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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178386
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】化粧材及びカーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20221125BHJP
   E04F 19/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
E04B2/96
E04F19/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085158
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】市東 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】柏崎 永司
(72)【発明者】
【氏名】奈良 英敏
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB03
2E002NC01
2E002PA01
2E002QA04
2E002QB01
2E002QC01
2E002WA12
(57)【要約】
【課題】断面形状が同一の形材を用いて、化粧材の中空部材同士の連結、及び、中空部材の端部への蓋材の固定を簡便に行う。
【解決手段】化粧材3は、長手方向に並べて配置される中空部材30を備えている。連結材は、隣り合う2つの中空部材30同士が連結される箇所に設けられ、2つの中空部材30の内部に配置されて2つの中空部材を連結する。固定材は、中空部材30の端部33に蓋材が固定される箇所に設けられ、中空部材30の内部に配置されて蓋材が固定される。連結材と固定材は、ビスホールを有する同一の断面形状の形材である。蓋材は、固定材のビスホールに取り付けられたビスにより、固定材に固定される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に並べて配置される中空部材を備えた化粧材であって、
隣り合う2つの前記中空部材同士が連結される箇所に設けられ、2つの前記中空部材の内部に配置されて2つの前記中空部材を連結する連結材と、
前記中空部材の端部に蓋材が固定される箇所に設けられ、前記中空部材の内部に配置されて前記蓋材が固定される固定材と、を備え、
前記連結材と前記固定材は、ビスホールを有する同一の断面形状の形材であり、
前記蓋材は、前記固定材の前記ビスホールに取り付けられたビスにより、前記固定材に固定される化粧材。
【請求項2】
請求項1に記載された化粧材において、
前記蓋材は、前記中空部材の長手方向に離隔した状態で対向する2つの前記中空部材の端部に固定され、
前記中空部材の長手方向における前記固定材の寸法は、前記中空部材の長手方向における2つの前記中空部材の端部の離隔距離よりも大きい化粧材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された化粧材において、
前記蓋材は、前記中空部材の内部に配置されて前記固定材に固定される化粧材。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された化粧材において、
前記蓋材は、前記中空部材の端面に当接して前記固定材に固定される化粧材。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された化粧材を備えたカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向に並べて配置される中空部材を備えた化粧材、及び、化粧材を備えたカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
