(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017859
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】収容装置及びシートの収容方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20220119BHJP
B65B 55/16 20060101ALI20220119BHJP
B65B 55/18 20060101ALI20220119BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A61L2/20 100
B65B55/16
B65B55/18
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120666
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】萬 秀紀
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA25
4C058AA30
4C058BB06
4C058BB07
4C058EE26
4C058JJ14
4C058JJ26
4C058JJ29
4C058KK02
4C058KK23
4C058KK44
(57)【要約】
【課題】収容されるシートに触れる作業者が、感染する危険を低減可能な収容装置及びシートの収容方法の提供を目的とする。
【解決手段】収容装置100は、シートを収容する収容部2と、前記収容部2に前記シートを挿入する挿入部11と、前記収容部2に収容された前記シートの殺菌を行うための殺菌部4とを備えた。また、前記構成において、前記殺菌部4は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、前記収容部2に供給するための供給部19を備えた。そして、前記各構成において、前記供給部19は、前記収容部2の外部から該収容部2内へ前記殺菌成分を流入させるための開口部を、前記収容部2の側板、天板または底板の少なくともいずれかに備える。更に、前記各構成において、前記殺菌部4は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器42を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを収容する収容部と、
前記収容部に前記シートを挿入する挿入部と、
前記収容部に収容された前記シートの殺菌を行うための殺菌部とを備えた収容装置。
【請求項2】
前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、前記収容部に供給するための供給部を備えた請求項1に記載の収容装置。
【請求項3】
前記供給部は、前記収容部の外部から該収容部内へ前記殺菌成分を流入させるための開口部を、前記収容部の側板、天板または底板の少なくともいずれかに備える請求項2に記載の収容装置。
【請求項4】
前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器を備える請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の収容装置。
【請求項5】
前記殺菌成分発生器は、前記収容部に対し着脱自在に設置される請求項4に記載の収容装置。
【請求項6】
前記殺菌成分発生器は、収容部の側板内面または天板下面の少なくともいずれかに取り付けられる請求項4または請求項5に記載の収容装置。
【請求項7】
前記収容部に収容された空気を、前記収容部の外部へ取り出す取出部と、
前記取出部で取り出される空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部とを備えた請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の収容装置。
【請求項8】
殺菌成分がオゾンである請求項2乃至請求項7のいずれか一項に記載の収容装置。
【請求項9】
殺菌部は、紫外線を発生させる紫外線発生器を備えた請求項1または請求項7に記載の収容装置。
【請求項10】
シートが選挙の際に使用される投票用紙、葉書または封筒の少なくともいずれかである請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の収容装置。
【請求項11】
前記殺菌部は、AC電源及び乾電池の双方で動作可能である請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の収容装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の収容装置を備えた選挙用投票箱。
【請求項13】
シートを収容する収容部へ、前記シートが挿入部から挿入される際、前記シートの殺菌を行うシートの収容方法。
【請求項14】
前記シートの前記収容部への挿入前に、前記シートを殺菌する殺菌成分を前記収容部内に存在させておく請求項13に記載のシートの収容方法。
【請求項15】
前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、供給部から前記収容部へ供給する請求項13または請求項14に記載のシートの収容方法。
【請求項16】
前記収容部の側板、天板または底板の少なくともいずれかに開口して設けられた前記供給部から前記殺菌成分を供給する請求項15の記載のシートの収容方法。
【請求項17】
