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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178492
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】パワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20221125BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085336
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕太
(72)【発明者】
【氏名】安井 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 浩平
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA05
5H770BA07
5H770BA09
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA05
5H770CA10
5H770EA01
5H770FA06
5H770FA11
5H770GA19
5H770HA02W
5H770HA03W
5H770HA04W
5H770JA17Y
5H770KA01Y
5H770LB05
(57)【要約】
【課題】異常の誤判定を抑制したパワーコンディショナを提供すること。
【解決手段】パワーコンディショナ11は、直流電力を検出するためのセンサ51a~51dと、商用電力系統15の商用交流電力に基づいて、運転モードを変更する制御部35とを備える。制御部35は、センサ51a~51dによって直流電力の電力値を検出し、電力値としきい値とを比較して電力値がしきい値よりも低いか否かを判定する異常監視を行う。制御部35は、異常監視の監視状態により太陽電池12に含まれるストリング12a~12cの異常を検出する。制御部35は、自立運転モードであることを含む特定条件に該当するときに異常監視を行う状態から異常監視を行わない状態に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用する電源から供給される電圧を変換するコンバータと、
前記コンバータから出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、
商用電力系統に接続される第1出力端子と、
第2出力端子と、
前記インバータと前記第1出力端子との間に接続された第1開閉器と、
前記インバータと前記第2出力端子との間に接続された第2開閉器と、
前記第1開閉器、前記第2開閉器、前記コンバータ、および前記インバータを制御し、第1運転モードにおいて前記第1開閉器を閉状態とするとともに前記第2開閉器を開状態として前記交流電圧を前記第1出力端子に出力し、第2運転モードにおいて前記第1開閉器を開状態とするとともに前記第2開閉器を閉状態として前記交流電圧を前記第2出力端子に出力する制御部と、
前記コンバータに接続され、電力を検出可能な第1センサと、
を備え、
前記制御部は、前記第1センサによって検出された第1電力値が所定のしきい値よりも低い場合には異常と判定する異常監視を行い、前記第2運転モードであることを含む特定条件に該当するときに前記異常監視を行う状態から前記異常監視を行わない状態に切り替える、
パワーコンディショナ。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1電力値が前記しきい値よりも低い状態が一定期間継続した場合に異常であると判定する、請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項3】
前記制御部は、メモリを有し、前記第1電力値と前記しきい値とを比較した比較結果を順次前記メモリに記憶させ、異常の有無を判定する、請求項1または請求項2に記載のパワーコンディショナ。
【請求項4】
前記制御部は、前記特定条件に該当するときに前記メモリに記憶させた前記比較結果を消去する、請求項3に記載のパワーコンディショナ。
【請求項5】
前記制御部は、前記インバータの制御を開始するとき、または前記インバータを停止するときに、前記メモリに記憶された前記比較結果を消去する、
請求項3または請求項4に記載のパワーコンディショナ。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2運転モードから前記第1運転モードに変更するときに、前記メモリに記憶させた前記比較結果を消去する、請求項3から請求項5の何れか一項に記載のパワーコンディショナ。
【請求項7】
前記第1センサおよび前記コンバータを複数備え、
前記制御部は、複数の前記第1センサのそれぞれの検出結果が前記しきい値よりも低い場合には異常と判定する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパワーコンディショナ。
【請求項8】
自然エネルギーを利用する電源から供給される電圧を変換するコンバータと、
前記コンバータから出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、
第1出力端子および第2出力端子と、
前記インバータと前記第1出力端子との間に接続された第1開閉器と、
前記インバータと前記第2出力端子との間に接続された第2開閉器と、
前記第1開閉器、前記第2開閉器、前記コンバータ、および前記インバータを制御する制御部と、
前記コンバータに接続され、電力を検出可能な第1センサと、
前記インバータから出力される交流電力を検出可能な第2センサと、
を備え、
前記制御部は、前記第2センサによって検出された第2電力値よりも前記第1センサによって検出された第1電力値が小さい状態のときには異常と判定する異常監視を行い、前記第2電力値よりも前記第1電力値が大きい状態を含む特定条件に該当するときに前記異常監視を行う状態から前記異常監視を行わない状態に切り替える、
パワーコンディショナ。
【請求項9】
前記制御部は、前記特定条件に該当しなくなったときに前記異常監視を開始する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のパワーコンディショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パワーコンディショナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、太陽光発電システムにおいて、接続された太陽光発電パネルの異常を検知する異常検知装置を開示する。この太陽光発電パネル異常検知装置は、接続された複数の太陽光発電パネルのうち何れかの太陽光発電パネルの出力値を他の太陽光発電パネルの出力値と比較して異常であるかどうかを判定する。また、太陽光発電パネル異常検知装置は、異なる時期における太陽光発電パネルの出力値を比較して異常であるかどうかを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-93368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽光発電システムには、商用系統と連系運転する機能と、商用系統から電力が供給されないときに自立運転する機能を有するものがある。このような太陽光発電システムは、自立運転において、太陽光発電パネルにて発電した直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を自立運転用の負荷に供給する。
