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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178589
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】製氷装置
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/10 20060101AFI20221125BHJP
   F25C 1/22 20180101ALI20221125BHJP
   F25C 1/24 20180101ALI20221125BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
F25C1/10 301A
F25C1/22 301B
F25C1/24 301
F25D11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085507
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 昌志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA03
3L045CA04
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA00
3L045KA07
3L045PA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】短い時間で製氷皿に氷を生成できるとともに、製氷皿を捻ることなく脱氷することができる製氷装置を提供する。
【解決手段】上面が開口した複数のセル12,14,16を有する金属製の製氷皿10と、セル12,14,16に液体を供給する給液部と、製氷皿10を冷却する冷却装置と、製氷皿10を回転させる回転機構と、を備え、各々の第1のセル12の開口上面まで液体が貯留されたとき、貯留された液体の量が規定量Kより多く、回転機構で製氷皿10を回転させて、開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜した状態にしたとき、第1のセル12から一部の液体が流出して、第1のセル12に略規定量Kの液体が残り、回転機構で製氷皿10を逆に回転させて、開口上面が傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、液面が第1のセル12の開口上面より下側に位置する製氷装置を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した複数のセルを有する金属製の製氷皿と、
前記セルに液体を供給する給液部と、
前記製氷皿を冷却する冷却装置と、
前記製氷皿を回転させる回転機構と、
を備え、
複数の前記セルの中に第1のセルがあり、
前記セルの開口上面が略水平な状態で、前記給液部から前記第1のセルの少なくとも1つに液体が供給されたとき、液体がセル間の仕切部を越えて他のセルに流入して、各々の前記第1のセルの前記開口上面まで液体が貯留されたとき、貯留された液体の量が規定量より多く、
前記回転機構で前記製氷皿を回転させて、前記開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜した状態にしたとき、前記第1のセルから一部の液体が流出して、前記第1のセルに略規定量の液体が残り、
前記回転機構で前記製氷皿を逆に回転させて、前記開口上面が傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、液面が前記第1のセルの前記開口上面より下側に位置することを特徴とする製氷装置。
【請求項2】
複数の前記セルに、前記開口上面の位置が前記第1のセルの前記開口上面の位置より低い第2のセルがあり、
前記製氷皿に底面が傾斜した配液路が形成され、
前記開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜したとき、前記第1のセルから流出した液体が前記配液路に流れて、前記配液路を下側に流れ、
前記開口上面が傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、前記配液路を下側に流れた液体が前記第2のセルに流入することを特徴とする請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記セルの開口上面が略水平な状態で、前記第2のセルの前記開口上面まで液体が貯留されたとき、貯留された液体の量が規定量と略同一であり、
前記給液部から規定量に前記製氷皿に設けられた前記セルの総数生じた量の液体が供給されたとき、前記第1のセルから前記第2のセルに液体が流入することにより、前記第2のセルに略規定量の液体が貯留され、液面が前記第2のセルの前記開口上面の位置と略一致することを特徴とする請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記製氷皿を加熱する加熱部を更に備え、
前記セルが開口上面から底部に向けて狭まった内面形状を有し、
前記セル内の液体が凍結して氷が生成された後、前記加熱部で前記製氷皿を加熱し、前記回転機構で前記製氷皿を回転させて、前記開口上面が略水平な状態から略垂直な状態にすることにより脱氷を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の製氷装置。
【請求項5】
