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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178569
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】照明操作卓および照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/155 20200101AFI20221125BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20221125BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20221125BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20221125BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/18
H05B45/10
H05B45/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085456
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】羽生田 有美
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 美雪
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA02
3K273QA11
3K273RA02
3K273RA05
3K273RA08
3K273RA13
3K273RA16
3K273SA03
3K273SA06
3K273SA35
3K273SA46
3K273SA60
3K273TA03
3K273TA05
3K273TA22
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273TA66
3K273UA06
3K273UA18
(57)【要約】
【課題】所望の光色を再現できる照明操作卓を提供する。
【解決手段】記憶部31は、個別に制御可能な複数種類の第1発光素子を搭載した第1照明器具21の第1照明器具識別情報と、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報と、を関連付けて第1動作条件として記憶する。判断部33は、個別に制御可能な複数種類の第2発光素子を搭載した、第1照明器具21とは異なる第2照明器具22の第2照明器具識別情報に基づいて所定の器具情報データベース34を参照することで特定される第2照明器具22が搭載する第2発光素子の第2発光素子情報と、第1動作条件に基づいて器具情報データベース34を参照することで推定される第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報と、を用いて、第2照明器具22の第2動作条件を判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に制御可能な複数種類の第1発光素子を搭載した第1照明器具の第1照明器具識別情報と、前記第1照明器具が搭載する前記第1発光素子それぞれの発光強度情報と、を関連付けて第1動作条件として記憶する記憶部と;
個別に制御可能な複数種類の第2発光素子を搭載した、前記第1照明器具とは異なる第2照明器具の第2照明器具識別情報に基づいて所定の器具情報データベースを参照することで特定される前記第2照明器具が搭載する前記第2発光素子の第2発光素子情報と、前記第1動作条件に基づいて前記器具情報データベースを参照することで推定される前記第1動作条件における前記第1照明器具から照射される光の光色情報と、を用いて、前記第2照明器具の第2動作条件を判断する判断部と;
を備える照明操作卓。
【請求項2】
前記判断部は、前記器具情報データベースに含まれる前記第1照明器具識別情報と関連付けられた前記第1照明器具が搭載する前記第1発光素子それぞれの色情報を含む前記第1発光素子の第1発光素子情報を用いて、前記第1動作条件における前記第1照明器具から照射される光の前記光色情報を推定する
ことを特徴とする請求項1記載の照明操作卓。
【請求項3】
前記判断部は、前記第1動作条件における前記第1照明器具から照射される光の前記光色情報を前記第2照明器具で再現するように前記第2動作条件を判断する
ことを特徴とする請求項1または2記載の照明操作卓。
【請求項4】
所定の通信手段で接続された前記第2照明器具から前記第2照明器具識別情報を収集する照明器具情報収集部を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の照明操作卓。
【請求項5】
個別に制御可能な複数種類の第1発光素子を搭載した第1照明器具と;
個別に制御可能な複数種類の第2発光素子を搭載した、前記第1照明器具とは異なる第2照明器具と;
前記第1照明器具および前記第2照明器具と所定の通信手段で接続された請求項1ないし4いずれか一記載の照明操作卓と;