中空部材を備えた化粧材は、例えば、カーテンウォールに取り付けられて、建物の壁部に設置される。化粧材の中空部材は、中空部材の長手方向に並べて配置されて、それぞれの長手方向に延びる。また、隣り合う中空部材は、それぞれの長手方向の端部において互いに連結される。このような中空部材同士の連結に関し、従来、ジョイントスリーブを用いて中空部材同士を接続する中空部材の接続構造が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された中空部材の接続構造のように、従来の化粧材では、中空部材の内部に配置したジョイントスリーブにより、隣り合う中空部材同士を連結する。ところが、化粧材に求められるデザインや機能等に応じて、中空部材の端部の構造が場所によって変更されて、隣り合う中空部材同士を連結する箇所と蓋材を中空部材の端部に固定する箇所とが設けられることがある。蓋材は、例えば、中空部材の内部に取り付けられた下地材に固定される。このように、蓋材を固定するためには、ジョイントスリーブとは別の固定機構が必要となる。そのため、化粧材の構成が複雑になり、化粧材の製作の手間が増加する虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2-127807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、断面形状が同一の形材を用いて、化粧材の中空部材同士の連結、及び、中空部材の端部への蓋材の固定を簡便に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長手方向に並べて配置される中空部材を備えた化粧材であって、
隣り合う2つの前記中空部材同士が連結される箇所に設けられ、2つの前記中空部材の内部に配置されて2つの前記中空部材を連結する連結材と、
前記中空部材の端部に蓋材が固定される箇所に設けられ、前記中空部材の内部に配置されて前記蓋材が固定される固定材と、を備え、
前記連結材と前記固定材は、ビスホールを有する同一の断面形状の形材であり、
前記蓋材は、前記固定材の前記ビスホールに取り付けられたビスにより、前記固定材に固定される化粧材である。
また、本発明は、本発明の化粧材を備えたカーテンウォールである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、断面形状が同一の形材を用いて、化粧材の中空部材同士の連結、及び、中空部材の端部への蓋材の固定を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のカーテンウォールの正面図である。
図2】本実施形態のカーテンウォールの縦断面図である。
図3】本実施形態のカーテンウォールの横断面図である。
図4図2の一部を拡大して示す本実施形態のカーテンウォールの縦断面図である。
図5図3の一部を拡大して示す本実施形態のカーテンウォールの横断面図である。
図6】本実施形態の化粧材に設けられる第1の中空部材の端部構造を示す斜視図である。
図7】本実施形態の化粧材に設けられる第1の中空部材の端部構造を示す側面図である。
図8】本実施形態の化粧材に設けられる第1の中空部材の端部構造を示す断面図である。
図9】本実施形態の化粧材に設けられる第2の中空部材の端部構造を示す斜視図である。
図10】本実施形態の化粧材に設けられる第2の中空部材の端部構造を示す側面図である。
図11】本実施形態の化粧材に設けられる第2の中空部材の端部構造を示す平面図である。
図12】本実施形態の化粧材において固定材と蓋材が外れた状態を示す側面図である。
図13】本実施形態の化粧材において固定材と蓋材が外れる前後の状態を示す斜視図である。
図14】本実施形態の化粧材に設けられる第3の中空部材の端部構造を示す斜視図である。
図15】本実施形態の化粧材に設けられる第3の中空部材の端部構造を示す側面図である。
図16】本実施形態の化粧材に設けられる第3の中空部材の端部構造を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化粧材及びカーテンウォールの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の化粧材は、建物用の化粧材であり、本実施形態のカーテンウォールに設けられて、建物の壁部に設置される。カーテンウォールは、建物の外壁に用いられて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に設置される。
【0010】
図1は、本実施形態のカーテンウォール1の正面図であり、建物10の壁部11に設置されたカーテンウォール1を室外側からみて示している。図2は、本実施形態のカーテンウォール1の縦断面図であり、図1のX1-X1線で切断した建物10の一部とカーテンウォール1を示している。図3は、本実施形態のカーテンウォール1の横断面図であり、図1のX2-X2線で切断したカーテンウォール1を示している。
