成型品等の各種の材料には、様々な性能を付与するための表面処理が施される。
【0003】
そのような性能としては、例えば、耐食性、親水性、撥水性等が挙げられる。なかでも、軽金属(特にアルミニウムやその合金材料(以下、アルミニウム材という。)は、軽量で加工性に優れることから、家電や自動車に広く使用されている。
【0004】
特に、アルミニウム材は熱伝導率が大きいという特徴を有することから種々の金属材料に使用され、親水性、耐食性、耐湿性、及びその持続性等が要求される。
【0005】
例えばエアコン等の空調機器に使用されるアルミフィンでは、表面の親水性、耐食性が必要とされており、特に、湿潤・低温状態と乾燥・高温状態とが繰り返される条件下においても、親水性・耐食性を維持できること(親水持続性)が求められる。さらには、表面処理により形成された親水化皮膜の溶解、流出を防止するため耐水性にも優れていることも求められている。
【0006】
親水性(の持続性)、耐食性等に優れた親水化処理組成物として、例えば特許文献1には、ポリグリセリンと高酸価アクリル樹脂とを組合せた親水化処理剤が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、(A)水分散性シリカ、(B)水溶性ないし水分散性の有機重合体樹脂、及び(C)架橋剤を含有する親水化処理用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-323257号公報
【特許文献2】特開2001-247822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの従来提案された表面処理組成物では、十分な、親水性(の持続性)、及び耐食性さらには耐水性を満足する親水性皮膜は得られず、効果的な親水化表面処理剤は開発されていないのが現状である。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、基材等の各種材料の表面に、優れた親水性(の持続性)及び耐食性を有し、さらには、耐水性にも優れる、親水性皮膜を形成させることが可能な塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)を含有し、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、親水性樹脂(A)及びスルホン酸系界面活性剤(B)の固形分総量が、10~35質量%である塗料組成物によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、下記内容に関する。
【0013】
1.親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)を含有し、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、親水性樹脂(A)及びスルホン酸系界面活性剤(B)の固形分総量が、10~35質量%である塗料組成物。
【0014】
2.親水性樹脂(A)がポリアクリルアミド樹脂又は重合体を構成するモノマー成分の総量に対して、アミド基含有モノマーの総量が50質量%以上の親水性アクリル系重合体の少なくとも一つを含有する上記項1に記載の塗料組成物。
【0015】
3.親水性樹脂(A)の重量平均分子量が5000~350000である上記項1又は2に記載の塗料組成物。
【0016】
4.疎水性樹脂(C)がアクリル樹脂(C1)、ポリウレタン樹脂(C2)、及びエポキシ樹脂(C3)から選ばれる少なくとも1種を含有する上記項1~3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【0017】
5.親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、各成分の固形分総量が親水性樹脂(A)5~25質量%、スルホン酸系界面活性剤(B)5~15質量%、疎水性樹脂(C)20~60質量%、架橋剤(D)20~60質量%である上記項1~4のいずれか一項に記載の塗料組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明の塗料組成物は、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)を含有するものであるため、親水性及び耐食性に優れる塗膜を得ることができる。また、親水化付与成分の量が多い従来の親水化表面処理剤とは異なり、親水性付与成分である親水性樹脂(A)及びスルホン酸系界面活性剤(B)の含有量が少なくとも高い親水性を付与することができるので、耐水性にも優れた塗膜を得ることができる。
【0019】
以上、本発明によれば、基材等の各種材料に対して、親水性(の持続性)及び耐食性に優れ、さらには耐水性にも優れる塗膜を形成させることができる、塗料組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)を含有し、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、親水性樹脂(A)及びスルホン酸系界面活性剤(B)の固形分総量が、10~35質量%である塗料組成物(以下、略して、本塗料、と称することもある。)に関する。
【0021】
以下、本発明の内容を詳細に説明する。
【0022】
<塗料組成物>
親水性樹脂(A)
本発明の塗料組成物における親水性樹脂(A)は、親水性基を有する樹脂であり、親水性基とは、水中で電離してイオンになるものや、電離はせずに水素結合で水和する官能基である。親水性基としては、具体的には、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、硫酸基、スルホン酸基、オキシアルキレン基又はその前駆体となる官能基等をあげることができる。
【0023】
本発明において、親水性樹脂(A)を以下のように定義する。
【0024】
親水性樹脂(A)とは、下記1,2の要件のいずれか1つを満たす樹脂のことをいう。
1.樹脂中の親水性基の含有量が4000mmol/kg以上
2.樹脂中の繰り返し単位が5以上のアルキレンオキシド〔(RO);n≧5 Rはアルキレン基〕構成単位の含有量が5質量%以上
具体的な親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール及びポリエチレンビニルアルコール等のビニルアルコール系ポリマー、ポリビニルピロリドン等のポリビニルピロリドン系ポリマー、セルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロース、及びセルローストリアセテート等のセルロース系ポリマー、ポリエチレングリコール及びポリエチレンオキサイド等のポリエチレングリコール系ポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル酸系ポリマー、ポリビニルスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド樹脂、及び、ポリオキシアルキレン鎖、アミド基、水酸基及び酸基から選ばれる少なくとも1つを有するアクリル系重合体(以下、単に親水性アクリル系重合体という)等を挙げることができる。
【0025】
これらは、単独で、或いは2種以上を併用して使用することができる。
【0026】
上記親水性樹脂のうち、親水性及び耐食性の両立の観点から、ポリアクリルアミド樹脂及び親水性アクリル系重合体が好ましい。
【0027】
なお、本発明において、上記ポリアクリルアミド樹脂及び親水性アクリル系重合体は、重合体を構成するモノマー成分の総量に対して、(メタ)アクリルアミドの総量が70質量%以上であればポリアクリルアミド樹脂、70%未満であれば親水性アクリル系重合体と定義するものとする。
【0028】
なお本明細書において「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
【0029】
ポリアクリルアミド樹脂は、該樹脂を構成するラジカル重合性モノマーの総量に対して、(メタ)アクリルアミドを70質量%以上含むラジカル重合性モノマーの混合物を重合反応して得られた重合体を使用することができ、例えば、(メタ)アクリルアミドの単独重合体、又は(メタ)アクリルアミドとその他のラジカル重合性モノマーとの共重合体のいずれであってもよい。
【0030】
詳細には、ポリアクリルアミド樹脂は、例えば、(メタ)アクリルアミド、必要に応じて、その他のラジカル重合性モノマーとの混合物を重合開始剤(アゾ系、過酸化物系、酸化還元型など)の存在下で、水、有機溶剤などの溶媒中で重合反応させることによって得ることができる。上記重合温度は、使用する重合開始剤の種類等によって変えることができるが、通常、約50~約200℃、さらには90~160℃の範囲内の温度が適当であり、反応時間は0.5~10時間程度である。
【0031】
