(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178352
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ゆで卵の処理装置
(51)【国際特許分類】
B26D 3/28 20060101AFI20221125BHJP
B26D 3/24 20060101ALI20221125BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20221125BHJP
A47J 43/20 20060101ALI20221125BHJP
A23L 15/00 20160101ALI20221125BHJP
【FI】
B26D3/28 620N
B26D3/24 K
B26D7/06 D
B26D3/28 620K
B26D3/28 620P
A47J43/20
A23L15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085100
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000178594
【氏名又は名称】山崎製パン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】305049090
【氏名又は名称】株式会社サンデリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】加藤 新悟
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩
(72)【発明者】
【氏名】石川 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 政和
【テーマコード(参考)】
3C021
4B042
4B053
【Fターム(参考)】
3C021DB06
4B042AD29
4B042AG06
4B042AG07
4B042AH09
4B042AP21
4B042AP30
4B042AT01
4B042AT05
4B053AA01
4B053BA04
4B053BA20
4B053BD11
4B053BJ01
4B053BJ20
4B053BK31
4B053BL20
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、大量のゆで卵を効率的かつ自動で供給する技術を提供することである。
【解決手段】 ゆで卵切断機50は、多段式のゆで卵供給装置1と、ゆで卵切断部2とを備える。ゆで卵供給装置1は、第1のゆで卵収容部7と第2のゆで卵収容部8を有する。第1のゆで卵収容部7は、第2のゆで卵収容部8へゆで卵を移送するための第1の移送部9を備え、第2のゆで卵収容部8は、ゆで卵を第2のゆで卵収容部の出口26からゆで卵切断部2に移送するための第2の移送部3を備える。コントローラ16は、第2のゆで卵収容部8に収容されているゆで卵を収容センサー13で検知し、検知結果に基づいて第1のゆで卵収容部7のゆで卵を、第2のゆで卵収容部8へ移送するように第1の移送部9を制御する制御部を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゆで卵収容部と第2のゆで卵収容部を少なくとも有する、多段式のゆで卵供給装置であって、
第1のゆで卵収容部は、第2のゆで卵収容部へ複数のゆで卵を移送するための第一の開口と第1の移送部を備え、第2のゆで卵収容部は、ゆで卵を第2のゆで卵収容部から外部へ1個ずつ移送するための第2の開口と第2の移送部を備えており、
第2のゆで卵収容部の特定位置に収容されているゆで卵の有無を検知する収容センサーを有し、該センサーでゆで卵が無いと検知した場合、第1のゆで卵収容部に収容されているゆで卵を、第2のゆで卵収容部へ移送するように動作し、ゆで卵が有ると検知した場合は動作しないように第1の移送部を制御する制御部を有する、多段式のゆで卵供給装置。
【請求項2】
第1のゆで卵収容部と第2のゆで卵収容部との間には第1の段差と第1の開口とが設けられ、第1の移送部は、ゆで卵を第1の段差を乗り越えさせることにより、第1の開口を介して第2のゆで卵収容部へと移送し、
第2のゆで卵収容部の第2の開口には第2の段差が設けられ、第2の移送部は、ゆで卵を第2の段差を乗り越えさせて第2の開口から外部へ移送する、請求項1に記載の多段式のゆで卵供給装置。
【請求項3】
第1のゆで卵収容部は、収容したゆで卵が第1の段差付近に集まるようにその底面に傾斜部を有し、
第2のゆで卵収容部は、収容したゆで卵が第2の段差付近に集まるようにその底面に傾斜部を有する、請求項2に記載の多段式のゆで卵供給装置。
【請求項4】
第1の移送部と第2の移送部とは、段差付近の底面に、傾斜部により集まってきたゆで卵が載置される、進行方向に向けて下降する傾斜を有するヘッド部と、該ヘッド部を昇降動作させる昇降駆動部とを各々備える、請求項3に記載の多段式のゆで卵供給装置。
【請求項5】
第2の移送部のヘッド部へとゆで卵を導くため、第2のゆで卵収容部内の該ヘッド部の上流側の底面に上下に駆動する複数のピンをさらに備える、請求項4に記載の多段式のゆで卵供給装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の多段式のゆで卵供給装置と、
第2のゆで卵収容部の開口から外部へ移送されたゆで卵を一時的に保持する待機部材と、
待機部材を介して移送された1個のゆで卵を切断するゆで卵切断部と、
を備えるゆで卵切断機。
【請求項7】
ゆで卵切断部が、複数の板状体をその間にスライス刃が入り込むよう所定の間隙を設けて並べるように構成された、ゆで卵を保持するためのホールド部と、ホールド部に保持されたゆで卵を切断するための1または複数のスライス刃と、スライス刃がホールド部の隣接する板状体の間に入り込むようにホールド部をスライス刃に対して移動させる駆動部と、
前記第2のゆで卵収容部の開口付近の外側に設けられ、該開口から外部へ移送された1個のゆで卵を一時的に受け止める、進行方向に向けて下降する傾斜を有する待機部材と、を備える、請求項6に記載のゆで卵切断機。
【請求項8】
ホールド部を垂直方向に直線的に往復移動させる駆動部を備え、該駆動部によりホールド部が最上位置で一定時間静止し、その後、下降して最下位置まで達した後、再び最上位置まで上昇することを繰り返すように動作させるとともに、スライス刃と待機部材とを最上位置と最下位置の間に位置するように設置する、請求項7に記載のゆで卵切断機。
【請求項9】
前記最上位置で前記ホールド部のゆで卵の有無を検知する切断後ホールドセンサーを有し、該切断後ホールドセンサーの検知結果により、切断部のホールド部および供給部の第2の移送部の動作を、以下:
(1) 前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、ホールド部を最下位置まで下降させた後、再び最上位置まで上昇させ、その後最上位置で一定時間静止させる動作を繰り返し、前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、ホールド部を最上位置で静止した状態でその動作を停止させる;
(2) 前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、前記第2の移送部を前記ホールド部の動作と連動して上昇および下降するように動作を繰り返し、前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、第2の移送部を最上位置で静止した状態でその動作を停止させる;
