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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178520
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】結束ラベル
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/00 20060101AFI20221125BHJP
   B65D 77/20 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B65D71/00 100
B65D77/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085389
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅彦
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA24
3E067AB83
3E067AC14
3E067BC04A
3E067DA02
3E067EA24
3E067EE04
3E067FC01
3E067FC07
(57)【要約】
【課題】結束ラベルで結束された2つの物品に外力が加わった場合でも、物品からの剥離および意図しない破断の発生を抑制できる、結束ラベルを提供する。
【解決手段】結束ラベル100は、少なくとも2つの物品1,2に跨がって貼り付けられる。結束ラベル100は、ラベル基材110と、接着層150とを備えている。ラベル基材110には破断用切込線120が形成されている。第1側縁113Aには、第2側縁113Bに向かって延びる第1分離部130Bが形成されている。第2側縁113Bには、第1側縁113Aに向かって延びる第2分離部130Cが形成されている。第1分離部130Bは、破断用切込線120およびその延長線より第1側縁113Aの側に位置しており、第2分離部130Cは、破断用切込線120およびその延長線より第2側縁113Bの側に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの物品に跨がって貼り付けられる結束ラベルであって、
シート状のラベル基材と、
前記ラベル基材の一方側の面上に配置された接着層とを備え、
前記ラベル基材は、第1端縁と、該第1端縁の反対側に位置する第2端縁と、前記第1端縁の一方端と前記第2端縁の一方端とを接続する第1側縁と、該第1側縁とは反対側に位置する第2側縁とを有し、
前記ラベル基材には、前記第1端縁、前記第2端縁、前記第1側縁および前記第2側縁から離れて位置し、かつ、前記第1端縁から前記第2端縁に向かって延びる少なくとも1本の破断用切込線が形成されており、
前記第1側縁には、前記第2側縁に向かって延びる切込状または切欠状の第1分離部が形成され、
前記第2側縁には、前記第1側縁に向かって延びる切込状または切欠状の第2分離部が形成され、
前記第1分離部は、前記破断用切込線およびその延長線より前記第1側縁の側に位置しており、
前記第2分離部は、前記破断用切込線およびその延長線より前記第2側縁の側に位置している、結束ラベル。
【請求項2】
前記接着層側の表面上に、前記第1分離部に対応して位置する第1弱接着領域および前記第2分離部に対応して位置する第2弱接着領域をさらに備える、請求項1に記載の結束ラベル。
【請求項3】
前記第1分離部は、切込状の部位からなり、
前記第2分離部は、切込状の部位からなり、
前記ラベル基材には、前記第1分離部に交差する方向において前記第1分離部に繋がっている第1切目が形成され、
前記ラベル基材には、前記第2分離部に交差する方向において前記第2分離部に繋がっている第2切目が形成されている、請求項1または請求項2に記載の結束ラベル。
【請求項4】
互いに平行な複数本の前記破断用切込線が設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の結束ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、結束ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
