(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178464
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20221125BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20221125BHJP
B62D 5/04 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K11/33
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085283
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉見 朋晃
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康史
(72)【発明者】
【氏名】松田 邦彦
【テーマコード(参考)】
3D333
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB19
3D333CC06
3D333CC38
3D333CC44
3D333CC45
3D333CC46
3D333CC47
3D333CD04
3D333CD06
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3D333CD23
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3D333CD37
3D333CD39
3D333CD58
3D333CD60
3D333CE06
3D333CE15
3D333CE17
5H605CC06
5H605EC05
5H605EC20
5H611AA01
5H611BB08
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】組み付け効率を向上可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置は、2組のモータ巻線180、280を有するモータと、ECU10と、を備える。ECU10は、モータ巻線180、280への通電制御に係る電子部品が実装される基板31、32、コネクタユニット50、および、基板31、32を含む制御部品を覆うカバー60を有し、モータの軸方向の一方側に設けられる。コネクタユニット50には、外部との接続に用いられる2つの車両系コネクタ152、252、および、少なくとも1つの操舵系コネクタ162、262の間口が、モータ80と反対側を向くように設けられている。車両系コネクタ152、252は、電源および車両通信網と接続される。操舵系コネクタ162、262は、車両系コネクタ152、252とは間口が別に設けられており、別部材と接続されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2組のモータ巻線(180、280)を有するモータ(80)と、
前記モータ巻線への通電制御に係る電子部品が実装される基板(31、32)、外部との接続に用いられる2つのメインコネクタ(152、252)および少なくとも1つのサブコネクタ(162、262)の間口が前記モータと反対側を向くように設けられているコネクタユニット(50、56、57、500)、および、前記基板を含む制御部品を覆うカバー部材(60、560)を有し、前記モータの軸方向の一方側に設けられる制御ユニット(10~13)と、
を備え、
前記メインコネクタは、電源(5)および通信網(6)と接続され、
前記サブコネクタは、前記メインコネクタとは間口が別に設けられており、別部材(93)と接続されている駆動装置。
【請求項2】
前記メインコネクタには、2本以上の電源用端子(155、156、255、256)、および、2本以上の通信用端子(157、257)が設けられており、
前記サブコネクタには、3本以上の接続端子(164、264)が設けられている請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記メインコネクタの両側の側壁には、接続相手となるコネクタのレバーと係合するロックピン(153、253)が設けられており、
2つの前記メインコネクタの前記ロックピンは、同一直線上となるように形成されている請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記メインコネクタは、前記サブコネクタより背高に形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記コネクタユニットは、前記カバー部材と別体に設けられており、前記モータの一端に設けられるモータフレーム(840)に固定されている請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記コネクタユニットは、前記カバー部材と一体に設けられており、筒状に形成される前記カバー部材の先端に形成される凸部(563)が、前記モータの一端に設けられるモータフレーム(850)に形成される溝部(851)に挿入されている請求項1~4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記電源からの給電および前記通信網との通信により取得される情報を2組の前記モータ巻線の通電制御に共通に用いる場合、一方の前記メインコネクタは、接続不能に埋められている請求項1~6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータおよびこれを制御する制御ユニットが一体に設けられた駆動装置が知られている。