(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178345
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01B 63/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A01B63/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085088
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】青井 航一
(72)【発明者】
【氏名】倉富 夏菜
【テーマコード(参考)】
2B304
【Fターム(参考)】
2B304KA16
2B304LA02
2B304LA05
2B304LB05
2B304MA20
2B304MB06
2B304MC06
2B304PA04
2B304RB01
2B304RB02
2B304RB06
(57)【要約】
【課題】本発明は、走行車体の後部に作業機を装着する作業車両で、一般道路を走行しようとした場合に走行車体の所定位置に低速走行車マークを取り付けていなくても、路上走行のためにアクセルペダルを踏み込んで走行を開始すると警報を出して操縦者に注意を促すことで、路上走行時に低速走行車マークを付けていないことを知らせることが課題である。
【解決手段】作業機11を装着した走行車体10の後部に低速車マーク70を着脱可能にした作業車両において、路上走行時にエンジン30の回転を変更するアクセルペダル530と作業走行時にエンジン30の回転を変更するアクセルレバー470を設け、低速車マーク70の非装着時にアクセルペダル530を踏み込むと、警報を発することを特徴とする作業車両とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機(11)を装着した走行車体(10)の後部に低速車マーク(70)を着脱可能にした作業車両において、路上走行時にエンジン(30)の回転を変更するアクセルペダル(530)と作業走行時にエンジン(30)の回転を変更するアクセルレバー(470)を設け、低速車マーク(70)の非装着時にアクセルペダル(530)を踏み込むと、警報を発することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
左右後輪(50L、50R)をそれぞれブレーキ作用する左右ブレーキペダル(510L、510R)を連結するブレーキペダル連結具(710)と該ブレーキペダル連結具(710)の連結を解除するブレーキペダル連結解除ペダル(520)の踏み込みロックを解除するブレーキペダル連結ロック解除レバー(420)を設け、該ブレーキペダル連結ロック解除レバー(420)を解除した状態でアクセルペダル(530)を踏み込むと警報を発することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が搭乗して操縦操作を行う作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
農地作業や土木作業に使用する作業車両は、一般道路を走行することが出来るが、走行速度が一般車両と比較して低速であるために、車体の後部に低速走行車マークを表示して、後続する一般車両に注意を促すようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の作業車両は、車体の後部に装着した作業機を上昇させて走行するが、作業機に遮られて車体の後部に装着する低速走行車マークが後方から確認できない状態であると作業車両を操縦する作業者にそのことを知らせて注意を促す工夫をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の従来作業車両では、低速走行車マークを付けていても作業機を上昇させて後続する一般車両に低速走行車マークが見えない状態であれば前に向かって操縦している作業者に警報で知らせて対処させるようにしているが、圃場などの作業地では低速走行車マークを付けないままで作業走行するようにしているために、つい低速走行車マークを付けないままで一般道路に移動することがあると警報が出ずに危険である。
【0006】
本発明は、走行車体の後部に作業機を装着する作業車両で、一般道路を走行しようとした場合に走行車体の所定位置に低速走行車マークを取り付けていなくても、路上走行のためにアクセルペダルを踏み込んで走行を開始すると警報を出して操縦者に注意を促すことで、路上走行時に低速走行車マークを付けていないことを知らせることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
請求項1の発明は、作業機11を装着した走行車体10の後部に低速車マーク70を着脱可能にした作業車両において、路上走行時にエンジン30の回転を変更するアクセルペダル530と作業走行時にエンジン30の回転を変更するアクセルレバー470を設け、低速車マーク70の非装着時にアクセルペダル530を踏み込むと、警報を発することを特徴とする作業車両とする。
