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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178468
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電気機器設置用パネルユニット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/02 20060101AFI20221125BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20221125BHJP
   H02B 1/34 20060101ALI20221125BHJP
   H02G 3/38 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H02G3/02
E04B2/74 541G
H02B1/34 A
H02G3/38 060
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085292
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】303013811
【氏名又は名称】日軽パネルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩行
【テーマコード(参考)】
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5G357CA06
5G357CB04
5G357CC01
5G357CD01
5G357CE01
5G357CF02
5G363AA15
5G363AA16
5G363BA01
5G363DB06
(57)【要約】
【課題】ユニットの位置変更が可能で、かつ、壁面全体としての凹凸を抑制できる電気器設置用パネルユニットを提供する。
【解決手段】壁体1を構成する上部パネル2と下部パネル3間にある空隙5に設けられる電気機器設置用パネルユニット10は、上記空隙を形成する上記パネルの端部に当接する一対の基枠体20と、該一対の基枠体間に上記パネルの厚さ方向に間隔をおいて固定される一対の機器取付用板30とを具備し、上記機器取付用板は、各々電気機器取付用の開口部31及び機器取付部32を有し、上記基枠体は、上記機器取付用板の固定箇所より上記パネルの厚さ方向の外側に、化粧板係合部29を有する。上記化粧板係合部に、上記電気機器の表面を除く部分を塞ぐ上記パネルの表面と同一面を有する化粧板50を係着する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体を構成するパネル間にある空隙に設けられる電気機器設置用パネルユニットであって、
上記パネルユニットは、上記空隙を形成する上記パネルの端部に当接する一対の基枠体と、該一対の基枠体間に上記パネルの厚さ方向に間隔をおいて固定される一対の機器取付用板とを具備し、
上記機器取付用板は、各々電気機器取付用の開口部及び機器取付部を有し、
上記基枠体は、上記機器取付用板の固定箇所より上記パネルの厚さ方向の外側に、化粧板係合部を有し、
上記化粧板係合部に、上記電気機器の表面を除く部分を塞ぐ上記パネルの表面と同一面を有する化粧板が係着されている、
ことを特徴とする電気機器設置用パネルユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器設置用パネルユニットにおいて、
上記機器取付部は、上記電気機器の取り付けを選択可能にすべく上記開口部の開口縁部に適宜間隔をおいて複数設けられている、ことを特徴とする電気機器設置用パネルユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電気機器設置用パネルユニットにおいて、
上記基枠体は、上記機器取付用板との固定箇所に、上記機器取付用板の端部が挿入可能な凹溝が設けられている、ことを特徴とする電気機器設置用パネルユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電気機器設置用パネルユニットにおいて、
上記基枠体は、上記パネルの端部に当接する面に、上記パネルの端部に設けられた凹溝と協同して継手部材挿入用空間を形成する凹溝が設けられている、ことを特徴とする電気機器設置用パネルユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の電気機器設置用パネルユニットにおいて、
上記パネルユニットは、上記機器取付用板の上記基枠体に沿う方向端部に当接すると共に、上記基枠体に対して垂直な状態で該基枠体に固定される一対の端部枠体を更に具備する、ことを特徴とする電気機器設置用パネルユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の電気機器設置用パネルユニットにおいて、