前記収容部に対し着脱自在に設置された殺菌成分発生器が発生する殺菌成分によってシートを殺菌する請求項13乃至請求項16のいずれか一項に記載のシートの収容方法。
【請求項18】
前記収容部の内部に設置された殺菌成分発生器によって、シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる請求項13乃至請求項17のいずれか一項に記載のシートの収容方法。
【請求項19】
前記収容部の空気を外部に排気する請求項13乃至請求項18のいずれか一項に記載のシートの収容方法。
【請求項20】
外部に排気される空気から、残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する請求項19に記載のシートの収容方法。
【請求項21】
オゾン又は紫外線の少なくともいずれかによって前記シートを殺菌する請求項13、請求項18乃至20のいずれか一項に記載のシートの収容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容装置及びシートの収容方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シートを収容する技術に関連し、下記特許文献1には、殺菌容器内に収容された書籍に殺菌ガスを作用させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置では、書籍の表面を殺菌可能である。しかし、書籍の各ページに、ウィルスや細菌、カビ等が付着している危険性があり、これらを殺菌しなければ、ページを触った人が感染する恐れがある。
【0005】
一方で、選挙の開票作業では、開披台上で人手によって投票用紙を混ぜ合わせる作業が実施される。その際仮に、投票した者の中にウィルス等の感染者がいた場合、投票用紙に汚染物質が付着している危険性が高い。そして、このウィルスが付着した投票用紙を、開披台上で混ぜ合わせると、当該開披台を担当する全ての開票作業者に感染の危険が及ぶ。また、混同作業によって、汚染物質は飛散し、空気中を浮遊する。よって、ウィルスの付着した投票用紙に直接触れていない立会人や事務処理の担当者等の開票現場に居る全ての人が感染する危険性があり、集団感染を招きかねない。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するものであり、収容されるシートに触れる作業者が、感染する危険を低減可能な収容装置及びシートの収容方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる収容装置は、シートを収容する収容部と、前記収容部に前記シートを挿入する挿入部と、前記収容部に収容された前記シートの殺菌を行うための殺菌部とを備えた。
【0008】
また、前記構成において、前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、前記収容部に供給するための供給部を備えた。
【0009】
そして、前記各構成において、前記供給部は、前記収容部の外部から該収容部内へ前記殺菌成分を流入させるための開口部を、前記収容部の側板、天板または底板の少なくともいずれかに備える。
【0010】
更に、前記各構成において、前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器を備える。
【0011】
更に、前記各構成において、前記殺菌成分発生器は、前記収容部に対し着脱自在に設置される。
【0012】
更に、前記各構成において、前記殺菌成分発生器は、前記収容部の側板内面または天板下面の少なくともいずれかに取り付けられる。
【0013】
更に、前記各構成において、前記収容部に収容された空気を、前記収容部の外部へ取り出す取出部と、前記取出部で取り出される空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部とを備えた。
【0014】
更に、前記各構成において、殺菌成分がオゾンである。
【0015】
更に、前記各構成において、殺菌部は、紫外線を発生させる紫外線発生器を備えた。
【0016】
更に、前記各構成において、シートが選挙の際に使用される投票用紙、葉書または封筒の少なくともいずれかである。
【0017】
更に、前記各構成において、殺菌部は、AC電源及び乾電池の双方で動作可能である。
【0018】
更に、本発明は、前記各構成の収容装置を備えた選挙用投票箱である。
【0019】
本発明に係るシートの収容方法は、シートを収容する収容部へ、前記シートが挿入部から挿入される際、前記シートの殺菌を行う。
【0020】
更に、前記構成において、前記シートの前記収容部への挿入前に、前記シートを殺菌する殺菌成分を前記収容部内に存在させておく。
【0021】
更に、前記各構成において、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、供給部から前記収容部へ供給する。
【0022】
更に、前記各構成において、前記収容部の側板、天板または底板の少なくともいずれかに開口して設けられた前記供給部から前記殺菌成分を供給する。
【0023】
更に、前記各構成において、前記収容部に対し着脱自在に設置された殺菌成分発生器が発生する殺菌成分によってシートを殺菌する。
【0024】
更に、前記各構成において、前記収容部の内部に設置された殺菌成分発生器によって、シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる。
【0025】
更に、前記各構成において、前記収容部の空気を外部に排気する。
【0026】