【0011】
図示のように、カーテンウォール1は、建物10の壁部11に並べて設置される複数のカーテンウォールユニット2と、カーテンウォールユニット2に取り付けられた化粧材3を備えている。カーテンウォールユニット2は、カーテンウォール1を構成するパネルユニットであり、壁部11への設置前に、予めユニットとして組み立てられる。カーテンウォール1及びカーテンウォールユニット2は、建物10の躯体12の室外側に配置され、躯体12に取り付けられて、建物10の壁部11の壁面(外壁面)を形成している。複数のカーテンウォールユニット2は、上下方向と左右方向に並べて設置されて、それぞれ隣り合うカーテンウォールユニット2と互いに組み合わされている。
【0012】
なお、建物10に設けたカーテンウォール1及び化粧材3を正面からみたときに(図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向S(図2図3参照)は、建物10に設けたカーテンウォール1及び化粧材3における室内外方向(屋内外方向)である。このように、カーテンウォール1及び化粧材3に関する方向は、建物10に設けた状態での方向で特定する。また、カーテンウォール1及び化粧材3に関して室内側、室外側とは、建物10に設けた状態での室内側、室外側である。
【0013】
カーテンウォールユニット2は、パネル体2A、2Bと、パネル体2A、2Bを囲む枠体4を備えている。複数のカーテンウォールユニット2の枠体4は、それぞれ隣り合うカーテンウォールユニット2の枠体4と互いに組み合わされている。枠体4は、開口部を形成する方形状の開口枠であり、建物10の躯体12に取り付けられる。パネル体2A、2Bは、方形状のガラスパネル体(例えば、板ガラス、複層ガラス、又は、合わせガラス)であり、それぞれ枠体4の開口部に配置されている。
【0014】
枠体4は、互いに組み合わされた4つの枠5~8(上枠5、下枠6、一対の縦枠7、8)と無目9を有している。上枠5と下枠6は、枠体4の上下の横枠であり、枠体4の上部と下部で左右方向(横方向)に沿って延びる。一対の縦枠7、8(第1縦枠7、第2縦枠8)は、枠体4の左右の側部に位置する側枠であり、枠体4の側部で上下方向(縦方向)に沿って延びる。上枠5、下枠6、及び、左右の縦枠7、8の端部同士が接続されて、枠5~8が枠組みされている。無目9は、上枠5と下枠6の間で左右方向に沿って延び、左右の縦枠7、8に接続されている。パネル体2A、2Bは、それぞれ枠体4に嵌め込まれて、枠体4に保持されている。
【0015】
化粧材3は、建物10の外部に設けられる外部化粧材であり、カーテンウォールユニット2の室外側に配置されて、複数のブラケット20(図2図3参照)により、カーテンウォールユニット2に取り付けられている。また、化粧材3は、上下方向に沿って延びる建物10の化粧体であり、建物10の装飾に用いられる。複数の化粧材3は、建物10の壁部11で左右方向に離隔して、互いに平行に配置されている。複数のブラケット20は、化粧材3の長手方向(上下方向)に間隔をあけて設けられて、それぞれカーテンウォールユニット2の枠体4に取り付けられている。化粧材3は、ブラケット20に取り付けられて、取付材であるブラケット20により、カーテンウォールユニット2の枠体4に取り付けられている。
【0016】
図4は、図2の一部を拡大して示す本実施形態のカーテンウォール1の縦断面図であり、図5は、図3の一部を拡大して示す本実施形態のカーテンウォール1の横断面図である。
図示のように、上下方向に隣り合う2つのカーテンウォールユニット2において(図4参照)、上方のカーテンウォールユニット2の下枠6と下方のカーテンウォールユニット2の上枠5は、上下方向において互いに対向して、上下に隣接して配置されている。また、左右方向に隣り合う2つのカーテンウォールユニット2において(図5参照)、一方のカーテンウォールユニット2の第1縦枠7と他方のカーテンウォールユニット2の第2縦枠8は、左右方向において互いに対向して、左右に隣接して配置されている。
【0017】
第1縦枠7は、枠体4の一対の縦枠7、8のうちの一方の縦枠であり、左右方向の一方側に位置している。第2縦枠8は、枠体4の一対の縦枠7、8のうちの他方の縦枠であり、左右方向の他方側に位置している。ブラケット20は、化粧材3が取り付けられる取付部21を有し、第1縦枠7に取り付けられて、第1縦枠7から室外側に突出している。取付部21は、ブラケット20の室外側の先端部に設けられて、左右方向の両側に突出している。化粧材3は、取付具であるボルト22及び裏板23により、ブラケット20の取付部21に取り付けられる。
