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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178367
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20221125BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F25D21/14 Q
F25D21/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085130
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
【テーマコード(参考)】
3L048
【Fターム(参考)】
3L048AA01
3L048AA09
3L048BA01
3L048BB02
3L048BC01
3L048BD04
3L048CA02
3L048CB06
3L048CD01
3L048GA01
3L048GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】消費電力の増大を抑制しつつ、除霜水の排出不良を抑制する確実性を向上させた冷却貯蔵庫を提供する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、被貯蔵物を収容可能な貯蔵庫本体12と、貯蔵庫本体12の内部を冷却する冷却装置18と、冷却装置18の作動により生じた霜を外部に排出する排出管48と、排出管48を加熱する排出管ヒータ58と、貯蔵庫本体12の外部温度を検出する外部温度センサと、貯蔵庫本体12の内部温度を検出する内部温度センサと、排出管ヒータ58を制御する制御部と、を備え、制御部は、外部温度が閾値温度以下の場合には、排出管ヒータ58の発熱量を一定値に設定し、外部温度が閾値温度を超える場合には、外部温度と内部温度との温度差に基づき、発熱量を変化させる
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被貯蔵物を収容可能な貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の内部を冷却する冷却装置と、
前記冷却装置の作動により生じた霜を外部に排出する排出管と、
前記排出管を加熱する排出管ヒータと、
前記貯蔵庫本体の外部温度を検出する外部温度センサと、
前記貯蔵庫本体の内部温度を検出する内部温度センサと、
前記排出管ヒータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記外部温度が閾値温度以下の場合には、前記排出管ヒータの発熱量を一定値に設定し、
前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記外部温度と前記内部温度との温度差に基づき、前記発熱量を変化させる冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記制御部は、
所定の時間内における前記排出管ヒータへの通電時間の割合である通電率によって前記発熱量を制御しており、
前記外部温度が前記閾値温度以下の場合には、前記通電率を最大値とし、
前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記温度差に基づき、前記通電率を前記最大値以下の範囲内で変化させる請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵庫本体に設けられた開口を開閉する扉と、
前記扉を加熱する扉ヒータであって前記排出管ヒータに並列接続される扉ヒータと、を備え、
前記制御部は、前記通電率によって前記排出管ヒータと同期する形で前記扉ヒータの発熱量を制御している請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記温度差に対する前記通電率の値が定められた通電率テーブルを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記通電率テーブルを参照して、前記温度差に基づき前記通電率を決定する請求項2または請求項3に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記通電率テーブルは、前記記憶部に複数種類が記憶されており、
使用者が前記複数種類の前記通電率テーブルからいずれか一つを選択可能な操作部を備え、