上記端部枠体は、隣接するパネル又は隣接するパネルユニットに設けられた凹溝と協同して継手部材挿入用空間を形成する凹溝が設けられている、ことを特徴とする電気機器設置用パネルユニット。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電気機器設置用パネルユニットにおいて、
上記パネルユニットの上記基枠体と、上記パネルユニットに隣接する上記パネルとの目地部にコーキング剤が充填されている、ことを特徴とする電気機器設置用パネルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばクリーンルーム等の壁を構成するパネルに設置される電気機器設置用パネルユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンピュータやサーバー等を配置するコンピュータ室や実験室は、例えば、半導体,電子部品,精密機器あるいは食品・医薬品工業における生産施設や病院等の医療施設などと同様に、パネルを組み合わせて壁等を形成するクリーンルームが用いられている。
【0003】
クリーンルーム内には設置された装置に電気を供給するためのコンセントやスイッチ等の電気機器を壁内に設ける必要があり、特許文献1~3にあるような技術が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、パネルに、電気機器例えばコンセント用の取付穴を設け、取付穴内にコンセントを装入し、コンセントを開口部に固定する構造である。
【0005】
特許文献2に記載の技術は、開口部を有するパネルの開口部内に、電気機器例えばケーブル接続手段と化粧スペーサを入れ替え可能に設置する構造である。
【0006】
また、特許文献3に記載の技術は、取付枠に設けられた複数の開口部に着脱可能にはめ込まれるコンセントを有する接続ブロックを有する電器パネルユニットが壁間に組み込まれ、上記接続ブロックは開口部に差し込まれる差込部と、差込部の外周より大きく形成され、壁面と同一面となる表面部を有する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5295018号公報
【特許文献2】特開平11-275727号公報
【特許文献3】特許第4363250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2に記載の技術ではパネル作成時に電器機器設置用のユニットをパネル内に設置する必要があるため、ユニットの位置変更が不可能であった。
【0009】
特許文献3に記載の技術ではパネルとユニットが別体であるため、ユニットの位置変更はパネルの形状やサイズを変更することで可能である。しかし、電気機器を有する接続ブロックの表面部がユニットより突出するため、ユニットとパネルとの連結後に壁面全体として凹凸が生じ、凹凸部に汚れが残留するという問題があった。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ユニットの位置変更が可能で、かつ、壁面全体としての凹凸を抑制できる電気器設置用パネルユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明は、壁体を構成するパネル間にある空隙に設けられる電気機器設置用パネルユニットであって、上記パネルユニットは、上記空隙を形成する上記パネルの端部に当接する一対の基枠体と、該一対の基枠体間に上記パネルの厚さ方向に間隔をおいて固定される一対の機器取付用板とを具備し、上記機器取付用板は、各々電気機器取付用の開口部及び機器取付部を有し、上記基枠体は、上記機器取付用板の固定箇所より上記パネルの厚さ方向の外側に、化粧板係合部を有し、上記化粧板係合部に、上記電気機器の表面を除く部分を塞ぐ上記パネルの表面と同一面を有する化粧板が係着されている、ことを特徴とする(請求項1)。
【0012】
このように構成することにより、パネル間に形成される空隙に配設される一対の基枠体と、該一対の基枠体間のパネル厚さ方向に間隔を置いて固定される一対の機器取付用板とで構成されるユニットの空間が電器機器が装入可能なボックスを形成することができる。また、ユニットは壁体を構成するパネル間に配置されるので、パネルの形状及びサイズを変更することで壁におけるユニットの位置変更が可能になる。更にまた、機器取付用板に設けられた化粧板係合部に化粧板を係着することで、化粧板をパネルと面一に設置することができる。
【0013】
この発明において、上記機器取付部は、上記電気機器の取り付けを選択可能にすべく上記開口部の開口縁部に適宜間隔をおいて複数設けられているのが好ましい(請求項2)。
【0014】
このように構成することにより、機器取付用板に設けられた開口部内において電気機器を選択的に取り付けることができると共に、複数の電気機器を取り付けることができる。
【0015】
また、この発明において、上記基枠体は、上記機器取付用板との固定箇所に、上記機器取付用板の端部が挿入可能な凹溝が設けられているのが好ましい(請求項3)。