【0005】
このような太陽光発電システムでは、特定の状況で誤判定が生じ易くなる場合がある。特定の状況としてたとえば自立運転中では、交流電圧を供給する負荷による消費電力に応じて、太陽光発電パネルにおける発電量を調整する。この場合、太陽光発電パネルの出力値が低くなるため、異常として検出される場合がある。このように特定の状況を含んで異常の有無を判定すると、誤判定が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様であるパワーコンディショナは、自然エネルギーを利用する電源から供給される電圧を変換するコンバータと、前記コンバータから出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、商用電力系統に接続される第1出力端子と、第2出力端子と、前記インバータと前記第1出力端子との間に接続された第1開閉器と、前記インバータと前記第2出力端子との間に接続された第2開閉器と、前記第1開閉器、前記第2開閉器、前記コンバータ、および前記インバータを制御し、第1運転モードにおいて前記第1開閉器を閉状態とするとともに前記第2開閉器を開状態として前記交流電圧を前記第1出力端子に出力し、第2運転モードにおいて前記第1開閉器を開状態とするとともに前記第2開閉器を閉状態として前記交流電圧を前記第2出力端子に出力する制御部と、前記コンバータに接続され、電力を検出可能な第1センサと、を備え、前記制御部は、前記第1センサによって検出された第1電力値が所定のしきい値よりも低い場合には異常と判定する異常監視を行い、前記第2運転モードであることを含む特定条件に該当するときに前記異常監視を行う状態から前記異常監視を行わない状態に切り替える。
【0007】
本開示の別の一態様であるパワーコンディショナは、自然エネルギーを利用する電源から供給される電圧を変換するコンバータと、前記コンバータから出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、第1出力端子および第2出力端子と、前記インバータと前記第1出力端子との間に接続された第1開閉器と、前記インバータと前記第2出力端子との間に接続された第2開閉器と、前記第1開閉器、前記第2開閉器、前記コンバータ、および前記インバータを制御する制御部と、前記コンバータに接続され、電力を検出可能な第1センサと、前記インバータから出力される交流電力を検出可能な第2センサと、を備え、前記制御部は、前記第1センサによって検出された第1電力値が所定のしきい値よりも低い場合には異常と判定する異常監視を行い、前記第2電力値よりも前記第1電力値が大きい状態を含む特定条件に該当するときに前記異常監視を行う状態から前記異常監視を行わない状態に切り替える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、異常の誤判定を抑制したパワーコンディショナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のパワーコンディショナのブロック回路図である。
図2図2は、一実施形態のパワーコンディショナについて、自立運転モードにおける接続状態を示すブロック図である。
図3図3は、ストリングの説明図である。
図4図4は、制御部の状態を示す説明図である。
図5図5は、制御部の動作を示す説明図である。
図6図6は、制御部の動作を示すフローチャートである。
図7図7は、変更例のパワーコンディショナを示すブロック回路図である。
図8図8は、変更例のパワーコンディショナを示すブロック回路図である。
図9図9は、変更例のパワーコンディショナについて、自立運転モードにおける接続状態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を説明する。
図1に示すように、本実施形態のパワーコンディショナ11は、太陽電池12と接続され、太陽光発電システム13を構成する。太陽電池12は、自然エネルギーを利用する電源の一例である。電源としては、太陽光発電システム13は、例えば一般家庭に設置される。なお、太陽光発電システム13は、商業施設や工場等に設置されてもよい。
【0011】
パワーコンディショナ11は、太陽電池12にて発電した直流電力を交流電力に変換して商用電力系統15へ出力する。本実施形態の太陽電池12は、4つの太陽電池ストリング(以下、単にストリングという)12a,12b,12c,12dを含む。
【0012】
図3に示すように、各ストリング12a~12dは、直列に接続された複数のセルSEと、任意のセル同士を接続するバイパスダイオードBDを含む。セルSEは、太陽電池12の最小単位であり、たとえば約10センチ四方の平板形状を有する。何れかのセルSEが故障した場合、バイパスダイオードBDに電流が流れることにより、ストリング12a~12dの発電を継続する。また、何れかのセルSEにおいて影によって出力電流が低下した場合、バイパスダイオードBDに電流が流れることにより、発電電力の低下を抑制する。
【0013】
パワーコンディショナ11は、商用電力系統15に接続される系統連系端子21を有している。系統連系端子21は第1出力端子の一例である。系統連系端子21は、図示しない分電盤等を介して一般家庭の系統電力線14に接続される。系統電力線14は商用電力系統15に接続されている。商用電力系統15は、電力会社が電力を伝送する配電系統である。系統電力線14には、負荷16,17が接続される。負荷16,17は、分電盤を介して屋内に敷設された電力線又は屋内に設置されたコンセント(アウトレット)に接続される電気機器である。電気機器は、例えば、照明器具、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、空気調和機、電子レンジ、等の電気機器である。
【0014】
パワーコンディショナ11は、複数の運転モードを有している。本実施形態において、運転モードは、連系運転モードと自立運転モードとを含む。連系運転モードは第1運転モードの一例である。自立運転モードは第2運転モードの一例である。
【0015】
連系運転モードは、パワーコンディショナ11を商用電力系統15に並列して商用電力系統15と連系する運転モードである。パワーコンディショナ11は、連系運転モードにおいて、交流電力を系統連系端子21に出力する。系統電力線14に接続された負荷16,17は、商用電力系統15から供給される商用交流電力、パワーコンディショナ11から供給される交流電力により動作する。
【0016】
自立運転モードは、パワーコンディショナ11を商用電力系統15から解列してパワーコンディショナ11から交流電圧を負荷17に供給する運転モードである。パワーコンディショナ11は、停電等によって商用電力系統15から商用交流電力が供給されないとき、連系運転モードから自立運転モードへと運転モードを変更する。パワーコンディショナ11は、自立運転モードにおいて、交流電力を出力する自立運転用出力端子22を有している。自立運転用出力端子22は第2出力端子の一例である。パワーコンディショナ11は、この自立運転用出力端子22に接続された負荷17に交流電圧を供給する。つまり、自立運転用出力端子22は、自立運転モードにて動作するパワーコンディショナ11が交流電力を出力する自立運転用出力端子である。
