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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017837
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】光量調節装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20210101AFI20220119BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220119BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220119BHJP
   H04N 5/238 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
G03B9/02 A
G03B9/02 C
G02B7/02 Z
H04N5/225 100
H04N5/238
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120634
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 隆仁
【テーマコード(参考)】
2H044
2H080
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2H080AA20
2H080AA37
2H080AA61
2H080AA64
2H080AA83
5C122EA54
5C122FF03
5C122GE11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型な光量調節装置及び撮像装置を提供する。
【解決手段】協働して絞り開口を形成して光量を調節する少なくとも2枚の絞り羽根105,106と、前記絞り羽根を駆動させるレバー部材103と、光が通過する開口部を有し前記羽根部材を可動に保持する保持部材と、を備え、絞り羽根のうち第一の羽根部材105は突起部が設けられ、第一の羽根部材の突起部は、保持部材に設けられた溝に係合し、絞り羽根のうち第二の羽根部材106は溝が設けられ、第二の羽根部材の溝は、保持部材に設けられた軸に係合し、前記レバー部材が駆動することで、前記絞り開口の径を変化させることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
協働して絞り開口を形成して光量を調節する少なくとも2枚の絞り羽根と、
前記2枚の絞り羽根を駆動させるレバー部材と、
光が通過する開口部を有し前記羽根部材を可動に保持する保持部材と、を備え、
前記2枚の絞り羽根のうち第一の羽根部材は突起部が設けられ、
前記第一の羽根部材の突起部は、保持部材に設けられた溝に係合し、
前記2枚の絞り羽根のうち第二の羽根部材は溝が設けられ、
前記第二の羽根部材の溝は、前記保持部材に設けられた軸に係合し、
前記レバー部材が駆動することで、前記絞り開口の径を変化させることを特徴とする光量調節装置。
【請求項2】
前記レバー部材は前記保持部材の開口部から離れた位置に配置され、
前記第一の羽根部材は、前記保持部材の開口部に前記レバー部材とは反対側から進入し、
前記第二の羽根部材は、前記保持部材の開口部に前記レバー部材側から進入する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項3】
前記レバー部材は、回転中心を挟んで両側に前記第一の羽根部材との係合部と
前記第二の羽根部材の係合部を有しており、
前記レバー部材の回転中心から前記第一の羽根部材との係合部の距離は、
前記レバー部材の回転中心から前記第二の羽根部材との係合部の距離より長い、
こと、を特徴とする請求項2に記載の光量調節装置。
【請求項4】
最小絞りを形成する絞り開口形成縁部の割合が、
前記第二の羽根部材より前記第一の羽根部材の方が大きいこと、
を特徴とする請求項3に記載の光量調節装置
【請求項5】
前記第二の羽根部材は、前記保持部材の開口部に向かって、前記レバー部材との係合部を支点に回動しながら進入すること、を特徴とする請求項3に記載の光量調節装置。
【請求項6】
前記第一の羽根部材は、前記保持部材の開口部に向かって直進して進入すること、
を特徴とする請求項3に記載の光量調節装置。
【請求項7】
協働して絞り開口を形成して光量を調節する少なくとも2枚の絞り羽根と、
前記絞り羽根を駆動させるレバー部材と、
光が通過する開口部を有し前記羽根部材を可動に保持する保持部材と、