前記制御部は、前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記操作部によって選択された前記通電率テーブルを参照する請求項4に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記排出管の少なくとも一部は、前記貯蔵庫本体を構成する壁部に内蔵されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫において、冷却器からの除霜水を外部に排出する排出管の凍結や結露を抑制するために排出管ヒータが設けられることが知られており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の排出管ヒータは、冷却貯蔵庫の周囲の外部温度(周囲温度)と、冷却貯蔵庫の内部温度(庫内温度)との温度差に応じて、排出管ヒータの発熱量(通電時間)が変化するように制御される。より詳しくは、当該温度差が大きい時には通電時間が長くなるように制御され、当該温度差が小さい時には通電時間が短くなるように制御されることで、常時通電される場合に比べて、消費電力の増大を抑制可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-17993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に外部温度が低い環境下では、外部温度と内部温度との温度差が大きくなりにくいため、特許文献1に記載の制御によると、排出管ヒータの通電時間が不十分となる懸念がある。その結果、排出管が凍結して除霜水の排水不良、排出管の破損が生じたり、排出管が冷蔵庫本体の断熱壁に内蔵されている場合には、冷蔵庫本体を交換しなければならない事態となる恐れがある。
【0005】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、消費電力の増大を抑制しつつ、除霜水の排出不良を抑制する確実性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本技術に関わる冷却貯蔵庫は、被貯蔵物を収容可能な貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の内部を冷却する冷却装置と、前記冷却装置の作動により生じた霜を外部に排出する排出管と、前記排出管を加熱する排出管ヒータと、前記貯蔵庫本体の外部温度を検出する外部温度センサと、前記貯蔵庫本体の内部温度を検出する内部温度センサと、前記排出管ヒータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記外部温度が閾値温度以下の場合には、前記排出管ヒータの発熱量を一定値に設定し、前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記外部温度と前記内部温度との温度差に基づき、前記発熱量を変化させる。
【0007】
このようにすれば、外部温度センサによって検出された外部温度が閾値温度以下の場合には、温度差に関わらず、排出管ヒータの発熱量を変動させずに一定値(例えば最大値)とすることで、排出管が凍結してしまう事態を抑制でき、除霜水を確実に排水できるようになる。一方で、当該外部温度が閾値温度を超える場合には、温度差に基づいて排出管ヒータの発熱量を変動することで、常時発熱される場合に比べて、消費電力の増大を抑制可能となる。
【0008】
また、前記制御部は、所定の時間内における前記排出管ヒータへの通電時間の割合である通電率によって前記発熱量を制御しており、前記外部温度が前記閾値温度以下の場合には、前記通電率を最大値とし、前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記温度差に基づき、前記通電率を前記最大値以下の範囲内で変化させてもよい。このようにすれば、通電率に応じて排出管ヒータを間欠通電することで、排出管ヒータの発熱量を容易に変化できるようになる。
【0009】
また、上記冷却貯蔵庫は、前記貯蔵庫本体に設けられた開口を開閉する扉と、前記扉を加熱する扉ヒータであって前記排出管ヒータに並列接続される扉ヒータと、を備え、前記制御部は、前記通電率によって前記排出管ヒータと同期する形で前記扉ヒータの発熱量を制御していてもよい。このようにすれば、扉ヒータによって扉のドアパッキン等が結露する事態を抑制できる。また、扉ヒータの発熱量を排出管ヒータと同期する形で外部温度及び温度差に応じて制御することで、結露防止しつつ、扉ヒータの発熱に伴う消費電力の増大を抑制できるようになる。
【0010】
