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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178469
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
H01L21/304 651B
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085294
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】石津 岳明
(72)【発明者】
【氏名】中野 佑太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC26
5F157CB12
5F157CB14
5F157CB22
5F157CF34
5F157DA21
5F157DB34
(57)【要約】
【課題】乾燥処理時におけるパターンの倒壊を抑制する。
【解決手段】基板処理方法は、基板の上面に薬液を供給する工程(ステップS11)と、基板の上面にリンス液を供給する工程(ステップS12)と、基板の上面に乾燥処理液を供給して基板の上面上に乾燥処理液の液膜を形成する工程(ステップS14)と、上面上に乾燥処理液の液膜が形成された状態の基板を下面側から加熱する工程(ステップS15)と、当該乾燥処理液の液膜を基板の上面から除去することにより基板を乾燥させる工程(ステップS16)と、を備える。当該乾燥処理液の表面張力は、リンス液の表面張力よりも低い。乾燥処理液の沸点は、リンス液の沸点よりも高い。ステップS15における基板の加熱温度は、リンス液の沸点以上かつ乾燥処理液の沸点未満である。これにより、ステップS16の乾燥処理時におけるパターンの倒壊を抑制することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、
a)基板の上面に薬液を供給する工程と、
b)前記a)工程よりも後に前記基板の前記上面にリンス液を供給する工程と、
c)前記b)工程よりも後に前記基板の前記上面に乾燥処理液を供給して前記基板の前記上面上に前記乾燥処理液の液膜を形成する工程と、
d)前記上面上に前記乾燥処理液の前記液膜が形成された状態の前記基板を下面側から加熱する工程と、
e)前記d)工程よりも後に前記乾燥処理液の前記液膜を前記基板の前記上面から除去することにより前記基板を乾燥させる工程と、
を備え、
前記乾燥処理液の表面張力は、前記リンス液の表面張力よりも低く、
前記乾燥処理液の沸点は、前記リンス液の沸点よりも高く、
前記d)工程における前記基板の加熱温度は、前記リンス液の沸点以上かつ前記乾燥処理液の沸点未満であることを特徴とする基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法であって、
f)前記e)工程よりも後に、前記基板を加熱することにより、前記基板の前記上面に吸着している前記乾燥処理液の分子を除去する工程をさらに備えることを特徴とする基板処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理方法であって、
前記b)工程と前記c)工程との間において、前記基板の前記上面に置換液を供給し、前記基板の前記上面上の前記リンス液を前記置換液に置換する工程をさらに備え、
前記c)工程において、前記基板の前記上面上の前記置換液が前記乾燥処理液に置換されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、
前記c)工程において、予め加熱された前記乾燥処理液が、前記基板の前記上面に供給されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、
前記e)工程が行われている間も、前記基板が前記下面側から加熱されることを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、
前記d)工程における前記基板の加熱は、前記基板の前記下面に対向して配置された電気ヒータにより行われることを特徴とする基板処理方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、
前記乾燥処理液は、含フッ素アルコールを含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
上面に凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理装置であって、
基板の上面に薬液を供給する薬液供給部と、
前記基板の前記上面にリンス液を供給するリンス液供給部と、
前記基板の前記上面に乾燥処理液を供給する乾燥処理液供給部と、
前記上面上に前記乾燥処理液の液膜が形成された状態の前記基板を下面側から加熱する基板加熱部と、
前記乾燥処理液の前記液膜を前記基板の前記上面から除去することにより前記基板を乾燥させる乾燥処理部と、
を備え、
前記乾燥処理液の表面張力は、前記リンス液の表面張力よりも低く、
前記乾燥処理液の沸点は、前記リンス液の沸点よりも高く、
前記基板加熱部による前記基板の加熱温度は、前記リンス液の沸点以上かつ前記乾燥処理液の沸点未満であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であって、
前記基板加熱部は、前記基板の前記下面に対向して配置された電気ヒータであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の基板処理装置であって、
前記乾燥処理液は、含フッ素アルコールを含むことを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板に対して様々な処理が施される。例えば、水平状態で保持された基板の表面にエッチング液等の薬液が供給されて薬液処理が行われる。また、薬液処理の終了後、基板上にリンス液が供給されてリンス処理が行われ、その後、基板を回転させて乾燥処理が行われる。
【0003】
基板の表面に微細なパターンが形成されている場合、パターン間に形成される液面(すなわち、液体と空気との界面)とパターンとの接触位置に、液体の表面張力が働く。上述のリンス液として典型的に使用される水は表面張力が大きいため、リンス処理後の乾燥処理においてパターンが倒壊するおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1では、パターンの倒壊を抑制するために、水よりも表面張力および沸点が低いIPA(イソプロピルアルコール)を、リンス処理後の基板上に供給して水と置換した後、当該IPAを基板上から除去して基板の乾燥処理を行う技術が開示されている。特許文献1では、IPAに代わる液体として、水よりも表面張力および沸点が低いHFE(ハイドロフルオロエーテル)、メタノール、エタノール等が挙げられている。
【0005】
また、特許文献2では、パターンの倒壊を抑制するために、IPAをリンス処理後の基板上に供給して水と置換し、疎水化剤を基板上に供給して基板上面を疎水化し、さらにIPAを基板上に供給して疎水化剤と置換した後、当該IPAを基板上から除去して基板の乾燥処理を行う技術が開示されている。特許文献2では、IPAに代わる液体として、水よりも表面張力および沸点が低いHFE、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、メタノール、エタノール等が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-117954号公報
【特許文献2】特開2013-157625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、基板上のパターンの高アスペクト比化に伴い、パターンが倒壊しやすくなっており、乾燥処理時におけるパターンの倒壊の更なる抑制が求められている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、乾燥処理時におけるパターンの倒壊を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、上面に凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、a)基板の上面に薬液を供給する工程と、b)前記a)工程よりも後に前記基板の前記上面にリンス液を供給する工程と、c)前記b)工程よりも後に前記基板の前記上面に乾燥処理液を供給して前記基板の前記上面上に前記乾燥処理液の液膜を形成する工程と、d)前記上面上に前記乾燥処理液の前記液膜が形成された状態の前記基板を下面側から加熱する工程と、e)前記d)工程よりも後に前記乾燥処理液の前記液膜を前記基板の前記上面から除去することにより前記基板を乾燥させる工程とを備え、前記乾燥処理液の表面張力は、前記リンス液の表面張力よりも低く、前記乾燥処理液の沸点は、前記リンス液の沸点よりも高く、前記d)工程における前記基板の加熱温度は、前記リンス液の沸点以上かつ前記乾燥処理液の沸点未満である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理方法であって、f)前記e)工程よりも後に、前記基板を加熱することにより、前記基板の前記上面に吸着している前記乾燥処理液の分子を除去する工程をさらに備える。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理方法であって、前記b)工程と前記c)工程との間において、前記基板の前記上面に置換液を供給し、前記基板の前記上面上の前記リンス液を前記置換液に置換する工程をさらに備え、前記c)工程において、前記基板の前記上面上の前記置換液が前記乾燥処理液に置換される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、前記c)工程において、予め加熱された前記乾燥処理液が、前記基板の前記上面に供給される。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、前記e)工程が行われている間も、前記基板が前記下面側から加熱される。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、前記d)工程における前記基板の加熱は、前記基板の前記下面に対向して配置された電気ヒータにより行われる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の基板処理方法であって、前記乾燥処理液は、含フッ素アルコールを含む。