冷却された棒状部材の先端から所定の領域が前記セル内に貯留された液体に浸かるように配置されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷皿に貯留された液体を凍結させて製氷する製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセルを有する製氷皿の各セルに液体を貯留し、その液体を凍結させて氷を生成する製氷装置が知られている。そのような製氷装置の中には、製氷皿に設けられた複数のセルのうちの1つのセルに液体を供給し、セルの間を仕切る仕切部にスリットが設けて、スリットを介して他のセルに液体を供給する製氷装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-46966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の製氷装置では、スリットの領域に存在する液体も凍結するので、各セルで生成された氷はスリットの部分で互いに繋がった状態となる。特許文献1に記載の製氷装置では、製氷皿が樹脂製であり、製氷皿の回転機構を用いて製氷皿を捻ることにより、一体的に繋がった氷であっても、製氷皿から氷を離脱させることができる。
【0005】
近年、短時間で氷を生成する製氷装置が望まれているが、冷却効率を高めるため、熱伝導率の高い金属製の製氷皿を用いることが有効である。しかし、金属製の製氷皿では、製氷皿を捻ることができないので、特許文献1に記載のような一体的に繋がった氷を脱氷することは困難である。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、短い時間で製氷皿に氷を生成できるとともに、製氷皿を捻ることなく脱氷することができる製氷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の製氷装置は、
上面が開口した複数のセルを有する金属製の製氷皿と、
前記セルに液体を供給する給液部と、
前記製氷皿を冷却する冷却装置と、
前記製氷皿を回転させる回転機構と、
を備え、
複数の前記セルの中に第1のセルがあり、
前記セルの開口上面が略水平な状態で、前記給液部から前記第1のセルの少なくとも1つに液体が供給されたとき、液体がセル間の仕切部を越えて他のセルに流入して、各々の前記第1のセルの前記開口上面まで液体が貯留されたとき、貯留された液体の量が規定量より多く、
前記回転機構で前記製氷皿を回転させて、前記開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜した状態にしたとき、前記第1のセルから一部の液体が流出して、前記第1のセルに略規定量の液体が残り、
前記回転機構で前記製氷皿を逆に回転させて、前記開口上面が傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、液面が前記第1のセルの前記開口上面より下側に位置することを特徴とする。
【0008】
製氷皿が金属製の場合、熱伝送率が高いので、短時間で氷を生成することができるが、製氷皿を捻ることができない。給液部から少なくとも1つの第1のセルに液体を供給し、仕切部を越えて他のセルへ液体を供給した場合、液体の表面張力で、液体が仕切部の上にも残って、液体を凍結させたとき、各セルの氷が繋がった状態になる虞がある。この場合、製氷皿を捻ることができないので、製氷皿を加熱して、氷のセルの内面と接する部分を溶解させたとしても、容易に氷をセルから離脱させることができない。
【0009】
本発明では、セルの開口上面が傾斜するように製氷皿を回転させ、第1のセルから一部の液体を流出させて、第1のセルに略規定量の液体を残し、開口上面を略水平な状態に戻すことにより、液面が第1のセルの開口上面より下側に位置するようにできる。よって、第1のセルにおいて、略規定量の氷を互いに繋がることなく生成できる。これにより、金属製の製氷皿を加熱等することにより、製氷皿を捻ることなく第1のセルの氷を脱氷させることができる。
【0010】
以上のように、本発明では、短い時間で製氷皿に氷を生成できるとともに、製氷皿を捻ることなく脱氷することができる製氷装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明の製氷装置は、
複数の前記セルに、前記開口上面の位置が前記第1のセルの前記開口上面の位置より低い第2のセルがあり、
前記製氷皿に底面が傾斜した配液路が形成され、
前記開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜したとき、前記第1のセルから流出した液体が前記配液路に流れて、前記配液路を下側に流れ、
前記開口上面が傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、前記配液路を下側に流れた液体が前記第2のセルに流入することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、開口上面を傾斜させて略水平な状態に戻すことにより、配液路を介して、液体を第1のセルから第2のセルに流入させることができる。配液路の傾斜における重力及び製氷皿の回転による流動なので、液体が所定の速度で第2のセル側に流入する。よって、仕切部を越えて、配液路側の第2のセルから他の第2のセルに液体が流れる場合でも、仕切部の上に液体が残ることがない。よって、第2のセルにおいても、生成された氷が互いに繋がることがない。これにより、金属製の製氷皿を加熱等することにより、製氷皿を捻ることなく第2のセルの氷も脱氷させることができる。
【0013】
また、本発明の製氷装置は、
前記セルの前記開口上面が略水平な状態で、前記第2のセルの前記開口上面まで液体が貯留されたとき、貯留された液体の量が規定量と略同一であり、