ポリアクリルアミド樹脂は、市販品も使用することができ、例えば、ハリコートG-50、ハリコートG-51、ハリコート1057(以上、ハリマ化成、商品名)、ポリマセット305、ポリマセット500、ポリマセット512(以上、荒川化学工業(株)、商品名)等を挙げることができる。
【0032】
上記ポリアクリルアミド樹脂の製造に使用できるその他のラジカル共重合性モノマーとしては、例えば、カチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー、N-置換(メタ)アクリルアミド及びその他のビニルモノマー等を挙げることができる。
【0033】
上記カチオン性ビニルモノマーとしては、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基を有するビニルモノマー又はそれらの塩類、ジアリルアミン、トリアリルアミン、アリルアミン等のアリルアミン系化合物またはそれらの塩類等を挙げることができる。
【0034】
上記アニオン性ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等の有機スルホン酸;又はこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができる。
【0035】
上記N-置換(メタ)アクリルアミドとしては、カチオン性ビニルモノマー以外のN-置換(メタ)アクリルアミドであれば特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0036】
上記その他のビニルモノマーとしては、カチオン性ビニルモノマー、アニオン性ビニルモノマー、及びN-置換(メタ)アクリルアミド以外のビニルモノマーであれば特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類;アリルアルコール等のアリル基を含有するアリル系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド系モノマー類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート系モノマー類;ジビニルベンゼン;1,3,5-トリアクロイルヘキサヒドロ-S-トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の多官能ビニルモノマー類を挙げることができる。
【0037】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。
【0038】
ポリアクリルアミド樹脂において、親水性の観点から重合体を構成するモノマー成分の総量に対して、(メタ)アクリルアミドの総量は80質量%以上、特に90質量%以上であることが好ましい。
【0039】
親水性アクリル系重合体は、ラジカル重合性モノマーの混合物を重合反応して得られた重合体を使用することができ、ラジカル重合性モノマーとしては、以下のモノマーを挙げることができる。
【0040】
M1.ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー
M2.(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド又はN-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド
M3.酸性基含有重合性不飽和モノマー
M4.水酸基含有重合性不飽和モノマー
M5.1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有するモノマー
M6.上記M1~M5以外の重合性不飽和モノマー
上記M1は1分子中に少なくとも1個の重合性二重結合と、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する化合物である。
【0041】
上記M2のN-アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソヘキシルオキシメチル(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。
【0042】
上記M3としては、1分子中に少なくとも1個の酸性基と1個の重合性不飽和基を有する化合物であれば特に制限なく使用でき、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー;又はこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等を挙げることができる。酸性基含有重合性不飽和モノマーは、親水性塗料組成物の硬化性に寄与することもできる。
【0043】
上記M4としては、具体的には例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2~8のヒドロキシアルキルエステル等を挙げることができる。水酸基含有重合性不飽和モノマーは、親水性塗料組成物の硬化性に寄与することもできる。
【0044】
上記M5としては、具体的には例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのうち、重合体微粒子とした場合の分散安定性および親水性等の観点から、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドを好適に使用することができる。
【0045】
上記M6としては、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1~24のアルキル又はシクロアルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性不飽和ニトリル;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、α-クロルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2~8の含窒素アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン;ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル;N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-n-ブチルアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系不飽和化合物;γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等の加水分解性シリル基を有する不飽和化合物、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する不飽和化合物等を挙げることができる。
【0046】
親水性アクリル系重合体において、親水性の観点から重合体を構成するモノマー成分の総量に対して、アミド基含有モノマーの総量は50質量%以上、特に60質量%以上であることが好ましい。
【0047】
上記モノマーは単独で、或いは2種以上を併用して使用することができる。
【0048】
親水性アクリル系重合体の合成は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下に行なわれる。ラジカル重合開始剤としては、それ自体既知のものを使用することができ、その使用量は、通常、モノマーの合計量に対して0.2~5質量%の範囲内が好ましい。
【0049】
重合温度は、使用する重合開始剤の種類等によって変えることができるが、通常、約50~約160℃、さらには90~160℃の範囲内の温度が好適であり、反応時間は0.5~10時間程度とすることができる。
【0050】
親水性樹脂(A)において、樹脂中の親水性基の含有量が4000mmol/kg以上であり、6000mmol/kg以上、特に8000mmol/kg以上であることが親水性の観点から好ましい。
【0051】
親水性樹脂(A)の重量平均分子量は、耐食性や親水性の観点から5000~350000、特に15000~350000、さらに特に15000~200000の範囲内であることが好ましい。
【0052】
本明細書において、平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフを用いて測定した保持時間を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。
【0053】
親水性樹脂(A)は後述の架橋剤(D)との架橋反応の観点から、架橋剤(D)との反応性を有する官能基を有することが好ましい。具体的には、例えば、架橋剤(D)がメラミン樹脂又はポリイソシアネート樹脂である場合は、これらとの反応性を有する水酸基を含有することが好ましい。
【0054】