更に、前記各構成において、外部に排気される空気から、残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する。
【0027】
更に、前記各構成において、オゾン又は紫外線の少なくともいずれかによって前記シートを殺菌する。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる収容装置によれば、シートを収容する収容部と、前記収容部に前記シートを挿入する挿入部と、前記収容部に収容された前記シートの殺菌を行うための殺菌部とを備えたので、シートを収容する際、該シートにウィルスや菌、カビ、花粉等が付着している場合であっても収容されたシートに触れる作業者が、感染する危険性を低減可能である。
【0029】
また、前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、前記収容部に供給するための供給部を備えた場合は、収容部の外部で生成された殺菌成分を容易に収容部に供給することができ、殺菌成分によって、シートを容易に殺菌することができる。
【0030】
また、前記供給部は、前記収容部の外部から該収容部内へ前記殺菌成分を流入させるための開口部を、前記収容部の側板、天板または底板の少なくともいずれかに備える場合は、容易に収容部に殺菌成分を供給できる。
【0031】
また、前記殺菌部は、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器を備える場合は、殺菌成分発生器によって、容易に殺菌成分を発生させることができる。
【0032】
また、前記殺菌成分発生器は、前記収容部に対し着脱自在に設置される場合は、シートの殺菌が必要なときにのみ殺菌成分発生器を収容部に装着することができる。
【0033】
また、前記殺菌成分発生器は、収容部の側板内面または天板下面の少なくともいずれかに取り付けられる場合は、殺菌成分を容易に収容部内に拡散できる。
【0034】
また、前記収容部に収容された空気を、前記収容部の外部へ取り出す取出部と、
前記取出部で取り出される空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部とを備えた場合は、取出部を用いて収容部の空気を容易に取り出すことができ、除去部で殺菌成分を除去することで外部に殺菌成分を多く含む空気が排出されるのを抑制可能である。
【0035】
また、殺菌成分がオゾンである場合は、シートを効率よく殺菌することができる。
【0036】
また、殺菌部は、紫外線を発生させる紫外線発生器を備えた場合は、紫外線を用いてシートを効果的に殺菌できる。
【0037】
また、シートが選挙の際に使用される投票用紙、葉書または封筒の少なくともいずれかである場合は、投票用紙、葉書または封筒の少なくともいずれかを効率よく殺菌することができる。
【0038】
また、前記殺菌部は、AC電源及び乾電池の双方で動作可能である場合は、AC電源または乾電池のいずれかしか使えない場合に比較して、利便性が高い。
【0039】
また、前記収容装置を備えた選挙用投票箱である場合は、投票されたシートを殺菌できる。
【0040】
本発明に係るシートの収容方法は、シートを収容する収容部へ、前記シートが挿入部から挿入される際、前記シートの殺菌を行うので、シートを収容する際、該シートにウィルスや菌、カビ、花粉等が付着している場合であっても収容されたシートに触れる作業者が、感染する危険性を低減可能である。
【0041】
また、前記シートの前記収容部への挿入前に、前記シートを殺菌する殺菌成分を前記収容部内に存在させておく場合は、シートが挿入されたときに、シートを効果的に殺菌できる。
【0042】
また、前記シートの殺菌を行うための殺菌成分を、供給部から前記収容部へ供給する場合は、収容部の外部で生成された殺菌成分を容易に収容部に供給することができ、殺菌成分によって、シートを容易に殺菌することができる。
【0043】
また、前記収容部の側板、天板または底板の少なくともいずれかに開口して設けられた前記供給部から前記殺菌成分を供給する場合は、容易に収容部に殺菌成分を供給できる。
【0044】
また、前記収容部に対し着脱自在に設置された殺菌成分発生器が発生する殺菌成分によってシートを殺菌する場合は、シートの殺菌が必要なときにのみ殺菌成分発生器を収容部に装着することができる。
【0045】
また、前記収容部の内部に設置された殺菌成分発生器によって、シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる場合は、殺菌成分発生器から発生された殺菌成分を容易に収容部内に満たすことができる。
【0046】
また、前記収容部の空気を外部に排気する場合は、シートの殺菌後、収容部を開封したとき、作業者が殺菌成分濃度の高い空気に接触する危険を回避できる。
【0047】
また、外部に排気される空気から、残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する場合は、外部に殺菌成分を多く含む空気が排出されるのを抑制可能である。
【0048】
また、オゾン又は紫外線の少なくともいずれかによって前記シートを殺菌する場合は、シートを効率よく殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る収容装置の外観斜視図である。
【
図4】前記収容装置の殺菌装置の拡大縦断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る収容装置の外観斜視図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る収容装置の外観斜視図である。
【