前記給液部から規定量に前記製氷皿に設けられた前記セルの総数生じた量の液体が供給されたとき、前記第1のセルから前記第2のセルに液体が流入することにより、前記第2のセルに略規定量の液体が貯留され、液面が前記第2のセルの前記開口上面の位置と略一致することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、開口上面を傾斜させて略水平な位置に戻したとき、第1のセルから第2のセルに液体が流入して、第2のセルに略規定量の液体が貯留され、液面が第2のセルの開口上面の位置と略一致する。これにより、第1のセル及び第2のセルに、互いに繋がっていない略規定量の氷を生成することができる。
【0015】
また、本発明の製氷装置は、
前記製氷皿を加熱する加熱部を更に備え、
前記セルが開口上面から底部に向けて狭まった内面形状を有し、
前記セル内の液体が凍結して氷が生成された後、前記加熱部で前記製氷皿を加熱し、前記回転機構で前記製氷皿を回転させて、前記開口上面が略水平な状態から略垂直な状態にすることにより脱氷を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、各セルで生成された氷が繋がっていないので、製氷皿を加熱することにより、製氷皿を捻ることなく脱氷できる。仮に、製氷皿を略180度回転させて、開口上面を下向きとなるようにした場合、氷の外面に存在する溶けた液体の表面張力で、氷がセル内に拘束される虞がある。しかし、本発明では、開口上面を略垂直な状態にすることにより、セルの傾斜した内面のうち、上側の内面と氷の外面との間に隙間が生じるので、液体の表面張力による影響を受けずに、氷はセルの下側の内面に沿って下方へ移動し落下する。これにより、スムーズに脱氷を行うことができる。
【0017】
また、本発明の製氷装置は、
冷却された棒状部材の先端から所定の領域が前記セル内に充填された液体に浸かるように配置されることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、セル内の液体は、冷却された製氷皿による外側からの冷却に加えて、液体に浸かった棒状部材により内側からも冷却される。これにより、短時間に効率的に製氷を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明においては、短い時間で製氷皿に氷を生成できるとともに、製氷皿を捻ることなく脱氷することができる製氷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の1つの実施形態に係る製氷装置を示す斜視図である。
図2図1の矢印Aから見た側面図である。
図3】本発明の1つの実施形態に係る製氷皿を斜め上側から見た斜視図である。
図4図3に示す製氷皿の各セルに規定量の液体が貯留された状態を示す斜視図である。
図5】本発明の1つの実施形態に係る製氷皿を斜め下側から見た斜視図である。
図6A図4の断面B-Bを示す断面図である。
図6B図4の断面C-Cを示す断面図である。
図6C図4の断面D-Dを示す断面図である。
図7A図6Aと同様な断面を模式的に示す図であって、給液部から第1のセルの1つに液体が供給され、仕切部を越えて他の第1のセルに流入したところを示す図である。
図7B図7Aに示す状態の後、液体が仕切部を越えて第1のセルから中間セルに流入したところを示す図である。
図7C】第1の例において、図7Bに示す状態の後、液体が仕切部を越えて中間セルから第2のセルに流入し、給液部からの液体の供給が停止したところを示す図である。
図7D】第2の例において、図7Bに示す状態の後、液体が仕切部を越えて中間セルから第2のセルに流入し、給液部からの液体の供給が停止したところを示す図である。
図8A図5の断面E-Eと同様な断面を模式的に示す図であって、開口上面が略水平な状態で、第1のセルの開口上面まで液体が貯留された状態を示す図である。
図8B図8Aに示す状態から製氷皿を回転させて、開口上面を所定の角度だけ傾斜させたときの第1のセルに貯留された液体の液面レベルを示す図である。
図8C図8Bに示す状態から製氷皿を逆に回転させて、開口上面を略水平な状態に戻したときの第1のセルに貯留された液体の液面レベルを示す図である。
図9】製氷皿を回転させて脱氷するところを模式的に示すである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する製氷機は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例を分けて示す場合があるが、異なる実施形態、実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。下記の記載及び図面における上下方向は、三次元空間における鉛直方向を示す。
【0022】
(1つの実施形態に係る製氷装置)
図1は、本発明の1つの実施形態に係る製氷装置2を示す斜視図である。図2は、図1の矢印Aから見た側面図である。図3は、本発明の1つの実施形態に係る製氷皿10を斜め上側から見た斜視図である。図4は、図3に示す製氷皿の各セルに規定量の液体が貯留された状態を示す斜視図である。図5は、本発明の1つの実施形態に係る製氷皿10を斜め下側から見た斜視図である。図6Aは、図4の断面B-Bを示す断面図である。図6Bは、図4の断面C-Cを示す断面図である。図6Cは、図4の断面D-Dを示す断面図である。図6Cは、2列あるセル12,14,16の列の間の断面を示す。
【0023】
はじめに、図1から図6Cを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る製氷装置2の概要を説明する。本実施形態に係る製氷装置2は、冷蔵庫の冷凍室内に設置されている。冷蔵庫の冷却機構を用いて、蒸発器を通過した冷気を製氷皿10に当てて製氷するようになっている。つまり、本実施形態では、製氷皿10を冷却する冷却装置として、冷蔵庫の冷却機構が用いられている。