のように制御する制御部を備える、請求項8に記載のゆで卵切断機。
【請求項10】
駆動部がホールド部を回転的に移動させる、請求項7に記載のゆで卵切断機。
【請求項11】
待機部材から該ゆで卵を受けて保持し、その後、ゆで卵切断部に移送する、第3の移送部をさらに備える、請求項10に記載のゆで卵切断機。
【請求項12】
前記第3の移送部は、ゆで卵が載置されるヘッド部と、該ヘッド部を昇降動作させる昇降駆動部とを備え、
第3の移送部が上方から下降する過程で、待機部材上のゆで卵をヘッド部に受けて保持し、その後、第3の移送部が下方から上昇する過程で、ヘッド部のゆで卵をホールド部に載置する、請求項11に記載のゆで卵切断機。
【請求項13】
前記第3の移送部の上方に、第3の移送部のヘッド部上に載置されたゆで卵をホールド部へと導くように配置された卵送りガイド、又は、
第3の移送部とゆで卵切断部との間に配置されて、第3の移送部の昇降動作中に、第3の移送部のヘッド部上に載置されたゆで卵が転がり落ちないようにした、転がり防止プレート、
をさらに備える、請求項12に記載のゆで卵切断機。
【請求項14】
切断前のホールド部のゆで卵を検知する切断前ホールドセンサーを有し、該センサーの検知結果により、切断部のホールド部および供給部の第2、第3の移送部の動作を、以下:
(1) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、ホールド部を移動させて該ホールド部に保持されたゆで卵を切断するように動作して一定時間静止し、ホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、静止した状態でその動作を停止させる;
(2) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、第2、第3の移送部を動作させ、ホールド部にゆで卵を供給して一定時間静止し、ホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、静止した状態でその動作を停止させる;
のように制御する制御部を備える、請求項11~13のいずれかに記載のゆで卵切断機。
【請求項15】
ゆで卵切断部が、複数のホールド部を有し、スライス刃により切断される前のゆで卵と切断された後のゆで卵とをそれぞれのホールド部で同時に保持することが可能である、請求項14に記載のゆで卵切断機。
【請求項16】
切断後のホールド部のゆで卵の有無を検知する切断後ホールドセンサーを有し、該切断後ホールドセンサーおよび前記切断前ホールドセンサーの検知結果により、切断部のホールド部および供給部の第2、第3の移送部の動作を、以下:
(1A) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部に切断前のゆで卵が有ると検知し、かつ、切断後ホールドセンサーによりホールド部に切断後のゆで卵が有ると検知したときには、ホールド部を静止した状態でその動作を停止させる;
(1B) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部に切断前のゆで卵が有ると検知し、かつ、切断後ホールドセンサーによりホールド部に切断後のゆで卵が無いと検知した場合、ホールド部を移動させて該ホールド部に保持されたゆで卵を切断するように動作し、その後、静止した状態でその動作を停止させる;
(1C) 切断前ホールドセンサーによりホールド部に切断前のゆで卵が無いと検知した場合、ホールド部を動作しない状態を維持する;
(2) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、第2、第3の移送部を動作させ、ホールド部にゆで卵を供給し、ホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、静止した状態でその動作を停止させる;
のように制御する制御部を備える、請求項11~13のいずれかに記載のゆで卵切断機。
【請求項17】
前記ゆで卵切断部は、ゆで卵を2つに切断するため前記スライス刃を1つ備える、請求項7~16のいずれかに記載のゆで卵切断機。
【請求項18】
前記ゆで卵切断部は、ゆで卵を3つ以上に切断するため前記スライス刃を複数備える、請求項7~16のいずれかに記載のゆで卵切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゆで卵を安定して供給する技術に関し、特に、大量のゆで卵を効率的に自動で供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゆで卵を効率的かつきれいにスライスするための装置が知られている。例えば、特許文献1~3には、ゆで卵を所定の位置に載置し、その上から平行なスライス刃を下方に降ろすことによって、所定の厚みにゆで卵をスライスする装置が記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1~3に係る装置は、1つ1つのゆで卵をバッチ式で切断するものであり、家庭用の使用はともかく、業務用に使用するには効率の悪いものであった。すなわち、ゆで卵を所定の位置に1つ1つ載置した上で、スライス刃を下方に降ろさなければならず、また、切断後のゆで卵についても1つ1つ取り出す作業が必要になる。
【0004】
一方、特許文献4には、ゆで卵を連続して切断するための装置が提案されている。特許文献4では、特許文献1~3に係る装置とは異なり、被切断物である卵をホールドして回転移動させるロータとその回転移動の軌道上の任意の位置に配置して固定されたスライス刃とを備えた切断装置により、スライス刃を固定し、切断対象であるゆで卵を回転させることによって、当該ゆで卵をスライスして、スライスされたものを切り落とされた状態で取り出すまでを自動的に行い、ゆで卵を効率的にスライスすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3018473号公報
【特許文献2】特開2003-251591号公報
【特許文献3】特表2010-533603号公報
【特許文献4】特開2013-046952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1~3に記載されているような従来のゆで卵切断機(スライサー)は、切断対象であるゆで卵を1つ1つ切断機に載置したうえ、スライス後に、スライスされた卵片を取り出す必要があり、業務用に用いるには効率の悪いものであった。また、特許文献4に係るゆで卵切断機は、切断対象であるゆで卵を回転させることによってゆで卵を効率的にスライスしてスライス後の卵片の取り出しは不要であるものの、ゆで卵をホールドするための凹部へゆで卵を1つ1つ人手によってセットする必要があることには変わりなく、やはり大変な手間がかかる。
【0007】
このような状況に鑑み、本発明の課題は、切断対象であるゆで卵を自動的かつ連続的に供給し、ゆで卵を効率的にスライスする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明者らは、ゆで卵を自動的に供給するとともに連続して切断できるような技術を鋭意検討し、複数のゆで卵を1つ1つ所定の位置へ確実に載置する卵供給部を採用することによって、多くのゆで卵を連続して切断できるような技術を確立することができた。
【0009】
以下に限定されるものではないが、本発明は以下の発明を包含する。
[1]
第1のゆで卵収容部と第2のゆで卵収容部を少なくとも有する、多段式のゆで卵供給装置であって、
第1のゆで卵収容部は、第2のゆで卵収容部へ複数のゆで卵を移送するための第一の開口と第1の移送部を備え、第2のゆで卵収容部は、ゆで卵を第2のゆで卵収容部から外部へ1個ずつ移送するための第2の開口と第2の移送部を備えており、