結束ラベルの構成を開示した文献として、特開2015-163533号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、結束ラベルとして、互いに積み重ねられた第1のパッケージと第2のパッケージとの間に形成される境界面をまたいで、第1のパッケージの側面と第2のパッケージの側面とに貼り付けられる、粘着シートが開示されている。粘着シートには、横方向に延びる弱め線が形成されている。粘着シートは、弱め線と境界面とがほぼ一致するように貼り付けられている。これにより、第1のパッケージと第2のパッケージとに分けるときに、粘着シートを切断するのが容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-163533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された従来の結束ラベルは、2つの物品を結束する。結束された2つの物品を一組として複数組が互いに段積みされたり、結束された2つの物品が落下したりする場合がある。この場合、結束された2つの物品が押圧される。結束された2つの物品が押圧力により変形すると、結束ラベルに加わった力により、結束ラベルが剥がれたり、裂け目が生じたりする場合があった。さらには、結束ラベルに生じた裂け目が、結束ラベルの略中央に位置する破断用の切り込み線に到達することで、上記2つの物品の結束が意図せず分断される場合があった。
【0005】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、2つの物品を結束できる結束ラベルであって、結束ラベルで結束された2つの物品に外力が加わった場合でも、物品からの剥離および意図しない破断の発生を抑制できると同時に結束された2つの物品を分離することが容易な、結束ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に基づく結束ラベルは、少なくとも2つの物品に跨がって貼り付けられる結束ラベルであって、シート状のラベル基材と、上記ラベル基材の一方側の面上に配置された接着層とを備えている。上記ラベル基材は、第1端縁と、該第1端縁の反対側に位置する第2端縁と、上記第1端縁の一方端と上記第2端縁の一方端とを接続する第1側縁と、該第1側縁とは反対側に位置する第2側縁とを有している。上記ラベル基材には、上記第1端縁、上記第2端縁、上記第1側縁および上記第2側縁から離れて位置し、かつ、上記第1端縁から上記第2端縁に向かって延びる少なくとも1本の破断用切込線が形成されている。上記第1側縁には、上記第2側縁に向かって延びる切込状または切欠状の第1分離部が形成されている。上記第2側縁には、上記第1側縁に向かって延びる切込状または切欠状の第2分離部が形成されている。上記第1分離部は、上記破断用切込線およびその延長線より上記第1側縁の側に位置している。上記第2分離部は、上記破断用切込線およびその延長線より上記第2側縁の側に位置している。
【0007】
上記結束ラベルにおいて、上記接着層側の表面上に、上記第1分離部に対応して位置する第1弱接着領域および上記第2分離部に対応して位置する第2弱接着領域をさらに備えてもよい。
【0008】
上記結束ラベルにおいて、上記第1分離部は、切込状の部位からなり、上記第2分離部は、切込状の部位からなり、上記ラベル基材には、上記第1分離部に交差する方向において上記第1分離部に繋がっている第1切目が形成され、上記ラベル基材には、上記第2分離部に交差する方向において上記第2分離部に繋がっている第2切目が形成されていてもよい。
【0009】
上記結束ラベルにおいて、互いに平行な複数本の上記破断用切込線が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、2つの物品を結束できる結束ラベルにおいて、結束ラベルで結束された2つの物品に外力が加わった場合でも、物品からの剥離および意図しない破断の発生を抑制することができると同時に結束された2つの物品を分離することが容易な、結束ラベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態1に係る結束ラベルをラベル基材側から見た平面図である。
図2】本開示の実施形態1に係る結束ラベルを接着層側から見た底面図である。
図3図2の結束ラベルをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
図4】本開示の実施形態1に係る結束ラベルが2つの物品に跨がって貼り付けられた状態の一例を示す図である。
図5】本開示の実施形態1に係る結束ラベルが2つの物品に跨がって貼り付けられ、かつ、結束ラベルが貼り付けられた物品が圧縮されている状態の一例を示す図である。
図6】本開示の実施形態2に係る結束ラベルをラベル基材側から見た平面図である。
図7】本開示の実施形態2に係る結束ラベルを接着層側から見た底面図である。
図8】本開示の実施形態3に係る結束ラベルをラベル基材側から見た平面図である。