【0009】
請求項2の発明は、左右後輪50L、50Rをそれぞれブレーキ作用する左右ブレーキペダル510L、510Rを連結するブレーキペダル連結具710と該ブレーキペダル連結具710の連結を解除するブレーキペダル連結解除ペダル520の踏み込みロックを解除するブレーキペダル連結ロック解除レバー420を設け、該ブレーキペダル連結ロック解除レバー420を解除した状態でアクセルペダル530を踏み込むと警報を発することを特徴とする請求項1に記載の作業車両とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、圃場などの作業場で走行車体10を走行する場合はアクセルレバー470をもっぱら使用してエンジン30の回転を変更するが、路上走行のためにアクセルペダル530を踏み込んで走行を開始しようとすると低速車マーク70を取り付けていない場合に警報が出るので、操縦者は走行開始を止めて、低速車マーク70を走行車体10の所定位置に取り付けるようになるので、安全な路上走行が可能になる。
【0011】
請求項2の発明で、作業場で使用する左右ブレーキペダル510L、510Rは路上走行時にブレーキペダル連結具710で連結して片ブレーキにならない状態にするが、作業場を走行する場合にはブレーキペダル連結ロック解除レバー420でブレーキペダル連結解除ペダル520が踏み込めない状態にする。このために、ブレーキペダル連結ロック解除レバー420でブレーキペダル連結解除ペダル520の踏み込が可能状態にするのは路上走行に限られるので、該ブレーキペダル連結ロック解除レバー420を解除した状態でアクセルペダル530の踏み込みを行うと警報を発して路上走行開始を操縦者に確実に認識させて、低速車マーク70を走行車体10の所定位置に取り付けるようになるので、確実に安全な走行が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明における実施の形態の農業用トラクターの模式的な左側面図である。
【
図2】本発明における実施の形態の農業用トラクターの運転ユニットの部分斜視図(その一)である。
【
図3】本発明における実施の形態の農業用トラクターの運転ユニットの部分斜視図(その二)である。
【
図4】本発明における実施の形態の農業用トラクターの模式的な平面図である。
【
図5】本発明における実施の形態の農業用トラクターの制御ブロック図である。
【
図6】本発明における実施の形態の農業用トラクターの左ブレーキペダルおよび右ブレーキペダル近傍の部分斜視図である。
【
図7】本発明における実施の形態の農業用トラクターのブレーキペダル連結解除機構の模式的な部分左側面図である。
【
図8】(a)本発明における実施の形態の農業用トラクターのブレーキペダル連結解除ペダル近傍の模式的な部分左側面図(その一)、(b)本発明における実施の形態の農業用トラクターのブレーキペダル連結解除ペダル近傍の模式的な部分左側面図(その二)である。
【
図9】(a)本発明における実施の形態の農業用トラクターの前後進レバー近傍の模式的な部分平面図(その一)、(b)本発明における実施の形態の農業用トラクターの前後進レバー近傍の模式的な部分平面図(その二)、(c)本発明における実施の形態の農業用トラクターの前後進レバー近傍の模式的な部分平面図(その三)である。
【
図10】本発明における実施の形態の農業用トラクターの低速車マークの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
はじめに、
図1~
図3を参照しながら、本発明における作業車両の一例である農業用トラクターの構成および動作について具体的に説明する。
【0015】
ここに、
図1は本発明の作業車両としての農業用トラクターの模式的な左側面図であり、
図2および
図3は農業用トラクターの運転ユニット20の部分斜視図(その一および二)である。
【0016】
走行車体10の前部のボンネットの内部には、エンジン30が設けられている。
【0017】
エンジン30の回転動力は、運転ユニット20のフロア22の下方に設けられているトランスミッションケースの内部の各種クラッチを介して伝えられる。そして、変速装置で変速された回転動力は、左前輪40Lおよび右前輪40R、ならびに左後輪50Lおよび右後輪50Rに伝えられる。
【0018】
運転ユニット20には、耕耘作業機昇降スイッチ610、主変速スイッチ620、定回転スイッチ630、差動ロックスイッチ640、およびPTO(Power Take Off)スイッチ650とともに、耕耘作業機昇降レバー410、副変速レバー付属主変速スイッチ461を有する副変速レバー460、およびアクセルレバー470が設けられている。
【0019】
エンジン30の後方には、ブレーキペダル連結ロック解除レバー420、ハンドルチルトレバー430、パーキングレバー440、およびPTO変速レバー450とともに、操舵ハンドル23が設けられて、操舵ハンドル23の後方には、運転席21が設けられている。