親水性樹脂(A)は、必要に応じて中和剤を添加して、水に溶解或いは水分散することができる。
【0055】
親水性樹脂(A)を水分散体とする場合、平均粒子径は、30~700nm、特に40~600nm、さらに特に120~500nmの範囲内であることが分散安定性、塗装作業性等の観点から好ましい。
【0056】
平均粒子径は、粒子径測定装置、例えばコールター(coulter)モデルN4MD(ベックマン・コールター社製、商品名)によって測定することができる。
【0057】
スルホン酸系界面活性剤(B)
スルホン酸系界面活性剤は、分子構造中に-SO-基を有するアニオン系の界面活性剤である。具体的には、例えば、スルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、スルホコハク酸塩系等の界面活性剤を挙げることができる。
【0058】
スルホン酸塩系の界面活性剤としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩系、アルキルベンゼンスルホン酸塩系等の界面活性剤を挙げることができる。
【0059】
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩系の界面活性剤としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸又はその金属塩を挙げることができる。これらの中でも、特に、親水持続性の向上の点からアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩を好適に使用することができる。
【0060】
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系の界面活性剤の市販品としては、ペレックスSS-L、ペレックスSS-H(花王株式会社)、ニューコール261-A、ニューコール271-A(日本乳化剤株式会社)等を挙げることができる。
【0061】
アルキルベンゼンスルホン酸塩系の界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸又はその金属塩を挙げることができる。これらの中でも、特に、親水持続性の向上の点からアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩を好適に使用することができる。
【0062】
アルキルベンゼンスルホン酸塩系の界面活性剤の市販品としては、ニューコール210、ニューコール220-L(日本乳化剤株式会社)、ネオペレックスG-15、ネオペレックスG-25(花王株式会社)等を挙げることができる。
【0063】
硫酸エステル塩系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩系等の界面活性剤を挙げることができる。
【0064】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩系の界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその金属塩を挙げることができる。これらの中でも、特に、親水持続性の向上の点からポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩が好ましい。
【0065】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩系の界面活性剤の市販品としては、例えば、ニューコール707SN、ニューコール714SF、ニューコール2308SF、ニューコール2360SN(日本乳化剤株式会社)、 ラテムルE-118B、ラテルムE-150、ラテムルWX、ラテムルPD-140(花王株式会社)、レベノールWX(花王ケミカルズ社)等が挙げられる。
【0066】
スルホコハク酸塩系の界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸又はその金属塩等を挙げることができる。
【0067】
具体的には、例えば、モノアルキルスルホコハク酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルアミンオキサイドビストリデシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジアミルスルホコハク酸ナトリウム、ジイソブチルスルホコハク酸ナトリウム、イソデシルスルホコハク酸ジナトリウム、N-オクタデシルスルホコハク酸アミドジナトリウム、N-(1,2-ジカルボキシエチル)-N-オクタデシルスルホコハク酸アミドテトラナトリウム等を挙げることができる。これらの中でも、特に、親水持続性の向上の点からジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩を好適に使用することができる。
【0068】
スルホコハク酸塩系の界面活性剤の市販品としては、ペレックスOT-P、ペレックスTR、ペレックスCS、ペレックスTA(花王株式会社)、ニューコール290-A、ニューコール290-M、ニューコール291-M、ニューコール291-PG、ニューコール291-GL、ニューコール292-PG、ニューコール293(日本乳化剤株式会社)、ネオコールSW-C、ネオコールYSK、ネオコールP(第一工業製薬株式会社)が挙げることができる。
【0069】
上記スルホン酸系界面活性剤のうち、親水性と耐食性の観点から、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系及びスルホコハク酸塩系の界面活性剤を使用することが好ましい。また、両者を併用することがさらに好ましい。
【0070】
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系及びスルホコハク酸塩系の界面活性剤を併用する場合、両者の固形分総量を基準にして、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系の界面活性剤/スルホコハク酸塩系の界面活性剤=80/20~50/50(質量比)、好ましくは70/30~55/45(質量比)の範囲内であることが、親水持続性の観点から好ましい。
【0071】
疎水性樹脂(C)
本発明の塗料組成物における疎水性樹脂(C)は、親水性基を有さないか、あるいはその含有量が小さい樹脂である。親水性基とは、水中で電離してイオンになるものや、電離はせずに水素結合で水和する官能基である。親水性基としては、具体的には、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、硫酸基、スルホン酸基、オキシアルキレン基又はその前駆体となる官能基等をあげることができる。
【0072】
本発明において、疎水性樹脂(C)を以下のように定義する。
【0073】
疎水性樹脂(C)とは、下記1,2の要件をともに満たす樹脂のことをいう。
【0074】
1.樹脂中の親水性基の含有量が4000mmol/kg未満
2.樹脂中の繰り返し単位が5以上のアルキレンオキシド〔(RO);n≧5 Rはアルキレン基〕構成単位の含有量が5質量%未満
具体的な疎水性樹脂(C)としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
【0075】
これらは、単独で、或いは2種以上を併用して使用することができる。
【0076】
上記樹脂のうち、耐食性や耐熱水性の観点から、アクリル樹脂(C1)、ポリウレタン樹脂(C2)、及びエポキシ樹脂(C3)を好適に使用することができる。
【0077】
アクリル樹脂(C1)
アクリル樹脂(C1)は、疎水性のアクリル樹脂であり、上記疎水性樹脂(C)の要件1及び2を満たすものであれば特に制限なく使用することができる。共重合モノマーとしては、前記親水性樹脂(A)の親水性アクリル系重合体で記載したものを同様に使用することができ、親水性アクリル系重合体で記載した方法と同様にして合成することができる。
【0078】
ポリウレタン樹脂(C2)
ポリウレタン樹脂(C2)は、一般にアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールとジイソシアネートからなるポリウレタンを必要に応じてジオール、ジアミン等の2個以上の活性水素を持つ低分子量化合物である鎖伸長剤の存在下で鎖伸長することにより合成することができる。水中に安定に分散もしくは溶解させたものを好適に使用することができる。
【0079】
ポリウレタン樹脂(C2)は例えば以下の方法により、水中に安定に分散もしくは溶解させることができる。
【0080】
(1)ポリウレタンポリマーの側鎖または末端に、水酸基、アミノ基、カルボキル基等のイオン性基を導入することにより親水性を付与し自己乳化により水中に分散または溶解する方法