を備える照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照明器具を操作する照明操作卓および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば舞台照明やスタジオ照明では、複数の照明器具が用いられ、これら複数の照明器具を照明操作卓にて制御している。舞台毎やスタジオ毎に設置されている照明器具は、同じ例えばホリゾントライトなどでも異なるメーカーのものが設置されている場合がある。
【0003】
従来、照明器具は、ハロゲン電球を光源とし、カラーフィルタを用いることで所望の光色に調整していた。この場合、一のメーカーの照明器具向けに作成したシーンデータを、他のメーカーの照明器具に適用しても光色のずれなどの問題がなかった。
【0004】
近年、舞台照明やスタジオ照明に用いられる照明器具にも、光源としてLEDなどの発光素子化が進められており、赤色、緑色、青色の発光素子の組み合わせで光色の調整が可能となっている。
【0005】
しかし、異なるメーカーの照明器具では、各色の発光素子の色度、個数、出力が必ずしも同じではないため、一のメーカーの照明器具向けに作成したシーンデータを、他のメーカーの照明器具に適用すると、光色のずれが発生し、所望の光を再現できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-43072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、所望の光色を再現できる照明操作卓および照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の照明操作卓は、記憶部および判断部を備える。記憶部は、個別に制御可能な複数種類の第1発光素子を搭載した第1照明器具の第1照明器具識別情報と、第1照明器具が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報と、を関連付けて第1動作条件として記憶する。判断部は、個別に制御可能な複数種類の第2発光素子を搭載した、第1照明器具とは異なる第2照明器具の第2照明器具識別情報に基づいて所定の器具情報データベースを参照することで特定される第2照明器具が搭載する第2発光素子の第2発光素子情報と、第1動作条件に基づいて器具情報データベースを参照することで推定される第1動作条件における第1照明器具から照射される光の光色情報と、を用いて、第2照明器具の第2動作条件を判断する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の照明操作卓によれば、所望の光色を再現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態を示す照明操作卓および照明システムの構成図である。
図2】同上照明システムが備える第1および第2照明器具の第1および第2発光素子それぞれの色座標を示すxy色度図である。
図3】同上照明操作卓の記憶部に第1動作条件として記憶される型番と発光強度情報を含む各種情報を表として示す説明図である。
図4】同上照明操作卓が参照する器具情報データベースに登録される型番と関連付けられた情報を表として示す説明図である。
図5】同上照明操作卓の実施例1の動作を示すフローチャートである。
図6】同上照明操作卓の実施例2の動作を示すフローチャートである。
図7】同上照明操作卓の判断部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に照明システム10を示す。照明システム10は、例えば舞台照明やスタジオ照明に用いられる。照明システム10は、複数の照明器具11と、複数の照明器具11を制御する照明操作卓12と、複数の照明器具11と照明操作卓12とを双方向に通信可能に接続する通信手段13とを備えている。
【0013】
照明器具11には、舞台照明やスタジオ照明に用いられる例えばスポットライトやホリゾントライトなどの各種器具が含まれる。照明器具11は、第1照明器具21に含まれる照明器具11と、第2照明器具22に含まれる照明器具11とに分けられる。
【0014】
第1照明器具21は、個別に制御可能な複数種類の第1発光素子が搭載されている。例えば、少なくとも赤色、緑色、青色の第1発光素子の組み合わせで、第1照明器具21から照射される光の光色の調整が可能な器具である。なお、第1発光素子には、赤、緑、青の他に、アンバー、シアン、ライム、ミント、ホワイトなどが含まれていてもよい。
【0015】
第1照明器具21は、例えば型番や名称などの第1照明器具識別情報を少なくとも記憶しており、この第1照明器具識別情報を通信手段13によって接続された照明操作卓12に送信可能とする。なお、第1照明器具21は、第1照明器具識別情報に加えて、第1発光素子それぞれの発光強度情報および色情報を含む情報を第1発光素子情報として記憶し、この第1発光素子情報を通信手段13によって接続された照明操作卓12に送信可能としてもよい。このように構成しておくことで、外部ネットワークを介さず、第1照明器具21から第1照明器具識別情報や付加情報を入手することが可能となる。つまり、外部ネットワークの環境が整っていないスタジオで第1照明器具21を用いる際に、USBメモリなどのメディアに記憶された第1照明器具識別情報や付加情報を読み出すという手間を省略することが可能となる。
【0016】
第1照明器具21は、例えば一のメーカーの器具であり、照明操作卓12によってこの器具向けにシーンデータである第1の動作条件が作成される器具であり、照明操作卓12によって第1の動作条件で制御される器具である。