【0018】
化粧材3は、中空形状に形成された形材からなる中空部材30を備えている。中空部材30は、中空部31を有する化粧材本体であり、室内側(カーテンウォールユニット2側)に位置する溝状の係合部32を有している。係合部32は、中空部材30の長手方向に延びる係合溝であり、室内側に向かって開放されている。係合部32は、室内外方向Sにおいて、カーテンウォールユニット2の第1縦枠7と対向して配置されて、ブラケット20の取付部21を収容する。
【0019】
ブラケット20の取付部21は、係合部32の内側に嵌って、係合部32と係合する。裏板23は、中空部材30の中空部31内に配置されて、係合部32の室外側に設けられる。その状態で、ボルト22は、室内側から取付部21及び中空部材30を貫通して、裏板23のネジ孔に取り付けられる。中空部材30は、ボルト22及び裏板23により、ブラケット20の取付部21に取り付けられるとともに、ブラケット20により、カーテンウォールユニット2(ここでは、枠体4の第1縦枠7)に取り付けられる。中空部材30及び化粧材3は、ブラケット20から室外側に向かって突出する。
【0020】
中空部材30は、押出成形により形成された形材(押出形材)であり、長手方向を上下方向に向けて長手方向(上下方向)に延びる。複数の中空部材30は、互いの間に隙間をあけて、中空部材30の長手方向に順に並べて配置される。中空部材30の長手方向(化粧材3の長手方向)において互いに隣り合う中空部材30は、中空部材30の長手方向に離隔して配置される。中空部材30及び化粧材3は、上下方向に並ぶ複数のカーテンウォールユニット2のそれぞれの第1縦枠7の室外側に配置されて、第1縦枠7に沿って延びる。また、中空部材30及び化粧材3は、左右方向に隣り合うカーテンウォールユニット2の互いの隣接する第1縦枠7と第2縦枠8から室外側に離隔して、第1縦枠7と第2縦枠8の室外側に配置される。
【0021】
中空部材30の端部33は、中空部材30の長手方向における一端と他端のそれぞれに位置する部分であり、中空部材30の長手方向における端面34を含む。中空部材30の端面34は、中空部材30の長手方向に交差して形成されている。中空部材30の長手方向に隣り合う2つの中空部材30では、中空部材30の長手方向において、2つの中空部材30の端部33は、隙間をあけて互いに対向し、2つの中空部材30の端面34は、隙間をあけて互いに対向する。また、2つの中空部材30の中空部31は、隙間をあけて互いに対向し、それぞれ相手側に向かって開口する。以下、化粧材3に設けられる3種類の中空部材30の端部33の構造(端部構造)について説明する。
【0022】
図6は、本実施形態の化粧材3に設けられる第1の中空部材30の端部構造41を示す斜視図であり、2つの中空部材30の端部33側の部分を示している。図6Aは、第1の中空部材30の端部構造41を分解して示し、図6Bは、中空部材30の内部を透視して第1の中空部材30の端部構造41を示している。図7は、本実施形態の化粧材3に設けられる第1の中空部材30の端部構造41を示す側面図であり、中空部材30の内部を透視して示している。図8は、本実施形態の化粧材3に設けられる第1の中空部材30の端部構造41を示す断面図であり、図7のX3-X3線で切断した断面を示している。
【0023】
図示のように、化粧材3は、2つの中空部材30同士を連結する筒状の連結材50を備えている。連結材50は、中空形状に形成された形材からなり、中空部材30の長手方向に隣り合う2つの中空部材30同士が連結される箇所(中空部材30同士の連結箇所)に設けられる。連結材50は、2つの中空部材30の内部のそれぞれに配置されて、2つの中空部材30を連結する。また、連結材50は、2つの中空部材30のうちの一方の中空部材30の内部から他方の中空部材30の内部まで配置されて、2つの中空部材30の間の隙間に設けられる。中空部材30同士の連結箇所では、連結材50が2つの中空部材30の中空部31の内部に配置されて、連結材50により、2つの中空部材30の端部33同士が連結される。
【0024】
連結材50は、中空部材30の端部33の開口から中空部材30の内部(中空部31の内部)に挿入されて、中空部材30の内面に沿って配置される。また、連結材50は、連結材50の外面の全体にわたって分散して設けられた複数の突起51(図8参照)を有している。複数の突起51は、連結材50から外方に向かって突出して、それぞれ中空部材30の内面に当接する。連結材50は、複数の突起51により、中空部材30の内部に嵌め込まれて、中空部材30に係合する。