図9】本開示の実施形態3に係る結束ラベルを接着層側から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の各実施形態に係る結束ラベルについて図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係る結束ラベルをラベル基材側から見た平面図である。図2は、本開示の実施形態1に係る結束ラベルを接着層側から見た底面図である。図3は、図2の結束ラベルをIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【0014】
図1から図3に示すように、本開示の実施形態1に係る結束ラベル100は、ラベル基材110と、接着層150とを備えている。図3に示すように、接着層150は、ラベル基材110の一方側の面111上に配置されている。
【0015】
図1および図3に示すように、ラベル基材110は、シート状である。ラベル基材110は、第1端縁114Aと、第2端縁114Bと、第1側縁113Aと、第2側縁113Bとを有している。
【0016】
図1および図3に示すように、本実施形態において、結束ラベル100を平面視したときに、第1端縁114Aは、両端部を除いて直線状に延びている。なお、本明細書において、結束ラベル100を平面視するとは、ラベル基材110を接着層150側の一方側の面111とは反対側から見ることを意味する。
【0017】
第2端縁114Bは、第1端縁114Aの反対側に位置している。本実施形態において、結束ラベル100を平面視したときに、第2端縁114Bは、両端部を除いて、直線状に延びている。第1端縁114Aと第2端縁114Bとは、それぞれの両端部を除き、互いに平行に位置している。
【0018】
第1側縁113Aは、第1端縁114Aの一方端と第2端縁114Bの一方端とを接続している。本実施形態において、結束ラベル100を平面視したときに、第1側縁113Aは、両端部を除いて、直線状に延び、かつ、第1端縁114Aおよび第2端縁114Bの各々と直交する方向に延びている。第1側縁113Aと第1端縁114Aとの接続部は、滑らかに湾曲している。第1側縁113Aと第2端縁114Bとの接続部は、滑らかに湾曲している。
【0019】
第2側縁113Bは、第1側縁113Aとは反対側に位置している。本実施形態において、結束ラベル100を平面視したときに、第2側縁113Bは、両端部を除いて、直線状に延び、かつ、第1端縁114Aおよび第2端縁114Bの各々と直交する方向に延びている。第2側縁113Bは、第1端縁114Aの他方端と第2端縁114Bの他方端とを接続している。第2側縁113Bと第1端縁114Aとの接続部は、滑らかに湾曲している。第2側縁113Bと第2端縁114Bとの接続部は、滑らかに湾曲している。
【0020】
本実施形態において、第1側縁113Aおよび第2側縁113Bの各々の長さは、第1端縁114Aおよび第2端縁114Bの各々の長さより短いが、これらの長さの関係は特に限定されない。第1側縁113Aおよび第2側縁113Bの各々の長さは、第1端縁114Aおよび第2端縁114Bの各々の長さより長くてもよいし、同一であってもよい。本実施の形態のように第1側縁113Aおよび第2側縁113Bの各々の長さを第1端縁114Aおよび第2端縁114Bの各々の長さより短くすることで、図3および図4に示すような高さよりも幅が小さい面に貼り付ける場合に好都合である。
【0021】
ラベル基材110には、破断用切込線120が形成されている。破断用切込線120は、ラベル基材110の面内方向に延びている。破断用切込線120は、少なくともラベル基材110を上記平面視方向において貫通している。本実施の形態では、互いに平行な7本の破断用切込線120が設けられている。破断用切込線120の本数は、7本に限らず、7本以下であっても、7本以上であってもよい。破断用切込線120は1本であってもよい。
【0022】
7本の破断用切込線120はいずれも、第1端縁114A、第2端縁114B、第1側縁113Aおよび第2側縁113Bから離れて位置している。具体的には、7本の破断用切込線120は、第1側縁113Aと第2側縁113Bとが並ぶ方向において、ラベル基材110の中央を跨ぐように整列している。7本の破断用切込線120は等間隔に整列している。整列した破断用切込線120のうち第1側縁113Aに最も近い破断用切込線120と第1側縁113Aとの距離は、第2側縁113Bに最も近い破断用切込線120と第2側縁113Bとの距離よりも小さい。すなわち、整列した7本の破断用切込線120の群は第1側縁113A寄りに位置している。
【0023】