【0016】
請求項8に記載の発明は、上面に凹部を含むパターンが形成された基板を処理する基板処理装置であって、基板の上面に薬液を供給する薬液供給部と、前記基板の前記上面にリンス液を供給するリンス液供給部と、前記基板の前記上面に乾燥処理液を供給する乾燥処理液供給部と、前記上面上に前記乾燥処理液の液膜が形成された状態の前記基板を下面側から加熱する基板加熱部と、前記乾燥処理液の前記液膜を前記基板の前記上面から除去することにより前記基板を乾燥させる乾燥処理部とを備え、前記乾燥処理液の表面張力は、前記リンス液の表面張力よりも低く、前記乾燥処理液の沸点は、前記リンス液の沸点よりも高く、前記基板加熱部による前記基板の加熱温度は、前記リンス液の沸点以上かつ前記乾燥処理液の沸点未満である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の基板処理装置であって、前記基板加熱部は、前記基板の前記下面に対向して配置された電気ヒータである。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の基板処理装置であって、前記乾燥処理液は、含フッ素アルコールを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、乾燥処理時におけるパターンの倒壊を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一の実施の形態に係る基板処理システムを示す平面図である。
図2】基板処理装置の構成を示す側面図である。
図3】制御部の構成を示す図である。
図4】気液供給部を示すブロック図である。
図5】基板の処理の流れを示す図である。
図6A】基板に吸着する第1乾燥処理液の分子を模式的に示す図である。
図6B】基板に吸着する第2乾燥処理液の分子を模式的に示す図である。
図6C】基板に吸着する第3乾燥処理液の分子を模式的に示す図である。
図7】パターンの倒壊率を示す図である。
図8】パターンの倒壊率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置を備える基板処理システム10のレイアウトを示す図解的な平面図である。基板処理システム10は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を処理するシステムである。基板処理システム10は、インデクサブロック101と、インデクサブロック101に結合された処理ブロック102とを備える。
【0022】
インデクサブロック101は、キャリア保持部104と、インデクサロボット105(すなわち、基板搬送手段)と、IR移動機構106とを備える。キャリア保持部104は、複数枚の基板9を収容できる複数のキャリア107を保持する。複数のキャリア107(例えば、FOUP)は、水平なキャリア配列方向(すなわち、図1中の上下方向)に配列された状態でキャリア保持部104に保持される。IR移動機構106は、キャリア配列方向にインデクサロボット105を移動させる。インデクサロボット105は、基板9をキャリア107から搬出する搬出動作、および、キャリア保持部104に保持されたキャリア107に基板9を搬入する搬入動作を行う。基板9は、インデクサロボット105によって水平な姿勢で搬送される。
【0023】
一方、処理ブロック102は、基板9を処理する複数(たとえば、4つ以上)の処理ユニット108と、センターロボット109(すなわち、基板搬送手段)とを備えている。複数の処理ユニット108は、平面視において、センターロボット109を取り囲むように配置されている。複数の処理ユニット108では、基板9に対する様々な処理が施される。後述する基板処理装置は、複数の処理ユニット108のうちの1つである。センターロボット109は、処理ユニット108に基板9を搬入する搬入動作、および、基板9を処理ユニット108から搬出する搬出動作を行う。さらに、センターロボット109は、複数の処理ユニット108間で基板9を搬送する。基板9は、センターロボット109によって水平な姿勢で搬送される。センターロボット109は、インデクサロボット105から基板9を受け取るとともに、インデクサロボット105に基板9を渡す。
【0024】
図2は、基板処理装置1の構成を示す側面図である。基板処理装置1は、基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板9に処理液を供給して液処理を行う。図2では、基板処理装置1の構成の一部を断面にて示す。
【0025】
基板処理装置1は、基板保持部31と、基板回転機構33と、気液供給部5と、遮断部6と、基板加熱部7と、制御部8と、チャンバ11と、を備える。基板保持部31、基板回転機構33、遮断部6および基板加熱部7等は、チャンバ11の内部空間に収容される。チャンバ11の天蓋部には、当該内部空間にガスを供給して下方に流れる気流(いわゆる、ダウンフロー)を形成する気流形成部12が設けられる。気流形成部12としては、例えば、FFU(ファン・フィルタ・ユニット)が利用される。
【0026】
制御部8は、チャンバ11の外部に配置され、基板保持部31、基板回転機構33、気液供給部5、遮断部6および基板加熱部7等を制御する。図3に示すように、制御部8は、例えば、プロセッサ81と、メモリ82と、入出力部83と、バス84とを備える通常のコンピュータシステムである。バス84は、プロセッサ81、メモリ82および入出力部83を接続する信号回路である。メモリ82は、プログラムおよび各種情報を記憶する。プロセッサ81は、メモリ82に記憶されるプログラム等に従って、メモリ82等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算)を実行する。入出力部83は、操作者からの入力を受け付けるキーボード85およびマウス86、プロセッサ81からの出力等を表示するディスプレイ87、並びに、プロセッサ81からの出力等を送信する送信部等を備える。なお、制御部8は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)、または、回路基板等であってもよい。制御部8は、コンピュータシステム、PLCおよび回路基板等のうち、任意の複数の構成を含んでいてもよい。
【0027】
図2に示す基板保持部31および基板回転機構33はそれぞれ、基板9を保持して回転させるスピンチャックの一部である。基板保持部31は、水平状態の基板9を下側から保持する。基板保持部31は、例えば、基板9を機械的に支持するメカニカルチャックである。基板保持部31は、ベース部311と、複数のチャック312とを備える。ベース部311は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円板状の部材である。基板9は、ベース部311の上方にベース部311から離間して配置される。換言すれば、基板保持部31のベース部311は、基板9の下側の主面(以下、「下面92」とも呼ぶ。)から下方に離間した位置に位置する。ベース部311の直径は、基板9の直径よりも少し大きい。
【0028】
複数のチャック312は、ベース部311の上面の外周部において、中心軸J1を中心とする周方向(以下、単に「周方向」とも呼ぶ。)に配置される。複数のチャック312は、例えば、周方向において略等角度間隔に配置される。基板保持部31では、複数のチャック312により、基板9の外縁部が保持される。なお、基板保持部31は、他の構造を有するチャックであってもよい。
【0029】
基板回転機構33は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構33は、中心軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。基板回転機構33は、シャフト331と、モータ332とを備える。シャフト331は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。シャフト331は、上下方向に延び、基板保持部31のベース部311の下面中央部に接続される。モータ332は、シャフト331を回転させる電動回転式モータである。なお、基板回転機構33は、他の構造を有するモータ(例えば、中空モータ等)であってもよい。
【0030】
気液供給部5は、基板9に対して複数種類の処理液を個別に供給し、基板9に対する液処理を行う。また、気液供給部5は、基板9に向けて不活性ガスを供給する。当該複数種類の処理液には、後述する薬液、リンス液、置換液および乾燥処理液が含まれる。
【0031】
