(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178488
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】手押し車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20221125BHJP
B62B 7/12 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B62B3/02 A
B62B7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085331
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大沼 利夫
【テーマコード(参考)】
3D050
3D051
【Fターム(参考)】
3D050AA05
3D050BB29
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG02
3D050KK15
3D051AA02
3D051AA08
3D051AA13
3D051AA23
3D051BA03
3D051BA14
3D051BB04
3D051BB08
3D051BB36
3D051CA02
3D051CA09
3D051CB07
3D051CC12
3D051CC17
3D051CG04
3D051CG07
3D051DD16
(57)【要約】
【課題】ワゴンモードとベビーカーモードの切り替えが容易な手押し車を提供すること。
【解決手段】手押し車100は、車輪1が取り付けられるベースフレーム10と、シート2を支持するシートフレーム20と、ベースフレーム10に回動自在に連結されるハンドル付きリンク30と、一端側がベースフレーム10に回動自在に連結され、他端側がハンドル付きリンク30に回動自在に連結され、シートフレーム20を支持する支持リンク40と、シートフレーム20と支持リンク40に回動自在に連結される第1連結リンク50と、を備え、折畳状態においてシートフレーム20を移動させて、支持リンク40と第1連結リンク50の回動軸50aに対するシートフレーム20と第1連結リンク50の回動軸50bの位置を切り換えることによって、展開状態でのシートフレーム20の角度がベビーカーモード又はワゴンモードに対応する角度に変更される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳状態からベビーカーモード又はワゴンモードに展開可能な手押し車であって、
車輪が取り付けられるベース部と、
シートを支持するシートフレームと、
前記ベース部に回動自在に連結され、ハンドル部が設けられるハンドル付きリンクと、
一端側が前記ベース部に回動自在に連結され、他端側が前記ハンドル付きリンクに回動自在に連結され、前記シートフレームを支持する支持リンクと、
前記シートフレームと前記支持リンクに回動自在に連結される第1連結リンクと、を備え、
折畳状態において前記シートフレームを移動させて、前記支持リンクと前記第1連結リンクの回動軸に対する前記シートフレームと前記第1連結リンクの回動軸の位置を切り換えることによって、展開状態での前記シートフレームの角度が前記ベビーカーモード又は前記ワゴンモードに対応する角度に変更されることを特徴とする手押し車。
【請求項2】
請求項1に記載の手押し車であって、
前記シートフレームと前記支持リンクに回動自在に連結される第2連結リンクと、
前記第2連結リンクと前記ベース部に回動自在に連結される補助リンクと、をさらに備え、
前記第2連結リンクは、一端側が前記シートフレームに回動自在に連結され、他端側が前記補助リンクに回動自在に連結され、一端側と他端側の間が前記支持リンクに回動自在に連結されることを特徴とする手押し車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の手押し車であって、
展開状態において、前記ハンドル付きリンクと前記支持リンクを結合することにより、前記ベース部に対する前記ハンドル付きリンクと前記支持リンクの回動をロックするロック機構をさらに備えることを特徴とする手押し車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手押し車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワゴンタイプのベビーカーであって、ワゴン部とは別にシート部が着脱可能に取り付けられるベビーカーが開示されている(
