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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178580
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】触媒劣化判定方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20221125BHJP
   F02D 41/22 20060101ALI20221125BHJP
   F02D 13/02 20060101ALI20221125BHJP
   F01N 3/18 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F02D45/00 345
F02D41/22
F02D13/02 Z
F01N3/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085479
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】奥出 竜騎
(72)【発明者】
【氏名】藪 聡
【テーマコード(参考)】
3G091
3G092
3G301
3G384
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA17
3G091AB03
3G091BA14
3G091BA15
3G091BA19
3G091BA33
3G091CB07
3G091EA01
3G091EA05
3G091EA34
3G091FA05
3G091HA36
3G091HA37
3G091HA42
3G092CB05
3G092DA01
3G092DA02
3G092DA08
3G092EA03
3G092EA04
3G092EA08
3G092FA37
3G092FB06
3G092HA13Z
3G092HD06Z
3G092HD10Z
3G301JA15
3G301JB09
3G301KA26
3G301LA07
3G301MA24
3G301NA08
3G301NC02
3G301NE11
3G301NE12
3G301PD08Z
3G384BA14
3G384BA26
3G384BA31
3G384DA43
3G384EB03
3G384EB04
3G384ED07
3G384EE31
3G384FA42Z
(57)【要約】
【課題】未浄化排気ガスの増大及び燃費の悪化を招くことのない触媒劣化判定方法を提供する。
【解決手段】内燃機関の排気流路に設けられた触媒の劣化を判定する触媒劣化判定方法であって、排気流路において、触媒よりも上流側の第一酸素量及び触媒よりも下流側の第二酸素量を取得する酸素量取得ステップと、第一酸素量及び第二酸素量に基づいて、触媒の劣化判定を行う判定ステップと、を含んでおり、判定ステップは、内燃機関の燃料供給が停止される燃料カットタイミングで、排気流路に流通する酸素量を低下させながら劣化判定を行う。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気流路に設けられた触媒の劣化を判定する触媒劣化判定方法であって、
前記排気流路において、前記触媒よりも上流側の第一酸素量及び前記触媒よりも下流側の第二酸素量を取得する酸素量取得ステップと、
前記第一酸素量及び前記第二酸素量に基づいて、前記触媒の劣化判定を行う判定ステップと、を含んでおり、
前記判定ステップは、前記内燃機関の燃料供給が停止される燃料カットタイミングで、前記排気流路に流通する酸素量を低下させながら前記劣化判定を行う触媒劣化判定方法。
【請求項2】
前記判定ステップは、吸気バルブの閉弁時期として、ピストンの上死点の近傍で前記吸気バルブを閉弁させるように調整することにより、前記排気流路に流通する酸素量を低下させる請求項1に記載の触媒劣化判定方法。
【請求項3】
前記判定ステップは、排気バルブの弁開閉時期として、ピストンの上死点と下死点との中間付近で前記排気バルブを開弁させると共に、前記下死点と前記上死点の中間付近で前記排気バルブを閉弁させるように調整することにより、前記排気流路に流通する酸素量を低下させる請求項1に記載の触媒劣化判定方法。
【請求項4】
前記判定ステップは、吸気バルブの弁開閉時期として、前記上死点の近傍における遅角側で前記吸気バルブを開弁させると共に、前記下死点と前記上死点の中間付近で前記吸気バルブを閉弁させるように調整する請求項3に記載の触媒劣化判定方法。
【請求項5】
前記判定ステップは、前記第一酸素量が第一閾値以上となった時刻から前記第二酸素量が第二閾値以上となった時刻までの判定時間が、所定値以下であれば前記触媒が劣化していると判定する請求項1~4のいずれか一項に記載の触媒劣化判定方法。
【請求項6】
前記判定ステップは、前記燃料カットタイミングよりも前の所定時間に亘る前記第一酸素量に基づいて前記触媒に残っている残存触媒酸素量を推定し、推定された前記残存触媒酸素量が吸蔵閾値以下であるときにのみ前記劣化判定を行う請求項5に記載の触媒劣化判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気流路に設けられた触媒の劣化を判定する触媒劣化判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、触媒劣化判定方法として、内燃機関の排気流路に流通する排気ガスの空燃比が理論空燃比に対してリーン側とリッチ側とに切り替わるように、燃料の供給量を調整しながら触媒の劣化判定を行うアクティブ空燃比制御が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、内燃機関の燃料供給タイミングにおいて、排気バルブの開弁時期を遅角側に制御し、触媒の劣化判定を行うものである。これにより、排気流路を流通する排気ガスの流速増大に伴って触媒の酸素吸蔵容量の計測値が低下し、誤判定を招くという不都合を防止している。
【0004】
特許文献2に記載の技術は、内燃機関の燃料供給タイミングにおいて、触媒よりも下流側に設けられた空燃比センサにおいて、リッチピーク値から理論空燃比に至るまでの時間と、理論空燃比からリッチピーク値に至るまでの時間との比に基づいて、触媒の劣化判定を行うものである。
【0005】
特許文献3に記載の技術は、内燃機関の燃料供給タイミングにおいて、触媒よりも下流側に設けられたNOxセンサにおいて、空燃比がリッチ運転状態にあるときに計測されたNOx濃度を診断閾値と比較することにより、触媒の劣化判定を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-121464号公報
【特許文献2】特開2014-15891号公報
【特許文献3】特開2020-45885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