前記レバー部材に動力源となる絞り駆動部と、を備え、
前記絞り駆動部は、マグネットとコイル、ヨークから成る駆動部であり、
前記コイルの引き出し線が前記ヨークと前記保持部材の間から引き出すことを特徴とする光量調節装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の光量調節装置と、前記光量調節装置を含む撮影光学系により形成された像を光電変換する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラや交換レンズ、携帯情報端末等の光学機器に搭載され、絞り装置等とも称される光量調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付き携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末等、の撮影機能を備えた携帯機器のカメラ性能が向上している。これらの機器では、装置の大きさに制限があり、コンパクトデジタルカメラや交換レンズに搭載されている光量調節装置(絞り装置)を搭載することは困難であった。しかしながら、近年では、カメラ付き携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末等、の撮影機能を備えた携帯機器のカメラ性能の向上に伴い、小型な光量調節装置(絞り装置)が求められるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-47991号公報
【特許文献2】特開2018-36472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、交換レンズに搭載している光量調節装置(絞り装置)をカメラ付き携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末等の携帯機器に搭載しようとすると、機器の大きさの制限のため、そのまま機器に搭載することは難しい。
特許文献1に開示された絞り装置では、絞り羽根の案内溝が小絞り時に固定開口内部に入り光量漏れしないように、羽根の進退方向における固定開口の側方に案内溝を配置するスペースが必要であった。案内溝の配置が装置の幅を大きくする要因になっていた。
特許文献2に開示された絞り装置では、羽根の案内溝が固定開口と駆動部の間に配置されており、装置の幅を小さく抑えているが、装置が羽根の進退方向に長くなる課題があった。
【0005】
本発明は、良好な絞り開口形状を得つつ、装置の小型化を図ることができるようにした光量調節装置およびこれを備えた光学機器および携帯端末機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光量調節装置は、 協働して絞り開口を形成して光量を調節する2枚の羽根部材と、前記絞り羽根を駆動させるレバー部材と、光が通過する開口部を有し前記羽根部材を可動に保持する保持部材と、を備え、前記2枚の絞り羽根のうち第一の羽根部材は突起部が設けられ、保持部材に設けられた溝に係合し、前記2枚の絞り羽根のうち第二の羽根部材は溝が設けられ、保持部材に設けられた軸に係合し、前記レバー部材が駆動することで、前記絞り開口の径を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、限られたスペース内で羽根の案内ができるため、小型化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る絞り装置の分解斜視図。
図2】実施形態1の絞り装置の斜視図。
図3】実施形態1の絞り装置のカバーを外した斜視図。
図4】実施形態1の絞り装置のカバー、羽根部材を外した斜視図。
図5】実施形態1のベース部材。
図6】実施形態1のレバー部材。
図7】実施形態1の羽根部材105。
図8】実施形態1の羽根部材106。
図9】実施形態1の絞り状態。
図10】実施形態1のレバー部材部の拡大図。
図11】実施形態1の絞り駆動部の斜視図。
図12】実施形態1の絞り駆動部の分解斜視図。
図13】実施形態1の絞り駆動部の断面図。
図14】実施形態1の絞り駆動部の取付詳細。
図15】実施形態1の絞り装置を搭載した光学機器の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<実施形態1>
図1には、本発明の実施形態1である光量調節装置の一例である光量調節装置としての絞り装置の分解斜視図を示す。また、図2は絞り装置の斜視図を示している。
【0011】