第2のゆで卵収容部の特定位置に収容されているゆで卵の有無を検知する収容センサーを有し、該センサーでゆで卵が無いと検知した場合、第1のゆで卵収容部に収容されているゆで卵を、第2のゆで卵収容部へ移送するように動作し、ゆで卵が有ると検知した場合は動作しないように第1の移送部を制御する制御部を有する、多段式のゆで卵供給装置。
[2]
第1のゆで卵収容部と第2のゆで卵収容部との間には第1の段差と第1の開口とが設けられ、第1の移送部は、ゆで卵を第1の段差を乗り越えさせることにより、第1の開口を介して第2のゆで卵収容部へと移送し、
第2のゆで卵収容部の第2の開口には第2の段差が設けられ、第2の移送部は、ゆで卵を第2の段差を乗り越えさせて第2の開口から外部へ移送する、[1]に記載の多段式のゆで卵供給装置。
[3]
第1のゆで卵収容部は、収容したゆで卵が第1の段差付近に集まるようにその底面に傾斜部を有し、第2のゆで卵収容部は、収容したゆで卵が第2の段差付近に集まるようにその底面に傾斜部を有する、[2]に記載の多段式のゆで卵供給装置。
[4]
第1の移送部と第2の移送部とは、段差付近の底面に、傾斜部により集まってきたゆで卵が載置される、進行方向に向けて下降する傾斜を有するヘッド部と、該ヘッド部を昇降動作させる昇降駆動部とを各々備える、[3]に記載の多段式のゆで卵供給装置。
[5]
第2の移送部のヘッド部へとゆで卵を導くため、第2のゆで卵収容部内の該ヘッド部の上流側の底面に上下に駆動する複数のピンをさらに備える、[4]に記載の多段式のゆで卵供給装置。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の多段式のゆで卵供給装置と、
第2のゆで卵収容部の開口から外部へ移送されたゆで卵を一時的に保持する待機部材と、
待機部材を介して移送された1個のゆで卵を切断するゆで卵切断部と、
を備えるゆで卵切断機。
[7]
ゆで卵切断部が、複数の板状体をその間にスライス刃が入り込むよう所定の間隙を設けて並べるように構成された、ゆで卵を保持するためのホールド部と、ホールド部に保持されたゆで卵を切断するための1または複数のスライス刃と、スライス刃がホールド部の隣接する板状体の間に入り込むようにホールド部をスライス刃に対して移動させる駆動部と、
前記第2のゆで卵収容部の開口付近の外側に設けられ、該開口から外部へ移送された1個のゆで卵を一時的に受け止める、進行方向に向けて下降する傾斜を有する待機部材と、を備える、[6]に記載のゆで卵切断機。
[8]
ホールド部を垂直方向に直線的に往復移動させる駆動部を備え、該駆動部によりホールド部が最上位置で一定時間静止し、その後、下降して最下位置まで達した後、再び最上位置まで上昇することを繰り返すように動作させるとともに、スライス刃と待機部材とを最上位置と最下位置の間に位置するように設置する、[7]に記載のゆで卵切断機。
[9]
前記最上位置で前記ホールド部のゆで卵の有無を検知する切断後ホールドセンサーを有し、該切断後ホールドセンサーの検知結果により、切断部のホールド部および供給部の第2の移送部の動作を、以下:
(1) 前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、ホールド部を最下位置まで下降させた後、再び最上位置まで上昇させ、その後最上位置で一定時間静止させる動作を繰り返し、前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、ホールド部を最上位置で静止した状態でその動作を停止させる;
(2) 前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、前記第2の移送部を前記ホールド部の動作と連動して上昇および下降するように動作を繰り返し、前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、第2の移送部を最上位置で静止した状態でその動作を停止させる;
のように制御する制御部を備える、[8]に記載のゆで卵切断機。
[10]
駆動部がホールド部を回転的に移動させる、[7]に記載のゆで卵切断機。
[11]
待機部材から該ゆで卵を受けて保持し、その後、ゆで卵切断部に移送する、第3の移送部をさらに備える、[10]に記載のゆで卵切断機。
[12]
前記第3の移送部は、ゆで卵が載置されるヘッド部と、該ヘッド部を昇降動作させる昇降駆動部とを備え、
第3の移送部が上方から下降する過程で、待機部材上のゆで卵をヘッド部に受けて保持し、その後、第3の移送部が下方から上昇する過程で、ヘッド部のゆで卵をホールド部に載置する、[11]に記載のゆで卵切断機。
[13]
前記第3の移送部の上方に、第3の移送部のヘッド部上に載置されたゆで卵をホールド部へと導くように配置された卵送りガイド、または、
第3の移送部とゆで卵切断部との間に配置されて、第3の移送部の昇降動作中に、第3の移送部のヘッド部上に載置されたゆで卵が転がり落ちないようにした、転がり防止プレート、
をさらに備える、[12]に記載のゆで卵切断機。
[14]
切断前のホールド部のゆで卵を検知する切断前ホールドセンサーを有し、該センサーの検知結果により、切断部のホールド部および供給部の第2、第3の移送部の動作を、以下
(1) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、ホールド部を移動させて該ホールド部に保持されたゆで卵を切断するように動作して一定時間静止し、ホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、静止した状態でその動作を停止させる;
(2) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、第2、第3の移送部を動作させ、ホールド部にゆで卵を供給して一定時間静止し、ホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、静止した状態でその動作を停止させる;
のように制御する制御部を備える、[11]~[13]のいずれかに記載のゆで卵切断機。
[15]
ゆで卵切断部が、複数のホールド部を有し、スライス刃により切断される前のゆで卵と切断された後のゆで卵とをそれぞれのホールド部で同時に保持することが可能である、[14]記載のゆで卵切断機。
[16]
切断後のホールド部のゆで卵の有無を検知する切断後ホールドセンサーを有し、該切断後ホールドセンサーおよび前記切断前ホールドセンサーの検知結果により、切断部のホールド部および供給部の第2、第3の移送部の動作を、以下:
(1A) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部に切断前のゆで卵が有ると検知し、かつ、切断後ホールドセンサーによりホールド部に切断後のゆで卵が有ると検知したときには、ホールド部を静止した状態でその動作を停止させる;
(1B) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部に切断前のゆで卵が有ると検知し、かつ、切断後ホールドセンサーによりホールド部に切断後のゆで卵が無いと検知した場合、ホールド部を移動させて該ホールド部に保持されたゆで卵を切断するように動作し、その後、静止した状態でその動作を停止させる;
(1C) 切断前ホールドセンサーによりホールド部に切断前のゆで卵が無いと検知した場合、ホールド部を動作しない状態を維持する;