触媒は、理論空燃比にあるときに最も浄化効率が高く、理論空燃比よりもリッチ側にあるときに酸素を放出して一酸化炭素や炭化水素を酸化し、理論空燃比よりもリーン側にあるときに酸素を吸着してNOxを還元する。従来の触媒劣化判定方法は、触媒の酸素吸蔵能力を確認するために、アクティブ空燃比制御により、酸素を放出する状態と酸素を吸蔵する状態とを意図的に作り出す必要があった。このため、理論空燃比から外れた運転をせざるを得ず、排気ガス浄化能力の低下による未浄化排気ガスの増大、燃費の悪化を招いてしまっていた。
【0008】
そこで、未浄化排気ガスの増大及び燃費の悪化を招くことのない触媒劣化判定方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る触媒劣化判定方法の特徴は、内燃機関の排気流路に設けられた触媒の劣化を判定する触媒劣化判定方法であって、前記排気流路において、前記触媒よりも上流側の第一酸素量及び前記触媒よりも下流側の第二酸素量を取得する酸素量取得ステップと、前記第一酸素量及び前記第二酸素量に基づいて、前記触媒の劣化判定を行う判定ステップと、を含んでおり、前記判定ステップは、前記内燃機関の燃料供給が停止される燃料カットタイミングで、前記排気流路に流通する酸素量を低下させながら前記劣化判定を行う点にある。
【0010】
本方法では、触媒の劣化判定を行うタイミングを、内燃機関の燃料カットタイミングとしているため、燃焼に伴う排気ガスが発生せず、燃費の悪化を招くこともない。また、この燃料カットタイミングは、アクセルペダルを踏まずに車両が慣性力で進行している場合等、頻繁に訪れるため、劣化判定を適切なタイミングで実行することができる。
【0011】
一方、燃料カットタイミングでは、酸素含有空気が排気流路に大量に流れ込むため、酸素吸蔵容量の小さい触媒における劣化判定が難しい。そこで、本方法のように、燃料カットタイミングにおいて排気流路に流通する酸素量を低下させながら劣化判定を行えば、触媒の酸素吸蔵能力が低下しているか否かの劣化判定を正確に行うことができる。このように、未浄化排気ガスの増大及び燃費の悪化を招くことのない触媒劣化判定方法を提供できる。
【0012】
他の特徴として、前記判定ステップは、吸気バルブの閉弁時期として、ピストンの上死点の近傍で前記吸気バルブを閉弁させるように調整することにより、前記排気流路に流通する酸素量を低下させる点にある。
【0013】
このように、圧縮行程から膨張行程に移行するピストンの上死点の近傍で閉弁すれば、吸気流路(吸気バルブ側)から燃焼室(ピストン側)に向かって流入した空気が燃焼室から吸気流路に向かってほぼ全量排出され、排気流路に流通する酸素量が極めて微量となる。その結果、酸素吸蔵能力が低下しているか否かの劣化判定を正確に行うことができる。
【0014】
他の特徴として、前記判定ステップは、排気バルブの弁開閉時期として、ピストンの上死点と下死点との中間付近で前記排気バルブを開弁させると共に、前記下死点と前記上死点の中間付近で前記排気バルブを閉弁させるように調整することにより、前記排気流路に流通する酸素量を低下させる点にある。
【0015】
このように、排気バルブを通常のバルブタイミングよりも進角させ、膨張行程における開弁時間と排気行程における開弁時間とが同等になるよう構成すれば、膨張行程でピストンが下死点に向かって移動することにより排気流路から燃焼室に吸い込む空気量と、排気行程でピストンが上死点に向かって移動することにより燃焼室から排気流路へ吐き出す空気量と、が同等となる。その結果、排気流路に流通する酸素量が極めて微量となり、酸素吸蔵能力が低下しているか否かの劣化判定を正確に行うことができる。
【0016】
他の特徴として、前記判定ステップは、吸気バルブの弁開閉時期として、前記上死点の近傍における遅角側で前記吸気バルブを開弁させると共に、前記下死点と前記上死点の中間付近で前記吸気バルブを閉弁させるように調整する点にある。
【0017】
このように、吸気バルブの弁開閉時期を設定すれば、吸気行程でピストンが下死点に向かって移動することにより新気として燃焼室に吸い込む空気量と、圧縮行程でピストンが上死点に向かって移動することにより燃焼室から該新気を吐き出す空気量と、が同等になる。また、上述したように、排気バルブの弁開閉時期を設定することで排気流路内の空気量は変動がないため、ピストンで圧縮される空気は、燃焼室(筒内部)に滞留した空気のみとなる。その結果、同一の空気を圧縮行程及び排気行程で2回圧縮することとなり、暖気を促進することが可能となる。よって、燃料カットタイミングから燃焼タイミングに移行したときに、未浄化排気ガスの増大及び燃費の悪化を招くことを防止できる。
【0018】
他の特徴として、前記判定ステップは、前記第一酸素量が第一閾値以上となった時刻から前記第二酸素量が第二閾値以上となった時刻までの判定時間が、所定値以下であれば前記触媒が劣化していると判定する点にある。
【0019】
このように、劣化判定を時間による閾値判定とすれば、判定方法が極めて簡便なものとなる。
【0020】
他の特徴として、前記判定ステップは、前記燃料カットタイミングよりも前の所定時間に亘る前記第一酸素量に基づいて前記触媒に残っている残存触媒酸素量を推定し、推定された前記残存触媒酸素量が吸蔵閾値以下であるときにのみ前記劣化判定を行う点にある。
【0021】
このように、燃料カットタイミングよりも前に推定された残存触媒酸素量が吸蔵閾値以下のときにのみ劣化判定を行えば、触媒の酸素吸蔵余力が大きい状態で劣化判定を行うことが可能となる。その結果、酸素吸蔵残量が大きい状態からゼロとなる状態での時間がより確保され、時間による劣化判定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】エンジンの断面と制御ユニットとを示す図である。
図2】弁開閉時期制御機構の断面図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4】第一実施形態における劣化判定での可変動弁機構のタイミングダイヤグラムである。
図5】第一実施形態における劣化判定での吸気バルブと排気バルブとのタイミングチャートである。
図6】第二実施形態における劣化判定での可変動弁機構のタイミングダイヤグラムである。
図7】第二実施形態における劣化判定での吸気バルブと排気バルブとのタイミングチャートである。
図8】A/Fセンサの検出例を示す図である。
図9】劣化判定方法のフローチャートである。
図10】酸素量低下制御のサブルーチンである。
図11】触媒劣化判定のサブルーチンである。
図12】判定開始条件を説明する概念図である。
図13】劣化判定方法を説明する概念図である。
図14】判定閾値(所定値)を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、内燃機関としてのエンジンEが、吸気バルブVaと排気バルブVbとを備え、吸気バルブVaのバルブタイミング(開閉時期)を設定する吸気側可変動弁機構VTaと、排気バルブVbのバルブタイミング(開閉時期)を設定する排気側可変動弁機構VTbとを備えると共に、エンジンEの駆動を制御しながら吸気側可変動弁機構VTaと排気側可変動弁機構VTbとを制御するエンジン制御装置40を備えている。