(2)反応の完結したポリマー、又は末端イソシアネート基をオキシム、アルコール、フェノール、メルカプタン、アミン、重亜硫酸ソーダ等のブロック剤でブロックしたポリマーを、乳化剤と機械的せん断力を用いて強制的に水中に分散する方法
(3)末端イソシアネート基を持つウレタンプレポリマーを、水、乳化剤及び伸長剤と混合し、機械的せん断力を用いて分散化と高分子化を同時に行う方法
(4)ポリウレタン主原料のポリオールとしてポリエチレングリコールのような水溶性ポリオールを使用し、水に可溶なポリウレタンとして水中に分散または溶解する方法
ポリウレタン樹脂(C2)の市販品としては、例えばハイドランHW-330、ハイドランHW-340、ハイドランHW-350(いずれも大日本インキ化学工業社製)、スーパーフレックス100、スーパーフレックス110、スーパーフレックス150、スーパーフレックスF-8438D、スーパーフレックス420(いずれも第一工業製薬社製)、アデカボンタイターHUX-232、アデカボンタイターHUX-260、アデカボンタイダーHUX-320、アデカボンタイターHUX-350、アデカボンタイターHUX-540、アデカボンタイターUX-206(いずれも旭電化社製)等を挙げることができる。
【0081】
エポキシ樹脂(C3)
エポキシ樹脂(C3)は、代表的には、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンの共重合体を挙げることができ、例えば、ポリフェノール化合物とエピクロロヒドリンとの反応により得られる樹脂である。上記ポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-プロパン(「ビスフェノールA」とも称される)、4,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(「ビスフェノールF」とも称される)、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン(「ビスフェノールS」とも称される)等を挙げることができる。耐食性の観点からビスフェノールA型エポキシ樹脂を好適に使用することができる。
【0082】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重合によって得ることができる。また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が比較的低いビスフェノールA型エポキシ樹脂に、ビスフェノールAを付加させる二段重合法によっても得ることができる。
【0083】
上記エポキシ当量が比較的低いビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量約160~約2,000程度のものが一般的であり、その市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製の、jER828EL、jER1001、jER1004、jER1007;旭化成エポキシ社製の、アラルダイトAER250、アラルダイトAER260、アラルダイトAER6071、アラルダイトAER6004、アラルダイトAER6007;三井化学社製のエポミックR140、エポミックR301、エポミックR304、エポミックR307、旭電化社製のアデカレジンEP-4100、アデカレジンEP-5100等を挙げることができる。
【0084】
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を二塩基酸で変性した変性エポキシ樹脂であってもよい。この場合、二塩基酸と反応させるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、数平均分子量が約2,000~約8,000であり且つエポキシ当量が約1,000~約4,000の範囲内にあるものを好適に使用することができる。
【0085】
上記二塩基酸としては、例えば次の一般式:
HOOC-(CH)-COOH(式中、nは、1~12の整数である)
で表される化合物を挙げることができ、具体的には例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロフタル酸等を挙げることができる。
【0086】
上記ビスフェノールA型の変性エポキシ樹脂は、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂と二塩基酸との混合物を、例えば、トリ-n-ブチルアミン等のエステル化触媒、有機溶剤等の存在下で、反応温度約120~約180℃で、約1~約4時間反応させることによって得ることができる。
【0087】
アクリル変性エポキシ樹脂(C3a)は、アクリル樹脂により変性されたエポキシ樹脂であり、例えば、以下の方法(1)~(3)等により製造することができる。
【0088】
(1)エポキシ樹脂に、重合性不飽和モノマー、例えば、アクリルモノマーを、水素引抜き反応によりグラフト重合する方法
(2)エポキシ樹脂のエポキシ基に、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、例えば、カルボキシル基含有アクリルモノマーをエステル化反応させ、エポキシ樹脂中に導入された二重結合に、アクリルモノマーを重合反応させることによってアクリル変性エポキシ樹脂を得る方法
(3)エポキシ樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂とを反応させ、アクリル変性エポキシ樹脂を得る方法
これらの中で、方法(3)により製造されるアクリル変性エポキシ樹脂が、親水性及び耐食性に優れた塗膜を形成できる観点から好ましい。
【0089】
方法(3)によるアクリル変性エポキシ樹脂の製造について以下に説明する。
【0090】
アクリル変性エポキシ樹脂(C3a)の製造に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂は、得られるアクリル変性エポキシ樹脂(C3a)の水性媒体中での分散安定性等の観点から、数平均分子量が約2,000~約30,000、特に約5,000~約30,000の範囲内、エポキシ当量が約1,000~約10,000、特に約2,500~約10,000の範囲内にあることが好ましい。
【0091】
上記エポキシ樹脂と反応させてアクリル変性エポキシ樹脂(C3a)を製造するために用いられるカルボキシル基含有アクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーをモノマー骨格として含むアクリルコポリマーである。
【0092】
上記アクリルコポリマーは、水性媒体中での安定性、及び塗膜の耐食性の観点から、重量平均分子量が、約5,000~約100,000、特に約10,000~約100,000の範囲内にあり、酸価が、約150~約700mgKOH/g、特に約200~約500mgKOH/gの範囲内にあることが好ましい。
【0093】
カルボキシル基含有アクリル樹脂の製造に用いられる、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー以外のその他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1~22のアルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系モノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアミル(メタ)アクリレート及びヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート1モルに対して、ε-カプロラクトン1~5モルを開環付加反応させた、水酸基を有するカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリルモノマー;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-sec-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、エチレン、ブタジエン等挙げることができる。
【0094】
カルボキシル基含有アクリル樹脂は、上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーと上記その他のモノマーとのモノマー混合物を、例えば、有機溶剤中にて、ラジカル重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の存在下にて、約80~約150℃で、約1~約10時間、共重合させることによって得ることができる。
【0095】