【0017】
図1には第1照明器具21として1台のスポットライトの例を示すが、第1照明器具21には、同一機種の器具が複数含まれていてもよいし、例えばスポットライトとホリゾントライトなどの異なる複数の機種の器具が含まれていてもよい。
【0018】
また、第2照明器具22は、個別に制御可能な複数種類の第2発光素子が搭載されている。例えば、少なくとも赤色、緑色、青色の第2発光素子の組み合わせで、第2照明器具22から照射される光の光色の調整が可能な器具である。なお、第2発光素子は、赤、緑、青の他に、アンバー、シアン、ライム、ミント、ホワイトなどが含まれていてもよい。
【0019】
第2照明器具22は、例えば型番や名称などの第2照明器具識別情報を少なくとも記憶しており、この第2照明器具識別情報を通信手段13によって接続された照明操作卓12に送信可能とする。なお、第2照明器具22は、第2照明器具識別情報に加えて、第2発光素子それぞれの発光強度情報および色情報を含む情報を第2発光素子情報として記憶し、この第2発光素子情報を通信手段13によって接続された照明操作卓12に送信可能としてもよい。
【0020】
第2照明器具22は、例えば第1照明器具21の一のメーカーとは異なる他のメーカーの器具であったり、第1照明器具21の一のメーカーとは同じメーカーだが第1照明器具21とは型番などが異なる器具であったりする。言い換えれば、第1照明器具21と、第2照明器具22とは、それぞれが搭載する発光素子の色度(ピーク波長やドミナント波長も含む)、個数、出力、大きさ、のうち少なくとも1つが一致しない(異なる)器具である。例えば、図2のxy色度図に示すように、第1照明器具21の赤色、緑色、青色の第1発光素子それぞれの色座標に対して、第2照明器具22の赤色、緑色、青色の第2発光素子それぞれの色座標が異なっている。そのため、例えば、第1照明器具21の器具向けに作成された第1動作条件を、第2照明器具22に適用した場合、第2照明器具22から照射される光と、第1照明器具21から照射される光と、は明るさや光色がずれてしまい、所望の光色とならないことがある。また、第2照明器具22は第1照明器具21の一のメーカーとは異なる他のメーカーの器具であるが、他のメーカーには、1つのメーカーの場合に加えて、複数のメーカーの場合が含まれる。つまり、第2照明器具22には、メーカーが異なる第3照明器具、第4照明器具…が含まれる。
【0021】
図1には第2照明器具22として1台のホリゾントライトの例を示すが、第2照明器具22には、同一機種の器具が複数含まれていてもよいし、例えばスポットライトとホリゾントライトなどの異なる複数の機種の器具が含まれていてもよい。
【0022】
なお、照明操作卓12と所定の通信手段13で接続される複数の照明器具11は、例えば舞台毎やスタジオ毎に応じて、第1照明器具21のみの場合と、第2照明器具22のみの場合と、第1照明器具21と第2照明器具22とが混在している場合とが含まれる。つまり、例えば、スタジオAで第1照明器具21を用いて、スタジオBで第2照明器具22を用いる場合も含まれれば、スタジオAで第1照明器具21と第2照明器具22を用いる場合も含まれる。
【0023】
また、照明操作卓12は、所定の通信手段13で接続された第1照明器具21および第2照明器具22を含む複数の照明器具11と双方向に通信し、舞台やスタジオでのシーンに応じて各照明器具11を制御する。
【0024】
照明操作卓12は、照明操作卓12を制御する制御部30と、各種情報を記憶する記憶部31とを備えている。さらに、照明操作卓12は、制御部30に、照明器具情報収集部32と、判断部33とを備えている。
【0025】
記憶部31は、第1照明器具21の第1照明器具識別情報と、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報(第1発光強度情報)と、を関連付けてシーンデータである第1動作条件として記憶可能とする。
【0026】
例えば、図3に記憶部31に第1動作条件として記憶する型番および発光強度情報を含む各種情報を表として示す。記憶部31は、型番と関連付けられた、複数のシーン1~5毎の赤、緑、青の各第1発光素子それぞれの発光強度情報を第1動作条件として記憶する。第1動作条件には、シーン1~5毎のINT(強度)と、xyの色座標と、フィルタ番号および任意に付けられる色の名称などの目的色情報とを含んでいてもよいし、含んでなくてもよい。なお、ここでのフィルタ番号、フィルタ名称は、それぞれのシーンで作り出される色が、従来用いていたカラーフィルタのどの番号のもの、もしくはどの名称のものに相当するかを示す情報である。
【0027】
照明器具情報収集部32は、通信手段13で接続された第1照明器具21および第2照明器具22から、第1照明器具識別情報および第2照明器具識別情報を収集可能とする。
【0028】
判断部33は、照明器具情報収集部32で収集された第2照明器具識別情報に基づいて所定の器具情報データベース34を参照することで特定される第2照明器具22が搭載する第2発光素子の第2発光素子情報、つまり第2発光素子それぞれの発光強度情報および色情報を含む第2発光素子情報と、第1動作条件に基づいて器具情報データベース34を参照することで推定される第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報と、を用いて、第2照明器具22のシーンデータである第2動作条件を判断する。
【0029】