【0024】
エンジンE(内燃機関の一例)は、乗用車等の走行駆動力を得るために車両に備えられたものを示している。特に、エンジン制御装置40は、エンジンEの燃料カットタイミングにおいて、吸気バルブVaのバルブタイミングや排気バルブVbのバルブタイミングを制御することにより、未浄化排気ガスの増大及び燃費の悪化を招くことのない触媒劣化判定方法を実現する。これらの制御形態は後述する。
【0025】
〔エンジン〕
図1図2に示すように、エンジンEは、クランクシャフト1を回転自在に支持するシリンダブロック2の上部にシリンダヘッド3を連結し、シリンダブロック2に形成された複数のシリンダボアにピストン4を往復作動自在に収容し、ピストン4をコネクティングロッド5によりクランクシャフト1に連結して4サイクル型に構成されている。
【0026】
シリンダヘッド3には、吸気バルブVaと排気バルブVbとが備えられ、シリンダヘッド3の上部に吸気バルブVaを制御する吸気カムシャフト7と、排気バルブVbを制御する排気カムシャフト8とが備えられている。また、クランクシャフト1の出力プーリ1Sと、吸気側可変動弁機構VTa、排気側可変動弁機構VTbの夫々の駆動プーリ21Sとに亘ってタイミングベルト6が巻回されている。
【0027】
シリンダヘッド3には、燃焼室に燃料を噴射するインジェクタ9と点火プラグ10とが備えられている。シリンダヘッド3には、吸気バルブVaを介して燃焼室に空気を供給するインテークマニホールド11(吸気流路)と、燃焼室の燃焼ガスを、排気バルブVbを介して送り出すエキゾーストマニホールド12(排気流路の一例)とが連結している。更に、エキゾーストマニホールド12を流通する排気ガスを浄化する触媒13を備えている。エンジンEは、エキゾーストマニホールド12のうち、触媒13よりも上流側には触媒前A/FセンサS1が設けられており、触媒13よりも下流側には触媒後A/FセンサS2が設けられている。
【0028】
〔可変動弁機構〕
可変動弁機構VTとしての吸気側可変動弁機構VTa(吸気側弁開閉時期制御機構)と、排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構)とは、共通する構成であるため、図1図3では、共通する構成に対して共通する符号を付し、区別が必要な部位には区別を可能にする符号を付している。
【0029】
可変動弁機構VTは、駆動ケース21(吸気駆動側回転体/排気駆動側回転体)と、内部ロータ22(吸気従動側回転体/排気従動側回転体)とを、カムシャフト(吸気カムシャフト7/排気カムシャフト8)の回転軸芯Xと同軸芯に配置し、これらの相対回転位相を、アクチュエータとしての位相制御モータM(吸気側位相制御モータMa/排気側位相制御モータMb)の駆動力により調節する位相調節機構Gを備えている。
【0030】
駆動ケース21は、外周に駆動プーリ21Sが形成されている。内部ロータ22は、駆動ケース21に内包され、連結ボルト23によりカムシャフトに連結固定されている。この構成により、内部ロータ22の外周部位に駆動ケース21が相対回転自在に支持され、内部ロータ22は、対応するカムシャフト(吸気カムシャフト7あるいは排気カムシャフト8)と一体回転する。
【0031】
駆動ケース21の開口部分を覆う位置に、複数の締結ボルト25によりフロントプレート24が締結されている。これにより、位相調節機構Gと内部ロータ22との回転軸芯Xに沿う方向での変位がフロントプレート24によって規制される。
【0032】
可変動弁機構VTは、図1及び図3に示すように、タイミングベルト6からの駆動力により全体が駆動回転方向Sに回転する。また、位相制御モータMの駆動力が位相調節機構Gを介して内部ロータ22に伝えられることで駆動ケース21に対する内部ロータ22の相対回転位相が変位する。この変位のうち駆動回転方向Sと同方向へ向かう変位方向を進角方向Saと称し、この逆方向を遅角方向Sbと称している。
【0033】
〔可変動弁機構:位相調節機構〕
位相調節機構Gは、図2及び図3に示すように、内部ロータ22の内周に回転軸芯Xと同軸芯に形成したリングギヤ26と、内部ロータ22の内周側に偏心軸芯Yと同軸芯で回転自在に配置されるインナギヤ27と、インナギヤ27の内周側に配置される偏心カム体28と、フロントプレート24と、継手部Jとを備えている。偏心軸芯Yは、回転軸芯Xと平行する姿勢で形成されている。
【0034】
リングギヤ26は複数の内歯部26Tを有し、インナギヤ27は複数の外歯部27Tを有している。前述したように、内部ロータ22に対し偏心軸芯Yと同軸芯でインナギヤ27を配置しているため、外歯部27Tの一部がリングギヤ26の内歯部26Tに咬合している。この位相調節機構Gは、リングギヤ26の内歯部26Tの歯数と比較して、インナギヤ27の外歯部27Tの歯数が1歯だけ少ない内接型遊星ギヤ減速機として構成されている。
【0035】
継手部Jは、板材をプレス加工して成る継手部材33を有しており、この継手部材33の外周部を駆動ケース21に係合させ、この継手部材33の内周部にインナギヤ27の係合突部27Uに係合させたオルダム継手型に構成されている。これにより、継手部Jは、駆動ケース21に対してインナギヤ27が偏心する位置関係を維持しつつ、インナギヤ27と駆動ケース21とを一体的に回転させる作動を実現する。
【0036】
偏心カム体28は、全体に筒状であり、内周に対し一対の係合溝28Bが回転軸芯Xと平行姿勢で形成されている。偏心カム体28は、回転軸芯Xと同軸芯で回転するようにフロントプレート24に対し第1軸受31によって支持され、この支持位置より吸気カムシャフト7の側の部位の外周に偏心カム面28Aが形成されている。
【0037】
偏心カム面28Aは、回転軸芯Xに平行する姿勢の偏心軸芯Yを中心とする円形(断面形状が円形)に形成されている。この偏心カム面28Aに対して第2軸受32を介してインナギヤ27が回転自在に支持されている。また、偏心カム面28Aに形成した凹部にバネ体29を嵌め込み、このバネ体29の付勢力を、第2軸受32を介してインナギヤ27に作用させるように構成されている。このような構成から、リングギヤ26の内歯部26Tの一部にインナギヤ27の外歯部27Tの一部が咬合し、バネ体29の付勢力により咬合状態が維持される。
【0038】
位相制御モータMは、エンジンEに支持され、出力軸Msに形成された係合ピン34を偏心カム体28の内周の係合溝28Bに嵌め込んでいる。詳細を図示していないが、位相制御モータMは、永久磁石を有するロータと、このロータを取り囲む位置に配置される複数の界磁コイルを有するステータと、ロータの回転が伝達される出力軸Msとを備えることで三相モータと共通する構造のブラシレス型に構成されている。
【0039】