【0017】
本実施形態において、自立運転用出力端子22は、負荷17が接続される自立運転用コンセント(アウトレット)である。なお、負荷17は、自立運転用出力端子22に対して直接、又は延長コード、テーブルタップ、宅内配線、等を介して間接的に接続できる。使用者は、商用電力系統15の系統電力線14に接続された負荷17を自立運転用出力端子22に接続しなおし、パワーコンディショナ11を自立運転させる。これにより、負荷17は使用可能となる。
【0018】
[パワーコンディショナの構成]
本実施形態のパワーコンディショナ11は、4つのPVコンバータ(PVC:photovoltaic convertor)31a,31b,31c,31dを有している。また、パワーコンディショナ11は、インバータ32、フィルタ33、系統連系リレー(単に「リレー」と表記)34a、自立運転リレー(単に「リレー」と表記)34b、制御部35を有している。PVコンバータ31a~31dとインバータ32は、直流電圧バス41を介して互いに接続されている。インバータ32は、フィルタ33と系統連系リレー34aとを介して系統連系端子21に接続されている。また、インバータ32は、フィルタ33と自立運転リレー34bとを介して自立運転用出力端子22に接続されている。
【0019】
系統連系リレー34aは、インバータ32と系統連系端子21との間を接離する第1開閉器(スイッチ)の一例である。系統連系リレー34aは、たとえば、半導体スイッチ、機械式リレースイッチ、等を用いることができる。自立運転リレー34bは、インバータ32と自立運転用出力端子22との間を接離する第2開閉器(スイッチ)の一例である。自立運転リレー34bは、たとえば、半導体スイッチ、機械式リレースイッチ、等を用いることができる。
【0020】
制御部35は、PVコンバータ31a~31d、インバータ32、系統連系リレー34a、自立運転リレー34bを制御する。パワーコンディショナ11は、制御部35の制御電源を生成する電源回路45を有している。電源回路45は、直流電圧バス41の直流電力または商用電力系統15の交流電力により制御部35の制御電源を生成する。
【0021】
各PVコンバータ31a~31dは、制御部35によって制御される昇圧回路である。各PVコンバータ31a~31dは、それぞれストリングを接続可能に構成されている。つまり、パワーコンディショナ11は、1~4つの任意の数のストリングを接続可能に構成されている。
【0022】
各PVコンバータ31a~31dは、ストリング12a~12dの発電電力を直流電力に変換して直流電圧バス41に出力する機能を有している。また、各PVコンバータ31a~31dは、生成した直流電圧を平滑化する機能を有している。PVコンバータ31a,31b,31c,31dにはそれぞれ、接続されるストリングの発電電力(直流電力)を検出するためのセンサ51a,51b,51c,51dが接続されている。
【0023】
各PVコンバータ31a~31dは、スイッチング素子を含む。制御部35は、PVコンバータ31a~31dのスイッチング素子をオンオフする制御信号のパルス幅を、例えばパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式により調整する。そして、制御部35は、制御信号により、各PVコンバータ31a~31dから所望の出力電力が直流電圧バス41に出力されるように、各PVコンバータ31a~31dを制御する。なお、図1はPVコンバータ31a~31cにはストリング12a~12cが接続され、PVコンバータ31dにはストリング12dが接続されていない状態を示している。本実施形態において、制御部35は、3つのPVコンバータ31a~31cを制御する。
【0024】
インバータ32は、制御部35からの制御信号によって動作する直流交流変換回路である。インバータ32は、制御部35からの制御信号により動作し、直流電圧バス41の直流電力を交流電力に変換する。
【0025】
連系運転モードにおいて、制御部35は、直流電力を商用電力系統15と連系可能な交流電力に変換するようにインバータ32を制御する。また、自立運転モードにおいて、制御部35は、自立運転用出力端子22に接続される負荷17に交流電力を供給するようにインバータ32を制御する。
【0026】
インバータ32から出力される交流電力は、フィルタ33と閉状態の系統連系リレー34aを介して系統連系端子21に出力され、その系統連系端子21から系統電力線14に出力される。フィルタ33は、インバータ32から出力される交流電力の高周波成分を低減する。また、インバータ32から出力される交流電力は、閉状態の自立運転リレー34bを介して自立運転用出力端子22に出力される。
【0027】
また、インバータ32は、商用電力系統15の交流電力を直流電力に変換して直流電圧バス41に出力する。制御部35は、交流電力と同様に、制御信号によってインバータ32が含む複数のスイッチング素子のオンオフを制御し、所望の直流電力をインバータ32から直流電圧バス41に出力させる。
【0028】
制御部35は、メモリ36を備える。メモリ36は、ROM,RAMを含む。メモリ36は、制御部35が実行する処理プログラム、処理プログラムの実行により格納される各種のデータを記憶する。また、メモリ36は、処理に必要なしきい値等の各種のデータを記憶する。また、制御部35は、図示しない周辺回路を含む。周辺回路は、クロック信号生成回路、クロック回路、インタフェース回路、通信回路、等を含む。制御部35は、処理プログラムの実行に際して必要となる情報(データ)を、周辺回路から直接読み出す、または周辺回路からメモリ36に格納された情報(データ)を読み出す。なお、メモリ36に記憶される情報(データ)は、周辺回路を介して外部からメモリ36に格納されるものを含む。
【0029】
図6は、制御部35の動作の概略を示すフローチャートである。
制御部35は、図6に示すステップS21~S27の処理を実行する。
制御電源が投入されると、制御部35は、ステップS21において、初期設定を実施する。初期設定は、パワーコンディショナ11が動作するための各種の制御を含む。たとえば、制御部35は、図1図2に示す系統連系リレー34aおよび自立運転リレー34bをオフする。また、制御部35は、ストリングの設定、つまり図1図2に示すPVコンバータ31a~31dに対するストリングの接続状態の検出および記憶する処理を行う。制御部35は、初期設定を終了すると、待機する。そして、制御部35は、たとえば図示しないコントローラから動作開始/停止信号によって動作開始が指示されると、ステップS22へ移行する。
【0030】
ステップS22において、制御部35は、各種制御を実施する。各種制御は、連系運転モードにおける制御と、自立運転モードにおける制御を含む。たとえば、連系運転モードのとき、制御部35は、系統連系リレー34aを閉状態(オン状態)に制御するとともに、自立運転リレー34bを開状態(オフ状態)に制御する。そして、制御部35は、PVコンバータ31a~31c、インバータ32を作動させる。これにより、ストリング12a~12cにより発電された電圧に基づく交流電圧が系統連系端子21から出力される。自立運転モードのとき、制御部35は、系統連系リレー34aを開状態に制御するとともに、自立運転リレー34bを開状態に制御する。そして、制御部35は、PVコンバータ31a~31c、インバータ32を作動させる。これにより、ストリング12a~12cにより発電された電圧に基づく交流電圧が自立運転用出力端子22から出力される。