判断部33による第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報の推定は、器具情報データベース34に含まれる第1照明器具識別情報と関連付けられた、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報と、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの色情報と、を含む第1照明器具21の第1発光素子情報を用いて推定する。
【0030】
判断部33による第2動作条件の判断は、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を第2照明器具22で再現するように判断する。
【0031】
そして、照明操作卓12に接続された第1照明器具21については第1動作条件で制御し、照明操作卓12に接続された第2照明器具22については判断部33により判断された第2動作条件で制御し、第1照明器具21および第2照明器具22のいずれでも所望の光色を再現する。
【0032】
また、器具情報データベース34は、照明操作卓12から例えば所定のネットワーク35を通じて接続される所定のWEBサイト(例えばhttps://gdtf-share.com/)やクラウド上に存在していてもよく、あるいは照明操作卓12が備えていてもよい。照明操作卓12が器具情報データベース34を備える場合は、照明操作卓12と、器具情報データベース34と、は所定のネットワーク35を介して接続されていなくてもよい。
【0033】
器具情報データベース34には、各メーカーの器具毎に、型番や名称などの照明器具識別情報と、各器具が搭載する各発光素子それぞれの発光強度情報および色情報を含む各発光素子情報とが関連付けられて登録されている。例えば、図4に示すように、型番毎に、赤、緑、青の各発光素子について、発光強度情報である出力比、色情報であるxyの色座標などが登録されている。なお、発光素子は、赤、緑、青の他に、アンバー、シアン、ライム、ミント、ホワイトなどが含まれていてもよい。また、出力比は、例えば、光束比であるが、照度比や輝度比などの光の出力の比率であれば、任意のパラメータが使用可能である。さらに、出力比としては、最大出力などの絶対値が入力されていてもよいし、最大出力などの絶対値の比率が入力されていてもよい。また、色座標は、各発光素子の標準の色(25℃、定格電流)であってもよいし、上述した出力比での出力時(例えば25℃のとき)の各発光素子の色座標であってもよい。また、器具情報データベース34の情報は、手入力により更新、またはセンサ連動により自動更新される。センサ連動の場合、照明器具11の型番と関連付けられて更新されることが好ましい。また、それぞれの発光素子情報は、発光素子のメーカー名や、発光素子の型番と関連付けて、器具情報データベース34に登録されていてもよい。
【0034】
照明操作卓12は、器具情報データベース34で情報を閲覧可能とするとともに、器具情報データベース34から特定の情報を所定のファイル形式および所定の圧縮形式としてダウンロード可能とし、ダウンロードした情報を例えば表計算ソフトとして読み込み可能とする。
【0035】
また、通信手段13は、DMX(Digital Multiplex)規格を拡張したRDM(Remote Device Management)規格などの通信プロトコルの信号を、例えばArt-net、イーサネット(登録商標)、LANなどの通信方式の信号とし、複数の照明器具11と照明操作卓12との間で有線または無線によって双方向に通信可能としている。
【0036】
そして、照明操作卓12の動作の実施例1について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0037】
照明操作卓12に、通信手段13によって第1照明器具21を接続する(ステップS1)。
【0038】
照明操作卓12の照明器具情報収集部32により、第1照明器具21から第1照明器具識別情報を収集する(ステップS2)。ここでの第1照明器具識別情報は、第1照明器具21の製造メーカー、器具型番、器具名称、器具種類、などの個別情報を少なくとも1つ以上含んでいる。なお、第1照明器具識別情報は、第1照明器具21から収集される構成でなくてもよい。例えば、キーボードやタッチパネルなどの入力インターフェースを用いて、第1照明器具識別情報が手動で照明操作卓12に入力される構成でもよいし、USBメモリなどの記憶媒体を介して外部から入力される構成でもよい。
【0039】
照明操作卓12は、収集された第1照明器具識別情報に応じて、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報を作成する(ステップS3)。発光強度情報の作成は、第1照明器具識別情報に基づいて器具情報データベース34を参照することで取得(作成)してもよいし、第1照明器具21が発光強度情報を記憶している場合に第1照明器具21から収集してもよい。なお、予め第1照明器具識別情報を把握している場合には、ステップS2を省略してステップS1の後にステップS3を実施してもよいし、ステップS3の後にステップS1を実施してもよい。
【0040】
照明操作卓12は、記憶部31に、第1照明器具識別情報と第1発光素子それぞれの発光強度情報とを関連付けて第1動作条件として記憶する(ステップS4)。
【0041】