【0024】
製氷皿10には、8個のセル12,14,16が設けられている。製氷皿10の外面に駆動側回転軸22A及び回転軸22Bが突設されている。駆動側回転軸22Aが回転機構20の駆動部20Aの駆動軸に取り付けられ、回転軸22Bが回転機構20の軸受部20Bに取り付けられている。駆動部20Aは電動モータを備え、電動モータの駆動力により、製氷皿10を回転させることができる。
【0025】
製氷皿10は、金属材料から形成されている。金属材料として、軽量で高い熱電伝導率を有するアルミニウム、アルミ合金等を用いるのが好ましい。ただし、これに限られるものではなく、その他の任意の金属材料を用いることができる。例えば、金属薄板をプレス加工することにより、仕切部で区切られたセル12,14,16を有する製氷皿10を形成することができる。本実施形態に係る製氷皿10は、4個の第1のセル12、2個の中間セル14及び2個の第2のセル16を有する。各セル12,14,16は、開口上面から底部に向けて狭まった内面形状を有する。これにより、セル12,14,16内の液体が凍結すると、面部が曲面で繋がった略四角錐の外形の氷が生成される。
【0026】
更に、セル12,14,16の横側に、底面が傾斜した配液路18が形成されている。図6Bに示すように、配液路18の底面は、第1のセル12側が高く、第2のセル16側が低くなるように傾斜している。
【0027】
4個の第1のセル12の間は、仕切部12Aで仕切られている。2個の中間セル14の間は、仕切部14Aで仕切られている。2個の第2のセル16の間は、仕切部16Aで仕切られている。また、第1のセル12及び中間セル14の間は、第1中間仕切部Pで仕切られている。中間セル14及び第2のセル16の間は、第2中間仕切部Qで仕切られている。セル12,14,16及び配液路18の間は、セル配液路仕切部Rで仕切られている。
【0028】
第1のセル12の開口上面の位置は、仕切部12Aの上部の位置で画定される。同様に、中間セル14の開口上面の位置は、仕切部14Aの上部の位置で画定され、第2のセル16の開口上面の位置は、仕切部16Aの上部の位置で画定される。よって、開口上面が水平な状態で、第1のセル12、中間セル14及び第2のセル16は、仕切部12A,14A,16Aの位置に対応する開口上面の位置まで液体を貯留することができる。
【0029】
仕切部12Aの上部の位置は、第1中間仕切部Pの上部の位置と略同一である。仕切部14A及び仕切部16Aの上部の位置は、仕切部12A及び第1中間仕切部Pの上部の位置より低くなっている。よって、中間セル14及び第2のセル16の開口上面の位置は、第1のセル12の開口上面の位置より低くなっている。
【0030】
第2中間仕切部Qの上部の位置が、仕切部12A及び第1中間仕切部Pの上部の位置より若干低く設定されている場合の第1の例(図7C参照)と、第2中間仕切部Qの上部の位置が、仕切部14A及び仕切部16Aの上部の位置と略同一で、仕切部12A及び第1中間仕切部Pの上部の位置より低い場合の第2の例(図7D参照)がある。第1の例及び第2の例における液体の流れの違いについては、追って詳細に述べる。
【0031】
セル配液路仕切部Rの上部の位置は、第1のセル12の領域では、第1のセル12の開口の位置より僅かに高くなっている。一方、第2のセル16の領域、特に端部領域では、セル配液路仕切部Rの高さはゼロに近く、第2のセル16の上面開口の位置及び配液路18の底面の位置が略同一である。
【0032】
端部に位置する1つの第1のセル12の上方に給液部40(図7A等参照)の給液口が配置されている。給液部40から液体が第1のセル12に供給され、最終的に製氷皿10の各セル12,14,16に規定量の液体が貯留される。各セル12,14,16に規定量の液体を配液する方法については後述する。各セル12,14,16に貯留される液体としては、飲料水、甘味飲料水をはじめとする任意の液体を用いることができる。
【0033】
各セル12,14,16に規定量の液体が貯留された製氷皿10には、図1の矢印に示すように、氷点下の温度の冷気が当たり冷却される。これにより、各セル12,14,16に貯留された液体が凍結して氷が生成される。金属製の製氷皿10は、樹脂製の製氷皿に比べて熱伝導率が高く、壁部の厚みも薄くできるので、短い時間で効率的に製氷を行うことができる。上記のように、本実施形態では、冷蔵庫の蒸発器を通過した冷気を製氷皿10に当てて製氷するようになっている。
【0034】
更に本実施形態では、金属製の製氷皿10に加えて、棒状部材32Bを有する冷却部30を用いて氷を生成することができる。冷却部30は、冷却部材32と、ヒートシンク34とを有する。冷却部材32は、板状部32Aと、板状部32Aの下面に突出した複数の棒状部材32Bとを有する。ヒートシンク34は、金属板の上に複数の冷却フィンが立設した構造を有する。ヒートシンク34の下面に、冷却部材32の板状部32Aの上面が接しており、板状部32Aの下面から棒状部材30Bが突出している。棒状部材32Bの先端から所定の領域が、各セル12,14,16内に充填された液体に浸かるように配置される。
【0035】
板状部32A及び棒状部材30Bを備えた冷却部材32並びにヒートシンク34は、高い熱電伝導率を有するアルミニウム、アルミ合金、銅等で形成するのが好ましい。本実施形態では、ヒートシンク34が冷却フィンを有する空冷式の構造を有するが、内部に冷媒の流れる液冷式の構造を有するヒートシンクを用いることもできる。
【0036】