破断用切込線120は、第1端縁114Aから第2端縁114Bに向かって延びている。本実施形態において、破断用切込線120は、1本の直線状に形成されているが、円形状または楕円形状であってもよい。より具体的には、破断用切込線120は、第1端縁114Aおよび第2端縁114Bの各々に直交する方向に延びる直線状である。
【0024】
また、本実施形態において、破断用切込線120は、破線状に形成されている。すなわち、破断用切込線120は、中央の長い直線と、その延長線上の両側に位置し長い直線から離れた短い直線の3本の直線により構成されている。破断用切込線120は、直線が同じ長さの直線が断続する点線状としてもよいし、1本の直線からなる実線状に形成されていてもよい。破断用切込線120は異なる形状の破線状でもよい。
【0025】
第1側縁113Aには、第1分離部130Bが形成されている。第2側縁113Bには、第2分離部130Cが形成されている。
【0026】
第1分離部130Bは、第1側縁113Aから第2側縁113Bに向かって延びている。第1分離部130Bは、切込状または切欠状である。本実施形態において、第1分離部130Bは、切込状の部位からなる。第1分離部130Bは、本実施形態においては直線状であるが、一部が湾曲していてもよい。具体的には、第1分離部130Bは、第1側縁113Aに直交する方向に延びている。本明細書において切込状とは、線状(直線または曲線)に切断された状態を意味する。切欠状とは、面積を有する部分が切り取られた状態を意味し、たとえばU字状などの形状に切り取られた状態が含まれる。
【0027】
第1分離部130Bは、7本の破断用切込線120およびそれらの延長線のいずれよりも第1側縁113A側に位置している。本実施形態において、第1分離部130Bは、第1側縁113Aと第2側縁113Bとが並ぶ方向において、7本の破断用切込線120よりも第1側縁113A側に位置している。
【0028】
第2分離部130Cは、第2側縁113Bから第1側縁113Aに向かって延びている。第2分離部130Cは、切込状または切欠状である。本実施形態において、第2分離部130Cは、切込状の部位からなる。第2分離部130Cは、本実施形態においては直線状であるが、一部が湾曲していてもよい。具体的には、第2分離部130Cは、第2側縁113Bに直交する方向に延びている。
【0029】
第2分離部130Cは、7本の破断用切込線120およびそれらの延長線のいずれよりも第2側縁113B側に位置している。本実施形態において、第2分離部130Cは、第1側縁113Aと第2側縁113Bとが並ぶ方向において、7本の破断用切込線120よりも第2側縁113B側に位置している。
【0030】
本実施形態においては、第2端縁114Bと第1分離部130Bの間隔は、第1端縁114Aと第2分離部130Cの間隔と同一である。また、第1分離部130Bの長さは、第2分離部130Cの長さと同一である。
【0031】
第1側縁113Aには、第3分離部130Aが形成されている。第3分離部130Aは、第1側縁113Aから第2側縁113Bに向かって延びている。第3分離部130Aは、切込状または切欠状である。本実施形態において、第3分離部130Aは、切込状の部位からなる。第3分離部130Aは、本実施形態においては直線状であるが、一部が湾曲していてもよい。具体的には、第3分離部130Aは、第1側縁113Aに直交する方向に延びている。
【0032】
第3分離部130Aは、7本の破断用切込線120およびその延長線のいずれよりも第1側縁113A側に位置している。本実施形態において、第3分離部130Aは、第2分離部130Cの延長線上に位置している。
【0033】
本実施形態において、ラベル基材110には、第1切目132Bと、第2切目132Cと、第3切目132Aとがさらに形成されている。第1切目132B、第2切目132Cおよび第3切目132Aは、半円形の切断線である。
【0034】
第1切目132Bは、第1分離部130Bに交差する方向において第1分離部130Bに繋がっている。第1切目132Bは、第1分離部130Bと交差する点から、第1端縁114A側および第2端縁114B側の両方に向かって延び、第1切目132Bの両端部は、第1側縁113Aに向かっている。第1切目132Bは、第1端縁114A、第2端縁114B、第1側縁113A、第2側縁113B、第1分離部130B以外の分離部、およびその他の切目とは離間している。第2切目132Cおよび第3切目132Aの形状および配置は、第1切目132Bと同様であるのでその説明は繰り返さない。
【0035】