【0025】
連結材50は、取付具であるビス60及び裏板61により、2つの中空部材30のうちの少なくとも一方の中空部材30(いずれか一方の中空部材30又は両方の中空部材30)に取り付けられる(図7図8参照)。ここでは、連結材50は、一方(上方)の中空部材30に取り付けられる。連結材50は、室内側(カーテンウォールユニット2側)に位置する板状の被取付部52を有している。連結材50の被取付部52は、中空部材30内で、中空部材30の係合部32の室外側に配置される。
【0026】
裏板61は、連結材50の内部に配置されて、被取付部52の室外側に設けられる。ビス60は、皿ビスであり、室内側から中空部材30及び連結材50の被取付部52を貫通して、裏板61のネジ孔に取り付けられる。連結材50の被取付部52は、中空部材30と裏板61の間に挟まれて、ビス60及び裏板61により、中空部材30に取り付けられる。これにより、連結材50は、中空部材30の端部33に取り付けられる。連結材50は、一方(上方)の中空部材30に取り付けられた状態で、他方(下方)の中空部材30の内部に挿入されて、他方の中空部材30の内部に配置される。2つの中空部材30は、連結材50により、隙間をあけた状態で互いに連結される。
【0027】
図9は、本実施形態の化粧材3に設けられる第2の中空部材30の端部構造42を示す斜視図であり、中空部材30の端部33側の部分を示している。図9Aは、第2の中空部材30の端部構造42を分解して示し、図9Bは、中空部材30の内部を透視して第2の中空部材30の端部構造42を示している。図9Bでは、上下の2つの中空部材30の端部構造42のうちの上方の中空部材30の端部構造42を二点鎖線で示している。図10は、本実施形態の化粧材3に設けられる第2の中空部材30の端部構造42を示す側面図であり、中空部材30の内部を透視して示している。図11は、本実施形態の化粧材3に設けられる第2の中空部材30の端部構造42を示す平面図であり、図10の矢印X4方向からみた第2の中空部材30の端部構造42を示している。
【0028】
図示のように、化粧材3は、中空部材30(中空部31)の端部33の開口に蓋をする板状の蓋材70と、中空部材30に保持された筒状の固定材80を備えている。蓋材70は、中空部材30の端部33の小口に設けられる小口蓋であり、中空部材30の端部33の開口の一部又は全体を覆う。固定材80は、中空形状に形成された形材からなり、中空部材30の端部33に蓋材70が固定される箇所(蓋材70の固定箇所)に設けられる。固定材80が中空部材30の内部に配置されて、蓋材70が固定材80に固定される。蓋材70の固定箇所では、固定材80が中空部材30の中空部31の内部に配置されて、固定材80により、蓋材70が中空部材30の端部33に固定される。
【0029】
固定材80は、中空部材30の端部33の開口から中空部材30の内部(中空部31の内部)に挿入されて、中空部材30の内面に沿って配置される。また、固定材80は、固定材80の外面の全体にわたって分散して設けられた複数の突起81(図11参照)を有している。複数の突起81は、固定材80から外方に向かって突出して、それぞれ中空部材30の内面に当接する。固定材80は、複数の突起81により、中空部材30の内部に嵌め込まれて、中空部材30に係合する。
【0030】
固定材80は、取付具であるビス62及び裏板63により、中空部材30に取り付けられる(図10図11参照)。固定材80は、室内側(カーテンウォールユニット2側)に位置する板状の被取付部82を有している。固定材80の被取付部82は、中空部材30内で、中空部材30の係合部32の室外側に配置される。裏板63は、固定材80の内部に配置されて、被取付部82の室外側に設けられる。ビス62は、皿ビスであり、室内側から中空部材30及び固定材80の被取付部82を貫通して、裏板63のネジ孔に取り付けられる。固定材80の被取付部82は、中空部材30と裏板63の間に挟まれて、ビス62及び裏板63により、中空部材30に取り付けられる。これにより、固定材80は、中空部材30の端部33に取り付けられる。
【0031】