この可変動弁機構VTでは、エンジンEの稼動時には、カムシャフトと等しい速度で、出力軸Msを駆動回転方向Sに駆動回転することにより、可変動弁機構VTの相対回転位相を維持する。また、相対回転位相を進角方向Saに変位させる場合には出力軸Msの回転速度を減じ、相対回転位相を遅角方向Sbに変位させる場合には出力軸Msの回転速度を増大する制御が行われる。
【0040】
つまり、位相調節機構Gは、位相制御モータMの駆動により出力軸Msの回転に伴い偏心カム体28が、回転軸芯Xを中心に回転した際には、インナギヤ27が回転軸芯Xを中心に1回転(公転)する毎に、インナギヤ27とリングギヤ26との歯数差に対応する角度だけ、インナギヤ27とリングギヤ26とを相対回転(自転)させることになり大きい減速を実現する。その結果、位相制御モータMの回転速度の制御により、インナギヤ27に対し継手部Jを介して一体回転する駆動ケース21と、リングギヤ26に連結ボルト23により連結するカムシャフトとを相対回転させ、バルブタイミングの調節を実現する。
【0041】
〔バルブタイミング〕
図4図7は、吸気側可変動弁機構VTaで制御される吸気バルブVaの吸気タイミングInと、排気側可変動弁機構VTbで制御される排気バルブVbの排気タイミングExとのダイヤグラム及びグラフを示している。
【0042】
〔第一実施形態:触媒劣化判定における吸気側制御〕
図4の左図は、例えば、エンジンEを始動する際において、吸気バルブVaが遅角吸気タイミングに設定され、排気バルブVbがノーマル排気タイミングに設定された状態における開閉タイミング(開閉時期)を示している。この吸気バルブVaが遅角吸気タイミングに設定されるとき、吸気開タイミングIVOは、上死点TDCより遅角側(遅角方向Sb)にあり、吸気閉タイミングIVCは下死点BDCより遅角側(遅角方向Sb)にある。すなわち、ピストン4が下死点BDCから上死点TDCに向かう圧縮行程の間に、吸気バルブVaは開放状態から閉塞状態に移行する。
【0043】
また、排気バルブVbがノーマル排気タイミングに設定されるとき、排気閉タイミングEVCは上死点TDCと一致し、排気開タイミングEVOは下死点BDCより進角側(進角方向Sa)にある。すなわち、ピストン4が下死点BDCから上死点TDCに向かう排気行程の間、排気バルブVbは常に開放状態に維持される。
【0044】
このような遅角吸気タイミングにおいて、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行し、この移行からクランクシャフト1が設定量だけ回転した後に、吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOにおいて開放を開始し、ピストン4が下死点BDCから上死点TDCに向かう圧縮行程の間、吸気バルブVaは開放状態から閉塞状態に移行する。
【0045】
これにより、例えば、エンジンEの始動時にはピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室にガスを封入することが可能となり、筒内圧P(燃焼室の圧力)の上昇によるガスの圧縮によって燃焼室のガスの温度を上昇させ、冷間状態でも点火を容易にしてエンジンEの始動性の向上を可能にしているのである。
【0046】
一方、図示しないが、車両運転中にエンジンEの回転速度を上昇させる場合、吸気量を増大させるために、進角吸気タイミングとして、吸気開タイミングIVOを進角方向Saに変化させるように吸気側可変動弁機構VTaが制御される。これにより、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行する直前に吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOにおいて開放を開始させ、排気バルブVbと吸気バルブVaとが同時に開放するオーバラップ領域が作られる。
【0047】
本実施形態におけるエンジン制御装置40は、エンジンEの燃料供給が停止される燃料カットタイミングにおいて、触媒13の劣化判定を行うために、吸気側可変動弁機構VTaを制御する。図4の右図及び図5には、触媒13の劣化判定を実行する際の吸気バルブVaの吸気タイミングInと、排気バルブVbの排気タイミングExとが示されている。本実施形態では、吸気側可変動弁機構VTaが吸気超遅閉タイミングに設定される。この吸気超遅閉タイミングは、吸気側可変動弁機構VTaの吸気閉タイミングIVCを上死点TDCの近傍、つまり、上死点TDCと一致、上死点TDCより若干(5クランク角以内)進角側(進角方向Sa)、又は上死点TDCより若干(5クランク角以内)遅角側(遅角方向Sb)に設定することで実現される。
【0048】
このバルブタイミングは、エンジン制御装置40が、吸気側可変動弁機構VTaを制御することによって作り出される。特に、図4の右図及び図5に示すバルブタイミングを作り出せるように、ピストン4が上死点TDCに到達した付近で吸気バルブVaを閉じる(吸気閉タイミングIVCに移行する)ように、吸気側可変動弁機構VTaが吸気バルブVaを遅角方向Sbに変位させる。また、ピストン4が上死点TDCと下死点BDCの間の中間付近で、吸気バルブVaが開く(吸気開タイミングIVOに移行する)ように吸気側可変動弁機構VTaが制御される。
【0049】
バルブタイミングを具体的に説明すると、遅角吸気タイミングでは、図4の左図に示すように、吸気開タイミングIVOが上死点TDCより遅角側に設定され、この吸気閉タイミングIVCが下死点BDCを基準にしてABDC(After Bottom Dead Center)で90度より大きく設定されている。下死点BDCを基準にしてBBDC(Before Bottom Dead Center)で吸気開タイミングIVOまでの角度を第1角度θ1とした場合に、下死点BDCを基準にしてABDCで吸気閉タイミングIVCまでの角度となる第2角度θ2との関係が、θ1≧θ2となる。
【0050】
一方、吸気超遅閉タイミングでは、図4の右図に示すように、遅角吸気タイミングよりも約72CA(クランク角)遅角側に設定され、吸気開タイミングIVOが下死点BDCを基準にしてBBDCで90度より小さく設定されている。これにより吸気閉タイミングIVCが上死点TDCの近傍に設定されている。下死点BDCを基準にしてBBDCで吸気開タイミングIVOまでの角度を第3角度θ3とした場合に、下死点BDCからABDC+90CAを基準にして更にABDCで吸気閉タイミングIVCまでの角度となる第4角度θ4との関係が、θ4≧θ3となる。
【0051】
クランク角を横軸に取り、吸気超遅閉タイミングに対応した吸気バルブVa及び排気バルブVbのリフト量を縦軸に取ったグラフを図5に示している。
【0052】
同図に示すように、クランクシャフト1の回転に伴い、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行した後に、吸気バルブVaが、吸気開タイミングIVOで開放を開始し、リフト量の増大後に低減し、吸気閉タイミングIVCで閉じ状態に移行する。
【0053】