気液供給部5は、第1ノズル51と、第2ノズル52と、第3ノズル53と、第4ノズル54と、を備える。第1ノズル51、第2ノズル52、第3ノズル53および第4ノズル54はそれぞれ、基板9の上方から基板9の上側の主面(以下、「上面91」とも呼ぶ。)に向けて異なる種類の処理液を吐出する。基板9の上面91には、凹部を含む微細なパターンが予め形成されている。当該パターンは、例えば、高アスペクト比を有するパターンである。第1ノズル51、第2ノズル52、第3ノズル53および第4ノズル54は、例えば、テフロン(登録商標)等の高い耐薬品性を有する樹脂により形成される。
【0032】
なお、気液供給部5では、第1ノズル51、第2ノズル52、第3ノズル53および第4ノズル54のうち2つ以上のノズルが、1つの共用ノズルにまとめられてもよい。この場合、共用ノズルは、当該2つ以上のノズルのそれぞれとして機能する。共用ノズルの内部には、処理液の種類毎に個別の流路が設けられてもよく、複数種類の処理液が流れる共用流路が設けられてもよい。また、第1ノズル51、第2ノズル52、第3ノズル53および第4ノズル54のそれぞれは、2つ以上のノズルにより構成されてもよい。
【0033】
気液供給部5は、また、第1ノズル移動機構511と、第2ノズル移動機構521と、第3ノズル移動機構531と、第4ノズル移動機構541とをさらに備える。第1ノズル移動機構511は、第1ノズル51を、基板9の上方の供給位置と、基板9の外縁よりも中心軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」とも呼ぶ。)の外側の退避位置との間で略水平に移動する。第2ノズル移動機構521は、第2ノズル52を、基板9の上方の供給位置と、基板9の外縁よりも径方向外側の退避位置との間で略水平に移動する。第3ノズル移動機構531は、第3ノズル53を、基板9の上方の供給位置と、基板9の外縁よりも径方向外側の退避位置との間で略水平に移動する。第4ノズル移動機構541は、第4ノズル54を、基板9の上方の供給位置と、基板9の外縁よりも径方向外側の退避位置との間で略水平に移動する。第1ノズル移動機構511は、例えば、第1ノズル51に接続される電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。第2ノズル移動機構521、第3ノズル移動機構531および第4ノズル移動機構541についても同様である。
【0034】
遮断部6は、トッププレート61と、トッププレート回転機構62と、トッププレート移動機構63とを備える。トッププレート61は、中心軸J1を中心とする略円板状の部材であり、基板保持部31の上方に配置される。トッププレート61の直径は、基板9の直径よりも少し大きい。トッププレート61は、基板9の上面91に対向する対向部材であり、基板9の上方の空間を遮蔽する遮蔽板である。
【0035】
トッププレート回転機構62は、トッププレート61の上方に配置される。トッププレート回転機構62は、中心軸J1を中心としてトッププレート61を回転する。トッププレート回転機構62は、シャフト621と、モータ622とを備える。シャフト621は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。シャフト621は、上下方向に延び、トッププレート61の上面の中央部に接続される。モータ622は、シャフト621を回転させる電動回転式モータである。なお、トッププレート回転機構62は、他の構造を有するモータ(例えば、中空モータ等)であってもよい。
【0036】
トッププレート移動機構63は、トッププレート61を基板9の上方において上下方向に移動する。トッププレート移動機構63は、例えば、シャフト621に接続される電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。
【0037】
気液供給部5は、また、上ノズル55をさらに備える。上ノズル55は、トッププレート回転機構62のシャフト621の内部に配置される。上ノズル55の下端部は、トッププレート61の中央部に設けられた開口から下向きに突出し、基板9の上面91の中央部と上下方向に対向する。上ノズル55は、基板9の上面91に向けて不活性ガスを供給する。
【0038】
基板加熱部7は、基板9を下面92側から加熱する。図2に示す例では、基板加熱部7は、ホットプレート71と、ホットプレート移動機構72とを備える。ホットプレート71は、中心軸J1を中心とする略円板状の部材であり、基板9の下方に配置される。具体的には、ホットプレート71は、基板9の下面92と、基板保持部31のベース部311の上面との間の空間に配置される。ホットプレート71の直径は、基板9の直径よりも少し小さい。ホットプレート71は、基板9の下面92と上下方向において直接的に(すなわち、間に他の部材を挟むことなく)対向する。ホットプレート71は、略円板状のプレート本体711と、プレート本体711の内部に埋設された電熱線(図示省略)と、を備える電気ヒータである。当該電熱線に電力が供給されることにより、セラミックス等により形成されたプレート本体711が昇温される。
【0039】
ホットプレート移動機構72は、ホットプレート71を基板9の下方において上下方向に移動する。ホットプレート移動機構72は、ホットプレート71の下面から下方に延びるシャフト721と、シャフト721に接続される駆動部(図示省略)と、を備える。シャフト721は、基板回転機構33のシャフト331の内部に配置される。上記駆動部によりシャフト721が上下方向に移動されることにより、ホットプレート71が、基板9の下方にて上下方向に移動される。なお、ホットプレート移動機構72の駆動部は、例えば、電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータ等である。
【0040】
基板加熱部7では、昇温されたホットプレート71が、ホットプレート移動機構72により上昇して基板9の下面92に当接または近接することにより、基板9が下面92側から加熱される。ホットプレート71が基板9の下面92に当接する際には、プレート本体711の上面が略全面に亘って基板9の下面92に接触する。図2に示す例では、ホットプレート71を回転させる機構は設けられていないため、ホットプレート71が基板9の下面92に当接する場合、基板9および基板保持部32の回転は停止される。なお、ホットプレート71は、例えば、基板回転機構33により基板保持部32と共に回転されてもよい。
【0041】
図4は、基板処理装置1の気液供給部5を示すブロック図である。第1ノズル51は、配管513およびバルブ514を介して薬液供給源512に接続される。制御部8(図2参照)の制御によってバルブ514が開かれることにより、基板9の薬液処理に利用される薬液が、第1ノズル51の先端から基板9の上面91へと吐出される。すなわち、第1ノズル51は、基板9に薬液を供給する薬液供給部である。薬液は、例えば、フッ酸である。薬液は、フッ酸以外の液体であってもよい。薬液は、例えば、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸等)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液体であってもよい。
【0042】
第2ノズル52は、配管523およびバルブ524を介してリンス液供給源522に接続される。制御部8の制御によってバルブ524が開かれることにより、基板9のリンス処理に利用されるリンス液が、第2ノズル52の先端から基板9の上面91へと吐出される。すなわち、第2ノズル52は、基板9にリンス液を供給するリンス液供給部である。リンス液は、例えば、DIW(De-ionized Water)である。リンス液は、DIW以外の液体であってもよい。リンス液は、例えば、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、および、希釈濃度が10ppm~100ppm程度の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0043】
第3ノズル53は、配管533およびバルブ534を介して置換液供給源532に接続される。制御部8の制御によってバルブ534が開かれることにより、リンス液の置換処理に利用される置換液が、第3ノズル53の先端から基板9の上面91へと吐出される。すなわち、第3ノズル53は、基板9に置換液を供給する置換液供給部である。置換処理とは、基板9に置換液を供給して基板9上のリンス液を置換液に置換する処理である。置換液としては、上記リンス液との親和性が比較的高く、かつ、後述する乾燥処理液との親和性も比較的高い液体が利用される。置換液は、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)である。置換液は、IPA以外の液体であってもよい。置換液は、例えば、メタノールまたはエタノール等であってもよい。
【0044】
第4ノズル54は、配管543、バルブ544および液加熱部545を介して乾燥処理液供給源542に接続される。液加熱部545は、基板9の乾燥処理に利用される(具体的には、基板9の乾燥処理を行うために基板9に付与される)乾燥処理液を、必要に応じて予め加熱する。液加熱部545は、例えば、内蔵された電熱線に電力が供給されることにより昇温する電気ヒータである。制御部8の制御によってバルブ544が開かれることにより、第4ノズル54の先端から基板9の上面91へと乾燥処理液が吐出される。すなわち、第4ノズル54は、基板9に乾燥処理液を供給して接触させる乾燥処理液供給部である。
【0045】
