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特開2022-17844ヘルメット、及び、ヘルメット用カード保持機構
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  • 特開-ヘルメット、及び、ヘルメット用カード保持機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017844
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ヘルメット、及び、ヘルメット用カード保持機構
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/04 20060101AFI20220119BHJP
   A42C 5/00 20060101ALI20220119BHJP
   A42B 1/00 20210101ALI20220119BHJP
   A42B 1/04 20210101ALI20220119BHJP
【FI】
A42B3/04
A42C5/00 Z
A42B1/00 X
A42B1/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120642
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000107619
【氏名又は名称】スターライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】立見 彰弘
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107DA17
3B107DA21
3B107EA17
(57)【要約】
【課題】片手によりワンタッチでカードホルダを取り外すことを可能としてカード取外し時の使用者の作業負担を低減できるとともに、部材の損傷の可能性を低減させることのできる、ヘルメット、及び、ヘルメット用カード保持機構を提供する。
【解決手段】ヘルメット1において、カードホルダ4における挿入側先端部には、ホルダカバー3の底部31aにより押圧されることで圧縮側に弾性変形可能なばね部43が設けられ、カードホルダ4には、カードホルダ4が被挿入部Pに挿入されてばね部43が弾性変形した状態を維持するロック部材44が設けられ、カードホルダ4が被挿入部Pに挿入された状態でロック部材44を解除することにより、ばね部43の弾性エネルギーが解放されて、ばね部43が被挿入部Pにおいてカードホルダ4を挿入側と反対の側に移動させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽体と、該帽体の表面と間隙を設けて前記帽体に固定される透明部材であるホルダカバーと、前記間隙により形成される被挿入部にカードを保持した状態で挿入されるカードホルダと、を備えるヘルメットであって、
前記カードホルダにおける挿入側先端部と、前記被挿入部において前記挿入側先端部と対向する底部と、の何れか一方には、他方により押圧されることで圧縮側に弾性変形可能な弾性部材が設けられ、
前記カードホルダと、前記ホルダカバーと、の少なくとも何れか一方には、前記カードホルダが前記被挿入部に挿入されて前記弾性部材が弾性変形した状態を維持するロック部材が設けられ、
前記カードホルダが前記被挿入部に挿入された状態で前記ロック部材を解除することにより、前記弾性部材の弾性エネルギーが解放されて、前記弾性部材が前記被挿入部において前記カードホルダを挿入側と反対の側に移動させる、ヘルメット。
【請求項2】
前記ロック部材の解除方法がプッシュ式である、請求項1に記載のヘルメット。
【請求項3】
前記ロック部材が複数箇所に設けられる、請求項1又は請求項2に記載のヘルメット。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記カードホルダと、前記ホルダカバーと、の少なくとも何れか一方において、前記カードホルダの挿入側と反対の側に設けられる、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のヘルメット。
【請求項5】
前記被挿入部は、上側に開口部が形成され、
