(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017839
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】車両の前部車体構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20220119BHJP
B62D 25/16 20060101ALI20220119BHJP
B60Q 1/04 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
B62D25/08 D
B62D25/08 E
B62D25/16 B
B60Q1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120636
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】片山 美央
(72)【発明者】
【氏名】時實 亮
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宗昭
【テーマコード(参考)】
3D203
3K339
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB33
3D203BB34
3D203BB43
3D203BB44
3D203BC03
3D203BC14
3D203CB09
3D203CB10
3D203CB19
3D203DA22
3D203DA23
3K339AA02
3K339BA14
3K339BA25
3K339BA26
3K339CA01
3K339GA01
3K339GB01
3K339GB14
3K339GC01
3K339GC02
3K339GC03
3K339GC04
(57)【要約】
【課題】本発明の少なくとも一つの実施形態は、ヘッドランプユニットの複数の支持部を一部品のブラケットを介して車体フレームに取付けて、ヘッドランプの取付け精度を向上することを目的とする。
【解決手段】左右一対のフロントサイドメンバ3と、フロントサイドメンバより上方かつ車幅方向外側で前後方向に延設されるアッパーフレーム5と、を備え、フロントサイドメンバの前端部とアッパーフレームの前端部とにそれぞれ連結され、フロントサイドメンバの前端部とアッパーフレームの前端部とを繋ぐ一部品からなるヘッドランプブラケット15を有し、ヘッドランプブラケットに、ヘッドランプユニット19に設けられた複数の支持部21a、21bが取付けられることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部で前後方向に延設される左右一対のフロントサイドメンバと、
前記フロントサイドメンバより上方かつ車幅方向外側で前後方向に延設されるアッパーフレームと、
を備える車両の前部車体構造であって、
前記フロントサイドメンバの前端部と前記アッパーフレームの前端部とにそれぞれ連結され、前記フロントサイドメンバの前端部と前記アッパーフレームの前端部とを繋ぐ一部品からなるヘッドランプブラケットを有し、
前記ヘッドランプブラケットに、ヘッドランプユニットに設けられた複数の支持部が取付けられることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前記アッパーフレームの車幅方向外側に設けられるフェンダーパネルを更に備え、
前記ヘッドランプブラケットに、前記フェンダーパネルの前端部が取付けられることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項3】
前記ヘッドランプブラケットの前後方向前端部に、前記複数の支持部の内の前側のヘッドランプ前支持部が取り付けられ、
前記ヘッドランプブラケットの車幅方向外側端部に、前記複数の支持部の内の後側のヘッドランプ後支持部が取付けられるとともに、さらに、前記ヘッドランプ後支持部に前記フェンダーパネルの前端部が係止されることを特徴とする請求項2に記載の車両の前部車体構造。
【請求項4】
前記フェンダーパネルの前端部の外側面に、フロントバンパの車幅方向端部が取付けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両の前部車体構造。
【請求項5】
前記フロントサイドメンバの後部と前記アッパーフレームの後部とに連結されサスペンション部材が取付けられるストラットタワーと、
前記ストラットタワーから前方に延設されるとともに、前記フロントサイドメンバと前記アッパーフレームとに連結されて、前記フロントサイドメンバと前記アッパーフレームとの間を塞ぐ板状のフェンダーシールドと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項6】
前記ヘッドランプブラケットには、前記フロントサイドメンバ及び前記アッパーフレームを含む車体フレームに対する前記ヘッドランプブラケットの上下左右前後方向の位置決めが行われるブラケット位置決め部が設けられることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項7】
