(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178482
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085321
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉成
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022JJ11
3F022MM04
3F022QQ03
(57)【要約】
【課題】物品の移載が行われる移載位置まで保持部を適切に案内することが可能でありながら、物品搬送車の軽量化を図りやすい物品搬送設備を実現する。
【解決手段】移載装置30は、物品を保持する保持部31と、保持部31を支持して走行する自走台車33と、を備える。自走台車33は、車輪と車輪を駆動する車輪駆動源34とを備え、昇降ユニット20及び授受装置50に設けられた走行路Tを走行する。授受装置50は、昇降ユニット20が移載高さH2にある状態で昇降ユニット20を位置決めする位置決め部と、走行路Tに沿う自走台車33の走行を案内する授受側案内部55と、を備える。昇降ユニット20は、走行路Tに沿う自走台車33の走行を案内する昇降側案内部25を備え、昇降ユニット20が位置決め部に位置決めされた状態で、昇降側案内部25が授受側案内部55と連続するように配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送車と、前記物品搬送車により搬送される前記物品の受け渡し先となる授受装置と、を備えた物品搬送設備であって、
前記物品搬送車は、走行する走行台車と、前記走行台車に対して昇降する昇降ユニットと、前記昇降ユニットに搭載された移載装置と、を備え、
前記昇降ユニットは、前記走行台車の走行中における基準高さである走行中高さと、前記移載装置による前記授受装置との前記物品の受け渡し中における高さである移載高さと、に昇降し、
前記移載装置は、前記物品を保持する保持部と、前記保持部を支持して走行する自走台車と、を備え、
前記自走台車は、車輪と前記車輪を駆動する車輪駆動源とを備え、前記昇降ユニット及び前記授受装置に設けられた走行路を走行し、
前記授受装置は、前記昇降ユニットが前記移載高さにある状態で前記昇降ユニットを位置決めする位置決め部と、前記走行路に沿う前記自走台車の走行を案内する授受側案内部と、を備え、
前記昇降ユニットは、前記走行路に沿う前記自走台車の走行を案内する昇降側案内部を備え、前記昇降ユニットが前記位置決め部に位置決めされた状態で、前記昇降側案内部が前記授受側案内部と連続するように配置される、物品搬送設備。
【請求項2】
前記授受装置は、前記昇降ユニットの前記移載高さへの昇降中に、前記昇降ユニットが前記位置決め部に位置決めされるように前記昇降ユニットを案内する昇降案内部を更に備えている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記移載高さは、前記走行中高さよりも下方に設定され、
前記昇降案内部による前記昇降ユニットの案内開始位置が、前記授受側案内部の上端よりも上方に位置するように、前記昇降案内部が設けられている、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記授受側案内部及び前記昇降側案内部は、ラックギヤであり、
前記車輪は、前記ラックギヤに噛み合うピニオンギヤを含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記走行路に沿う方向を走行路方向とし、上下方向に沿う上下方向視で前記走行路方向に直交する方向を幅方向として、
前記ラックギヤは、前記走行路方向に延在するように配置され、
前記ラックギヤの歯面は、前記幅方向の一方側を向くように配置され、
前記ピニオンギヤは、前記上下方向に沿う軸心回りに回転するように支持され、
前記自走台車は、前記上下方向に沿う軸心回りに回転するように支持された案内輪を更に備え、
前記案内輪は、前記ラックギヤにおける前記幅方向の他方側を向く面である背面に沿って転動するように配置されている、請求項4に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記移載装置は、前記昇降ユニットと前記自走台車とを接続する接続配線を更に備え、
前記接続配線の一部である第1部分が、前記自走台車に固定され、
前記接続配線の別の一部である第2部分が、前記昇降ユニットに固定され、
前記接続配線に沿った前記第1部分と前記第2部分との距離が、前記走行路に沿う前記自走台車の走行範囲の長さに応じて設定されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項7】
前記昇降ユニットは、前記自走台車が前記昇降ユニットに設定された規定位置にある状態で前記自走台車の移動を規制する規制状態と、前記自走台車の移動の規制を解除した規制解除状態とに、状態変更可能に構成された規制機構を更に備え、
前記規制機構の状態変更が、前記昇降ユニットの昇降動作を利用して行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する物品搬送車と、物品搬送車により搬送される物品の受け渡し先となる授受装置と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備の一例が、韓国公開特許第10-2015-0072840号公報(特許文献1)に開示されている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の物品搬送設備は、対象物(M)を搬送する搬送台車(200)と、搬送台車(200)により搬送される対象物(M)の受け渡し先となる積載部(P1)と、を備えている。搬送台車(200)は、走行するキャリアユニット(230)と、キャリアユニット(230)に対して昇降する対象物収容部(251)と、対象物収容部(251)に搭載されたトランスファユニット(250)と、を備えている。トランスファユニット(250)は、対象物(M)を支持する対象物支持部(253a)を備えており、対象物支持部(253a)と積載部(P1)との間で対象物(M)を移載する。
【0004】
特許文献1の
図5に示されているように、特許文献1の物品搬送設備では、積載部(P1)は、キャリアユニット(230)の走行経路に対して水平方向にずれた位置に配置されており、トランスファユニット(250)は、対象物支持部(253a)を対象物収容部(251)に対して水平方向に出退移動(突出移動及び引退移動)させるトランスファ駆動モジュール(255)を備えている。そして、特許文献1の
図7に示されているように、対象物支持部(253a)がトランスファ駆動モジュール(255)によって積載部(P1)の側に突出移動された状態で、対象物支持部(253a)と積載部(P1)との間で対象物(M)が移載される。
【0005】
特許文献1の
図6~