吸気側を吸気超遅閉タイミングに設定することにより、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行し、この移行からクランクシャフト1が設定量T1だけ回転した後に、吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOにおいて開放を開始することになる。そして、圧縮行程では、吸気バルブVaが開放状態を維持して、ピストン4が上死点TDCに到達した付近で吸気閉タイミングIVCに移行する。
【0054】
これにより、ピストン4が上死点TDCから下死点BDCに達するまでに吸気バルブVaを介して燃焼室に吸引された吸入空気量Vairは、ピストン4が下死点BDCから上死点TDCに達するまでに燃焼室から吸気バルブVaを介してインテークマニホールド11へと、ほぼ全量戻ることとなる。その結果、排気行程において、燃焼室から排気バルブVbを介してエキゾーストマニホールド12へと吐き出される酸素含有空気が極微量となり、後述する触媒13の劣化判定を可能にしているのである。
【0055】
〔第二実施形態:触媒劣化判定における排気側制御〕
本実施形態におけるエンジン制御装置40は、エンジンEの燃料供給が停止される燃料カットタイミングにおいて、触媒13の劣化判定を行うために、排気側可変動弁機構VTbを制御する。図6の右図及び図7は、触媒13の劣化判定を実行する際の吸気バルブVaの吸気タイミングInと、排気バルブVbの排気タイミングExとを示している。本実施形態では、排気側可変動弁機構VTbが排気超早閉タイミングに設定される。この排気超早閉タイミングは、排気側可変動弁機構VTbの排気開タイミングEVOを上死点TDCと下死点BDCの間の中間付近(下死点BDCからABDC+90CAを基準にして±20CA以内)に設定することで実現される。このとき、吸気バルブVaの吸気タイミングInは、上述した遅角吸気タイミングに設定することが好ましい。
【0056】
バルブタイミングを具体的に説明すると、ノーマル排気タイミングでは、図6の左図に示すように、排気閉タイミングEVCは上死点TDCと一致し、排気開タイミングEVOは下死点BDCより進角側(進角方向Sa)にある。特に、ピストン4が下死点BDCから上死点TDCに向かう排気行程の間、排気バルブVbは常に開放状態に維持される。
【0057】
一方、排気超早閉タイミングでは、図6の右図に示すように、ピストン4が上死点TDCに到達する以前に排気バルブVbが閉じる(排気閉タイミングEVCに移行する)ように、排気側可変動弁機構VTbが構成されている。このとき、下死点BDCを基準にしてBBDC(Before Bottom Dead Center)で排気開タイミングEVOまでの角度を第5角度θ5とした場合に、下死点BDCを基準にしてABDC(After Bottom Dead Center)で排気閉タイミングEVCまでの第6角度θ6との関係が、θ5≒θ6となる。
【0058】
クランク角を横軸に取り、排気超早閉タイミングに対応した吸気バルブVa及び排気バルブVbのリフト量を縦軸に取ったグラフを図7に示している。
【0059】
同図に示すように、クランクシャフト1の回転に伴い、排気バルブVbが、排気開タイミングEVOで開放を開始し、排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行する。また、これに連係して排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行した後に、吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOで開放を開始し、リフト量の増大後に低減し、吸気閉タイミングIVCにおいて閉じ状態に移行する。
【0060】
特に、排気側を排気超早閉タイミングに設定し、吸気側を遅角吸気タイミングに設定することにより、排気バルブVbが排気閉タイミングEVCで閉じ状態に移行し、この移行からクランクシャフト1が設定量T2だけ回転した後に、吸気バルブVaが吸気開タイミングIVOにおいて開放を開始することになる。
【0061】
これにより、例えば、ピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室にガスを封入することが可能となり、同図に示すように、ピストン4が2回上昇する際に2回、筒内圧P(燃焼室の圧力)を上昇させる。このようにピストン4の上昇に伴う筒内圧Pによるガスの圧縮によって燃焼室のガスの温度を上昇させ、冷間状態でも点火を容易にしてエンジンEの始動性の向上を可能にしているのである。
【0062】
また、排気側を排気超早閉タイミングに設定し、吸気側を遅角吸気タイミングに設定した状態で、燃料カットを行うことによりピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室の内部にガスを封入し、筒内圧Pの上昇に伴いクランクシャフト1に作用する負荷を増大させ、エキゾースト側に新気を送り出す現象を抑制している。その結果、排気行程において、燃焼室から排気バルブVbを介してエキゾーストマニホールド12へと吐き出される酸素含有空気が極微量となり、後述する触媒13の劣化判定を可能にしているのである。
【0063】
このように、排気バルブVbを通常のバルブタイミングよりも進角させ、膨張行程における開弁時間と排気行程における開弁時間とが同等になるよう構成すれば、膨張行程でピストン4が下死点BDCに向かって移動することによりエキゾーストマニホールド12から吸い込む空気量と、排気行程でピストン4が上死点TDCに向かって移動することによりエキゾーストマニホールド12へ吐き出す空気量と、が同等となる。その結果、エキゾーストマニホールド12に流通する酸素量が極めて微量となり、後述する触媒13の劣化判定を可能にしているのである。
【0064】
また、吸気バルブVaを遅角吸気タイミングに設定しているので、吸気行程でピストン4が下死点BDCに向かって移動することによりインテークマニホールド11から新気として吸い込む空気量と、圧縮行程でピストン4が上死点TDCに向かって移動することによりインテークマニホールド11へ新気を吐き出す空気量と、が同等になる。また、上述したように排気バルブVbを排気超早閉タイミングに設定することでエキゾーストマニホールド12内の空気量は変動がないため、ピストン4で圧縮される空気は、燃焼室の内部に滞留した空気のみとなる。その結果、同一の空気を圧縮行程及び排気行程で2回圧縮することとなり、暖気を促進することが可能となる。よって、燃料カットタイミングから燃焼タイミングに移行したときに、未浄化排気ガスの増大及び燃費の悪化を招くことを防止できる。
【0065】
〔制御構成〕
図1図2に示すように、エンジンEは、クランクシャフト1の近傍位置には回転角の検出が可能なクランク角センサ16を備え、吸気カムシャフト7の近傍には、吸気カムシャフト7の回転角の検出が可能な吸気側カム角センサ17を備え、排気カムシャフト8の近傍には排気カムシャフト8の回転角の検出が可能な排気側カム角センサ18を備えている。また、エンジンEは、エキゾーストマニホールド12に酸素吸蔵能力(OSC:Oxygen Storage Capacity)を有する触媒13を備えており、エキゾーストマニホールド12のうち、触媒13よりも上流側に触媒前A/FセンサS1を備え、触媒13よりも下流側に触媒後A/FセンサS2を備えている。