前記ヘッドランプブラケットは、平面視において前後方向に延設されるブラケット前部と車幅方向に延設されるブラケット後部とを有し、前記ブラケット位置決め部は、
前記ブラケット前部に設けられ、前記フロントサイドメンバの前端部の左右方向の側面に当接して左右方向の位置決めが行われる第1ブラケット位置決め部と、
前記ブラケット後部に設けられ、前記アッパーフレームの前端部の上面に当接して上下方向の位置決めが行われる第2ブラケット位置決め部と、
前記ブラケット後部に設けられ、前記アッパーフレームの前端部の前面に当接して前後方向の位置決めが行われる第3ブラケット位置決め部と、を有することを特徴とする請求項6に記載の車両の前部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の前部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前方に配置されるヘッドランプユニットは、一般的にそのヘッドランプユニットの支持部が車体の骨格部材に対してプラケットを介して取り付けられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両の前部車体構造について示され、車幅方向に設けられているフェンダーパネルとフレーム部材とを連結するブラケット部材16に、ヘッドランプユニット7の支持部7aが、ランプ固定板19を介して固定される構造が示される(特許文献1の段落0032、
図2等)。
【0004】
また、特許文献2には、自動車の前部車体構造について示され、ヘッドランプユニットには複数の支持部が設けられ、それぞれの支持部が車体構成部材に対して別々のブラケットを介して固定される構造が示される(特許文献2の
図2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-90133号公報
【特許文献2】特開2014-184793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に示されるヘッドランプの取付け構造では、ヘッドランプユニットの支持部とブラケット部材との間にランプ固定板という別部材が介在されるため、ヘッドランプユニットの位置決め精度の管理が困難である。
【0007】
また、特許文献2に示されるヘッドランプの取付け構造では、ヘッドランプユニットの複数の支持部が、別々のブラケットを介して車体のフレームに固定されるため、ヘッドランプユニットの位置決め精度の管理が困難である。
【0008】
そこで、上記課題に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態は、ヘッドランプユニットの複数の支持部を一部品のブラケットを介して車体フレームに取付けて、ヘッドランプの取付け精度を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)前述した目的を達成するために発明されたものであり、本発明の少なくとも一つの実施形態は、車体前部で前後方向に延設される左右一対のフロントサイドメンバと、前記フロントサイドメンバより上方かつ車幅方向外側で前後方向に延設されるアッパーフレームと、を備える車両の前部車体構造であって、前記フロントサイドメンバの前端部と前記アッパーフレームの前端部とにそれぞれ連結され、前記フロントサイドメンバの前端部と前記アッパーフレームの前端部とを繋ぐ一部品からなるヘッドランプブラケットを有し、前記ヘッドランプブラケットに、ヘッドランプユニットに設けられた複数の支持部が取付けられることを特徴とする。
【0010】
このような構成(1)によれば、一部品からなるヘッドランプブラケットに、ヘッドランプユニットに設けられて該ヘッドランプユニットを支持する複数の支持部が取付けられるので、複数の支持部それぞれに対して別々のブラケットを介して車体フレームに取付けられる場合に比べて、へッドランプユニットの取付け精度を向上できる。また、部品点数の低減にも寄与できる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、前記アッパーフレームの車幅方向外側に設けられるフェンダーパネルを更に備え、前記ヘッドランプブラケットに、前記フェンダーパネルの前端部が取付けられる。
【0012】
このような構成(2)によれば、ヘッドランプブラケットに、フェンダーパネルの前端部が取付けられるので、ヘッドランプユニットとフェンダーパネルとの位置決めを、本ヘッドランプブラケットに関連付けて行うことができるため、ヘッドランプユニットとフェンダーパネルとの合わせ精度が向上する。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、前記ヘッドランプブラケットの前後方向前端部に、前記複数の支持部の内の前側のヘッドランプ前支持部が取り付けられ、前記ヘッドランプブラケットの車幅方向外側端部に、前記複数の支持部の内の後側のヘッドランプ後支持部が取付けられるとともに、さらに、前記ヘッドランプ後支持部に前記フェンダーパネルの前端部が係止される。