例えば特許文献1では、2系統の巻線組を有する冗長構成において、2つのコネクタ間口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、1つのコネクタに、1系統の電源端子、車両通信端子およびトルク信号端子がまとまって設けられている。特許文献1の駆動装置は、電動パワーステアリング装置に適用されており、電動パワーステアリング装置を車両の組み付けた後、車両配線とセンサ配線とをまとめたコネクタと、駆動装置のコネクタとを嵌合させている。しかしながら、トルクセンサはステアリングシャフトに設けられているため、駆動装置をステアリングシャフトに組み付けた段階で、トルク信号端子とトルクセンサとを組み付けることが望ましい。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、組み付け効率を向上可能な駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置は、2組のモータ巻線(180、280)を有するモータ(80)と、制御ユニット(10~13)を備える。制御ユニットは、モータ巻線の通電制御に係る電子部品が実装される基板(31、32)、コネクタユニット(50、500)、および、基板を含む制御部品を覆うカバー部材(60、560)を有し、モータの軸方向の一方側に設けられる。
【0007】
コネクタユニットには、外部との接続に用いられる2つのメインコネクタ(152、252)および少なくとも1つのサブコネクタ(162、262)の間口がモータと反対側を向くように設けられている。メインコネクタは、電源(5)および通信網(6)と接続される。サブコネクタは、メインコネクタとは間口が別に設けられており、別部材(93)と接続されている。メインコネクタとサブコネクタの間口を分けて設けることで、組み付け効率を向上可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態によるステアリングシステムを示す概略構成図である。
【
図2】第1実施形態による駆動装置を示す側面図である。
【
図5】第1実施形態によるカバーを外した状態のECUを示す側面図である。
【
図6】第1実施形態によるカバーを外した状態の駆動装置を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態によるECUを示す模式的な断面図である。
【
図8】第2実施形態によるECUを示す模式的な断面図である。
【
図9】第3実施形態によるECUを示す模式的な断面図である。
【
図11】第4実施形態によるECUを示す模式的な断面図である。
【
図12】第5実施形態によるコネクタ配置を示す平面図である。
【
図13】第6実施形態によるコネクタ配置を示す平面図である。
【
図14】参考例によるコネクタ配置を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による駆動装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態による駆動装置を
図1~
図7に示す。
図1に示すように、駆動装置1は、モータ80と、制御ユニットとしてのECU10とを備え、車両のステアリング操作を補助するための操舵装置である電動パワーステアリング装置8に適用される。
図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の全体構成を示すものである。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
【0011】
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するトルクセンサ93が設けられる。トルクセンサ93は、ハーネス94にて操舵系コネクタ162、262と接続される。トルクセンサ93は、内部にて2系統化されており、それぞれの検出値は、対応する系統の操舵系コネクタ162、262に入力される。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
【0012】
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
【0013】