図1の矢印に示すように、冷気がヒートシンク34の各々の冷却フィンの間を流れて、ヒートシンク34を冷却する。熱伝導により、ヒートシンク34から板状部32Aが冷却され、更に板状部32Aに取り付けられた棒状部材32Bが氷点下の温度まで冷却される。これにより、棒状部材32Bが浸かった液体は、棒状部材32Bの外面の周囲から凍結する。
【0037】
以上のように、本実施形態では、冷却された棒状部材32Bの先端から所定の領域がセル12,14,16内に貯留された液体に浸かるように配置されている。よって、セル12,14,16内の液体は、冷却された金属製の製氷皿10による外側からの冷却に加えて、液体に浸かった棒状部材32Bにより内側から冷却される。これにより、短時間に効率的に製氷を行うことができる。従来の製氷機であれば、急速冷凍でも、80ccの氷を生成するのに60分を要したが、本実施形態に係る製氷機2では、80ccの氷を20分で生成することができる。
【0038】
図5に示すように、製氷皿10の下面には、各セル12,14,16を囲むように線状のヒータ50が配置されている。本実施形態では、シリコンや塩化ビニルのコードヒータが用いられている。ただし、これに限られるものではなく、PTCヒータ、セラミックヒータ、ペルチェ素子等を用いることもできる。樹脂製の製氷皿の場合には、回転機構を用いて製氷皿を捻ることにより、セル内に生成された氷を脱氷することができる。しかし、本実施形態では、製氷皿10が金属製なので捻ることができない。よって、製氷後、ヒータ50で製氷皿10を加熱し、回転機構20を用いて、製氷皿10を傾けることにより、確実に脱氷することができる。脱氷の詳細な方法については、追って詳細に述べる。同様に、冷却部材32の棒状部材32Bもヒータ50により加熱されるようになっている、
【0039】
本実施形態では、棒状部材32Bを有する冷却部30を備えているが、冷却部30を備えず、冷風の当たる金属製の製氷皿10のみで製氷する場合もあり得る。また、本実施形態では、製氷皿10が8つのセル12,14,16を有するが、これに限られるものではなく、その他の任意の数のセルを有する製氷皿10を用いることができる。
【0040】
本実施形態に係る製氷装置2は、冷蔵庫内に設置されているが、これに限られるものではない。製氷皿10や冷却部30を冷却する固有の冷却装置を有する、冷蔵庫とは個別の製氷装置2の場合もあり得る。
【0041】
(セルへの配液方法)
<第1のステップ>
図7Aは、図6Aと同様な断面を模式的に示す図であって、給液部40から第1のセル12の1つに液体が供給され、仕切部12Aを越えて他の第1のセル12に流入したところを示す。図7Bは、図7Aに示す状態の後、第1中間仕切部Pを越えて第1のセル12から中間セル14に流入したところを示す。図7Cは、第1の例において、図7Bに示す状態の後、液体が第2中間仕切部Qを越えて中間セル14から第2のセル16に流入し、給液部40からの液体の供給が停止したところを示す図である。図7Dは、第2の例において、図7Bに示す状態の後、液体が第2中間仕切部Qを越えて中間セル14から第2のセル16に流入し、給液部40からの液体の供給が停止したところを示す図である。図7A及び図7Bに示す第2中間仕切部Qにおいて、点線が第1の例の場合を示し、実線が第2の例の場合を示す。
【0042】
図7Aから図7Dを参照しながら、各セル12,14,16への配液方法の第1のステップの説明を行う。まず、給液部40の給液口から第1のセル12の1つに液体が供給される。ただし、給液部40から、複数の第1のセル12に液体を供給する場合もあり得る。供給される液体の量は、1つのセルで貯留する液体の規定量をKとすると、Kに各セル12,14,16の総数である8を乗じた8Kの量の液体を供給する。ここでは、規定量Kを10ccとして、80ccの液体を給液部40から供給する場合を例にとって説明する。
【0043】
給液部40を1つの第1のセル12に供給していくと、液面が開口上面の位置に達し、更に、液体が仕切部12Aを越えて他の第1のセル12に流入する。この状態を図7Aに示す。給液部40による給液を継続すると、4つの第1のセル12の液面が開口上面に達する。液面が第1のセル12の開口上面に達したときの各々の第1のセル12に貯留される液体の量は、12.5ccである。よって、4つの第1のセル12で、12.5cc×4=50ccの液体が蓄えられる。
【0044】
第1のセル12の間を仕切る仕切部12Aの上部の位置、つまり第1のセル12の上面開口の位置と、第1のセル12及び中間セル14の間を仕切る第1中間仕切部Pの上部の位置は略同一となっている。セル配液路仕切部Rの上部の位置は、第1のセル12の領域では、第1のセル12の上面開口の位置より僅かに高くなっている。給液部40による給液を継続すると、液体が第1中間仕切部Pを越えて、第1のセル12から中間セル14に流入する。この状態を図7Bに示す。
【0045】
[第1の例]
図7Cに示す第1の例では、中間セル14の間を仕切る仕切部14Aの上部の位置、つまり中間セル14の上面開口の位置は、仕切部12Aの上部の位置及び第1中間仕切部Pの上部の位置より低くなっている。中間セル14及び第2のセル16の間を仕切る第2中間仕切部Qの上部の位置は、仕切部12Aの上部の位置及び第1中間仕切部Pの上部の位置より若干低く設定されている。セル配液路仕切部Rの上部の位置は、中間セル14の領域では、第2中間仕切部Qの上部の位置と略同一になっている。
【0046】
給液部40による給液を継続すると、液体が仕切部14Aを越えて他の中間セル14にも流れ、2つの中間セル14の液面が、仕切部14Aの高さを越えて、第2中間仕切部Qの上部の位置まで達する。液面が、仕切部14Aの上部の位置に達したときの各中間セル14に貯留される液体の量は10ccであるが、第2中間仕切部Qの上部の位置まで達したときには、貯留される液体の量は12.5ccより若干少なく約11ccである。よって、2つの中間セル14で、約11cc×2=22ccの液体が蓄えられる。