なお、第1動作条件の作成は、他の照明操作卓12で作成された第1動作条件を所定の記憶媒体や所定のネットワークを介して取得することで作成してもよい。この場合、この照明操作卓12では、ステップ1~4の第1動作条件の作成動作を実行しなくてよい。さらに、このように他の照明操作卓12で作成された第1動作条件を所定の記憶媒体や所定のネットワークを介して取得する場合、第1動作条件の記憶部31への記憶は判断部33による処理のために一時的に記憶される場合も含まれる。
【0042】
そして、照明操作卓12に、通信手段13によって第2照明器具22を接続する(ステップS5)。
【0043】
照明操作卓12の照明器具情報収集部32により第2照明器具22から第2照明器具識別情報を収集する(ステップS6)。なお、第2照明器具識別情報は、第2照明器具22から収集される構成でなくてもよい。例えば、キーボードやタッチパネルなどの入力インターフェースを用いて、第1照明器具識別情報が手動で照明操作卓12に入力される構成でもよいし、USBメモリなどの記憶媒体を介して外部から入力される構成でもよい。
【0044】
照明操作卓12の判断部33により、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を推定し(ステップS7)、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を第2照明器具22で再現するように第2動作条件を判断する(ステップS8)。
【0045】
ステップS7において推定される第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報は、例えば、色度座標(xy座標系、uv座標系など)、色温度(K)、色偏差(duv)、演色評価数(R1~R15、Raなど)、などの情報であり、これらの情報のうち少なくとも1つ以上について推定する。
【0046】
そして、ステップS8においては、ステップS7で推定された光の光色情報に基づいて第2動作条件を判断する。ここでは、第2動作条件によって第2照明器具22から照射される光が、ステップS7で推定された光の光色情報と一致するように第2動作条件を判断する。このとき、必ずしも一致させなくてもよい情報を設定可能に構成されていてもよく、第2照明器具22から照射される光の許容範囲として、第2照明器具光色制限情報を登録可能に構成されていてもよい。例えば、第2照明器具光色制限情報として、色温度が±10Kと設定されている場合は、ステップS8において第2動作条件を判断する際に、第1動作条件において推定された色温度に対して±10Kの範囲内に収まるように第2動作条件を設定する。また、例えば、第2照明器具光色制限情報として、色温度が+500Kと設定されている場合は、ステップS8において第2動作条件を判断する際に、第1動作条件において推定された色温度に対して+500Kの色温度となるように第2動作条件を設定する。
【0047】
また、照明操作卓12の動作の実施例2について、図6のフローチャートを参照して説明する。詳細説明は割愛するが、図5のフローチャートと同じ動作については、上述した説明がそのまま適用可能である。
【0048】
照明操作卓12に、通信手段13によって第1照明器具21を接続する(ステップS11)。
【0049】
照明操作卓12の照明器具情報収集部32により、第1照明器具21から第1照明器具識別情報を収集する(ステップS12)。
【0050】
照明操作卓12は、収集された第1照明器具識別情報に応じて、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報を作成する(ステップS13)。発光強度情報の作成は、第1照明器具識別情報に基づいて器具情報データベース34を参照することで取得してもよいし、第1照明器具21が発光強度情報を記憶している場合に第1照明器具21から収集してもよい。
【0051】
照明操作卓12の判断部33により、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を推定する(ステップS14)。
【0052】
照明操作卓12は、記憶部31に、第1照明器具識別情報と、第1発光素子それぞれの発光強度情報と、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報とを関連付けて第1動作条件として記憶する(ステップS15)。
【0053】
なお、第1動作条件の作成は、他の照明操作卓12で作成された第1動作条件を所定の記憶媒体や所定のネットワークを介して取得してもよい。この場合、この照明操作卓12では、ステップ11~15の第1動作条件の作成動作は実行しなくてよい。さらに、このように他の照明操作卓12で作成された第1動作条件を所定の記憶媒体や所定のネットワークを介して取得する場合、第1動作条件の記憶部31への記憶は判断部33による処理のために一時的に記憶される場合も含まれる。
【0054】
そして、照明操作卓12に、通信手段13によって第2照明器具22を接続する(ステップS16)。
【0055】
照明操作卓12の照明器具情報収集部32により第2照明器具22から第2照明器具識別情報を収集する(ステップS17)。
【0056】
照明操作卓12の判断部33により、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を第2照明器具22で再現するように第2動作条件を判断する(ステップS18)。
【0057】