また、前記温度差に対する前記通電率の値が定められた通電率テーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記通電率テーブルを参照して、前記温度差に基づき前記通電率を決定してもよい。このようにすれば、事前の試験等で確認された最適値を通電率テーブルに予め設定することで、最適な通電率を容易に決定できるようになる。
【0011】
また、前記通電率テーブルは、前記記憶部に複数種類が記憶されており、使用者が前記複数種類の前記通電率テーブルからいずれか一つを選択可能な操作部を備え、前記制御部は、前記外部温度が前記閾値温度を超える場合には、前記操作部によって選択された前記通電率テーブルを参照してもよい。このようにすれば、使用者によって、冷却貯蔵庫の設置環境や使用条件等により適した通電率テーブルを選択できるようになる。
【0012】
また、前記排出管の少なくとも一部は、前記貯蔵庫本体を構成する壁部に内蔵されていてもよい。その場合、排出管ヒータの発熱によって貯蔵庫本体を構成する壁部の外面に結露が生じたり、排出管が凍結等により破損した場合に貯蔵庫本体そのものを交換しなければならなくなったりする恐れがあるが、本技術によれば、このような事態も抑制できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、消費電力の増大を抑制しつつ、除霜水の排出不良を抑制する確実性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る冷蔵庫の正面図
図2】右側方からみた冷蔵庫の内部構造を示す図
図3】外箱を外した状態においてパイプヒータ付近を拡大した斜視図
図4】オペレーションボックスの斜視図
図5】パイプヒータ及び扉ヒータの制御に関連する電気的構成を示すブロック図
図6】設定2の通電率テーブル
図7】各通電率テーブルをグラフ化した図
図8】パイプヒータ及び扉ヒータの制御に関するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1に係る4ドア式の冷蔵庫10(冷却貯蔵庫の一例)を図1から図8を参照して説明する。冷蔵庫10は、図1図2に示すように、貯蔵庫本体12と、扉14と、機械室16と、冷却装置18と、を備える。冷却装置18は、貯蔵庫本体12の内部を冷却する装置であって、圧縮機22と、凝縮器ファン24を有する凝縮器26と、冷却器28と、を備える。
【0016】
[貯蔵庫本体12]
貯蔵庫本体12は、図2に示すように、前方に開口する開口12Aを有する断熱箱体であって、外箱30と内箱32との間に断熱材が発泡充填されて構成されている。なお、図2においては、後述する排出管48等を明示するために断熱材は省略している。貯蔵庫本体12の内部の大部分は、貯蔵室34となっており、貯蔵室34内には、食材等の被貯蔵物が載置される複数の棚38が設けられている。貯蔵庫本体12の上部には、冷却器室36が設けられており、冷却器室36内には、冷却器28及び循環ファン44(庫内ファン)が収容されている。貯蔵室34と冷却器室36とは、冷却ダクト40によって仕切られている。
【0017】
冷却ダクト40は、図2に示すように、後方に向けて下方に傾斜する傾斜部42を備えている。冷却ダクト40の傾斜部42には、吸込口42A及び吹出口42Bが設けられている。冷却器室36内における、吸込口42Aの上方には、循環ファン44が設けられている。さらに循環ファン44の上方には、内部温度センサ46(具体的には温度サーミスタ)が設けられている。冷却器28は、循環ファン44の後方側に配されている。冷却ダクト40の傾斜部42によって、貯蔵室34と冷却器室36とが仕切られると共に、冷却器28に付着した霜が融解された際に生じる除霜水が受け止められるようになっている。
【0018】
排出管48は、図2及び図3に示すように、一端部が冷却ダクト40の傾斜部42の後端部と接続している。排出管48の他端部は、冷却器室36後方に位置する内箱32の後壁を突き抜け、さらに下方に延びて外箱30の底面に達している。排出管48のうち上下方向に延びる部分48Aは、外箱30と内箱32との間において外箱30寄りに位置するように取り付けられている。換言すると、排出管48の上下方向に延びる部分48Aは、外箱30に近接する形で貯蔵庫本体12の後壁に内蔵されている。
【0019】
[機械室16]
機械室16は、図1図2に示すように、貯蔵庫本体12の上方に設けられている。圧縮機22及び凝縮器26は、機械室16に収容されている。また、機械室16には電装箱50、及びオペレーションボックス52が収容されている。
【0020】
[オペレーションボックス52]