図12】本発明の第4の実施形態に係る収容装置の外観斜視図である。
【
図13】本発明の第5の実施形態に係る収容装置の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる収容装置100の外観斜視図、
図2は、前記収容装置100の正面図、
図3は、前記収容装置100の右側面図である。収容装置100は、収容部2及び殺菌部4を備える。
【0051】
収容部2は、シートを収容する。収容部2の形状は特に限定されないが、本実施形態では直方体箱状に形成されている。収容部2は、シートを収容する収容本体25と、収容本体25に対し開閉自在な蓋体24とを備える。収容本体25は、4つの側板26―29及び底板30を備える。収容本体25は、上部開口を有する。蓋体24は、収容本体25の前記上部開口を閉塞する。蓋体24は、収容本体25に対し着脱自在であってもよく、ヒンジにより連結され、揺動可能に構成してもよい。蓋体24は、収容部2の天板23を構成する。
【0052】
収容部2は施錠機構17を備える。蓋体24は、施錠機構17により収容本体に対し施錠される。図示省略するが、蓋体24には、把手を設けてもよい。
【0053】
収容部2はシートを挿入する挿入部11を備える。挿入部11は、2つ形成される。挿入部11は挿入口12を備える。挿入口12は、収容部2の天板23に細長く形成された開口部である。
【0054】
収容部2の材質としては、鋼、鉄、銅、アルミの一種もしくは二種以上の金属、上記した各種金属に、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、錫等の金属を含有した合金、及び合金を一種もしくは二種以上含むもの、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の合成樹脂、クラフト紙、和紙、ライナー紙、離型基材等を使用した段ボール、厚紙等の紙類、織布、不織布等の布地等とすることができる。
【0055】
収容部2は、内部に殺菌成分の濃度を検出する検出部15を備える。検出部15は、殺菌成分の濃度を検出し、制御装置90へ送信する。
【0056】
図5は、殺菌部4が収容部2の前側の側板26から取り外された状態を示す。側板26には、殺菌部4の設置位置に合わせ、供給部19及び取出部20が設けられている。供給部19及び取出部20は、いずれも収容部2の前側の側板26の所定位置に設けられた円形状の複数の開口部によって構成されている。供給部19は収容部2の高さの4分の3乃至2分の1程度の位置に設けられる。取出部20は供給部19の下方位置であって、収容部2の高さの3分の2乃至5分の2程度の位置に設けられる。供給部19は、殺菌成分発生器42で得られたシートの殺菌を行うための殺菌成分を収容部2へと供給する。取出部20は、収容部2に収容された空気を、収容部2の外部へ取り出す。
【0057】
殺菌部4は、収容部2に収容されたシートの殺菌を行う。殺菌部4は、殺菌装置3により構成される。殺菌装置3は、収容部2の外側に設置される。
図1-3では、殺菌装置3が、収容部2の前側の側板26の中央やや上よりの位置に取り付けられる場合を示す。
【0058】
殺菌装置3は筐体31を備える。筐体31は縦長の直方体状に形成される。筐体31は、収容部2の前側の側板26に接する該筐体31の背面の部材32及びこれに対向する前面部材33の双方に複数の通気口35を備える。通気口35は、所定直径を有する円形の開口部である。背面の通気口353,354は、対向する側板26に設けられた殺菌成分の供給部19及び取出部20と同じ直径を有する円形の開口部であり、これらと正確に位置合わせされている。
【0059】
図4に殺菌装置3の縦断面図を拡大して示す。筐体31内は、仕切部材36によって、内部空間が上下に分割されている。殺菌装置3は、供給機構41及び除去機構51を備える。筐体31内の上部の第1室37に、供給機構41が設けられる。供給機構41の下方の第2室38に除去機構51が設けられる。
【0060】
供給機構41は、殺菌成分発生機器42及び第1送風機43を備える。殺菌成分発生器42は、シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる。殺菌成分発生器42は、公知の装置を使用可能である。殺菌成分発生器42としては、オゾン発生装置、エチレンオキサイド発生器、イオン消毒剤発生器、ガスプラズマ発生装置、気相過酸化水素発生装置、酢酸発生装置及びグルタルアルデヒド発生装置、塩素化合物発生装置等が含まれる。
【0061】
殺菌成分には、例えば、オゾン、エチレンオキサイド、イオン消毒剤、ガスプラズマ、過酸化水素、酢酸、グルタルアルデヒド、塩素、次亜塩素酸ソーダ、塩素化合物、ホルマリン、銀、亜鉛などの無機物、焼成Caや焼成Mgなどのアルカリ性物質、TBZ、OPP、ジフェニル等の有機物、各種アルコール剤、各種持続的アルコール剤等及びこれらから選ばれた1種又は2種以上の混合物が含まれる。
【0062】
殺菌成分は、COVID-19、SARS(重症急性呼吸器症候群)などのコロナウイルス、インフルエンザウイルス、食中毒菌であるノロウイルス、結核菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、レジオネラ菌、カンピロバクター、O-157等の各種ウイルス、菌、カビ、ダニ、花粉、微生物、細菌胞子等の有害物質や汚染物質を殺菌するために用いられる物質である。
【0063】
殺菌には、COVID-19などの上記各種ウイルス、有害物質や汚染物質の低減、死滅、除去、減菌、抗菌、滅菌、消毒、衛生化、除染、消臭、防カビ、防腐、漂白、生物汚染物や病原性生物の不活性化等が含まれる。そして、本実施形態の殺菌には、シートに付着し、または空気中に浮遊している全ての菌やウイルス等の物質を死滅できていない場合も含まれる。