連結材50(図6図8参照)と固定材80(図9図11参照)は、ビスホール53、83を有する互いに同一の断面形状の形材であり、中空形状の形材によってそれぞれ形成されている。形材の断面形状は、形材の長手方向に直交する断面における形状である。連結材50の形材と固定材80の形材は、押出成形により形成された形材(押出形材)であり、互いに同一の断面形状に形成されている。そのため、連結材50と固定材80は、例えば、同じ形材を切断して、それぞれ加工される。
【0032】
連結材50と固定材80は、中空部材30の長手方向における寸法が互いに相違しており、固定材80の寸法は、連結材50の寸法よりも小さい。連結材50の寸法と固定材80の寸法は、それぞれの中空部材30の長手方向における一端から他端までの寸法である。連結材50により2つの中空部材30同士を連結した状態で、連結材50の両側の端部のそれぞれで、連結材50の端部側の一部のみが中空部材30の内部に配置される。これに対し、固定材80により蓋材70を中空部材30の端部33に固定した状態で、固定材80の全体が中空部材30の内部に配置される。連結材50と固定材80は、中空部材30の端部33において、中空部材30の内部に取り付けられる。
【0033】
連結材50と固定材80は、それぞれ複数のビスホール53、83を有している。複数のビスホール53、83は、互いに離隔して形材に形成されて、中空部材30の長手方向に延びる。連結材50のビスホール53は、連結材50の内壁部に設けられて、連結材50の内側に位置する。固定材80のビスホール83は、固定材80の内壁部に設けられて、固定材80の内側に位置する。
【0034】
蓋材70は、固定材80の複数のビスホール83に重ねて配置される複数の挿通孔71を有している(図9参照)。蓋材70の固定箇所で、蓋材70の固定用の複数のビス64は、それぞれ蓋材70の挿通孔71を挿通し、固定材80のビスホール83にねじ込まれて、ビスホール83に取り付けられる。蓋材70は、ビス64により、固定材80に固定され、ビス64及び固定材80により、中空部材30の端部33に固定される。蓋材70は、固定材80を覆うとともに、中空部材30の端部33の開口(小口)の少なくとも一部を覆う。
【0035】
第2の中空部材30の端部構造42では(図10図11参照)、固定材80は、中空部材30の端面34よりも中空部材30の内部側の位置に配置されて、中空部材30の端面34から中空部材30の内部側に離隔する。蓋材70は、中空部材30の端部33の開口から中空部材30の内部(中空部31の内部)に挿入されて、固定材80に当接する。蓋材70は、中空部材30の内部に配置される内蓋材であり、中空部材30の内部で固定材80に固定される。ここでは、中空部材30の外部には蓋材70が配置されず、蓋材70の全体が中空部材30の内部に配置される。中空部材30の端面34は、蓋材70により覆われずに露出する。
【0036】
蓋材70が固定される2つの中空部材30の端部33は、中空部材30の長手方向において隣り合い、中空部材30の長手方向に離隔して配置される(図10参照)。2つの中空部材30の端部33は、互いの間に隙間をあけて、中空部材30の長手方向において互いに対向する。蓋材70は、中空部材30の長手方向に離隔した状態で対向する2つの中空部材30の端部33のそれぞれに固定される。中空部材30の長手方向における固定材80の寸法Rは、中空部材30の長手方向における2つの中空部材30の端部33の間の距離(離隔距離K)の値よりも大きい値である(R>K)。これにより、固定材80と蓋材70の落下が防止される。
【0037】
図12は、本実施形態の化粧材3において固定材80と蓋材70が外れた状態を示す側面図であり、図10と同様に、中空部材30の内部を透視して示している。図13は、本実施形態の化粧材3において固定材80と蓋材70が外れる前後の状態を示す斜視図である。図13Aは、固定材80と蓋材70が外れる前の状態を示し、図13Bは、固定材80と蓋材70が外れた後の状態を示す。
【0038】
図示のように、例えば、ビス62が緩んで裏板63及び固定材80から外れたときには、固定材80が中空部材30から取れることが懸念される。このように、互いに隣り合う2つの中空部材30のうちの一方(ここでは、上方)の中空部材30から固定材80が取れたときには、固定材80と蓋材70が中空部材30の端部33から外れることがある。この場合には、固定材80と蓋材70は、一方の中空部材30の内部から抜け出て、他方(ここでは、下方)の中空部材30の端部33に向かって移動する。また、固定材80に固定された蓋材70は、他方の中空部材30の端部33に固定された蓋材70に接触する。
【0039】