機械室16の前面の一部には、図1に示すように開口が設けられており、その開口から、オペレーションボックス52の前面が外部に露出している。オペレーションボックス52の前面には、図4に示すように、表示画面54及び複数の操作ボタン56(操作部の一例)が設けられている。表示画面54には、貯蔵室34の内部温度等の情報が表示される。各操作ボタン56は、使用者の操作によって冷蔵庫10の設定(例えば、貯蔵庫本体12の内部の温度設定)等を変更するためのボタンである。複数の操作ボタン56のうち一つは、後述する通電率テーブルTBを選択するためのボタンとなっている。
【0021】
[冷却装置18]
冷却装置18を構成する各機器(圧縮機22、凝縮器26、及び冷却器28)は、冷媒管によって循環接続され、既知の冷凍回路が構成されている。貯蔵室34の内気は、循環ファン44によって吸込口42Aから冷却器室36内に吸い込まれる。このとき、内部温度センサ46に循環ファン44によって吸い込まれた内気が当たることにより、貯蔵室34内の温度が検知される。循環ファン44によって吸い込まれた内気は、冷却器28によって冷却され、吹出口42Bから貯蔵室34内に排出される。これにより、貯蔵室34に収容された被貯蔵物が冷却される。
【0022】
冷却装置18が作動すると、冷却器28の周囲の水蒸気が冷却器28によって冷却され、固体化されることにより、冷却器28の表面には霜が付着する。冷却器28に付着した霜は、冷蔵庫10が除霜運転を開始すると、融解される。除霜運転は、デフロストヒータにより冷却器28を加熱し、冷却器28に付着した霜を融解するヒータデフロスト方式、または冷却装置18を停止し、かつ循環ファン44を作動することにより冷却器28に付着した霜を融解するオフサイクルデフロスト方式により行われる。除霜運転により融解された霜は、冷却ダクト40の傾斜部42に落ち、排出管48から貯蔵庫本体12の外部に排出される。
【0023】
[パイプヒータ58]
排出管48には、図2及び図3に示すように、パイプヒータ58(排出管ヒータの一例)が取り付けられている。パイプヒータ58は、U字状のコードヒータであって、排出管48の外箱30側の外面に固定されている。パイプヒータ58が作動すると、排出管48は加熱される。これにより、排出管48内を流れる除霜水が凍結することを抑制できる。また、排出管48が冷却されると、近接する外箱30の外面(外装表面)が温度低下することで結露が生じてしまうことがある。パイプヒータ58の発熱によって排出管48が加熱され、この外箱30の外面の結露も抑制できる。本実施形態では、パイプヒータ58が排出管48の外箱30側の外面と、外箱30との間に介在していることから、当該結露を効果的に抑制可能となっている。なお、パイプヒータ58は、U字状のコードヒータに限らず、その一部が排出管48の外箱30側の外面と、外箱30との間に介在するように上下方向に延在していればよく、例えば、排出管48の外面に巻き付けられていても構わない。
【0024】
[扉14、扉ヒータ60]
扉14は、貯蔵庫本体12の開口12Aを開閉可能にヒンジ部材によって取り付けられている。扉14は、図1に示すように、観音開き式に左右に対をなす2つずつが上下に2組設けられている。各扉14の後面(庫内側の面)の周縁部には、貯蔵庫本体12の開口12Aの開口縁部と密着するようにドアパッキン15が取り付けられている。また、左右に対をなす2つの扉14が閉状態において対向する扉14の対向側縁部には、図1及び図2に示すように、扉ヒータ60が内蔵されている。扉ヒータ60は、コードヒータであって、扉14の対向側縁部に沿って扉14に内蔵されている。扉ヒータ60が作動すると、扉14の対向側縁部が加熱される。これにより、扉14の対向側縁部に貼り付けられたドアパッキン15が結露したり、ドアパッキン15の凍結によって扉14の開閉不良が生じる事態を抑制できる。
【0025】
[電装箱50、制御部20、リレー62、外部温度センサ64]
電装箱50内には、マイクロコンピュータを備える制御基板、及びリレー62が収容されている。オペレーションボックス52内には、図4に示すように、操作基板55が収容されている。また、操作基板55上には、貯蔵庫本体12の周囲の外部温度を検出する外部温度センサ64(具体的には温度サーミスタ)が実装されている。外部温度センサ64は、操作基板55以外の場所に設けられていても構わないが、操作基板55上に実装することで、外部温度センサ64と操作基板55とを接続する信号線ケーブルを配索せずに済むようになる。
【0026】
冷蔵庫10には、各種装置を電気的に制御する制御部20が設けられている。制御部20は、電装箱50内の制御基板、及びオペレーションボックス52内の操作基板55により構成されている。電装箱50内の制御基板と、オペレーションボックス52内の操作基板55とは通信接続されている。制御部20は、冷却運転及び除霜運転等の制御(圧縮機22、凝縮器ファン24、循環ファン44、デフロストヒータ等の制御)に加えて、パイプヒータ58及び扉ヒータ60の制御を行っている。以下では、制御部20によるパイプヒータ58及び扉ヒータ60の制御について詳しく説明する。