【0066】
クランク角センサ16と、吸気側カム角センサ17と、排気側カム角センサ18とは、回転に伴い間欠的にパルス信号を出力するピックアップ型に構成されている。クランク角センサ16は、クランクシャフト1の回転時にクランクシャフト1の回転基準からのパルス信号をカウントすることで回転基準からの回転角を取得する。これと同様に、吸気側カム角センサ17と排気側カム角センサ18とは、吸気カムシャフト7の回転時に吸気カムシャフト7の回転基準からパルス信号をカウントすることで、エンジン制御装置40において、回転基準からの回転角を取得できるように構成されている。
【0067】
このような構成から、例えば、駆動ケース21と内部ロータ22とが所定の基準位相(例えば、中間位相)にある状態でのクランク角センサ16のカウント値と、吸気側カム角センサ17、あるいは、排気側カム角センサ18のカウント値とを記憶しておくことにより、相対回転位相が、基準位相から進角側と遅角側(遅角方向Sb)との何れに変位しても2種のカウント値の比較により相対回転位相を取得できる。
【0068】
触媒13は、表面上でCOやHCの酸化反応とNOxの還元反応とを実行する、所謂三元触媒である。エンジンEに供給される空気とガソリン(燃料)の混合比率である空燃比(A/F)に対する三元触媒の浄化特性として、酸素過剰側の雰囲気(理論空燃比14.6(ストイキ領域)より大きいリーン雰囲気)においてはCOやHCの浄化率が高く、逆に酸素不足側(理論空燃比よりも小さいリッチ雰囲気)においてはNOxの浄化率が高い。一方、三成分ともに高い浄化率を得るには理論空燃比近傍の狭い範囲に空燃比を制御する必要がある。本実施形態における触媒13は、この理論空燃比近傍の狭い範囲を拡大するために、酸素過剰領域においては酸素を貯蔵し、酸素不足領域では酸素を放出する酸素吸蔵能力を有している。
【0069】
触媒前A/FセンサS1は、触媒13により浄化される前の排気ガス(酸素含有空気)に含まれる燃料に対する空気の比である触媒前空燃比(第一酸素量の一例)を検出する。触媒後A/FセンサS2は、触媒13により浄化された後の排気ガス(酸素含有空気)に含まれる燃料に対する空気の比である触媒後空燃比(第二酸素量の一例)を検出する。なお、触媒前A/FセンサS1及び触媒後A/FセンサS2の少なくとも何れか一方に加えて、又は、代えて、酸素濃度を検出するOセンサを設けても良い。つまり、触媒前A/FセンサS1は、触媒13よりも上流側の第一酸素量を検出可能なセンサであれば特に限定されず、同様に、触媒後A/FセンサS2は、触媒13よりも下流側の第二酸素量を検出可能なセンサであれば特に限定されない。
【0070】
図1に示すように、エンジン制御装置40には、クランク角センサ16と、吸気側カム角センサ17と、排気側カム角センサ18との検出信号が入力されると共に、触媒前A/FセンサS1及び触媒後A/FセンサS2と、アクセルペダルセンサ47との検出信号が入力される。また、エンジン制御装置40は、位相制御モータMと、燃焼管理部19とに制御信号を出力する。
【0071】
アクセルペダルセンサ47は、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を取得する。燃焼管理部19は、インジェクタ9に対して燃料を供給するポンプ類の作動を管理すると共に、点火プラグ10に電力を供給するイグニッション回路の制御により点火順序や点火タイミングを管理する。エンジン制御装置40は、触媒前A/FセンサS1及び触媒後A/FセンサS2の検出信号に基づいて、触媒13の浄化効率が高い理論空燃比近傍となるように、燃焼管理部19に対して制御信号を出力する。
【0072】
〔制御構成:エンジン制御装置〕
エンジン制御装置40は、劣化判定部40aを備えている。劣化判定部40aはソフトウエアとして構成されるものであるが、各々の一部をハードウエアで構成することも可能である。
【0073】
劣化判定部40aは、エンジンEのエキゾーストマニホールド12に設けられた触媒13の劣化を判定する。本実施形態では、触媒13の劣化と相関関係がある触媒13の酸素吸蔵能力の低下を判定する。劣化判定部40aは、触媒前A/FセンサS1で検出された触媒13よりも上流側の第一酸素量と、触媒後A/FセンサS2で検出された触媒13よりも下流側の第二酸素量と、に基づいて触媒13の劣化判定を行う。より詳細に述べると、劣化判定部40aは、エンジンEの燃料供給が停止される燃料カットタイミングで、エキゾーストマニホールド12を流通する酸素量を低下させながら、触媒13の劣化判定を行う。
【0074】
図8には、排気バルブVbをノーマル排気タイミングに設定した状況下におけるA/FセンサS1,S2の検出例が示されている。図8の上図はA/FセンサS1の検出例であり、下図はA/FセンサS2の検出例である。同図では、リッチ雰囲気の空燃比でエンジンEが駆動している状態から燃料カットタイミングに移行した例が示されている。同図に示す破線が、上述した吸気バルブVaを遅角吸気タイミングに設定した場合であり、同図に示す実線、一点鎖線及び二点鎖線が、上述した吸気バルブVaを吸気超遅閉タイミングに設定した場合である。同図に示す実線、一点鎖線及び二点鎖線は、夫々、触媒13の酸素吸蔵能力が100%(フル)、2/3及び1/3である場合におけるA/FセンサS1,S2の検出値に対応している。一方、同図に示す破線は、触媒13の酸素吸蔵能力が100%(フル)、2/3及び1/3の何れの場合もA/FセンサS1,S2の検出値に差異が無かったため、触媒13の酸素吸蔵能力が100%(フル)としたA/FセンサS1,S2の検出値を示している。
【0075】
図8から理解されるように、燃料カットタイミングにおいて、遅角吸気タイミングに設定した場合は、触媒後A/FセンサS2の検出値が急勾配で上昇している。その理由は、バルブタイミングを遅角吸気タイミングに設定した場合、燃焼室で燃焼が行われない燃料カットタイミングで大量の酸素がエキゾーストマニホールド12に流入し、触媒13の酸素吸蔵容量がごく短時間で満杯となったためである。一方、燃料カットタイミングにおいて、吸気超遅閉タイミングに設定した場合は、触媒後A/FセンサS2の検出値が緩やかに上昇することが分かる。その理由は、バルブタイミングを吸気超遅閉タイミングに設定した場合、燃焼室に吸引された吸入空気量がインテークマニホールド11へとほぼ全量戻り、燃焼室で燃焼が行われない燃料カットタイミングでエキゾーストマニホールド12に流入する酸素が極微量となり、触媒13の酸素吸蔵容量が満杯となるまでにある程度の時間を要するためである。その結果、吸気超遅閉タイミングでは、触媒13の酸素吸蔵能力が100%(フル)、2/3及び1/3の何れの状態であるかを判別可能になる。
【0076】
〔触媒劣化判定方法〕