【0064】
第1送風機43は、殺菌成分発生器42と側板26の間に設置される。第1送風機43は、プロペラファン、シロッコファン、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ等により構成することができる。
【0065】
除去機構51は、除去部52及び第2送風機53を備える。除去部52は,収容部2の外部へ取り出される空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する。除去部52は、取り出された空気に含まれる殺菌成分を、低濃度化または無害化し、臭気を低減するために設けられる。除去部52によって、殺菌成分を完全に除去できていない場合もありうる。除去部52は殺菌成分に加え、収容部2から取り出された空気に含まれるウイルス、菌等の汚染物質や有害物質を低減することもできる。
【0066】
除去部52として、例えば、粒子フィルター、炭フィルター、チャコールフィルター、逆浸透フィルター、活性炭フィルター、セラミック炭素フィルター、蒸留フィルター、イオン化フィルター、イオン交換フィルター、紫外線フィルター、バックフラッシュフィルター、磁性フィルター、エネルギーフィルター、ボルテックスフィルター、化学的酸化フィルター、化学的添加フィルター、パイウォーターフィルター、樹脂フィルター、膜ディスクフィルター、マイクロ濾過膜フィルター、ニトロセルロース膜フィルター、スクリーンフィルター、シーブフィルター、篩フィルタ-、微孔性フィルターまたは微多孔フィルターなどの各種濾過フィルター、金属酸化物の触媒を用いる方法や、熱分解および紫外線やX線、ガンマ線等の電磁放射線の照射、及びそれらの組み合わせ等を用いることができる。
【0067】
第2送風機53は、収容部2の側板26に対し、除去部52より更に外方に設置される。第2送風機53は、第1送風機43と同様に、プロペラファン、シロッコファン、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ等により構成することができる。
【0068】
第1室37の前面に設けられた通気口351は、吸引部45を構成する。吸引部45は、筐体31の収容装置100へ外部の空気を吸引可能である。吸引部45は、筐体31の上部位置に設けられる。
【0069】
吸引部45の下方位置で、第2室38の前面に設けられた通気口352は、排出部55を構成する。排出部55は、収容部2から取出部20を介し回収され、除去部52を通過した空気を筐体31の外部へ排出する。
【0070】
筐体31の上面の部材34に操作部62及び表示部63が設けられる。操作部62は複数のスイッチにより構成される。操作部62は、開始部65及び停止部66を備える。開始部65を操作することで、殺菌装置3が作動される。停止部66を操作することで殺菌装置3を停止するための動作が開始され、その後殺菌装置3が停止される。
【0071】
表示部63はLEDランプにより構成される。表示部63は、殺菌装置3の状態を表示する。例えば、表示部63が点灯しているとき、殺菌装置3が運転中であることを示す。また。表示部63が点滅していると、殺菌装置3を停止するための動作が行われていることを示す。
【0072】
殺菌装置3は、収容部2に対し、着脱自在に設置される。殺菌装置3には、収容本体25に取り付けるための取付部68が設けられる。取付部68は、収容部2の側板26に接する面に位置する筐体31の背面の部材32が上方及び下方に突出して設けられる。
【0073】
取付部68は、取付用の孔69及び螺子71を備える。螺子71は、作業者が手動で締められることが、殺菌装置3の収容部2への着脱を容易とする点で好ましい。殺菌装置3が収容部2に取り付けられる際、孔69に螺子71が挿通され、側板26に螺合され、固定される。
【0074】
図5に示すように、収容部2の前側の側板26には、この取付部68の対向位置に、該取付部68と係合する取付受部73が設けられる。
【0075】
尚、取付部68は、取付用の孔69及び螺子71を用いる構成に限定されず、例えば、永久磁石、フック、ボルト、粘着剤等を用いても構わない。そして、取付受部73は、係止用の貫通孔や凸部、凹部、螺子、ナット、永久磁石等取付部68により係止可能な構成とされる。
【0076】
殺菌装置3は、AC電源または乾電池の少なくともいずれかにより作動される。特に、殺菌部4は、AC電源及び乾電池の双方で作動可能であることが好ましい。これより、AC電源または乾電池のいずれか一方しか設備がない状況でも作動可能である。
【0077】
殺菌装置3は、制御装置90を備える。制御装置90は、CPU、ROM、RAM等により、実現されている。制御装置90には検出部15から送信された検出結果を受信する。また、制御装置90は、操作部62からの情報を受信する。制御装置90には、シートを殺菌するための各種プログラムが記憶されている。制御装置90は、収容部2に収容されたシートに対し殺菌処理を実施するよう制御する。制御装置90は検出部15からの検出結果及び操作部62からの情報に基づき、プログラムに従って、2つの送風機43,53、殺菌成分発生器42、除去部52を作動する。制御装置90は、検出部15から送信された殺菌成分の濃度を受信し、殺菌成分の供給機構41及び除去機構51の作動を制御し、収容部2の殺菌成分の濃度を適宜調整する。また、制御装置90は、表示部63に適宜必要な表示を行う。
【0078】