【0020】
ホースカバーは、操舵ハンドル23に接続されているホースを覆っている。
【0021】
操作コラムカバーの左側のフロア22には、ブレーキペダル連結解除ペダル520、およびクラッチペダル540が配置されている。
【0022】
操作コラムカバーの右側のフロア22には、左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510R、ならびにアクセルペダル530が配置されている。
【0023】
走行車体10の後部には、ロータリ耕耘作業機などの作業機11が、たとえば、3点リンク機構を利用して装着される。
【0024】
耕耘作業機昇降機構60は、メインシリンダー61、リフトアーム62、トップリンク63およびロワーリンク64、ならびに回動カバー65aおよびサイドカバー65bを有する。
【0025】
トップリンク63およびロワーリンク64の前端部は走行車体10の側に接続されており、トップリンク63およびロワーリンク64の後端部は作業機11の側に接続されている。そして、メインシリンダー61により回動されるリフトアーム62の後端部は、ロワーリンク64に接続されている。
【0026】
耕耘深さセンサー310は回動カバー65aの回動角度を検出するセンサーであり、リフトアームセンサー331はリフトアーム62の回動角度を検出するセンサーである。
【0027】
つぎに、
図4および5を主として参照しながら、本実施の形態の農業用トラクターの構成および動作についてより具体的に説明する。
【0028】
ここに、
図4は本発明における実施の形態の農業用トラクターの模式的な平面図であり、
図5は本発明における実施の形態の農業用トラクターの制御ブロック図である。
【0029】
エンジン30の回転動力は、前後進クラッチ121、主変速部111、副変速部112、および後輪差動ギア51を介して、左後輪50Lおよび右後輪50Rに伝えられる。4WD(4-Wheel Drive)駆動が行われる場合には、エンジン30の回転動力は、前後進クラッチ121、主変速部111、副変速部112、4WDクラッチ122、および前輪差動ギア41を介して、左前輪40Lおよび右前輪40Rにも伝えられる。
【0030】
左ブレーキ装置130Lは、左ブレーキシリンダー131Lの状態に応じて左後輪50Lの制動を行う装置である。左ブレーキシリンダー131Lの状態は、左ブレーキペダル510Lおよび走行制御部230からの指示により変化させられる。走行制御部230からの指示は、左ブレーキソレノイドバルブ133L、リリーフバルブ134、およびポンプ135を利用して行われる。
【0031】
右ブレーキ装置130Rは、右ブレーキシリンダー131Rの状態に応じて右後輪50Rの制動を行う装置である。右ブレーキシリンダー131Rの状態は、右ブレーキペダル510Rおよび走行制御部230からの指示により変化させられる。走行制御部230からの指示は、右ブレーキソレノイドバルブ133R、リリーフバルブ134、およびポンプ135を利用して行われる。
【0032】
左前輪40Lおよび右前輪40Rのステアリングは、操舵シリンダー140の状態に応じて行われる。操舵シリンダー140の状態は、操舵ハンドル23からの指示により変化させられる。
【0033】
コントローラー200は、協働して動作する、耕耘作業機昇降制御部210、エンジン制御部220および走行制御部230を有する。
【0034】
エンジン回転センサー341およびレール圧センサー342の検出値は、エンジン制御部220へ入力される。そして、エンジン制御部220は、燃料高圧ポンプ31、および四つの高圧インジェクターを有する高圧インジェクター部32の制御を、入力された検出値に基づいて行う。
【0035】
耕耘作業機昇降センサー332、リフトアームセンサー331および耕耘深さセンサー310の検出値は、耕耘作業機昇降制御部210へ入力される。そして、耕耘作業機昇降制御部210は、メインシリンダー61のメイン上昇ソレノイドバルブ66およびメイン下降ソレノイドバルブ67の制御を、入力された検出値に基づいて行う。
【0036】
ブレーキペダル踏込みセンサー390、ブレーキペダル連結ロック解除センサー321、ブレーキペダル連結センサー320、操舵角度センサー350、前進センサー361、後進センサー362、主変速スイッチ620、副変速センサー370、耕耘作業機昇降スイッチ610およびアクセルセンサー380の検出値は、走行制御部230へ入力される。そして、走行制御部230は、前後進クラッチ121、主変速部111、右ブレーキシリンダー131Rの右ブレーキソレノイドバルブ133Rおよび左ブレーキシリンダー131Lの左ブレーキソレノイドバルブ133Lの制御を、入力された検出値に基づいて行う。
【0037】
つぎに、
図6~
図8を主として参照しながら、本実施の形態の農業用トラクターの左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510R、ならびにブレーキペダル連結解除ペダル520に関する構成および動作について具体的に説明する。