図9に示されているように、上記のトランスファ駆動モジュール(255)は、2段のスライド機構を用いて構成されている。具体的には、トランスファ駆動モジュール(255)は、対象物収容部(251)にリニアガイドを介して連結されると共に対象物支持部(253a)に別のリニアガイドを介して連結されたスライディングプレート(253b)を備えており、スライディングプレート(253b)を対象物収容部(251)に対してスライド移動させると共に、対象物支持部(253a)をスライディングプレート(253b)に対してスライド移動させることで、対象物支持部(253a)を対象物収容部(251)に対して出退移動させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0072840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1の物品搬送設備では、キャリアユニットに対して昇降する対象物収容部に搭載されたトランスファユニットが、対象物を支持する対象物支持部を、対象物収容部に対して水平方向に出退移動させることが可能に構成されている。すなわち、走行台車に対して昇降する昇降ユニットに搭載された移載装置が、物品を保持する保持部を、昇降ユニットに対して水平方向に出退移動させることが可能に構成されている。そして、保持部と授受装置(特許文献1では、積載部)との間で物品を移載する場合に、移載装置は、物品の移載が行われる移載位置まで保持部を昇降ユニットに対して突出移動させるように構成されている。
【0008】
特許文献1の物品搬送設備では、保持部を昇降ユニットに対して出退移動させる出退機構(具体的には、2段のスライド機構)が移載装置に設けられ、この出退機構によって移載位置までの保持部の移動を案内している。そのため、出退機構には、保持部を移載位置まで適切に案内することができる程度のストローク量及び剛性が求められる。この結果、このようなストローク量及び剛性を確保するために出退機構の構造が複雑化すること等によって、出退機構が設けられる移載装置の重量が大きくなりやすかった。物品搬送車(特許文献1では、搬送台車)の消費電力の低減の観点等から、物品搬送車の重量はできるだけ小さく抑えられることが望ましいが、特許文献1の物品搬送設備では、上記のように移載装置の重量が大きくなりやすく、物品搬送車の軽量化が困難であった。
【0009】
そこで、物品の移載が行われる移載位置まで保持部を適切に案内することが可能でありながら、物品搬送車の軽量化を図りやすい物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る物品搬送設備は、物品を搬送する物品搬送車と、前記物品搬送車により搬送される前記物品の受け渡し先となる授受装置と、を備えた物品搬送設備であって、前記物品搬送車は、走行する走行台車と、前記走行台車に対して昇降する昇降ユニットと、前記昇降ユニットに搭載された移載装置と、を備え、前記昇降ユニットは、前記走行台車の走行中における基準高さである走行中高さと、前記移載装置による前記授受装置との前記物品の受け渡し中における高さである移載高さと、に昇降し、前記移載装置は、前記物品を保持する保持部と、前記保持部を支持して走行する自走台車と、を備え、前記自走台車は、車輪と前記車輪を駆動する車輪駆動源とを備え、前記昇降ユニット及び前記授受装置に設けられた走行路を走行し、前記授受装置は、前記昇降ユニットが前記移載高さにある状態で前記昇降ユニットを位置決めする位置決め部と、前記走行路に沿う前記自走台車の走行を案内する授受側案内部と、を備え、前記昇降ユニットは、前記走行路に沿う前記自走台車の走行を案内する昇降側案内部を備え、前記昇降ユニットが前記位置決め部に位置決めされた状態で、前記昇降側案内部が前記授受側案内部と連続するように配置される。
【0011】
本構成によれば、昇降ユニットが授受装置の位置決め部に位置決めされた状態で、互いに連続するように配置された昇降側案内部と授受側案内部とによって、昇降ユニットと授受装置との間の走行路の全域に亘って自走台車の走行を案内することができる。これにより、保持部と授受装置との間での物品の移載が行われる移載位置まで、自走台車及びそれに支持された保持部を適切に案内することが可能となっている。
【0012】
本構成では、走行路における昇降側案内部と授受側案内部との接続部よりも昇降ユニットの側の部分では、昇降ユニットに設けられた昇降側案内部によって自走台車の走行を案内し、走行路における当該接続部よりも授受装置の側の部分では、授受装置に設けられた授受側案内部によって自走台車の走行を案内する。このように、走行路における授受装置の側の部分での自走台車の走行の案内を、授受装置に設けられた授受側案内部によって行うことで、当該授受装置の側の部分での自走台車の走行の案内までを昇降ユニットに設けられた昇降側案内部によって行う場合に比べて、昇降側案内部の構成を簡略化することができる。この結果、移載装置が搭載される昇降ユニットの軽量化、延いては物品搬送車の軽量化を図りやすくなっている。
【0013】
以上のように、本構成によれば、物品の移載が行われる移載位置まで保持部を適切に案内することが可能でありながら、物品搬送車の軽量化を図りやすくなっている。
【0014】
物品搬送設備の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
物品搬送設備の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、物品搬送設備100は、物品Wを搬送する物品搬送車1と、物品搬送車1により搬送される物品Wの受け渡し先となる授受装置50と、を備えている。物品Wの種類はこれに限定されないが、物品Wは、例えば、収容物が収容される容器とされる。このような容器として、ICチップを支持するトレイが複数枚収容されるカセットを例示することができる。
【0018】
図1に示すように、物品搬送車1は、走行する走行台車10と、走行台車10に対して昇降する昇降ユニット20と、昇降ユニット20に搭載された移載装置30と、を備えている。本実施形態では、走行台車10は、天井3に沿って形成された走行経路に沿って走行する。
図1に示す例では、この走行経路は、天井3から吊り下げ支持されたレール2(ここでは、一対のレール2)によって形成されている。走行台車10は、レール2の走行面(ここでは、上面)を転動する走行輪11を備えており、電動モータ等の駆動源の駆動力により走行輪11が回転駆動されることで、走行台車10がレール2に沿って走行する。このように、本実施形態では、物品搬送車1は、天井3に沿って形成された走行経路に沿って走行する天井搬送車である。なお、物品搬送車1は、天井搬送車以外の搬送車であってもよい。
【0019】
昇降ユニット20は、走行台車10の走行中における基準高さである走行中高さH1と、移載装置30による授受装置50との物品Wの受け渡し中における高さである移載高さH2と、に昇降する。高さは、上下方向Z(鉛直方向)の位置である。
図1では、走行中高さH1に位置する昇降ユニット20を一点鎖線で示し、移載高さH2に位置する昇降ユニット20を実線で示している。
【0020】
走行中高さH1は、走行台車10の高さを基準として設定される高さである。本実施形態では、物品搬送車1は、走行台車10に連結されたカバー部12を備えており、走行中高さH1は、昇降ユニット20、移載装置30、及び、移載装置30(具体的には、後述する保持部31)に保持された物品Wが、カバー部12の内部空間に配置される高さに設定されている。
図1に示す例では、カバー部12は、走行台車10に対して下方Z2に配置された状態で、走行台車10に支持されており、カバー部12の内部空間は、少なくとも下方Z2に開口するように形成されている。
【0021】
移載高さH2は、各授受装置50の高さに応じて設定される。本実施形態では、移載高さH2は、走行中高さH1よりも下方Z2に設定されている。