乾燥処理液は、好ましくは、含フッ素アルコールを含む。当該含フッ素アルコールは、例えば、終端に「-CFH(ジフルオロメチル基)」または「-CF(トリフルオロメチル基)」を有する含フッ素アルコールである。当該終端とは、含フッ素アルコールの分子において、フッ素化アルキル鎖の「-OH(ヒドロキシ基)」とは反対側の端部を意味する。なお、フッ素化アルキル鎖が分岐している場合、当該終端は、主鎖の終端であってもよく、分鎖の終端であってもよい。乾燥処理液の表面張力は、上述のリンス液の表面張力よりも低い。乾燥処理液の沸点は、リンス液の沸点よりも高い。また、乾燥処理液は、基板9の表面、および、基板9上に形成された上記パターンと化学反応を起こさない液体である。上記含フッ素アルコールの分子式に含まれるCの数は、3以上であることが好ましく、4以上であることがさらに好ましい。また、含フッ素アルコールの分子式に含まれるCの数は、8以下であることが好ましく、7以下であることがさらに好ましい。当該Cの数が7以下とされることにより、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)規制の対象となることを避けることができる。
【0046】
乾燥処理液は、例えば、含フッ素アルコールとして1H,1H,7H-Dodecafluoroheptanol(示性式:H(CFCHOH)を含む液体(以下、「第1乾燥処理液」とも呼ぶ。)である。また、乾燥処理液は、含フッ素アルコールとして1H,1H,3H-Tetrafluoropropanol(示性式:CHFCFCHOH)を含む液体(以下、「第2乾燥処理液」とも呼ぶ。)であってもよい。あるいは、乾燥処理液は、含フッ素アルコールとして2-(Perfluorohexyl)ethanol(示性式:F(CFCHCHOH)を含む液体(以下、「第3乾燥処理液」とも呼ぶ。)であってもよい。第1乾燥処理液および第2乾燥処理液は、終端に-CFHを有する含フッ素アルコールを含む。また、第3乾燥処理液は、終端に-CFを有する含フッ素アルコールを含む。
【0047】
上述の乾燥処理液は、第1乾燥処理液、第2乾燥処理液および第3乾燥処理液以外の液体であってもよい。また、乾燥処理液は、1種類の液体であってもよく、2種類以上の液体を含有する混合液であってもよい。好ましくは、当該乾燥処理液は、第1乾燥処理液、第2乾燥処理液および第3乾燥処理液からなる群から選択される少なくとも1つ以上の液体を含む。
【0048】
本実施の形態では、第1乾燥処理液は、実質的に1H,1H,7H-Dodecafluoroheptanolのみからなる。第2乾燥処理液は、実質的に1H,1H,3H-Tetrafluoropropanolのみからなる。第3乾燥処理液は、実質的に2-(Perfluorohexyl)ethanolのみからなる。第1乾燥処理液の分子量は332.1(g/mol)であり、比重(d20)は1.76(g/cm)であり、沸点は169℃~170℃である。第2乾燥処理液の分子量は132.1(g/mol)であり、比重(d20)は1.49(g/cm)であり、沸点は109℃~110℃である。第3乾燥処理液の分子量は364.1(g/mol)であり、比重(d20)は1.68(g/cm)であり、沸点は190℃~200℃である。第1乾燥処理液、第2乾燥処理液および第3乾燥処理液は、いずれもダイキン工業株式会社より入手可能である。
【0049】
基板処理装置1では、第1ノズル51から基板9に薬液が供給される際には、第1ノズル51は供給位置に位置し、第2ノズル52、第3ノズル53および第4ノズル54は退避位置に位置する。第2ノズル52から基板9にリンス液が供給される際には、第2ノズル52は供給位置に位置し、第1ノズル51、第3ノズル53および第4ノズル54は退避位置に位置する。第3ノズル53から基板9に置換液が供給される際には、第3ノズル53は供給位置に位置し、第1ノズル51、第2ノズル52および第4ノズル54は退避位置に位置する。第4ノズル54から基板9に乾燥処理液が供給される際には、第4ノズル54は供給位置に位置し、第1ノズル51、第2ノズル52および第3ノズル53は退避位置に位置する。
【0050】
上ノズル55は、配管553およびバルブ554を介してガス供給源552に接続される。制御部8の制御によってバルブ554が開かれることにより、窒素(N)ガス等の不活性ガスが、上ノズル55の先端から基板9の上面91とトッププレート61(図2参照)の下面との間の空間に供給される。当該不活性ガスは、窒素以外のガス(例えば、アルゴン(Ar)ガス)であってもよい。
【0051】
次に、図2の基板処理装置1における基板9の処理の流れについて、図5を参照しつつ説明する。基板処理装置1では、まず、上面91に微細なパターンが予め形成されている基板9が、基板保持部31により水平状態で保持される。続いて、上ノズル55から不活性ガス(例えば、窒素ガス)の供給が開始される。上ノズル55から供給される不活性ガスの流量は、例えば10リットル/minである。また、基板回転機構33による基板9の回転が開始される。基板9の回転速度は、例えば、800rpm~1000rpmである。さらに、トッププレート回転機構62によるトッププレート61の回転が開始される。トッププレート61の回転方向および回転速度は、例えば、基板9の回転方向および回転速度と同じである。トッププレート61の上下方向の位置は、基板9との間に第1ノズル51等が配置可能な位置(以下、「第1処理位置」とも呼ぶ。)である。
【0052】
そして、第1ノズル51が供給位置に位置する状態で、第1ノズル51から基板9の上面91の中央部に薬液(例えば、フッ酸)が供給される(ステップS11)。基板9の中央部に供給された薬液は、基板9の回転による遠心力よって基板9の中央部から径方向外方へと広がり、基板9の上面91全体に付与される。薬液は、基板9の外縁から径方向外方へと飛散または流出する。基板9上から飛散または流出する薬液は、図示省略のカップ部等により受けられて回収される。他の処理液についても同様である。基板処理装置1では、薬液が基板9に所定時間付与されることにより、基板9の薬液処理が行われる。
【0053】
ステップS11の薬液処理が行われている間、ホットプレート71は、図2に示すように、基板9の下面92から下方へと大きく離間した位置に位置しており、ホットプレート71による基板9の加熱は行われない。以下に説明するステップS12のリンス処理、および、ステップS13の置換処理が行われている間も、ステップS11と同様に、ホットプレート71による基板9の加熱は行われない。
【0054】
基板9の薬液処理が終了すると、薬液の吐出を停止した第1ノズル51が供給位置から退避位置へと移動され、第2ノズル52が退避位置から供給位置へと移動される。そして、第2ノズル52から基板9の上面91の中央部にリンス液(例えば、DIW)が供給される(ステップS12)。リンス液供給時の基板9の回転速度は、例えば、800rpm~1200rpmである。基板9の中央部に供給されたリンス液は、基板9の回転による遠心力よって基板9の中央部から径方向外方へと広がり、基板9の上面91全体に付与される。基板9上の薬液は、リンス液により径方向外方へと移動され、基板9上から除去される。基板処理装置1では、リンス液が基板9に所定時間付与されることにより、基板9のリンス処理が行われる。
【0055】
基板9上から薬液が除去されると(すなわち、基板9上の薬液が全てリンス液に置換されると)、基板9の回転速度が低下される。これにより、基板9の上面91上にリンス液の液膜が形成されて維持される。基板9の回転速度は、例えば10rpmである。リンス液の液膜は、基板9の上面91全体を覆う。リンス液の液膜が形成されると、第2ノズル52からのリンス液の吐出が停止され、第2ノズル52が供給位置から退避位置へと退避する。基板9の回転速度は、基板9の上面91が乾燥しない回転速度であればよく、例えば10rpm以上であってもよい。
【0056】
次に、第3ノズル53が退避位置から供給位置へと移動され、第3ノズル53から基板9の上面91の中央部に(すなわち、リンス液の液膜の中央部に)置換液が供給される(ステップS13)。置換液は、例えばIPAである。置換液供給時の基板9の回転速度は、例えば、100rpm~300rpmである。基板9の中央部に供給された置換液は、基板9の回転による遠心力よって基板9の中央部から径方向外方へと広がり、基板9の上面91全体に付与される。基板9上のリンス液(すなわち、基板9の上面91に接触しているリンス液)は、置換液により径方向外方へと移動され、基板9上から除去される。基板処理装置1では、置換液が基板9に所定時間付与されることにより、基板9上におけるリンス液から置換液への置換処理が行われる。
【0057】
基板9上からリンス液が除去されると(すなわち、基板9上のリンス液が全て置換液に置換されると)、基板9の回転速度が低下される。これにより、基板9の上面91上に置換液の液膜が形成されて維持される。基板9の回転速度は、例えば10rpmである。置換液の液膜は、基板9の上面91全体を覆う。置換液の液膜が形成されると、第3ノズル53からの置換液の吐出が停止され、第3ノズル53が供給位置から退避位置へと退避する。基板9の回転速度は、基板9の上面91が乾燥しない回転速度であればよく、例えば10rpm以上であってもよい。
【0058】
次に、第4ノズル54が退避位置から供給位置へと移動され、第4ノズル54から基板9の上面91の中央部に(すなわち、置換液の液膜の中央部に)乾燥処理液が供給される。乾燥処理液は、例えば、上述の第1乾燥処理液または第2乾燥処理液である。乾燥処理液供給時の基板9の回転速度は、例えば、100rpm~300rpmである。基板9の中央部に供給された乾燥処理液は、基板9の回転による遠心力よって基板9の中央部から径方向外方へと広がり、基板9の上面91全体に付与される。基板9上の置換液(すなわち、基板9の上面91に接触している置換液)は、乾燥処理液により径方向外方へと移動され、基板9上から除去される。基板処理装置1では、乾燥処理液が基板9に所定時間付与されることにより、基板9上の置換液が全て乾燥処理液に置換される。
【0059】
第4ノズル54から基板9に供給される乾燥処理液は、上述の液加熱部545(図4参照)により予め加熱されていてもよく、加熱されていなくてもよい。なお、液加熱部545による加熱が行われる場合、液加熱部545による加熱後の乾燥処理液の温度は、常温(例えば、25℃)よりも高く、かつ、乾燥処理液の沸点未満である。