前記カードホルダには、前記カードホルダを前記被挿入部に挿入した際に前記開口部を閉塞する閉塞部が設けられる、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のヘルメット。
【請求項6】
前記カードホルダには、前記カードを保持するために少なくとも一個の爪部が形成されるとともに、厚さ方向に貫通する指挿入孔が開口される、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のヘルメット。
【請求項7】
ヘルメットの帽体に取付け可能とされる透明部材で形成されるとともに被挿入部を備えるホルダカバーと、前記被挿入部にカードを保持した状態で挿入されるカードホルダと、を備える、ヘルメット用カード支持機構であって、
前記カードホルダにおける挿入側先端部と、前記被挿入部において前記挿入側先端部と対向する底部と、の何れか一方には、他方により押圧されることで圧縮側に弾性変形可能な弾性部材が設けられ、
前記カードホルダと、前記ホルダカバーと、の少なくとも何れか一方には、前記カードホルダが前記被挿入部に挿入されて前記弾性部材が弾性変形した状態を維持するロック部材が設けられ、
前記カードホルダが前記被挿入部に挿入された状態で前記ロック部材を解除することにより、前記弾性部材の弾性エネルギーが解放されて、前記弾性部材が前記被挿入部において前記カードホルダを挿入側と反対の側に移動させる、ヘルメット用カード保持機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘルメット、及び、ヘルメット用カード保持機構に関し、具体的には、ヘルメットの帽体にカードホルダを設ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘルメットの帽体に、名札や身分証などのカードを保持するカードホルダを設けることにより、使用者の氏名等を外部から視認できるようにしたヘルメットが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-181615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献には、ヘルメットの帽体に形成した凹部と、透明板と、により収納部を形成し、この収納部にカードを保持する受け部を挿入する技術が記載されている。そして、受け部の係合突起を収納部の係合溝部に係合させることにより、受け部を収納部に固定する。一方、受け部を収納部から取り外す際には、受け部を撓ませて係合突起と係合溝部との係合を解除する構成が記載されている。
【0005】
上記従来技術の構成においては、受け部を収納部から取り外す度に受け部を撓ませたり、受け部と収納部とに対して比較的大きな力を加えたりする必要があるため、受け部の取外し作業の際に両手を用いる必要があった。即ち、カードホルダからカードを取り外す作業が煩雑となり、使用者にとって作業負担が大きかった。
【0006】
また、上記従来技術の構成においては、受け部を収納部から取り外す度に受け部を撓ませる必要があるため、部材が損傷する可能性が高かった。このため、カードホルダにおける劣化の進行が早まり、交換費用等によるコスト増の原因となっていた。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、片手によりワンタッチでカードホルダを取り外すことを可能としてカード取外し時の使用者の作業負担を低減できるとともに、部材の損傷の可能性を低減させることのできる、ヘルメット、及び、ヘルメット用カード保持機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述の課題解決のために、以下のヘルメットを構成した。
【0009】
(1)帽体と、該帽体の表面と間隙を設けて前記帽体に固定される透明部材であるホルダカバーと、前記間隙により形成される被挿入部にカードを保持した状態で挿入されるカードホルダと、を備えるヘルメットであって、前記カードホルダにおける挿入側先端部と、前記被挿入部において前記挿入側先端部と対向する底部と、の何れか一方には、他方により押圧されることで圧縮側に弾性変形可能な弾性部材が設けられ、前記カードホルダと、前記ホルダカバーと、の少なくとも何れか一方には、前記カードホルダが前記被挿入部に挿入されて前記弾性部材が弾性変形した状態を維持するロック部材が設けられ、前記カードホルダが前記被挿入部に挿入された状態で前記ロック部材を解除することにより、前記弾性部材の弾性エネルギーが解放されて、前記弾性部材が前記被挿入部において前記カードホルダを挿入側と反対の側に移動させる、ヘルメット。