(2) 前記切断前ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が無いと検知した場合、第2、第3の移送部を動作させ、ホールド部にゆで卵を供給し、ホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、静止した状態でその動作を停止させる;
のように制御する制御部を備える、[11]~[13]のいずれかに記載のゆで卵切断機。
[17]
前記ゆで卵切断部は、ゆで卵を2つに切断するため前記スライス刃を1つ備える、[7]~[16]のいずれかに記載のゆで卵切断機。
[18]
前記ゆで卵切断部は、ゆで卵を3つ以上に切断するため前記スライス刃を複数備える、[7]~[16]のいずれかに記載のゆで卵切断機。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定の収容部へ複数のゆで卵をまとめて供給し、一定数のゆで卵を収容させておくだけで、自動的に、連続して、順次、1つずつ、ゆで卵を、所定の位置(ホールド部)に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る、多段式ゆで卵供給装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るゆで卵切断機で用いられるスライス刃の一態様を示す概略図である(左:複数刃、右:1本刃)。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施例に係るゆで卵切断機の概略図であって、
図3(a)は、当該ゆで卵切断機の上面図、
図3(b)は、当該ゆで卵切断機の側断面図、第1のゆで卵収容部側から見たA-B間の断面図、第2のゆで卵収容部側から見たC-D間の断面図を各々示す。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施例に係るゆで卵切断機の概略図であって、
図4(a)は、当該ゆで卵切断機の上面図、
図4(b)は、当該ゆで卵切断機の側断面図、第1のゆで卵収容部側から見たA-B間の断面図、第2のゆで卵収容部側から見たC-D間の断面図を各々示し、
図4(c)は、第2のゆで卵収容部である整列用ホッパーの上面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示される第1の実施例に係るゆで卵切断機の一部拡大上面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示される第2の実施例に係るゆで卵切断機の切断部の一部拡大斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施例に係るゆで卵切断機の一部の拡大図であって、ゆで卵をゆで卵収容部から切断部へと搬送する流れを示す概略図である。
【
図8】
図8は、第2の実施例に係るゆで卵切断機の一部の拡大図であって、ゆで卵をゆで卵収容部から切断部へと搬送する流れを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態は、ゆで卵を処理するための装置に関する。処理対象であるゆで卵は、固体の形状を維持できていれば、内部の卵黄が半熟のゆで卵であっても固ゆでのゆで卵であってもよい。半熟のゆで卵の場合は、少なくとも外部の卵白の部分が凝固していればよく、卵黄の部分がある程度の流動性を有していてもよい。また、ゆで卵の原料となる卵は、典型的には鶏卵であるが、うずらなどの鶏卵以外の卵であってもよい。
【0013】
(多段式のゆで卵供給装置)
本発明は、一つの態様において、第1のゆで卵収容部と第2のゆで卵収容部を少なくとも有する、多段式のゆで卵供給装置(ゆで卵供給部)である。本発明に係る第1のゆで卵収容部は、第2のゆで卵収容部へゆで卵を移送するための第1の移送部を備え、第2のゆで卵収容部は、ゆで卵を第2のゆで卵収容部の開口からさらに移送するための第2の移送部を備えている。本発明の装置は、第2のゆで卵収容部に収容されているゆで卵の有無をセンサーで検知し、センサーで検知した結果に基づいて、第1のゆで卵収容部に収容されているゆで卵を、第2のゆで卵収容部へ移送するように第1の移送部を制御する供給制御部を有する。
【0014】
第1のゆで卵収容部及び第2のゆで卵収容部は、底面と4つの壁面から構成されており、4つの壁面のうち、下流側の1壁面に開口が形成されている。なお、本明細における「段差」とは、この壁面の底面から開口までの壁部分のことをいう。
【0015】
1つの好ましい態様において、本発明の多段式のゆで卵供給装置は、ゆで卵供給部にあるゆで卵を切断部に移送する移送部と、供給部のゆで卵の有無を検知するセンサーと、供給部にゆで卵が存在しない場合に供給部にゆで卵を補給するように制御する制御部と、を有する。
【0016】
本発明における多段式のゆで卵供給装置は、供給部におけるゆで卵の有無を検知するセンサーを備えている。
すなわち、切断部にゆで卵を供給するための搬送路の一部にある供給部にゆで卵がないことが分かれば、センサーの検出結果を基にした制御部の制御により次のゆで卵を供給部に自動で供給することができる。そのため、切断部へのゆで卵の供給、供給部に補充するゆで卵の制御を自動で行うことができる。また、供給部にゆで卵があることが分かれば、センサーの検出結果を基にした制御部の制御により供給の動作を行わないようにすることができる。そのため、過剰なゆで卵が供給されて、ゆで卵が供給過剰の状態となり、正確なゆで卵の供給を阻害することを防止することができる。すなわち、この態様の本発明によれば、センサーと制御部によって的確な駆動制御がなされて、切断部へ連続的かつ正確にゆで卵を供給することができる。
【0017】
図1に、切断部にゆで卵を供給するための多段式ゆで卵供給装置の一態様を示す。
図1に係る態様では、大量のゆで卵を処理できるように、ゆで卵を保持しておく収容部が2つ設けられており、手前の第1のゆで卵収容部7にあるゆで卵が、奥側にある第2のゆで卵収容部8に移動し、次いで、第2のゆで卵収容部8にあるゆで卵がさらに切断部に供給される。ゆで卵を保持するための複数の部位は、好ましい態様において、第1のゆで卵収容部7から第2のゆで卵収容部8へとゆで卵が移動する。ゆで卵の移動は、それぞれの収容部の底面に傾斜を付けるなどの方法によって適宜行うことができ、それぞれの収容部の間には、ゆで卵が通過できるだけの空間(例えば、第1の開口20)を設けておけばよい。
【0018】
(ゆで卵切断機)
本発明の一実施形態に係る多段式のゆで卵供給装置は、一つの態様において、後段にゆで卵の切断部を連結させたゆで卵切断機(切断部)に関する。本発明のゆで卵の切断部においては、スライス刃の数を調整することによって、卵を2つに切断することはもちろん、卵を3つ以上にスライスすることができる。例えば、スライス刃として1本のスライス刃を用いると、卵を2つに切断することができる。また、複数の刃を備えるスライス刃を用いると卵を3つ以上の部分に切断することができ、例えば、3本の刃で構成されたスライス刃を用いることによって卵を4つの部分に切断することができる。好ましい態様において、本発明によれば、1つのゆで卵を2~10の部分に切断することができ、より好ましくは2~6の部分、さらに好ましくは、2~4の部分に切断することができる。スライスの厚さは特に制限されないが、例えば、刃の間隔を調整することによって制御することができる。好ましい態様において、スライス後の卵の厚さは0.1~5cmであり、より好ましくは0.2~3cm、さらに好ましくは0.3~1.5cmである。
【0019】
図2は、外枠に固定されたワイヤ状のスライス刃を示す概略図であり、左側は4つのスライス刃を備えた構成、右側は1つのスライス刃を備えた構成である。
図2(a)のスライス刃を用いることによってゆで卵を3以上の部分に切断することができ、