【0027】
制御部20は、図5に示すように、内部温度センサ46、外部温度センサ64、リレー62、及び記憶部68が電気的に接続されている。記憶部68は、制御部20に内蔵されていても良い。制御部20は、後述する図8のフローチャートに示すように、外部温度センサ64によって検知された外部温度Te、及び外部温度Teと内部温度センサ46によって検知された内部温度Tiとの温度差ΔTに基づき、パイプヒータ58及び扉ヒータ60の発熱量を変化させる。
【0028】
リレー62は、制御部20からのオン/オフの制御信号に基づいて、リレー62の両接続部間を導通/遮断させるスイッチである。リレー62の一方の接続部には、図5に示すように、電源72が接続されており、リレー62の他方の接続部には扉ヒータ60及びパイプヒータ58が並列接続されている。制御部20からリレー62に対してオン信号が送信されると、パイプヒータ58及び扉ヒータ60に電源72から電力が供給され、各ヒータ58、60は同時に通電される。また、制御部20からリレー62に対してオフ信号が送信されると、各ヒータ58、60への通電が同時に遮断される。
【0029】
[通電率E]
制御部20におけるリレー62へのオン/オフ信号の送信は、通電率Eに基づき行われる。ここで、通電率Eは、所定の周期時間(本実施形態においては、1サイクル60秒)における、リレー62をオンにさせる時間であるオン時間と、リレー62をオフにさせる時間であるオフ時間との割合を表しており、以下の式によって定義される。
通電率E[%]=100×オン時間[秒]/(オン時間[秒]+オフ時間[秒])
【0030】
例えば、通電率Eが75%である場合、1サイクル60秒におけるオン時間は45秒(60×0.75秒)となり、オフ時間は15秒(60×0.25秒)となる。通電率Eが高いほど(すなわち、通電率Eが100%に近づくほど)、1サイクル60秒におけるオン時間の占める割合は高くなり、パイプヒータ58及び扉ヒータ60の発熱量は高くなる。すなわち、通電率Eを変えることにより、パイプヒータ58及び扉ヒータ60の発熱量を変化させることができる。通電率Eは、後述する通電率テーブルTBにより決定される。通電率Eは、2サイクル120秒毎に更新され、温度差ΔTの変化にあわせて追随して変化するようになっている。
【0031】
[記憶部68、通電率テーブルTB]
記憶部68は、データを記憶することが可能なメモリである。記憶部68には、複数種類(設定0から設定6までの7つ)の通電率テーブルTBが記憶されている。各通電率テーブルTBは、図6に一例を示すように、温度差ΔTに対する通電率Eの値が定められたデータである。
【0032】
通電率テーブルTBは、図7に示すように、設定0(TB0)から設定6(TB6)へと数値が高くなるほど、温度差ΔTが同じであっても、通電率Eが高くなるように定められている。例えば、設定3の通電率テーブルTB3の通電率Eよりも、設定4の通電率テーブルTB4の通電率Eの方が、同じ温度差ΔTであっても高い通電率Eとなっている。
【0033】
設定0の通電率テーブルTB0は、通電率Eが温度差ΔTによらず常に0%に定められている。すなわち、設定0は、リレー62を常にオフ状態にさせ、パイプヒータ58及び扉ヒータ60を作動させない設定となっている。また、設定6の通電率テーブルTB6は、通電率Eが温度差ΔTによらず常に100%となっている。すなわち、設定6は、各ヒータ58、60に常時通電させる設定となっている。
【0034】
設定1から設定5の通電率テーブルTB1、TB2、TB3、TB4、TB5は、図7に示すように、温度差ΔTが0K以上において温度差ΔTが大きくなると通電率Eが高くなるように定められている。一般に、貯蔵庫本体12の周囲の外部温度Teと、貯蔵庫本体12の内部温度Ti(具体的には、貯蔵室34の内部温度)との温度差ΔTが大きい場合、冷蔵庫10の温度設定が低く設定されていることから、排出管48の内部を流れる除霜水が凍結しやすくなる。また、排出管48の外面に近接する外箱30、及び扉14のドアパッキン15等の結露が発生しやすくなる。そこで、通電率テーブルTB1からTB5は、温度差ΔTが大きくなると通電率Eが高くなるように定められている。
【0035】