電動パワーステアリング装置8は、駆動装置1、および、モータ80の回転を減速してラック軸97に伝える動力伝達部としての減速ギア89等を備える。本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「ラックアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をステアリングシャフト92に伝える所謂「コラムアシストタイプ」等としてもよい。
【0014】
モータ80は3相ブラシレスモータである。モータ80は、操舵に要するトルクの一部または全部を出力するものであって、図示しないバッテリから電力が供給されることで駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。モータ80は、第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する(
図4等参照)。
【0015】
以下、第1モータ巻線180の通電制御に係る構成の組み合わせを第1系統、第2モータ巻線280の通電制御に係る構成の組み合わせを第2系統とする。第1系統の構成を主に100番台で付番し、第2系統の構成を主に200番台で付番し、第1系統と第2系統とで実質的に同様の構成には下2桁が同じとなるように付番し、適宜説明を省略する。また、図中等適宜、第1系統に係る構成に添え字の「1」、第2系統に係る構成に添え字の「2」を付す。
【0016】
図2~
図7に示すように、駆動装置1は、モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」である。ECU10は、モータ80の出力軸とは反対側において、シャフト870の軸Axに対して同軸に配置されている。ここで、「同軸」とは、例えば組み付けや設計に係る誤差やズレは許容されるものとする。なお、本実施形態の駆動装置1における「機電一体」とは、モータ80に対し、例えば概ね直方体形状のECUを単に近接させて設けたものとは異なっている。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU10とモータ80とを効率的に配置することができる。以下、モータ80の軸方向を駆動装置1の軸方向とみなし、単に「軸方向」とする。
【0017】
図4に示すように、モータ80は、モータケース830、モータフレーム840、ステータ860、および、ロータ865等を有する。ステータ860は、モータケース830に固定されており、モータ巻線180、280が巻回される。ロータ865は、ステータ860の径方向内側に設けられ、ステータ860に対して相対回転可能に設けられる。
【0018】
シャフト870は、ロータ865に嵌入され、ロータ865と一体に回転する。シャフト870は、軸受871、872により、モータケース830およびモータフレーム840に回転可能に支持される。シャフト870のECU10側の端部は、モータフレーム840に形成される軸孔849に挿通され、ECU10側に露出する。シャフト870のECU10側の端部には、マグネット875が設けられる。
【0019】
モータケース830は、底部831および筒部832からなる略有底筒状に形成され、開口側にECU10が設けられる。底部831には、軸受871が設けられる。筒部832には、ステータ860が固定される。
【0020】
モータフレーム840は、フレーム部841、ヒートシンク845、および、コネクタ接続部846等を有し、例えばアルミ等の熱伝導性のよい材料で形成される。フレーム部841は、モータケース830の径方向内側に圧入されており、全体として、モータケース830の筒部832を軸方向に投影した投影領域(以下適宜、「モータシルエット」とする。)内に収まっている。フレーム部841の外周には、フランジ部842が形成され、筒部832の内壁に形成される段差部833と当接する。また、フレーム部841のヒートシンク845の外側には、拡張部材接続部843が形成される。
【0021】
図6に示すように、コネクタ接続部846は、モータ巻線180、280が取り出されない側のヒートシンク845の側面の略中央に立設されている。コネクタ接続部846の高さは、ヒートシンク845よりも高い。
【0022】
図4~
図7に示すように、ECU10は、メイン基板31、サブ基板32、パワー系接続部品141、241、信号系接続部品146、246、コネクタユニット50、および、カバー60等を有する。メイン基板31は、ヒートシンク845の端面に締結部材45にて固定される。サブ基板32は、コネクタユニット50に固定される。基板31、32は、軸方向に投影したとき、ヒートシンク845より大きく、ヒートシンク845の外側まで延びて形成されている。
【0023】
メイン基板31のヒートシンク845側の面には、モータ巻線180、280の通電切り替えに係るインバータを構成するスイッチング素子等が実装され、ヒートシンク845に放熱可能に設けられている。メイン基板31のヒートシンク845と反対側の面には、アルミ電解コンデンサ等の部品が実装される。
【0024】