【0016】
このように構成することにより、基枠体に設けられた凹溝に機器取付用板の端部を挿入した状態で、機器取付用板を固定することができる。
【0017】
また、この発明において、上記基枠体は、上記パネルの端部に当接する面に、上記パネルの端部に設けられた凹溝と協同して継手部材挿入用空間を形成する凹溝が設けられているのが好ましい(請求項4)。
【0018】
このように構成することにより、基枠体に設けられた凹溝とパネル端部に設けられた凹溝とで形成された継手部材挿入用空間内に挿入される継手部材を介して基枠体をパネルに連結することができる。
【0019】
また、この発明において、上記パネルユニットは、上記機器取付用板の上記基枠体に沿う方向端部に当接すると共に、上記基枠体に対して垂直な状態で該基枠体に固定される一対の端部枠体を更に具備するのが好ましい(請求項5)。この場合、上記端部枠体は、隣接するパネル又は隣接するパネルユニットに設けられた凹溝と協同して継手部材挿入用空間を形成する凹溝が設けられているのが好ましい(請求項6)。
【0020】
このように構成することにより、一対の基枠体の両端部に端部枠体を固定することで、ユニット全体の強度が向上する。この場合、端部枠体に設けられた凹溝とパネル端部に設けられた凹溝又は隣接するパネルユニットに設けられた凹溝とで形成された継手部材挿入用空間内に挿入される継手部材を介して端部枠体をパネル又は隣接するパネルユニットに連結することで、ユニット全体の強度を更に向上させることができる。
【0021】
加えて、この発明において、上記パネルユニットの上記基枠体と、上記パネルユニットに隣接する上記パネルとの目地部にコーキング剤が充填されているのが好ましい(請求項7)。
【0022】
このように構成することにより、基枠体とパネル端部の目地部の隙間幅及び段差の凹凸部をコーキング剤によって抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような顕著な効果が得られる。
【0024】
(1)請求項1に記載の発明によれば、電器機器が装入可能なボックスを形成するユニットは壁体を構成するパネル間に配置されるので、パネルの形状及びサイズを変更することで壁におけるユニットの位置変更が可能になる。また、機器取付用板に設けられた化粧板係合部に化粧板を係着することで、化粧板をパネルと面一に設置することができる。したがって、パネルの形状及びサイズを変更することでユニットの位置変更が可能で、かつ、壁面全体としての凹凸を抑制できる。
【0025】
(2)請求項2に記載の発明によれば、機器取付用板に設けられた開口部内において電気機器を選択的に取り付けることができると共に、複数の電気機器を取り付けることができるので、上記(1)に加えて更に電気機器の取付に自由度を持たせることができる。
【0026】
(3)請求項3に記載の発明によれば、基枠体に設けられた凹溝に機器取付用板の端部を挿入した状態で、機器取付用板を固定することができるので、上記(1),(2)に加えて更にユニットの製造効率及び寸法精度の向上が図れる。
【0027】
(4)請求項4に記載の発明によれば、基枠体に設けられた凹溝とパネル端部に設けられた凹溝とで形成された継手部材挿入用空間内に挿入される継手部材を介して基枠体をパネルに連結することができるので、上記(1)~(3)に加えて更に壁の施工効率が向上すると共に、壁面全体としての凹凸を抑制することができる。
【0028】
(5)請求項5に記載の発明によれば、上記(1)~(4)に加えて、更に一対の基枠体の両端部に端部枠体を固定することで、ユニット全体の強度が向上する。この場合、端部枠体に設けられた凹溝とパネル端部に設けられた凹溝又は隣接するパネルユニットに設けられた凹溝とで形成された継手部材挿入用空間内に挿入される継手部材を介して端部枠体をパネル又は隣接するパネルユニットに連結することで、ユニット全体の強度を更に向上させることができる(請求項6)。
【0029】
(6)請求項7に記載の発明によれば、基枠体とパネル端部の目地部の隙間幅及び段差の凹凸部をコーキング剤によって抑制することができるので、上記(1)~(5)に加えて更に壁面全体としての凹凸を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明に係るパネルユニットに電気機器を取り付けた状態の一例を示す概略正面図(a)及び(a)のI部拡大図(b)である。
図2】この発明に係るパネルユニットの第1実施形態に電気器を取り付けた状態を示す概略正面図である。
図2A】この発明における化粧板を取り付けた状態を示す概略正面図である。
図3図2のII-II線に沿う断面図である。
図4】この発明に係るパネルユニットの要部拡大断面図である。
図4A】この発明に係るパネルユニットに電気機器を取り付けた状態を示す断面図である。
図5】この発明における基枠体と機器取付用板の一部を省略した斜視図である。
図6】この発明における端部枠体の取付状態とパネルの連結状態を示す断面図である。
図7】この発明に係るパネルユニットの第2実施形態を示す正面図である。