図1に示す例では、授受装置50は、物品Wを処理対象とする処理装置4のロードポートである。処理装置4は、例えば、物品Wとしての容器から収容物を取り出して当該収容物に対して処理を行う装置とされる。なお、授受装置50は、処理装置4のロードポートに限られず、例えば、物品Wを保管する保管装置における物品Wの入出庫部(載置台やコンベヤ等)を、授受装置50とすることができる。
【0022】
物品搬送車1は、昇降ユニット20を走行台車10に対して昇降させる昇降装置13を備えている。本実施形態では、昇降装置13は、昇降ユニット20を吊り下げ支持した状態で、昇降ユニット20を昇降させる。具体的には、昇降装置13は、ベルトやワイヤ等の伝動部材15と、伝動部材15が巻回された回転体14と、を備えている。昇降ユニット20は、伝動部材15の先端部(本例では、4本の伝動部材15のそれぞれの先端部、
図2参照)に連結されており、昇降装置13は、電動モータ等の駆動源の駆動力により回転体14を回転させて、伝動部材15を巻き取り又は繰り出すことで、昇降ユニット20を上昇又は下降させる。
【0023】
図2に示すように、移載装置30は、物品Wを保持する保持部31と、保持部31を支持して走行する自走台車33と、を備えている。移載装置30は、保持部31と授受装置50との間で物品Wを移載することで、授受装置50との物品Wの受け渡しを行う。
図4に示すように、本実施形態では、保持部31は、物品Wを下方Z2から支持することで当該物品Wを保持する。言い換えれば、物品Wは、保持部31に載置された状態で当該保持部31に保持される。本実施形態では、保持部31は、昇降可能に自走台車33に支持されている。移載装置30は、電動モータ等の駆動源の駆動力により保持部31を昇降させる。
【0024】
図3及び
図5に示すように、自走台車33は、車輪35と、車輪35を駆動する車輪駆動源34(例えば、電動モータ)と、を備えている。自走台車33は、昇降ユニット20及び授受装置50に設けられた走行路Tを走行する。具体的には、車輪35が車輪駆動源34により回転駆動されることで、自走台車33が走行路Tを走行する。昇降ユニット20の昇降時には、自走台車33は、昇降ユニット20上に配置される(
図1参照)。
【0025】
ここで、走行路Tに沿う方向を走行路方向Xとする。そして、走行路方向Xにおける昇降ユニット20に対して授受装置50が配置された側を走行路方向第1側X1とし、走行路方向Xにおける走行路方向第1側X1とは反対側を走行路方向第2側X2とする。本実施形態では、走行路方向Xは水平方向である。また、上下方向Zに沿う上下方向視(すなわち、平面視)で走行路方向Xに直交する方向を幅方向Yとする。そして、幅方向Yの一方側を幅方向第1側Y1とし、幅方向Yの他方側を幅方向第2側Y2とする。本実施形態では、走行路方向Xに直交する水平方向を幅方向Yとしている。また、本実施形態では、幅方向Yは、走行台車10の走行方向と一致している。すなわち、走行路方向Xは、上下方向視で走行台車10の走行方向に直交する方向となっている。本実施形態では、幅方向第1側Y1が「幅方向の一方側」に相当し、幅方向第2側Y2が「幅方向の他方側」に相当する。
【0026】
本実施形態では、車輪35は、自走台車33の重量を支持するようには設けられておらず、自走台車33は、車輪35とは別に、当該自走台車33の重量を支持する支持輪39を備えている。支持輪39は、自走台車33の走行面に接触して、自走台車33を支持する。具体的には、支持輪39は、昇降ユニット20の上面(本例では、後述する昇降体21の上面)や授受装置50の上面(本例では、後述する第1支持体51の上面)に接触して、自走台車33を支持する。支持輪39は、回転可能に自走台車33に取り付けられている。
【0027】
昇降ユニット20は、走行路Tに沿う自走台車33の走行を案内する昇降側案内部25を備えている。自走台車33は、昇降ユニット20上において、昇降側案内部25に案内された状態で走行路Tに沿って走行する。本実施形態では、昇降側案内部25は、昇降ユニット20が備える昇降体21の上面に設けられている。そして、自走台車33は、昇降体21に下方Z2から支持され、且つ、昇降側案内部25に案内された状態で、走行路Tに沿って走行する。なお、昇降体21の上面には、上述した伝動部材15の先端部が連結されている。
【0028】
授受装置50は、走行路Tに沿う自走台車33の走行を案内する授受側案内部55を備えている。自走台車33は、授受装置50上において、授受側案内部55に案内された状態で走行路Tに沿って走行する。本実施形態では、授受側案内部55は、授受装置50が備える第1支持体51の上面に設けられている。そして、自走台車33は、第1支持体51に下方Z2から支持され、且つ、授受側案内部55に案内された状態で、走行路Tに沿って走行する。
【0029】
図3に示すように、本実施形態では、授受側案内部55及び昇降側案内部25は、ラックギヤである。具体的には、昇降側案内部25は第1ラックギヤ26であり、授受側案内部55は第2ラックギヤ56である。第1ラックギヤ26は、昇降ユニット20(本例では、昇降体21)に固定され、第2ラックギヤ56は、授受装置50(本例では、第1支持体51)に固定されている。第1ラックギヤ26及び第2ラックギヤ56は、走行路方向Xに延在するように配置されている。以下では、第1ラックギヤ26と第2ラックギヤ56とに共通の事項について述べる場合には、これらを区別することなくラックギヤ(26,56)という。本実施形態では、第1ラックギヤ26及び第2ラックギヤ56が「ラックギヤ」に相当する。
【0030】
図3及び
図5に示すように、本実施形態では、車輪35は、ラックギヤ(26,56)に噛み合う駆動ピニオンギヤ36を含んでいる。ここでは、車輪35は駆動ピニオンギヤ36のみを含んでいる。すなわち、車輪35は駆動ピニオンギヤ36である。駆動ピニオンギヤ36は、自走台車33の走行路方向Xの位置に応じて、第1ラックギヤ26又は第2ラックギヤ56に噛み合う。駆動ピニオンギヤ36は、回転可能に自走台車33に支持されており、車輪駆動源34により回転駆動される。本実施形態では、駆動ピニオンギヤ36が「ピニオンギヤ」に相当する。
【0031】
図3に示す例では、自走台車33は、駆動ピニオンギヤ36とは別に、ラックギヤ(26,56)に噛み合う従動ピニオンギヤ37を備えている。従動ピニオンギヤ37は、自走台車33の走行路方向Xの位置に応じて、第1ラックギヤ26又は第2ラックギヤ56に噛み合う。従動ピニオンギヤ37は、回転可能に自走台車33に支持されており、駆動ピニオンギヤ36の回転に従動して回転する。従動ピニオンギヤ37は、駆動ピニオンギヤ36とは走行路方向Xの異なる位置に配置され、
図3に示す例では、駆動ピニオンギヤ36に対して走行路方向第1側X1に配置されている。
【0032】
駆動ピニオンギヤ36が車輪駆動源34により回転駆動されて、駆動ピニオンギヤ36がラックギヤ(26,56)に対して走行路方向Xに移動することで、自走台車33が走行路方向Xに移動する。自走台車33が走行路方向Xに移動する側は、駆動ピニオンギヤ36の回転方向に応じて定まる。すなわち、駆動ピニオンギヤ36の回転方向を切り替えることで、自走台車33が走行路方向第1側X1に移動する状態と自走台車33が走行路方向第2側X2に移動する状態とが切り替えられる。
【0033】