メイン基板31には、コネクタ接続部846との干渉を避けるために逃がし凹部316が形成されている。メイン基板31は、逃がし凹部316およびメイン基板31の中心を通る仮想線にて2つの領域に区画され、一方側に第1系統に係る電子部品が実装され、他方側に第2系統に係る電子部品が実装される。サブ基板32も同様である。以下適宜、第1系統に係る部品が実装される領域を軸方向への投影領域を含めて第1系統領域、第2系統に係る部品が実装される領域を軸方向への投影領域を含めて第2系統領域とする。また、第1系統と第2系統とを区画する線を系統区画線Lcとする。
【0025】
サブ基板32には、フィルタ回路を構成するチョークコイルおよびコンデンサや、通信ドライバ等の部品が実装される。サブ基板32には、後述するコネクタユニット50の固定部516を逃がすために逃がし凹部326が形成されている。
【0026】
メイン基板31とサブ基板32とは、パワー系接続部品141、241、および、信号系接続部品146、246で接続される。パワー系接続部品141、241および信号系接続部品146、246は、基板対基板(BtoB)コネクタやピンヘッダ等、電気的導通が取れるものであればよい。
【0027】
パワー系接続部品141、241は、スイッチング素子等の各種素子が実装される領域の外側である外側領域において、同一辺に沿い、逃がし凹部316、326を挟んで両側に配置されている。信号系接続部品146、246は、各種素子が実装される領域の外側である外側領域において、パワー系接続部品141、241が設けられるのと反対側の辺に沿い、逃がし凹部316、326を挟んで両側に配置されている。
【0028】
コネクタユニット50は、ベース部51、車両系コネクタ152、252、および、操舵系コネクタ162、262を有する。ベース部51は、平面視略矩形に形成される。ベース部51のモータ80と反対側の面には、外縁に沿って溝部511が形成されている。また、ベース部51のモータ80側の面には、サブ基板32に挿入される基板挿入部512が形成される(
図7参照)。基板挿入部512をサブ基板32に挿入することで、サブ基板32とコネクタユニット50とが位置決めされる。基板挿入部512は、サブ基板32に溶着等により固定してもよい。また、サブ基板32は、後述する第3実施形態のようにねじ等の固定部材によりコネクタユニット50に固定してもよい。
【0029】
ベース部51には、固定部516が形成される。固定部516には、スルーボルト519が挿通され、モータフレーム840のコネクタ接続部846に螺着される。これにより、コネクタユニット50がモータフレーム840に固定される。モータフレーム840のコネクタ接続部846とコネクタユニット50の固定部516との軸方向における接続位置は、メイン基板31とサブ基板32との間である。コネクタユニット50の詳細については後述する。
【0030】
カバー60は、略有底筒状に形成され、内部に基板31、32およびヒートシンク845等を収容する。カバー60の底部には、略矩形の孔部61が形成される。孔部61には、コネクタ152、162、252、262が挿通される。孔部61は端部611が内側に折り曲げられている。端部611は、接着材等である接着部材が塗布されたコネクタユニット50の溝部511に挿入される。これにより、コネクタユニット50とカバー60との間からの水滴や埃の侵入を防ぐことができる。
【0031】
拡張部材70は、基部71、環状凸部72、カバー挿入溝73、および、固定部74等を有し、樹脂等にて一体に形成される。拡張部材70は、全体として環状に形成され、モータフレーム840のフレーム部841のECU10側であって、ヒートシンク845の径方向外側に配置される。換言すると、ヒートシンク845は、拡張部材70の内周側にて、ECU10側に突出して形成されている。拡張部材70の外縁の少なくとも一部は、モータシルエットよりも外側に位置している。
【0032】
環状凸部72は、基部71のモータ80側の面に内周面に沿って突出して設けられ、モータケース830の筒部832に挿入される。拡張部材70のモータ80と反対側の面には、カバー挿入溝73が外縁に沿って形成される。カバー60の開口側の端部は、接着材等である接着部材が塗布されたカバー挿入溝73に挿入される。これにより、拡張部材70とカバー60との間からの水滴や埃等の侵入を防ぐことができる。本実施形態では、モータフレーム840と拡張部材70との接続部、拡張部材70とカバー60との接続部、および、コネクタユニット50とカバー60との接続部の3箇所にてシールされる。
【0033】
固定部74は、拡張部材70の内周壁から径方向内側に突出して形成される。固定部74には、カラーが挿入され、ねじ79にてフレーム部841に固定される。拡張部材70を設けることで、拡張部材70を設けない場合と比較し、ECU10をモータシルエットの外側まで拡張可能であるので、基板31、32の実装面積等を大きく確保することができる。これにより、基板31、32等の設計自由度を高めることができる。
【0034】
図7に示すように、基部71のメイン基板31側の面であって、カバー挿入溝73より径方向内側には、凹部75が形成される。凹部75は、中央部が周縁部よりも深くなっている。凹部75の周縁部には、パワー系接続部品141の基板接続端子142が配置される。また、凹部75の中央部には、パワー系接続部品141、241の位置決めピン144、244が挿入される。位置決めピン144、244は、基板31、32を貫通している。位置決めピン144、244を設けることで、基板31、32および拡張部材70と、パワー系接続部品141、241とを位置決め可能である。なお、