図2(b)のスライス刃を用いることによってゆで卵を2つに切断することができる。
【0020】
また、本発明のゆで卵切断機に係る切断部は、一つの態様において、複数の板状体をその間にスライス刃が入り込むよう間隙を設けて並べるように構成されたゆで卵のホールド部と、ゆで卵を切断するため、隣接する板状体の間に入り込むことが可能なスライス刃と、ホールド部をスライス刃に押し当てるための駆動部と、を有する。
【0021】
ゆで卵のホールド部は、ゆで卵を保持できれば形状や大きさに特に制限はない。好ましい態様において、例えば、凹形状のくぼみを設けて、それをホールド部として用いることができる。ホールド部を複数の板状体で構成する場合は、複数の板状体をその間にスライス刃が入り込むよう間隙が設けられるように合わせた際に全体として凹部ができるように板状体の外周を設計すればよい。例えば、ホールド部が、卵型の凹形状に構成されていると、スライス後にホールド部から取り出されるゆで卵が、スライスされてもほぼ元の形状のままの状態で、切り落とされることになり好ましい。もし仮に、ホールド部の形状が平坦であると、スライス後のゆで卵が、真ん中を中心に左右に開き、被切断面が上を向いた状態となり、元の形状を保てないため、それを取り出すことは容易ではなく、その取り出し作業に労力を要することになる。
【0022】
ゆで卵を切断するためのスライス刃は、特に制限されず、種々の形状や材質のものを使用することができる。好ましい態様においてスライス刃は、その厚みが薄いものや、ワイヤのような形状であるとよい。例えば、スライス刃が線状の刃で構成される場合、線状の刃は複数であっても1つであってもよい。上述したように、スライス刃を構成する刃の数によって、ゆで卵をどのように切断するかを決定することができる。好ましい態様において、本発明のスライス刃は1~9の刃で構成されており、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3の刃で構成される。
【0023】
本発明のゆで卵切断部においては、ホールド部を固定したスライス刃に対して移動させることによって、ホールド部にあるゆで卵が切断される。ホールド部のゆで卵をどのようにスライス刃に押し当てるかは特に制限されないが、駆動部によって、ホールド部にホールドされたゆで卵をスライス刃に垂直方向に直線的に押し当ててもよいし、スライス刃に回転的に押し当ててもよい。本発明の好ましい一態様において、ホールド部は垂直方向に直線的にスライス刃に押し当てられる。また、本発明において、ゆで卵はその長手方向に切断してもよいし、その短手方向に切断してもよい。
【0024】
図3に、ホールド部に載置されたゆで卵を垂直方向に直線的にスライス刃に押し当てる態様の装置の概略図、
図4に、ホールド部に載置されたゆで卵を回転的にスライス刃に押し当てる態様の装置の概略図を示す。
図3に係る装置においては、複数の板状体32で構成されたホールド部に1つのゆで卵が載置されており、該ゆで卵が下から上へ垂直方向に直線的にスライス刃に押し当てられることによって切断される。一方、
図4に係る装置においては、複数の板状体32bで構成されたホールド部にゆで卵が載置され、該ゆで卵が載置されたホールド部が回転することによってスライス刃に押し当てられて切断される。
【0025】
また、本発明のゆで卵切断機に係る切断部は、切断後のホールド部のゆで卵の有無を検知する切断後ホールドセンサーと、該ホールド部にゆで卵が存在しない場合にホールド部に第2の移送部から待機部材を経由してゆで卵が供給されるように制御する制御部と、をさらに有していることが好ましい。
【0026】
すなわち、ホールド部から切断後のゆで卵が取り出され、ホールド部にゆで卵がないことが分かれば、次のスライス処理を行うことができるので、切断後ホールドセンサーの検出結果を基にしてホールド部に次のゆで卵を第2の移送部から待機部材を経由して自動で供給することができる。そのため、ホールド部への供給を自動で行うことができ、ゆで卵の切断効率を大きく向上させることができる。また、切断後のホールド部にゆで卵があることが分かれば、センサーの検出結果を基にした制御部の制御によりホールド部に次のゆで卵が供給されることをストップすることができる。そのため、過剰なゆで卵が供給されて、ゆで卵が供給過剰の状態となり、正確なゆで卵の供給を阻害することを防止することができる。すなわち、この態様の本発明によれば、センサーと制御部によって正確な駆動制御がなされて、連続的で正確なスライス処理を高速かつ自動で実現することができる。
【0027】
この時、第2の移送部はモーターやエアシリンダ等で制御することができる。
【実施例0028】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。当然ながら、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
(第1の実施例:直線的な動きによってゆで卵を切断する切断機)
図3(a)、(b)には、第1の実施例に係るゆで卵切断機50の上面図及び側断面図が示されている。
図3において、
図1と同様の構成要件については、同様の参照番号を附している。
【0029】
図3(a)、(b)に示されるように、ゆで卵切断機50はゆで卵供給部1と切断部2とを備えている。供給部1は、
図1を用いて上述したように、第1のゆで卵収容部7と第2のゆで卵収容部8とを備えている。第1のゆで卵収容部7の上面は開放されており、該開放口からゆで卵を該第1のゆで卵収容部7へと入れることが可能となっている。第2のゆで卵収容部8の上面も開放されており、第2のゆで卵収容部8内のゆで卵の収容状況が観察可能となっている。
【0030】
図3(b)のAB間断面図に示されるように、第1のゆで卵収容部7と第2のゆで卵収容部8との間には、仕切り板21が介在されており、該仕切り板21には、第1の開口20が形成されている。第1の開口20の下端は、第1の収容部7の底面から所定の高さに形成されており、第1のゆで卵収容部7と第2のゆで卵収容部8との間に第1の段差22を形成している。すなわち、第1のゆで卵収容部7から第2のゆで卵収容部8へとゆで卵が移送されるためには、第1の段差22を乗り越えなければならない。
【0031】
第1のゆで卵収容部7の底面は、仕切り板21方向に下がっていく勾配を有する傾斜部23を形成しており、これによって、第1のゆで卵収容部7に供給されたゆで卵は重力により第1のゆで卵収容部7の下流側に集まることになる。また、傾斜部23の両側も、開口通路20の幅より狭い幅の中央の傾斜部23へと下っていく勾配を有する傾斜部24を形成しており(
図1参照)、これによって、下流側中央付近へとゆで卵が集まることになる。傾斜部23、24により、ゆで卵が集まる、仕切り板21の第1の段差部22付近には、第1の移送部9のヘッド部25が傾斜部23、24と連続的な面を形成しており、下流側中央に向かって下っていく勾配を有している。ヘッド部25の先端は第1のゆで卵収容部7の前方内壁と擦動するか、あるいはそこから移送するゆで卵が落下しないように狭い間隔だけ空けて上下動するように調整する。ヘッド部25には、
図3(b)に示されるように、第1の移送部9が下部に取り付けられている。図示はしていないが、第1の移送部9をエアシリンダにより垂直方向に上昇および下降の動作をさせる機構が設けられている。第1の移送部9の上昇動作により、ヘッド部25の前方先端縁は、ゆで卵を載置した状態で、第1の開口20の下端縁とほぼ同じ高さまで持ち上げられ、ゆで卵が第1の開口20を通って、第2のゆで卵収容部8へと移送されることを可能にする。第1の移送部9の下降動作により、ヘッド部25は、再び、第1のゆで卵収容部7の底面を形成する位置へと戻ることになる。なお、ヘッド部25の上面は複数のゆで卵が載置できる大きさで設けることが望ましく、本実施例では7~8個のゆで卵が載置できる大きさとなっている。