【0060】
基板9上の置換液が全て乾燥処理液に置換されると、基板9の回転速度が低下される。これにより、基板9の上面91上に乾燥処理液の液膜が形成されて維持される(ステップS14)。乾燥処理液の液膜は、基板9の上面91全体を覆う。乾燥処理液の液膜が形成されると、第4ノズル54からの乾燥処理液の吐出が停止され、第4ノズル54が供給位置から退避位置へと退避する。また、基板回転機構33による基板保持部32および基板9の回転が停止される。
【0061】
次に、ホットプレート移動機構72により、ホットプレート71が図2に示す位置から上昇し、基板9の下面92に当接する。ホットプレート71は所定の温度まで予め昇温されており、ホットプレート71が基板9の下面92に当接することにより、基板9の上面91に接触している乾燥処理液が基板9と共に加熱され、所定の接触温度まで昇温されて当該接触温度にて維持される(ステップS15)。
【0062】
なお、ステップS15では、ホットプレート71は、基板9の下面92と接触することなく、下面92と僅かな間隙を間に挟んで近接してもよい。この場合、基板9上における乾燥処理液の液膜形成後、基板9の回転は停止されることなく、低速(例えば、10rpm)にて回転が継続されてもよい。また、この場合、ホットプレート71による基板9の下面92側からの加熱は、ステップS14における乾燥処理液の供給と並行して開始されてもよい。
【0063】
ステップS15では、上述のように、基板9上に供給される乾燥処理液が予め常温よりも加熱されていてもよい。この場合、ホットプレート71による加熱によって基板9上の乾燥処理液を接触温度まで昇温するために要する時間を短くすることができる。
【0064】
上述の接触温度は、リンス液の沸点以上、かつ、乾燥処理液の沸点未満の温度である。これにより、基板9上における乾燥処理液の気化が抑制されるとともに、乾燥処理液にリンス液の成分(例えば、水分)が混入している場合であっても、リンス液の成分が気化して乾燥処理液から除去される。また、リンス液として水が利用される場合、乾燥処理液はリンス液の沸点以上とされるため、空気中の水分が結露して乾燥処理液に混入することが防止される。好ましくは、接触温度と乾燥処理液の沸点との差は65℃以下である。換言すれば、接触温度は、乾燥処理液の沸点未満、かつ、乾燥処理液の沸点よりも65℃低い温度以上であることが好ましい。
【0065】
基板処理装置1では、接触温度の乾燥処理液が基板9の上面91全体に対して所定の接触時間(好ましくは、10秒以上)接触する。これにより、乾燥処理液の分子が、基板9の上面91、および、基板9の上面91上の上記パターン表面に吸着する。
【0066】
図6Aは、基板9の上面91に吸着する第1乾燥処理液(すなわち、1H,1H,7H-Dodecafluoroheptanol)の分子を、模式的に示す図である。図6Bは、基板9の上面91に吸着する第2乾燥処理液(すなわち、1H,1H,3H-Tetrafluoropropanol)の分子を、模式的に示す図である。図6Cは、基板9の上面91に吸着する第3乾燥処理液(すなわち、2-(Perfluorohexyl)ethanol)の分子を、模式的に示す図である。図6Aないし図6Cでは、第1乾燥処理液、第2乾燥処理液および第3乾燥処理液の分子を骨格構造式にて示す。
【0067】
図6Aに示すように、第1乾燥処理液のヒドロキシ基(-OH)が、基板9の上面91の酸素原子(O)と引き合うことにより、第1乾燥処理液の分子が基板9の上面91に吸着する。これにより、基板9の上面91は、第1乾燥処理液の分子によって被覆された状態となる。詳細には、基板9の上面91は、第1乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFHによって被覆された状態となる。図6Bに示す第2乾燥処理液の場合についても同様に、基板9の上面91に第2乾燥処理液の分子が吸着し、基板9の上面91が、第2乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFHによって被覆された状態となる。図6Cに示す第3乾燥処理液の場合についても略同様に、基板9の上面91に第3乾燥処理液の分子が吸着し、基板9の上面91が、第3乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFによって被覆された状態となる。なお、図6Aないし図6Cは模式図であるため、第1乾燥処理液、第2乾燥処理液および第3乾燥処理液の基板9に対する吸着方向や吸着密度は、実際とは異なる。
【0068】
また、基板9の上面91上のパターンについても同様に、第1乾燥処理液の分子がパターン表面に吸着し、パターン表面が、第1乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFHによって被覆された状態となる。これにより、パターン表面に第1乾燥処理液が吸着していない場合に比べて、パターンの表面自由エネルギーが減少し、パターン表面に対する第1乾燥処理液の接触角が増大して90°に近づく。第2乾燥処理液の場合についても同様に、パターン表面に第2乾燥処理液の分子が吸着し、パターン表面が、第2乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFHによって被覆された状態となる。これにより、パターン表面に第2乾燥処理液が吸着していない場合に比べて、パターンの表面自由エネルギーが減少し、パターン表面に対する第2乾燥処理液の接触角が増大して90°に近づく。第3乾燥処理液の場合についても略同様に、パターン表面に第3乾燥処理液の分子が吸着し、パターン表面が、第3乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFによって被覆された状態となる。これにより、パターン表面に第3乾燥処理液が吸着していない場合に比べて、パターンの表面自由エネルギーが減少し、パターン表面に対する第3乾燥処理液の接触角が増大して90°に近づく。第1乾燥処理液、第2乾燥処理液および第3乾燥処理液のうち、いずれの乾燥処理液がパターン表面に吸着した場合であっても、乾燥処理液が吸着したパターンの表面自由エネルギーは、乾燥処理液が吸着していないシリコン(Si)の表面自由エネルギーよりも低くなる。
【0069】
パターン表面上では、含フッ素アルコールの分子のフッ素化アルキル鎖が長い程、パターン表面に対する乾燥処理液の分子の吸着方向が垂直に近くなり、パターン表面上における乾燥処理液の分子の配向性が高くなる。図6Aに示す第1乾燥処理液の分子に含まれるCの数は7であり、図6Bに示す第2乾燥処理液の分子に含まれるCの数は3である。このように、第1乾燥処理液の分子は、第2乾燥処理液の分子に比べてフッ素化アルキル鎖が長いため、第1乾燥処理液の分子の吸着方向は、第2乾燥処理液の分子の吸着方向よりもさらに垂直に近くなる。したがって、第1乾燥処理液の分子は、第2乾燥処理液の分子よりも、パターン表面に高密度に吸着する。その結果、乾燥処理液として第1乾燥処理液を用いた場合、第2乾燥処理液を用いた場合に比べて、パターンの表面自由エネルギーの減少量が大きくなり、パターン表面に対する接触角は90°により近くなる。
【0070】
基板9の上面91全体に対して接触温度の乾燥処理液を接触させた後、上述の接触時間が経過すると、トッププレート61が第1処理位置から下降し、基板9の上面91にさらに近接した位置(以下、「第2処理位置」とも呼ぶ。)に位置する。これにより、基板9の上面91とトッププレート61の下面との間の空間が、周囲の空間(すなわち、基板9の径方向外側の空間)から実質的に遮断される。
【0071】
また、ホットプレート71が、僅かに下降して基板9の下面92から離間し、下面92と僅かな間隙を間に挟んで近接した状態とされる。この状態であっても、ホットプレート71が基板9の下面92に当接している状態と略同様に、基板9上の乾燥処理液の液膜の温度が、上記接触温度にて維持される。なお、上述のように、ホットプレート71が基板保持部32と共に回転するように構成されている場合、ホットプレート71は基板9の下面92に当接した状態で維持されてもよい。
【0072】
そして、上ノズル55から基板9の上面91の中央部に向けて不活性ガスが噴射されることにより、乾燥処理液の液膜の中央部に孔(すなわち、乾燥処理液が押し退けられて基板9の上面91が露出している領域)が生じる。当該孔は、上ノズル55から供給される不活性ガスにより周方向外方へと押し広げられる。換言すれば、基板9上の乾燥処理液(すなわち、基板9の上面91に接触している乾燥処理液)の液膜は、不活性ガスにより径方向外方へと移動され、基板9上から除去される。
【0073】
基板処理装置1では、さらに、基板回転機構33により基板9が高速回転される。これにより、基板9の上面91上に存在する乾燥処理液が、遠心力により径方向外方へと移動して基板9上から迅速に除去される。基板処理装置1では、基板回転機構33による基板9の高速回転が所定時間継続されることにより、基板9の乾燥処理(いわゆる、スピンドライ処理)が行われる(ステップS16)。上記例では、上ノズル55および基板回転機構33は、液状の乾燥処理液を基板9の上面91から除去する乾燥処理液除去部であり、当該乾燥処理液の除去により基板9を乾燥させる乾燥処理部でもある。
【0074】
なお、ステップS16では、基板回転機構33による基板9の回転は行われず、上ノズル55からの不活性ガスの噴射のみにより、基板9上の乾燥処理液が除去されてもよい。あるいは、ステップS16では、上ノズル55からの不活性ガスの噴射は行われず、基板回転機構33による基板9の回転のみにより、基板9上の乾燥処理液が除去されてもよい。