【0014】
このような構成(3)によれば、ヘッドランプ後支持部にフェンダーパネルの前端部が係止されるので、ヘッドランプ後支持部とフェンダーパネルの前端部とが位置決めされ、ヘッドランプユニットとフェンダーパネルとの合わせ精度がさらに向上する。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、前記フェンダーパネルの前端部の外側面に、フロントバンパの車幅方向端部が取付けられる。
【0016】
このような構成(4)によれば、フェンダーパネルの前端部の外側面に、フロントバンパの車幅方向端部が取付けられるので、ヘッドランプユニットとフェンダーパネルとフロントバンパとの位置決めを、本ヘッドランプブラケットに関連付けて行うことができるため、ヘッドランプユニットとフェンダーパネルとフロントバンパとの各艤装品の合わせ精度が向上し、車両品質が向上する。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、前記フロントサイドメンバの後部と前記アッパーフレームの後部とに連結されサスペンション部材が取付けられるストラットタワーと、前記ストラットタワーから前方に延設されるとともに、前記フロントサイドメンバと前記アッパーフレームとに連結されて、前記フロントサイドメンバと前記アッパーフレームとの間を塞ぐ板状のフェンダーシールドと、をさらに備える。
【0018】
このような構成(5)によれば、フロントサイドメンバの前端部とアッパーフレームの前端部と、を繋ぐヘッドランプブラケットの構造を採用することによって、ストラットタワーとフロントサイドメンバが強固に結合される。従って、走行時のストラットタワーの傾きや跳ね上りが抑制され、操縦安定性が向上する。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、前記ヘッドランプブラケットには、前記フロントサイドメンバ及び前記アッパーフレームを含む車体フレームに対する前記ヘッドランプブラケットの上下左右前後方向の位置決めが行われるブラケット位置決め部が設けられる。
【0020】
このような構成(6)によれば、車体のフレームであるフロントサイドメンバ及びアッパーフレームに対するヘッドランプブラケットの取付け位置が安定するので、一部品からなるヘッドランプブラケットに支持されるヘッドランプユニットの取付精度の向上が得られる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、前記ヘッドランプブラケットは、平面視において前後方向に延設されるブラケット前部と車幅方向に延設されるブラケット後部とを有し、前記ブラケット位置決め部は、前記ブラケット前部に設けられ、前記フロントサイドメンバの前端部の左右方向の側面に当接して左右方向の位置決めが行われる第1ブラケット位置決め部と、前記ブラケット後部に設けられ、前記アッパーフレームの前端部の上面に当接して上下方向の位置決めが行われる第2ブラケット位置決め部と、前記ブラケット後部に設けられ、前記アッパーフレームの前端部の前面に当接して前後方向の位置決めが行われる第3ブラケット位置決め部と、を有する。
【0022】
このような構成(7)によれば、ヘッドランプブラケットに、左右方向位置決め部と上下方向位置決め部と前後方向位置決め部とが設けられることで、車体フレームに対してヘッドランプブラケットの取付け精度が確保される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、ヘッドランプユニットの複数の支持部を一部品のブラケットを介して車体フレームに取付けることで、ヘッドランプの取付け精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両の前部車体構造の概要を示し、左前部を車両左前方から見た斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車両の前部車体構造の概要を示し、左前部を車両右前方から見た斜視図である。
【
図3】ヘッドランプブラケットの車体フレームへの溶接箇所を示す車両左前方から見た斜視図である。
【
図4】ヘッドランプブラケットとヘッドランプユニットとフェンダーパネルとの取付け状態を示す平面視図である。
【
図5】ヘッドランプブラケットの車体フレームへの取付け状態を示す側面視図である。
【
図6】
図5のA部の拡大側面視図であり、ヘッドランプユニットとフェンダーパネルとの関係を示す側面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、実施形態として記載されている、または図面に示されている構成部品の相対的配置等は、本発明の範囲をこれらに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、説明中の上下前後左右の方向は、運転席から乗員が前方を見た方向で定義するものとする。各図中において、「FR」は前方、「L-SIDE」は左方、「UPR」は上方を示す。