【0047】
給液部40による給液を継続すると、液体が第2中間仕切部Qを越えて、中間セル14から第2のセル16に流入する。そして、8ccの液体が第2のセル16に流入した時点で、給液部40から80ccの液体が供給されて給液が停止する。この状態を図7Cに示す。つまり、第1の例の第1のステップでは、第1のセル12には、それぞれ12.5ccの液体が貯留され、中間セル14には、それぞれ11ccの液体が貯留され、第2のセル16には、それぞれ4ccの液体が貯留された状態が形成される。
【0048】
[第2の例]
図7Dに示す第2の例でも、中間セル14の間を仕切る仕切部14Aの上部の位置、つまり中間セル14の上面開口の位置は、仕切部12Aの上部の位置及び第1中間仕切部Pの上部の位置より低くなっている。中間セル14及び第2のセル16の間を仕切る第2中間仕切部Qの上部の位置は、仕切部14Aの上部の位置と略同一で、仕切部12Aの上部の位置及び第1中間仕切部Pの上部の位置より低くなっている。セル配液路仕切部Rの上部の位置は、中間セル14の領域では、中間セル14の上面開口の位置より僅かに高くなっている。
【0049】
給液部40による給液を継続すると、液体が仕切部14Aを越えて他の中間セル14にも流れ、2つの中間セル14の液面が、仕切部14Aの上部の位置に対応する開口上面に達する。液面が中間セル14の開口上面に達したときの各中間セル14に貯留される液体の量は10ccである。よって、2つの中間セル14で、10cc×2=20ccの液体が蓄えられる。
【0050】
給液部40による給液を継続すると、液体が第2中間仕切部Qを越えて、中間セル14から第2のセル16に流入する。そして、10ccの液体が第2のセル16に流入した時点で、給液部40から80ccの液体が供給されて給液が停止する。この状態を図7Dに示す。つまり、第2の例の第1のステップでは、第1のセル12には、それぞれ12.5ccの液体が貯留され、中間セル14には、それぞれ10ccの液体が貯留され、第2のセル16には、それぞれ5ccの液体が貯留された状態が形成される。
【0051】
仮に、液体の表面張力がない場合には、各セル12,14,16の容量(液面が開口上面に達したときの液量)が規定量としなるように形成し、給液部40から1つのセルに液体を供給すれば、液体が仕切部12A,14A,16A,P,Qを越えて流れて、各セル12,14,16に規定量の液体が貯留される状態を形成できる。しかし、実際には、液体の表面張力が存在するので、液体が仕切部12A,14A,16A,P,Qの上部に残る。この状態で、製氷皿10を冷却して、液体が凍結すると、各セル12,14,16に生成された氷が互いに繋がった状態となる問題が生じる。これを解消するために、本実施形態では、下記に示すような第2のステップを行う。
【0052】
<第2のステップ>
図8Aは、図5の断面E-Eと同様な断面を模式的に示す図であって、開口上面が略水平な状態で、第1のセル12の開口上面まで液体が貯留された状態を示す図である。図8Bは、図8Aに示す状態から製氷皿10を回転させて、開口上面を所定の角度だけ傾斜させたときの第1のセル12の貯留された液体の液面レベルを示す図である。図8Cは、図8Bに示す状態から製氷皿10を逆に回転させて、開口上面を略水平な状態に戻したときの第1のセル12に貯留された液体の液面レベルを示す図である。
【0053】
第1のステップにおいて、給液部40から80ccの液体が供給されて給液が停止したとき、第1のセル12の略水平な開口上面まで液面が達しており、それぞれ12.5ccの液体が貯留されている。回転機構20を用いて、製氷皿10を回転させて、図8Aに示す開口上面が略水平な状態から、図8Bに示す所定の角度だけ傾斜した状態にしたとき、各々の第1のセル12から略2.5ccの液体が流出する。液体は、セル配液路仕切部Rを越えて配液路18に流れる。配液路18に流入した液体は、傾斜した底面に沿って、第2のセル16側に流れる。
【0054】
次に、回転機構20を用いて、製氷皿10を逆に回転させて、図8Bに示すような開口上面が傾斜した状態から、図8Cに示すような略水平な状態に戻したとき、配液路18を下側に流れた液体が第2のセル16に流入する。また、図8Cに示すように、第1のセル12では、液面が開口上面より下方に位置し、各々の第1のセル12に10ccの液体が貯留された状態となる。
【0055】
中間セル14においても、開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜した状態にしたとき、中間セル14に貯留された液体の一部が、セル配液路仕切部Rを越えて配液路18に流出する。
【0056】
[第1の例]
第1の例においては、第一ステップ終了時に、第1のセル12に12.5ccずつ、第2のセル14に約11ccずつ、セル16に4ccずつ液体が貯留されている。この場合、第1のセル12から約2.5ccずつの液体が流出し、中間セル14から約1ccずつの液体が流出する。配液路18に流入した液体は、傾斜した底面に沿って、第2のセル16側に流れる。そして、開口上面が傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、配液路18を下側に流れた液体が第2のセル16に流入する。また、中間セル14では、液面が仕切部14Aの上部の位置に対応する開口上面のレベルと略同一になり、各々の中間セル14に10ccの液体が貯留された状態となる。
【0057】