本実施形態では、ラックギヤ(26,56)の歯面は、幅方向第1側Y1を向くように配置されている。具体的には、第1ラックギヤ26の歯面である第1歯面26aが、幅方向第1側Y1を向くように配置され、第2ラックギヤ56の歯面である第2歯面56aが、幅方向第1側Y1を向くように配置されている。そして、駆動ピニオンギヤ36は、上下方向Zに沿う軸心回りに回転するように支持されている。従動ピニオンギヤ37も、上下方向Zに沿う軸心回りに回転するように支持されている。自走台車33は、更に、上下方向Zに沿う軸心回りに回転するように支持された案内輪38(本例では、遊転輪)を備えている。案内輪38は、回転可能に自走台車33に支持されている。そして、案内輪38は、ラックギヤ(26,56)における幅方向第2側Y2を向く面である背面に沿って転動するように配置されている。案内輪38は、自走台車33の走行路方向Xの位置に応じて、第1ラックギヤ26の背面である第1背面26bに沿って転動し、又は、第2ラックギヤ56の背面である第2背面56bに沿って転動する。本実施形態では、第1歯面26a及び第2歯面56aが「歯面」に相当し、第1背面26b及び第2背面56bが「背面」に相当する。
【0034】
上記のように、駆動ピニオンギヤ36と案内輪38とをラックギヤ(26,56)に対して幅方向Yの両側に分けて配置することで、
図5に示すように、駆動ピニオンギヤ36と案内輪38とでラックギヤ(26,56)を幅方向Yの両側から挟んだ状態で、自走台車33を走行させることができる。これにより、自走台車33がラックギヤ(26,56)に対して幅方向Yに移動することを規制しつつ、ラックギヤ(26,56)が延在する走行路方向Xに沿って自走台車33を走行させることが可能となっている。
【0035】
図3に示す例では、2つの案内輪38が走行路方向Xの互いに異なる位置に配置されている。一方の案内輪38は、駆動ピニオンギヤ36に対応する走行路方向Xの位置(ここでは、駆動ピニオンギヤ36と幅方向Yに対向する位置)に配置され、他方の案内輪38は、従動ピニオンギヤ37に対応する走行路方向Xの位置(ここでは、従動ピニオンギヤ37と幅方向Yに対向する位置)に配置されている。そのため、ラックギヤ(26,56)は、駆動ピニオンギヤ36と案内輪38とによって幅方向Yの両側から挟まれると共に、従動ピニオンギヤ37と別の案内輪38とによって幅方向Yの両側から挟まれている。
【0036】
図4に示すように、授受装置50は、昇降ユニット20が移載高さH2にある状態で昇降ユニット20を位置決めする位置決め部53を備えている。そして、昇降ユニット20が位置決め部53に位置決めされた状態で、昇降側案内部25が授受側案内部55と連続するように配置される(
図2~
図4参照)。言い換えれば、昇降ユニット20が位置決め部53に位置決めされた状態で、昇降側案内部25は授受側案内部55の延長線上(具体的には、走行路方向Xに沿って走行路方向第2側X2に延長した線上)に配置される。そのため、昇降ユニット20が位置決め部53に位置決めされた状態で、自走台車33は、昇降ユニット20上と授受装置50上との間を移動する(行き来する)ことができる。走行路Tにおける昇降側案内部25と授受側案内部55との接続部では、昇降側案内部25における走行路方向第1側X1の端部と、授受側案内部55における走行路方向第2側X2の端部とが、走行路方向Xに対向するように(ここでは、隙間を空けて対向するように)配置される。
【0037】
自走台車33が昇降ユニット20上と授受装置50上との間を移動する際には、互いに連続するように配置された昇降側案内部25と授受側案内部55とによって、自走台車33の走行が案内される。具体的には、走行路Tにおける昇降側案内部25と授受側案内部55との接続部よりも昇降ユニット20の側の部分では、昇降側案内部25によって自走台車33の走行が案内され、走行路Tにおける当該接続部よりも授受装置50の側の部分では、授受側案内部55によって自走台車33の走行が案内される。互いに連続するように配置された昇降側案内部25と授受側案内部55とによって、昇降ユニット20と授受装置50との間の走行路Tの全域に亘って自走台車33の走行を案内することができるため、
図2に示すように、保持部31と授受装置50との間での物品Wの移載が行われる移載位置Lまで、自走台車33及びそれに支持された保持部31を適切に案内することが可能となっている。
図2では、移載位置Lに配置された自走台車33及び保持部31を一点鎖線で示している。
【0038】
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、授受装置50は、物品Wを下方Z2から支持する支持部58を、移載位置Lに備えている。本実施形態では、移載装置30が備える保持部31は、物品Wにおける幅方向Yの中央部分を下方Z2から支持し、移載位置Lに設けられた支持部58は、物品Wにおける幅方向Yの両側の部分を下方Z2から支持する。支持部58は、保持部31と干渉しないように、保持部31が移動する空間を避けて配置されている。そして、保持部31が移載位置Lに配置された状態で保持部31を昇降させることで、保持部31と授受装置50との間で物品Wが移載される。
【0039】
具体的には、保持部31から授受装置50に物品Wを移載する場合には、物品Wを保持した状態の保持部31を設定高さ(具体的には、保持部31に保持された物品Wの底面が、支持部58よりも上方Z1に配置される高さ)に昇降させた状態で、自走台車33を昇降ユニット20上の位置から移載位置Lまで走行路方向第1側X1に向けて走行させる。そして、移載位置Lに配置された状態の保持部31を下降させることで、保持部31に保持された物品Wを支持部58に降ろした後、自走台車33を移載位置Lから昇降ユニット20上の位置まで走行路方向第2側X2に向けて走行させる。
【0040】
また、授受装置50から保持部31に物品Wを移載する場合には、物品Wを保持していない状態の保持部31を上記とは別の設定高さ(具体的には、
図5に例示するように、保持部31の上面が、支持部58に支持された物品Wの底面よりも下方Z2に配置される高さ)に昇降させた状態で、自走台車33を昇降ユニット20上の位置から移載位置Lまで走行路方向第1側X1に向けて走行させる。そして、移載位置Lに配置された状態の保持部31を上昇させることで、支持部58に支持された物品Wを保持部31によって持ち上げて当該物品Wを保持部31によって保持した後、自走台車33を移載位置Lから昇降ユニット20上の位置まで走行路方向第2側X2に向けて走行させる。
【0041】
図1に示すように、この物品搬送設備100では、移載位置Lは、走行台車10の走行経路に対して水平方向にずれた位置(具体的には、走行路方向第1側X1にずれた位置)に配置されており、自走台車33を走行路方向第1側X1に向けて走行させることで、保持部31を移載位置Lまで移動させる。すなわち、移載位置Lに対する保持部31のアクセスは、移載位置Lに対して走行路方向第2側X2から行われる。保持部31がこのように移載位置Lまで移動される構成とすることで、移載位置Lに対して上方Z1から保持部31をアクセスさせることができない場合(
図1に例示するような場合)であっても、保持部31を移載位置Lまで移動させて、保持部31と授受装置50(本例では、移載位置Lに設けられた支持部58)との間で物品Wを移載することが可能となっている。
【0042】
図2及び
図3に示すように、本実施形態では、移載装置30は、昇降ユニット20と自走台車33とを接続する接続配線40を備えている。接続配線40は、昇降ユニット20と自走台車33との間での電力や信号の伝送に用いることができる。例えば、自走台車33で必要となる電力が、昇降ユニット20から接続配線40に含まれる給電線を介して自走台車33に供給される構成とすることができる。自走台車33で必要となる電力には、車輪35を回転させるための電力(言い換えれば、車輪駆動源34の駆動電力)が含まれ、本実施形態では、保持部31を昇降させるための電力も含まれる。昇降ユニット20から自走台車33に供給される電力は、例えば、伝動部材15の内部に設けられた給電線を介して、物品搬送車1の本体部から昇降ユニット20に供給される。なお、物品搬送車1の本体部は、物品搬送車1における走行台車10に連結された部分(言い換えれば、走行台車10に対して昇降しない部分)であり、