【0075】
基板9の乾燥処理では、乾燥処理液の液面がパターン間に位置するまで下がった状態において、パターンを水平方向に引っ張る毛細管力が働く。当該毛細管力σmaxは、乾燥処理液の表面張力γ、乾燥処理液とパターンとの接触角θ、パターン間の距離D、パターンの高さH、および、パターンの幅Wを用いて、式(1)にて表される。
σmax=(6γ・cosθ/D)・(H/W) ・・・ 式(1)
【0076】
基板処理装置1では、上述のように、乾燥処理液の表面張力γは、リンス液の表面張力よりも低い。したがって、ステップS16の乾燥処理では、リンス処理後の基板9上に残存するリンス液(例えば、DIW)をスピンドライ処理等により除去して基板9を乾燥させる場合(以下、「リンス乾燥処理」とも呼ぶ。)に比べ、パターンに働く毛細管力σmaxを小さくすることができる。その結果、ステップS16の乾燥処理において、リンス乾燥処理よりもパターンの倒壊を抑制することができる。
【0077】
また、基板処理装置1では、乾燥処理液に含まれる含フッ素アルコールをパターンの表面に吸着させることにより、パターンの表面自由エネルギーを減少させている。このため、リンス処理後の基板9上に残存するリンス液を置換液(例えば、IPA)に置換し、当該置換液をスピンドライ処理等により除去して基板9を乾燥させる場合(以下、「置換乾燥処理」とも呼ぶ。)に比べて、パターンの表面における接触角θを増大させて90°に近づけることができる。したがって、ステップS16の乾燥処理において、置換乾燥処理に比べてパターンに働く毛細管力σmaxを小さくすることができる。その結果、ステップS16の乾燥処理において、置換乾燥処理よりもパターンの倒壊を抑制することができる。
【0078】
なお、従来の置換乾燥処理では、置換液としてIPA、メタノールまたはエタノール等が利用される。IPA、メタノールおよびエタノールは、-OHによりパターン表面に吸着可能ではあるが、フッ素を含有していないため、パターンの表面自由エネルギーの減少にあまり寄与しない。したがって、乾燥処理におけるパターンの倒壊抑制に限界がある。
【0079】
また、仮に、ステップS14における乾燥処理液に代えて、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)またはHFO(ハイドロフルオロオレフィン)を用いた場合、これらの液体の分子は、-OHのようなパターン表面に吸着されやすい官能基を端部に有しないため、パターン表面に実質的に吸着しない。したがって、パターンの表面自由エネルギーは実質的に減少しない。このため、乾燥処理におけるパターンの倒壊を好適に抑制することはできない。
【0080】
図7図8は、上記ステップS11~S16の処理後における基板9上のパターンの倒壊率と、上述の置換乾燥処理(すなわち、ステップS11~S13の後、ステップS14~S15を省略し、基板9上の置換液をスピンドライ処理により除去して乾燥する処理)後における基板9上のパターンの倒壊率とを、実験により比較した結果を示す図である。図7および図8では、表面にパターンが形成されたテストクーポンを用いて実験を行った。図7は、表面に自然酸化によるSiO膜が形成された親水性表面を有するテストクーポンを用いた実験結果を示す。図8は、SiO膜にエッチング処理が施された疎水性表面を有するテストクーポンを用いた実験結果を示す。
【0081】
図7および図8の縦軸は、テストクーポン表面のパターンの倒壊率を示す。図7および図8の横軸の「実施例1,6」は、乾燥処理液として第1乾燥処理液を用いた上述のステップS11~S16の処理に対応する実験結果を示す。横軸の「実施例2」は、乾燥処理液として第2乾燥処理液を用いた上述のステップS11~S16の処理に対応する実験結果を示す。横軸の「実施例3~5,7」は、乾燥処理液として第3乾燥処理液を用いた上述のステップS11~S16の処理に対応する実験結果を示す。また、横軸の「比較例1」は、置換液としてIPAを用いた置換乾燥処理(すなわち、ステップS14~S15を省略した処理)に対応する実験結果を示す。横軸の「比較例2」は、ステップS14~S15の処理において、乾燥処理液に代えてHFEの一種であるHFE-7100 (示性式:COCH, methoxy-nonafluorobutane)を用いた場合の上述のステップS11~S16の処理に対応する実験結果を示す。
【0082】
テストクーポンは、20mm角の略矩形平板状の部材である。テストクーポンの表面に形成されたパターンは、平面視において、同じ位置に中心を有するとともに大きさが異なる複数の矩形により構成される。当該パターンのAR(Aspect Ratio:パターンの底部と高さとの比)は20である。ステップS11~S14の処理液の供給は、各処理液が貯留されたビーカー内にテストクーポンを浸漬することにより行った。
【0083】
図7中の実施例1では、ビーカー内の接触温度の第1乾燥処理液にテストクーポンを1分浸漬した後、テストクーポンをビーカーから取り出して自然乾燥させた。接触温度は、第1乾燥処理液の沸点よりも10℃低い温度である。その後、テストクーポン上におけるパターンの倒壊率を求めた。親水性表面を有する基板9について、実施例1のパターン倒壊率は約47%であった。パターンの倒壊率は、テストクーポンの画像解析を行うことによって求めた。実施例2~7および比較例1,2においても、パターンの倒壊率の求め方は同じである。
【0084】
なお、実施例1に関連して、第1乾燥処理液の接触温度を第1乾燥処理液の沸点未満の範囲で様々に変更してパターンの倒壊率を求めた結果、接触温度と沸点との差が大きくなるに従って倒壊率は増大した。また、実施例1に関連して、上述の接触時間を様々に変更して、テストクーポンに対する第1乾燥処理液の接触角を測定した結果、接触時間が15分以下の範囲においては接触時間が長くなるに従って接触角も大きくなるが、接触時間が15分以上になると接触角はあまり変化しなかった。
【0085】
図7中の実施例2は、第1乾燥処理液を第2乾燥処理液に変更し、接触温度を第2乾燥処理液の沸点よりも10℃低い温度とした点を除き、実施例1と同様である。親水性表面を有する基板9について、実施例2のパターン倒壊率は約53%であった。
【0086】
図7中の実施例3は、第1乾燥処理液を第3乾燥処理液に変更し、接触温度を第3乾燥処理液の沸点よりも40℃低い温度とした点を除き、実施例1と同様である。親水性表面を有する基板9について、実施例3のパターン倒壊率は約13%であった。
【0087】
図7中の実施例4は、第1乾燥処理液を第3乾燥処理液に変更し、接触温度を第3乾燥処理液の沸点よりも65℃低い温度とした点を除き、実施例1と同様である。親水性表面を有する基板9について、実施例4のパターン倒壊率は約17%であった。
【0088】
図7中の実施例5は、第1乾燥処理液を第3乾燥処理液に変更し、接触温度を第3乾燥処理液の沸点よりも90℃低い温度とした点を除き、実施例1と同様である。親水性表面を有する基板9について、実施例5のパターン倒壊率は約31%であった。
【0089】
図7中の比較例1は、第1乾燥処理液をIPAに変更し、接触温度をIPAの沸点よりも10℃低い温度とした点を除き、実施例1と同様である。親水性表面を有する基板9について、比較例1のパターン倒壊率は約86%であった。
【0090】
図7に示すように、親水性表面を有する基板9について、上述のステップS11~S16の処理を行う(実施例1~5)ことにより、ステップS14~S15を省略した置換乾燥処理(比較例1)に比べてパターンの倒壊を抑制することができた。すなわち、従来の乾燥処理(比較例1)では疎水性表面に比べてパターンの倒壊率が高くなる親水性表面を有する基板9であっても、本願発明に係るステップS11~S16の処理(実施例1~5)により、パターンの倒壊を抑制することができる。
【0091】
実施例1と実施例2とを比較すると、終端に-CFHを有する第1乾燥処理液および第2乾燥処理液のうち、分子式に含まれるCの数が7である第1乾燥処理液(実施例1)を使用することにより、分子式に含まれるCの数が3である第2乾燥処理液(実施例2)を使用する場合に比べて、パターンの倒壊をさらに抑制することができた。また、実施例1と実施例3~5とを比較すると、終端に-CFを有する第3乾燥処理液(実施例3~5)を使用することにより、終端に-CFHを有する第1乾燥処理液(実施例1)を使用する場合に比べて、パターンの倒壊をさらに抑制することができた。実施例3~4と実施例5とを比較すると、接触温度と第3乾燥処理液の沸点との差を65℃以下とする(実施例3~4)ことにより、接触温度と第3乾燥処理液の沸点との差が65℃よりも大きい場合(実施例5:温度差90℃)に比べて、パターンの倒壊をさらに抑制することができた。
【0092】
図8中の実施例6では、ビーカーを用いて、テストクーポンを希フッ酸(濃度:約1体積%)に1分浸漬し、続いてDIWに1分浸漬し、さらにIPAに3分浸漬した後、常温の第1乾燥処理液に浸漬した。そして、第1乾燥処理液を第1乾燥処理液の沸点よりも10℃低い接触温度に昇温し、1分維持した。その後、テストクーポンをビーカーから取り出して自然乾燥させ、パターンの倒壊率を求めた。疎水性表面を有する基板9について、実施例6のパターン倒壊率は約10%であった。
【0093】
図8中の実施例7は、第1乾燥処理液を第3乾燥処理液に変更し、接触温度を第3乾燥処理液の沸点よりも40℃低い温度とした点を除き、実施例6と同様である。親水性表面を有する基板9について、実施例7のパターン倒壊率は約17%であった。
【0094】
図8中の比較例2は、第1乾燥処理液をHFE-7100に変更し、接触温度をHFE-7100の沸点よりも10℃低い温度とした点を除き、実施例6と同様である。疎水性表面を有する基板9について、比較例2のパターン倒壊率は約62%であった。
【0095】