配液路18を介して、第1のセル12から、2.5cc×4=10ccの液体が第2のセル16に流入し、中間セル14から、約1cc×2=2ccの液体が第2のセル16に流入する。配液路18から、液体は配液路18側の第2のセル16に流入し、液体の液面が開口上面に達すると、仕切部16Aを越えて、他の第2のセル16に流入する。液体の液面が第2のセル16の開口上面に達したとき、10ccの液体が貯留されるようになっているので、最終的に、2つの第2のセル16にそれぞれ10ccの液体が貯留されることになる。
【0058】
これにより、全てのセル12,14,16に規定量Kである10ccの液体が貯留された状態を形成することができる。
【0059】
液体が配液路18から第2のセル16に流入するとき、液体の表面張力により、仕切部16Aの上に液体が残る可能性がある。しかし、傾斜した配液路18を流れる重力による流動、及び製氷皿10の回転により生じる流動を考慮すると、所定の流速で配液路18から第2のセル16に流入すると考えられる。よって、液体の流れが表面張力に打ち勝って、仕切部16Aの上には、ほとんど液体が存在しない状態となる。よって、個々のセル12,14,16で生成された氷が繋がる虞はない。
【0060】
[第2の例]
第2の例においては、第1のステップ終了時に、各々の第1のセル12に12.5ccずつ、中間セル14に10ccずつ、第2のセル16に5ccずつの液体が貯留されている。この場合、第1のセル12、中間セル14から所定の量の液体が配液路18側に流出する。流出する液体の量は、セル配液路仕切部Rの高さによって定まる。しかし、第2のセル16各々に5ccずつの液体が貯留されているので、配液路18を介して第1のセル12から10ccの液体が第2のセル16に流入する。
【0061】
よって、各々の第2のセル16に10ccずつの液体が貯留され、液体の液面が第2のセル16の開口上面に達した状態になる。よって、開口上面が傾斜したとき、中間セル14から配液路18側に液体が流出するが、開口上面を略水平な状態に戻したとき、配液路18側に流出したと同量の液体が、セル配液路仕切部Rを越えて、各々の中間セル14に戻ることになる。よって、第2の例においても、全てのセル12,14,16に規定量Kである10ccの液体が貯留された状態を形成することができる。
【0062】
製氷皿10の全てのセル12,14,16に規定量Kである10ccの液体が貯留された状態で、冷気が当たった製氷皿10、及び各セル12,14,16内の液体に浸かった冷却された棒状部材32Bにより冷却され、短い時間で各セル12,14,16内の液体が凍結して、規定量Kの氷が生成される。
【0063】
以上のように、上記の実施形態に係る製氷装置2は、上面が開口した複数のセル12,14,16を有する金属製の製氷皿10と、各セル12,14,16に液体を供給する給液部40と、製氷皿10を冷却する冷却装置と、製氷皿10を回転させる回転機構20と、を備える。複数のセル12,14,16の中に第1のセル12があり、各セル12,14,16の開口上面が略水平な状態で、給液部40から第1のセル12の少なくとも1つに液体が供給されたとき、液体が各セル12,14,16間の仕切部12A,14A,16A,P,Qを越えて他のセル12,14,16に流入して、各々の第1のセル12の開口上面まで液体が貯留されたとき、貯留された液体の量が規定量Kより多く、回転機構20で製氷皿10を回転させて、開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜した状態にしたとき、第1のセル12から一部の液体が流出して、第1のセル12に略規定量Kの液体が残り、回転機構20で製氷皿10を逆に回転させて、開口上面が傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、液面が第1のセル12の開口上面より下側に位置するようになる。
【0064】
製氷皿10が金属製の場合、熱伝送率が高いので、短時間で氷を生成することができるが、製氷皿10を捻ることができない。第1のステップにおいて、給液部40から少なくとも1つの第1のセル12に液体を供給し、仕切部12Aを越えて他の第1のセル12へ液体を供給した場合、液体の表面張力で、液体が仕切部12Aの上にも残る可能性がある。
【0065】
しかし、第2のステップにおいて、開口上面が傾斜するように製氷皿10を回転させ、第1のセル12から一部の液体が流出させて、第1のセル12に略規定量Kの液体を残し、開口上面を略水平な状態に戻すことにより、液面が第1のセル12の開口上面より下側に位置するようにできる。これにより、第1のセル12において、略規定量Kの氷を互いに繋がることなく生成できる。これにより、金属製の製氷皿10を加熱等することにより、製氷皿10を捻ることなく第1のセル12の氷を脱氷させることができる。
【0066】
以上のように、本実施形態では、短い時間で製氷皿10に氷を生成できるとともに、製氷皿10を捻ることなく脱氷することができる製氷装置2を提供することができる。
【0067】
また、上記の実施形態に係る製氷装置2は、複数のセル12,14,16に、開口上面の位置が第1のセル12の開口上面の位置より低い第2のセル16があり、製氷皿10に底面が傾斜した配液路18が形成されている。開口上面が略水平な状態から所定の角度だけ傾斜したとき、第1のセル12から流出した液体が配液路18に流れて、配液路18を下側に流れ、開口上面を傾斜した状態から略水平な状態に戻したとき、配液路18を下側に流れた液体が第2のセル16に流入するようになっている。
【0068】
開口上面を略水平な状態に戻したとき、液体が、配液路18を介して第1のセル12から第2のセル16に流入する。配液路18の傾斜及び製氷皿10の回転に起因する流れなので、液体が、所定の速度で第2のセル16側に流入する。よって、仕切部16Aを越えて、配液路18側の第2のセル16から他の第2のセル16に液体が流れる場合でも、ほとんど仕切部16Aの上に液体が残ることがない。これにより、第2のセル16においても、生成された氷が互いに繋がることがない。よって、金属製の製氷皿10を加熱等することにより、製氷皿10を捻ることなく第2のセル16の氷も脱氷させることができる。