図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0247453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたベビーカーでは、シート部が着脱される構成であるため、シート部を使用する際には、ベビーカーに対してシート部を取り付ける作業が必要になる。また、シート部を使用する可能性がある場合には、シート部を携帯する必要がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ワゴンモードとベビーカーモードの切り替えが容易な手押し車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある形態は、折畳状態からベビーカーモード又はワゴンモードに展開可能な手押し車であって、車輪が取り付けられるベース部と、シートを支持するシートフレームと、ベース部に回動自在に連結され、ハンドル部が設けられるハンドル付きリンクと、一端側がベース部に回動自在に連結され、他端側がハンドル付きリンクに回動自在に連結され、シートフレームを支持する支持リンクと、シートフレームと支持リンクに回動自在に連結される第1連結リンクと、を備え、折畳状態においてシートフレームを上下動させて、支持リンクと第1連結リンクの回動軸に対するシートフレームと第1連結リンクの回動軸の位置を切り換えることによって、展開状態でのシートフレームの角度がベビーカーモード又はワゴンモードに対応する角度に変更されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記本発明の形態によれば、ワゴンモードとベビーカーモードの切り替えを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る手押し車の斜視図であって、ベビーカーモードに展開された状態を示す。
【
図2】本発明の実施形態に係る手押し車の側面図であって、ベビーカーモードに展開された状態を示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る手押し車のベビーカーモードの側面図であって、シート及び幌が取り付けられた状態を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る手押し車の側面図であって、ワゴンモードに展開された状態を示す。
【
図5】本発明の実施形態に係る手押し車のワゴンモードの側面図であって、シート及び幌が取り付けられた状態を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係る手押し車の側面図であって、ベビーカーモードに展開される前の折畳状態を示す。
【
図7】本発明の実施形態に係る手押し車の側面図であって、ワゴンモードに展開される前の折畳状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る手押し車100について説明する。
【0010】
手押し車100は、折畳式であって、折畳状態からベビーカーモード(
図1~3参照)又はワゴンモード(
図4,5参照)に展開可能なものであり、乳幼児や荷物を乗せて人力で移動させるものである。本明細書では、手押し車100に着座する乳幼児の右手側を右、左手側を左、手押し車100の走行方向前側を前、走行方向後側を後として説明する。
【0011】
まず、
図1~
図5を参照して、展開状態の手押し車100について説明する。
図1はベビーカーモードの手押し車100の斜視図であり、
図2及び
図3はベビーカーモードの手押し車100の側面図であり、
図4及び
図5はワゴンモードの手押し車100の側面図である。
図1,
図2,及び
図4では、シート2及び幌3の図示は省略している。
【0012】
手押し車100は、車輪1が取り付けられるベース部としてのベースフレーム10と、シート2を支持するシートフレーム20と、ベースフレーム10に回動自在に連結され、ハンドル部32aが設けられるハンドル付きリンク30と、一端側がベースフレーム10に回動自在に連結され、他端側がハンドル付きリンク30に回動自在に連結され、シートフレーム20を支持する支持リンク40と、シートフレーム20と支持リンク40に回動自在に連結される第1連結リンク50及び第2連結リンク60と、を備える。手押し車100では、ベビーカーモードとワゴンモードで部品が共通であり、かつ、両モード間の切り換えの際に部品の取り外しや取り付けが不要である。ベビーカーモードとワゴンモードは、展開状態において、シートフレーム20の角度が互いに異なる点で相違する。
【0013】
ベースフレーム10は、ハンドル付きリンク30及び支持リンク40を支持するものであり、手押し車100の土台となるフレームである。ベースフレーム10は、前後方向に延び互いに平行な一対の横フレーム10aと、一対の横フレーム10aをつなぐ前フレーム10b及び後フレーム10cと有し、矩形状に形成される。ベースフレーム10の四隅のそれぞれには、車輪1が取り付けられる。
【0014】
