(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178530
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】連結部用カバーとその製造方法、連結システム、及び連結部の保護方法
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20221125BHJP
F16L 33/00 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F16L57/00 C
F16L57/00 A
F16L33/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085403
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】頼 蘭馨
(72)【発明者】
【氏名】土田 理彩子
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 将弘
(72)【発明者】
【氏名】萩野 智和
【テーマコード(参考)】
3H017
3H024
【Fターム(参考)】
3H017CA02
3H017CA14
3H024AA03
3H024AB02
3H024AC04
3H024AC05
3H024CA00
(57)【要約】
【課題】連結部の保温性が高く、連結部用カバーから波形被覆管が抜けにくい連結部用カバーとその製造方法、及び連結部の保護方法を提供する。
【解決手段】波形被覆管(71、72)に被覆されている内管(61、62)の連結部を保護する連結部用カバー1であって、一対の半割円筒体(10A、10B)を備え、各半割円筒体の被覆管収容部(20、30)を構成する部分の内面に、波形被覆管の谷部と同じピッチで各々周方向に延びる複数のリブを形成し、一対の半割円筒体を閉状態としたとき、対応する一対の半割円筒体のリブが連結して環状をなして波形被覆管の谷部に連続して係合するように構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径の山部と小径の谷部とが交互に形成された第1波形被覆管に被覆されている第1内管の前記第1波形被覆管から露出した端部と、大径の山部と小径の谷部とが交互に形成された第2波形被覆管に被覆されている第2内管の前記第2波形被覆管から露出した端部とが管継手に挿入又は外嵌された連結部を保護する連結部用カバーであって、
軟質発泡樹脂で構成された一対の半割円筒体を備え、前記一対の半割円筒体は、互いの軸方向に沿った両端辺を合わせて閉じた閉状態において、前記第1波形被覆管の前記連結部近傍を収容する第1被覆管収容部と、前記第2波形被覆管の前記連結部近傍を収容する第2被覆管収容部と、前記第1被覆管収容部と前記第2被覆管収容部との間における連結部収容部とを構成するようにされており、
前記一対の半割円筒体の前記第1被覆管収容部を構成する部分の内面には、各々周方向に延びる第1リブが軸線方向に沿って前記第1波形被覆管の前記谷部と同じピッチで複数形成され、前記閉状態では、対応する前記一対の半割円筒体の前記第1リブが連結して環状をなして前記第1波形被覆管の前記谷部に連続して係合するように構成され、
前記一対の半割円筒体の前記第2被覆管収容部を構成する部分の内面には、各々周方向に延びる第2リブが軸線方向に沿って前記第2波形被覆管の前記谷部と同じピッチで複数形成され、前記閉状態では、対応する前記一対の半割円筒体の前記第2リブが連結して環状をなして前記第2波形被覆管の前記谷部に連続して係合するように構成されていることを特徴とする、連結部用カバー。
【請求項2】
前記複数の第1リブの高さが前記第1波形被覆管の前記各谷部の深さ以上であると共に、前記複数の第2リブの高さが前記第2波形被覆管の前記各谷部の深さ以上である、請求項1に記載の連結部用カバー。
【請求項3】
前記複数の第1リブが前記第1波形被覆管の前記各谷部に充填されている充填率が70%以上であると共に、前記複数の第2リブが前記第2波形被覆管の前記各谷部に充填されている充填率が70%以上である、請求項1又は2に記載の連結部用カバー。
【請求項4】
前記一対の半割円筒体の前記第1被覆管収容部を構成する部分と前記連結部収容部を構成する部分との間の内面には、各々周方向に延びる第1境界リブが形成され、前記閉状態では、前記一対の半割円筒体の前記第1境界リブが連結して環状をなすように構成され、
前記一対の半割円筒体の前記第2被覆管収容部を構成する部分と前記連結部収容部を構成する部分との間の内面には、各々周方向に延びる第2境界リブが形成され、前記閉状態では、前記一対の半割円筒体の前記第2境界リブが連結して環状をなすように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の連結部用カバー。
【請求項5】
前記一対の半割円筒体の外面には、軸方向に沿う複数箇所に、各々周方向に延びる凹部が形成され、前記閉状態では、対応する前記一対の半割円筒体の前記凹部が連結して環状をなすように構成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の連結部用カバー。
【請求項6】
前記一対の半割円筒体は、軸方向に沿った一方の端辺が連結してヒンジ部とされ、軸方向に沿った他方の端辺が互いに開閉可能とされている、請求項1~5のいずれか一項に記載の連結部用カバー。
【請求項7】