そして、制御装置90は、内部に備えた時計によって、各部の運転時間を計測する。制御装置90は、殺菌成分発生器42を作動し、殺菌成分を発生させ、第1送風機43の作動によって、殺菌成分を含む空気を供給部19から収容部2へ供給するよう制御する。さらに、制御装置90は所定のタイミングで、第2送風機53を作動させて収容部2内の空気を取出部20から回収し、除去部52で殺菌成分の少なくとも一部を除去するよう制御する。
【0079】
殺菌が行われるシートは、特に限定されず、例えば、投票用紙、投票所入場券、投票所入場整理券、投票所入場はがき、投票案内はがき、不在者投票で用いられる封筒、期日前投票で用いられる封筒、在外選挙制度で用いられる封筒、抽選くじ、各種葉書、手紙、封書、伝票、紙幣、封筒、カード、方眼紙、便せん、荷札、手形、小切手、ポスター、ちらし、しおり、クーポン、切符、包装紙、くじ等の各種用紙や紙類、紙製、合成樹脂製または表面加工処理の施されたカード、磁気カード、フィルム、薄板、名刺等が挙げられる。
【0080】
収容装置は、挿入されたシートを収容可能であれば、特に限定されないが、例えば、投票用紙、投票所入場券、投票所入場整理券、投票所入場はがき、投票案内はがき、不在者投票で用いられる封筒、期日前投票で用いられる封筒や在外選挙制度で用いられる封筒等の選挙の際に使用される用紙やはがき、封筒等を収容する選挙用投票箱、収容箱、保管箱、保管庫、ロッカー、金庫、書類収納棚、容器、銀行や役所、病院、宅配等で使用される各種伝票、申請書、預かり書の保管庫、仮置用の入物、他のシートを収容する装置等が挙げられる。
【0081】
次に、本実施形態にかかる収容装置100の動作を以下に説明する。収容装置100は、初期工程、殺菌工程、終了工程の各工程を実施可能である。収容装置100を使用する際、作業者はまず、電源を投入する。作業者は、収容装置100が乾電池で作動する場合、予め収容装置100の図示しない乾電池装着部に乾電池を装着しておく。収容装置100がAC電源で作動する場合、作業者はAC電源の供給源に収容装置100を接続しておく。作業者は、電源投入後、操作部62を操作し、収容装置100の作動を開始させる。電源投入後、制御装置90は、まず初期工程を実施する。
【0082】
初期工程は、収容部2に必要な量の殺菌成分を満たすための工程である。初期工程で、制御装置90は、殺菌装置3を作動する。このとき、制御装置90は、殺菌成分の供給機構41を作動し、殺菌成分発生器42及び第1送風機43の双方を作動させる。殺菌成分発生器42の作動により、第1室37内に殺菌成分が発生する。また、第1送風機43の作動により、筐体31内で空気の流れが生じる。即ち、第1送風機43の作動によって、吸引部45から収容装置100の外部の空気が筐体31内へ流入し、殺菌成分発生器42及び第1送風機43を通過し、供給部19から収容部2内へ流入する。
【0083】
吸引部45から流入した空気が、殺菌成分発生器42を通過する際、殺菌成分発生器42で発生された殺菌成分が追加される。そして、この殺菌成分を含む空気が、供給部19から収容部2へ供給される。
【0084】
初期工程において、制御装置90が、殺菌成分の供給機構41の運転を所定時間継続することで、収容部2内に殺菌成分を含んだ空気が所定時間にわたり供給され続ける。例えば、制御装置90は、初期工程の運転開始から20分といったあらかじめ設定した所定時間にわたり、所定の初期濃度の殺菌成分を発生し、第1送風機43を所定の初期送風量で作動させる。
【0085】
収容部2内の殺菌成分の濃度は、初期工程での時間経過と共に高くなる。殺菌成分の供給機構41の作動前に、収容部2内に存在していた空気は、挿入部11や、収容本体25と蓋体24との隙間、収容部2の各々の側板26―29同士、側板26―29と底板30等から外部へ徐々に漏れていく。そして、収容部2内の殺菌成分の濃度は次第に上昇し、所定時間でシートの殺菌が可能となる所定濃度に至る。
【0086】
初期工程の開始から所定時間経過すると、制御装置90は殺菌工程に移行する。殺菌工程において、制御装置90は、殺菌成分発生器42による殺菌成分の発生量を初期濃度より低い所定の定常濃度に切り替える。また、第1送風機43の送風量を、初期送風量より少ない所定の定常送風量に切り替える。または殺菌成分発生器42及び第1送風機43を双方とも所定時間だけ一時的に停止してもよい。
【0087】
挿入部11からシートが挿入されると、収容部2内に満たされた殺菌成分によって、シートに付着している粉塵やウィルス、細菌、カビ等の汚染物質や有害物質が殺菌される。シートは、挿入部11から収容部2の下部へ落下する間に、多くの殺菌成分に晒され、接触し、殺菌される。
【0088】
供給機構41が収容部2の上部に設置されているので、下部に設置されているときより収容部2の上面に設けられた挿入部11からシートが挿入された直後、及びその落下中に、シートに殺菌成分をより多く接触させることができる。
【0089】
シートが収容部2の下部乃至底部に着地した後においても、収容部2に満たされた殺菌成分によってシートの殺菌を継続可能である。特に、殺菌成分が、オゾン等の空気より重い物質である場合、収容部2の下部に貯まりやすいので、シートを収容部2の下部に収容している間に該シートを効率よく殺菌することができる。
【0090】
殺菌工程において、制御装置90は、収容部2内の殺菌成分の濃度を所定の殺菌濃度を下回らないよう維持し、挿入部11から挿入されるシートを殺菌可能な状態を継続するよう制御する。このように、制御装置90は初期工程から殺菌工程へ移行することで、初期工程で短時間のうちに収容部2を十分な量の殺菌成分で満たすことができる。また、殺菌工程での殺菌成分の供給量を抑制できる。
【0091】