上記重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等を挙げることができる。上記有機過酸化物系開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、ジt-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート等を挙げることができ、アゾ系開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等が挙げることができる。上記連鎖移動剤としては、例えば、α-メチルスチレンダイマー、メルカプタン類等を挙げることができる。
【0096】
アクリル変性エポキシ樹脂(C3a)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、カルボキシル基含有アクリル樹脂とを、例えば、有機溶剤中にて、エステル化触媒、例えば、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン等の第3級アミン類、トリフェニルフォスフィン等のトリアルキルフォスフィン類の存在下、約80~約120℃で、約0.5~約8時間エステル化させることによって得ることができる。
【0097】
アクリル変性エポキシ樹脂(C3a)において、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、カルボキシル基含有アクリル樹脂との質量比は、親水性、耐食性等に応じて適宜選択すればよいが、ビスフェノール型エポキシ樹脂/カルボキシル基含有アクリル樹脂の固形分質量比で、約10/90~約95/5、特に約20/80~約90/10の範囲内にあることが好ましい。
【0098】
疎水性樹脂(C)において、樹脂中の親水性基の含有量が4000mmol/kg未満であり、3000mmol/kg未満、特に2000mmol/kg未満であることが親水性及び耐水性の観点から好ましい。
【0099】
疎水性樹脂(C)の重量平均分子量は、耐食性の観点から8000~200000、特に10000~150000の範囲内であることが好ましい。
【0100】
疎水性樹脂(C)は後述の架橋剤(D)との架橋反応の観点から、架橋剤(D)との反応性を有する官能基を有することが好ましい。具体的には、例えば、架橋剤(D)がメラミン樹脂又はポリイソシアネート樹脂である場合は、これらとの反応性を有する水酸基を含有することが好ましい。
【0101】
疎水性樹脂(C)は、必要に応じて中和剤を添加して、水に溶解或いは水分散することができる。
【0102】
疎水性樹脂(C)を水分散体とする場合、平均粒子径は、100~1000nm、特に110~900nm、さらに特に120~800nmの範囲内であることが分散安定性、塗装作業性等の観点から好ましい。
【0103】
架橋剤(D)
架橋剤(D)は、親水性樹脂(A)及び/又は疎水性樹脂(C)と反応する官能基を有する化合物である。通常、親水性樹脂(A)又は疎水性樹脂(C)と反応する官能基を分子内に2つ以上有する。
【0104】
本発明の塗料組成物の硬化性を高め、得られる塗膜の耐食性、耐水性等の塗膜性能、特に耐水性を向上させることができる。
【0105】
架橋剤(D)としては、例えば、アミノ樹脂、フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、オキサゾリン基含有樹脂、ポリエポキシ化合物、カルボジイミド化合物を挙げることができる。
【0106】
これらの架橋剤(D)の中でも、特に耐水性等の観点からアミノ樹脂及びフェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を好適に使用することができる。
【0107】
アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂等を挙げることができる。なかでも親水性と耐食性の観点からメラミン樹脂(D1)を特に好適に使用することができる。
【0108】
メラミン樹脂においては例えば、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を炭素数1~8の1価アルコールでエーテル化したメラミン樹脂を好適に使用することができる。上記エーテル化メラミン樹脂は、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基がすべてエーテル化されているものでもよいし、又は部分的にエーテル化され、メチロール基やイミノ基が残存しているものでもよい。
【0109】
アミノ樹脂の具体例としては、完全アルキル型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、メチロール基型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、イミノ型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、メチル化尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。これらのアミノ樹脂は、単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0110】
上記アミノ樹脂の市販品としては、例えばサイメル232、サイメル232S、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル266、サイメル267、サイメル285等の完全アルキル型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂;サイメル272等のメチロール基型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂;サイメル202、サイメル207、サイメル212、サイメル253、サイメル254等のイミノ型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂;サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350等の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂;サイメル325、サイメル327、サイメル701、サイメル703、サイメル712、サイメル254、サイメル253、サイメル212、サイメル1128等のイミノ基型メチル化メラミン樹脂(以上、ダイセル・オルネクス社製、商品名)、ユーバン20SE60(三井サイテック株式会社製、ブチルエーテル化メラミン樹脂)、
ニカラックBL-60(三和ケミカル社製)等のメチル化ベンゾグアナミン樹脂、スーパーベッカミンTD-126、スーパーベッカミン15-594(以上、DIC社製)等のブチル化ベンゾグアナミン樹脂、
サイメルU-65(ダイセル・オルネクス社製)、ニカラックMX-270、ニカラックMX-280、ニカラックMX-290(以上、三和ケミカル社製)等のメチル化尿素樹脂、ニカラックMX-279(三和ケミカル社製)、ユーバン10S60、ユーバン10R(以上、三井サイテック株式会社製)、ベッカミンP-138、ベッカミンP-196-M、ベッカミンG-1850(以上、DIC社製)等のブチル化尿素樹脂等を挙げることができる。
【0111】
フェノール樹脂は、一般にフェノール、クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒドとを酸性触媒や塩基性触媒の存在下で縮合反応させた樹脂であり、中でも酸性触媒下で縮合したものをノボラック型フェノール樹脂、塩基性触媒下で縮合させたものをレゾール型フェノール樹脂と称する。
【0112】
本発明の塗料組成物には、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂のいずれも使用することができる。また、メチロール基が導入された樹脂も包含され、さらに導入されたメチロール基の一部、あるいはすべてを炭素数6以下のアルコールでアルキルエーテル化したフェノール樹脂も使用することができる。
【0113】