図7中には図示していないが、信号系接続部品146、246についても、端子形状等が異なる以外は、パワー系接続部品141、241と概ね同様である。また、
図7は模式的な断面図であり、説明のため、系統の区別なく記載した。
【0035】
図3および
図7に示すように、コネクタ152、162、252、262は、ベース部51から軸方向に沿って立設され、間口が軸方向外側を向いて形成されている。車両系コネクタ152、252は、車両電源5およびグランドと接続されるパワー系コネクタと、CAN(Controller Area Network)等である車両通信網6(
図1参照)と接続される通信系コネクタとが一体になった一体型のハイブリッドコネクタである。
【0036】
第1系統の車両系コネクタ152および操舵系コネクタ162は、第1モータ巻線180への給電や通電制御に係る信号伝達に用いられ、第2系統の車両系コネクタ252および操舵系コネクタ262は、第2モータ巻線280への給電や通電制御に係る信号伝達に用いられる。本実施形態では、マイコン等の制御部品や給電経路が冗長化されているが、制御部品や給電経路が1系統の場合、車両系コネクタ152、252の一方をポッティング等で埋める。換言すると、車両電源5からの給電および車両通信網6との通信により取得される情報を2組のモータ巻線180、280の通電制御に共通に用いる場合、一方の車両系コネクタ152、252は、接続不能に埋められている、ということである。これにより、部品の共通化が可能である。また、制御部品や給電経路が1系統の場合、車両系コネクタ152、252の一方をなくしてもよい。操舵系コネクタ162、262についでも同様である。
【0037】
車両系コネクタ152、252には、サブ基板32と接続される車両系端子154、254が設けられる。車両系端子154、254には、電源端子155、255、グランド端子156、256および通信用端子157、257が含まれる。本実施形態では、通信用端子157、257は、各6本であり、車両系コネクタ152、252には、それぞれ計8本の端子が設けられている。
【0038】
操舵系コネクタ162、262には、サブ基板32と接続されるセンサ端子164、264が含まれる。本実施形態では、センサ端子164、264は、各8本である。車両系端子154、254およびセンサ端子164、264とサブ基板32との接続は、プレスフィットやソケットコネクタ等、電気的な導通が取れるものであればよい。
【0039】
本実施形態では、車両系コネクタ152、252と、操舵系コネクタ162、262とで間口を分けているため、車両系コネクタ152、252と車両電源5および車両通信網6との接続と、操舵系コネクタ162、262とトルクセンサ93との接続を個別に行うことができる。
【0040】
詳細には、駆動装置1をステアリングシャフト92に組み付けて電動パワーステアリング装置8をAssy化する際、操舵系コネクタ162、262とトルクセンサ93とをハーネス94にて接続する。その後、電動パワーステアリング装置8を車両に搭載し、車両系コネクタ152、252と車両電源5および車両通信網6とを接続する。これにより、電動パワーステアリング装置8として、ギアAssy化された状態にて各種検査等を実施可能である。
【0041】
基板31、32において、第1系統に係る部品と第2系統に係る部品とが領域を分けて配置されており、軸方向に投影したとき、第1系統領域側に車両系コネクタ152および操舵系コネクタ162が設けられ、第2系統領域側に車両系コネクタ252および操舵系コネクタ262が設けられる。また、車両系コネクタ152、252は、系統区画線Lcを挟んだ両側に横並びに配置される。同様に、操舵系コネクタ162、262は、系統区画線Lcを挟んだ両側に横並びに配置される。
【0042】
車両系コネクタ152、252は、図示しない接続コネクタと嵌合することで、車両電源5および車両通信網6と接続される。車両系コネクタ152、252の側壁には、接続コネクタのレバーと係合するロックピン153、253が突出して設けられている。ロックピン153、253は、系統区画線Lcと直交する直線Lp上に形成されている。すなわち、ロックピン153、253は、同一直線上に配置されている。ここで、「同一直線上」とは、製造誤差程度のズレは許容されるものとする。直交等の用語についても同様である。ロックピン153、253を同一直線上に形成することで、コネクタユニット50の成形に用いられる金型を簡素化することができる。
【0043】
ここで、
図14に示す参考例では、車両系コネクタ152と操舵系コネクタ262とが横並びに配置され、車両系コネクタ252と操舵系コネクタ162とが横並びに配置されている。参考例のように、操舵系コネクタ162、262がクロス配置されていると、操舵系コネクタ162、262とトルクセンサ93とを組み付けたとき、ハーネス94が車両系コネクタ152、252の間口上面を通る虞がある。ハーネス94が車両系コネクタ152、252の間口上面の走っていると、車両系コネクタ152、252と接続コネクタとを嵌合させるとき、ハーネス94を避けなければならず、組み付けしにくい。