【0010】
(2)前記ロック部材の解除方法がプッシュ式である、(1)に記載のヘルメット。
【0011】
(3)前記ロック部材が複数箇所に設けられる、(1)又は(2)に記載のヘルメット。
【0012】
(4)前記ロック部材は、前記カードホルダと、前記ホルダカバーと、の少なくとも何れか一方において、前記カードホルダの挿入側と反対の側に設けられる、(1)から(3)の何れか一に記載のヘルメット。
【0013】
(5)前記被挿入部は、上側に開口部が形成され、前記カードホルダには、前記カードホルダを前記被挿入部に挿入した際に前記開口部を閉塞する閉塞部が設けられる、(1)から(4)の何れか一に記載のヘルメット。
【0014】
(6)前記カードホルダには、前記カードを保持するために少なくとも一個の爪部が形成されるとともに、厚さ方向に貫通する指挿入孔が開口される、(1)から(5)の何れか一に記載のヘルメット。
【0015】
また、本発明は、前述の課題解決のために、以下のヘルメット用カード保持機構を構成した。
【0016】
(7)ヘルメットの帽体に取付け可能とされる透明部材で形成されるとともに被挿入部を備えるホルダカバーと、前記被挿入部にカードを保持した状態で挿入されるカードホルダと、を備える、ヘルメット用カード支持機構であって、前記カードホルダにおける挿入側先端部と、前記被挿入部において前記挿入側先端部と対向する底部と、の何れか一方には、他方により押圧されることで圧縮側に弾性変形可能な弾性部材が設けられ、前記カードホルダと、前記ホルダカバーと、の少なくとも何れか一方には、前記カードホルダが前記被挿入部に挿入されて前記弾性部材が弾性変形した状態を維持するロック部材が設けられ、前記カードホルダが前記被挿入部に挿入された状態で前記ロック部材を解除することにより、前記弾性部材の弾性エネルギーが解放されて、前記弾性部材が前記被挿入部において前記カードホルダを挿入側と反対の側に移動させる、ヘルメット用カード保持機構。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るヘルメット、及び、ヘルメット用カード保持機構によれば、片手によりワンタッチでカードホルダを取り外すことを可能としてカード取外し時の使用者の作業負担を低減できるとともに、部材の損傷の可能性を低減させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係るヘルメットを示した斜視図。
図2】本実施形態に係るヘルメットにおいてホルダカバーの組付構造を示した斜視図。
図3】本実施形態に係るヘルメットにおいてカードホルダの組付構造を示した斜視図。
図4】(a)及び(b)はそれぞれ、カードホルダ及びホルダカバーの正面図。
図5】ホルダカバーに対するカードホルダの組付構造を示した背面図。
図6】ホルダカバーに対してカードホルダを組付けた状態を示した正面図。
図7】ホルダカバーに対するカードホルダの組付を解除する状態を示した正面図。
図8】ホルダカバーに対するカードホルダ組付を解除した状態を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から図8を用いて、本発明の一実施形態に係るヘルメット1の概略構成について説明する。本実施形態に係るヘルメット1は、合成樹脂などの硬質材で形成された帽体2の内側に、それぞれ軟質の合成樹脂等で形成された図示しないハンモック及びヘッドバンドが着脱可能に取付けられる。
【0020】
本実施形態に係るヘルメット1は、図1から図3に示す如く、帽体2に加えて、ホルダカバー3及びカードホルダ4を備える。ホルダカバー3は、帽体2の表面と間隙を設けて帽体2に固定される板状の透明部材である。カードホルダ4は、帽体2とホルダカバー3との間隙により形成される被挿入部P(図3を参照)に、カードCS(図6から図8を参照)を保持した状態で挿入される板状部材である。
【0021】