【0038】
ここに、
図6は農業用トラクターの左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510R近傍の部分斜視図であり、
図7は農業用トラクターのブレーキペダル連結解除機構700およびブレーキペダル連結ロック解除機構800近傍の模式的な部分左側面図であり、
図8(a)および(b)は農業用トラクターのブレーキペダル連結解除ペダル520近傍の模式的な部分左側面図(その一および二)である。
【0039】
図6においては、左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510Rのブレーキペダル連結がブレーキペダル連結具710により実行されている状態が示されている。
【0040】
図7においては、ブレーキペダル連結ロック解除レバー420が持上げられてブレーキペダル連結ロックが解除されるとともに、ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれてブレーキペダル連結が解除された状態が二点鎖線で示されている。
【0041】
図8(a)においては、ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれていない状態が示されている。
図8(b)においては、ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれた状態が示されているが、ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれていない状態も二点鎖線で示されている。そして、
図8(b)においては、ブレーキペダル連結ロック解除レバー420が持上げられたときのロックプレート820の移動方向が矢印Xで示されており、ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれたときのブレーキペダル連結解除ペダル520およびロックプレート当接部750の移動方向が矢印Y1およびY2でそれぞれ示されている。
【0042】
左ブレーキシリンダー131Lの状態がスプリング付勢されている左ブレーキペダル510Lの左ブレーキロッド132Lを介した左ブレーキペダル510Lからの指示により変化させられると、左後輪50Lの制動が行われる。
【0043】
右ブレーキシリンダー131Rの状態がスプリング付勢されている右ブレーキペダル510Rの右ブレーキロッド132Rを介した右ブレーキペダル510Rからの指示により変化させられると、右後輪50Rの制動が行われる。
【0044】
ブレーキペダル連結具710は、スプリング711によりスプリング付勢されて左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510Rを係留する閂形状の連結具である。
【0045】
ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれていない、直進動作などが行われる通常の場合においては、ブレーキペダル連結具710は左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510Rを係留している。したがって、左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510Rの内の少なくとも一方が踏込まれると、左後輪50Lおよび右後輪50Rの両方の制動が行われる。
【0046】
ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれている、作業時旋回動作などが行われる場合においては、ブレーキペダル連結具710は左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510Rを係留していない。したがって、左ブレーキペダル510Lが踏込まれると、左後輪50Lの制動が行われ、右ブレーキペダル510Rが踏込まれると、右後輪50Rの制動が行われる。
【0047】
ワイヤー720は、上端部がブレーキペダル連結具710に接続されており、下端部がブレーキペダル連結解除ペダル520のペダルアーム521に接続されているワイヤーである。
【0048】
ブレーキペダル連結解除ペダル520は、ペダルアーム521の基端部に設けられたブレーキペダル連結解除ペダル回動軸730の回りに回動し、前述の如くスプリング付勢されるブレーキペダル連結具710を利用したブレーキペダル連結を解除するペダルである。
【0049】
しかしながら、下方へスプリング付勢されているブレーキペダル連結ロック解除レバー420が持上げられていない場合には、ブレーキペダル連結解除ペダル520は回動することができず、ブレーキペダル連結ロックが実行される。
【0050】
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0051】