その際、固定材80の寸法Rと離隔距離KがR>Kの条件を満たすときには、固定材80の一部(ここでは、上部)が中空部材30の内部に位置する状態で、固定材80に固定された蓋材70が他方の中空部材30の端部33に固定された蓋材70に接触する。その結果、固定材80が中空部材30に保持されて、固定材80と蓋材70が2つの中空部材30の端部33の間の箇所(隙間)に留まる。これにより、固定材80と蓋材70が2つの中空部材30の端部33の間の箇所から外れるのが阻止されて、固定材80と蓋材70の落下が防止される。
【0040】
図14は、本実施形態の化粧材3に設けられる第3の中空部材30の端部構造43を示す斜視図であり、中空部材30の端部33側の部分を示している。図14Aは、第3の中空部材30の端部構造43を分解して示し、図14Bは、中空部材30の内部を透視して第3の中空部材30の端部構造43を示している。図14Bでは、上下の2つの中空部材30の端部構造43のうちの上方の中空部材30の端部構造43を二点鎖線で示している。図15は、本実施形態の化粧材3に設けられる第3の中空部材30の端部構造43を示す側面図であり、中空部材30の内部を透視して示している。図16は、本実施形態の化粧材3に設けられる第3の中空部材30の端部構造43を示す平面図であり、図15の矢印X5方向からみた第3の中空部材30の端部構造43を示している。
【0041】
なお、第3の中空部材30の端部構造43は、一部の事項を除いて、第2の中空部材30の端部構造42と同様に構成されている。そのため、第3の中空部材30の端部構造43については、第2の中空部材30の端部構造42と共通する事項についての説明は省略し、第2の中空部材30の端部構造42と相違する事項について主に説明する。
【0042】
図示のように、化粧材3は、ビス64により固定材80に固定される蓋材75を備えている。蓋材75は、第2の中空部材30の端部構造42の固定材80と同じ固定材80により、中空部材30の端部33に固定される。固定材80は、中空部材30の端部33に蓋材75が固定される箇所(蓋材75の固定箇所)に設けられる。ただし、第3の中空部材30の端部構造43では、固定材80は、中空部材30の端面34の位置に合わせて、中空部材30の内部に配置される。
【0043】
蓋材75は、固定材80の複数のビスホール83に重ねて配置される複数の挿通孔76を有している。蓋材75の固定箇所で、複数のビス64は、それぞれ蓋材75の挿通孔76を挿通し、固定材80のビスホール83にねじ込まれて、ビスホール83に取り付けられる。蓋材75は、中空部材30の外部に配置される外蓋材であり、中空部材30の外部で固定材80に当接する。また、蓋材75は、中空部材30の端面34に当接して、固定材80に固定される。ここでは、中空部材30の内部には蓋材75が配置されず、蓋材75の全体が中空部材30の外部に配置される。中空部材30の端面34は、蓋材75により覆われて遮蔽される。
【0044】
第3の中空部材30の端部構造43では、蓋材75の他の事項は、第2の中空部材30の端部構造42の蓋材70と共通する。また、蓋材75は、中空部材30の長手方向に離隔した状態で対向する2つの中空部材30の端部33のそれぞれに固定される。第3の中空部材30の端部構造43でも、固定材80の寸法Rと離隔距離KがR>Kの条件を満たすため、固定材80と蓋材75の落下が防止される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の化粧材3及びカーテンウォール1では、2つの中空部材30を連結する連結材50と蓋材70、75が固定される固定材80は、ビスホール53、83を有する同一の断面形状の形材によって形成されている。そのため、断面形状が同一の形材を用いて、化粧材3の中空部材30同士の連結、及び、中空部材30の端部33への蓋材70、75の固定を簡便に行うことができる。また、中空部材30の端部構造41~43のそれぞれを化粧材3に容易に設けることができる。固定材80のビスホール83を用いて蓋材70、75を固定材80に固定できるため、中空部材30にビスホールを形成する必要がなく、中空部材30の形成に要する材料の量を削減することもできる。
【0046】
中空部材30の長手方向における固定材80の寸法Rは、中空部材30の長手方向における2つの中空部材30の端部33の離隔距離Kよりも大きい。これにより、固定材80と蓋材70、75が2つの中空部材30の間の箇所から外れるのを阻止して、固定材80と蓋材70、75の落下を防止することができる。また、第2の中空部材30の端部構造42では、固定材80により、中空部材30の内部に配置される蓋材70を中空部材30の端部33に容易に固定することができる。第3の中空部材30の端部構造43では、固定材80により、中空部材30の端面34に当接する蓋材75を中空部材30の端部33に容易に固定することができる。