フェノール樹脂の市販品としては、SUMILITERESIN PR-HF-3、SUMILITERESIN PR-HF-6、SUMILITERESIN PR-53194、SUMILITERESIN PR-53195、SUMILITERESIN PR-54869、SUMILITERESIN PR-16382、SUMILITERESIN PR-51939、SUMILITERESIN PR-53153、SUMILITERESIN PR-53364、SUMILITERESIN PR-53365、SUMILITERESIN PR-50702(以上、「住友ベークライト社」製);PHENOLITE TD-2131、PHENOLITE TD-2106、PHENOLITE TD-2093、PHENOLITE TD-2091、PHENOLITE TD-2090、PHENOLITE VH-4150、PHENOLITE VH-4170、PHENOLITE VH-4240、PHENOLITE KH-1160、PHENOLITE KH-1163、PHENOLITE KH-1165、PHENOLITE TD-2093-60M、PHENOLITE TD-2090-60M、PHENOLITE LF-4711、PHENOLITE LF-6161、PHENOLITE LF-4871、PHENOLITE LA-7052、PHENOLITE LA-7054、PHENOLITE LA-7751、PHENOLITE LA-1356、PHENOLITE LA-3018-50P(以上、DIC社製);ショーノールBKM-262、ショウノールBRG-555、ショウノールBRG-556、ショウノールBRG-558、ショウノールCKM-923、ショウノールCKM-983、ショウノールBKM-2620、ショウノールBRL-2854、ショウノールBRG-5590M、ショウノールCKS-3898、ショウノールCKS-3877A、ショウノールCKM-937(以上、昭和高分子社製)等を挙げることができる。
【0114】
ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びシクロペンタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;該ポリイソシアネートのビユーレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物;これらのポリイソシアネートと低分子量もしくは高分子量のポリオール化合物(例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等)とをイソシアネート基過剰で反応させてなる遊離イソシアネート基含有プレポリマー等を挙げることができる。
【0115】
ブロック化ポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネート化合物の遊離イソシアネート基をフェノール化合物、オキシム化合物、活性メチレン化合物、ラクタム化合物、アルコール化合物、メルカプタン化合物、酸アミド系化合物、イミド系化合物、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、カルバミン酸系化合物、イミン系化合物等のブロック剤で封鎖したポリイソシアネート化合物である。
【0116】
架橋剤(D)は1種を単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0117】
本発明の塗料組成物において、得られる塗膜の親水性及び耐食性の観点から、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、親水性樹脂(A)及びスルホン酸系界面活性剤(B)の固形分総量が、10~35質量%であり、特に12~30質量%、さらに特に15~28質量%であることが好ましい。
【0118】
また、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、各成分の含有量は、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、各成分の固形分総量として親水性樹脂(A)が5~25質量%、特に7~20質量%、さらに特に、9~15質量%、スルホン酸系界面活性剤(B)が5~15質量%、特に7~13質量%、さらに特に、9~11質量%、疎水性樹脂(C)が20~60質量%、特に25~55質量%、さらに特に、30~50質量%、架橋剤(D)が20~60質量%、特に25~55質量%、さらに特に、30~50質量%であることが得られる塗膜の親水性及び耐食性並びに耐水性の観点から好ましい。
【0119】
また、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)の固形分総量に対して、疎水性樹脂(C)の固形分総量が25~65質量%、特に30~60質量%、さらに特に、35~55質量%であることが得られる塗膜の親水性や耐食性の観点から好ましい。
【0120】
その他の成分
本発明の塗料組成物は、その他の成分として、必要に応じて、顔料、防錆剤、界面活性剤(スルホン酸系界面活性剤(B)を除く)、レオロジーコントロール剤、表面調整剤、イオン液体、消泡剤、造膜助剤等の通常、塗料に使用される成分を適宜含有することができ、また希釈溶媒として水または適当な有機溶剤を使用することができる。
【0121】
顔料としては、着色顔料、体質顔料、防錆顔料等を挙げることができる。
【0122】
着色顔料としては、例えば、二酸化チタン、ベンガラ、アルミペースト、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料等を挙げることができる。
【0123】
体質顔料としては、例えば、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華(酸化亜鉛)等を挙げることができる。
【0124】
防錆顔料としては、環境汚染防止の観点から鉛やクロム等の有害金属を含有しないものが好ましく、例えば、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛・酸化亜鉛複合体、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等のリン酸塩系化合物、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン酸塩系化合物を挙げることができる。これらの顔料はそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0125】
防錆剤としては、例えば、フィチン酸、ホスフィン酸等の有機リン酸、重リン酸の金属塩類、亜硝酸塩、さらにタンニン酸、没食子酸、アスコルビン酸及びその塩類等を挙げることができる。
【0126】
本発明の塗料組成物は、例えば、親水性樹脂(A)、スルホン酸系界面活性剤(B)、疎水性樹脂(C)及び架橋剤(D)並びに必要に応じて、その他の成分を水性媒体に溶解ないしは分散することにより調製することができる。
【0127】
本発明の塗料組成物は、塗料中の全溶媒中、水を80~97質量%、好ましくは85~95質量%含有することが好ましい。
【0128】
全媒体中には、水の他、さらに有機溶剤や中和剤等を含有していてもよい。
【0129】
本発明の塗料組成物は、親水化の表面処理が要求される種々の基材に適用することができ、基材としては、例えば、金属、各種プラスチックやそのフィルム、ガラス、紙、木材等を挙げることができる。
【0130】
前記金属基材としては、例えば、自動車、家電、建材等の用途に使用される亜鉛めっき鋼板やアルミニウム-亜鉛めっき鋼板、アルミ板、アルミ合金板、電磁鋼板、銅板、ステンレス鋼板等を挙げることができる。
【0131】
前記プラスチック基材としては、一般に、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成型品に採用されている素材として、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ABS/PC樹脂、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。
【0132】
前記プラスチックフィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、TAC(トリアセチルセルロース)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等を挙げることができる。
【0133】
本発明の塗料組成物は、例えば、車両、車両部品;外壁、屋根等の建築部材;ガードレール、防音壁、排水溝等の土木部材;家電製品;アルミフィン;産業機械;鋳造品;防曇フィルムシート、防曇ガラス等の防曇材;鏡;医療器具;シート、コイル若しくは成型品等の基材等の各種物品の表面塗装等に好適に使用することができる。
【0134】
特に、アルミニウムやその合金材料等の軽金属材料及びその成型加工品並びに該成型加工品を部品とする車両、建材、機材等に好適に使用することができる。
【0135】
上記基材及び被塗物は、表面が脱脂され、必要に応じて化成処理されたものであってもよい。なお表面が化成処理されていることが、付着性、耐食性等の観点から好適である。化成処理としては、りん酸塩処理、ジルコニウム処理、クロメート処理等を挙げることができる。
【0136】
また、上記基材及び被塗物は、プライマー塗膜が形成されたものであってもよい。
【0137】