初期設定(工場出荷時等)では、平均的な冷蔵庫10の設置環境や使用条件を想定して、設定2の通電率テーブルTB2が選択されている。通電率テーブルTBの選択は、使用者が操作ボタン56を操作することによりTB0からTB6の範囲で変更できる。例えば、設定2の状態で、操作ボタン56が1回押されると、設定3となる。使用者は使用状況等に応じて操作ボタン56を操作することで、いずれかの通電率テーブルTB(T0からT06)を任意に選択できる。これにより、例えば、設定2の通電率テーブルTB2が選択されている場合において、使用者が結露防止を優先したいと考えた場合は、設定3の通電率テーブルTB3に変更し、省エネを優先したいと考えた場合は、設定1の通電率テーブルTB1に変更することができる。
【0036】
次に、制御部20によるパイプヒータ58及び扉ヒータ60の制御について、図8のフローチャートを参照して説明する。ここでは、初期設定として設定2の通電率テーブルTB2が選択されているものとする。
【0037】
制御部20は、まず外部温度センサ64によって検出された外部温度Teを閾値温度Tth(例えば15℃)と比較する(S100)。外部温度Teが閾値温度Tthを超えている場合には(S100のNO)、制御部20は、外部温度Teと、内部温度センサ46によって検出された内部温度Tiとの温度差ΔTを算出する(S101)。そして、制御部20は、選択されている設定2の通電率テーブルTB2を参照し、温度差ΔTに対応する通電率Eを決定する(S102)。例えば、温度差ΔTが32Kの場合、図6及び図7に示されるように通電率Eは55%となる。一方で、制御部20は、ステップS100において外部温度Teが閾値温度Tth以下の場合には(S100のYES)、選択されている通電率テーブルTBを設定2のTB2から設定6のTB6に変更し、通電率Eを100%(最大値の一例)とする(S103)。
【0038】
制御部20は、このように決定された通電率Eに基づき、リレー62をオン/オフさせ、パイプヒータ58及び扉ヒータ60への通電をオン/オフさせる通電制御を行う(S105)。具体的には、外部温度Teが閾値温度Tthを超え、外部温度Teと内部温度Tiとの温度差ΔTが32Kの場合、上記したようにステップS102において通電率Eは55%と決定されるため、1サイクル60秒の周期時間のうち、リレー62をオンにさせるオン時間は33秒(60×0.55秒)となり、リレー62をオフにさせるオフ時間は27秒(60×0.45秒)となる。一方で、外部温度Teが閾値温度Tth以下の場合、上記したようにステップS103において通電率Eは、温度差ΔTに関わらず100%となるため、1サイクル60秒の周期時間のうち、リレー62をオンにさせるオン時間は60秒(60×1秒)となる。
【0039】
1サイクルの通電制御が完了後は、さらにもう1サイクル、同様の通電制御を行う。2サイクルの通電制御が完了したら(S106のYES)、最初の処理(S100)に戻る。以上の処理が繰り返されることにより、外部温度Te、内部温度Tiが変化し、またこれらの変化に伴い温度差ΔTが変化したとしても、追随して最適な通電率Eが決定され、通電率Eに応じた発熱量の制御を行うことができる。
【0040】
なお、外部温度センサ64は操作基板55上に実装されているため、その検出温度は、基板の発熱等によって実際の貯蔵庫本体12の周囲の外部温度よりも高くなる可能性がある。その場合には、ステップ100における閾値温度Tth及び通電率テーブルTBは、外部温度センサ64の温度が高く検出されることを考慮して設定すればよい。
【0041】
次に、本実施形態に係る冷蔵庫10の作用及び効果を説明する。一般的に、貯蔵庫本体12の周囲の外部温度Teと、貯蔵庫本体12の内部温度Tiとの温度差ΔTが大きいほど、排出管48内の凍結が発生し易くなる。しかしながら、外部温度Teが低温である(閾値温度Tth(例えば15℃)以下の)環境下では、外部温度Teと内部温度Tiとの温度差ΔTが大きくなりにくいが、温度差ΔTが小さい場合であっても、排出管48内の凍結が発生することがある。そこで冷蔵庫10では、制御部20によって外部温度Teが閾値温度Tth以下の場合には、パイプヒータ58の発熱量を一定値(具体的には最大値)に設定し、外部温度Teが閾値温度Tthを超える場合には、外部温度Teと内部温度Tiとの温度差ΔTに基づき、発熱量を変化させる。
【0042】
このようにすれば、外部温度Teが閾値温度Tth以下の場合には、温度差ΔTに関わらず、パイプヒータ58の発熱量を変動させずに最大値とすることで、排出管48が凍結してしまう事態を抑制でき、除霜水を確実に排水できるようになる。一方で、外部温度Teが閾値温度Tthを超える場合には、温度差ΔTに基づいてパイプヒータ58の発熱量を変動することで、常時発熱される場合に比べて、消費電力の増大を抑制可能となる。この場合、パイプヒータ58の発熱量を排出管48が凍結しない最適な温度に制御することにより、パイプヒータ58が無駄に電力を消費することが抑制され、その消費電力を低下できる。また、パイプヒータ58の温度が過度に高くなることが抑制されるため、パイプヒータ58の熱が庫内(貯蔵庫本体12内)に伝わって冷却効率が低下してしまう事態を抑制できる。さらには、庫内におけるパイプヒータ58寄りの部分の温度上昇が抑えられるため、庫内の温度ムラを低減できる。従って、冷蔵庫10の消費電力の増大を抑制しつつ、除霜水の排出不良を抑制する確実性を向上することができる。