【0026】
図1~6を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1、
図2に、車両1の前部車体構造の概要を示す。
図1は、車両1の左前部の車体構造を車両左前方から見た斜視図であり、
図2は、車両1の左前部の車体構造を車両右前方から見た斜視図である。
【0027】
図1に示すように、車両1の前部には、車幅方向の両側に、車体部材として主に、フロントサイドメンバ3と、アッパーフレーム5と、アッパーバーサイド7と、ストラットタワー9と、フェンダーシールド11(
図2参照)と、フェンダーパネル13と、ヘッドランプブラケット15とが配置されている。
【0028】
これら、フロントサイドメンバ3、アッパーフレーム5、アッパーバーサイド7、ストラットタワー9、フェンダーシールド11、フェンダーパネル13、ヘッドランプブラケット15は、左右に一対設けられている。
【0029】
フロントサイドメンバ3は、車両前後方向に延設されている。アッパーフレーム5は、フロントサイドメンバ3より上方かつ車幅方向外側で車両前後方向に延設されている。アッパーバーサイド7は、車両前方から後方向に向かって斜めに延設され、フロントサイドメンバ3の前端部の上端とアッパーフレーム5の前端部とを連結している。
【0030】
左右のアッパーバーサイド7の前端部は、車幅方向に延設されるフロントエンドアッパバー17に連結している。
【0031】
ストラットタワー9は、
図2に示すように、内部にサスペンション部材が取り付けられる箇所であり、フロントサイドメンバ3の後部とアッパーフレーム5の後部とに接続され、また、ストラットタワー9の後部はタイヤハウスに連結されている。
【0032】
フェンダーシールド11は、
図2に示すように、ストラットタワー9から前方に延設されるとともに、フロントサイドメンバ3とアッパーフレーム5とに連結されて、フロントサイドメンバ3とアッパーフレーム5との間を塞ぐ板状部材である。
【0033】
フェンダーシールド11の車幅方向外側の部分は、アッパーフレーム5に溶接によって接合し、フェンダーシールド11の車幅方向内側の部分は、フロントサイドメンバ3に溶接によって接合し、フェンダーシールド11の後部は、ストラットタワー9の前部に溶接によって接合している。
【0034】
フェンダーパネル13は、アッパーフレーム5の外側から装着され、前輪上方部分の車両外板を形成している。
【0035】
ヘッドランプブラケット15は、ヘッドランプユニット19を支持して、ヘッドランプユニット19をフレーム部材に取り付ける部材であり、フロントサイドメンバ3の前端部とアッパーフレーム5の前端部とにそれぞれ連結されて、フロントサイドメンバ3の前端部とアッパーフレーム5の前端部とを繋ぐ一部品からなる板金製の部材である。
【0036】
図1に示すように、ヘッドランプユニット19には、3本の支持アーム(支持部)21が設けられ、前方の第1アーム(ヘッドランプ前支持部)21aと、後方の第2アーム(ヘッドランプ後支持部)21bと、中間の第3アーム21cとを有する。また、ヘッドランプの光軸調整機構は、ヘッドランプユニット1内に内蔵されている。
【0037】
第1アーム21aは、ヘッドランプブラケット15の前後方向前端部に設けられる第1ランプ取付け部23でヘッドランプブラケット15に取付けられ、第2アーム21bは、ヘッドランプブラケット15の車幅方向外側端部に設けられる第2ランプ取付け部25でヘッドランプブラケット15に取付けられ、第3アーム21cは、アッパーバーサイド7の後部に設けられる第3ランプ取付け部27で取付けられる。
【0038】
ヘッドランプユニット19の基本的な取付け位置は、第1ランプ取付け部23と第2ランプ取付け部25とで決定され、第3ランプ取付け部27は補助的でありヘッドランプユニット19の位置決め精度に大きな影響は与えないものとなっている。
【0039】
第1ランプ取付け部23、第2ランプ取付け部25、第3ランプ取付け部27に、第1アーム21a、第2アーム21b、第3アーム21cのそれぞれが、ボルトによって固定される。
【0040】
このように、一部品からなるヘッドランプブラケット15に、ヘッドランプユニット19を取付ける第1ランプ取付け部23、及び第2ランプ取付け部25が設けられることによって、ヘッドランプユニット19のヘッドランプブラケット15に対する取付け位置が安定する。
【0041】
次に、ヘッドランプブラケット15の構造について説明する。ヘッドランプブラケット15は、
図4に示すように、平面視において前後方向に延設されるブラケット前部15aと、車幅方向に延設されるブラケット後部15bと、ブラケット前部15aとブラケット後部15bとの間を形成し、前後方向に傾斜して延設されるブラケット中間部15cと、を有している。
【0042】
ブラケット前部15aの前端部は車幅方向内側に折り曲げられて、折り曲げ部29に第1ランプ取付け部23が形成され、第1アーム21aがボルト締結される。また、ブラケット後部15bの車幅方向外側端部は車両後方側に折り曲げられて、折り曲げ部31に第2ランプ取付け部25が形成され、第2アーム21bがボルト締結される。