【0031】
ステップS23において、制御部35は、制御停止か否かを判定する。制御停止は、たとえば図示しないコントローラから動作開始/停止信号によって指示される。制御停止ではないと判定した場合(判定:NO)、制御部35は、ステップS24へ移行する。一方、制御停止と判定した場合(判定:YES)、制御部35は、ステップS21へ移行する。
【0032】
ステップS24において、制御部35は、特定条件を満たすか否かを判定する。特定条件は、異常判定において、誤判定が生じるおそれがある状態を示す条件を含む。
特定条件を満たさないと判定した場合(判定:NO)、制御部35はステップS25へ移行する。一方、特定条件を満たす判定した場合(判定:YES)、制御部35は、ステップS22へ移行する。
【0033】
ステップS25において、制御部35は、異常状態か否かを判定する。たとえば、異常判定は、ストリング12a~12cの異常を含む。制御部35は、ストリング12a~12cの状態を検出する。制御部35は、各ストリング12a~12cの状態が異常状態か否かを判定する。異常状態であると判定した、つまり異常を検出した場合(判定:YES)、制御部35は、ステップS26へ移行する。一方、異常状態ではないと判定した場合(判定:NO)、制御部35はステップS22へ移行する。
【0034】
ステップS26において、制御部35は、所定時間継続したか否かを判定する。詳述すると、制御部35は、ステップS25において検出した異常状態が所定時間継続したか否かを判定する。所定時間継続したと判定した場合(判定:YES)、制御部35はステップS27へ移行する。一方、所定時間継続していないと判定した場合(判定:NO)、制御部35はステップS22へ移行する。
【0035】
ステップS27において、制御部35は、異常を報知する。たとえば、制御部35は異常を報知した後、待機する。そして、制御部35は、所定の操作等が行われると、ステップS21へ移行する。
【0036】
上記したステップS24において特定条件を満たさない判定した場合、制御部35は、ステップS25,S26を実行する。つまり、制御部35は、異常検出を行い、異常状態が継続しているか否かを判定する。言い換えると、制御部35は、特定条件を満たさないとき、異常監視を行う状態となる。一方、ステップS24において特定条件を満たすと判定した場合、制御部35はステップS22へ移行する。したがって、特定条件を満たす場合、制御部35は、ステップS25,S26を実行しない。つまり、制御部35は、異常検出を行わないとともに、異常状態の継続を判定しない。言い換えると、制御部35は、特定条件を満たすとき、異常監視を行わない状態となる。したがって、制御部35は、特定条件に該当するときに、異常監視を行う状態から異常監視を行わない状態へと切り替える。また、制御部35は、特定条件に該当しないとき、異常監視を行わない状態から異常監視を行う状態へと切り替える。
【0037】
(作用)
次に、上記のパワーコンディショナ11の作用を説明する。
[ストリングの異常監視]
制御部35は、パワーコンディショナ11に接続された直流電源としてのストリングの異常を監視する機能を有している。本実施形態において、パワーコンディショナ11には3つのストリング12a~12cが接続されている。ここでは、3つのストリング12a~12cにおける異常監視について説明する。なお、図1ではストリング12dは接続されていないが、このストリング12dが接続されている場合、制御部35は他のストリング12a~12cと同様に異常監視を行う。以下の説明において、図1に示す状態、つまりストリング12a~12cが接続された状態における処理を説明する。なお、全てのストリング12a~12dについて共通する場合には全てのストリング12a~12dを示して説明する。
【0038】
制御部35は、PVコンバータ31a~31cに対するストリング12a~12cの異常を検知した結果をメモリ36に格納する。各ストリング12a~12cの異常は、各ストリング12a~12cの発電電力(直流電力)により検知することができる。なお、各ストリング12a~12cの異常は、各ストリング12a~12cの出力である直流電圧または直流電流により検知することもできる。
【0039】
メモリ36に記憶される情報(データ)は、PVコンバータ31a~31dに対するストリングの接続状態(接続、非接続)を含む。本実施形態のパワーコンディショナ11は、PVコンバータ31a~31cに対してストリング12a~12cが接続され、PVコンバータ31dにはストリング12dが接続されていない。制御部35は、PVコンバータ31a~31cに接続されたストリング12a~12cについて、異常を検知する。
【0040】
詳述すると、本実施形態のパワーコンディショナ11は、各PVコンバータ31a,31b,31c,31dに接続される接続端子23a,23b,23c,23dを有している。各接続端子23a~23dは、たとえばパワーコンディショナ11に設けられた接続コネクタや端子台などである。なお、各接続端子23a~23dは、省略されてもよい。PVコンバータ31a,31b,31c,31dにはそれぞれ、接続されるストリングの発電電力(直流電力)を検出するためのセンサ51a,51b,51c,51dが接続されている。センサ51a~51dは第1センサの一例であり、センサ51a~51dにより検出される値は第1電力値に相当する。各センサ51a~51dは、対応するPVコンバータ31a~31dの入力側に設けられている。したがって、各センサ51a~51dは、PVコンバータ31a~31dの入力側における直流電力(電圧、電流)を検出するためのセンサともいえる。
【0041】
センサ51a~51dは、電圧センサおよび電流センサから構成されている。電圧センサにより検出される電圧値、および電流センサにより検出される電流値により、接続端子23a~23dから入力される電力量を算出することができる。なお、接続端子23a~23dに対するストリングの接続の有無は、電圧値および電流値の少なくとも一方により判定することができる。また、接続端子23a~23dに接続されたストリングの発電状態は、電圧値および電流値の少なくとも一方により判定することができる。
【0042】
メモリ36には、各ストリング12a~12dの異常を検出するための設定(データ)が記憶されている。このデータは、しきい値、期間、を含む。しきい値は、たとえばストリング12a~12dにて発電される電力に対する判定のための電力(しきい値電力)である。なお、電圧または電流を検出することによって各ストリング12a~12dの異常を検出することもできる。この場合、メモリ36には、検出対象となる電圧または電流に対応するしきい値電圧またはしきい値電流が記憶される。
【0043】
制御部35は、メモリ36に記憶されたしきい値を読み出し、そのしきい値とセンサ51aにより検出したストリング12aの電力値とを比較する。制御部35は、比較結果をメモリ36に記憶する。制御部35は、ストリング12aの電力値がしきい値以上の場合、ストリング12aについて「異常なし」と判定する。また、制御部35は、ストリング12aの電力値がしきい値よりも低い場合、ストリング12aについて「異常有り」と判定する。しきい値と発電電力との比較は、ストリング12aについて異常が生じている可能性があるか否かを検出するものである。そして、制御部35は、ストリング12aの「異常有り」が所定期間継続した場合、ストリング12aが異常であると判定し、ストリング12aの異常を報知する。