【0043】
また、制御部20は、周期時間内におけるパイプヒータ58への通電時間の割合である通電率Eによって発熱量を制御しており、外部温度Teが閾値温度Tth以下の場合には、通電率Eを最大値とし、外部温度Teが閾値温度Tthを超える場合には、温度差ΔTに基づき、通電率Eを最大値以下の範囲内で変化させる。このようにすれば、通電率Eに応じてパイプヒータ58を間欠通電することで、パイプヒータ58の発熱量を容易に変化できる。
【0044】
また、冷蔵庫10は、貯蔵庫本体12に設けられた開口12Aを開閉する扉14と、扉14を加熱する扉ヒータ60であってパイプヒータ58に並列接続される扉ヒータ60と、を備え、制御部20は、通電率Eによってパイプヒータ58と同期する形で扉ヒータ60の発熱量を制御している。このようにすれば、扉ヒータ60によって扉14のドアパッキン15が結露し、ドアパッキン15の凍結によって扉14の開閉不良が生じる事態を抑制できる。また、扉ヒータ60の発熱量を、パイプヒータ58と同様に外部温度Te及び温度差ΔTに応じて制御することで、扉ヒータ60の発熱に伴う消費電力の増大を抑制しつつ、扉14のドアパッキン15の結露及び凍結を抑制できるようになる。
【0045】
また、冷蔵庫10は、温度差ΔTに対する通電率Eの値が定められた通電率テーブルTBを記憶する記憶部68を備え、制御部20は、外部温度Teが閾値温度Tthを超える場合には、通電率テーブルTBを参照して、温度差ΔTに基づき通電率Eを決定する。このようにすれば、事前の試験等で確認された最適値を通電率テーブルTBに予め設定することで、最適な通電率Eが容易に決定されるようになる。
【0046】
また、通電率テーブルTBは、記憶部68に複数種類(具体的にはTB0からTB6の7段階)が記憶されており、使用者が複数種類の通電率テーブルTB0からTB6からいずれか一つを選択可能な操作ボタン56を備え、制御部20は、外部温度Teが閾値温度Tthを超える場合には、操作ボタン56によって選択された通電率テーブルTBを参照する。このようにすれば、使用者によって、冷蔵庫10の設置環境や使用条件等により適した通電率テーブルTBが選択可能となる。
【0047】
また、排出管48の下方に延びる部分は、貯蔵庫本体12を構成する壁部に内蔵されている。このような場合、パイプヒータ58の発熱によって、貯蔵庫本体12を構成する壁部の外面(外箱30の外面)に結露が生じたり、排出管48が凍結等により破損して貯蔵庫本体12そのものを交換しなければなったりする恐れがある。パイプヒータ58の発熱量を外部温度Te、温度差ΔTに基づき制御することで、当該結露の発生を抑制でき、貯蔵庫本体12そのものを交換しなければならない事態も抑制できるようになる。
【0048】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0049】
(1)各通電率テーブルTBの通電率Eの値、及びその種類(設定0から設定6までの7つ)は、要求仕様によって適宜変更可能である。
【0050】
(2)パイプヒータ58、及び扉ヒータ60の発熱量を変化させる方法は間欠通電に限られない。例えば、各ヒータ58、60に一定の直流電圧が印加される構成とし、制御部20は、外部温度Te、及び温度差ΔTに基づき直流電圧の値を変化させる制御を行うことで、発熱量を変化させても良い。
【0051】
(3)操作部は、オペレーションボックス52の操作ボタン56に限らず、冷蔵庫10とは異なる外部の端末に設けられる構成としても良い。これにより、使用者は外部の端末によって通電テーブルTBを選択できるようになる。
【0052】
(4)本技術は、冷蔵庫10以外の冷却貯蔵庫(例えば冷凍庫)に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10:冷蔵庫(冷却貯蔵庫)、12:貯蔵庫本体、12A:開口、14:扉、18:冷却装置、20:制御部、46:内部温度センサ、48:排出管、56:操作ボタン(操作部)、58:パイプヒータ(排出管ヒータ)、60:扉ヒータ、64:外部温度センサ、ΔT:温度差、E:通電率、TB,TB0,TB1,TB2,TB3,TB4,TB5,TB6:通電率テーブル、Te:外部温度、Ti:内部温度、Tth:閾値温度
図1
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