本実施の形態では、第1分離部130Bの端部と第1切目132Bの中間部とが接続している。言い換えると、第1分離部130Bは第1切目132Bを突き抜けず、第1分離部130Bの端部は第1切目132Bと交差する点で終了している。第1分離部130Bの端部が第1切目132Bを突き抜けて延在する場合には、これらの交点が十字となることから、交点から結束ラベル100が裂けてしまう可能性がある。一方、第1分離部130Bの端部が第1切目132Bに到達しておらず、第1分離部130Bの端部が第1切目132Bから離れている場合には、結束ラベル100によって結束された物品1および物品2の変形によるねじれに結束ラベル100が十分に追随することができないため、結束ラベル100が剥がれてしまう可能性がある。
【0036】
これに対し、本実施の形態では、第1分離部130Bの端部と第1切目132Bの中間部とが接続していることにより、第1分離部130Bと第1切目132Bとの交点が十字とならないので交点で結束ラベル100が裂けることを防止することができる。また、本実施の形態では、第1分離部130Bの端部と第1切目132Bの中間部とが離れずに接続していることにより、結束ラベル100によって結束された物品1および物品2の変形によるねじれに結束ラベル100が十分に追随することができ、結束ラベル100の剥がれを防止することができる。
【0037】
ラベル基材110は、たとえば、紙、不織布、合成紙、合成樹脂製フィルムなどで構成された単一の層、または、複数の層で構成される。合成樹脂製フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリ乳酸などのエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの、熱可塑性樹脂を含む延伸フィルムなどを用いることができる。上記延伸フィルムは、強度に優れることから、二軸延伸フィルムであることが好ましい。二軸延伸フィルムは、他の延伸フィルムより強度に優れる。上記合成樹脂製フィルムとしては、二軸延伸ポリエステル系樹脂を用いることが特に好ましい。ラベル基材110の、上記平面視方向における厚さは、たとえば25μm以上120μm以下である。第1端縁114Aおよび第2端縁114Bが並ぶ方向における、ラベル基材110の長さは、たとえば52mm程度である。第1側縁113Aおよび第2側縁113Bが並ぶ方向における、ラベル基材110の長さは、たとえば64mm程度である。ラベル基材110の一方側の面111および/または当該一方側の面111とは反対側の面には、必要に応じて印刷層が設けられ、当該印刷層により所望の情報が表示される。
【0038】
本実施の形態においては、第2側縁113Bと第2端縁114Bとがなす角部の付近には分離部および切目が設けられていない。また、7本の整列した破断用切込線120の群は第1側縁113A寄りに配置されている。これにより第2側縁113Bと第2端縁114Bとがなす角部の付近に比較的広い印刷用のスペースを確保することができる。この印刷用スペースには、たとえばバーコードなどで表される各種のコードなどを印刷することができる。
【0039】
図2および図3に示すように、本実施形態に係る結束ラベル100は、第1弱接着領域140B、第2弱接着領域140Cおよび第3弱接着領域140Aをさらに備えている。
【0040】
第1弱接着領域140Bは、接着層150側の表面側の、第1分離部130Bおよび第1切目132Bに対応する位置に設けられている。具体的には、第1弱接着領域140Bは、接着層150側の表面上において、第1分離部130Bと第1切目132Bとを覆っている。第1弱接着領域140Bは、第1端縁114Aから離間している。第1弱接着領域140Bは、破断用切込線120およびその延長線から離間している。第2弱接着領域140Cおよび第3弱接着領域140Aの形状および配置は、第1弱接着領域140Bと同様であるのでその説明は繰り返さない。
【0041】
本明細書において、弱接着領域とは、接着層150側の表面上において、当該弱接着領域に隣接する周辺領域が有する接着力より、弱い接着力を有する領域を意味する。弱接着領域は、接着力を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0042】
図2および図3に示すように、本実施形態において、接着層150は、ラベル基材110の一方側の面111上の全面に配置されている。接着層150はラベル基材110の一方側の面111の一部に設けてもよい。ただし、ラベル基材110の本体部(中央部)のほか、少なくともラベル基材110の第1分離部130B、第2分離部130Cおよび第3分離部130Aと、対応する第1端縁114Aおよび第2端縁114Bとの間の領域(ラベル基材110の角部)の少なくとも一部には接着層150が設けられていることが好ましい。
【0043】
本実施形態において、接着層150は、粘着層151と、隠蔽層152とを有している。粘着層151は、ラベル基材110の一方側の面111上に直接接するように、ラベル基材110の一方側の面111の全面に配置されている。隠蔽層152は、粘着層151の、ラベル基材110側とは反対側に設けられている。