図1から図3に示す如く、帽体2の左側面(ヘルメット1の使用者から見て左側の側面)には、左側方に膨出する膨出部2aが設けられている。この膨出部2aは、帽体2の外側の湾曲形状に沿う所定の厚さを有して形成されている。図2に示す如く、膨出部2aには矩形状の凹部が形成され、この凹部の両方の内側に側方溝部21・21、下方の内側に先端側溝部22が形成されている。
【0022】
膨出部2aの凹部には、合成樹脂からなるホルダカバー3がはめ込まれる。ホルダカバー3は、板状部であるカバー本体部31を主体として形成された部材であり、図4(b)に示す如く正面略矩形に形成される。ホルダカバー3は、カードホルダ4が保持するカードCSを目視又は入退管理機器等で読み取れるよう、透明(または半透明)の素材で構成されている。カバー本体部31は帽体2の外側の湾曲に沿って形成された凹部の外側の開放部分を覆うように湾曲して形成される。カバー本体部31の内面(帽体2の側の面)の下部には、底部31aが形成されている。
【0023】
カバー本体部31の左右それぞれの側辺には、凹部の側方溝部21・21に挿入可能な側方突起部32・32が形成されている。また、カバー本体部31の下辺には、凹部の先端側溝部22に挿入可能な先端側突起部33・33が形成されている。また、カバー本体部31の下側縁近傍には、カバー本体部31を貫通する二箇所の水抜き孔が形成されている。
【0024】
図4(b)に示す如く、カバー本体部31の左右それぞれの側辺には、弾性を有するロック解除部34・34が形成されている。それぞれのロック解除部34の内側(互いに対向する側)にはロック解除突起34aが突出して形成される。また、ロック解除突起34a・34aの上方には係止部35・35が形成されている。
【0025】
ホルダカバー3を帽体2に組付ける際は、図2中の矢印に示す如く、膨出部2aの凹部にホルダカバー3を上側より挿入して、側方突起部32・32を側方溝部21・21に、先端側突起部33・33を先端側溝部22にそれぞれ挿入する。この状態で、ホルダカバー3を帽体2に固定することにより、図3に示す如く帽体2の外周面とホルダカバー3とで被挿入部Pが形成される。
【0026】
本実施形態において、ホルダカバー3と帽体2との固定方法には、互いの当接面における超音波溶着が採用される。但し、ホルダカバー3を帽体2に固定する方法として、ねじ止め、接着剤による接着、熱溶着、レーザー溶着等、他の方法を採用することも可能である。
【0027】
カードホルダ4は、板状部であるホルダ本体部41を主体として形成された部材であり、図4(a)に示す如く正面略矩形に形成される。ホルダ本体部41は被挿入部Pよりやや小さく、膨出部2aの凹部の内面の湾曲に沿った湾曲形状に形成される。
【0028】
ホルダ本体部41の上端辺には取手である凹部48が形成された閉塞部42が設けられる。閉塞部42は、カードホルダ4を帽体2に装着した際には被挿入部Pの開口部分を全て閉塞するように構成されている(図1を参照)。
【0029】
ホルダ本体部41における挿入側先端部である下端辺には、弾性部材であるばね部43が形成されている。本実施形態において、ばね部43は板ばね形状に形成される。カードホルダ4を帽体2に装着した際に、ホルダ本体部41の下端辺はカバー本体部31の底部31aと対向し、ばね部43は底部31aに押圧されることにより圧縮側に弾性変形可能とされる(図6を参照)。
【0030】
図4(a)に示す如く、ホルダ本体部41の左右それぞれの側辺には、弾性を有するロック部材44・44が左右の外側に突出して形成されている。また、ホルダ本体部41の左右の端部には、カードCSを保持可能に第一爪部45が四箇所に形成されている。本実施形態におけるカードホルダ4は、小型のカードCSであっても安定的に保持できるように、ホルダ本体部41の左端部に、第一爪部45よりも長い第二爪部46を設けている。なお、図4(a)に示すように、大型のカードCLをカードホルダ4で保持する場合は、第一爪部45のみを用いることができる。
【0031】
ホルダ本体部41には、左右方向中央部の上側寄りに、ホルダ本体部41を厚さ方向に貫通する指挿入孔47が開口される。ヘルメット1の使用者は、指挿入孔47の裏側から指先を入れてカードCSを押し出すように浮かせることにより、カードCSを容易に取り外すことができる。
【0032】