すなわち、ロッド810は、上端部がブレーキペダル連結ロック解除レバー420に接続されており、下端部がロックプレート820に接続されているロッドである。
【0052】
ロックプレート820は、ロックプレート回動軸830の回りに回動するプレートである。
【0053】
ブレーキペダル連結ロック解除レバー420が持上げられていない場合には、ブレーキペダル連結ロック解除センサー321のアクチュエーター321bはブレーキペダル連結ロック解除センサー321の感知部321aから乖離しているので、ブレーキペダル連結ロックの解除が検出されない。そして、ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれようとしても、ブレーキペダル連結解除ペダル回動軸730のロックプレート当接部750はロックプレート820に接触しており、ブレーキペダル連結解除ペダル520は回動することができないので、ブレーキペダル連結解除ペダル回動軸730のアクチュエーター当接部740はブレーキペダル連結センサー320のアクチュエーター320bに接触しており、ブレーキペダル連結センサー320のアクチュエーター320bはブレーキペダル連結センサー320の感知部320aに接触しており、ブレーキペダル連結の解除が検出されない。
【0054】
ブレーキペダル連結ロック解除レバー420が持上げられている場合には、ロックプレート回動軸830のアクチュエーター当接部840はブレーキペダル連結ロック解除センサー321のアクチュエーター321bに接触しており、ブレーキペダル連結ロック解除センサー321のアクチュエーター321bはブレーキペダル連結ロック解除センサー321の感知部321aに接触しているので、ブレーキペダル連結ロックの解除が検出される。そして、ブレーキペダル連結解除ペダル520が踏込まれると、ブレーキペダル連結解除ペダル回動軸730のロックプレート当接部750はロックプレート820から乖離しており、ブレーキペダル連結解除ペダル520は回動することができるので、ブレーキペダル連結センサー320のアクチュエーター320bはブレーキペダル連結センサー320の感知部320aから乖離し、ブレーキペダル連結の解除が検出される。
【0055】
つぎに、
図9を主として参照しながら、本実施の形態の農業用トラクターの前後進レバー480に関する構成および動作について具体的に説明する。
【0056】
ここに、
図9(a)から(c)は、本発明における実施の形態の農業用トラクターの前後進レバー480近傍の模式的な部分平面図(その一から三)である。
【0057】
図9(a)においては、前後進レバー480のレバー位置が前進位置である状態が示されている。
図9(b)においては、前後進レバー480のレバー位置が中立位置である状態が示されている。
図9(c)においては、前後進レバー480のレバー位置が後進位置である状態が示されている。
【0058】
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0059】
すなわち、前後進レバー480は、下端部が前後進カム480aに接続されているレバーで、前後進カム480aは、前後進レバー480のレバー位置に応じて回動するカムである。
【0060】
前後進レバー480のレバー位置が前進位置である場合には、前後進カム480aが強く当接している前進センサー361のアクチュエーター361bは前進センサー361の感知部361aに接触しており、後進センサー362のアクチュエーター362bは後進センサー362の感知部362aから乖離しているので、前進状態が検出される。
【0061】
前後進レバー480のレバー位置が中立位置である場合には、前進センサー361のアクチュエーター361bは前進センサー361の感知部361aから乖離しており、後進センサー362のアクチュエーター362bも後進センサー362の感知部362aから乖離しているので、中立状態が検出される。
【0062】
前後進レバー480のレバー位置が後進位置である場合には、前進センサー361のアクチュエーター361bは前進センサー361の感知部361aから乖離しており、前後進カム480aが強く当接している後進センサー362のアクチュエーター362bは後進センサー362の感知部362aに接触しているので、後進状態が検出される。
【0063】
図10には走行車体10の後部に後方に向けて取り付ける低速車マーク70が示されている。この低速車マーク70は略三角形状であり、三角形状部材70aの周囲に反射板70bが設置されている。後続車両の前照灯により反射板70bの部分が三角形の輪郭として浮かび上がることで、車両の存在が認識される。
【0064】
低速車マーク70の所定位置への取付は、マークセンサ71によって検出され、走行制御部230に取付信号が入力し、後述する条件で警報ブザー72を鳴らすようにしている。
【0065】
つぎに、本実施の形態の農業用トラクターのコントローラー200に関する構成および動作について具体的に説明する。
【0066】
以下では、コントローラー200が行うさまざまな制御について順番に説明する。
【0067】