【0044】
本実施形態において、隠蔽層152は、第1弱接着領域140B、第2弱接着領域140Cおよび第3弱接着領域140Aに相当する部分に配置されている。粘着層151は、第1弱接着領域140B、第2弱接着領域140Cおよび第3弱接着領域140Aに相当する部分には設けず、ラベル基材110の一方側の面111が露出していてもよい。ラベル基材110の一方側の面111が露出した領域は、第1弱接着領域140B、第2弱接着領域140Cおよび第3弱接着領域140Aとなる。なお、ラベル基材110の一方側の面111に印刷層が設けられている場合には、印刷層が露出した領域が、上記の各々の弱接着領域であってもよい。弱接着領域の各々においては、粘着層151が露出した周辺領域に比べて接着力が弱くなっている。
【0045】
粘着層151の材料としては、公知の材料を用いることができ、たとえば、アクリル系もしくはゴム系の感圧型粘着剤、または、感熱性粘着剤などが挙げられる。粘着層151の上記平面視方向における厚さは、特に限定されないが、たとえば15μm以上130μm以下である。
【0046】
隠蔽層152は、粘着層151の粘着力を隠蔽または弱めるために設けられる。隠蔽層152は、たとえば、従来公知のマスキング剤の硬化物で構成できる。マスキング剤としては、たとえば、紫外線硬化型メジウムインキなどの紫外線硬化型樹脂を含む塗工液などが挙げられる。隠蔽層152の上記平面視方向における厚さは、特に限定されないが、たとえば1μm以上10μm以下である。隠蔽層152は、上記各弱接着領域に対応して位置する粘着層151の表面上において、全面に設けられてもよい。隠蔽層152は、上記各弱接着領域に対応して位置する粘着層151の表面上において、格子状またはドット状に設けられていてもよい。上記平面視方向から見たときの隠蔽層152の形状、および、隠蔽層152の厚さを適宜設定することで、上記各弱接着領域の接着力を調整することができる。
【0047】
以下、本開示の実施形態1に係る結束ラベル100の使用形態の一例について説明する。図4は、本開示の実施形態1に係る結束ラベルが2つの物品に跨がって貼り付けられた状態の一例を示す図である。
【0048】
図4に示すように、本開示の実施形態1に係る結束ラベル100は、物品1および物品2に跨がって貼り付けられる。より具体的には、結束ラベル100は、物品1と物品2とを互いに強固に結束する観点から、物品1の側面と物品2の側面とを、互いに略同一の仮想平面上に位置するように並べた状態で、物品1の側面と物品2の側面上の両方に貼り付けられることが好ましい。また、結束ラベル100は、7本の破断用切込線120のいずれかが、物品1と物品2との境界線Lに沿って位置するか、近接して位置するように貼り付けることが好ましい。これにより、破断用切込線120を指などで押圧することで、破断用切込線120およびその延長線に沿ってラベル基材110および接着層150に亀裂が生じ、結束ラベル100を破断することができる。これにより、結束ラベル100によって結束された物品1と物品2とを容易に分離することができる。また本実施の形態では、複数の破断用切込線120が互いに平行に設けられているので、結束ラベル100の貼付位置が複数の破断用切込線120が並ぶ方向に多少ずれた場合でも、物品1と物品2との境界線Lといずれかの破断用切込線120とが近接するので、正しい位置に貼付された場合と同様に、結束された物品1と物品2とを容易に分離することができる。
【0049】
図5は、本開示の実施形態1に係る結束ラベルが2つの物品に跨がって貼り付けられ、かつ、結束ラベルが貼り付けられた物品が圧縮されている状態の一例を示す図である。図5に示すように、物品1と物品2とが上下に積み重ねられた状態で結束ラベル100が貼り付けられている。図5は、上に積まれた物品1の上面の片側が圧縮された例を示している。物品1の上面の片側が圧縮されると主に物品1の圧縮された側が部分的に変形する。この部分的な圧縮変形の傾向は、物品1および物品2が、軟包材によって比較的柔らかい商品が包まれているものであるときに顕著である。
【0050】
図5に示すように、物品1の上面の片側が圧縮された場合には、第1分離部130Bが開くあるいは重なるように変形することで、第1分離部130Bより第2端縁114B側の部分が、物品1の主に圧縮された部分に貼り付いたまま折れ曲がる。また、第1分離部130Bに対応する部分に第1弱接着領域140Bが設けられていることで、第1分離部130Bの変形を容易にしている。一方、結束ラベル100の本体部は、物品1および物品2の圧縮率が比較的小さい部分に貼り付けられているため折れ曲がりが抑制される。これにより本体部が物品1および物品2に貼り付いた状態が維持される。