図8】上記パネルユニットの一部を省略した拡大側面図である。
図9】この発明に係るパネルユニットの第3実施形態に電気機器を取り付けた状態を示す要部正面図である。
図10】第3実施形態における基枠体とパネルの連結状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
<第1実施形態>
この発明に係る電気機器設置用パネルユニット10(以下に、単にパネルユニット10という)は、壁体1を構成する上部パネル2と下部パネル3間に設けられる空隙5を形成する上部パネル2及び下部パネル3の端部に当接する一対の基枠体20と、該一対の基枠体20の基枠体間に上部パネル2及び下部パネル3の厚さ方向に間隔をおいて固定される一対の機器取付用板30と、両基枠体20の長手方向の端部に当接すると共に、基枠体20に対して垂直な状態に固定される一対の端部枠体40とを具備する。上記一対の基枠体20と機器取付用板30とで構成されるユニットの空間が電気機器例えばコンセントCが装入可能なボックスを形成している。
【0033】
上記機器取付用板30は、例えば、アルミニウム製板材にて形成されており、図2図4及び図5に示すように、コンセントCの取付用の開口部31及び機器取付部32を有する。この場合、開口部31は矩形状に形成されており、開口部31の対向する上下の開口縁部に開口部31の内方に向かって突出する複数対例えば6対の略矩形状の機器取付部32が適宜間隔、すなわち少なくとも隣接するコンセントCが干渉しない間隔をおいて設けられている。なお、機器取付部32の中央部には、コンセントCを取り付ける取付ねじ33が螺合するねじ孔32aが設けられている。このように、機器取付部32を複数設けることにより、コンセントCの取付位置を選択可能にすることができる。なお、機器取付部32は6対である必要はなく、隣接するコンセントCが干渉しない間隔をおいて設けられていれば任意の数であってもよい。
【0034】
上記基枠体20は、アルミニウム製押出形材にて形成されており、図3図4及び図5に示すように、上部パネル2及び下部パネル3の端部に当接する当接片21に、上部パネル2及び下部パネル3の端部に設けられたパネル枠体8の凹溝8a(以下に、パネル側凹溝8aという)と協同して継手部材挿入用空間11を形成する凹溝22(以下に、ユニット側凹溝22という)を有する。また、ユニット側凹溝22を形成する両側片23からユニット側凹溝22の底片24の外方に延在する固定片25が設けられ、固定片25に機器取付用板30が固定ねじ60(タッピングねじ)によって固定される。なお、ユニット側凹溝22を形成する両側片23の底片側の一部に肉薄部23aが設けられている。また、底片24の外側中央部には、狭隘開口円弧状のビスポケット26が設けられている。
【0035】
また、基枠体20は、機器取付用板30との固定箇所に、機器取付用板30の端部が挿入可能な凹溝27(以下に、機器取付用凹溝27という)が設けられている。この場合、機器取付用凹溝27は、ユニット側凹溝22の側片23と、当接片21と、当接片21から突設されるリブ28とで形成されている。また、基枠体20は、機器取付用板30の固定箇所すなわち機器取付用凹溝27より、上部パネル2及び下部パネル3の厚さ方向の外側に、化粧板係合部29が設けられている。この場合、化粧板係合部29は、当接片21の先端部と当接片21の先端部より内方側から突設される外側リブ29aとで段状に形成されている。
【0036】
化粧板50は、段状に形成される化粧板係合部29の段差を考慮した厚みを有する例えばアルミニウム製の板材にて形成されている。また、化粧板50は、機器取付用板30に取り付けられたコンセントCの表面が露出する開口51が加工されており、コンセントCの表面を除く部分を塞いでいる。
【0037】
端部枠体40は、図6に示すように、断面略コ字状のアルミニウム製押出形材にて形成されており、隣接するパネル4のパネル枠体8に設けられたパネル側凹溝8aと協同して継手部材挿入用空間11を形成する凹溝41(以下に、端部凹溝41という)を有する。このように形成される端部枠体40は、機器取付用板30の長手方向、すなわち基枠体20に沿う方向端部に当接した状態で、端部凹溝41の底片24bを貫通して基枠体20のビスポケット26に螺合する固定ねじ61によって基枠体20に固定される。なお、端部凹溝41を形成する両側片23の底片側の一部に肉薄部41aが設けられている。上記のように、機器取付用板30の長手方向端部に当接する端部枠体40を一対の基枠体20の両端部に固定することで、ユニット全体の強度の向上が図れる。
【0038】
上部パネル2、下部パネル3及び左右のパネル4は、それぞれ同一の断面構造に形成されており、一対の表面板7の周辺端部にパネル枠体8を配置し、両表面板7とパネル枠体8とで形成される空間に断熱性芯材9を充填してなる。なお、上部パネル2にはリード線(図示せず)の配管70が埋設されている(図2参照)。
【0039】