図1において、保持部材としてのベース部材101には、光を通過させる固定開口101aが形成されている。ベース部材101は、プレス加工や樹脂成形等によって製作されている。ベース部材101の固定開口101aから離れた位置には、絞り駆動部110が取り付けられている。絞り駆動部110は、例えば、ロータマグネットと、通電されてロータマグネットを回転させる磁力を発生するコイルにより構成される電磁駆動メータ(動力源)である。また、ステッピングモータであってもよい。また、ベース部材101は、後に記述するピニオン102、レバー部材103が回転可能に収容する収容スペース101eを有する。さらに、ベース部材101の内面には、後に記述する羽根部材との摺動抵抗を低減するため、レール101fが形成されている。ベース部材101は、羽根部材を可動に保持する部材である。
【0012】
絞り駆動部110には、ピニオン102が取り付けられている。また、ベース部材101の軸101bには、レバー部材103が回転可能に取り付けられている。レバー部材103の回転中心穴103aがベース部材101の軸101bに係合する。レバー部材103は、ギア部103dを有しており、ピニオン102と連結される。ピニオン102が回転することで、レバー部材103が回転する。レバー部材103は、固定開口101aから下方向に離れて位置する軸回りにおいて、所定の角度範囲で回動する。レバー部材103は、樹脂成形等によって製作されている。レバー部材103は、回転中心の位置を挟んだ両側の先端に、後に記述する羽根部材を駆動するための伝達部としての係合部103b、係合部103cを有する。ピニオン102およびレバー部材103は、ベース部材101の収容スペース101eに配置され、ギアカバー104によって、回転可能に収容される。実施形態1では、絞り駆動部110にピニオン102を取りつけ、レバー部材103にギアを介して、力を伝達させているが、絞り駆動部110に直接にレバー部材103を取りつけてもよい。
【0013】
実施形態1は、羽根部材105と、羽根部材106にて、絞り開口を変化させる。
羽根部材105は、ベース部材101の固定開口101aに対して、絞り駆動部110とは反対側から絞り開口に進入する羽根部材である。
【0014】
羽根部材105は、第一の係合部105cと第二の係合部105dを有する。第一の係合部105cは、レバー部材103の係合部103cと係合する。実施形態1では、レバー部材103の係合部103cは長溝とし、羽根部材105の第一の係合部105cを係合軸とした。特許文献1のように、レバー部材側が軸で、羽根部材側を長穴とした係合の場合、レバー部材103の係合軸が後に記述するカバー部材107から突出してしまうが、実施形態1のように、レバー部材側が長穴で、羽根部材側を係合軸とした係合の場合、カバー部材107から係合軸が突出することは無い。すなわち、装置の小型化に有効である。
【0015】
第二の係合部105dは、ベース部材101の係合部101dと係合する。実施形態1では、羽根部材105の第二の係合部105dを突起部、ベース部材101の係合部101dを長溝とした。羽根部材105に係合穴が無いため、絞り開口を変化させるときに、係合穴が固定開口101aに入ることはない。特許文献1のように、固定開口101aから羽根の進退方向における固定開口の側方に離れた位置に係合穴を設ける必要がないため、絞り装置の小型化に有効である。
【0016】
羽根部材106は、ベース部材101の固定開口101aに対して、絞り駆動部110側から絞り開口に進入する羽根部材である。
【0017】
羽根部材106は、第一の係合部106bと第二の係合部106cを有する。第一の係合部106bは、レバー部材103の係合部103bと係合する。実施形態1では、レバー部材103の係合部103bは穴とし、羽根部材106の第一の係合部106bを係合軸とした。レバー部材側が穴で、羽根部材側を係合軸とした係合の場合、カバー部材107から係合軸が突出することは無い。すなわち、装置の小型化に有効である。
【0018】
第二の係合部106cは、ベース部材101の係合部101cと係合する。実施形態1では、羽根部材106の第二の係合部106cを係合溝、ベース部材101の係合部101cを係合軸とした。
【0019】
前記の羽根部材105において、羽根部材を係合軸にし、ベース部材側を係合溝にした方が、小型化に有効と記述したが、羽根部材106側の場合(固定開口101aに対して絞り駆動部側)では、ベース部材101にレバー部材103の収容スペース101eを配置する必要があるため、ベース部材側に係合溝を配置することが困難である。収容スペース101eの底に係合溝を配置した場合、レバー部材103から羽根部材106に駆動力を与える力の方向に対して、係合溝が離れた平面上となるため、安定した駆動が困難である。また、固定開口101aと収容スペース101eの間に係合部を配置しようとすると、特許文献2のように装置が長くなる。そのため、羽根部材106は、羽根部材106の第二の係合部106cを係合溝、ベース部101の係合部101cを係合軸とした。