前記一対の半割円筒体の軸方向両端に、前記開閉可能とされている互いの端辺を係合する係合部が形成されている、請求項6に記載の連結部用カバー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の連結部用カバーの製造方法であって、シート状の軟質発泡樹脂をプレス成型することを特徴とする、連結部用カバーの製造方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の連結部用カバーに、前記連結部とその近傍が収容されてなることを特徴とする連結システム。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか一項に記載の連結部用カバーの前記一対の半割円筒体に前記連結部とその近傍を収容した後、バンド及びシートの一方又は両方で前記連結部用カバーを前記連結部に密着させるように固定することを特徴とする、連結部の保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結部用カバーとその製造方法、及び連結部の保護方法に関する。さらに詳しくは、波形被覆管に被覆されている内管を管継手で連結する連結部を覆う連結部用カバーとその製造方法、連結システム、及び連結部の保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温水機器、空調機器等に接続される配管には内管が波形被覆管で被覆されている被覆配管が使用されている。波形被覆管は、内管を保護すると共に、配管内を流れる温水等を保温する役割も担っている。
被覆配管を管継手で接続する連結部には、連結部を保護すると共に、連結部の保温性を高めるために連結部用カバーが使用されている(特許文献1、2)。
【0003】
特許文献1の連結部用カバーは硬質樹脂製であり、抜け止めのために、軸方向の両端部に、波形被覆管の谷部に食い込む環状リブが形成されている。
特許文献2の連結部用カバーは硬質樹脂製であり、抜け止めのために、軸方向の両端部と管継手近くの位置の合計四カ所に、波形被覆管の谷部に食い込む環状リブが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3195644号公報
【特許文献2】特開2019-100373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の連結部用カバーは、連結部の保温性が低かった。また、抜け止め対策も充分とは言い難く、連結部用カバーから波形被覆管が抜けやすかった。
本発明は上記事情に鑑み、連結部の保温性が高く、連結部用カバーから波形被覆管が抜けにくい連結部用カバーとその製造方法、連結システム、及び連結部の保護方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]大径の山部と小径の谷部とが交互に形成された第1波形被覆管に被覆されている第1内管の前記第1波形被覆管から露出した端部と、大径の山部と小径の谷部とが交互に形成された第2波形被覆管に被覆されている第2内管の前記第2波形被覆管から露出した端部とが管継手に挿入又は外嵌された連結部を保護する連結部用カバーであって、
軟質発泡樹脂で構成された一対の半割円筒体を備え、前記一対の半割円筒体は、互いの軸方向に沿った両端辺を合わせて閉じた閉状態において、前記第1波形被覆管の前記連結部近傍を収容する第1被覆管収容部と、前記第2波形被覆管の前記連結部近傍を収容する第2被覆管収容部と、前記第1被覆管収容部と前記第2被覆管収容部との間における連結部収容部とを構成するようにされており、
前記一対の半割円筒体の前記第1被覆管収容部を構成する部分の内面には、各々周方向に延びる第1リブが軸線方向に沿って前記第1波形被覆管の前記谷部と同じピッチで複数形成され、前記閉状態では、対応する前記一対の半割円筒体の前記第1リブが連結して環状をなして前記第1波形被覆管の前記谷部に連続して係合するように構成され、
前記一対の半割円筒体の前記第2被覆管収容部を構成する部分の内面には、各々周方向に延びる第2リブが軸線方向に沿って前記第2波形被覆管の前記谷部と同じピッチで複数形成され、前記閉状態では、対応する前記一対の半割円筒体の前記第2リブが連結して環状をなして前記第2波形被覆管の前記谷部に連続して係合するように構成されていることを特徴とする、連結部用カバー。
[2]前記複数の第1リブの高さが前記第1波形被覆管の前記各谷部の深さ以上であると共に、前記複数の第2リブの高さが前記第2波形被覆管の前記各谷部の深さ以上である、[1]に記載の連結部用カバー。
[3]前記複数の第1リブが前記第1波形被覆管の前記各谷部に充填されている充填率が70%以上であると共に、前記複数の第2リブが前記第2波形被覆管の前記各谷部に充填されている充填率が70%以上である、[1]又は[2]に記載の連結部用カバー。
[4]前記一対の半割円筒体の前記第1被覆管収容部を構成する部分と前記連結部収容部を構成する部分との間の内面には、各々周方向に延びる第1境界リブが形成され、前記閉状態では、前記一対の半割円筒体の前記第1境界リブが連結して環状をなすように構成され、
前記一対の半割円筒体の前記第2被覆管収容部を構成する部分と前記連結部収容部を構成する部分との間の内面には、各々周方向に延びる第2境界リブが形成され、前記閉状態では、前記一対の半割円筒体の前記第2境界リブが連結して環状をなすように構成されている、[1]~[3]のいずれか一項に記載の連結部用カバー。
[5]前記一対の半割円筒体の外面には、軸方向に沿う複数箇所に、各々周方向に延びる凹部が形成され、前記閉状態では、対応する前記一対の半割円筒体の前記凹部が連結して環状をなすように構成されていることを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の連結部用カバー。
[6]前記一対の半割円筒体は、軸方向に沿った一方の端辺が連結してヒンジ部とされ、軸方向に沿った他方の端辺が互いに開閉可能とされている、[1]~[5]のいずれか一項に記載の連結部用カバー。
[7]前記一対の半割円筒体の軸方向両端に、前記開閉可能とされている互いの端辺を係合する係合部が形成されている、[6]に記載の連結部用カバー。