【0043】
さらに、ヘッドランプブラケット15には、フロントサイドメンバ3及びアッパーフレーム5を含む車体フレームに対するヘッドランプブラケット15の上下左右前後方向の位置決めが行われるブラケット位置決め部33が設けられている。
【0044】
ブラケット位置決め部33は、
図4に示すように、左右方向の位置決めが行われる第1ブラケット位置決め部33aと、上下方向の位置決めが行われる第2ブラケット位置決め部33bと、前後方向の位置決めが行われる第3ブラケット位置決め部33cと、を有している。
【0045】
第1ブラケット位置決め部33aは、ブラケット前部15aに設けられ、フロントサイドメンバ3の前端部の左右方向の側面に当接して位置決めされる。第2ブラケット位置決め部33bは、ブラケット後部15bの上端が後方に折り曲げられた折り曲げ部が、アッパーフレーム5の前端部の上面に当接して上下方向の位置決めが行われる。第3ブラケット位置決め部33cは、ブラケット後部15bの後面がアッパーフレーム5の前端部の前面に当接して前後方向の位置決めが行われる。
【0046】
図3に、ヘッドランプブラケット15の車体フレームへの溶接箇所を示す。
図3のように、第1ブラケット位置決め部33aにおいて、上下2箇所の溶接W1によって接合している。また、第2ブラケット位置決め部33bにおいて、左右2箇所の溶接W2によって接合している。また、溶接W3によって、アッパーフレーム5のフランジの前端部とブラケット後部15bの上端の折り曲げ部とが接合している。
【0047】
なお、
図3に示すように、アッパーフレーム5の前端部は、前端開口部を塞ぐように設けられたリンフォース部材34によって構成されている。このため、溶接W2の部分は、リンフォース部材34の前端部の上面にブラケット後部15bの上端の折り曲げ部が接合し、溶接W3の部分は、ブラケット後部15bの上端の折り曲げ部をアッパーフレーム5のフランジの前端部とリンフォース部材34の前端部とで上下に挟み込むようにして接合している。
【0048】
このように、ヘッドランプブラケット15に、第1ブラケット位置決め部33a、第2ブラケット位置決め部33b、第3ブラケット位置決め部33cが設けられて上下左右前後方向の位置決めが行われることで、フロントサイドメンバ3及びアッパーフレーム5に対するヘッドランプブラケット15の取付け位置が安定するので、一部品からなるヘッドランプブラケット15に支持されるヘッドランプユニット19の取付位置の精度向上が得られる。
【0049】
次に、ヘッドランプユニット19と、フェンダーパネル13と、フロントバンパ35との取付け関係を
図1、
図6を参照して説明する。
【0050】
ヘッドランプブラケット15のブラケット後部15bの車幅方向外側端部には、前述のように車両後方側に折り曲げられた折り曲げ部31が形成され、折り曲げ部31には第2ランプ取付け部25が形成されているが、この第2ランプ取付け部25の上方には、フェンダーパネル13の前端部が取付けられるフェンダ取付け部37が形成され、フェンダーパネル13の前端部がボルトによって締結される。
【0051】
また、
図6に示すように、フェンダ取付け部37の上下には、ヘッドランプブラケット15とフェンダーパネル13との位置決めピンが差し込まれる位置決めピン穴39が形成されている。
【0052】
また、
図6に示すように、折り曲げ部31の下端に形成される第2ランプ取付け部25に固定されるヘッドランプユニット19の第2アーム21bの先端部には、フェンダーパネル13の前端部と第2アーム21bとの位置決めをして、フェンダーパネル13の前端部と第2アーム21bとの両者を係止するクリップ41が挿入されるクリップ止め穴が形成されている。
【0053】
さらに、
図1、
図6に示すように、フェンダーパネル13の前端部の外側面には、複数の爪43が上下方向に並んで設けられ、その爪43にフロントバンパ35の車幅方向端部の裏面に設けられた図示しない係合部が係合することで、フロントバンパ35がフェンダーパネル13の前端部に取付けられる。
【0054】
フロントサイドメンバ3及びアッパーフレーム5に溶接によって取り付けられたヘッドランプブラケット15に対するヘッドランプユニット19と、フェンダーパネル13と、フロントバンパ35との取付け工程を、
図1、6を参照して説明する。まず、位置決めピン穴39に位置決めピンを刺して、ヘッドランプブラケット15に対するフェンダーパネル13の位置決めを行う。
【0055】
次に、フェンダーパネル13の前端部をヘッドランプブラケット15のフェンダ取付け部37にボルトによって固定し、位置決めピンを抜いてフェンダーパネル13の固定を完了する。
【0056】
次に、ヘッドランプユニット19の第2アーム21bの先端部に形成されたクリップ止め穴にクリップ41を挿入して、フェンダーパネル13の前端部とヘッドランプユニット19との位置決めを行う。
【0057】
次に、ヘッドランプユニット19の第2アーム21bをヘッドランプブラケット15の第2ランプ取付け部25にボルトによって固定してヘッドランプユニット19の固定を完了する。