そして、上述した実施例1および実施例2における判断部33の判断動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
第1照明器具識別情報に基づいて器具情報データベース34を参照し、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報および色情報を含む第1発光素子情報を特定して取得する(ステップS21)。
【0059】
取得した第1発光素子情報の発光強度情報と色情報とから、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を推定する(ステップS22)。
【0060】
なお、ステップS21とステップS22の動作は、図5に示すフローチャートにおいてステップS7で実施される動作に相当し、図6に示すフローチャートにおいてステップS14で実施される動作に相当する。
【0061】
照明器具情報収集部32で収集された第2照明器具識別情報に基づいて器具情報データベース34を参照し、第2照明器具22が搭載する第2発光素子それぞれの第2発光素子情報、つまり第2発光素子それぞれの発光強度情報および色情報を含む第2発光素子情報を特定して取得する(ステップS23)。なお、上述した実施例1では、この動作をどの段階で実行してもよく、例えば第1動作条件での光色情報を推定する前でも、後でも、途中でもよい。
【0062】
第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を第2照明器具22で再現するための各第2発光素子の出力比を判断する(ステップS24)。このステップS24において、第2動作条件にて第2照明器具22から照射される光の光色が決定される。なお、上述したように、このとき、付加情報として、第1動作条件と異なる色という情報を含めてもよい。この付加情報は、第1動作条件に対して色温度が〇〇〇〇K異なる色にするという情報を含めてもよい。
【0063】
第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の明るさを第2照明器具22から照射される光の明るさとして再現する出力(絶対値)を判断する(ステップS25)。ステップS25にて、第2動作条件にて第2照明器具22から照射される光の明るさが決定される。なお、この出力(絶対値)の判断は、ステップ24で判断した各第2発光素子の出力比を正の数倍してもよいし、INT(強度)を調整してもよい。
【0064】
このようにして、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を、第2照明器具22から照射される光の光色情報として再現する第2動作条件を判断する(ステップS26)。
【0065】
なお、ステップS23からステップS26の動作は、図5に示すフローチャートにおいてステップS8で実施される動作に相当し、図6に示すフローチャートにおいてステップS18で実施される動作に相当する。
【0066】
そして、照明操作卓12は、第1照明器具21については第1動作条件で制御し、第2照明器具22については判断部33により判断した第2動作条件で制御する。
【0067】
仮に、一のメーカーである第1照明器具21の器具向けに作成したシーンデータである第1動作条件を、他のメーカーである第2照明器具22に適用すると、光色のずれが発生する。
【0068】
本実施形態の照明操作卓12では、第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報を、第2照明器具22から照射される光の光色情報として再現する第2動作条件を判断し、この第2動作条件で第2照明器具22を制御することにより、第1照明器具21から照射される光の光色と第2照明器具22から照射される光の光色と光色ずれを低減し、第2照明器具22を使用して所望の光色を再現することができる。
【0069】
また、照明器具情報収集部32で収集された第2照明器具識別情報に基づいて所定の器具情報データベース34を参照することで特定される第2照明器具22が搭載する第2発光素子の第2発光素子情報、つまり第2発光素子それぞれの発光強度情報および色情報を含む第2発光素子情報と、第1動作条件に基づいて器具情報データベース34を参照することで推定される第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報と、を用いて、第2照明器具22のシーンデータである第2動作条件を判断することができる。
【0070】
さらに、この第1動作条件における第1照明器具21から照射される光の光色情報の推定は、器具情報データベース34に含まれる第1照明器具識別情報と関連付けられた、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの発光強度情報と、第1照明器具21が搭載する第1発光素子それぞれの色情報と、を含む第1照明器具21の第1発光素子情報を用いて推定することができる。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10 照明システム
12 照明操作卓
13 通信手段
21 第1照明器具
22 第2照明器具
31 記憶部
32 照明器具情報収集部
33 判断部
34 器具情報データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7