[8][1]~[7]のいずれか一項に記載の連結部用カバーの製造方法であって、シート状の軟質発泡樹脂をプレス成型することを特徴とする、連結部用カバーの製造方法。
[9][1]~[7]のいずれか一項に記載の連結部用カバーに、前記連結部とその近傍が収容されてなることを特徴とする連結システム。
[10][1]~[7]のいずれか一項に記載の連結部用カバーの前記一対の半割円筒体に前記連結部とその近傍を収容した後、バンド及びシートの一方又は両方で前記連結部用カバーを前記連結部に密着させるように固定することを特徴とする、連結部の保護方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の連結部用カバーとその製造方法、連結システム、及び連結部の保護方法によれば、連結部の保温性が高い。また、連結部用カバーから波形被覆管が抜けにくいので、安定して連結部を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る連結部用カバーの開状態における斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る連結部用カバーに連結部とその近傍を収容し、閉状態とする前の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る連結部用カバーに連結部とその近傍を収容し、閉状態とした連結システムの斜視図である。
【
図4】
図3のIV-IVに沿う部分縦断面図である。
【
図5】波形被覆管の谷部と連結部用カバー内面に設けられたリブとの関係を示す一例である。
【
図8】係合部を構成する係合片の一例を示す斜視図である。
【
図9】係合部を構成する係合片の一例を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る連結部用カバーをバンド及びシートで固定した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[連結部用カバー]
本発明の連結部用カバーは、連結部を収容して保護するカバーである。本明細書及び特許請求の範囲において連結部とは、一対の内管の端部が、管継手に挿入又は外嵌されることにより連結している部分である。
一対の内管は、各々内部が、水、湯などの流体が通る流体通路となる管である。一対の内管は、各々波形被覆管に被覆されている。
【0010】
図1に、本発明の一実施形態に係る連結部用カバー1を示す。本実施形態において連結部用カバー1で保護される連結部は、
図2に示すように、第1波形被覆管71に被覆されている第1内管61の端部と、第2波形被覆管72に被覆されている第2内管62の端部(一対の内管の端部)とが管継手50に挿入された部分とされている。
図2、
図3に示すように、連結部用カバー1は、連結部とその近傍を覆って連結部を保護するようになっている。
【0011】
図1に示すように、連結部用カバー1は、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bを備えている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとは、その軸方向に沿った一方の端辺が連結してヒンジ部11とされている。
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとは、ヒンジ部11と反対側の軸方向に沿った他方の端辺(半割円筒体10Aの端辺12Aと半割円筒体10Bの端辺12B)が互いに開閉可能とされている。
【0012】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとは、端辺12Aと端辺12Bを合わせて閉じた閉状態において、内部に連結部とその近傍を収容可能に構成されている。
具体的には、第1波形被覆管71の連結部近傍を収容する第1被覆管収容部20と、第2波形被覆管72の連結部近傍を収容する第2被覆管収容部30と、第1被覆管収容部20と第2被覆管収容部30との間における連結部収容部40とを構成するようにされている。
【0013】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの第1被覆管収容部20を構成する部分の内面には、各々周方向に延びる第1リブ21が軸線方向に沿って複数形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の対応する第1リブ21は連結して環状をなすようにされている。
【0014】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの第2被覆管収容部30を構成する部分の内面には、各々周方向に延びる第2リブ31が軸線方向に沿って複数形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の対応する第2リブ31は連結して環状をなすようにされている。
【0015】
第2リブ31の軸方向に沿うピッチは、
図4に示すように、第2波形被覆管72の谷部74のピッチと同じとされている。
第1リブ21の軸方向に沿うピッチも同様に、第1波形被覆管71の谷部74のピッチと同じとされている。
波形被覆管(第1波形被覆管71、第2波形被覆管72)の谷部74のピッチとリブ(第1リブ21、第2リブ31)の軸方向に沿うピッチとが同じであるため、隣接するリブは、波形被覆管の隣接する谷部74に連続して係合することができる。
【0016】
波形被覆管(第1波形被覆管71、第2波形被覆管72)の谷部74のピッチとは、隣り合う74の底面中央の間隔をいう。なお、通常の波形被覆管は、全長に亘って、隣り合う74の底面中央の間隔は一定している。
また、リブ(第1リブ21、第2リブ31)の軸方向に沿うピッチとは、隣り合うリブの先端中央の間隔をいう。なお、通常の波形被覆管は、全長に亘って、隣り合う74の底面中央の間隔は一定しているので、隣り合うリブの先端中央の間隔も一定している。例えば、リブが3つの場合、1番目のリブと2番目のリブの間隔と2番目のリブと3番目のリブの間隔とは同じである。