図1に示す例では、カバー部12を含む部分である。
【0043】
また、例えば、自走台車33を動作させるための制御信号が、昇降ユニット20から接続配線40に含まれる信号線を介して自走台車33に供給される構成とし、或いは、自走台車33に設けられたセンサの検出信号が、自走台車33から接続配線40に含まれる信号線を介して昇降ユニット20に供給される構成とすることができる。自走台車33を動作させるための制御信号には、例えば、車輪駆動源34の制御信号や、保持部31を昇降させる駆動源の制御信号が含まれる。また、自走台車33に設けられたセンサの検出信号には、例えば、車輪駆動源34に設けられたエンコーダの検出信号や、保持部31を昇降させる駆動源に設けられたエンコーダの検出信号が含まれる。昇降ユニット20から自走台車33に供給される制御信号は、例えば、伝動部材15の内部に設けられた信号線を介して、物品搬送車1の本体部に設けられたコントローラから昇降ユニット20に供給される。また、自走台車33から昇降ユニット20に供給された検出信号は、例えば、伝動部材15の内部に設けられた信号線を介して、昇降ユニット20から物品搬送車1の本体部に設けられたコントローラに供給される。
【0044】
図2及び
図3に示すように、接続配線40の一部である第1部分41が、自走台車33に固定され、接続配線40の別の一部である第2部分42が、昇降ユニット20に固定されている。ここでは、第1部分41は、接続配線40の一方の端部であり、第2部分42は、接続配線40の他方の端部である。第1部分41は、第2部分42よりも上方Z1に配置されている。そして、接続配線40に沿った第1部分41と第2部分42との距離が、走行路Tに沿う自走台車33の走行範囲R(
図1参照)の長さに応じて設定されている。ここでは、自走台車33の走行範囲Rは、昇降ユニット20上の自走台車33の位置(本実施形態では、後述する規定位置P)と、上述した移載位置Lとの間の、走行路Tに沿う範囲である。上記のように接続配線40に沿った第1部分41と第2部分42との距離を走行範囲Rの長さに応じて設定することで、自走台車33の走行が接続配線40によって妨げられることを回避できる。
【0045】
接続配線40は、自走台車33の走行路方向Xに沿った移動に伴い変形することで、走行範囲Rにおける自走台車33の走行路Tに沿う走行を許容する。具体的には、
図2に示すように、接続配線40は、接続配線40に沿った第1部分41と第2部分42との間に、第1部分41から第2部分42に向かう接続配線40の延在方向を反転させる折り返し部を備えている。折り返し部は、第1部分41及び第2部分42に対して走行路方向第2側X2に配置されている。自走台車33が走行路方向第1側X1に移動するのに伴い、折り返し部が走行路方向第1側X1に移動するように接続配線40が変形し、自走台車33が走行路方向第2側X2に移動するのに伴い、折り返し部が走行路方向第2側X2に移動するように接続配線40が変形することで、走行範囲Rにおける自走台車33の走行路Tに沿う走行が許容される。詳細は省略するが、本実施形態では、接続配線40は、当該接続配線40に含まれる配線(給電線や信号線等)の延在方向を規制するケーブルキャリア(例えば、ケーブルベア(登録商標))を備えている。
【0046】
上述したように、授受装置50は、昇降ユニット20が移載高さH2にある状態で昇降ユニット20を位置決めする位置決め部53を備えている。
図1に示すように、本実施形態では、授受装置50は、走行台車10の走行経路に対して上下方向視で重複する位置に、第2支持体52を備えている。ここでは、第2支持体52の上面は、第1支持体51の上面よりも下方Z2に配置されている(
図6参照)。そして、
図4、
図6、及び
図7に示すように、第2支持体52の上面に位置決め部53が設けられている。本例では、第2支持体52は、第1支持体51に対して走行路方向第2側X2に突出する状態で、第1支持体51に連結されている。なお、第1支持体51と第2支持体52とは一体的に形成されていてもよい。
【0047】
図4及び
図7に示すように、本実施形態では、昇降ユニット20の底面に、上方Z1に窪む位置決め用の凹部23が形成されている。凹部23は、昇降ユニット20の底部を構成する被位置決め部22に形成されている。被位置決め部22は、昇降体21と一体的に形成されていてもよい。そして、
図4及び
図6に示すように、位置決め部53は、凹部23に係合するピン54(係合部の一例)を備えている。ピン54は、第2支持体52の上面に、上方Z1に突出するように形成されている。ピン54が凹部23に係合することで(
図4参照)、昇降ユニット20が位置決め部53に位置決めされる。本例では、凹部23が3つ形成されていることに対応して、3つのピン54を位置決め部53は備えており(
図6参照)、ピン54のそれぞれが対応する凹部23に係合することで、昇降ユニット20が位置決め部53に位置決めされる。
【0048】
昇降ユニット20は、凹部23にピン54が係合することで、水平方向に位置決めされる。また、昇降ユニット20は、ピン54によって下方Z2から支持されることで上下方向Zに位置決めされ、或いは、第2支持体52の上面によって下方Z2から支持されることで上下方向Zに位置決めされる。
【0049】
保持部31と授受装置50との間で物品Wを移載する場合、走行台車10は、当該授受装置50に対応する移載用停止位置まで走行する。走行台車10の走行経路は、各授受装置50に対応する移載用停止位置を経由するように形成されている。授受装置50に対応する移載用停止位置は、幅方向Y(本実施形態では、走行台車10の走行方向と一致する方向)において当該授受装置50と同じ位置に設定される。本実施形態では、授受装置50に対応する移載用停止位置は、当該授受装置50が備える第2支持体52と走行台車10が上下方向視で重複する位置に設定される。走行台車10の走行中は、自走台車33が昇降ユニット20上に位置する状態で、昇降ユニット20が走行中高さH1に維持される。
【0050】
走行台車10が授受装置50に対応する移載用停止位置に停止した状態で、昇降装置13が昇降ユニット20を走行中高さH1から移載高さH2まで昇降させる。本実施形態では、昇降装置13は、昇降ユニット20を走行中高さH1から移載高さH2まで下降させる。そして、昇降ユニット20が移載高さH2において位置決め部53に位置決めされた状態で、上述したように保持部31と授受装置50との間で物品Wが移載される。保持部31と授受装置50との間での物品Wの移載が行われた後、自走台車33が昇降ユニット20上に位置する状態で、昇降装置13が昇降ユニット20を移載高さH2から走行中高さH1まで昇降させる。
【0051】
図6に示すように、本実施形態では、授受装置50は、昇降案内部57を備えている。昇降案内部57は、昇降ユニット20の移載高さH2への昇降中に、昇降ユニット20が位置決め部53に位置決めされるように昇降ユニット20を案内する。位置決め部53に位置決めされた状態の昇降ユニット20の位置(上下方向視での位置)を基準位置として、昇降案内部57は、基準位置から水平方向にずれている昇降ユニット20に対して接触作用して、昇降ユニット20を基準位置に矯正する(水平方向の位置を矯正する、以下同様)ように構成されている。