【0058】
以上のように構成された本実施形態によれば、一部品からなるヘッドランプブラケット15に、ヘッドランプユニット19を支持する第1アーム21aと第2アーム21bの複数の支持部が取付けられるので、複数の支持部を別々のブラケット介して車体フレームに取付けられる場合に比べて、ヘッドランプユニット19の車体への取付け精度を向上できる。また、部品点数の低減にも寄与できる。
【0059】
また、本実施形態によれば、一部品からなるヘッドランプブラケット15に、ヘッドランプユニット19を支持する第1アーム21aと第2アーム21bの複数の支持部が取付けられ、さらに、そのヘッドランプブラケット15に、フェンダーパネル13の前端部が取付けられるので、ヘッドランプユニット19とフェンダーパネル13との位置決めを、このヘッドランプブラケット15に関連付けて行うことができるため、ヘッドランプユニット19とフェンダーパネル13との合わせ精度が向上する。
【0060】
さらに、ヘッドランプユニット19の第2アーム21bの先端部には、フェンダーパネル13の前端部と第2アーム21bとの位置決めをして、フェンダーパネル13の前端部と第2アーム21bとの両者を係止するクリップ41が挿入されるので、ヘッドランプユニット19とフェンダーパネル13との合わせ精度がさらに向上する。
【0061】
また、本実施形態によれば、フェンダーパネル13の前端部の外側面には、複数の爪43が上下方向に並んで設けられ、その爪43にフロントバンパ35の車幅方向端部の裏面に設けられた図示しない係合部が係合することで、フロントバンパ35がフェンダーパネル13の前端部に取付けられるので、ヘッドランプユニット19とフェンダーパネル13とフロントバンパ35との位置決めを、このヘッドランプブラケット15に関連付けて行うことができるため、ヘッドランプユニット19とフェンダーパネル13とフロントバンパ35との各艤装品の合わせ精度が向上し、車両品質が向上する。
【0062】
また、本実施形態によれば、
図2に示すように、フロントサイドメンバ3の後部とアッパーフレーム5の後部とに連結されサスペンション部材が取付けられるストラットタワー9が設けられ、ストラットタワー9から前方に延設されるとともに、フロントサイドメンバ3とアッパーフレーム5とに連結されて、フロントサイドメンバ3とアッパーフレーム5との間を塞ぐ板状のフェンダーシールド11が設けられている。そして、フロントサイドメンバ3の前端部とアッパーフレーム5の前端部とを繋ぐように、ヘッドランプブラケット15が設けられるので、ストラットタワー9とフロントサイドメンバ3が強固に結合される。
【0063】
すなわち、走行時のストラットタワー9の傾きや跳ね上りの荷重は、ストラットタワー9→フェンダーシールド11→アッパーフレーム5→ヘッドランプブラケット15→フロントサイドメンバ3へと荷重伝達される。
【0064】
従って、ヘッドランプブラケット15が設けられることによって、ストラットタワー9とフロントサイドメンバ3との結合が強固になり、走行時のストラットタワー9の傾きや跳ね上りが抑制され、操縦安定性が向上する。
【0065】
また、本実施形態によれば、フロントサイドメンバ3の前端部とアッパーフレーム5の前端部とを繋ぐように、ヘッドランプブラケット15が設けられるので、スモールオーバラップ衝突時(オフセット前面衝突時)における早期の荷重伝達に貢献し、乗員障害値の低減に寄与できる。
【0066】
すなわち、
図1の矢印Fで示すように車両前方からのスモールオーバラップ衝突時の入力荷重Fは、フロントサイドメンバ3の前端部からヘッドランプブラケット15を介して、直接に、アッパーフレーム5の前端部へと流れる荷重伝達経路が形成されるので、ヘッドランプブラケット15が設けられていない場合には、フロントサイドメンバ3→フェンダーシールド11→アッパーフレーム5へと流れる荷重伝達経路に比べて早期の荷重伝達に貢献できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、ヘッドランプユニットの複数の支持部を一部品のブラケットを介して車体フレームに取付けて、ヘッドランプの取付け精度を向上できるので、車両の前部車体構造への利用に適している。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
3 フロントサイドメンバ
5 アッパーフレーム
7 アッパーバーサイド
9 ストラットタワー
11 フェンダーシールド
13 フェンダーパネル
15 ヘッドランプブラケット
17 フロントエンドアッパバー
19 ヘッドランプユニット
21 支持アーム(支持部)
21a 第1アーム(ヘッドランプ前支持部)
21b 第2アーム(ヘッドランプ後支持部)
21c 第3アーム
23 第1ランプ取付け部
25 第2ランプ取付け部
27 第3ランプ取付け部
35 フロントバンパ
33 ブラケット位置決め部
33a 第1ブラケット位置決め部
33b 第2ブラケット位置決め部
33c 第3ブラケット位置決め部
W1、W2、W3 溶接箇所