【0044】
本実施形態では、車両系コネクタ152、252が横並びで配置され、操舵系コネクタ162、262が横並びに配置されているため、操舵系コネクタ162、262側からハーネス94を接続することで、ハーネス94が車両系コネクタ152、252の間口上面を横切るのを防ぐことができる。
【0045】
また本実施形態では、車両系コネクタ152、252は、操舵系コネクタ162、262よりもベース部51からの高さが大きく、背高に形成されている。先に組み付ける側の操舵系コネクタ162、262を低く形成し、後で組み付ける側の車両系コネクタ152、252を高く形成することで、車両系コネクタ152、252と接続コネクタとの組付けを阻害しにくい。
【0046】
以上説明したように、駆動装置1は、2組のモータ巻線180、280を有するモータ80と、ECU10と、を備える。ECU10は、モータ巻線180、280への通電制御に係る電子部品が実装される基板31、32、コネクタユニット50、および、基板31、32を含む制御部品を覆うカバー60を有し、モータ80の軸方向の一方側に設けられる。
【0047】
コネクタユニット50には、外部との接続に用いられる2つの車両系コネクタ152、252、および、少なくとも1つの操舵系コネクタ162、262の間口が、モータ80と反対側を向くように設けられている。車両系コネクタ152、252は、車両電源5および車両通信網6と接続される。操舵系コネクタ162、262は、車両系コネクタ152、252とは間口が別に設けられており、別部材(本実施形態ではトルクセンサ93)と接続されている。すなわち、本実施形態では、操舵系コネクタ162、262の間口は、車両系コネクタ152、252の間口とは一体になっていない。
【0048】
本実施形態では、車両系コネクタ152、252と、操舵系コネクタ162、262との間口が分けて設けられているので、例えば操舵系コネクタ162、262とトルクセンサ93とを接続した後に、車両系コネクタ152、252を車両電源5等と接続する、といった具合に組み付けタイミングを分けることができるので、組み付け効率を向上可能である。
【0049】
車両系コネクタ152、252には、2本以上の電源用端子、および、2本以上の通信用端子157、257が設けられている。電源用端子は、電源端子155、255およびグランド端子156、256である。また、操舵系コネクタ162、262には、3本以上のセンサ端子164、264が設けられている。詳細には、電源用端子は少なくとも電源端子およびグランド端子を含み、通信端子は少なくともCAN通信の1チャンネル分の端子を含み、センサ端子は少なくとも電源端子、グランド端子、および信号端子を含むことを意味している。本実施形態では、比較的端子数の多いコネクタをユニット化することで、間口を分けても体格を比較的小型にすることができる。
【0050】
車両系コネクタ152、252の両側の側壁には、接続相手となる接続コネクタのレバーと係合するロックピン153、253が設けられている。2つの車両系コネクタ152、252に設けられる4つのロックピン153、253は、同一直線上となるように形成されている。これにより、コネクタユニット50の成形に用いられる金型を簡素化することができる。
【0051】
車両系コネクタ152、252は、操舵系コネクタ162、262より背高に形成されている。これにより、操舵系コネクタ162、262を接続した後であっても、ハーネス94が車両系コネクタ152、252の接続の邪魔になりにくく、組み付け性を向上可能である。
【0052】
コネクタユニット50は、カバー60と別体に設けられており、モータ80の一端に設けられるモータフレーム840に固定される。例えばスルーボルト519等により、コネクタユニット50をモータ80に対して強固に固定することができる。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態を
図8に示す。ECU11では、サブ基板32、および、基板31、32間を接続する接続部品が省略されており、車両系端子154、254およびセンサ端子164、264がメイン基板31と接続されている。本実施形態では、基板が1枚であり、サブ基板32が設けられていないが、便宜上、1枚の基板をメイン基板31とする。第4実施形態も同様である。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(第3実施形態、第4実施形態)
第3実施形態を
図9および
図10に示す。ECU12は、コネクタユニット500を有する。コネクタユニット500は、車両系コネクタ152、252、操舵系コネクタ162、262、および、カバー部560が、樹脂等により一体に形成されている。カバー部560は、略有底筒状に形成され、車両系コネクタ152、242および操舵系コネクタ162、262が底部561の軸方向外側に立設されている。
【0055】