【0020】
カバー部材107は、ベース部材101との間に羽根部材105、106が移動する空間を形成するようにベース部材101に取り付けられるカバー部材である。カバー部材107は、ベース部材101に形成された固定開口101aに対応する開口107aを有する。カバー部材107は、プレス加工や樹脂成形等により製作されている。カバー部材107の内面(ベース部材側の面)には、羽根部材105、106との摺動抵抗を低減するため、レールが形成されている。カバー部材107は、羽根部材を可動に保持する部材である。
【0021】
図3は、絞り装置の斜視図でカバー107を取り除いた状態を示している。図4は、絞り装置の斜視図でカバー107、羽根部材105、羽根部材106、ギアカバー104を取り除いた状態を示している。図5はベース部材101を示し、図6はレバー部材103、図7は羽根部材105、図8は羽根部材106を示す。
【0022】
図9は、絞り装置の正面図でカバー107およびギアカバー104を取り除いた状態を示している。図9(A)は、絞り全開の状態を示し、図9(B)は、中間絞りの状態を示し、図9(C)は、最小絞りの状態を示す。実施形態1では、最小絞り時に絞り開口が円になるように羽根部材105と羽根部材106の形状を形成しており、中間絞りの状態では崩れた絞り形状をしているが、羽根部材の105と羽根部材106の開口形成部の形状を変更し、例えば、特許文献1のような菱形の絞り形状にしても構わない。また、羽根の移動距離を増やして、羽根が閉じ切る構成にしても構わない。図10は、図9のレバー部材部を拡大した図である。
【0023】
ここで、羽根部材105と羽根部材106の移動距離について説明する。絞り全開から最小絞りまでの羽根部材105の移動距離を105L、羽根部材106の移動距離を106Lとする。実施形態1では、羽根部材106の移動距離106Lより、羽根部材105の移動距離105Lが長くなる構成とした。ベース部材101の固定開口101aに対して、絞り駆動部110とは反対側から固定開口101aに進入する羽根部材105aの移動距離を長くし、ベース部材101の固定開口101aに対して、絞り駆動部110側から固定開口101aに進入する羽根部材106aの移動距離を短くした。
【0024】
実施形態1では、図9(C)に示すように、最小絞り径を形成する羽根の縁部の割合は、羽根部材105の開口形成縁部105aの方が、羽根部材106の開口形成縁部106aより大きくなるように設定する。羽根部材105の移動距離を長くし、羽根部材106の移動距離を短くした場合、最小絞り状態(図9C)において、羽根部材105の方が固定開口101aに進入する距離が長い。最小絞り径を形成する羽根の縁部の割合を移動距離の長い羽根部材105を大きくし、移動距離の短い羽根部材106を小さくした方が、効率良く最小絞り径を形成することができる。最小絞り径を形成する開口形成縁部の割合が移動距離が長い羽根部材105が大きく、移動距離が短い羽根部材106が小さい構成は、実施形態1の特徴である。
【0025】
羽根部材105は、ベース部材101の係合溝101dと羽根部材105の係合部105dである突起部が係合することで、移動方向が案内されるため、羽根部材に案内用の溝が無い。そのため、案内用の溝がベース部材101の固定開口101aに入り、光量が漏れることが無いため、羽根の移動距離を長くしても、絞り装置の大型化への影響が少ない。
【0026】
一方、羽根部材106は、ベース部材101の係合軸101cと羽根部材106の係合溝106cが係合することで、移動方向が案内されるため、羽根部材に案内用の溝が有る。最小絞り時に案内用の溝がベース部材101の固定開口101aに入ると、光量が漏れてしまうため、係合溝106cは、ベース部材101aに進入しない位置に配置しなければならず、小型化に不利である。実施形態1では、羽根部材105の移動距離を長くし、羽根部材106の移動距離を短くすることで、係合溝106cの長さを短くし、装置の小型化を可能にした。
【0027】
ここで、羽根部材105と羽根部材106の移動距離を調整する方法について、記載する。 レバー部材103は、回転中心穴103aを挟んだ両側の先端に係合部103b、係合部103cを有する。回転中心穴103aと係合穴103bの距離である腕の長さを103b(r)とし、回転中心穴103aと係合穴103cの距離である腕の長さを103c(r)とする。腕の長さ103b(r)を短くすることで、羽根部材106の移動距離を短くし、腕の長さ103c(r)を長くすることで、羽根部材105の移動距離を長くした。