そして、過剰に殺菌成分が生成され、収容装置100の設置場所へ漏れるのを抑制することができる。殺菌成分発生器42で殺菌成分が必要量を超えて生成されないようにし、該殺菌成分の濃度が収容装置100の設置場所周辺で高くなり、作業者の人体に悪影響を及ぼすのを抑制できる。また、オゾンや塩素など殺菌成分が臭気を有する場合に、作業者が気分を害したり、体調を崩したりするのを抑制することができる。
【0092】
また、シートの収容部2への挿入前に、シートを殺菌する殺菌成分を収容部内に存在させておくよう制御することによって、1枚目のシートが挿入されたときにも、適切にシートを殺菌できる。尚、初期工程から殺菌工程への移行タイミングは、最初のシートが収容部2へ挿入されるタイミングより早くてもよく、遅くてもよい。
【0093】
殺菌成分の濃度は、検出部15により計測され、制御装置90へ送信される。制御装置90は、得られた殺菌成分の計測値をフィードバックし、これに基づき殺菌成分発生器42で発生させる殺菌成分の量を調整する。即ち、検出部15によって、単位時間毎の殺菌成分の濃度を計測する。制御装置90は、設定値と、検出部15から送られた計測値とを比較し、これらを基に殺菌成分発生器42、第1送風機43の動作を制御する。制御装置90には、予め、挿入部11から順次挿入されるシートの追加ペース、収容部2に既に収容済みのシートの量、周辺環境等に応じ、収容部2内で適切にシートが殺菌されるのに必要となる殺菌成分の濃度、殺菌成分発生器42での発生量や発生時間、収容部2への供給量、収容部2での曝気時間、初期工程から殺菌工程への移行タイミング等を実験結果等から取得された値が設定されている。
【0094】
シートが殺菌成分で殺菌されるのに要する時間は、殺菌成分の濃度が高ければ短くてよく、低ければ長い時間を要する。殺菌に要する時間は、例えば、20秒~60分とすることができ、好ましくは30秒~30分、より好ましくは1分~20分である。収容部2中の殺菌成分の濃度(質量ppm)と処理時間(分)の積であるCT値は、好ましくは100~6000ppm・分であり、より好ましくは200~4000ppm・分であり、さらに好ましくは300~2000ppm・分である。CT値が適正範囲のとき、ウイルスや菌、カビ等を適正に死滅することができ、処理後のシートの汚染物質や有害物質の残存量を少なくできる。
【0095】
計測部15の計測値を用いた殺菌成分の濃度調整に替えて、内部時計を用いて所定タイミングで殺菌成分発生器42の運転開始及び停止させ、収容部2が殺菌成分の予想濃度に調整されるよう制御してもよい。この場合、高価な殺菌成分の測定機器を設置する必要がないので、コストを削減できる。
【0096】
シートの殺菌を終了するとき、制御装置90は終了工程へ移行する。終了工程では、制御装置90は、収容部2に収容されたシートの殺菌処理を終了するための準備を行う。終了工程は、作業者によって、停止部66が操作されたとき実施される。また、制御装置90は、いずれかの場所に設置した安全センサ(図示省略)が運転上の危険を検出したときにも、終了工程を実施することができる。
【0097】
終了工程では、収容部2に供給され、収容部2に滞留する殺菌成分の低減、除去、無毒化、無害化を行う。収容部2内で殺菌に使用された殺菌成分は、取出部20から取り出され、除去部52で濃度が低下され、除去された上で外部へ排出される。終了工程において、制御装置90は、殺菌成分発生器42を停止し、第2送風機53を作動する。このとき第1送風機43は動作を継続している。
【0098】
殺菌成分発生器42の停止により、収容部2に供給される空気に殺菌成分が含まれなくなる。また、第2送風機53の作動により、収容部2内の空気は、取出部20から取り出され、第2室38へ流入し、除去部52に至り、第2送風機53を経て、排出部55から外部へ排出される。除去部52では、収容部2から取り出された空気に含まれる殺菌成分が除去される。
【0099】
除去機構51は、収容部2の下部に設置されているので、殺菌成分が空気より重い物質の場合には、効率よく殺菌成分を回収することができる。
【0100】
終了工程を開始した後、収容部2に収容されていた空気に含まれる殺菌成分が除去部52で除去されるのに必要な所定時間経過すると、制御装置90は、第1送風機43及び第2送風機53双方を停止する。
【0101】
このように、終了工程において、収容部2内の空気を、所定濃度の殺菌成分を含んだ状態から、順次殺菌成分をほとんど含まない外部の空気に入れ替える。殺菌工程でシートの殺菌が行われている状態では、収容部2内の空気が、所定量の殺菌成分を含んでおり、外部の空気より、殺菌成分の濃度が高い状態となっている。
【0102】
この殺菌成分濃度の高い状態のままで、シートを取り出す目的で蓋体24を開放したとすると、作業者は、所定濃度の殺菌成分を鼻や口から体内に吸い込む恐れがある。そこで、作業者が蓋体24を開放し、収容部2内の空気に触れる前の段階で、装置本体1の外部の空気と入れ替える。これより、蓋体24を開放しても作業者は、殺菌成分濃度の高い空気に接触したり、体内に吸い込んだりする危険を回避できる。
【0103】
以上より、本実施形態にかかる収容装置100は、シートを収容する収容部2と、収容部2にシートを挿入する挿入部11と、収容部2に収容されたシートの殺菌を行うための殺菌部4とを備えたので、シートを収容する際、該シートにウィルスや菌、カビ、花粉等が付着している場合であっても収容されたシートに触れる作業者が、感染する危険性を低減可能である。
【0104】
また、殺菌部4は、シートの殺菌を行うための殺菌成分を、収容部2に供給するための供給部19を備えたので、収容部2の外部で生成された殺菌成分を容易に収容部2に供給することができ、殺菌成分によって、シートを容易に殺菌することができる。
【0105】
そして、供給部19は、収容部2の側板26に設けられた開口部によって構成されるので、容易に収容部2に殺菌成分を供給できる。