【0032】
また、第2のゆで卵収容部8は、
図3(b)のCD間断面図によって示されるように、端部板27に第2の開口26が形成されている。第2の開口26の下端は、第2の収容部8の底面から所定の高さに形成されており、第2のゆで卵収容部8と外部との間に第2の段差28を形成している。すなわち、第2のゆで卵収容部8から第2の開口26を通って外部へとゆで卵が移送されるためには、第2の段差28を乗り越えなければならない。
【0033】
第2のゆで卵収容部8の底面は、端部板27方向に下がっていく勾配を有する傾斜部29を形成しており、これによって、第2のゆで卵収容部8に供給されたゆで卵は重力により第2のゆで卵収容部8の下流側付近に集まることになる。また、傾斜部29の両側も、中央の傾斜部29へと下っていく勾配を有する傾斜部30を形成しており、これによって、下流側中央付近へとゆで卵が集まることになる。傾斜部29、30により、ゆで卵が集まる、端部板27の第2の段差部28付近には、第2の移送部3のヘッド部31が傾斜部29、30と連続的な面を形成しており、該上面は1個のゆで卵だけが載置できる大きさで設けられ、かつ、下流側中央に向かって下っていく勾配を有している。ヘッド部31の先端は第2のゆで卵収容部8の前方内壁と擦動するか、あるいはそこから移送するゆで卵が落下しないように狭い間隔だけ空けて上下動するように調整する。ヘッド部31には、
図3(b)に示されるように、第2の移送部3が下部に取り付けられている。図示はしていないが、第2の移送部3をエアシリンダにより垂直方向に上昇および下降の動作をさせる機構が設けられている。第2の移送部3の上昇動作により、ヘッド部31の前方先端縁は、1個のゆで卵を載置した状態で、第2の開口26の下端縁とほぼ同じ高さまで持ち上げられ、ゆで卵が第2の開口26を通って、第2のゆで卵収容部8の外部へと移送されることを可能にする。第2の移送部3の下降動作により、ヘッド部31は、再び、第2のゆで卵収容部8の底面を形成する位置へと戻ることになる。
【0034】
さらに、第2のゆで卵収容部8は、第2の移送部3のヘッド部31へと1個のゆで卵を導くため、第2のゆで卵収容部8内の該ヘッド部31の手前で上下に駆動する複数のピン10をさらに備えていてもよい。ピン10は、下からゆで卵を突き上げることにより、第2の移送部3のヘッド部31へとゆで卵を導くものであり、ピンの駆動部11により上下に駆動するように制御される。これにより、ヘッド部31に、より確実にゆで卵1個だけを載置することができる。
【0035】
第2のゆで卵収容部8の第2の開口26の下流側に板状体32を取り囲んで収容する外箱の外側が隣接して、ゆで卵切断部2が配置される。ゆで卵切断部2は、複数の板状体32で構成されたゆで卵のホールド部4(卵受け部)と、ホールド部4に保持されたゆで卵5を切断するためのスライス刃6と、スライス刃6がホールド部4の間隙を空けて隣接する各板状体32の間に入り込むようにホールド部4をスライス刃6に対して垂直方向に直線的に移動させる直線駆動部12と、を有している。直線駆動部12は下から上に直線的にホールド部4を移動する際にホールド部4に保持されたゆで卵が切断される。切断後のゆで卵が取り除かれるまではホールド部4は最上位置で停止し、切断後のゆで卵が取り除かれた後は降下して元の最下位置に戻る。
【0036】
図5には、第2のゆで卵収容部8に収容されたゆで卵5が、第2の移送部3のヘッド部31を介して、切断部2のホールド部4へと移送される様子が示されている。第2の移送部3のヘッド部31が上昇してゆで卵5が第2のゆで卵収容部8の上部に持ち上げられ、端部板27の第2の開口26を通過させられた後、切断部2のホールド部4へと移送される。図示されるように、ホールド部4は、複数の板状体32の形状を調製して、全体的にキャッチャーミットやフットボール型にくぼみ(凹部)が形成されるように設けることが好ましい。このようなホールド部4を設けることによって、切断前のゆで卵を安定的に載置できることはもちろん、切断後のゆで卵もほぼ切断前と同様の取り出し易い状態を維持することができる。
【0037】
図3に戻ると、ゆで卵切断機50は、さらに、第2のゆで卵収容部8に収容されたゆで卵5を検知する収容センサー13と、ゆで卵切断部2のホールド部4にゆで卵5が載置されているか否かを検知する切断後ホールドセンサー15と、収容センサー13及び切断後ホールドセンサー15の検出結果に基づいて、第1の移送部9、第2の移送部3及び直線駆動部12を制御するコントローラ(制御部)16と、を備えている。収容センサー13や切断後ホールドセンサー15は、例えば光電管とその光の有無を検出して信号を発するユニットを第2のゆで卵収容部8やゆで卵のホールド部4の上方に設けることで実現することができる。光電管の光がゆで卵に遮られている場合に光の不検出信号を発してゆで卵が有ると検知し、遮られていない場合に光の検出信号を発してゆで卵が無いと検知するように構成し、そのようなゆで卵の有無の検知結果により制御を行うことができる。
【0038】
次に、第1の実施例の作用について、
図3を用いて説明する。
第1のゆで卵収容部7から第2のゆで卵収容部8へ複数の卵を移動させる制御は、コントローラ16で行われる。具体的には、コントローラ16は、第2のゆで卵収容部8の中のゆで卵が少なくなり、収容センサー13が任意の特定位置にゆで卵がないと検知した場合、第1の移送部9を第1の移送部のヘッド部25の上面が第1の段差22よりもやや高い位置にくるまで上昇させ、一定時間静止させる。その後、下降させて第1の移送部のヘッド部25を元の最下位置で静止させる。また、コントローラ16は収容センサー13がゆで卵が有ると検知した場合、第1の移送部9を最下位置で待機させ続けるように設定されている。このようなコントローラ16の制御により、ゆで卵は以下のように移送される。
【0039】
まず、第1の収容部7にゆで卵が投入される。投入されたゆで卵は、傾斜部23、24により第1の移送部9のヘッド部25付近へと集まり、第1の段差22で止められる。次に、第2のゆで卵収容部にゆで卵が無いとセンサーによって検知されると、第1の移送部9が上昇駆動されることによってヘッド部25に載置されたゆで卵は、一定時間静止しているヘッド部25から第1の段差22を乗り越えて第1の開口20を通って、ゆで卵を保持するための第2の収容部8に移動する。その後、第1の移送部9は下降して最下位置に戻る。そして第2のゆで卵収容部にゆで卵が有るとセンサーによって検知されると、第1の移送部9は、そのまま最下位置で待機し続ける。
【0040】
このようにコントローラ16は、収容センサー13の検出信号から第2の収容部8の特定位置に収容されたゆで卵の有無を検知し、その結果に基づいて第1の移送部の動作を制御しており、第2のゆで卵収容部8に適当な数のゆで卵が保持されるように第1の移送部9の上昇・下降動作を制御する。例えば、制御部16は、第2の収容部8にあるゆで卵が少なくなり、収容センサー13で任意の特定位置にゆで卵が無いと検知されれば第1の移送部9を昇降させて第1の収容部7に保持されたゆで卵を移送し、第2の収容部8にゆで卵が有るとセンサーで検知されれば第1の移送部9の昇降を止めて第1の収容部7にゆで卵を保持し続ける。
【0041】