【0028】
羽根部材106の係合溝106cを短くすることは、装置の小型化に寄与する。羽根部材106は、レバー部材103の係合穴103bとベース部材101の係合軸101cの2点が支点になり、移動方向を案内する。レバー部材103の係合穴103bは円弧上に移動するため、羽根部材106は、絞り全開(図9A)から中間絞り(図9B)、最小絞り(図9C)に変化する過程で、レバー部材103との係合穴103bを支点に回動しながらベース部材101の固定開口部101aに進入する。羽根部材106の回動は、係合溝106cの形状で調整することができる。係合溝106cは、レバー部材103の回転中心穴103a側が凸になるように決定すると、絞り全開(図9A)から中間絞り(図9B)、最小絞り(図9C)に変化する過程において、羽根部材106が装置の幅方向に突出することなく、案内することができる。さらに、図9(C)に示すように、羽根部材106の係合溝106cをレバー部材103の回転中心穴103a側が凸にすることで、ベース部材101の固定開口101aに係合溝106cが進入して光量が漏れないように、効率よく、係合溝を配置することができ、小型化に有効である(図9C(h))。上記の構成であれば、羽根部材の進退方向における固定開口101aの側方に係合溝を設けず、係合溝106cをベース部材101の固定開口101aとレバー部材103の係合穴103bの間に配置することができ、装置の幅を広げずに羽根部材106aを案内することができる。
【0029】
次に羽根部材105の移動について説明する。羽根部材105は、ベース部材101の係合溝101dに羽根部材105の第二の係合部105dを係合させることで案内される。羽根部材105の第二の係合部105dは、2つの軸をつなげた形状としているため、ベース部材101の係合溝101dと係合させることで、羽根部材105の移動は、直進の動きに案内される。羽根部材105を直進に案内するため、羽根部材105の第一の係合部105cである係合軸と係合するレバー部材103の係合溝103dは、長溝(開放)とした。羽根部材105は、羽根部材106のようにレバー部材と羽根部材の係合部を中心に回動することは無く、固定開口部101aの方向に直進する。
【0030】
羽根部材105を直進するように動かす理由について説明する。羽根部材105はベース部材101の固定開口101aに対して、絞り駆動部とは反対側から固定開口101aに進入する羽根部材である。そのため、羽根部材105は、レバー部材103から力を受ける係合部105cと口径縁部105aが固定開口101aを跨ぐ形状になる。羽根部材105には、係合部105cと口径縁部105aのつなぎ部105wが必要である。つなぎ部105wは、部品強度の関係のため、一定の幅が必要であり、装置の幅を決める要因となる。羽根部材105を羽根部材106と同様にレバー係合部を支点に回動する動きにした場合、中間絞り位置(図9B)の時に、つなぎ部105wが装置の外形幅方向に突出してしまう。したがって、固定開口101aに対して、レバー部材103とは反対側から固定開口101aに進入する羽根部材105は、直進する動きに案内することが、部品強度を保ちつつ、小型化を実現させる点で有効である。
【0031】
図11は、実施形態1に搭載した絞り駆動部110の斜視図を示す。図12は、絞り駆動部110の分解斜視図を示す。図13は、絞り駆動部110の断面図を示す。ここで、絞り駆動部110は、ガルバノメータであるとし、説明する。シャフト114は、マグネット113に一体固定される。シャフト114とマグネット113は接着固定されてもよいし、一体成形されてもよい。シャフト114とマグネット113には、ワッシャ117を取り付けてもよい。実施形態1では、一方面(シャフトが突出する面)にのみワッシャ117を組みつけた。シャフト114、マグネット113、ワッシャ117は、上ボビン112と下ボビン115の内部に回転可能に収容される。
【0032】
上ボビン112は、第一の巻き線部112aと第二の巻き線部112bを有する。下ボビン115は、第一の巻き線部115aと第二の巻き線部115bを有する。上ボビン112の第一の巻き線部112aと下ボビン115の第一の巻き線部115aで、第一の巻き線部を形成する。上ボビン112の第二の巻き線部112bと下ボビン115の第二の巻き線部115bで、第二の巻き線部を形成する。実施形態1では、コイル116は、前記第一の巻き線部と前記第二の巻き線部にコイル116e部を通して、連続して巻き付ける構成とした。コイル116は、第一の巻き線部から引き出し線116aが引き出され、第二の巻き線部から引き出し線116bが引き出される。