上記プライマー塗膜の形成に用いられるプライマー塗料組成物としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオキシアルキレン樹脂、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレンアイオノマー樹脂、塩化ビニル樹脂等を基体樹脂とするプライマー塗料組成物を挙げることができる。プライマー塗料組成物は、水系塗料、有機溶剤系塗料のいずれであってもよい。また、プライマー塗料組成物は、無機化合物系のプライマー塗料組成物であってもよい。
【0138】
プライマー塗料組成物の塗装は、それ自体既知の方法、例えば浸漬塗装、シャワー塗装、スプレー塗装、ロール塗装、電気泳動塗装等によって行うことができ、通常、乾燥膜厚が0.2~20μm、好ましくは0.5~10μmとなるように塗布され、常温によるセッティング又は焼付け乾燥等によってプライマー塗膜が形成される。
【0139】
上記プライマー塗膜の焼付け乾燥は、通常、素材到達最高温度が約80~約250℃、好ましくは120~240℃で、焼付時間が6秒間~約30分間、好ましくは8秒間~10分間の条件下で行なわれる。
【0140】
本発明の塗料組成物の塗装は、それ自体既知の方法、例えば浸漬塗装、シャワー塗装、スプレー塗装、ロールコータ塗装、カーテンコーター塗装、フローコーター塗装、電気泳動塗装(電着塗装)等によって行うことができ、なかでもスプレー塗装もしくはロールコータ塗装が好ましい。
【0141】
膜厚は被塗物及び要求される塗膜性能等により適宜設定することができる。通常、硬化膜厚で0.2~20μm、好ましくは0.4~18μm、さらに好ましくは0.6~15μmとなるように塗装され、常温によるセッティング又は焼付け乾燥等を行うことにより親水性塗膜を形成させることができる。
【0142】
上記親水性塗膜の焼付け乾燥(本発明の塗料組成物の硬化)は、その組成により適宜硬化条件を選択することができるが、例えば、素材到達最高温度が約80~約250℃、好ましくは100~240℃、焼付け時間が6秒間~約20分間、好ましくは8秒間~15分間の条件で行うことができる。
【実施例0143】
以下、実施例により、本発明をより具体的に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。なお、以下の製造例、実施例及び比較例における原材料の質量部は、原材料の固形分(又は有効成分と記すことがある)の質量部を表す。
【0144】
表中の原材料は以下のとおりである。
【0145】
親水性樹脂(A)
(注1)ポリアクリルアミド樹脂No.1:重量平均分子量約80000、親水性基含有量約14000mmol/kg、アクリルアミドの総量90%質量以上
(注2)ポリアクリルアミド樹脂No.2:重量平均分子量約40000、親水性基含有量約14000mmol/kg、アクリルアミドの総量90%質量以上
(注3)ポリアクリルアミド樹脂No.3:重量平均分子量約8000、親水性基含有量約14000mmol/kg、アクリルアミドの総量90%質量以上
(注4)ハリコート1057:ハリマ化成社製、商品名、重量平均分子量約300000、ノニオン性ポリアクリルアミド樹脂、親水性基含有量約14000mmol/kg、アクリルアミドの総量90%質量以上
(注5)親水性アクリル樹脂No.1:以下のとおり、合成したアクリル樹脂エマルション、親水性基含有量約14600mmol/kg、アクリルアミドの総量40質量%、アミド基含有モノマーの総量52質量%
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール25部、脱イオン水250 部を入れ、80℃に昇温した。次に、フラスコ内に下記モノマー、溶媒及び開始剤の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間80℃に保持して、固形分15質量% の親水性アクリル樹脂No.1の分散液を得た。親水性アクリル樹脂No.1の重量平均分子量は250000、分散液の平均粒子径は50nm、樹脂水酸基価は80mgKOH/g、樹脂酸価168mgKOH/gであった。
【0146】
親水性アクリル樹脂No.1の分散液
ブレンマーPME-400(※) 20部
アクリルアミド 40部
N-メチロールアクリルアミド 10部
アクリル酸 21部
メタクリル酸2 - ヒドロキシエチル 7部
メチレンビスアクリルアミド 2部
過硫酸アンモニウム 1.5部
脱イオン水 290部
ブレンマーPME-400(※):日油株式会社製、商品名、重合性二重結合とポリオキシアルキレン鎖とを有する親水性モノマー、(CHCHO)の繰り返し単位数n=9(平均値)
(注6)親水性アクリル樹脂No.2:以下のとおり、合成したアクリル樹脂エマルション、親水性基含有量約16400mmol/kg、アクリルアミドの総量20質量%、アミド基含有モノマーの総量36質量%
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた四つ口フラスコに、イソプロピルアルコール25部、脱イオン水250 部を入れ、80℃に昇温した。次に、フラスコ内に下記モノマー、溶媒及び開始剤の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後さらに2時間80℃に保持して、固形分15質量% の親水性アクリル樹脂No.2の分散液を得た。親水性アクリル樹脂No.2の重量平均分子量は250000、分散液の平均粒子径は55nm、樹脂水酸基価は87mgKOH/g、樹脂酸価164mgKOH/gであった。
【0147】
親水性アクリル樹脂No.2の分散液
ブレンマーPME-400(※) 40部
アクリルアミド 20部
N-メチロールアクリルアミド 15部
アクリル酸 21部
メタクリル酸2 - ヒドロキシエチル 3部
メチレンビスアクリルアミド 1部
過硫酸アンモニウム 1.5部
脱イオン水 290部
(注7)セロゲンF-7A:第一工業製薬社製、商品名、重量平均分子量約30000、カルボキシメチルセルロースナトリウム化合物、親水性基含有量約18500mmol/kg
(注8)PEG-20000: 三洋化成工業社製、商品名、重量平均分子量約20000、ポリオキシアルキレン化合物、親水性基含有量約23000mmol/kg
(注9)JE-04:日本酢ビ・ポバール社製、商品名、重量平均分子量約17000 、ポリビニルアルコール化合物、親水性基含有量約7700mmol/kg
スルホン酸系界面活性剤(B)
(注10)ニューコール290-A:日本乳化剤社製、商品名、スルホコハク酸系のアニオン性界面活性剤
(注11)ニューコール271-A:日本乳化剤社製、商品名、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸系のアニオン性界面活性剤
(注12)レベノールWX:花王社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム系のアニオン性界面活性剤
(注13)プライサーフM208F:第一工業製薬社製、リン酸エステル型アニオン界面活性剤
(注14)ニューコール2308:日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ノニオン性界面活性剤、HLB=13.2
(注15)アンヒトール 20AB:花王社製、ラウリン酸アミドプロピルベタイン系の両性界面活性剤
なお、(注13)~(注15)はスルホン酸系界面活性剤ではなく、比較例用である。
【0148】
疎水性樹脂(C)
(注16)疎水性アクリル樹脂No.1:アクリル樹脂エマルション(St/MMA/2HEA/HEMA/Aac:10/60/25/4/1)、樹脂水酸基価138mgKOH/g、樹脂酸価8mgKOH/g、親水性基含有量約2600mmol/kg
(注17)ポリウレタン樹脂No.1:以下のとおり、合成したウレタン樹脂エマルション、親水性基含有量約300mmol/kg
反応容器に、数平均分子量2000のポリブチレンアジペート115.5部、数平均分子量2000のポリカプロラクトンジオール115.5部、ジメチロールプロピオン酸23.2部、1,4-ブタンジオール14.5部及びイソホロンジイソシアネート120.1部を仕込み、撹拌下に窒素気流中、85℃で7時間反応せしめてNCO含有量4.0%のプレポリマーを得た。
【0149】
次いで該プレポリマーを50℃まで冷却し、アセトン165部を加え均一に溶解した後、撹拌下にトリエチルアミン15.7部を加え、50℃以下に保ちながら脱イオン水600部を加え、得られた水分散体を50℃で2時間保持し水伸長反応を完結させた後、減圧下70℃以下でアセトンを留去し、トリエチルアミンと脱イオン水でpHを8.0に調整し、固形分酸価が17mgKOH/g、固形分30質量%、平均粒子径が150nmのウレタン樹脂No.1のエマルションを得た。
【0150】
(注18)エポキシ樹脂No.1:以下のとおり、合成したアクリル変性エポキシ樹脂、親水性基含有量約2700mmol/kg
カルボキシル基含有アクリル樹脂No.1溶液の製造