車輪1は、前輪1aと後輪1bを有する。前輪1aと後輪1bは、それぞれ2つずつ設けられる。前輪1aは、走行の向きが360度回動自在にベースフレーム10に取り付けられる。後輪1bは、走行の向きが前後方向に固定されてベースフレーム10に取り付けられる。これにより、保護者などのユーザーが手押し車100を操作し易い。
【0015】
なお、手押し車100は、前輪1aが1つのみ設けられる3輪タイプであってもよい。また、本実施形態では、車輪1が取り付けられるベース部として、矩形状のベースフレーム10を例示した。しかし、ベース部は、矩形状に限定されない。例えば、ベース部は、前輪1aと後輪1bがそれぞれ取り付けられる前側と後側の2つのベース部にて構成されてもよいし、4つの車輪1がそれぞれ取り付けられる4つのベース部にて構成されてもよい。
【0016】
ハンドル付きリンク30は、平面視で略U字形状であり、両端部がベースフレーム10に回動軸31aを中心に回動自在に連結される。ハンドル付きリンク30は、ベースフレーム10の横フレーム10aのそれぞれに回動自在に連結される一対のベースリンク31と、ハンドルの機能を有するU字形状のハンドルリンク32と、を有する。ベースリンク31とハンドルリンク32は、回動自在に互いに連結される。ベースリンク31は、手押し車100の折畳状態(
図6及び
図7参照)において、後輪1bとの干渉を避けるために円弧状に形成される。ハンドルリンク32は、その一部にユーザーが把持するハンドル部32aを有する。
【0017】
ベースリンク31は、一端部が回動軸31aを介して横フレーム10aの後側に回動自在に連結され、他端部が回動軸31bを介してハンドルリンク32の端部に回動自在に連結される。
【0018】
支持リンク40は、左右一対からなり、一端部が回動軸40aを介して横フレーム10aの前側に回動自在に連結され、他端部が回動軸40bを介してハンドル付きリンク30のハンドルリンク32に回動自在に連結される。
【0019】
手押し車100は、展開状態において、ハンドル付きリンク30と支持リンク40を結合することにより、ベースフレーム10に対するハンドル付きリンク30と支持リンク40の回動をロックするロック機構70を備える。
【0020】
ロック機構70は、支持リンク40に設けられるピン部71(
図6,7参照)と、ハンドル付きリンク30のハンドルリンク32に設けられ、ピン部71と係合する係合部72と、ハンドルリンク32に設けられ、ピン部71と係合部72の係合を解除するための解除ボタン73と、を有する。手押し車100の展開状態では、ピン部71が係合部72に係合することにより、ハンドル付きリンク30と支持リンク40が結合され、ベースフレーム10に対するハンドル付きリンク30と支持リンク40の回動がロックされる。展開状態から手押し車100を折畳む際には、ユーザーが解除ボタン73を操作することにより、ピン部71と係合部72の係合が解除され、手押し車100を折畳むことが可能となる。なお、係合部72は、ハンドル付きリンク30のうち、ハンドルリンク32ではなくベースリンク31に設けてもよい。
【0021】
シートフレーム20は、長円のリング状であり、第1連結リンク50及び第2連結リンク60を介して支持リンク40に支持される。第1連結リンク50はシートフレーム20の後側を支持し、第2連結リンク60はシートフレーム20の前側を支持する。
図3及び
図5に示すように、シートフレーム20には、全周に亘ってシート2が取り付けられて支持される。シート2は、乳幼児が着座したり、荷物を収容したりするための縫製品である。
【0022】
シートフレーム20には、幌3(
図3,5参照)を支持する骨部3aが取り付けられる。骨部3aは3つ設けられ、各骨部3aの間隔を調節することにより、幌3の角度を調整することができる。
【0023】
第1連結リンク50及び第2連結リンク60は、それぞれ左右一対からなる。第1連結リンク50は、一端側が回動軸50aを介してシートフレーム20に回動自在に連結され、他端側が回動軸50bを介して支持リンク40に回動自在に連結される。同様に、第2連結リンク60は、一端側が回動軸60aを介してシートフレーム20に回動自在に連結され、他端側が回動軸60bを介して支持リンク40に回動自在に連結される。
【0024】
シートフレーム20は、手押し車100の展開状態において、ベビーカーモードとワゴンモードで角度が異なる。シートフレーム20は、ベビーカーモードでは
図1~3に示すように傾斜し、ワゴンモードでは
図4,5に示すように略水平となる。ベビーカーモードとワゴンモードでシートフレーム20の角度が異なるのは、ベビーカーモードとワゴンモードで、シートフレーム20と第1連結リンク50の位置関係が異なるためである。具体的には、ベビーカーモードでは、
図2に示すように、第1連結リンク50はシートフレーム20の下方に位置する。換言すれば、ベビーカーモードでは、第1連結リンク50とシートフレーム20の回動軸50aは、第1連結リンク50と支持リンク40の回動軸50bよりも上方に位置する。一方、ワゴンモードでは、