【0069】
上記の第1の例の場合には、中間セル14についても、開口上面を所定の角度だけ傾斜させたとき、中間セル14から一部の液体が流出して、中間セル14に略規定量Kの液体が残り、開口上面を略水平な状態に戻したとき、液面が中間セル14の開口上面と略同一になる。ここで、仕切部14Aの上部の位置を、仕切部12A、第1中間仕切部P及び第2中間仕切部Qの上部の位置と略同一にして、中間セル14を第1のセル12と同様に形成することもできる。
【0070】
上記の第2の例の場合には、開口上面を傾斜させたとき、略規定量Kの液体が貯留された中間セル14から一部の液体が配液路18側に流出し、開口上面を略水平な状態に戻したとき、流出したと同量の液体が中間セル14に戻って、中間セル14に略規定量Kの液体が貯留された状態になる。このとき、液面が中間セル14の開口上面と略同一になる。
【0071】
第1の例および第2の例では、製氷皿10の回転に起因して、液体が配液路18側から中間セル14側に流入するので、所定の流速を有する。よって、仕切部14Aを越えて、配液路18側の中間セル14から他の中間セル14に液体が流れる場合でも、ほとんど仕切部14Aの上に液体が残ることがない。これにより、中間セル14においても、生成された氷が互いに繋がることがない。
【0072】
更に、上記の実施形態に係る製氷装置2では、各セル12,14,16の開口上面が略水平な状態で、第2のセル16の開口上面まで液体が貯留されたとき、貯留された液体の量が規定量Kと略同一であり、給液部40から規定量Kに製氷皿10に設けられた各セル12,14,16の総数を生じた量の液体が供給されたとき、第1のセル12から第2のセル16に液体が流入することにより、第2のセル16に略規定量Kの液体が貯留され、液面が第2のセル16の開口上面の位置と略一致するようになる。
【0073】
本実施形態によれば、開口上面を傾斜させて略水平な位置に戻したとき、第1のセル12から第2のセル16に液体が流入して、第2のセル16に略規定量Kの液体が貯留され、液面が第2のセル16の開口上面の位置と略一致する。これにより、第1のセル12及び第2のセル16に、互いに繋がらない略規定量Kの氷を生成することができる。
【0074】
(脱氷工程)
図9は、製氷皿10を回転させて脱氷するところを模式的に示すである。次に、図9を参照しながら、上記のようにして生成された氷Gを製氷皿10から離脱させる脱氷工程の説明を行う。各セル12,14,16内に氷Gが生成された後、各セル12,14,16の外面の周囲に配置されたヒータ(加熱手段)50を稼働させる。これにより、金属製の製氷皿10が加熱されて、氷Gの各セル12,14,16の内面と接する領域が溶解する。また、先端の領域が氷Gの中にある棒状部材32Bも加熱手段で加熱する。これにより、氷Gの棒状部材32Bの外面と接する領域が溶解する。
【0075】
その後、回転機構20を駆動させて、開口上面が略水平な状態から略垂直な状態まで、製氷皿10を回転させる。開口上面が略垂直な状態で、各セル12,14,16の上側に位置する内面と氷Gの間に隙間Sが生じる。これにより、氷G表面に存在する溶けた液体の表面張力による拘束が解消され、点線の矢印に示すように、氷Gは各セル12,14,16の下側に位置する内面に沿って斜め下側に移動し、下方へ落下する。そして、製氷皿10の下方に配置された氷収納庫に収納される。
【0076】
回転機構20を駆動させて、製氷皿10を180度回転させて、開口上面が真下を向く状態にすることも考えられる。しかし、その場合には、各セル12,14,16の内面と氷Gとの間に隙間が生じないので、溶けた液体の表面張力で、氷Gが各セル12,14,16内に拘束され、スムーズな脱氷が実現できない虞がある。
【0077】
本実施形態では、上記のように、製氷皿10を加熱するヒータ(加熱部)50を備え、各セル12,14,16が開口上面から底部に向けて狭まった内面形状を有している。よって、各セル12,14,16内の液体が凍結して氷が生成された後、ヒータ(加熱部)50で製氷皿10を加熱し、回転機構20で製氷皿10を回転させて、開口上面が略水平な状態から略垂直な状態にすることにより、脱氷を行うことができる。製氷皿10の各セル12,14,16の内面には、脱氷し易いように撥水性の樹脂等をコーティングするのが好ましい。
【0078】
本実施形態では、各セル12,14,16で生成された氷が繋がっていないので、製氷皿10を加熱することにより、製氷皿10を捻ることなく脱氷できる。特に、開口上面を略垂直な状態にすることにより、各セル12,14,16の傾斜した内面のうち、上側の内面と氷Gの外面との間に隙間Sが生じるので、液体の表面張力で拘束されることなく、氷Gは各セル12,14,16の下側の内面に沿って下方へ移動し落下する。これにより、これにより、スムーズに脱氷を行うことができる。
【0079】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0080】
2 製氷装置
10 製氷皿
12 第1のセル
12A 仕切部
14 中間セル
14A 仕切部
16 第2のセル
16A 仕切部
18 配液路
20 回転機構
20A 駆動部
20B 軸受部
22A 駆動側回転軸
22B 回転軸
30 冷却部
32 冷却部材
32A 板状部
32B 棒状部材
34 ヒートシンク
40 給液部
50 ヒータ
P 第1中間仕切部
Q 第2中間仕切部
R セル配液路仕切部
G 氷
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9