エンジン制御装置40の劣化判定部40aによる触媒劣化判定方法を、図9のフローチャートに示している。本実施形態における触媒13の劣化を判定する触媒劣化判定方法は、エキゾーストマニホールド12において、触媒13よりも上流側の第一酸素量(触媒前空燃比)及び触媒13よりも下流側の第二酸素量(触媒後空燃比)を取得する酸素量取得ステップ(♯55,♯57)と、第一酸素量及び第二酸素量に基づいて、触媒13の劣化判定を行う判定ステップ(♯59)とを含んでいる。この判定ステップは、エンジンEの燃料供給が停止される燃料カットタイミングで、エキゾーストマニホールド12に流通する酸素量を低下させながら劣化判定を行う(♯54)。なお、判定ステップは、燃料カットタイミングよりも前の所定時間tafに亘る第一酸素量(触媒13から放出される酸素量と比例)に基づいて触媒13に残っている残存触媒酸素量Voを推定し、推定された残存触媒酸素量Voが吸蔵閾値Tho以下であるときにのみ劣化判定を行う(♯53Yes)。
【0077】
以下、図9図11に示すフローチャートと、図12図14に示す概念図を用いて、劣化判定部40aによる触媒劣化判定方法の一例を説明する。
【0078】
エンジンEが始動した後には、アクセルペダルセンサ47の踏み込み量、クランクシャフト1の単位時間あたりの回転数等の情報に基づいて吸気側可変動弁機構VTaを制御して吸気量の駆動時制御が行われる。この駆動時制御はエンジンEへの燃料供給が継続する限り継続的に行われ、例えばアクセルペダルを踏み込まずに慣性力で走行するときやアイドリングストップ等のように、エンジンEへの燃料供給を停止させる操作が行われる燃料カットタイミング(図9の#51Yes)であれば、触媒劣化判定を開始することができる。この燃料カットタイミングは、インテークマニホールド11のエアフロメータ(不図示)での計測値やアクセルペダルセンサ47の計測値、又は燃焼管理部19によるインジェクタ9に対する出力信号等から取得することができる。
【0079】
劣化判定部40aは、燃料カットタイミングである場合(図9の#51Yes)、触媒13の残存触媒酸素量Voを推定する(図9の#52)。図12に示すように、触媒13の残存触媒酸素量Voの推定は、燃料カットタイミングよりも前の所定時間tafに亘る触媒前A/FセンサS1の計測値の平均としても良い。この触媒前A/FセンサS1の計測値の平均が理論空燃比より小さければリッチ側にあるため、触媒13から酸素が放出されて、触媒13に残っている残存触媒酸素量Voが減少している状態である。つまり、酸素吸蔵容量に対して、酸素を更に吸蔵する余力が残っている状態であるため、燃料カットタイミングにおいて触媒13の酸素吸蔵能力を把握することができる。そこで、本実施形態では、触媒前A/FセンサS1の計測値の平均から推定された残存触媒酸素量Voが、吸蔵閾値Tho(例えば、最大酸素吸蔵容量に対して40%)以下であるときにのみ劣化判定を行う(図9の#53Yes)。
【0080】
残存触媒酸素量Voが、吸蔵閾値Tho以下であるとき(図9の#53Yes)、排気バルブVbからエキゾーストマニホールド12を流通する酸素量(空気量)低下制御を実行する(図9の#54)。この酸素量低下制御のサブルーチンを、図10を用いて以下で説明する。
【0081】
劣化判定部40aは、エンジンEに排気側可変動弁機構VTb(排気VVT)が設けられている場合(図10の#62Yes)、排気バルブVbのバルブタイミングを制御するか否かを判定する(図10の#63)。このとき、燃料カットタイミングで、図4の左図又は図6の左図に示すように、吸気バルブVaが遅角吸気タイミングに設定されており、排気バルブVbがノーマル排気タイミングに設定されていることが前提となる。仮に設定されていなければ、エンジン制御装置40は、吸気バルブVaを遅角吸気タイミングに設定し、排気バルブVbをノーマル排気タイミングに設定する。このように吸気側可変動弁機構VTaを遅角吸気タイミングに設定する制御を行うことにより、エンジンEの再始動時にはピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室にガスを封入することが可能となり、筒内圧P(燃焼室の圧力)の上昇によるガスの圧縮によって燃焼室のガスの温度を上昇させることにより点火を容易にして、エンジンEの再始動性の向上を可能にしているのである。
【0082】
排気バルブVbのバルブタイミングを制御する場合(図10の#63Yes)、図6の右図に示すように、排気バルブVbを排気超早閉タイミングに設定する(図10の#64)。具体的に言うと、劣化判定部40aは、排気側可変動弁機構VTbの排気閉タイミングEVCを上死点TDCと下死点BDCの間の中間付近に設定するために、排気側可変動弁機構VTbを進角制御する。このように排気側を排気超早閉タイミングに設定し、吸気側を遅角吸気タイミングに設定した状態で、燃料カットを行うことによりピストン4が上死点TDCに到達する以前に燃焼室の内部にガスを封入し、筒内圧Pの上昇に伴いクランクシャフト1に作用する負荷を増大させ、エキゾースト側に新気を送り出す現象を抑制している。その結果、排気行程において、燃焼室から排気バルブVbを介してエキゾーストマニホールド12へと吐き出される酸素含有空気が極微量となる。
【0083】
一方、エンジンEに排気側可変動弁機構VTb(排気VVT)が設けられていない場合(図10の#62Nо)、又は、排気バルブVbのバルブタイミングをノーマル排気タイミングで維持する場合(図10の#63Nо)、図4の右図に示すように、吸気バルブVaを吸気超遅閉タイミングに設定する(図10の#65)。具体的に言うと、劣化判定部40aは、ピストン4が上死点TDCに到達した付近で吸気バルブVaを閉じるように、吸気側可変動弁機構VTaを遅角制御する。このように吸気側を吸気超遅閉タイミングに設定した状態で、燃料カットを行うことによりピストン4が下死点BDCに達するまでに吸気バルブVaを介して燃焼室に吸引された吸入空気量Vairは、ピストン4が上死点TDCに達するまでに燃焼室から吸気バルブVaを介してインテークマニホールド11へと、ほぼ全量戻ることとなる。その結果、排気行程において、燃焼室から排気バルブVbを介してエキゾーストマニホールド12へと吐き出される酸素含有空気が極微量となる。これらの酸素量低下制御が実行された後、リターンされて図9の#55へと移行する。
【0084】
酸素量低下制御が実行された後、触媒前A/FセンサS1から触媒前空燃比を取得する(図9の#55)。図13の中図に示すように、燃料カットタイミングにおいて、この触媒前空燃比は、エキゾーストマニホールド12の触媒13の前を流通するリッチ側の排気ガスに酸素含有空気のみが追加されることにより、リーン側へと速やかに上昇する。次いで、触媒前空燃比が第一閾値(例えば20)以上となったとき、判定時間Tcの計時を開始する(図9の#56Yes)。判定時間Tcの計時を開始すると同時に、触媒後A/FセンサS2から触媒後空燃比を取得する(図9の#57)。図13の下図に示すように、エキゾーストマニホールド12を流通する排ガスは、触媒13により酸素が吸蔵されるため、触媒13の酸素吸蔵容量が満杯になるまで触媒後空燃比が緩やかに上昇する。この上昇勾配は、触媒13の酸素吸蔵能力が低下しているほど、つまり触媒13の劣化が進行しているほど、急勾配となる。本実施形態では、触媒後空燃比が第二閾値(例えば20)以上となったときに判定時間Tcの計時を終了する(図9の#58Yes)。