図4に示すように、第1連結リンク50はシートフレーム20の上方に位置する。換言すれば、ワゴンモードでは、回動軸50aは回動軸50bよりも下方に位置する。このように、ベビーカーモードとワゴンモードでは、回動軸50aと回動軸50bの相対的な上下位置が異なる。この上下位置の設定方法については後述する。
【0025】
図5に示すように、ワゴンモードでは、シート2は箱状に形成され、箱の底面は略水平である。ワゴンモードでは、乳幼児は、シート2内に足を伸ばして座ったり、横になって寝たりすることができる。また、シート2内に荷物を収容して運ぶこともできる。
【0026】
図3に示すように、ベビーカーモードでは、シート2は、着座する乳幼児のための背もたれ部2aと座面2bを有する。背もたれ部2aと座面2bは、シート2に設けられたベルト(図示省略)を引っ張ることにより形成される。このように、シート2は、ワゴンモードとベビーカーモードで共通のものが使用される。
【0027】
なお、乳幼児をシート2に固定するためのシートベルト(図示省略)は、シート2に直接設けてもよいし、シートベルトが取り付けられた外付けシートをシート2に連結することにより設けてもよい。
【0028】
図1,2,及び4に示すように、手押し車100は、第2連結リンク60とベースフレーム10に回動自在に連結される補助リンク80をさらに備える。補助リンク80は、左右一対からなり、一端部が回動軸80aを介して第2連結リンク60に回動自在に連結され、他端部が回動軸80bを介してベースフレーム10の横フレーム10aに回動自在に連結される。
【0029】
第2連結リンク60は、一端部(一端側)が回動軸60aを介してシートフレーム20に回動自在に連結され、他端部(他端側)が回動軸80aを介して補助リンク80に回動自在に連結され、一端部と他端部の間が回動軸60bを介して支持リンク40に回動自在に連結される。
【0030】
ベースフレーム10、支持リンク40、第2連結リンク60、及び補助リンク80は、回動自在に連結されており、4節のリンク機構を構成する。ロック機構70によってベースフレーム10に対する支持リンク40の回動がロックされた状態では、上記4節のリンク機構は固定されるため、支持リンク40に対する第2連結リンク60の回動がロックされる。第2連結リンク60の回動がロックされた状態では、支持リンク40、第1連結リンク50、第2連結リンク60、及びシートフレーム20で構成される4節のリンク機構も固定されるため、シートフレーム20の回動がロックされる。したがって、シートフレーム20に乳幼児や荷物を載せても、シートフレーム20が動くことはない。
【0031】
次に、
図6及び
図7を参照して、折畳状態の手押し車100について説明する。
図6はベビーカーモードに展開される前の折畳状態の手押し車100の側面図であり、
図7はワゴンモードに展開される前の折畳状態の手押し車100の側面図である。
図6及び
図7では、第1連結リンク50は破線で示し、シート2及び幌3の図示は省略している。
【0032】
図6と
図7では、シートフレーム20の位置が異なる。手押し車100は、折畳状態でのシートフレーム20の位置に応じて、展開された際のモードがベビーカーモード又はワゴンモードとなる。つまり、折畳状態でのシートフレーム20の位置に応じて、シートフレーム20の角度が互いに異なるベビーカーモード又はワゴンモードに展開される。以下に詳しく説明する。
【0033】
図6に示すように、ベビーカーモードに展開される前の折畳状態では、シートフレーム20は、略水平となっている。この状態では、シートフレーム20と第1連結リンク50の回動軸50aは、支持リンク40と第1連結リンク50の回動軸50bよりも相対的に上側(鉛直方向において上側)に位置する。
【0034】
一方、
図7に示すように、ワゴンモードに展開される前の折畳状態では、シートフレーム20は、後側が下がっており、水平方向に対して斜めとなっている。この状態では、シートフレーム20と第1連結リンク50の回動軸50aは、支持リンク40と第1連結リンク50の回動軸50bよりも相対的に下側(鉛直方向において下側)に位置する。
【0035】
折畳状態でのシートフレーム20の位置は、シートフレーム20の後側を把持して移動させることにより、具体的には上下動させることにより設定される。折畳状態では、支持リンク40に対する第2連結リンク60の回動がロックされておらず、支持リンク40、第1連結リンク50、第2連結リンク60、及びシートフレーム20で構成される4節のリンク機構は固定されていないため、シートフレーム20を動かすことができる。
【0036】
図6に示す状態からシートフレーム20の後側を下げることにより、
図7に示す状態となる。シートフレーム20の後側を下げる際には、シートフレーム20の後側がベースフレーム10の後フレーム10cに接触するまで下げる。つまり、後フレーム10cはシートフレーム20の移動を規制するストッパとして機能する。
【0037】