また、第2の収容部からゆで卵を1個ずつ下流側の切断部のホールド部へ移送して載置し、その後切断する制御もコントローラ16で行われる。具体的には、コントローラ16は切断後ホールドセンサー15によりホールド部4にゆで卵が無いと検知した場合、ホールド部4を最下位置まで下降させた後、再び最上位置まで上昇させ、その後最上位置で一定時間静止させる動作を繰り返し、前記切断後ホールドセンサー15によりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、ホールド部4を停止させる。また、コントローラ16は前記切断後ホールドセンサーによりホールド部4にゆで卵が無いと検知した場合、前記第2の移送部をホールド部4の動作と連動して上昇および下降するように動作を繰り返し、前記切断後ホールドセンサーによりホールド部4にゆで卵が有ると検知した場合、前記第2の移送部を最上位置で静止した状態でその動作を停止させる。このようなコントローラ16の制御により、ゆで卵は以下のように移送され、切断される。
【0042】
まず、第2の収容部8に保持されたゆで卵は、傾斜部29、30により、さらにピン10の上下動作によって、第2の移送部3のヘッド部31付近へと集まり、第2の段差28で止められる。次に、切断後ホールドセンサー15がゆで卵ホールド部4にゆで卵が無いと検知すると、第2の移送部3のヘッド部31が上昇駆動されることによってヘッド部31に載置されたゆで卵は、第2の段差28を乗り越えて第2の開口26を通って、切断部のゆで卵ホールド部4へ移送される(
図5参照)。その後、第2の移送部3のヘッド部31は、最上位置で静止した状態でその動作を停止する。
【0043】
ゆで卵5を載せたホールド部4が上昇すると、ゆで卵5は、スライス刃6に押し当てられて複数の部分へと切断される。上述したように、ゆで卵5のホールド部4は複数の板状体32によって構成されているため、そのままの状態で、ワイヤ状のスライス刃にゆで卵を押し当ててスライスすることができるため好適である。スライスされたゆで卵は、手動で装置から除去すればよい。切断されたゆで卵が回収されると、直線駆動部12は、垂直方向に下降するように制御されて、第2のゆで卵収容部8からのゆで卵を受け取るため前記ゆで卵ホールド部4の動作と連動して上昇および下降するように動作を繰り返し、前記切断後ホールドセンサーによりホールド部にゆで卵が有ると検知した場合、第2の移送部を最上位置で静止した状態でその動作を停止させる。なお、好ましい態様において、ホールド部4に切断されたゆで卵が残っているか否かをセンサーで確認してもよい。
【0044】
図7には、本発明の第1の実施例に係る、ゆで卵切断機50の一部の拡大図が示されており、第2のゆで卵収容部8からゆで卵5をゆで卵ホールド部4に順次搬送する流れ(1)~(5)を示している。
【0045】
図7に示されるように、第2のゆで卵収容部8の端部版27に隣接して、昇降動作可能な第2の移送部3が配置されており、端部版27に形成された第2のゆで卵収容部8の開口26の外側下縁部から待機部材33が延在している。すなわち、第2の移送部3のヘッド部31に載置された、ゆで卵5は、第2の移送部3の上昇駆動により第2の開口26付近まで持ち上げられると、第2の開口26から出て、待機部材33へと転がり込む。しかし、待機部材33は、図示のように傾斜面がつけられているため、待機部材33上のゆで卵5は、そこから滑り下りることになる。
【0046】
以下、第1の実施例に係る、ゆで卵切断機50の搬送の流れを説明する。
まず
図7の(1)に示されるように、第2の移送部3のヘッド部31にはゆで卵が載置され、第2の移送部3及び直線駆動部12が上昇駆動される。第2の移送部3のヘッド部31上に載置されたゆで卵は、端部板27により、ヘッド部31から転がって落下することを防止されつつ、第2の移送部3の上昇と共に、空席の待機部材33へと接近する。
【0047】
次に、
図7の(2)に示されるように、ヘッド部31が端部板27の上側エッジを超えて待機部材33の高さ付近まで上昇したとき、第2の移送部3のヘッド部31上に載置されたゆで卵は、空席の待機部材33へと転がり込む。この時、直線駆動部12の側面が待機部材33上へと転がり込んだゆで卵の高さよりも高い位置に至るため、ゆで卵は転がり落ちることなく待機部材33上に保持される。
【0048】
次に、
図7の(3)に示されるように、直線駆動部12及び第2の移送部3が下降開始するように制御される。直線駆動部12のゆで卵のホールド部4の高さが待機部材33上よりも低い位置までくると、待機部材33上のゆで卵は、直線駆動部12のゆで卵のホールド部4へと転がり込む。直線駆動部12はゆで卵を載置した状態で下降し続け、最下位置で一旦停止する。この時、直線駆動部12の下降と同時に第2の移送部3も下降し、第2の移送部3のヘッド部31が第2のゆで卵収容部8の底面と同じ高さに達した時、第2のゆで卵収容部8に存在するゆで卵のうちの一つが第2の移送部のヘッド部31上に載置される。
【0049】
次に、
図7の(4)に示されるように、第2の移送部3及び直線駆動部12が上昇開始するように制御される。第2の移送部3が最上位置に達すると、第2の移送部3のヘッド部31上に載置されたゆで卵が開口26の高さに達し、ゆで卵は開口26から出て、空席の待機部材33へと転がり込む。このとき、直線駆動部12のゆで卵のホールド部4も第2の移送部3とほぼ同時に最上位置に達し、待機部材33よりも高い位置に到達しているため、待機部材33上のゆで卵は、直線駆動部12の側面により転がり落ちることを妨げられる。さらにこのとき、直線駆動部12はゆで卵を載置した状態で上昇する途中で、スライス刃6にゆで卵を押し当てて切断する。
【0050】
最後に、
図7の(5)に示されるように、切断後のゆで卵5を取り除くまでは直線駆動部12及び第2の移送部3の動きは停止し、第2の移送部3のヘッド部31および直線駆動部12のゆで卵のホールド部4は最上位置で静止した状態でその動作を停止する。切断後のゆで卵5が取り除かれると、再び
図7の(2)の状態に戻って、第2の移送部3及び直線駆動部12が上昇駆動されて、同様の処理(2)~(5)が繰り返される。
【0051】
(第2の実施例:回転的な動きによってゆで卵を切断する切断機)
図4、
図6に、本発明の第2の実施例に係るゆで卵切断機を示す。
図4、
図6に示す第2の実施例に係るゆで卵切断機51では、切断部2bにおいて、ホールド部4bに載置されたゆで卵5が直線的にスライス刃に押し当てられるのではなく、回転しながらスライス刃に押し当てられてゆで卵が切断される点で第1の実施例とは異なる。なお、
図4、
図6において、第1の実施例と同様の構成要件については同一の参照番号に“b”を付加した参照番号を用いて詳細な説明を省略し、第1の実施例と異なる部分について説明する。
【0052】
第2の実施例に係るゆで卵切断機51のゆで卵切断部2bは、
図4(b)、
図6に示されるように、回転軸41の周りに回転可能なロータ37と、ロータ37を回転軸41の周りに回転させる回転駆動部36と、を備えている。ロータ37は、複数の板状体32bを回転軸41に沿って並列に並べて形成されたものであり、ロータ37には、その円周側面から回転軸41に向かって内側に凹んだ部分である、ホールド部4bが形成されている。切断部2bには、線状のスライス刃6bが配置されており、ロータ37は、回転時に、ロータ37の隣接する板状体32bの間を、線状のスライス刃6bがすり抜けるように配置されている。従って、ホールド部4bに保持されたゆで卵5は、ロータ37の回転とともに、スライス刃6bによって複数の部分へと切断される。
図4(b)、
図6の例では、ホールド部4bは、等角度の間隔で3か所形成されている。位置38は、切断前のゆで卵が収容されるホールド部4bの位置であり、位置39は、切断後のゆで卵が収容されるホールド部4bの位置であり、位置40は、ホールド部4bの待機位置である。勿論、1か所だけにホールド部を設けてもよく、等角度の間隔で2か所あるいは4か所以上にホールド部4bを設けることもできる。
【0053】