【0033】
駆動部110には、ホール素子109を設けると、マグネット113の回転角を検知することができるため、位置制御が可能になる。ホール素子109は、FPC108に取り付けられたものを使用すると良い。コイル116の引き出し線116aと引き出し線116bについては、FPC108に接続しても良いし、不図示の光学機器本体に直接配線されてもよい。上ボビン112、下ボビン115、コイル116等は、外周をヨーク111で囲む。ヨーク111は、円筒形状でも良いが、実施形態1では、部分的に切り欠きを設けたC型のヨークを採用した。ヨーク111に切り欠きを設けることで、マグネット113にディテント力を持たせることで、コイルに通電をしなくても一定の回転角度にマグネット113が保持される構成としている。例えば、実施形態1では、コイルに通電をしない場合は、絞り羽根は開放になる設定としている。
【0034】
従来の絞り駆動部は、特許文献1に記載のように、絞り駆動部からコイルに接続される端子が突出している構成であり、駆動部が高くなる要因なっていた。絞り駆動部に端子を設ける場合、端子の高さは、コイルを巻き付ける高さと、基板やFPCに半田付けするための高さが必要になる。さらに、端子をボビンに取り付けるため、端子の太さだけでなく、端子を圧入しても割れない程度のボビンの厚みが必要になる。そのため、絞り駆動部に端子を設けることは、絞り駆動部の高さが高くなるだけでなく、ボビンの肉厚を確保する必要もあり、コイルの巻きスペースが少なり、絞り駆動部のトルクを上げられない要因にもなっていた。実施形態1では、絞り駆動部に端子を設けない構成としたため、絞り装置の小型化に有効である。
【0035】
下ボビン115には、コイル線116の引き出し溝115c、115dを設けた。コイル線116の引き出し線116a、116bは、下ボビン115の引き出し溝115c、115dを通って引き出される。上ボビン112、下ボビン115に巻き付けたコイルがほどけないように、引き出し溝115c、115dで、コイル線116を固定するとよい。コイル線116は下ボビン115の引き出し溝115c、115dに接着固定してもよいし、引っかけ部を作って掛けてよい。引き出し溝115c、115dから引き出されたコイル線116aの先端、引き出し線116bの先端は、他の部品と接続しやすいように、半田処理しておくとよい。実施形態1では、引き出し線116aの先端および引き出し線116bの先端は、FPC108に半田付けされる。
【0036】
図14は、絞り駆動部110とベース部材101の取りつけを示した図である。絞り駆動部110の下ボビン115がベース部材101に取り付けられる。絞り駆動部110は、ベース部材101にフック等で取り付けられて良いし、ビスで取り付けられてもよい。実施形態1では、装置の小型化を優先し、ベース部材101に設けた取付部101gを熱溶着して、絞り駆動部110をベース部材101に取り付けた。取りつけは熱溶着でなく、接着固定でも良い。絞り駆動部110の取付角度は、コイル引き出し線116a、116bの両方をFPC109に近づける角度で取り付けることも可能だが、コイル引き出し線は長い方が作業性が良いため、コイル引き出し線が長くなる角度で設定した。実施形態1では、ベース部材101の幅の一端側に絞り駆動部110を配置し、他端にFPC108を配置した。この配置の場合、後に記述するホール素子109の配線が容易である。但し、配線については、絞り装置を搭載する光学機器によって、異なるため、絞り駆動部110の角度は、この限りではない。
【0037】
ここで、コイル線116の引き出しに位置について説明する。従来の絞り駆動部では、特許文献1に記載のように、ヨーク111に対して、ベース部材101とは反対側に端子(コイル引き出し線)が設けられていた。実施形態1では、ヨーク111とベース部材101の間からコイル線116を引き出した。そのため、絞り駆動部110の高さを大幅に低くすることが可能となった。絞り駆動部に端子がある場合、他の部品とのショートや接触を防止するため、他の部品との十分な隙間を空けなければならなかったが、実施形態1では、端子を廃止したため、確保しなければならない隙間を少なくすることができる。すなわち、実施形態1の絞り装置は、絞り装置を搭載する光学機器および携帯端末機器の小型化に有効である。
【0038】