n-ブタノール850部を窒素気流下で100℃に加熱し、単量体混合物及び重合開始剤「メタクリル酸450部、スチレン450部、エチルアクリレート100部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート40部」を3時間かけて滴下し、滴下後1時間熟成した。次いで、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート10部とn-ブタノール100部との混合溶液を30分間かけて滴下し、滴下後2時間熟成した。
【0151】
次いで、n-ブタノール933部、エチレングリコールモノブチルエーテル400部を加え、固形分約30%のカルボキシル基含有アクリル樹脂No.1溶液を得た。得られた樹脂は、樹脂酸価300mgKOH/g、重量平均分子量約17000を有していた。
【0152】
アクリル変性エポキシ樹脂の水分散体の製造
反応容器に、jER828EL(三菱化学製、エポキシ樹脂、エポキシ当量約190、数平均分子量約380)513部、ビスフェノールA 287部、テトラメチルアンモニウムクロライド0.3部及びメチルイソブチルケトン89部を仕込み、窒素気流下で140℃に加熱し、約4時間反応を行いエポキシ樹脂溶液を得た。得られたエポキシ樹脂は、エポキシ当量3700、数平均分子量約17000を有していた。
【0153】
次いで、得られたエポキシ樹脂溶液に、上記で得た固形分約30%のカルボキシル基含有アクリル樹脂No.1溶液を667部仕込み、90℃に加熱して均一に溶解させた後、同温度で脱イオン水40部を30分かけて滴下し、ついでジメチルエタノールアミン30部を添加して1時間撹拌して反応を行った。
【0154】
さらに、脱イオン水2380部を1時間かけて添加して固形分約25%のアクリル変性エポキシ樹脂であるエポキシ樹脂No.1の水分散体を得た。得られた樹脂は、数平均分子量約22,000、樹脂酸価48mgKOH/gを有していた。分散液の平均粒子径は、190nmであった。
【0155】
(注19)jER W2821R70:三菱化学社製、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂エマルジョン、固形分約70%、エポキシ当量約230、親水性基含有量約3500mmol/kg
架橋剤(D)
(注20)サイメル327:ダイセル・オルネクス社製、商品名、イミノ基型メチル化メラミン樹脂、固形分90%
(注21)サイメル350:ダイセル・オルネクス社製、商品名、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂、固形分100%
(注22)サイメル303:ダイセル・オルネクス社製、商品名、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂、固形分100%
(注23)ニカラックMX-290:三和ケミカル社製、商品名、メチル化尿素樹脂
(注24)ショウノールBKM-262:昭和高分子社製、商品名、フェノール樹脂
[塗料組成物の製造]
実施例1 塗料組成物No.1の製造
ポリアクリルアミド樹脂No.1(注1)5部(固形分)、ニューコール290-A(注10)5部(固形分)、ポリウレタン樹脂No.1(注17)55部(固形分)及びサイメル327(注20)35部(固形分)を混合攪拌し、脱イオン水で調整して、固形分10%の塗料組成物No.1を得た。
【0156】
実施例2~37及び比較例1~12 塗料組成物No.2~No.49の製造
表1~4に示す配合とする以外は、実施例1と同様にして、固形分10%の各塗料組成物No.2~No .49を得た。
【0157】
なお、塗料組成物No.38~No.49は比較例用である。
【0158】
[試験用塗装板の作製]
試験板(1)の作成
アルミニウム板(A1050、板厚0.1mm)を、アルカリ脱脂剤(日本シービーケミカル社製、商品名「ケミクリーナー561B」)を溶解した濃度2%の水溶液を使用して脱脂を行い、ついでジルコニウム化成処理を施した。次いで、各塗料組成物を乾燥塗膜の膜厚が0.7μmとなるように塗布し、素材到達最高温度が220℃となる条件で10秒間焼付けして各試験板(1)を得た。
【0159】
試験板(2)の作成
電着塗膜が塗装された鋼板上に各塗料組成物を乾燥塗膜の膜厚が10 μmとなるように塗布し、140℃で10分間焼付けして各試験板(2)を得た。
【0160】
上記で得られた各試験用塗装板について下記の試験方法に従って各試験を行った。試験結果は併せて表1~4に示す。
【0161】
耐水性:
各試験板(1)を用いて、3枚重ねのガーゼに水をしみ込ませてこすった時に、素地露出までの往復回数を下記基準で評価した。
◎は、30回以上で問題なし。
○は、20回以上でかつ30回未満であり、実用の範囲である
△は、10回以上でかつ20回未満であり、やや問題がある
×は、10回未満であり著しく不十分である。
【0162】
親水性:
各試験板(1)及び各試験板(2)を20℃ の室温にて該塗面に水を10μL滴下し、その水滴と塗面との接触角を協和界面科学(株)製「自動接触角計DM-501」(商品名)を用いて測定することによって、親水性を評価した。
◎は、接触角が15°未満で、親水持続性が著しく良好なレベルである
○は、接触角が15°以上でかつ30°未満で、親水持続性が良好なレベルである。
△は、接触角が30°以上でかつ50°未満で、親水持続性が不十分である
×は、接触角が50°以上であり、親水持続性が著しく不十分である
親水持続性:
各試験板(1)及び各試験板(2)を、水道水の流水(流水量は、塗装面の塗板1m当り15kg/時)に72時間浸漬し、80℃で5分間乾燥した後、20℃ の室温にて該塗面に水を10μL滴下し、その水滴と塗面との接触角を協和界面科学(株)製「自動接触角計DM-501」(商品名)を用いて測定することによって、親水持続性を評価した。◎及び〇を合格レベルとする。
◎は、接触角が15°未満で、親水持続性が著しく良好なレベルである
○は、接触角が15°以上でかつ30°未満で、親水持続性が良好なレベルである。
△は、接触角が30°以上でかつ50°未満で、親水持続性が不十分である
×は、接触角が50°以上であり、親水持続性が著しく不十分である
ヒートサイクル試験後の親水持続性:
各試験板(1) を用いて、「水道水の流水( 流水量は、塗装面の塗板1m当り15kg/時)に17時間浸漬―80℃で7時間の乾燥」を1サイクルとして、5サイクル繰り返した。その後、20℃ の室温にて該塗面に水を10μL滴下し、その水滴と塗面との接触角を協和界面科学(株)製、「自動接触角計DM-501」(商品名)を用いて測定することによって、ヒートサイクル性を評価した。◎及び〇を合格レベルとする。
◎は、接触角が15°未満で、親水持続性が著しく良好なレベルである
○は、接触角が15°以上でかつ30°未満で、親水持続性が良好なレベルである。
△は、接触角が30°以上でかつ50°未満で、親水持続性が不十分である
×は、接触角が50°以上であり、親水持続性が著しく不十分である
耐水溶出性:
各試験板(1)を用いて、次の工程1 ~ 工程3に従って塗膜減量割合(%)を求め、下記基準に従って評価した。
【0163】
工程1:アルミニウム板の質量を測定する・・A
工程2:アルミニウム板に親水化処理剤を塗装した皮膜塗装板の質量を測定する・・B
工程3:皮膜塗装板を脱イオン水に72時間浸漬して80℃で30分間乾燥した後の塗装板の質量を測定する・・・C
塗膜減量割合(%)= {[Bの質量-Cの質量]/ [Bの質量-Aの質量]}× 100
◎は、塗膜減量割合(%)が5%以下である
○は、塗膜減量割合(%)が5%を超えて、かつ10%以下である
△は、塗膜減量割合(%)が10%を超えて、かつ15%以下である
×は、塗膜減量割合(%)が15%を超える
耐食性:
各試験板(1)を用いて、JIS-Z-2371塩水噴霧試験法に準して試験を行った。試験時間は500時間とし、下記基準により評価した。
◎:塗面に白サビ、フクレの発生が認められない
〇:塗面の一部に白サビ、フクレが発生した
△:白サビ又はフクレが全面に少し発生した
×:白サビ又はフクレが全面に著しく発生した。
【0164】
耐腐食臭気性:
各試験板(1)を用いて、JIS-Z-2371塩水噴霧試験法に準ずる耐食試験500時間を実施した後、呼気を吹きかけアルミの腐食臭気レベルを下記基準により評価した。
◎:臭気が感じられない
〇:わずかに臭気を感じる
△:臭気を感じる
×:著しい臭気を感じる
耐熱水性:
各試験板(2)を用いて、80℃の熱水中に2時浸漬したのち下記基準により外観を評価した。
◎:塗面外観に変化が認められない
〇:塗面がわずかに白化した
△:塗面が白化した
×:塗面が著しく白化した。
【0165】
【表1】
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【0168】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0169】
基材等の各種材料の表面に対して、親水性(の持続性)及び耐食性に優れ、さらには耐水性にも優れる塗膜を得ることができる、塗料組成物を提供することができる。