【0051】
このように、本開示の実施形態1に係る結束ラベル100は、結束ラベル100によって結束された物品1および物品2が特定の方向に圧縮されたときに、結束ラベル100の物品1および物品2からの剥離および意図しない結束ラベル100の破断の発生を抑制することができる。
【0052】
上記の結束ラベル100が貼り付けられた物品1および物品2の側面とは反対側の側面にも他の結束ラベル100を貼り付けてもよい。当該他の結束ラベルは、本実施形態に係る結束ラベル100と同一であってもよいし、後述する他の実施形態に係る結束ラベルであってもよい。当該他の結束ラベルが、本開示の各実施形態のいずれかに係る結束ラベルである場合には、当該他の結束ラベルにおける破線用切込線および破線用切込線の延長線が、物品1と物品2との境界線Lに沿って位置していることが好ましい。また、上記の物品1および物品2の側面は、物品1および物品2を商品として陳列したときに天面側または底面側に位置する面であってもよい。
【0053】
上記のように、本開示の実施形態1に係る結束ラベル100は、少なくとも2つの物品1および物品2に跨がって貼り付けられるものであって、シート状のラベル基材110と、ラベル基材110の一方側の面111上に配置された接着層150とを備えている。ラベル基材110は、第1端縁114Aと、第1端縁114Aの反対側に位置する第2端縁114Bと、第1端縁114Aの一方端と第2端縁114Bの一方端とを接続する第1側縁113Aと、第1側縁113Aとは反対側に位置する第2側縁113Bとを有している。ラベル基材110には、第1端縁114A、第2端縁114B、第1側縁113Aおよび第2側縁113Bから離れて位置し、かつ、第1端縁114Aから第2端縁114Bに向かって延びる少なくとも1本の破断用切込線120が形成されている。第1側縁113Aには、第2側縁113Bに向かって延びる切込状または切欠状の第1分離部130Bが形成されている。第2側縁113Bには、第1側縁113Aに向かって延びる切込状または切欠状の第2分離部130Cが形成されている。第1分離部130Bは、破断用切込線120およびその延長線より第1側縁113Aの側に位置しており、第2分離部130Cは、破断用切込線120およびその延長線より第2側縁113Bの側に位置している。
【0054】
上記の実施形態1に係る結束ラベル100は、結束ラベル100によって結束された物品1および物品2が圧縮されたときに、第1分離部130Bおよび第2分離部130Cが設けられていることにより、第1分離部130Bより第2端縁114B側の部分または第2分離部130Cより第1端縁114A側の部分が折れ曲がり、ラベル基材110のうちこれら以外の部分の折れ曲がりが抑制される。これにより結束ラベル100の物品1および物品2からの剥離および意図しない結束ラベル100の破断の発生を抑制することができる。また、破断用切込線120を用いることで、結束ラベル100によって結束された物品1および物品2の分離も容易に行なうことができる。
【0055】
本実施形態に係る結束ラベル100は、第1弱接着領域140Bおよび第2弱接着領域140Cをさらに備えている。第1弱接着領域140Bは、第1分離部130Bに対応する接着層150の表面に位置し、第2弱接着領域140Cは、第2分離部130Cに対応する接着層150側の表面に位置している。
【0056】
これにより、第1分離部130Bの近傍または第2分離部130Cの近傍においては、物品1および物品2から結束ラベル100が容易に剥離される。このため、結束された物品1および物品2の一方または両方が押圧された場合には、第1分離部130Bより第2端縁114B側の部分または第2分離部130Cより第1端縁114A側の部分が折れ曲がるとき、第1分離部130Bの近傍または第2分離部130Cの近傍は、圧縮による物品1および物品2の変形に追従しない。その結果、第1分離部130Bの近傍または第2分離部130Cの近傍に加わる応力を低減して、第1分離部130Bまたは第2分離部130Cから連続するようにラベル基材110に亀裂が発生することを抑制することができる。
【0057】
本実施形態において、第1分離部130Bは切込状の部位からなる。第2分離部130Cは切込状の部位からなる。ラベル基材110には、第1切目132Bが形成されている。第1切目132Bは、第1分離部130Bに交差する方向において第1分離部130Bに繋がっている。ラベル基材110には、第2切目132Cが形成されている。第2切目132Cは、第2分離部130Cに交差する方向において第2分離部130Cに繋がっている。
【0058】