【0017】
本実施形態では、第1リブ21と第2リブ31が各々3つである例を示したが、本発明における第1リブ21と第2リブ31は、各々2つ以上あればよい。第1リブ21と第2リブ31は、各々3つ以上であることが好ましい。第1リブ21と第2リブ31を各々3つ以上設ければ、第1波形被覆管71と第2波形被覆管72が連結部用カバー1から抜け落ちることをより確実に防止できる。
【0018】
第1リブ21と第2リブ31は、各々5つ以下であることが好ましく、4つ以下とすることがより好ましい。第1リブ21と第2リブ31の数を各々好ましい範囲の上限値以下とすることにより、連結部用カバー1の全長が長くなりすぎることを防止できる。また、連結部用カバー1に対する連結部近傍の位置合わせも容易となる。
【0019】
第1被覆管収容部20が第1波形被覆管71をカバーする軸方向の長さと、第2被覆管収容部30が第2波形被覆管72をカバーする軸方向の長さは、各々10mm以上とすることが好ましく、20mm以上とすることがより好ましい。波形被覆管をカバーする軸方向の長さが好ましい範囲の下限値以上であれば、充分な数のリブを谷部74に係合させることができる。また、連結部用カバー1の軸方向両端が波形被覆管から浮き上がり、波形被覆管との間に隙間が生じることを防ぎやすい。
波形被覆管をカバーする軸方向の長さは、連結部用カバー1の全長を長くしすぎない観点で、50mm以下とすることが好ましく、40mm以下とすることがより好ましい。
【0020】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの第1被覆管収容部20を構成する部分と連結部収容部40を構成する部分との間の内面には、各々周方向に延びる第1境界リブ44が形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の第1境界リブ44は連結して環状をなすようにされている。
【0021】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの第2被覆管収容部30を構成する部分と連結部収容部40を構成する部分との間の内面には、各々周方向に延びる第2境界リブ45が形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の第2境界リブ45は連結して環状をなすようにされている。
【0022】
第1境界リブ44と第1境界リブ44に最も近い第1リブ21の距離、及び第2境界リブ45と第2境界リブ45に最も近い第2リブ31の距離は、各々5~10mmであることが好ましい。
これにより、第1波形被覆管71、第2波形被覆管72の端面が、斜めにカットされている場合でも、第1リブ21と第1波形被覆管71の谷部74の位置合わせ、及び第2リブ31と第2波形被覆管72の谷部74の位置合わせが容易となる。
【0023】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの連結部収容部40を構成する部分の厚さは、最も薄い部分が、2~10mmであることが好ましく、3~5mmであることがより好ましい。
連結部収容部40を構成する部分の厚さが、好ましい範囲の下限値以上であることにより、波形被覆管により保温されていない連結部の保温性を高めることができる。連結部収容部40を構成する部分の厚さが、好ましい範囲の上限値以下であることにより、連結部用カバー1全体が過大となることを回避できる。
【0024】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの連結部収容部40を構成する部分の内面は、連結部の外形に沿うように構成されている。本実施形態では、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの連結部収容部40を構成する部分の内面中央に、各々周方向に延びる中央リブ43が形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の中央リブ43は連結して環状をなすようにされている。
【0025】
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、中央リブ43と第1境界リブ44との間は、第1管継手収容部41を構成し。中央リブ43と第2境界リブ45との間は、第2管継手収容部42を構成するようになっている。
半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの連結部収容部40を構成する部分が、このような形状とされていることにより、
図2に示すように、連結部収容部40の内側は、両端と中央部分が小径とされた管継手50の外形に沿えるようになっている。
【0026】
図1、
図3に示すように、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの連結部収容部40を構成する部分の外面には、第1境界リブ44の反対面近傍において、各々周方向に延びる第1凹部46が形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の第1凹部46は連結して環状をなすようにされている。
【0027】
また、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの連結部収容部40を構成する部分の外面には、第2境界リブ45の反対面近傍において、各々周方向に延びる第2凹部47が形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の第2凹部47は連結して環状をなすようにされている。
【0028】