カードホルダ4を帽体2に装着する際は、図3及び図5中の矢印に示す如く、カードホルダ4を被挿入部Pに上側より挿入する。この際、カードホルダ4におけるばね部43がホルダカバー3の底部31aに当接し、図6に示す如く圧縮側に弾性変形する。また、ロック部材44・44はホルダカバー3の側壁(係止部35の上側)によって内側に弾性変形した後、係止部35・35の下方で外側に向かって弾性変形が解除される。この際、ロック部材44・44はロック解除部34・34のロック解除突起34a・34aと同じ上下位置に配置される。
【0033】
ロック部材44・44が係止部35・35の下方で外側に突出するため、係止部35・35によりカードホルダ4の上方への変位が規制される。即ち、ロック部材44・44と係止部35・35とにより、図6に示す如くばね部43が圧縮側に弾性変形した状態が維持される。即ち、カードホルダ4が被挿入部Pの内側で、ホルダカバー3によって固定される。この際、ヘルメット1の外部から、カードホルダ4の保持されるカードCSが視認可能となる。
【0034】
カードホルダ4を被挿入部Pから取り出す際は、図7に示す如くロック解除部34・34を内側に押圧する。これにより、ロック解除突起34a・34aがロック部材44・44を内側に弾性変形させ、係止部35・35によるカードホルダ4の上方への変位規制が解除される。この際、ばね部43の弾性エネルギーが解放されて、図8に示す如くばね部43が被挿入部Pにおいてカードホルダ4を挿入側と反対の側である上方に移動させる。これにより、ヘルメット1の使用者はカードホルダ4を被挿入部Pから取り外すことができることでロック部材の解除が維持される。
【0035】
上記の如く、本実施形態に係るヘルメット1においては、ホルダ本体部41を撓ませたり、カードホルダ4に対して大きな力を加えたりすることなく、ロック解除部34・34を押圧するだけでカードホルダ4を被挿入部Pから取り外すことができる。このため、カードホルダ4を片手で帽体2から取り外すことができ、カードホルダ4からカードCSを取り外す作業を簡素化して使用者の作業負担を低減することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るヘルメット1においては、ホルダ本体部41を撓ませることなく、ロック解除部34・34を押圧するだけでカードホルダ4を被挿入部Pから取り外すことができるため、カードホルダ4の損傷の可能性を低減できる。即ち、カードホルダ4における劣化の進行を遅らせることができるため、交換費用等のコストを抑制することが可能となる。このように、本実施形態に係るヘルメット1によれば、片手によりワンタッチでカードホルダ4を取り外すことを可能として、カードCSの取外し時の使用者の作業負担を低減でき、また、カードホルダ4の損傷の可能性を低減させることが可能となる。
【0037】
なお、本実施形態に係るヘルメット1において、ばね部43には板ばね形状が採用されているが、圧縮側に弾性変型可能な構成であればその形状は限定されるものではなく、他に、コイルばね、皿ばね、トーションバー、渦巻きばね等の他の形状を採用することができる。また、ばね以外の樹脂製素材等で弾性部材を形成することも可能である。但し、樹脂成型によってカードホルダ4と一体で成形できるという観点において、ばね部43を板ばね形状とすることが好ましい。
【0038】
また、カードホルダ4の材質には、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸等を用いることができるが、ばね部43における繰り返しの反復運動に耐えうる疲労特性を持つことができるという観点で、ポリカーボネートを採用することが好ましい。
【0039】
また、本実施形態に係るヘルメット1において、弾性部材であるばね部43は、カードホルダ4の挿入側先端部に形成されているが、弾性部材の配置を他の箇所とすることも可能である。例えば、カードホルダ4の挿入側先端部と対向する、ホルダカバー3の底部31aに弾性部材であるばね部を設ける構成とすることも可能である。
【0040】
なお、本実施形態に係るヘルメット1において、被挿入部Pを上側に開口した形状とし、カードホルダ4を下方に向けて挿入する構成としているが、カードホルダ4の挿入する子方向は限定されるものではなく、水平方向にスライドさせて挿入する構成とすることも可能である。この場合、弾性部材であるばね部は、カードホルダ4の挿入側端部と、ホルダカバー3において挿入側端部に対向する部分と、の何れかに設けられる。