(A)はじめに、作業機11を走行車体10に対して昇降させる耕耘作業機昇降制御について説明する。
【0068】
耕耘深さセンサー310は、走行車体10へ装着された作業機11の耕耘深さを検出するセンサーである。ブレーキペダル連結解除機構700は、左ブレーキペダル510Lと、右ブレーキペダル510Rと、のブレーキペダル連結を解除する機構である。ブレーキペダル連結センサー320は、ブレーキペダル連結の状態を検出するセンサーである。
【0069】
コントローラー200は、作業機11を走行車体10に対して昇降させる耕耘作業機昇降制御を、耕耘深さセンサー310の検出値に基づいて行う。
【0070】
耕耘作業機昇降レバー410は、作業機11を走行車体10に対して昇降させるユーザー指示を、コントローラー200に行うレバーである。耕耘作業機昇降レバー410は、本発明における作業機昇降部材の一例である。ユーザーは、耕耘作業機昇降レバー410の操作で昇降後の耕耘作業機11の高さを指示することにより、作業機11を走行車体10に対して昇降させることができる。
【0071】
なお、耕耘作業機昇降スイッチ610も、本発明における耕耘作業機昇降部材の一例である。ユーザーは、耕耘作業機昇降スイッチ610の操作で作業機11の上昇を指示すると、作業機11を最上げ位置まで上昇させることができ、下降を指示すると、耕耘作業機昇降レバー410で操作されている高さまで作業機11を下降させることができる。
【0072】
前述の如き構成要素が関連する、耕耘作業における圃場端でのUターンについて具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0073】
すなわち、耕耘作業においては、耕耘深さを設定値に保つための耕耘作業機昇降制御がコントローラー200により自動的に行われる農業用トラクターが圃場端でのUターンを繰返しながら圃場を往復する。
【0074】
このようなUターンは、比較的に小さい旋回半径で行われるので、旋回内側にある、左後輪50Lおよび右後輪50Rの内の一方の制動を利用して行われる。
【0075】
そこで、ユーザーは、圃場内での作業中はブレーキペダル連結ロック解除レバー420を持上げてブレーキペダル連結ロックを解除し、農業用トラクターが圃場端に接近すると、ブレーキペダル連結解除ペダル520を踏込んでブレーキペダル連結を解除する。
【0076】
そして、ユーザーは、旋回内側にある、左後輪50Lおよび右後輪50Rの内の一方の制動を利用するために、左ブレーキペダル510Lまたは右ブレーキペダル510Rを踏込みながら、すばやく操舵ハンドル23を切る。
【0077】
操舵角度が旋回角度に固定されると、農業用トラクターの作業時旋回動作が始まり、耕耘作業機11が自動的に上昇させられる。
【0078】
そして、ユーザーは、農業用トラクターの作業時旋回動作が終わると、すばやく操舵ハンドル23を切り、操舵角度が直進角度に固定される。
【0079】
もちろん、作業時旋回動作が終わった時点においては、ブレーキペダル連結ロック解除レバー420は持上げられておらず、ブレーキペダル連結解除ペダル520は踏込まれておらず、左ブレーキペダル510Lおよび右ブレーキペダル510Rも踏込まれていない。
【0080】
そして、自動的に上昇させられた耕耘作業機11は手動で下降させられ、つぎの圃場端に向かう農業用トラクターの直進動作が始まる。
【0081】
農業用トラクターを圃場で走行する場合は、アクセルレバー470でエンジン30の回転を設定して走行を開始するが、ブレーキペダル連結ロック解除レバー420を解除位置に回動して左ブレーキペダル510Lと右ブレーキペダル510Rを踏み込んで小回り旋回が出来るようにする。
【0082】
また、農業用トラクターを路上で走行する場合は、アクセルペダル530でエンジン30の回転を設定して走行を開始するが、その際はブレーキペダル連結ロック解除レバー420を連結ロック位置に回動してブレーキペダル連結解除ペダル520を踏み込めないようにして左右ブレーキペダル510L、510Rを一体に連結して急旋回が行われないようにする。
【0083】
左右ブレーキペダル510L、510Rの連結はブレーキペダル連結センサー320の連結検出によって行う。そして、ブレーキペダル連結センサー320が連結を検出しなでクラッチペダル540を踏み込んで変速を行い、アクセルペダル530を踏み込んで走行を開始すると、マークセンサ71が低速車マーク70の非取付を検出していると、警報ブザー72を鳴らして運転席21に座る作業者にそのことを知らせ、低速車マーク70を走行車体10の後部所定位置に取り付けるよう促す。この警報と同時に操舵ハンドル23を前側に設ける操作パネルに低速車マーク非装着を表示するようにすると良い。
【符号の説明】
【0084】
10 走行車体
11 作業機
30 エンジン
70 低速車マーク
420 ブレーキペダル連結ロック解除レバー
470 アクセルレバー
510L 左ブレーキペダル
510R 右ブレーキペダル
520 ブレーキペダル連結解除ペダル
530 アクセルペダル
710 ブレーキペダル連結具