また、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bの連結部収容部40を構成する部分中央の外面には、中央リブ43の反対面において、各々周方向に延びる中央凹部48が形成されている。半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としたとき、各々の中央凹部48は連結して環状をなすようにされている。
【0029】
また、半割円筒体10Aの第1被覆管収容部20を構成する部分の端辺12Aには各々矩形状の係合片23と係合片24とが、互いに離間して凸設されている。係合片23と半割円筒体10Aの間には、係合片24側に切り込み23aが形成されている。係合片24と半割円筒体10Aの間には、係合片23側に切り込み24aが形成されている。
【0030】
半割円筒体10Aの第2被覆管収容部30を構成する部分の端辺12Aには各々矩形状の係合片33と係合片34とが、互いに離間して凸設されている。係合片33と半割円筒体10Aの間には、係合片34側に切り込み33aが形成されている。係合片34と半割円筒体10Aの間には、係合片33側に切り込み34aが形成されている。
【0031】
また、半割円筒体10Bの第1被覆管収容部20を構成する部分の端辺12Bには矩形状の係合片25が凸設されている。後述するように、係合片25は係合片23と係合片24との間に係合するようになっている。
半割円筒体10Bの第2被覆管収容部30を構成する部分の端辺12Bには矩形状の係合片35が凸設されている。後述するように、係合片35は係合片33と係合片34との間に係合するようになっている。
【0032】
連結部用カバー1は軟質発泡樹脂によって構成されている。軟質発泡樹脂によって構成されていることにより、連結部用カバー1は、優れた保温性を発揮する。
また、軟質発泡樹脂によって構成されていることにより、連結部用カバー1は、適度な弾性を有する。そのため、谷部74に充填された第1リブ21又は第2リブ31は、谷部74から抜けにくい。
【0033】
また、軟質発泡樹脂によって構成されていることにより、連結部用カバー1は、適度な可塑性を有する。そのため、連結部用カバー1を製造する際に多少の寸法誤差が生じても、連続して並ぶ複数の谷部74に対して、第1リブ21又は第2リブ31を、係合させることができる。
軟質発泡樹脂は、発泡スチロール、ポリスチレンフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームなどいずれものでもよい。
【0034】
[連結用カバーの製造方法]
連結部用カバー1は、安価に製造できることから、1枚のシート状の軟質発泡樹脂をプレス成型して製造することが好ましい。
プレス成型前のシート状の軟質発泡樹脂の発泡倍率は、例えば5~50倍とすることができる。
【0035】
発泡倍率が好ましい範囲の下限値以上であることにより、連結部の保温性が高まる。また、成型の自由度が増すため、成型精度を向上させやすい。また、連結部用カバー1の適度な柔軟性を確保しやすいため、連結部とその近傍に対する密着性を向上させやすい。
発泡倍率が好ましい範囲の上限値以下であるきことにより、必要な強度を確保しやすい。
【0036】
[管継手]
本実施形態の連結部における管継手50は、
図2に示すように、第1内管61が挿入される入口である第1挿入口51と、第2内管62が挿入される入口である第2挿入口52と、第1挿入口51に隣接し第1挿入口51より大径の第1内管挿入部53と第2挿入口52に隣接し第2挿入口52より大径の第2内管挿入部54と、第1内管挿入部53と第2内管挿入部54との間に存し、第1内管挿入部53と第2内管挿入部54よりも小径の中央部55とで構成されている。
【0037】
[内管]
管継手50連結される第1内管61と第2内管62は、全長にわたって一定の円形断面に形成され、かつ可撓性を有している。本実施形態では、第1内管61と第2内管62の外径は、同一である例を示している。
第1内管61は、第1挿入口51から第1内管挿入部53まで挿入され、その先端は中央部55の手前まで至るようになっている。第2内管62は、第2挿入口52から第2内管挿入部54まで挿入され、その先端は中央部55の手前まで至るようになっている。
【0038】
第1内管61と第2内管62の材質としては、架橋ポリエチレン(PE-X)、ポリブテン(PB)、高耐熱ポリエチレン(PE-RT)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の合成樹脂を単独又は2以上を組み合わせて使用できる。
【0039】
第1内管61と第2内管62は、複数の樹脂層が径方向に積層されたものでもよい。また、金属強化多層構造などの金属を含む複合樹脂管であってもよい。
各内管の材質として、上記は例示であり、可撓性、流体流通性などの所要の性能を確保し得るものであれば、特に制限はない。
【0040】
[波形被覆管]
本実施形態において、第1内管61と第2内管62は、各々波形被覆管に挿通されて、外周が波形被覆管により被覆されている。本実施形態では、第1内管61は第1波形被覆管71により、第2内管62は第2波形被覆管72により被覆されている。但し、連結部において管継手50に挿入されている第1内管61の端部は、第1波形被覆管71から露出している。また、連結部において管継手50に挿入されている第2内管62の端部は、第2波形被覆管72から露出している。
第1内管61と第2内管62の中心軸線は、互いに共通の軸線上に略配置されている。
【0041】
第1波形被覆管71と第2波形被覆管72とは、各々
図4に示すように、各々大径の山部73と小径の谷部74とが交互に形成された蛇腹状とされている。なお、
図4には、第2波形被覆管72を示しているが、第1波形被覆管71も同様に山部73と谷部74とが交互に形成された蛇腹状とされている。
【0042】
第1波形被覆管71、第2波形被覆管72は、可撓性の樹脂によって構成され、好ましくは単層の軟質発泡樹脂によって構成されている。