【0041】
また、本実施形態に係るヘルメット1において、ロック部材44・44をカードホルダ4に設け、ロック解除部34・34をホルダカバー3に設ける構成としているが、ロック部材及びロック解除部の配置等は他の構成とすることも可能である。即ち、ロック部材をホルダカバー3に、ロック解除部をカードホルダ4に設ける構成としても差し支えない。
【0042】
また、本実施形態に係るヘルメット1において、ロック解除部34・34を押圧することによってロック部材44・44のロックを解除する、いわゆるプッシュ式の解除方法を採用することにより、ロック解除の際の作業性及び耐久性を高くしている。但し、ロック解除の方法はプッシュ式以外にプル式やラッチ式等、他の構成を採用することも可能である。
【0043】
また、本実施形態に係るヘルメット1において、ロック部材44・44はカードホルダ4における左右両辺の上側の二箇所に設けることにより、誤ってロック解除される誤作動を防止している。但し、ロック部材の個数は本実施形態に限定されるものではなく、一箇所又は三箇所以上に設けても差し支えない。
【0044】
また、ロック部材44・44を二箇所以上に設ける場合、その設置箇所は限定されるものではないが、誤動作の防止、及び、解除のしやすさという観点から、本実施形態の如く左右両辺の上側の二箇所に設けることが好ましい。また、ロック部材44・44は、解除のしやすさという観点から、カードホルダ4の挿入側と反対の側(本実施形態においては上端部)に設けることが好ましい。
【0045】
また、本実施形態において、ホルダ本体部41の上端辺には閉塞部42が設けられ、閉塞部42はカードホルダ4を帽体2に装着した際に被挿入部Pの開口部分を閉塞するように構成される。これにより、被挿入部Pの内部にごみや粉塵、雨水等が入るのを防ぐことが可能となる。なお、閉塞部をカードホルダ4から分離して構成することも可能である。
【0046】
また、本実施形態においては、帽体2の外周面とホルダカバー3とにより被挿入部Pを形成し、この被挿入部Pにカードホルダ4を挿入する構成としたが、被挿入部Pを備えるヘルメット用カード保持機構を単体で構成し、このヘルメット用カード保持機構を帽体2に着脱可能に構成することもできる。
【0047】
具体的には、ヘルメットの帽体2に取付け可能とされる透明部材で形成されるとともに被挿入部Pを備えるホルダカバーと、被挿入部Pにカードを保持した状態で挿入されるカードホルダと、により、ヘルメット用カード保持機構を構成する。そして、カードホルダにおける挿入側先端部と、被挿入部Pにおいて挿入側先端部と対向する底部と、の何れか一方に、他方により押圧されることで圧縮側に弾性変形可能な弾性部材を設ける。
【0048】
さらに、カードホルダと、ホルダカバーと、の少なくとも何れか一方に、カードホルダが被挿入部に挿入されて弾性部材が弾性変形した状態を維持するロック部材を設ける。そして、カードホルダが被挿入部Pに挿入された状態でロック部材を解除することにより、弾性部材の弾性エネルギーが解放されて、弾性部材が被挿入部Pにおいてカードホルダを挿入側と反対の側に移動させることでロック部材の解除が維持されるのである。
【0049】
上記の如く構成されたヘルメット用カード保持機構においては、カードホルダを撓ませたり、カードホルダに対して大きな力を加えたりすることなく、ロック部材を解除するだけでカードホルダを被挿入部Pから取り外すことができる。このため、カードホルダを片手で帽体2から取り外すことができ、カードホルダからカードを取り外す作業を簡素化して使用者の作業負担を低減することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ヘルメット 2 帽体
2a 膨出部 3 ホルダカバー
4 カードホルダ 21 側方溝部
22 先端側溝部 31 カバー本体部
31a 底部 32 側方突起部
33 先端側突起部 34 ロック解除部
34a ロック解除突起 35 係止部
41 ホルダ本体部 42 閉塞部
43 ばね部(弾性部材) 44 ロック部材
45 第一爪部 46 第二爪部
47 指挿入孔 48 凹部
P 被挿入部 CS カード(小)
CL カード(大)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8