【0044】
しきい値は、ストリング12aの発電電力、たとえば定格値に応じて設定される。しきい値は、たとえばストリング12aの使用状態において、通常では生じ難い低い電力値に設定される。ストリング12aは、太陽光により発電する。たとえば雲などによって太陽光が遮られた場合、ストリング12aの出力電力(出力電圧)は低下する。このように、通常の発電状態において低下する出力電力よりも低い値にしきい値が設定される。たおえば、ストリング12aの出力電力を1.5kWとした場合、しきい値は100Wに設定される。
【0045】
制御部35は、上記のストリング12aの発電電力としきい値とを比較する判定処理を実行する。同様に、制御部35は、ストリング12b,12cに対する判定処理を実行する。制御部35は、各ストリング12a~12cに対する判定処理を、所定間隔で実施する。所定間隔は、たとえば、1時間、数時間、数十時間、1日、数日、1週間、等に設定される。
【0046】
制御部35は、各ストリング12a~12cに対する判定処理の結果をメモリ36に格納する。たとえば、制御部35は、ストリング12aについて「異常有り」と判定した場合、その旨を示すデータをメモリ36に格納し、「異常なし」と判定した場合、メモリ36のデータをクリアする。このデータは、たとえば異常判定した回数を示すカウント値である。制御部35は、「異常有り」と判定した場合、カウント値をカウントアップ(+1)する。一方、制御部35は、「異常なし」と判定した場合にはカウント値をリセット(0をセット)し、比較結果を消去する。
【0047】
そして、制御部35は、カウント値が所定値と等しくなった場合、ストリング12aが異常であると判定し、ストリング12aの異常を報知する。所定値は、上記の所定期間と判定処理を行う感覚とに基づいて設定される。所定期間は、たとえば、1週間(168時間)に設定される。上記の所定感覚を1時間とした場合、所定値は「168」に設定される。
【0048】
なお、制御部35は、判定処理の結果をメモリ36に対して順次格納してもよい。この場合、メモリ36に格納した判定結果の数が上記のカウント値となる。そして、所定値の判定結果を格納した場合、制御部35は、ストリング12a~12cの異常を報知する。そして、制御部35は、「異常なし」と判定した場合、カウント値をリセット、つまりメモリ36の判定結果をクリア(消去)する。
【0049】
[監視停止]
制御部35は、ストリングの異常監視を停止(中断)する機能を有している。制御部35は、特定条件を満足する場合、各ストリング12a~12cに対する異常監視を停止する非監視状態となる。特定条件は、自立運転モードであることを含む。自立運転モードによる自立運転は、商用電力系統15から商用交流電力が供給されない停電状態にある。この自立運転モードにおいて、パワーコンディショナ11は、太陽電池12(ストリング12a~12c)によって発電した直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を負荷17に供給する。負荷17の状態(動作状態、接続数)によって必要とする電力が変化する。このため、各ストリング12a~12cによる発電電力が変化する。そして、各ストリング12a~12cの発電電力がしきい値よりも低くなると、制御部35がそのストリングが異常であると判定する、つまり誤判定を生じる。制御部35は、自立運転モードであることを特定条件に含める。そして、制御部35は、この特定条件を満たす場合、つまり連系運転モードから自立運転モードに変更したとき、各ストリング12a~12cに対する異常監視を停止(中断)する。これにより、ストリング12a~12cに対する異常の誤検出を低減する。
【0050】
商用電力系統15が停電状態から復帰(復電)したとき、制御部35は、自立運転モードから連系運転モードへと変更する。そして、制御部35は、特定条件を満たさなくなったと判定し、各ストリング12a~12cに対する異常監視を再開する。この異常監視を停止しているとき、制御部35は、異常監視を停止する前の状態を維持する。つまり、ストリング12a~12cについて異常監視を行っている場合、カウント値はメモリ36に記憶されている。制御部35は、メモリ36のカウント値をクリア(リセット)しない。そして、制御部35は、異常監視を再開したときに、各ストリング12a~12cの発電電力によりカウントを再開する。これにより、各ストリング12a~12cの異常を検出することができる。
【0051】
また、特定条件は、過積載状態であることを含む。過積載状態は、パワーコンディショナ11が出力可能な電力量に対して、太陽電池12の発電可能電力が大きい状態である。パワーコンディショナ11が出力可能な電力量は、たとえば4kWであり、PVコンバータ31a~31dやインバータ32などの回路の最大定格電力により決定される。たとえば、過積載状態は、パワーコンディショナ11の定格出力に対して、太陽電池12の発電可能電力(接続されたストリング12a~12cによる発電可能電力)が大きい状態を示す。また、過積載状態は、たとえば、温度などの要因によって、パワーコンディショナ11の定格出力よりも低い電力した出力することができない状態でもある。パワーコンディショナ11が出力する電力は、たとえばインバータ32の出力側に設けられたセンサ52より検出できる。センサ52は第2センサの一例であり、センサ52により検出される値は、第2電力値に相当する。センサ52は、電流センサ、または電流センサおよび電圧センサにより構成される。このような過積載状態のとき、制御部35は、PVコンバータ31a~31cの制御により、パワーコンディショナ11が出力可能な電力量まで各ストリング12a~12cの発電を抑制する。このため、各ストリング12a~12cの発電電力がしきい値よりも低くなることがあり、制御部35がそのストリングが異常であると判定する、つまり誤判定を生じる。制御部35は、過積載状態であることを特定条件に含める。そして、制御部35は、この特定条件を満たす場合、各ストリング12a~12cに対する異常監視を停止(中断)する。これにより、ストリング12a~12cに対する異常の誤検出を低減する。
【0052】
過積載状態ではなくなったとき、たとえば、温度によってパワーコンディショナ11が定格出力を出力可能となったとき、制御部35は、特定条件を満たさなくなったと判定し、各ストリング12a~12cに対する異常監視を再開する。これにより、各ストリング12a~12cの異常を検出することができる。
【0053】
[ストリングの設定]
メモリ36に記憶される情報(データ)は、PVコンバータ31a~31dに対するストリングの接続状態(接続、非接続)を含む。制御部35は、各PVコンバータ31a~31dに対するストリングの接続状態を判定し、その判定結果をメモリ36に記憶する。
【0054】