【0052】
昇降案内部57は、昇降ユニット20(ここでは、昇降体21)に形成された被案内部24に対して接触作用して、昇降ユニット20の位置ずれを矯正するための案内面57aを備えている。この案内面57aには、走行路方向第1側X1への位置ずれを矯正するための案内面(具体的には、走行路方向第2側X2に向かうに従って下方Z2に向かう傾斜面)、走行路方向第2側X2への位置ずれを矯正するための案内面(具体的には、走行路方向第1側X1に向かうに従って下方Z2に向かう傾斜面)、幅方向第1側Y1への位置ずれを矯正するための案内面(具体的には、幅方向第2側Y2に向かうに従って下方Z2に向かう傾斜面)、及び、幅方向第2側Y2への位置ずれを矯正するための案内面(具体的には、幅方向第1側Y1に向かうに従って下方Z2に向かう傾斜面)が含まれており、昇降ユニット20が基準位置から水平面においていずれの方向にずれている場合であっても、昇降ユニット20を基準位置に矯正することが可能となっている。
【0053】
本例では、昇降案内部57における案内面57aよりも下方Z2の部分は、被案内部24に接触して昇降ユニット20の水平方向の移動を規制する鉛直面とされており、案内面57aによって基準位置に矯正された昇降ユニット20を、当該鉛直面によって基準位置に保持することが可能となっている。
【0054】
図6に示すように、本実施形態では、昇降案内部57は、第2支持体52の上面に、上方Z1に突出するように形成されている。ここでは、授受装置50は、第1昇降案内部571及び第2昇降案内部572の2つの昇降案内部57を備えている。昇降ユニット20(ここでは、昇降体21)には、第1被案内部241及び第2被案内部242の2つの被案内部24が形成されており(
図3参照)、第1昇降案内部571の案内面57aは、第1被案内部241に対して接触作用して昇降ユニット20の位置ずれを矯正し、第2昇降案内部572の案内面57aは、第2被案内部242に対して接触作用して昇降ユニット20の位置ずれを矯正する。
【0055】
第1被案内部241及び第2被案内部242は、昇降体21を上下方向Zに貫通するように形成されている。そして、
図3に示すように、第1被案内部241は、上下方向視で第1昇降案内部571の案内面57aの外縁に沿う形状に形成され、第2被案内部242は、上下方向視で第2昇降案内部572の案内面57aの外縁に沿う形状に形成されている。本例では、第1昇降案内部571の案内面57aには、走行路方向第1側X1への位置ずれを矯正するための案内面、走行路方向第2側X2への位置ずれを矯正するための案内面、及び、幅方向第1側Y1への位置ずれを矯正するための案内面が含まれている。また、第2昇降案内部572の案内面57aには、走行路方向第1側X1への位置ずれを矯正するための案内面、走行路方向第2側X2への位置ずれを矯正するための案内面、及び、幅方向第2側Y2への位置ずれを矯正するための案内面が含まれている。
【0056】
授受装置50が上記のような昇降案内部57を備えるため、昇降ユニット20を移載高さH2へ昇降させる際に、昇降ユニット20の揺れ等によって昇降ユニット20が上記基準位置から水平方向にずれている場合であっても、昇降案内部57の案内作用によって、昇降ユニット20が位置決め部53に位置決めされた状態に適切に移行させることが可能となっている。本実施形態では、移載高さH2は、走行中高さH1よりも下方Z2に設定されている。そして、本実施形態では、
図7に示すように、昇降案内部57による昇降ユニット20の案内開始位置G(昇降案内部57による昇降ユニット20の案内が開始される位置)が、授受側案内部55の上端よりも上方Z1に位置するように、昇降案内部57が設けられている。これにより、昇降ユニット20を移載高さH2へ下降させる際に、昇降ユニット20が上記基準位置から水平方向にずれている場合であっても、授受側案内部55の損傷を招き得る昇降ユニット20と授受側案内部55との接触を回避することが可能となっている。本実施形態では、案内開始位置Gは、被案内部24の下端(ここでは、被案内部24を構成する貫通孔における下方Z2の開口縁)が昇降案内部57の上端(ここでは、案内面57aの上端)と同じ高さに配置される位置である。
【0057】
案内開始位置Gが授受側案内部55の上端よりも上方Z1に位置するとは、案内開始位置Gに配置された昇降ユニット20における少なくとも走行路方向第1側X1の端部(具体的には、当該端部の下端)が、授受側案内部55の上端よりも上方Z1に配置されることを意味する。
図7に示すように、本実施形態では、昇降ユニット20が案内開始位置Gに配置された状態で、被位置決め部22は授受側案内部55の上端よりも下方Z2に配置されているものの、昇降ユニット20における走行路方向第1側X1の端部は、授受側案内部55の上端よりも上方Z1に配置されている。案内開始位置Gは、昇降案内部57による昇降ユニット20の案内が開始される時点での、昇降ユニット20における走行路方向第1側X1の端部(具体的には、当該端部の下端)の位置ということもできる。
【0058】
走行台車10の走行中は、自走台車33は昇降ユニット20に設定された規定位置P(
図1参照)に配置される。そして、昇降ユニット20は、規制状態と規制解除状態とに状態変更可能に構成された規制機構27を備えている。ここで、規制状態は、自走台車33が規定位置Pにある状態で自走台車33の移動を規制する状態であり、規制解除状態は、自走台車33の移動の規制を解除した状態である。規制機構27の状態は、走行台車10の走行中は規制状態に変更される。これにより、走行台車10の走行中における自走台車33の意図しない移動を規制できる。昇降ユニット20の昇降中にも規制機構27の状態が規制状態に変更されるようにすることで、昇降ユニット20の昇降中にも自走台車33の意図しない移動を規制できる。また、規制機構27の状態は、移載装置30による授受装置50との物品Wの受け渡し中は規制解除状態に変更される。これにより、自走台車33が昇降ユニット20上と授受装置50上との間を移動することを許容して、保持部31と授受装置50との間で物品Wを移載することができる。
【0059】
以下では、規制機構27の2つの具体例を説明するが、規制機構27の構成はこれらに限定されず、また、複数の規制機構27を併用することもできる。
【0060】
例えば、車輪駆動源34にブレーキ(例えば、通電しない状態でブレーキが作動する構造の無励磁作動型電磁ブレーキ)が設けられる場合、規制機構27を、当該ブレーキの作動状態を制御することで規制状態と規制解除状態とに状態変更する機構とすることができる。この場合、自走台車33が規定位置Pにある状態で上記ブレーキを作動させて車輪35の回転を規制することで、規制機構27の状態が規制状態となり、上記ブレーキを解除して車輪35の回転を許容することで、規制機構27の状態が規制解除状態となる。
【0061】
また、例えば、規制機構27の状態変更が、昇降ユニット20の昇降動作を利用して行われる構成とすることもできる。
図1に示す例では、規制機構27は、物品搬送車1の本体部(走行台車10に連結された部分)に設けられた規制ピン16と、自走台車33に設けられた規制孔28とを用いて、規制状態と規制解除状態とに状態変更する機構とされている。規制ピン16及び規制孔28は、自走台車33が規定位置Pに位置する状態で規制ピン16を規制孔28に挿入可能な位置に設けられており、規制ピン16が規制孔28に挿入された状態で、自走台車33の移動が規制される。なお、