上記のように形成されるパネルユニット10と上部パネル2及び下部パネル3とは、基枠体20に設けられたユニット側凹溝22と上部パネル2及び下部パネル3に設けられたパネル側凹溝8bとによって形成された継手部材挿入用空間11内に挿入される継手部材80によって接合される(図3及び図4参照)。この場合、継手部材80はアルミニウム製の押出形材にて形成される中空矩形状に形成されている。このように、基枠体20に設けられたユニット側凹溝22とパネル端部に設けられたパネル側凹溝8aとで形成された継手部材挿入用空間11内に挿入される継手部材80を介して基枠体20を上部パネル2及び下部パネル3に連結することによって、壁の施工効率が向上すると共に、壁面全体としての凹凸を抑制することができる。
【0040】
また、パネルユニット10と左右に隣接するパネル4との接合は、端部枠体40に設けられた端部凹溝41とパネル4に設けられたパネル側凹溝8aとによって形成された継手部材挿入用空間11内に挿入される継手部材80Aによって接合される(図6参照)。この場合、継手部材80Aは、端部凹溝41とパネル側凹溝8a内に挿入される一対の挿入片81と、両挿入片81を連結する連結片82を有する断面略H字状に形成される合成樹脂製部材にて形成されている。なお、両挿入片81の先端には、対向する側に向かって傾斜する傾斜端部83が形成され、傾斜端部83の基端側には外方に向かって傾斜する係止爪部84が形成されている。このように継手部材80Aを断面略H字状に形成される合成樹脂製部材にて形成し、両挿入片81の先端に傾斜端部83を形成すると共に、外方に向かって傾斜する係止爪部84を形成することにより、係止爪部84が端部凹溝41に設けられた肉薄部41aとパネル側凹溝8aに設けられた肉薄部8bに係合して継手部材80Aが仮固定される。これによりパネル4の位置ずれを防止することができる。
【0041】
上記のように、端部枠体40に設けられた端部凹溝41とパネル端部に設けられたパネル側凹溝8aとで形成された継手部材挿入用空間11内に挿入される継手部材80Aを介して端部枠体40をパネル4に連結することで、ユニット全体の強度を向上させることができる。
【0042】
上部パネル2及び下部パネル3とパネルユニット10との接合により生じる目地部12にコーキング剤13が充填される(図3図4及び図4A参照)。また、パネル4とパネルユニット10との接合により生じる目地部12も同様にコーキング剤13が充填される(図6参照)。このように、上部パネル2及び下部パネル3とパネルユニット10との目地部12と、パネル4とパネルユニット10との目地部12にコーキング剤13を充填することにより、壁面全体としての凹凸を抑制することができる。
【0043】
上記のように形成されるパネルユニット10において、機器取付用板30は基枠体20に設けられた機器取付用凹溝27内に端部が挿入され、固定片25に当接された状態で、機器取付用板30に設けられた取付孔34を貫通する固定ねじ60(タッピングねじ)を固定片25にねじ込むことで、機器取付用板30が基枠体20に固定される。このように、基枠体20に設けられた機器取付用凹溝27に機器取付用板30の端部を挿入した状態で、機器取付用板30を固定することによって、パネルユニット10の製造効率及び寸法精度の向上が図れる。
【0044】
コンセントCを機器取付用板30に取り付ける場合は、機器取付用板30に設けられた複数(図では6個)の機器取付部32の任意の位置、例えば間に機器取付部32を残した3箇所の機器取付部32に取付ねじ33によってコンセントCを取り付ける。なお、コンセントCの取付位置は6個の機器取付部32のうちの任意の位置に選択的に取り付けることができる。例えば、6個の機器取付部32の全てにコンセントCを取り付けることも可能である。
【0045】
化粧板50は、コンセントCの取付位置に合わせてコンセントCの表面に合わせた開口51が予め加工されており、基枠体20に設けられた化粧板係合部29に係着される。これにより、化粧板50によってコンセントCの表面を除く部分が塞がれた状態で、化粧板50を上部パネル2、下部パネル3及び左右のパネル4と面一に設置することができる。
【0046】
なお、上記説明では、一対の機器取付用板30の一方のみにコンセントCを取り付ける場合について説明したが、他方の機器取付用板30に同様にコンセント取付用の開口部31及び機器取付部32を設けて同様にコンセントCを取り付けることができる。また、双方の機器取付用板30にコンセントCを取り付けることも可能である。
【0047】
<第2実施形態>
上記第1実施形態ではパネルユニット10を1枚の上部パネル2と下部パネル3間にある空隙5に組み込んだ場合について説明したが、第2実施形態は、図1及び図7に示すように、壁体1を構成する複数枚、例えば3枚の上部パネル2と下部パネル3間の空隙5にパネルユニット10Aを組み込む場合である。
【0048】
第2実施形態において、基枠体20Aは図1に示す3枚の上部パネル2及び下部パネル3の端部に当接する長さ、例えば2700mmの長さに形成されており、第1実施形態と同様に接続部材(図示せず)によって上部パネル2及び下部パネル3に接合されている。
【0049】