軟質発泡樹脂の発泡倍率は、音鳴り抑制及び保温性の観点から好ましくは1.05倍から4倍であり、より好ましくは1.2倍から2.5倍である。
【0043】
軟質発泡樹脂は、好ましくはポリエチレンを主成分(50wt%以上)とし、50wt%未満のポリプロピレンを含む。柔軟性の観点からは、主成分のポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。さらに、離型容易性などのために滑剤を含むことが好ましい。軟質発泡樹脂に対する滑剤の含有量は、好ましくは1wt%以下である。
第1波形被覆管71、第2波形被覆管72の材質として、上記は例示であり、可撓性、第1内管61、第2内管62に対する保護性などの所要の性能を確保し得るものであれば、特に制限はない。
【0044】
[連結部用カバーと連結部近傍の関係]
図4を参照して、連結部用カバー1に連結部とその近傍を収容した際に、これらの収容対象に対する連結部用カバー1の位置関係について詳述する。
既に説明したように、第2リブ31のピッチは、第1波形被覆管71の谷部74のピッチと同じとされている。そのため、隣接する複数の谷部74に連続して第2リブ31が係合するようになっている。
【0045】
本実施形態では、3つの第2リブ31を設けているので、第2波形被覆管72における隣接する3つの谷部74に連続して第2リブ31が係合するようになっている。第1リブ21も同様に、第1波形被覆管71における隣接する3つの谷部74に連続して係合するようになっている。
【0046】
連結用カバーが硬質樹脂で製造されている場合、僅かな寸法誤差が生じても、隣接する複数の谷部に連続してリブを係合させることは困難である。しかし、本実施形態のように、軟質発泡樹脂で構成されている連結部用カバー1は、適度な可塑性を備えるので、多少の寸法誤差が生じても、隣接する複数の谷部に連続してリブを係合させることが可能である。
【0047】
第1リブ21と第2リブ31の形状に特に限定はなく、山形、長方形、台形、三角形等の形状を適宜採用できる。波形被覆管の谷部74に密着しやすい形状であることが好ましい。
密着性が高い程、連結部用カバー1と連結部との間に空気が流入しにくくなるため、保温性が高まる。また、谷部74との係合力が高まるため、第1波形被覆管71や第2波形被覆管72の連結部用カバー1からの抜けを防止しやすい。
【0048】
良好な密着性を得るためには、第1リブ21と第2リブ31の形状が、波形被覆管の谷部74の形状と同じであることが好ましい。例えば、台形の谷部74であれば、台形の第1リブ21と第2リブ31が密着性を得やすい。
また、
図5に示すように、第1リブ21又は第2リブ31の先端が曲面になっていることも好ましい。リブの先端が曲面になっていると、連結部用カバー1を第1波形被覆管71、第2波形被覆管72等に向けて押しつけることにより、リブの先端が平坦になる方向に変形し、谷部74の底部に近づくので、密着性を得やすい。
【0049】
良好な密着性を得るためには、第1リブ21と第2リブ31の高さは、谷部74の深さ以上であることが好ましい。すなわち、リブ(第1リブ21又は第2リブ31)の高さd3と谷部74の深さd6との比[d3/d6]は、1以上であることが好ましい。[d3/d6]が1以上であることにより、リブが谷部74のほぼ全体を埋めやすくなり、保温性が高まる。また、リブと谷部74との係合力が高まるため、第1波形被覆管71や第2波形被覆管72の連結部用カバー1からの抜けを防止しやすい。
【0050】
比[d3/d6]は、1.5以下であることが好ましく、1.1以下であることがより好ましい。比[d3/d6]が1.1以下であれば、連結部用カバー1と山部73との間を空気が通過することを実質的に防ぐことができるので、保温性が高まる。比[d3/d6]が1.5以下であれば、連結部用カバー1を第1波形被覆管71、第2波形被覆管72等に向けて押しつけることにより、リブの先端が潰れる方向に変形してリブの高さが縮まるため、連結部用カバー1と山部73との間を密着させやすい。
【0051】
良好な密着性を得るためには、リブが谷部に充填されている充填率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、充填率は、波形被覆管の軸に沿った断面における谷部74の断面積に対する当該谷部74に充填されているリブの断面積の割合として求める。
【0052】
ここで、充填率は、本来であれば、リブが谷部74に係合した状態で求めるべきであるが、充填した状態で、各断面積を求めることは困難である。そこで、本明細書及び特許請求の範囲において、充填率は、係合前の状態における各々の形状が、そのまま変化せずに係合すると仮定して求めた値とする。
【0053】
したがって、谷部の断面積とは、係合前に、隣接する山部73を結んだ平面と谷部74で囲まれる部分の断面積とする。
また、谷部74に充填されているリブの断面積とは、リブも谷部74も、全く変形しないと仮定した上で、リブが隣接する山部73を結んだ平面以下の谷部74に挿入され得る部分の断面積とする。
【0054】
なお、例えばリブが谷部74より幅の広い台形である場合のように、リブと谷部74の断面図を重ね合わせた際、リブの断面の基端部分に谷部よりはみ出す部分が生じるときは、当該はみ出す部分は隣接する山部73を結んだ平面以下の谷部74に挿入され得ないものとして、当該部分を含めずに、谷部74に充填されているリブの断面積を求める。
また、リブが谷部74より幅は広くないものの、その高さが谷部74の深さを超える場合のように、リブと谷部74の断面図を重ね合わせた際、リブの断面の基端部分に谷部よりはみ出す部分が生じるときも、当該はみ出す部分は隣接する山部73を結んだ平面以下の谷部74に挿入され得ないものとして、当該部分を含めずに、谷部74に充填されているリブの断面積を求める。
【0055】