【0085】
次いで、劣化判定部40aは触媒劣化判定のサブルーチンを実行する(図9の#59)。この触媒劣化判定のサブルーチンを、図11を用いて以下で説明する。
【0086】
劣化判定部40aは、触媒前空燃比(第一酸素量)が第一閾値以上となった時刻から触媒後空燃比(第二酸素量)が第二閾値以上となる時刻までの判定時間Tcを算出する(図11の#66)。次いで、劣化判定部40aは、残存触媒酸素量Vo毎に作成された判定時間Tc-触媒劣化率マップを参照し、残存触媒酸素量Vo毎に許容限界となる触媒劣化率に相当する判定閾値Thd(所定値の一例)を取得する(図11の#67)。図14には、判定時間Tc-触媒劣化率マップの概念図が示されている。図14の残存触媒酸素量Vo(1),Vo(3)曲線は、図12の残存触媒酸素量Vo(1),Vo(3)に相当する。つまり、残存触媒酸素量Voが小さいほど(酸素吸蔵容量に余力があるほど)、触媒劣化率曲線が判定時間Tcに応じて緩やかになっており、判定時間Tcが多く確保される。よって、残存触媒酸素量Voが小さいほど判定閾値Thdが大きくなる。
【0087】
次いで、劣化判定部40aは、算出した判定時間Tcが、判定時間Tc-触媒劣化率マップから取得した判定閾値Thd以下か否かを判定する(図11の#68)。#68の判定の結果、判定時間Tcが判定閾値Thd以下であれば(図11の#68Yes)、触媒13が劣化していると判定し(図11の#69)、判定時間Tcが判定閾値Thdより大きければ(図11の#68Nо)、触媒13が劣化していないと判定する(図11の#70)。この触媒劣化判定が実行された後、リターンされて図9の#60へと移行する。触媒13が劣化していない場合(図9の#60Yes)、触媒劣化判定を終了し、触媒13が劣化している場合(図9の#60Nо)、所定の手段により警告する(図9の#61)。
【0088】
このように、触媒13の劣化判定を行うタイミングを、エンジンEの燃料カットタイミングとしているため、燃焼に伴う排気ガスが発生せず、燃費の悪化を招くこともない。また、この燃料カットタイミングは、アクセルペダルを踏まずに車両が慣性力で進行している場合等、頻繁に訪れるため、劣化判定を適切なタイミングで実行することができる。一方、燃料カットタイミングでは、酸素含有空気がエキゾーストマニホールド12に大量に流れ込むため、酸素吸蔵容量の小さい触媒13における劣化判定が難しい。そこで、本実施形態のように、燃料カットタイミングにおいてエキゾーストマニホールド12に流通する酸素量を極微量となるように低下させながら劣化判定を行えば、触媒13の酸素吸蔵能力が低下しているか否かの劣化判定を正確に行うことができる。このように、未浄化排気ガスの増大及び燃費の悪化を招くことのない触媒劣化判定方法となっている。
【0089】
また、判定ステップは、触媒前空燃比(第一酸素量)が第一閾値以上となった時刻から触媒後空燃比(第二酸素量)が第二閾値以上となった時刻までの判定時間Tcが、判定閾値Thd以下であれば触媒13が劣化していると判定するため、判定方法が極めて簡便なものとなる。しかも、燃料カットタイミングよりも前に推定された残存触媒酸素量Voが吸蔵閾値Tho以下のときのみ劣化判定を行えば、触媒13の酸素吸蔵余力が大きい状態で劣化判定を行うことが可能となる。その結果、残存触媒酸素量Voが小さい状態から満杯(フル)となる状態での時間がより確保され、時間による劣化判定精度を高めることができる。
【0090】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0091】
(a)触媒劣化判定をする場合に、吸気側可変動弁機構VTa(吸気側弁開閉時期制御機構)の吸気開タイミングIVOを上死点TDCより遅角側に設定せずに、排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構)だけを排気超早閉タイミングに設定するように制御を行っても良い。
【0092】
(b)触媒劣化判定をする場合に、排気側可変動弁機構VTb(排気側弁開閉時期制御機構)をノーマル排気タイミングに設定せずに任意のバルブタイミングとし、吸気側可変動弁機構VTa(吸気側弁開閉時期制御機構)だけを吸気超遅閉タイミングに設定するように制御を行っても良い。
【0093】
(c)触媒劣化判定を可能にするためには、吸気側可変動弁機構VTaや排気側可変動弁機構VTbを電動式に構成することが好ましいが、例えば、弁開閉時期の変動範囲を多く確保できるのであれば、吸気側可変動弁機構VTaや排気側可変動弁機構VTbは油圧式であっても良い。
【0094】
(d)触媒劣化判定を可能にするために、エキゾーストマニホールド12に流通する酸素量を極微量となるように低下させる形態は、バルブタイミングの設定に限定されず、例えば、排気バルブVbのリフト量を調節しても良い。
【0095】
(e)上述した実施形態では、燃料カットタイミングよりも前の所定時間tafに亘る触媒前A/FセンサS1の計測値の平均から推定された残存触媒酸素量Voが吸蔵閾値Tho以下のときのみ劣化判定を行ったが、燃料カットタイミングの直前に触媒前A/FセンサS1の計測値が理論空燃比よりも小さいリッチ雰囲気であれば劣化判定を行っても良く、特に限定されない。
【0096】
(f)上述した実施形態では、触媒前空燃比(第一酸素量)が第一閾値以上となった時刻から触媒後空燃比(第二酸素量)が第二閾値以上となった時刻までの判定時間Tcが、判定閾値Thd以下であれば触媒13が劣化していると判定した。これに代えて、触媒前空燃比(第一酸素量)が第一閾値以上となってから、触媒後空燃比(第二酸素量)が第二閾値以上となったときまでの勾配が所定の勾配以上の急勾配であれば劣化していると判定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、内燃機関の排気流路に設けられた触媒の劣化を判定する触媒劣化判定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
4 :ピストン
12 :エキゾーストマニホールド(排気流路)
13 :触媒
BDC :下死点
E :エンジン(内燃機関)
EVC :排気閉タイミング
EVO :排気開タイミング
IVC :吸気閉タイミング
IVO :吸気開タイミング
S1 :触媒前A/Fセンサ
S2 :触媒後A/Fセンサ
TDC :上死点
Tc :判定時間
Thd :判定閾値(所定値)
Tho :吸蔵閾値
Va :吸気バルブ
Vb :排気バルブ
Vo :残存触媒酸素量
taf :所定時間
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