図8に示すように、疎水性表面を有する基板9について、乾燥処理液を用いて上述のステップS11~S16の処理を行う(実施例6~7)ことにより、HFEを用いてステップS11~S16を行う場合(比較例2)に比べてパターンの倒壊を抑制することができた。また、実施例6と実施例7とを比較すると、終端に-CFHを有する第1乾燥処理液(実施例6)を使用することにより、終端に-CFを有する第3乾燥処理液(実施例7)を使用する場合に比べて、パターンの倒壊をさらに抑制することができた。
【0096】
以下の表1は、ステップS15における乾燥処理液の接触温度(すなわち、ホットプレート71による乾燥処理液の加熱温度)と、ステップS16の乾燥処理後における基板9上のパターンの倒壊率との関係を示す。
【0097】
【表1】
【0098】
表1中の実施例8,9では、上述のテストクーポンとは異なるパターンが表面に形成された親水性表面を有するテストクーポンを用いて実験を行った。当該テストクーポンのパターンは、多数の微細な柱状のパターン(すなわち、剣山状のSi nano pillar)により構成される。テストクーポンは、20mm角の略矩形平板状の部材である。当該テストクーポンの表面に形成されたパターンのAR(Aspect Ratio:パターンの底部と高さとの比)は20である。ステップS11~S14の処理液の供給は、テストクーポンの上面(すなわち、上記パターンが形成された表面)にピペットにより処理液を滴下することにより行った。また、テストクーポン上からの処理液の除去は、テストクーポン上の処理液をピペットによって吸引することにより行った。
【0099】
実施例8では、ホットプレート上に載置されたテストクーポンの上面に常温の第3乾燥処理液を滴下し(ステップS14)、テストクーポンを下面(すなわち、上記パターンが形成されていない表面)側から当該ホットプレートにより150℃に加熱した(ステップS15)。ステップS15におけるテストクーポンの温度(すなわち、接触温度)は、第3乾燥処理液の沸点(190℃~200℃)よりも低い。そして、第3乾燥処理液が付与されたテストクーポンを150℃にて1分維持した後、テストクーポン上の第3乾燥処理液を除去し、テストクーポン上におけるパターンの倒壊率を求めた。パターンの倒壊率は、上記と同様に、テストクーポンの画像解析を行うことによって求めた。実施例8のパターンの倒壊率は6.8%であった。
【0100】
実施例9は、ステップS15における接触温度を170℃とした点を除き、実施例8と同様である。実施例9のパターン倒壊率は1.7%であった。実施例8と実施例9とを比較すると、接触温度と乾燥処理液の沸点との差が小さい程、倒壊率が低減された。
【0101】
上述のステップS16(基板9の乾燥処理)が終了すると、基板加熱部7により基板9が加熱されることにより、基板9の表面(すなわち、基板9上のパターンの表面等)に吸着している乾燥処理液の分子が除去される(ステップS17)。ステップS17の吸着分子除去処理では、基板9の温度(以下、「分子除去温度」とも呼ぶ。)は、上述の乾燥処理液の沸点よりも高い温度とされる。ステップS17において基板9上から除去される乾燥処理液の分子は、液状の乾燥処理液ではなく、ステップS16の乾燥処理において液状の乾燥処理液が基板9上から除去された後も基板9に吸着して残存している僅かな分子である。ステップS17が終了すると、基板9が基板処理装置1から搬出される。
【0102】
上記例では、ステップS17の吸着分子除去処理は、ステップS11~S16が行われるのと同一のチャンバ11内において、基板保持部31に保持された基板9に対して行われるが、これには限定されない。例えば、ステップS16の終了後の基板9は、基板処理装置1である処理ユニット108から他の処理ユニット108(図1参照)へと移送され、当該他の処理ユニット108において、プラズマ、UV、エキシマ等を利用したアッシング処理により当該基板9の吸着分子除去処理が行われてもよい。あるいは、当該他の処理ユニット108において、ホットプレートによる加熱によって当該吸着分子除去処理が行われてもよい。
【0103】
上記例では、ステップS12のリンス処理と、ステップS14の乾燥処理液の供給との間に、ステップS13の置換液によるリンス液の置換処理が行われるが、基板9上のリンス液の液膜に乾燥処理液を直接的に供給してリンス液を好適に基板9上から除去できる場合は、ステップS13は省略されてもよい。例えば、リンス液と乾燥処理液との親和性がある程度高い場合は、ステップS13を省略することが可能である。また、例えば、乾燥処理液の比重がリンス液の比重よりもある程度以上大きく、乾燥処理液を小流量にてリンス液の液膜に供給することにより乾燥処理液が当該液膜の底部へと好適に沈降する場合も、ステップS13を省略することが可能である。
【0104】
以上に説明したように、上面に凹部を含むパターンが形成された基板9を処理する基板処理方法は、基板9の上面91に薬液を供給する工程(ステップS11)と、ステップS11よりも後に基板9の上面91にリンス液を供給する工程(ステップS12)と、ステップS12よりも後に基板9の上面91に乾燥処理液を供給して基板9の上面91上に乾燥処理液の液膜を形成する工程(ステップS14)と、上面91上に乾燥処理液の液膜が形成された状態の基板9を下面92側から加熱する工程(ステップS15)と、ステップS15よりも後に当該乾燥処理液の液膜を基板9の上面91から除去することにより基板9を乾燥させる工程(ステップS16)と、を備える。当該乾燥処理液の表面張力は、リンス液の表面張力よりも低い。乾燥処理液の沸点は、リンス液の沸点よりも高い。ステップS15における基板9の加熱温度は、リンス液の沸点以上かつ乾燥処理液の沸点未満である。これにより、ステップS16の乾燥処理時におけるパターンの倒壊を抑制することができる。
【0105】
上述の基板処理方法は、ステップS15において乾燥処理液の液膜を基板9の下面92側から加熱することにより、他の加熱方法に比べて下記の利点を有する。例えば、予め上述の接触温度よりも高温に加熱した乾燥処理液を基板9上に供給し、基板9および外気との接触による温度低下により、基板9上の乾燥処理液の液膜温度が接触温度になるように制御する場合、当該温度低下を正確に予測することが難しく、乾燥処理液の加熱温度の制御が複雑化する可能性がある。また、予め行われる乾燥処理液の加熱において、乾燥処理液の温度は沸点未満とする必要があるため、乾燥処理液の沸点と基板9上における乾燥処理液の液膜温度との差を小さくすることに限界がある。さらに、基板9上の液膜温度を維持するためには、液膜形成後も乾燥処理液の供給を継続する必要があり、基板9の処理に係るコストが増大する可能性もある。
【0106】
これに対し、上述の基板処理方法では、乾燥処理液の液膜を基板9の下面92側から加熱することにより、基板9上の乾燥処理液と基板9との界面の接触部の温度を容易に所望の温度とすることができる。また、乾燥処理液の沸点と基板9上における乾燥処理液の液膜温度との差を小さくすることができるため、実施例8,9に示すように、ステップS16の乾燥処理時におけるパターンの倒壊を、より一層抑制することができる。さらに、基板9上における乾燥処理液の液膜形成後、乾燥処理液の供給を停止することができるため、基板9の処理に係るコストを抑制することもできる。
【0107】
また、基板9の上方から乾燥処理液の液膜に光を照射して液膜を加熱する場合、乾燥処理液の液膜表面において光が反射され、液膜の加熱効率が低下する可能性がある。
【0108】
これに対し、上述の基板処理方法では、乾燥処理液の液膜のうち基板9の上面91に接触する部位の温度を、乾燥処理液の液膜の表面温度以上とすることができるため、液膜表面の急速な気化による亀裂等の発生を抑制することができる。また、乾燥処理液の液膜の加熱を効率良く行うこともできる。
【0109】
上述のように、当該乾燥処理液は、含フッ素アルコールを含むことが好ましい。これにより、上述のように、ステップS14~S15において乾燥処理液の-OHがパターン表面の酸素原子(O)等と結合し、乾燥処理液の分子がパターン表面に吸着する。このため、パターン表面が、乾燥処理液の分子によって被覆された状態となる。したがって、パターン表面に乾燥処理液が吸着していない場合に比べて、パターンの表面自由エネルギーが減少し、パターン表面に対する乾燥処理液の接触角が増大して90°に近づく。その結果、パターン間に働く毛細管力が低減されるため、ステップS16の乾燥処理時におけるパターンの倒壊をより抑制することができる。
【0110】
上述の含フッ素アルコールは、終端に-CFHを有することが好ましい。これにより、パターン表面は、乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFHによって被覆された状態となる。分子終端の当該-CFHは、表面自由エネルギーを減少させる効果が大きい。したがって、ステップS16の乾燥処理時におけるパターンの倒壊をさらに抑制することができる。
【0111】
また、含フッ素アルコールは、終端に-CFを有することも好ましい。これにより、パターン表面は、乾燥処理液の分子の終端に存在する-CFによって被覆された状態となる。分子終端の当該-CFは、-CFHと略同様に、表面自由エネルギーを減少させる効果が大きい。したがって、ステップS16の乾燥処理時におけるパターンの倒壊をさらに抑制することができる。
【0112】
上述のように、含フッ素アルコールの分子式に含まれるCの数は4以上であることが好ましい。図7の実験結果にも示されるように、当該Cの数が4以上(実施例1)であることにより、当該Cの数が4未満(実施例2)である場合に比べて、パターンの倒壊をより一層抑制することができる。
【0113】
上述の基板処理方法は、好ましくは、ステップS16よりも後に、基板9を加熱することにより、基板9の上面91に吸着している乾燥処理液の分子を除去する工程(ステップS17)をさらに備える。このように、基板9の上面91の不要な吸着物を除去することにより、基板9の清浄性を向上することができる。