図6に基づき、リブの断面が長方形の場合の充填率の求め方について説明する。
図6の谷部74の断面は、両側の山部73の上面を結んだ平面の断面長さd4を上底とし、谷部74の底面の断面長さd5を下底とし、高さがd6である逆台形である。したがって、その断面積S
0は以下の式(1)により求められる。
S
0=(d4+d5)×d6/2 ・・・(1)
【0056】
一方、断面長さがd1で高さがd3(d3>d6)である第1リブ21の、両側の山部73の上面を結んだ平面以下の断面積S1は以下の式(2)により求められる。
S1=d1×d6・・・(2)
したがって、充填率X1は以下の式(3)により求められる。
X1=S1/S0=d1×2/(d4+d5)・・・(3)
【0057】
次に
図7に基づき、リブの断面が逆台形で、その先端を谷部74の底面に接するまで挿入することが可能である場合の充填率の求め方について説明する。
図7の谷部74の断面積は、
図6の谷部74の断面積と同様に前記式(1)により求められる。
【0058】
一方、
図7の第1リブ21の両側の山部73の上面を結んだ平面以下に充填されうる断面は、両側の山部73の上面を結んだ平面における第1リブ21の断面長さd1を上底とし、谷部74の底面に接する先端の断面長さd2を下底とし、高さがd3(d3>d6)である逆台形である。したがって、その断面積S
2は以下の式(4)により求められる。
S
2=(d1+d2)×d6/2 ・・・(4)
【0059】
したがって、充填率X
2は以下の式(5)により求められる。
X
2=S
2/S
0=(d1+d2)/(d4+d5)・・・(5)
なお、
図6、
図7に基づいて、第1波形被覆管71の谷部74に対する第1リブ21の充填率について説明したが、第2波形被覆管72の谷部74に対する第2リブ31の充填率も、同様にして求められることは言うまでもない。
【0060】
[係合部]
次に
図8~
図10を参照して、半割円筒体10Aの端辺12Aに設けられた係合片と半割円筒体10Bの端辺12Bに設けられた係合片の係合状態について詳述する。
図8、
図9に示すように、係合片35の幅aは、係合片33と係合片34との間隔bより大きくされている。
【0061】
既に説明したように、係合片33と半割円筒体10Aの間には、係合片34側に切り込み33aが形成されている。係合片34と半割円筒体10Aの間には、係合片33側に切り込み34aが形成されている。これらの切り込み33aと切り込み34aは、各々幅cとされており、a~cは以下の式(6)の関係とされている。
a≒b+2×c ・・・(6)
【0062】
そのため、
図10に示すように係合片35を切り込み33aと切り込み34aとの間に挟みつつ係合片33と係合片34との間に挿入することにより、係合片35と係合片33及び係合片34とを係合させ、第2被覆管収容部30を構成する部分における端辺12Aと端辺12Bとを合わせた状態で固定することができる。
【0063】
係合片25と係合片23及び係合片24との関係も同様である。すなわち、係合片25の幅aは、係合片23と係合片24との間隔bより大きくされている。また、切り込み23aと切り込み24aは、各々幅cとされており、a~cは前記式(6)の関係とされている。
【0064】
そのため、係合片25を切り込み23aと切り込み24aとの間に挟みつつ係合片23と係合片24との間に挿入することにより、係合片25と係合片23及び係合片24とを係合させ、第1被覆管収容部20を構成する部分における端辺12Aと端辺12Bとを合わせた状態で固定することができる。
【0065】
幅cは2~5mmであることが好ましく、3~4mmであることがより好ましい。幅cが好ましい範囲の下限値以上であることにより、係合片25又は係合片35を切り込みの間に挟み込んで止める力が強くなる。幅cが好ましい範囲の上限値以下であることにより、係合片23、係合片24、又は係合片33、係合片34が半割円筒体10Aから破断しにくくなる。
【0066】
第1被覆管収容部20を構成する部分と第2被覆管収容部30を構成する部分における端辺12Aと端辺12Bとを合わせた状態で固定すると、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとが閉じた状態となる。
【0067】
なお、係合片の形状は、矩形に限らず、山形、台形、三角形、円弧等の形状を適宜採用できる。ただし、良好な係合状態を得るため、係合片25と係合片35とは、矩形であることが好ましい。
【0068】
[連結部の保護方法]
本実施形態の連結部用カバー1を用いて連結部を保護するためには、
図2に示すように、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bのいずれかに連結部とその近傍における第1波形被覆管71と第2波形被覆管72を配置する。
【0069】
このとき、第1境界リブ44、第2境界リブ45(
図1参照)があるので、その間に管継手50が来るように配置することで容易に位置合わせができる。
また、第1波形被覆管71と第2波形被覆管72は、第1境界リブ44と第2境界リブ45よりも内側には挿入できないので、第1波形被覆管71、第2波形被覆管72の端面により、管継手50を傷つける懸念もない。
【0070】
その後、係合片25と係合片23及び係合片24とを係合させると共に、係合片35と係合片33及び係合片34とを係合させることにより、
図3に示すように、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態とする。
これにより、連結部用カバー1を用いて連結部を保護し、本発明の連結システムを構成することができる。
本実施形態では、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとがヒンジ部11で結合しているので、容易に連結部を収容することができる。
【0071】