図7に示す状態からシートフレーム20の後側を上げることにより、
図6に示す状態となる。シートフレーム20の後側を上げる際には、それ以上シートフレーム20が上がらなくなるまで上げる。
【0038】
図6及び
図7に示す折畳状態から、ハンドル部32aを把持してハンドルリンク32を上方に持ち上げることにより、ハンドルリンク32は回動軸31bを中心として図中時計回りに回動すると共に、支持リンク40は回動軸40aを中心として図中反時計回りに回動し、ハンドルリンク32に設けられた係合部72と支持リンク40に設けられたピン部71とが係合することにより、ハンドル付きリンク30と支持リンク40が結合される。これにより、ベースフレーム10に対するハンドル付きリンク30と支持リンク40の回動がロックされる。このロックに伴い、支持リンク40に対する第2連結リンク60の回動がロックされ、シートフレーム20の回動もロックされる。このようにして、手押し車100は展開される。
【0039】
図6に示す折畳状態では、シートフレーム20と第1連結リンク50の回動軸50aは、支持リンク40と第1連結リンク50の回動軸50bよりも相対的に上側(鉛直方向において上側)に位置しており、シートフレーム20は第1連結リンク50を介して支持リンク40の上側に支持されている。したがって、
図6に示す折畳状態から手押し車100を展開すると、展開動作に伴って第1連結リンク50は回動軸50aを中心として時計回りに回動するよう移動し、シートフレーム20は第1連結リンク50を介して支持リンク40の上側に支持されたベビーカーモードに展開される(
図2参照)。ベビーカーモードの展開状態では、第1連結リンク50及び第2連結リンク60の双方がシートフレーム20の下方に位置する。
【0040】
図7に示す折畳状態では、シートフレーム20と第1連結リンク50の回動軸50aは、支持リンク40と第1連結リンク50の回動軸50bよりも相対的に下側(鉛直方向において下側)に位置しており、シートフレーム20は第1連結リンク50を介して支持リンク40の下側に支持されている。したがって、
図7に示す折畳状態から手押し車100を展開すると、展開動作に伴って第1連結リンク50は回動軸50bを中心として反時計回りに回動するよう移動し、シートフレーム20は第1連結リンク50を介して支持リンク40の下側に支持されたワゴンモードに展開される(
図4参照)。ワゴンモードの展開状態では、第1連結リンク50はシートフレーム20の上方に位置する一方、第2連結リンク60はシートフレーム20の下方に位置する。
【0041】
以上のように、折畳状態においてシートフレーム20を上下動(移動)させて、支持リンク40と第1連結リンク50の回動軸50bに対するシートフレーム20と第1連結リンク50の回動軸50aの鉛直方向の上下位置を切り換えることによって、展開状態でのシートフレーム20の角度がベビーカーモード又はワゴンモードに対応する角度に変更される。ベビーカーモードへ展開したい場合には、シートフレーム20を上げてから展開すればよく、ワゴンモードへ展開したい場合には、シートフレーム20を下げてから展開すればよい。このように、ベビーカーモードへの展開とワゴンモードへの展開の切り替えは、折畳状態でのシートフレーム20の位置を変更するだけで行うことができるため、ベビーカーモードとワゴンモードの切り替えを容易に行うことができる。
【0042】
手押し車100では、ベビーカーモードとワゴンモードにおいて、ハンドル部32aが共通であるため、モードの切り換えの際に、ハンドル部32aの取り外しや取り付けが不要である。また、
図2と
図4の対比からわかるように、展開状態でのハンドル部32aの位置が、ベビーカーモードとワゴンモードで互いに同一である。つまり、ハンドル部32aの高さ、地面に対する傾斜角度、及び後輪1bからの長さ等が、ベビーカーモードとワゴンモードで互いに同一である。したがって、ベビーカーモードとワゴンモードの切り換えに伴って手押し車100の操作性が変わることがないため、ユーザーの使い勝手がよい。
【0043】
折畳状態において、ユーザーがベビーカーモードとワゴンモードのいずれに展開されるかが目視でわかるように、手押し車100に表示部を設けるようにしてもよい。具体的には、折畳状態において、第1連結リンク50及びシートフレーム20は、両モードで傾きが互いに異なるため、第1連結リンク50又はシートフレーム20に傾きを検出する水平器を設け、水平器にベビーカーモードとワゴンモードを判別表示する表示部を設けるようにしてもよい。又は、第1連結リンク50又はシートフレーム20に傾きを検出するセンサを設け、センサの検出結果に基づいてベビーカーモードとワゴンモードを判別表示する表示部をハンドル部32a等に設けるようにしてもよい。
【0044】