【0114】
上述の基板処理方法は、好ましくは、ステップS12(リンス液の供給)とステップS14(乾燥処理液の供給)との間において、基板9の上面91に置換液を供給し、基板9の上面91上のリンス液を置換液に置換する工程(ステップS13)をさらに備える。この場合、ステップS14において、基板9の上面91上の置換液が乾燥処理液に置換される。これにより、基板9上におけるリンス液と乾燥処理液との直接的な接触を避けることができるため、リンス液と乾燥処理液との親和性が比較的低い場合であっても、当該直接的接触により液跳ね等が生じることを防止しつつ、基板9の上面91に接触する処理液をリンス液から乾燥処理液に円滑に変更することができる。
【0115】
上述のように、好ましくは、ステップS14において、予め加熱された乾燥処理液が、基板9の上面91に供給される。これにより、常温の乾燥処理液を基板9の上面91に供給してから接触温度まで加熱する場合等に比べて、乾燥処理液の供給開始から基板9と接触温度の乾燥処理液との接触までの時間を短くすることができる。その結果、基板9の処理に要する時間を短くすることができる。
【0116】
上述のように、好ましくは、ステップS16(乾燥処理液の液膜の除去)が行われている間も、基板9が下面92側から加熱される。これにより、ステップS16が行われている間も、乾燥処理液の表面張力の低下を抑制することができるため、パターンの倒壊をさらに抑制することができる。パターンの倒壊抑制の観点からは、ステップS16が行われている間の基板9の加熱温度は、ステップS15における加熱温度と略同じとされることが好ましい。
【0117】
上述のように、ステップS15における基板9の加熱は、基板9の下面92に対向して配置された電気ヒータにより行われることが好ましい。これにより、簡素な構造で基板9の加熱を行うことができる。また、当該電気ヒータとしては、上述のように、基板9の下面92に当接または近接することにより基板9を加熱可能なホットプレート71が利用されることが好ましい。より好ましくは、ホットプレート71の大きさは、基板9と略同じとされる。これにより、基板9の上面91上における乾燥処理液の液膜温度の面内均一性を向上することができる。換言すれば、基板9の上面91上における位置の違いによる液膜の温度差を小さくすることができる。その結果、基板9上のパターン表面に対する乾燥処理液の分子の吸着についても、面内均一性を向上することができる。したがって、基板9の上面91全体において、パターンの倒壊を略均等に抑制することができる。
【0118】
上記基板処理方法では、上述の接触温度と乾燥処理液の沸点との差は65℃以下(例えば、図7の実施例3~4)であることが好ましい。これにより、乾燥処理液の分子のパターンへの吸着を効率良く行うことができる。その結果、接触温度と乾燥処理液の沸点との差が65℃よりも大きい場合(実施例5)に比べて、パターンの倒壊をより一層抑制することができる。
【0119】
上述のように、ステップS15において、基板9の上面91に対する接触温度の乾燥処理液の接触時間は、10秒以上であることが好ましい。これにより、基板9上のパターン表面に対する乾燥処理液の分子の吸着が好適に行われる。その結果、ステップS16の乾燥処理時におけるパターンの倒壊をさらに抑制することができる。
【0120】
上述の基板処理装置1は、基板9の上面91に薬液を供給する薬液供給部(上記例では、第1ノズル51)と、基板9の上面91にリンス液を供給するリンス液供給部(上記例では、第2ノズル52)と、基板9の上面91に乾燥処理液を供給する乾燥処理液供給部(上記例では、第4ノズル54)と、上面91上に乾燥処理液の液膜が形成された状態の基板9を下面92側から加熱する基板加熱部7と、乾燥処理液の液膜を基板9の上面91から除去することにより基板9を乾燥させる乾燥処理部(上記例では、上ノズル55および/または基板回転機構33)と、を備える。乾燥処理液の表面張力は、リンス液の表面張力よりも低い。乾燥処理液の沸点は、リンス液の沸点よりも高い。基板加熱部7による基板9の加熱温度は、リンス液の沸点以上かつ乾燥処理液の沸点未満である。
【0121】
これにより、上述のように、乾燥処理時におけるパターンの倒壊を抑制することができる。また、乾燥処理液の液膜における亀裂等の発生を抑制しつつ、乾燥処理液の沸点と基板9上における乾燥処理液の液膜温度との差を小さくすることができる。
【0122】
上記基板処理装置1では、基板加熱部7は、基板9の下面92に対向して配置された電気ヒータであることが好ましい。これにより、基板処理装置1の構造を簡素化することができる。また、当該電気ヒータとしては、上述のように、基板9の下面92に当接または近接することにより基板9を加熱可能なホットプレート71が利用されることが好ましい。より好ましくは、ホットプレート71の大きさは、基板9と略同じとされる。これにより、基板9の上面91上における乾燥処理液の液膜温度の面内均一性を向上することができ、基板9上のパターン表面に対する乾燥処理液の分子の吸着についても、面内均一性を向上することができる。したがって、基板9の上面91全体において、パターンの倒壊を略均等に抑制することができる。
【0123】
上述のように、当該乾燥処理液は、含フッ素アルコールを含むことが好ましい。これにより、上記と同様に、基板9の乾燥処理時におけるパターンの倒壊をより抑制することができる。
【0124】
上述の基板処理装置1および基板処理方法では、様々な変更が可能である。
【0125】
例えば、乾燥処理液は、上述の第1乾燥処理液および第2乾燥処理液には限定されず、終端に-CFHを有する他の種類の含フッ素アルコールを含むものであってもよい。あるいは、乾燥処理液は、上述のように、終端に-CFを有する様々な種類の含フッ素アルコールを含むものであってもよい。また、乾燥処理液は、終端に-CFHおよび-CF以外の構造を有する様々な種類の含フッ素アルコールを含むものであってもよい。含フッ素アルコールの分子式に含まれるCの数は3以下であってもよく、8以上であってもよい。なお、乾燥処理液は、含フッ素アルコールを含まないものであってもよい。
【0126】
ステップS15における基板9の下面92側からの加熱は、必ずしもホットプレート71により行われる必要はなく、様々な方法により当該加熱が行われてよい。例えば、基板9の下方に配置された光照射部が基板加熱部7に設けられ、当該光照射部から基板9の下面92に光が照射されることにより、基板9が下面92側から加熱されてもよい。あるいは、基板9の下方に配置されたノズルが基板加熱部7に設けられ、加熱された不活性ガス等の流体が当該ノズルから基板9の下面92へと供給されることにより、基板9の下面92側からの加熱が行われてもよい。
【0127】
ステップS15では、基板9の上面91に対する接触温度の乾燥処理液の接触時間は、10秒未満であってもよい。また、当該接触温度と乾燥処理液の沸点との差は65℃よりも大きくてもよい。
【0128】
基板処理装置1では、ステップS16の乾燥処理において、基板9上からの乾燥処理液の除去は様々な方法により実現されてよい。例えば、ホットプレート71により、基板9を乾燥処理液の沸点以上の温度に加熱することにより、基板9上の乾燥処理液のうち基板9に接触している部分を気化させて気層を形成する。そして、当該気相上に支持された乾燥処理液の液膜中央部に窒素ガス等を噴射して液膜に孔を開けた後、更なる窒素ガスの噴射と基板9の回転とによって当該孔を径方向外方に向けて拡大していくことにより、基板9上から液状の乾燥処理液が除去されてもよい。あるいは、基板9の外周縁近傍に吸引口が配置された吸引機構により、基板9の上面91上の乾燥処理液が吸引されて除去されてもよい。
【0129】
基板処理装置1では、ステップS16における乾燥処理が行われている間、基板9上の乾燥処理液の加熱は、必ずしも基板加熱部7により行われる必要はない。例えば、ステップS16中の乾燥処理液の液膜の加熱は、当該液膜に対する光の照射により行われてもよい。あるいは、基板9の下面92に加熱された不活性ガス等の流体が付与されることにより、ステップS16中の乾燥処理液の液膜の加熱が行われてもよい。また、ステップS16では、必ずしも乾燥処理液の液膜が加熱される必要はなく、当該液膜に対する加熱は省略されてもよい。
【0130】
ステップS16の終了後において、パターン表面に吸着している乾燥処理液の分子が基板9の品質に対して実質的に悪影響を与えない場合等、ステップS17の吸着分子除去処理は省略されてもよい。
【0131】
上述のステップS11~S17は、基板処理装置1以外の構造を有する装置において実施されてもよい。
【0132】
上述の基板処理装置1は、半導体基板以外に、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の平面表示装置(Flat Panel Display)に使用されるガラス基板、あるいは、他の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。また、上述の基板処理装置1は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
【0133】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0134】
1 基板処理装置
7 基板加熱部
9 基板
33 基板回転機構
51 第1ノズル
52 第2ノズル
53 第3ノズル
54 第4ノズル
55 上ノズル
71 ホットプレート
91 (基板の)上面
92 (基板の)下面
S11~S17 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8