これにより、ラベル基材110のうち第1分離部130Bと第1切目132Bと第1側縁113Aに囲まれた部分、または、第2分離部130Cと第2切目132Cと第2側縁113Bに囲まれた部分は、いずれも、折れ曲がることなく、結束ラベル100の面内方向に変位できる。その結果、第1分離部130Bより第2端縁114B側の部分および第2分離部130Cより第1端縁114A側の部分がより折れ曲がりやすくなり、結束ラベル100の物品1および物品2からの剥離および意図しない結束ラベル100の破断の発生を抑制できる。
【0059】
本実施形態において、破断用切込線120は、互いに平行に複数本設けられている。破断用切込線120が複数本設けられていることにより、結束ラベル100の貼り付け位置が多少ずれた場合でも、物品1と物品2との境界線Lといずれかの破断用切込線120とが近接するので、正しい位置に貼付された場合と同様に、破断用切込線120を利用して結束ラベル100を破断させることで結束された物品1と物品2とを容易に分離することができる。
【0060】
(実施形態2)
以下、本開示の実施形態2に係る結束ラベル200について説明する。実施形態1に係る結束ラベル100と同様の構成については説明を繰り返さない。
【0061】
図6は、本開示の実施形態2に係る結束ラベルをラベル基材側から見た平面図である。図7は、本開示の実施形態2に係る結束ラベルを接着層側から見た底面図である。図6および図7に示すように、実施形態2においては、破断用切込線120を1本のみ設けている。また、図1から図5に示した実施形態1では設けられていた第3分離部130A、および第3切目132Aは設けられていない。
【0062】
実施形態2のように破断用切込線120が1本のみ設けられている場合であっても、破断用切込線120と物品1および物品2の境界線Lとが一致するように結束ラベル100を貼り付けることで、破断用切込線120で物品1と物品2とを分離することができる。
【0063】
実施形態2においては、第1分離部130Bと第2分離部130Cとを結束ラベル100の対角線方向に設けている。分離部を2つ設ける場合に、第2分離部130Cを第1分離部130Bの延長線上に設けた場合(第2分離部130Cを結束ラベル100の中心線に対して第1分離部130Bと対称の位置に設けた場合)よりも、第1分離部130Bと第2分離部130Cとがずれていることにより、物品1および物品2の一方または双方に対して加わる多様な外力に対応することが可能となる。
【0064】
(実施形態3)
以下、本開示の実施形態3に係る結束ラベル300について説明する。実施形態1に係る結束ラベルと同様の構成については説明を繰り返さない。
【0065】
図8は、本開示の実施形態3に係る結束ラベルをラベル基材側から見た平面図である。図9は、本開示の実施形態3に係る結束ラベルを接着層側から見た底面図である。
【0066】
図8および図9に示すように、実施形態3の結束ラベル300においては、実施形態1の結束ラベル100に加えて第4分離部130Dを設けている。第4分離部130Dは、第2側縁113Bから第1側縁113Aに向かって延びている。第4分離部130Dは、切込状または切欠状である。図8および図9に示す実施形態において、第4分離部130Dは、切込状の部位からなる。第4分離部130Dは、本実施形態においては直線状であるが、一部が湾曲していてもよい。具体的には、第4分離部130Dは、第2側縁113Bに直交する方向に延びている。
【0067】
第4分離部130Dは、7本の破断用切込線120およびそれらの延長線のいずれよりも第2側縁113B側に位置している。本実施形態において、第4分離部130Dは、第1分離部130Bの延長線上に位置している。
【0068】
第4分離部130Dに対応する位置に第4切目132Dおよび第4弱接着領域140Dが設けられている。
【0069】
本実施形態のように、第4分離部130D、第4切目132Dおよび第4弱接着領域140Dを設けることでより多様な外力に対応することが可能となる。
【0070】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1,2 物品、100,200,300 結束ラベル、110 ラベル基材、111 一方側の面、113A 第1側縁、113B 第2側縁、114A 第1端縁、114B 第2端縁、120 破断用切込線、130A 第3分離部、130B 第1分離部、130C 第2分離部、130D 第4分離部、132A 第3切目、132B 第1切目、132C 第2切目、132D 第4切目、140A 第3弱接着領域、140B 第1弱接着領域、140C 第2弱接着領域、140D 第4弱接着領域、150 接着層、151 粘着層、152 隠蔽層、L 境界線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9