折畳状態において、ベースフレーム10とハンドル付きリンク30を挟持するクランプ部材を手押し車100に設けるようにしてもよい。クランプ部材により、ベースフレーム10とハンドル付きリンク30の離間が規制されるため、折畳状態でのベースフレーム10とハンドル付きリンク30のガタツキを防止することができる。また、クランプ部材にユーザーが把持可能な把持部を設けるようにすれば、折畳状態の手押し車100の運搬を容易に行うことができる。クランプ部材は、独立した別部品として構成してもよいが、ベースフレーム10に固定して設けることが好ましい。
【0045】
図6及び
図7に示すように、折畳状態において、係合部72の後側の端面72aは、鉛直方向にフラットに形成される。したがって、折畳状態において、係合部72の端面72aを地面に接触させることによって、手押し車100は係合部72と後輪1bによって自立する(
図6及び
図7に示す状態から90度回転した状態で自立する)。クランプ部材によってベースフレーム10とハンドル付きリンク30が挟持されていれば、手押し車100が自立した状態であっても、ベースフレーム10とハンドル付きリンク30が離れることはなく、安定した自立状態が維持される。
【0046】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0047】
手押し車100のベビーカーモードへの展開とワゴンモードへの展開の切り替えは、折畳状態でのシートフレーム20の位置を変更するだけで行うことができるため、ベビーカーモードとワゴンモードの切り替えを容易に行うことができる。
【0048】
手押し車100はベビーカーモードとワゴンモードの2つのモードを有するため、乳幼児を乗せる場合にはベビーカーモードで使用し、荷物を運ぶ場合にはワゴンモードで使用する等、用途に応じて使い分けすることができる。また、子育てが終わった後は、手押し車100を荷物運搬専用のワゴンとして使用するといった使い方もできる。このように、ベビーカーとワゴンの双方を購入する必要がないため、経済的である。
【0049】
手押し車100では、展開状態でのハンドル部32aの位置が、ベビーカーモードとワゴンモードで互いに同一である。したがって、ベビーカーモードとワゴンモードの切り換えに伴って手押し車100の操作性が変わることがないため、ユーザーの使い勝手がよい。
【0050】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0051】
折畳状態からベビーカーモード又はワゴンモードに展開可能な手押し車100は、車輪1が取り付けられるベースフレーム10と、シート2を支持するシートフレーム20と、ベースフレーム10に回動自在に連結され、ハンドル部32aが設けられるハンドル付きリンク30と、一端側がベースフレーム10に回動自在に連結され、他端側がハンドル付きリンク30に回動自在に連結され、シートフレーム20を支持する支持リンク40と、シートフレーム20と支持リンク40に回動自在に連結される第1連結リンク50と、を備え、折畳状態においてシートフレーム20を移動させて、支持リンク40と第1連結リンク50の回動軸50aに対するシートフレーム20と第1連結リンク50の回動軸50bの位置を切り換えることによって、展開状態でのシートフレーム20の角度がベビーカーモード又はワゴンモードに対応する角度に変更される。
【0052】
この構成では、手押し車100のベビーカーモードへの展開とワゴンモードへの展開の切り替えは、折畳状態でのシートフレーム20の位置を変更するだけで行うことができるため、ベビーカーモードとワゴンモードの切り替えを容易に行うことができる。
【0053】
また、手押し車100は、シートフレーム20と支持リンク40に回動自在に連結される第2連結リンク60と、第2連結リンク60とベースフレーム10に回動自在に連結される補助リンク80と、をさらに備え、第2連結リンク60は、一端側がシートフレーム20に回動自在に連結され、他端側が補助リンク80に回動自在に連結され、一端側と他端側の間が支持リンク40に回動自在に連結される。
【0054】
この構成では、補助リンク80によって第2連結リンク60の回動をロックして、シートフレーム20の回動をロックすることができる。
【0055】
また、手押し車100は、展開状態において、ハンドル付きリンク30と支持リンク40を結合することにより、ベースフレーム10に対するハンドル付きリンク30と支持リンク40の回動をロックするロック機構70をさらに備える。
【0056】
この構成では、手押し車100の展開状態を安定させることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0058】
100 手押し車
1 車輪
2 シート
10 ベースフレーム(ベース部)
20 シートフレーム
30 ハンドル付きリンク
31 ベースリンク
32 ハンドルリンク
32a ハンドル部
40 支持リンク
50 第1連結リンク
50a 回動軸
50b 回動軸
60 第2連結リンク
70 ロック機構
71 ピン部
72 係合部
73 解除ボタン
80 補助リンク