本実施形態においては、さらに、バンド及びシートの一方又は両方で連結部用カバー1を連結部に密着させるように固定することが好ましい。
既に係合片により、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとを閉状態としているので、バンドやシートによる固定は、連結部用カバー1を片手で持ち、もう一方の手で容易に行うことができる。
【0072】
図11に、被覆シート81と結束バンド82とで固定した一例を示す。結束バンド82は、連結部用カバー1の第1凹部46と第2凹部47の位置で締めることが好ましい。これにより、結束バンド82を適切な位置で用いることができると共に、結束バンド82の位置がずれることを防止できる。
【0073】
バンド及びシートの一方又は両方で固定すると、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとの閉状態を確実に保持することができる。また、連結部用カバー1の連結部に対する密着性が高まるので、保温性がより向上する。また、第1波形被覆管71、第2波形被覆管72が連結部用カバー1から抜けることをより確実に防止できる。
さらに、第1波形被覆管71、第2波形被覆管72が扁平に歪んでしまうことを防止しやすい。
【0074】
[他の実施形態]
上記実施形態では、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとがヒンジ部11で結合している例を示したが、半割円筒体10Aと半割円筒体10Bとは分離可能なものであってもよい。
第1境界リブ44と第2境界リブ45とは必須ではない。第1凹部46と第2凹部47も必須ではない。
【実施例0075】
[実験例1]
連結部収容部40における厚さをほぼ均一にした連結部用カバー1を、厚さを種々変更して作成し、その保温力を調べた。
第1内管61、第2内管62としては、内径12.9mm、外径17.0mmの架橋ポリエチレン製管を、各々長さ100cmとして用いた。第1波形被覆管71、第2波形被覆管72としては、谷部74が断面積2.25mm
2の逆台形(
図7におけるd4=2mm、d5=1mm、d6=1.5mm)で、谷部74のピッチが4.5mmの波形被覆管を用いた。
【0076】
管継手50としては、長さ70mm、第1管継手収容部41と第2管継手収容部42の径が33mmの管継手を用いた。
連結部用カバー1の第1リブ21、第2リブ31は、基端部の幅が2mm、
図7におけるd1=1.75mm、d2=約1mm、d3=2mmの略逆台形とし、各々、4.5mmのピッチで3つずつ設けた。充填率は、いずれも91.7%とした。
【0077】
第1内管61、第2内管62の端部を各々33mm、被覆管から露出させ、当該露出部分を管継手50に挿入して第1内管61と第2内管62を連結した。
第1内管61の管継手50に挿入した端部と反対側の端部から第2内管62の管継手50に挿入した端部と反対側の端部まで初期温度40℃の湯を流して全体に湯を充満させた。その後湯の流れを止め、流れを止めてから30分後に第1内管61内の水の温度を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
【0079】
表1より、連結部用カバーの厚さが厚いほど保温性が高いことが確認された。また、連結部用カバーの厚さが3mm以上あれば、実用上充分な保温性が得られることが確認できた。
【0080】
[実験例2]
連結部用カバー1を、第1リブ21と第2リブ31の数を種々変更して作成し、第1波形被覆管71無及び第2波形被覆管72の抜けにくさを調べた。
第1内管61、第2内管62、第1波形被覆管71、第2波形被覆管72、管継手50としては、実験例1と同じものを用いた。
【0081】
連結部用カバー1の第1リブ21、第2リブ31も、実験例1と同様に基端部の幅が2mm、
図7におけるd1=1.75mm、d2=約1mm、d3=2mmの略逆台形とし、充填率は、いずれも91.7%とした。第1リブ21、第2リブ31を複数設ける場合のピッチは4.5mmとした。
【0082】
引張強度の測定は、連結部用カバー1の第2被覆管収容部30をテープと結束バンドで固定台に固定し、第2波形被覆管72の第2被覆管収容部30から40mm離れた箇所をつかみ治具で把持し、両者を軸方向に速度5mm/分の条件で引くことにより行った。波形被覆管が最後のリブから抜けるまでの強度の最大値を引張強度とした。結果を表2に示す。
【0083】
【0084】
表2の結果より、リブの数が多いほど引張強度が高く、抜けにくいことが確認された。また、リブの数が3つ以上あれば、実用上充分な引張強度が得られることが確認できた。
【0085】
[実験例3]
連結部用カバー1を、第1リブ21と第2リブ31の充填率を種々変更して作成し、第1波形被覆管71無及び第2波形被覆管72の抜けにくさを調べた。各例における充填率は、第1リブ21、第2リブ31断面の高さ(
図7におけるd3)を調整することにより変化させた。
【0086】
第1内管61、第2内管62、第1波形被覆管71、第2波形被覆管72、管継手50としては、実験例1と同じものを用いた。
連結部用カバー1の第1リブ21、第2リブ31は、基端部の幅が2mm、
図7におけるd2=約1mm、d3=0.2~2.25mmの略逆台形とし、4.5mmのピッチで3つずつ設けた。
【0087】
実験例1と同様にして連結部を形成し、同様にして初期温度40℃の湯を流し、30分後に第1内管61内の水の温度を測定した。
また、実験例2と同様にして、連結部用カバー1の第2被覆管収容部30と第2波形被覆管72を軸方向に引くことにより、波形被覆管が最後のリブから抜けるまでの強度の最大値を引張強度として測定した。結果を表3に示す。
【0088】
【0089】
表3の結果より、充填率が高いほど保温性が高く、また、引張強度が高く、抜けにくいことが確認された。また、充填率が70%以上あれば、実用上充分な保温性と引張強度が得られることが確認できた。