図1以外の図面では、規制孔28の図示を省略している。
【0062】
昇降ユニット20が走行中高さH1以外の高さ(例えば、移載高さH2)に位置する状態では、規制ピン16が規制孔28から離脱することで、規制機構27の状態が規制解除状態となり、昇降ユニット20が走行中高さH1に位置する状態では、規制ピン16が規制孔28に挿入されることで、規制機構27の状態が規制状態となる(
図1において一点鎖線で示す自走台車33を参照)。そして、自走台車33が規定位置Pに位置する状態で、昇降ユニット20が、走行中高さH1以外の高さから走行中高さH1に昇降するのに伴い、規制ピン16が規制孔28に挿入されることで(ここでは、上方Z1から挿入されることで)、規制機構27の状態が規制解除状態から規制状態に変更される。また、昇降ユニット20が走行中高さH1から走行中高さH1以外の高さに昇降するのに伴い、規制ピン16が規制孔28から離脱することで、規制機構27の状態が規制状態から規制解除状態に変更される。このように、
図1に示す例では、規制機構27の規制解除状態から規制状態への状態変更が、昇降ユニット20の走行中高さH1への昇降動作(本実施形態では、上昇動作)を利用して行われ、規制機構27の規制状態から規制解除状態への状態変更が、昇降ユニット20の走行中高さH1からの昇降動作(本実施形態では、下降動作)を利用して行われる。
【0063】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0064】
(1)上記の実施形態では、授受側案内部55及び昇降側案内部25がラックギヤ(26,56)である構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、授受側案内部55及び昇降側案内部25がラックギヤ以外の案内部である構成とすることもできる。ラックギヤ以外の案内部として、自走台車33に設けられた案内ブロックが係合する案内レールや、自走台車33の側面に接触するガイド枠を例示することができる。このように授受側案内部55及び昇降側案内部25がラックギヤ以外の案内部である場合であっても、車輪35が駆動ピニオンギヤ36を含む場合には、上記の実施形態と同様にラックギヤ(26,56)が設けられる。この場合には、ラックギヤ(26,56)によって走行路Tに沿う自走台車33の走行を案内する必要はないため、案内輪38が設けられない構成としてもよい。案内輪38が設けられない場合、例えば、ラックギヤ(26,56)の歯面が上方Z1を向くように配置され、駆動ピニオンギヤ36が水平方向に沿う軸心回りに回転するように支持される構成としてもよい。
【0065】
(2)上記の実施形態では、車輪35が駆動ピニオンギヤ36のみを含む構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、車輪35が駆動ピニオンギヤ36に加えて他の輪体を含む構成とすることもできる。例えば、車輪35が駆動ピニオンギヤ36と支持輪39とを含む構成とすることができ、この場合、車輪駆動源34は、駆動ピニオンギヤ36及び支持輪39を駆動するように設けられる。このように車輪35が駆動ピニオンギヤ36以外の輪体を含む場合に、車輪35が駆動ピニオンギヤ36を含まない構成とすることもできる。車輪35が支持輪39を含む場合、車輪駆動源34の駆動力を、支持輪39と自走台車33の走行面との摩擦を介して当該走行面に伝達して、自走台車33を走行させることができる。
【0066】
(3)上記の実施形態では、授受装置50が位置決め部53と昇降案内部57とを各別に備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、位置決め部53及び昇降案内部57の双方として機能する部材を授受装置50が備える構成とすることもできる。上記の実施形態では、昇降案内部57が備える上述した鉛直面によって昇降ユニット20の水平方向の移動を規制することができるため、例えば、上記の実施形態における昇降案内部57を構成する部材が位置決め部53としても機能する構成とすることができる。
【0067】
(4)上記の実施形態では、案内開始位置Gが授受側案内部55の上端よりも上方Z1に位置するように、昇降案内部57が設けられる構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、昇降ユニット20の昇降中における昇降ユニット20の揺れが小さい場合等において、案内開始位置Gが授受側案内部55の上端と同じ高さ或いはそれよりも下方Z2に配置される構成とすることもできる。また、昇降ユニット20の昇降中における昇降ユニット20の揺れが小さい場合等において、授受装置50が昇降案内部57を備えない構成とすることも可能である。
【0068】
(5)上記の実施形態では、移載装置30が昇降ユニット20と自走台車33とを接続する接続配線40を備える構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、自走台車33に蓄電装置が設けられる場合や、物品搬送車1のコントローラと自走台車33との間での通信が無線で行われる場合等において、接続配線40が設けられない構成とすることもできる。
【0069】
(6)上記の実施形態では、保持部31が、物品Wを下方Z2から支持することで当該物品Wを保持する構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、例えば、保持部31が、物品Wを上方Z1から保持する構成とすることもできる。具体的には、保持部31が、物品Wの上部に形成されたフランジ部或いは物品Wの上部の外周部分等を把持することで、当該物品Wを上方Z1から保持する構成とすることができる。
【0070】
(7)上記の実施形態では、移載高さH2が走行中高さH1よりも下方Z2に設定される構成を例として説明した。しかし、本開示はそのような構成に限定されず、移載高さH2が走行中高さH1よりも上方Z1に設定される構成とすることもできる。例えば、物品搬送車1が床面を自律走行する搬送車であり、授受装置50が走行台車10の走行経路よりも上方Z1に配置される場合に、移載高さH2が走行中高さH1よりも上方Z1に設定される構成となる。
【0071】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0072】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0073】
物品を搬送する物品搬送車と、前記物品搬送車により搬送される前記物品の受け渡し先となる授受装置と、を備えた物品搬送設備であって、前記物品搬送車は、走行する走行台車と、前記走行台車に対して昇降する昇降ユニットと、前記昇降ユニットに搭載された移載装置と、を備え、前記昇降ユニットは、前記走行台車の走行中における基準高さである走行中高さと、前記移載装置による前記授受装置との前記物品の受け渡し中における高さである移載高さと、に昇降し、前記移載装置は、前記物品を保持する保持部と、前記保持部を支持して走行する自走台車と、を備え、前記自走台車は、車輪と前記車輪を駆動する車輪駆動源とを備え、前記昇降ユニット及び前記授受装置に設けられた走行路を走行し、前記授受装置は、前記昇降ユニットが前記移載高さにある状態で前記昇降ユニットを位置決めする位置決め部と、前記走行路に沿う前記自走台車の走行を案内する授受側案内部と、を備え、前記昇降ユニットは、前記走行路に沿う前記自走台車の走行を案内する昇降側案内部を備え、前記昇降ユニットが前記位置決め部に位置決めされた状態で、前記昇降側案内部が前記授受側案内部と連続するように配置される。