制御部35は、各センサ51a~51dによる検出結果により、各PVコンバータ31a~31dに対するストリングの接続状態を検出する。上記したように、PVコンバータ31a~31dの入力側にはセンサ51a~51dが設けられている。本実施形態のセンサ51a~51dは、電圧センサを含む。図1に示すように、ストリング12a~12cが接続された場合、日中の発電可能な状態では、各センサ51a~51cに対してストリング12a~12cの発電電力(直流電力)が印加される。制御部35は、各センサ51a~51cによって、ストリング12a~12cの発電電力(直流電力)を検出できる。制御部35は、所定のしきい値電圧と、各センサ51a~51dによって検出した電圧値とを比較する。しきい値電圧は、各ストリング12a~12dの構成によって、各ストリング12a~12dの出力電圧よりも低い電圧値に設定される。しきい値電圧の一例は、たとえば60Vである。制御部35は、センサ51a~51dによって検出した電圧値がしきい値電圧よりも高い(≧60V)の場合、各PVコンバータ31a~31dに対してストリングが接続されていると判定する。つまり、制御部35は、各ストリング12a~12dの接続状態(接続、非接続)を検出する。
【0055】
そして、制御部35は、検出した接続状態のデータをメモリ36に記憶させる。たとえば、接続状態を「1」、非接続状態を「0」とする。これにより、パワーコンディショナ11に対するストリングの接続状態を自動的に判定することができる。図1は、ストリング12a~12cが接続端子23a~23cに接続され、ストリング12dが接続端子23dに対して接続されていない状態を示している。この場合、制御部35は、接続端子23a~23cに対してストリング12a~12cが接続されていると判定し、それらの接続状態(接続)を示すデータをメモリ36に記憶させる。また、制御部35は、接続端子23dに対してストリングが接続されていないと判定し、その接続状態(非接続)を示すデータをメモリ36に記憶させる。
【0056】
たとえば、各ストリング12a~12dの接続状態は、太陽電池12とパワーコンディショナ11を設置する作業者により設定することができる。しかし、作業者による手作業では、設定ミスが生じる場合がある。たとえば、図1に示す状態において、たとえば接続端子23dに対してストリング12dを接続したと設定する。この場合、実際にはストリング12dが接続されていないため、センサ51dにより検出される発電量は「0」となる。この結果、制御部35は、ストリング12dが異常であると誤判定する。また、図1に示す状態において、たとえば接続端子23aに対してストリング12aが未接続であると設定する。この場合、制御部35は、未接続として設定されたPVコンバータ31aを制御しないため、ストリング12aによる発電電力は利用されないこととなる。
【0057】
上記したように、制御部35は、各PVコンバータ31a~31dに対応するセンサ51a~51dにより、各PVコンバータ31a~31dの入力側の直流電力の電力値を検出する。これらの電力値によって、PVコンバータ31a~31dに対して直流電源であるストリング12a~12dが接続されているか否かを判定できる。制御部35は、その判定結果を、メモリ36に格納する。つまり、パワーコンディショナ11に対するストリング12a~12dの接続状態が、自動で設定される。これにより、施工時における設定ミスやストリングの接続を変更したときの設定変更ミスを防止することができる。
【0058】
図4は、パワーコンディショナ11における制御部35の動作状態を示す。制御部35は、図4に示す「待機状態」「作動状態」「異常報知」「非監視状態」を取り得る。なお、制御部35が取り得る状態は、上記以外を含んでいてもよい。
【0059】
パワーコンディショナ11の制御部35は、各種の条件に従って、各状態S11~S14を遷移することで、パワーコンディショナ11を制御する。
[待機状態]
制御部35は、電源回路45から供給される制御電源により動作を開始した状態にある。また、たとえば図示しないコントローラから動作開始/停止信号により動作停止が指示されたとき、制御部35は、待機状態S11となる。動作開始/停止信号は、制御部35に対してパワーコンディショナ11を作動と停止を制御する、つまり発電の開始と停止を制御するための信号の一例である。
【0060】
この状態において、制御部35は、各PVコンバータ31a~31dに対するストリングの接続状態を検出する。上記したように、制御部35は、PVコンバータ31a~31dの入力側のセンサ51a~51dにより検出した電圧値としきい値電圧とを比較する。そして、制御部35は、検出した電圧値がしきい値電圧以上となったセンサ51a~51dが接続されたPVコンバータ31a~31dについてストリング接続ありと判定する。そして、制御部35は、ストリング12a~12dの接続情報をメモリ36に記憶させる。そして、制御部35は、動作開始/停止信号により動作開始が指示されたとき、作動状態S12に遷移する。
【0061】
[作動状態]
制御部35は、作動状態S12において、センサ53による検出結果に基づいて,連系運転モードまたは自立運転モードに設定し、各運転モードにおける制御を行う。センサ53は、たとえば電力量計である。制御部35は、商用電力系統15からの商用交流電力の有無により、連系運転モードから自立運転モードへ、自立運転モードから連系運転モードへと変更する。制御部35は、商用電力系統15から商用交流電力が供給されているときに連系運転モードとし、停電等によって商用電力系統15から商用交流電力が供給されていないときに自立運転モードとする。なお、商用電力系統15と接続される電力線が単相3線式の場合、W相とU相との間の電圧により、商用電力系統15からの商用交流電力の供給の有無を判定することもできる。
【0062】
[非監視状態]
たとえば停電によって商用電力系統15から商用交流電力が供給されないとき、制御部35は、自立運転モードに変更する。このとき、特定条件を持たすため、制御部35は、非監視状態S13へと遷移する。これにより、制御部35は、自立運転モードによるストリング12a~12cが異常であるか否かを判定しない。したがって、自立運転による誤検出を抑制できる。つまり、各ストリング12a~12cの異常検出の精度を向上できる。
【0063】
商用電力系統15から商用交流電力が供給されるようになると、制御部35は、自立運転モードから連系運転モードに変更する。そして、制御部35は、非監視状態S13から作動状態S12へと遷移する。
【0064】
[作動状態と非監視状態とにおける異常監視の継続と停止]
制御部35は、非監視状態S13において、異常監視のカウントを停止(中断)する。たとえば、図1に示すストリング12aについて、作動状態S12において、異常監視している状態であるとする。制御部35は、作動状態S12において、ストリング12aの発電電力がしきい値電力よりも低くなったことを検知すると、図5に示すように、ストリング12aに対する異常検出の判定を開始する。そして、制御部35は、所定間隔でストリング12aに対する判定処理を実施する。その判定処理において、ストリング12aの発電電力がしきい値電力よりも低い場合、異常判定した回数をカウントアップする。つまり、制御部35は、カウントを継続する。
【0065】
連系運転モードから自立運転モードへと変更し、自立運転を開始すると、制御部35は、ストリング12aに対するカウントを停止する。その後、自立運転モードから連系運転モードへと変更して自立運転終了すると、制御部35は、ストリング12aに対するカウントを再開する。なお、制御部35は、自立運転を終了した後、一定の期間経過後にカウントを再開するようにしてもよい。そして、制御部35は、ストリング12aに対する判定処理を実施し、ストリング12aの発電電力がしきい値電力よりも低い場合にカウントを継続する。そして、自立運転の期間を除いてストリング12aの「異常あり」の状態が所定期間継続した場合、制御部35は、ストリング12aが異常であると判定し、異常報知S14へと遷移する。