また、第2実施形態において、機器取付用板30Aは、基枠体20Aと同じ長さに形成されており、機器取付用板30Aの3箇所には、第1実施形態と同様に、コンセントCの取付用の開口部31及び機器取付部32を有する。この場合、各開口部31は矩形状に形成されており、開口部31の対向する上下の開口縁部に開口部31の内方に向かって突出する複数対例えば5対の略矩形状の機器取付部32が適宜間隔、すなわち少なくとも隣接するコンセントCが干渉しない間隔をおいて設けられている。
【0050】
上記説明では、パネルユニット10Aを3枚の上部パネル2と下部パネル3間の空隙5に組み込む場合について説明したが、壁体1を構成する2枚の上部パネル2と下部パネル3間の空隙5に組み込むようにしてもよい。この場合、基枠体20Aは2枚の上部パネル2及び下部パネル3の端部に当接する長さ、例えば1800mmの長さに形成され、第1実施形態と同様に継手部材によって上部パネル2及び下部パネル3に連結される。また、機器取付用板30Aの2箇所に、第1実施形態と同様に、コンセント(図示せず)の取付用の開口部31及び機器取付部32を設ける。
なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0051】
第2実施形態によれば、壁体1を構成する複数の上部パネル2と下部パネル3間にある空隙5にパネルユニット10Aを組み込むことができ、第1実施形態に比べて機器取付部32をより多く設けることができるので、コンセントCの取付の自由度を増やすことができる。
【0052】
<第3実施形態>
第3実施形態は、図9に示すように、壁体1を構成する左右に隣接するパネル4間に設けられる空隙5にパネルユニット10Bを組み込む場合である。
【0053】
第3実施形態において、基枠体20Bは左右のパネル4の側端部に当接され、断面略H字状に形成される合成樹脂製の継手部材80Aを介して隣接するパネル4に連結されている(図10参照)。基枠体20Bに固定される機器取付用板30Bは、矩形状の開口部31が設けられ、開口部31における基枠体20に対して直交する方向の対向する開口縁部に複数対、例えば3対の矩形状の機器取付部32が適宜間隔をおいて突設されている。コンセントCは3個の機器取付部32のうちの任意の機器取付部32に取付ねじ33によって取り付けられる。
なお、第3実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0054】
上記のように構成される実施形態のパネルユニット10,10A,10Bによれば、電器機器、例えばコンセントCが装入可能なボックスを形成するパネルユニット10,10A,10Bは壁体を構成する上部パネル2と下部パネル3間や左右に隣接するパネル4間に配置されるので、パネルの形状及びサイズを変更することで壁におけるパネルユニット10,10A,10Bの位置変更が可能になる。
【0055】
また、機器取付用板30,30A,30Bに設けられた開口部31内においてコンセントCを選択的に取り付けることができると共に、複数のコンセントCを取り付けることができるので、コンセントCの取付に自由度を持たせることができる。
【0056】
また、機器取付用板30に設けられた化粧板係合部29に化粧板50を係着することで、化粧板50を上部パネル2、下部パネル3、左右のパネル4と面一に設置することができる。したがって、パネル2,3,4の形状及びサイズを変更することでパネルユニット10,10A,10Bの位置変更が可能で、かつ、壁面全体としての凹凸を抑制できる。
【0057】
なお、上記実施形態では、壁体1を構成する1枚又は複数枚の上部パネル2と下部パネル3間にある空隙5にパネルユニット10,10Aを組み込む場合について説明したが、1枚の上部パネル2と下部パネル3間にパネルユニット10を組み込んだパネル同士を連結することも可能である。この場合、パネルユニット10の端部枠体40を継手部材80Aによって連結することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、電気機器がコンセントCである場合について説明したが、この発明に係るパネルユニットは、コンセントC以外のスイッチや制御盤等の電気機器の設置にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 壁体
2 上部パネル
3 下部パネル
4 パネル
5 空隙
8 パネル枠体
8a パネル側凹溝
10,10A,10B パネルユニット
11 継手部材挿入用空間
12 目地部
13 コーキング剤
20,20A,20B 基枠体
22 ユニット側凹溝
25 固定片
27 機器取付用凹溝
29 化粧板係合部
30,30A,30B 機器取付用板
31 開口部
32 機器取付部
33 取付ねじ
40 端部枠体
41 端部凹溝
50 化粧板
51 開口
60 固定ねじ
61 固定ねじ
80,80A 継手部材
図1
図2
図2A
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9
図10