サブ基板32は、ねじ等である締結部材46によりコネクタユニット500に固定される。サブ基板32の固定方法は、第1実施形態と同様としてもよい。また、
図11に示す第4実施形態によるECU13のように、サブ基板32を省略してもよい。
【0056】
本実施形態では、拡張部材70が省略されており、カバー部560の筒部562の先端に形成される凸部563が、モータフレーム850に形成されるシール溝851に挿入される。シール溝851に接着材等の塗布しておくことで、モータフレーム850とコネクタユニット500との接続部がシールされる。これにより、コネクタユニット500は、モータシルエット内に収まるように設けられている。
【0057】
本実施形態では、コネクタユニット500は、カバー部560と一体に設けられている。筒状に形成されるカバー部560の先端に形成される凸部563は、モータフレーム840に形成されるシール溝851に挿入される。車両系コネクタ152、252、操舵系コネクタ162、262、および、カバー部560が一体に形成されたコネクタユニット500を用いることで、シール箇所を低減することができる。また、車両系コネクタ152、252および操舵系コネクタ162、262の配置の自由度が高まる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0058】
(第5実施形態、第6実施形態)
第5実施形態を
図12、第6実施形態を
図13に示す。
図12は、
図3に対応する図であって、コネクタユニット以外は第1実施形態と同様である。
図12に示す第5実施形態のコネクタユニット56では、操舵系コネクタ362は、2系統の間口が1つにまとめて形成されている。また、
図13は、
図10に対応する図であって、コネクタユニット以外は第3実施形態と同様である。
図13に示す第6実施形態のコネクタユニット57では、第5実施形態と同様、操舵系コネクタ362は、2系統の間口が1つにまとめて形成されている。
図12および
図13では、操舵系コネクタ356が第2系統領域側に設けられているが、第1系統領域側に設けてもよいし、系統区画線Lcに跨がるように設けてもよい。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
実施形態では、車両電源5が「電源」、車両通信網6が「通信網」に対応し、ECU10~13が「制御ユニット」、車両系コネクタ152、252が「メインコネクタ」、操舵系コネクタ162、262、362が「サブコネクタ」に対応し、電源端子155、255およびグランド端子156、256が「電源用端子」に対応し、センサ端子164、264が「接続端子」に対応する。カバー60およびカバー部560が「カバー部材」に対応し、シール溝851が「溝部」に対応する。なお、メインコネクタおよびサブコネクタは、区別のため「メイン」、「サブ」としているが、別部材と接続されていればよく、機能上、必ずしもメイン、サブの関係である必要はない。
【0060】
(他の実施形態)
上記実施形態の車両系コネクタは、パワー系コネクタと通信系コネクタとが一体となっている。他の実施形態では、メインコネクタとして、パワー系コネクタおよび通信系コネクタとが別体であり、各2ずつ設けられていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、車両系コネクタには、2本の電源用端子および6本の通信用端子が設けられ、操舵系コネクタには8本のセンサ端子が設けられている。他の実施形態では、電源用端子として電源端子およびグランド端子の2本、通信用端子として例えばCAN通信の1チャンネル分2本以上であれば、端子数は異なっていてもよい。通信網は、CAN以外であってもよい。また、操舵系コネクタのセンサ端子として、電源端子、グランド端子および信号端子の3本以上であれば、端子数は異なっていてもよい。また、端子配置は、上記実施形態とは異なっていてもよい。
【0062】
上記実施形態では、サブコネクタが操舵系コネクタであって、トルクセンサと接続される。他の実施形態では、操舵系コネクタが接続されるセンサは、操舵装置内のセンサであって、ステアリングセンサ等のトルクセンサ以外のセンサであってもよい。また、サブコネクタにより、別のアクチュエータ等、センサ以外のものと接続してもよい。
【0063】
上記実施形態では、操舵装置は電動パワーステアリング装置である。他の実施形態では、操舵装置は、ステアバイワイヤ装置であってもよく、駆動装置は、車輪を転舵させる転舵装置として用いてもよいし、ハンドルに反力を付与する反力装置として用いてもよい。また、駆動装置を操舵装置以外の装置に適用してもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・駆動装置
5・・・車両電源(電源) 6・・・車両通信網(通信網)
10~13・・・ECU(制御ユニット)
31、32・・・基板
50、56、57、500・・・コネクタユニット
60・・・カバー(カバー部材)
560・・・カバー部(カバー部材)
152、252・・・車両系コネクタ(メインコネクタ)
162、262、362・・・操舵系コネクタ(サブコネクタ)
80・・・モータ 180、280・・・モータ巻線