【0066】
[異常報知]
異常報知S14において、制御部35は、ストリング12aの異常を報知する。このようにして、制御部35は、ストリング12aの異常を確実に検知することができる。なお、ストリング12aについて説明したが、他のストリング12b,12cについてもストリング12aと同様に異常の誤検知を抑制できるとともに、異常を確実に検知できる。また、ストリング12dを接続した場合もストリング12aと同様に異常の誤検知を抑制できるとともに、異常を確実に検知できる。
【0067】
異常報知S14において、たとえば作業者のメンテナンスによってパワーコンディショナ11がリセットされると、制御部35は待機状態S11へと遷移する。制御部35は、異常報知S14から待機状態S11へと遷移した場合、メモリ36に記憶した異常判定のためのデータ、たとえばカウント値をクリアする。上記作動状態S12において、図示しないコントローラから発電停止信号が入力されたとき、制御部35は、待機状態S11に遷移する。また、制御部35は、制御電源の供給、発電開始信号、発電停止信号、によって待機状態S11に遷移した場合、メモリ36に記憶した異常判定のためのデータ、たとえば比較結果、カウント値をクリア(消去)する。
【0068】
たとえば、図示しないコントローラからの発電停止信号、発電開始信号は、施工終了やメンテナンス等によって入力される。これらの場合に、メモリ36にデータが残っていると、誤判定の要因となる。たとえば、図1に示すPVコンバータ31aに対してメンテナンスによって、ストリング12aからストリング12dへと接続を変更する。この場合、それまでとは異なるストリング12dがPVコンバータ31aに接続されることとなる。ストリング12aについて異常検知によってカウントしているときに、ストリング12dに対してカウントを継続すると、ストリング12dの異常を誤検知するおそれがある。このため、メモリ36のデータ(比較結果、カウント値、等)をクリア(リセット)することにより、誤検知を抑制できる。
【0069】
(効果)
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)パワーコンディショナ11は、太陽電池12からの直流電力を交流電力に変換するインバータ32を備える。パワーコンディショナ11は、インバータ32と系統連系端子21との間に接続された系統連系リレー34aと、インバータ32と自立運転用出力端子22との間に接続された自立運転リレー34bとを有している。パワーコンディショナ11は、PVコンバータ31a~31dに入力される電力を検出するためのセンサ51a~51dを備える。
【0070】
制御部35は、連系運転モードのとき、系統連系リレー34aを閉状態にするとともに自立運転リレー34bを開状態にしてインバータ32の交流電力を系統連系端子21に出力する。また、制御部35は、自立運転モードのとき、系統連系リレー34aを開状態にするとともに自立運転リレー34bを閉状態にしてインバータ32の交流電力を自立運転用出力端子22に出力する。制御部35は、センサ51a~51dによって検出した電力値がしきい値よりも低い場合には異常と判定する異常監視を行う。そして制御部35は、自立運転モードであることを含む特定条件に該当するときに異常監視を行う状態から異常監視を行わない状態に切り替える。
【0071】
特定条件に含まれる自立運転モードにおいて、負荷17の状態に応じた交流電力を得るように、ストリング12a~12cの発電が抑えられる。このため、各ストリング12a~12cの発電電力がしきい値よりも低くなる場合があり、誤検出となる場合がある。したがって、自立運転モードにおいて、異常監視を行わないようにすることで、誤検出を抑制する。これにより、ストリング12a~12cに対する異常検出の精度を向上できる。
【0072】
(3)パワーコンディショナ11は、インバータ32から出力される交流電力を検出可能なセンサ52を備える。制御部35は、センサ52によって検出した電力値よりもセンサ51a~51dによって検出した電力値が小さい状態のときには異常と判定する異常監視を行う。そして、制御部35は、センサ52によって検出した電力値よりもセンサ51a~51dによって検出した電力値が大きい状態(いわゆる過積載状態)を含む特定条件に該当するときには異常監視を行う状態から異常監視を行わない状態に切り替える。
【0073】
特定条件に含まれる過積載状態は、パワーコンディショナ11が出力可能な電力量に対して、太陽電池12の発電可能電力が大きい状態である。このような過積載状態のとき、制御部35は、PVコンバータ31a~31cの制御により、パワーコンディショナ11が出力可能な電力量まで各ストリング12a~12cの発電を抑制する。このため、各ストリング12a~12cの発電電力がしきい値よりも低くなることがあり、誤検出となる場合がある。したがって、過積載状態であるときに各ストリング12a~12cに対する異常監視を停止(中断)する。これにより、ストリング12a~12cに対する異常の誤検出を抑制することで、各ストリング12a~12cに対する異常検出の精度を向上できる。
【0074】
(3)制御部35は、特定条件に該当しなくなったとき、異常監視を開始する。たとえば、商用電力系統15が停電状態から復帰(復電)したとき、自立運転モードから連系運転モードへと変更する。そして、制御部35は、各ストリング12a~12cに対する異常監視を再開する。これにより、各ストリング12a~12cの異常を検出することができる。
【0075】
(4)制御部35は、特定条件に該当しなくなったとき、異常監視を開始する。たとえば、過積載状態ではなくなったとき、制御部35は、各ストリング12a~12cに対する異常監視を再開する。これにより、各ストリング12a~12cの異常を検出することができる。
【0076】
(5)制御部35は、各センサ51a~51dによる検出結果により、各PVコンバータ31a~31dに対するストリングの接続状態を検出する。そして、制御部35は、検出した接続状態のデータをメモリ36に記憶させる。このように、パワーコンディショナ11に対するストリング12a~12dの接続状態が、自動で設定される。これにより、施工時における設定ミスやストリングの接続を変更したときの設定変更ミスを防止することができる。
【0077】
(6)制御部35は、待機状態S11に遷移したときに、メモリ36に記憶した異常判定のためのデータ、たとえば比較結果、カウント値をクリアする。これにより、異常の誤検知を抑制できる。
【0078】
(変更例)
上記実施形態は例えば以下のように変更できる。上記実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合せることができる。なお、以下の変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0079】
・上記実施形態に対し、パワーコンディショナの構成を適宜変更してもよい。
図7は、変更例のパワーコンディショナ101を示す。このパワーコンディショナ101は、上記実施形態の構成に対して、バイパスリレー34cが追加されている。
【0080】