また、第2の実施例では、回転するロータ37のホールド部4bにゆで卵を移送するため、第1の実施例のゆで卵供給装置と第2のゆで卵収容部8bと切断部2bとの間に、昇降動作される第3の移送部35(例えば、エアシリンダ)及び卵送りガイド34とを新たに設けている。よって、第2の実施例では、第2の収容部8bに収容されていたゆで卵が第2の移送部3bによって出口26bから送り出される際に、直接、切断部2bに移送されるのではなく、一旦、待機部材33b上に載置され、その載置されたゆで卵が、第3の移送部35が下降するときにそのヘッド部42上へと転がって載置され、第3の移送部35によって上昇され、卵送りガイド34によって、方向転換させられて、位置38のホールド部4bへと収容される。
【0054】
さらに、ゆで卵が切断された後のホールド部6bの位置39に隣接して、ゆで卵を検知するための切断後ホールドセンサー15bが配置されている。第2の実施例に係るコントローラ16bは、収容センサー13b、切断前ホールドセンサー14、切断後ホールドセンサー15bの検出信号に基づいて、第1の移送部9b、第2の移送部3b、第3の移送部35及び回転駆動部36を制御する。
【0055】
次に、第2の実施例の作用を
図4、
図6を用いて説明する。
第1の収容部7bに80~100個のゆで卵を手作業で投入する。コントローラ16bは、収容センサー13bの検出信号により、第2の収容部8bの特定位置にゆで卵を検知できなかった場合に、第1の移送部9bを昇降動作させて、第1の収容部7bに収容されていたゆで卵を第2の収容部8bへと移送する。
【0056】
コントローラ16bは、切断前ホールドセンサー14により、位置38のホールド部4bに切断前のゆで卵を検知できなかった場合に、第2の移送部3bを上昇動作させて、そのヘッド部31bに載置されていたゆで卵を第2の収容部8bの第2の開口26bから送り出すと同時に、第3の移送部35を上昇動作させて、第2の開口26bから出てきたゆで卵を待機部材33b上に載置させる。次に、第3の移送部35は、第2の移送部3bとほぼ同じ高さを保ちながら下降し、元の位置に戻る。このとき待機部材33b上のゆで卵が第3の移送部35のヘッド部42上に載置される。次に、第3の移送部35は再び上昇し、載置されたゆで卵は、卵送りガイド34によって、方向転換させられて、位置38のホールド部4bへと収容される。
【0057】
なお、第2の移送部3bと第3の移送部35とはそれぞれ独立した構造であり、連動はしておらず、別々に動かしている。
コントローラ16bは、切断前ホールドセンサー14により、位置38のホールド部4bに切断前のゆで卵が有ると検知し、かつ、切断後ホールドセンサー15bにより、位置39のホールド部4bに切断後のゆで卵が無いと検知した場合、回転駆動部36を駆動させて、ロータ37を回転させる。この回転により、位置38のホールド部4bのゆで卵は切断される。
【0058】
コントローラ16bは、切断前ホールドセンサー14により、位置38のホールド部4bに切断前のゆで卵が有ると検知し、かつ、切断後ホールドセンサー15bにより、位置39のホールド部4bに切断後のゆで卵が有ると検知した場合、回転駆動部36を駆動させず、ロータ37を回転させない状態を維持する。
【0059】
コントローラ16bは、切断前ホールドセンサー14により、位置38のホールド部4bに切断前のゆで卵が無いと検知した場合は、切断後ホールドセンサー15bにより、位置39のホールド部4bに切断後のゆで卵が有ると検知した場合も、無いと検知した場合でも、回転駆動部36を駆動させず、ロータ37を回転させない状態を維持する。
【0060】
コントローラ16bが、切断前ホールドセンサー14により位置38のホールド部に切断前のゆで卵が無いと検知した場合、位置38のホールド部4bにゆで卵が供給されるように第2の移送部3b及び第3の移送部35を制御する。ここで、収容センサー13bにより第2の収容部8bにゆで卵を検知できなかった場合に、コントローラ16bによって、第1の移送部9bが昇降制御されることは上述した通りである。
【0061】
第2の実施例では、回転的な動きによってゆで卵がスライス刃に押し当てられるため、より連続的な運転に適している。
図8には、本発明の第2の実施例に係る、ゆで卵切断機51の一部の拡大図が示されており、第2のゆで卵収容部8bからゆで卵5を切断用のロータ37のホールド部4bに順次搬送する流れ(1)~(5)を示している。
【0062】
図8に示されるように、第2のゆで卵収容部8bの端部板27bに隣接して、昇降動作可能な第2の移送部3bが配置されており、端部板27bに形成された第2のゆで卵収容部8bの第2の開口26bの外側下縁部から待機部材33bが延在している。すなわち、第2の移送部3bのヘッド部31bに載置された、ゆで卵5は、第2の移送部3bの上昇駆動により第2の開口26b付近まで持ち上げられると、第2の開口26bから出て、待機部材33bへと転がり込む。しかし、待機部材33bは、図示のように傾斜面がつけられているため、待機部材33b上のゆで卵5は、そこから滑り下りることになる。
【0063】
また、端部板27bと、切断機のロータ37との間には、昇降動作可能な第3の移送部35が配置されており、第3の移送部35には、傾斜面を有するヘッド部42が設けられており、該ヘッド部42上に、ゆで卵が載置される。第3の移送部35及びロータ37の間には、ホールド部4bの下エッジまで延在する転がり防止プレート43が設けられている。
【0064】
以下、第2の実施例に係る、ゆで卵切断機51の搬送の流れを説明する。
まず
図8の(1)に示されるように、第2の移送部3bのヘッド部31bと、第3の移送部35のヘッド部42には、ゆで卵が載置され、第2の移送部3b及び第3の移送部35が上昇駆動される。第3の移送部35のヘッド部42上に載置された、ゆで卵は、転がり防止プレート43により、第3の移送部35のヘッド部42から転がって落下することを防止されつつ、第3の移送部35の上昇と共に、空席のホールド部4bへと接近する。
【0065】
次に、
図8の(2)に示されるように、第3の移送部35のヘッド部42が転がり防止プレート43の上側エッジを越えてホールド部4bの高さ付近まで上昇したとき、第3の移送部35のヘッド部42上に載置された、ゆで卵は、空席のホールド部4bへと転がり込む。その後も、第2の移送部3b及び第3の移送部35が上昇駆動される。
【0066】
次に、
図8の(3)に示されるように、第2の移送部3bに載置された、ゆで卵が第2の開口26bの高さに達すると、ゆで卵は第2の開口26bから出て、待機部材33bへと移動する。このとき、第3の移送部35のヘッド部42は、待機部材33bよりも高い位置に到達しているため、待機部材33b上のゆで卵は、第3の移送部35のヘッド部42のエッジにより転がり落ちることを妨げられる。
【0067】
次に、
図8の(4)に示されるように、第2の移送部3b及び第3の移送部35が下降開始するように制御される。第3の移送部35のヘッド部42が待機部材33bよりも低い位置までくると、待機部材33b上のゆで卵は、第3の移送部35のヘッド部42へと転がり込む。第3の移送部35はゆで卵を載置した状態で下降し続ける。
【0068】
最後に、
図8(5)に示されるように、第2の移送部3b及び第3の移送部35が最下の位置まで至ると、第2の移送部3bのヘッド部31b上に、第2のゆで卵収容部8bから供給されたゆで卵が載置される。また、第3の移送部35のヘッド部42上のゆで卵は、転がり防止プレート43により、転がりが防止される。この状態で、切断部のロータ37は回転制御される。ロータ37は、
図8の(1)に示されるように空席のホールド部4bが第3の移送部35の側に向くまで回転される。
【0069】
再び、
図8の(2)の状態に戻って、第2の移送部3b及び第3の移送部35が上昇駆動されて、同様の処理(2)~(5)が繰り返される。