【0074】
本構成によれば、昇降ユニットが授受装置の位置決め部に位置決めされた状態で、互いに連続するように配置された昇降側案内部と授受側案内部とによって、昇降ユニットと授受装置との間の走行路の全域に亘って自走台車の走行を案内することができる。これにより、保持部と授受装置との間での物品の移載が行われる移載位置まで、自走台車及びそれに支持された保持部を適切に案内することが可能となっている。
【0075】
本構成では、走行路における昇降側案内部と授受側案内部との接続部よりも昇降ユニットの側の部分では、昇降ユニットに設けられた昇降側案内部によって自走台車の走行を案内し、走行路における当該接続部よりも授受装置の側の部分では、授受装置に設けられた授受側案内部によって自走台車の走行を案内する。このように、走行路における授受装置の側の部分での自走台車の走行の案内を、授受装置に設けられた授受側案内部によって行うことで、当該授受装置の側の部分での自走台車の走行の案内までを昇降ユニットに設けられた昇降側案内部によって行う場合に比べて、昇降側案内部の構成を簡略化することができる。この結果、移載装置が搭載される昇降ユニットの軽量化、延いては物品搬送車の軽量化を図りやすくなっている。
【0076】
以上のように、本構成によれば、物品の移載が行われる移載位置まで保持部を適切に案内することが可能でありながら、物品搬送車の軽量化を図りやすくなっている。
【0077】
ここで、前記授受装置は、前記昇降ユニットの前記移載高さへの昇降中に、前記昇降ユニットが前記位置決め部に位置決めされるように前記昇降ユニットを案内する昇降案内部を更に備えていると好適である。
【0078】
本構成によれば、昇降ユニットを移載高さへ昇降させる際に、昇降ユニットの揺れ等によって昇降ユニットと授受装置との間に水平方向の位置ずれが生じた場合であっても、昇降案内部の案内作用によって、昇降ユニットが位置決め部に位置決めされた状態に適切に移行させることができる。
【0079】
上記のように前記授受装置が前記昇降案内部を備える構成において、前記移載高さは、前記走行中高さよりも下方に設定され、前記昇降案内部による前記昇降ユニットの案内開始位置が、前記授受側案内部の上端よりも上方に位置するように、前記昇降案内部が設けられていると好適である。
【0080】
本構成によれば、昇降ユニットを移載高さへ下降させる際に、昇降ユニットの揺れ等によって昇降ユニットと授受装置との間に水平方向の位置ずれが生じた場合であっても、昇降案内部の案内作用によって、昇降ユニットが位置決め部に位置決めされた状態に適切に移行させることができる。更に、本構成によれば、授受側案内部の上端よりも上方の位置で、昇降案内部による昇降ユニットの案内を開始することができるため、上記の位置ずれが生じた場合であっても、授受側案内部の損傷を招き得る昇降ユニットと授受側案内部との接触を回避することが可能となっている。
【0081】
上記の各構成の物品搬送設備において、前記授受側案内部及び前記昇降側案内部は、ラックギヤであり、前記車輪は、前記ラックギヤに噛み合うピニオンギヤを含んでいると好適である。
【0082】
本構成によれば、車輪駆動源の駆動力を、ピニオンギヤとラックギヤとの噛み合い部を介して、授受側案内部又は昇降側案内部としてのラックギヤに効率的に伝達して、自走台車を走行路に沿って走行させることができる。また、本構成によれば、自走台車の走行路に沿った位置を、ラックギヤの回転量に基づいて比較的容易に制御することができるため、自走台車の位置決めを比較的容易に行うこともできる。
【0083】
上記のように、前記授受側案内部及び前記昇降側案内部が前記ラックギヤであり、前記車輪が前記ピニオンギヤを含む構成において、前記走行路に沿う方向を走行路方向とし、上下方向に沿う上下方向視で前記走行路方向に直交する方向を幅方向として、前記ラックギヤは、前記走行路方向に延在するように配置され、前記ラックギヤの歯面は、前記幅方向の一方側を向くように配置され、前記ピニオンギヤは、前記上下方向に沿う軸心回りに回転するように支持され、前記自走台車は、前記上下方向に沿う軸心回りに回転するように支持された案内輪を更に備え、前記案内輪は、前記ラックギヤにおける前記幅方向の他方側を向く面である背面に沿って転動するように配置されていると好適である。
【0084】
本構成によれば、授受側案内部又は昇降側案内部としてのラックギヤを、ピニオンギヤと案内輪とで幅方向の両側から挟んだ状態で、ピニオンギヤを回転させて自走台車を走行させることができる。よって、自走台車がラックギヤに対して幅方向に移動することを規制しつつ、ラックギヤが延在する走行路方向に沿って自走台車を走行させることができる。このように、本構成によれば、授受側案内部又は昇降側案内部としてのラックギヤの直線性を利用して、自走台車の駆動と案内とを適切に両立させることができる。
【0085】
上記の各構成の物品搬送設備において、前記移載装置は、前記昇降ユニットと前記自走台車とを接続する接続配線を更に備え、前記接続配線の一部である第1部分が、前記自走台車に固定され、前記接続配線の別の一部である第2部分が、前記昇降ユニットに固定され、前記接続配線に沿った前記第1部分と前記第2部分との距離が、前記走行路に沿う前記自走台車の走行範囲の長さに応じて設定されていると好適である。
【0086】
本構成によれば、接続配線を用いて、例えば、昇降ユニットから自走台車への電力の供給や、昇降ユニットと自走台車との間での信号の送受信を行うことができる。そして、本構成によれば、接続配線に沿った第1部分と第2部分との距離が上記のように設定されているため、自走台車の走行が接続配線によって妨げられることを回避できる。
【0087】
また、前記昇降ユニットは、前記自走台車が前記昇降ユニットに設定された規定位置にある状態で前記自走台車の移動を規制する規制状態と、前記自走台車の移動の規制を解除した規制解除状態とに、状態変更可能に構成された規制機構を更に備え、前記規制機構の状態変更が、前記昇降ユニットの昇降動作を利用して行われると好適である。
【0088】
本構成によれば、規制機構の状態を規制状態とすることで、例えば走行台車の走行中や昇降ユニットの昇降中に、自走台車が昇降ユニットに対して意図せず移動することを規制できる。また、本構成によれば、規制機構の状態変更を、昇降ユニットの昇降動作を利用して行うことができるため、規制機構の状態を変更するための構成や制御の簡素化を図ることもできる。
【0089】
本開示に係る物品搬送設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0090】
1:物品搬送車
10:走行台車
20:昇降ユニット
25:昇降側案内部
26:第1ラックギヤ(ラックギヤ)
26a:第1歯面(歯面)
26b:第1背面(背面)
27:規制機構
30:移載装置
31:保持部
33:自走台車
34:車輪駆動源
35:車輪
36:駆動ピニオンギヤ(ピニオンギヤ)
38:案内輪
40:接続配線
41:第1部分
42:第2部分
50:授受装置
53:位置決め部
55:授受側案内部
56:第2ラックギヤ(ラックギヤ)
56a:第2歯面(歯面)
56b:第2背面(背面)
57:昇降案内部
100:物品搬送設備
G:案内開始位置
H1:走行中高さ
H2:移載高さ
P:規定位置
R:走行範囲
T:走行路
W:物品
X:走行路方向
Y:幅方向
Y1:幅方向第1側(幅方向の一方側)
Y2:幅方向第2側(幅方向の他方側)
Z:上下方向
Z1:上方
Z2:下方