バイパスリレー34cは、系統連系端子21と自立運転用出力端子22との間に接続されている。この変更例の制御部35は、連系運転モードにおいてバイパスリレー34cを閉状態(オン)とし、自立運転モードにおいてバイパスリレー34cを開状態(オフ)とする。バイパスリレー34cは、系統連系端子21と自立運転用出力端子22との間を接離する開閉器(スイッチ)の一例である。バイパスリレー34cは、たとえば、半導体スイッチ、機械式リレースイッチ、等を用いることができる。
【0081】
系統連系端子21は、商用電力系統15に接続されている。したがって、連系運転モードにおいて、商用電力系統15から供給される商用交流電力は、系統連系端子21からバイパスリレー34cを介して自立運転用出力端子22に供給される。この自立運転用出力端子22は、自立運転モードにおいて、パワーコンディショナ101が交流電力を出力する端子である。このため、自立運転モードにおいて使用する負荷17を自立運転用出力端子22に接続することで、連系運転モードにおいてもその負荷17に商用交流電力が供給される。つまり、自立運転モードにおいて使用する予定の負荷17を差替える手間がなくなる。
【0082】
図8図9は、変更例のパワーコンディショナ201を示す。図9は、変更例のパワーコンディショナ201について、自立運転モードにおける接続状態を示す。このパワーコンディショナ201は、上記実施形態の構成に対して、双方向DC-DCコンバータ(BDD)37と、蓄電池38とが追加されている。
【0083】
双方向DC-DCコンバータ37は、直流電圧バス41に接続されている。蓄電池38は、双方向DC-DCコンバータ37に接続されている。つまり、蓄電池38は、双方向DC-DCコンバータ37を介して直流電圧バス41に接続されている。
【0084】
蓄電池38は、充放電可能とされた電池(二次電池)である。蓄電池38は、たとえばリチウムイオン電池である。
双方向DC-DCコンバータ37は、例えば昇降圧回路であり、直流電圧バス41の直流電力を、蓄電池38に充電する直流電力に変換する。また、双方向DC-DCコンバータ37は、蓄電池38から放電される直流電力を、直流電圧バス41に応じた電圧の著狂う電力に変換する。双方向DC-DCコンバータ37は、スイッチング素子を含む。制御部35は、スイッチング素子をオンオフ駆動する制御信号を出力するとともに、その制御信号のパルス幅を例えばPWM方式によって調整する。制御信号によりスイッチング素子がオンオフすることにより、双方向DC-DCコンバータ37は、直流電圧バス41の直流電力を蓄電池38の充電電力に変換する、または蓄電池38から放電電力を直流電圧バス41に対応する直流電力に変換する。
【0085】
蓄電池38は、バッテリ管理部(BMU:バッテリマネジメントユニット)を有している。バッテリ管理部は、蓄電池38の蓄電量を算出する。蓄電池38の蓄電量は、蓄電池38のSOC(State of Charge)で示される。なお、蓄電池38の蓄電量は、例えば蓄電池38の端子間電圧値で示されてもよい。バッテリ管理部は、蓄電量を含む検出信号を出力する。
【0086】
パワーコンディショナ201は、太陽電池12にて発電した直流電力をインバータ32で交流電力に変換して商用電力系統15へ出力する。また、パワーコンディショナ11は、蓄電池38を備える。パワーコンディショナ11は、直流電力により蓄電池38を充電する。パワーコンディショナ11は、蓄電池38から出力される直流電力をインバータ32で交流電力に変換して商用電力系統15へ出力する。
【0087】
制御部35は、太陽電池12の発電電力と、系統電力線14に接続された負荷16,17の消費電力との差である余剰電力により蓄電池38を充電するように、双方向DC-DCコンバータ37、PVコンバータ31a~31c、インバータ32を制御する。また、負荷16,17の消費電力が太陽電池12の発電電力を上回るときに蓄電池38の放電電力に基づく交流電力を系統電力線14に出力するように、双方向DC-DCコンバータ37、インバータ32を制御する。
【0088】
このパワーコンディショナ201は、負荷16,17における消費電力に対して太陽電池12による発電電力が大きいときに、蓄電池38を充電することにより、過積載状態である期間を低減できる。また、太陽電池12によって蓄電池38を充電することにより、太陽電池12が発電できない期間に、蓄電池38に蓄電された電力を交流電力に変換して出力することで、負荷16,17を利用することができる。
【0089】
・上記実施形態では、図1に示すように、1つのPVコンバータ31aに対して1つのストリング12a(12b,12c)を接続した。これに対し、1つのPVコンバータ31aに対して複数のストリング、たとえば図1に示すストリング12a,12dを接続してもよい。この場合、各ストリング12a,12dは、それぞれブロッキングダイオードを介して1つのPVコンバータ31aに接続される。ブロッキングダイオードは、ストリング12a,12dに逆電圧が生じてストレスがかかることを防止する。ブロッキングダイオードは、半導体スイッチなどを用いることもできる。また、1つのPVコンバータ31aに対して3つ以上のストリングを接続してもよい。なお、図1に示すPVコンバータ31aに対する接続を説明したが、他のPVコンバータ31b~31dに対して複数のストリングを接続してもよい。
【0090】
・上記実施形態に対し、パワーコンディショナに搭載されるPVコンバータの数を、1つ~3つ、5つ以上の適宜の数に変更してもよい。
・上記実施形態のパワーコンディショナ11に接続される太陽電池12に含まれるストリングの数は、1つ~3つ、5つ以上の適宜の数に変更してもよい。
【0091】
・上記実施形態では、停電を検知した制御部35が自動で連系運転モードから自立運転モードへと変更するようにしたが、これに限らない。たとえば使用者が各種のインタフェースを通じて運転モードの変更を指示した場合に、制御部35が動作モードの変更を行うようにしてもよい。各種のインタフェースとしては、たとえば、パワーコンディショナ11に設けられたスイッチ、パワーコンディショナ11に接続されたコントローラに設けられたスイッチ、携帯端末、等を用いることができる。
【0092】
・上記実施形態及び変更例では、自然エネルギーを利用した電源としての太陽電池12に接続されたパワーコンディショナ11,101,201について説明した。自然エネルギーを利用した電源としては、太陽光発電装置、太陽熱発電装置、風力発電装置、ガス発電装置、地熱発電装置、等の発電装置、またはこれらを組み合わせて用いることができる。
【0093】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれるすべての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0094】
11,101,201 パワーコンディショナ
12 太陽電池
12a~12d 太陽電池ストリング(ストリング)
13 太陽光発電システム
14 系統電力線
15 商用電力系統
16,17 負荷
21 系統連系端子
22 自立運転用出力端子
23a~23d 接続端子
31a~31d PVコンバータ
32 インバータ
33 フィルタ
34a 系統連系リレー
34b 自立運転リレー
34c バイパスリレー
35 制御部
36 メモリ
37 双方向DC-DCコンバータ
38 蓄電池
41 直流電圧バス
45 電源回路
51a~51d センサ
52 センサ
53 センサ
S11 待機状態
S12 作動状態
S13 非監視状態
S14 異常報知
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9