【0047】
なお、連結材50の被取付部52の厚みによっては(図7図8参照)、被取付部52にネジ孔を形成して、ビス60を被取付部52のネジ孔に取り付けてもよい。このように、裏板61を用いずに、連結材50を中空部材30に取り付けるようにしてもよい。また、固定材80の被取付部82の厚みによっては(図10図11参照)、被取付部82にネジ孔を形成して、ビス62を被取付部82のネジ孔に取り付けてもよい。このように、裏板63を用いずに、固定材80を中空部材30に取り付けるようにしてもよい。
【0048】
蓋材70、75のいずれか一方のみを化粧材3に設けてもよく、蓋材70、75の両方を化粧材3に設けてもよい。化粧材3が設けられるカーテンウォール1の種類は、特に限定されない。従って、カーテンウォール1は、例えば、左右方向の断面において、凹凸形状(例えば、鋸刃形状、ジグザグ形状)のカーテンウォールであってもよく、フラット形状のカーテンウォールであってもよい。また、カーテンウォール1は、カーテンウォールユニット2を備えていないカーテンウォールであってもよい。化粧材3は、カーテンウォールの化粧材に限定されず、例えば、カーテンウォール以外の建物の壁部に設置することができる。
【0049】
以上のとおり、化粧材は、
長手方向に並べて配置される中空部材を備えた化粧材であって、
隣り合う2つの前記中空部材同士が連結される箇所に設けられ、2つの前記中空部材の内部に配置されて2つの前記中空部材を連結する連結材と、
前記中空部材の端部に蓋材が固定される箇所に設けられ、前記中空部材の内部に配置されて前記蓋材が固定される固定材と、を備え、
前記連結材と前記固定材は、ビスホールを有する同一の断面形状の形材であり、
前記蓋材は、前記固定材の前記ビスホールに取り付けられたビスにより、前記固定材に固定される化粧材である。
従って、断面形状が同一の形材を用いて、化粧材の中空部材同士の連結、及び、中空部材の端部への蓋材の固定を簡便に行うことができる。
【0050】
前記蓋材は、前記中空部材の長手方向に離隔した状態で対向する2つの前記中空部材の端部に固定され、
前記中空部材の長手方向における前記固定材の寸法は、前記中空部材の長手方向における2つの前記中空部材の端部の離隔距離よりも大きい。
従って、固定材と蓋材が2つの中空部材の間の箇所から外れるのを阻止して、固定材と蓋材の落下を防止することができる。
【0051】
前記蓋材は、前記中空部材の内部に配置されて前記固定材に固定される。
従って、固定材により、中空部材の内部に配置される蓋材を中空部材の端部に容易に固定することができる。
【0052】
前記蓋材は、前記中空部材の端面に当接して前記固定材に固定される。
従って、固定材により、中空部材の端面に当接する蓋材を中空部材の端部に容易に固定することができる。
【0053】
カーテンウォールは、化粧材を備えたカーテンウォールである。
従って、カーテンウォールの化粧材において、断面形状が同一の形材を用いて、化粧材の中空部材同士の連結、及び、中空部材の端部への蓋材の固定を簡便に行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・カーテンウォール、2・・・カーテンウォールユニット、2A・・・パネル体、2B・・・パネル体、3・・・化粧材、4・・・枠体、5・・・上枠、6・・・下枠、7・・・第1縦枠、8・・・第2縦枠、9・・・無目、10・・・建物、11・・・壁部、12・・・躯体、20・・・ブラケット、21・・・取付部、22・・・ボルト、23・・・裏板、30・・・中空部材、31・・・中空部、32・・・係合部、33・・・端部、34・・・端面、41・・・第1の中空部材の端部構造、42・・・第2の中空部材の端部構造、43・・・第3の中空部材の端部構造、50・・・連結材、51・・・突起、52・・・被取付部、53・・・ビスホール、60・・・ビス、61・・・裏板、62・・・ビス、63・・・裏板、64・・・ビス、70・・・蓋材、71・・・挿通孔、75・・・蓋材、76・・・挿通孔、80・・・固定材、81・・・突起、82・・・被取付部、83・・・ビスホール、S・・・室内外方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16