次にホール素子109の配線について説明する。図13に示す断面図に示す位置にホール素子109は設置される。ホール素子109は、コイル116の巻き方向に対して90°の位置で、上ボビン112に凹部を設け配置する。ホール素子109は、マグネット113の全長の範囲内に設置する。マグネット113が回転することで、ホール素子109の出力が変化するため、マグネット113の回転角度を検知することができる。ホール素子109は、FPC108に取り付けられる。ホール素子109は、FPC108により、ヨーク111とベース部材101の間を通って、配線する。コイルの引き出し線と同様にFPC108を絞り駆動部110のベース部材101とは反対側に配線する場合に比べ、絞り駆動部110側の高さを低減することに有効である。FPCは、片面FPCでも良いが、絞り駆動部110の外径が極少の場合は、両面FPCを用いるとよい。
【0039】
ヨーク111は、マグネット113に対して、スラスト方向で中心をズラした配置にしている。中心をズラすことで、マグネット113に吸着力が働き、マグネット113は、スラスト方向において、ヨーク111の中心に引き付けられる。すなわちマグネット113は、上ボビン112の方向にガタ寄せすることができる。マグネット113とシャフト114は一体固定されているため、シャフト114の上端が上ボビン112に常に接触する。
【0040】
実施形態1では、絞り駆動部110をベース部材101の幅方向の一端側に配置して、他端側に配置したレバー部材103に対して、ピニオン102を介して駆動を伝達するようにしている。絞り駆動部110を一端側に寄せることで、他端側をレンズ鏡筒側にて有効活用することが可能である。また、絞り駆動部110に直接レバー部材103を取りつける場合においてもレバー部材103は2つの腕の長さが103b(r)、103c(r)が異なるため、絞り駆動部110をベース部材101の幅方向の中央ではなく、一方に寄せやすい。
【0041】
<実施形態2>
図15は、実施形態1にて説明した絞り装置を搭載した光学機器としてのビデオカメラ(撮像装置)の概略構成を示している。
【0042】
21はビデオカメラのレンズ鏡筒部である。該レンズ鏡筒部21内には、変倍レンズ32、実施例1,2の絞り装置20およびフォーカスレンズ29を含む撮影光学系が収容されている。
【0043】
25はCCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子により構成される撮像素子である。撮像素子25は、撮影光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号を出力する。絞り装置20の絞り開口を変化させたりNDフィルタを進退させたりすることで、撮像素子25上に形成される被写体像の明るさ(つまりは撮像素子25に到達する光量)を適正に設定することができる。
撮像素子25から出力された電気信号は、画像処理回路26にて種々の画像処理を受ける。これにより、映像信号(ビデオ出力)が生成される。
【0044】
コントローラ22は、不図示のズームスイッチがユーザにより操作されることに応じて、ズームモータ31を制御し、変倍レンズ32を移動させて変倍(ズーミング)を行わせる。また、コントローラ22は、映像信号のコントラストを検出し、該コントラストに応じてフォーカスモータ28を制御し、フォーカスレンズ29を移動させてオートフォーカスを行う。
【0045】
さらに、コントローラ22は、映像信号のうち輝度情報に基づいて、絞り装置20の絞り駆動部1(およびND駆動部)を制御し、光量を調節する。これにより、撮影時のボケやゴーストを自然な形状にすることができ、高画質の映像を記録することができる。また、レンズ鏡筒部に内蔵された絞り装置20が小型であるので、レンズ鏡筒部およびビデオカメラ全体の小型化を図ることができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【0046】
例えば、コンパクトデジタルカメラや交換レンズに搭載すること可能であるし、カメラ付き携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末等、の撮影機能を備えた携帯機器に搭載することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
101 ベース部材
102 ピニオン
103 レバー部材
104 ギアカバー
105 絞り部材
106 絞り部材
107 カバー部材
108 FPC
109 ホール素子
110 絞り駆動部
111 ヨーク
112 上ボビン
113 マグネット
114 シャフト
115 下ボビン
116 コイル
117 ワッシャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図13
図14
図15