【0106】
更に、殺菌部4は、シートの殺菌を行うための殺菌成分を発生させる殺菌成分発生器42を備えたので、殺菌成分発生器42によって、容易に殺菌成分を発生させることができる。
【0107】
更に、殺菌成分発生器42は、収容部2に対し着脱自在に設置されるので、シートの殺菌が必要なときにのみ殺菌成分発生器42を収容部2に装着することができる。
【0108】
更に、収容部2に収容された空気を、収容部2の外部へ取り出す取出部20と、取出部20で取り出される空気に残存する殺菌成分の少なくとも一部を除去する除去部52とを備えたので、取出部20を用いて収容部2の空気を容易に取り出すことができ、除去部52で殺菌成分を除去することで外部に殺菌成分を多く含む空気が排出されるのを抑制可能である。
【0109】
更に、シートが選挙の際に使用される投票用紙、葉書または封筒の少なくともいずれかである場合は、これら投票用紙、葉書又は封筒を効率よく殺菌することができる。
【0110】
更に、殺菌部4は、AC電源及び乾電池の双方で作動可能であるので、AC電源または乾電池のいずれかしか使えない場合に比較して、利便性が高い。
【0111】
更に、収容装置100を選挙用投票箱として用いる場合は、挿入された投票用紙を殺菌できる。よって、開披台上での人手による混同作業を実施する前に、投票用紙を殺菌でき、安全である。仮に、投票した者の中にウィルス等の感染者がいた場合でも、投票用紙に付着した汚染物質を殺菌でき、汚染物質の拡散を回避できる。
【0112】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。尚、以下の実施形態において、すでに説明済みの実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図6は本発明の第2の実施形態に係る収容装置100aの外観斜視図、
図7は前記収容装置100aの側面図、
図8は、前記収容装置100aの平面図である。上記第1の実施形態では、殺菌装置3が、1個の筐体31内に殺菌成分の供給機構41と除去機構51とを一体に備えた。本第2の実施形態では、これに替えて、殺菌装置3aの殺菌成分の供給機構41aと、除去機構51aとが別々に設置される。
【0113】
殺菌成分の供給機構41aは、収容本体25aの前側の側板26a上部のやや下の位置に設置される。供給機構41aは筐体311を備える。筐体311は正面視縦横の長さがほぼ等しい正方形のような形状を有する。筐体311の内部には図示省略するが殺菌成分発生器及び第1送風機が設置される。筐体311の前面には、吸引部45aが開口して設けられる。筐体311の背面に設けられた通気口351a(
図9参照)に位置合わせして、収容本体25aの前側の側板26aに供給部19aが開口して設けられる。
【0114】
除去機構51aは、
図7に示すように、収容本体25aの背面下部のやや上の位置に設置される。除去機構51aは、上記供給機構41aとほぼ同じ形状の筐体312を備える。筐体312の背面には、排出部55aが開口して設けられる。筐体312の前面に設けられた通気口354aに位置合わせして収容本体25aの後側の側板27a下部に取出部20aが開口して設けられる。
【0115】
供給機構41aと除去機構51aとは、電線75によって接続されている。筐体312の内部には図示しない除去部及び第2送風機が設置される。
【0116】
除去機構51aが収容部2の背面下部に設置されているので、収容部2の前面に設置されている場合に比較して、収容部2の前面にいる作業者に、排出部55から排出された空気が直接作業者に当たるのを回避可能である。
【0117】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
図10は本発明の第3の実施形態に係る収容装置100bの外観斜視図である。本第3の実施形態では、収容装置100bは受容体81を備える。受容体81は、収容部2bを内部に収容可能な大きさ及び形状を有する。殺菌装置3bは、受容体81に設置される。
【0118】
受容体81は、直方体状に形成される。受容体81は、所定厚さを有する4つの側壁76―79及び底壁80を備える。受容体81は、収容部2bを内部に受け入れる受容部82を有する。受容部82は、収容部2bと略同じ縦横の長さであってかつ該収容部2bより所定量だけ僅かに大きく形成される。受容部82の深さは、収容部2bの高さより短く形成される。これより、受容部82に収容部2bを装着したとき、収容部2bの上部が、受容体81上面より突出し、受容体81の4つの側壁76―79より所定量高くなっている。
【0119】
受容体81には、受容部82に収容部2bを受容したことを検出する検出部83が設置される。
図11に示すように、収容部2bは、上方に引き上げることで、収容部2bを受容部82から取り出すことができる。
【0120】
本第3の実施形態に係る殺菌装置3bは、上記第1,2の実施形態のように、収容部2,2aに着脱自在に取り付けられるのに替えて、受容体81に設置される。殺菌装置3bは、受容体81の前側の側壁76中央のやや上の位置に設置される。側壁76の殺菌装置3b設置位置には、側壁76を構成する前板85及び後板86双方に、窓部87が設けられる。前板85の窓部87の上方位置に、操作部62b及び表示部63bが設けられる。収容部2bは上記第1の実施形態の収容部2とほぼ同様の構成を有する。
【0121】
作業者は、操作部62bを操作し、殺菌装置3bを作動する。制御装置90bは、収容部2bが受容部82に受容されていることを検出部83が検出しているかどうかを確認する。検出部83が受容部82に収容部2bが受容されていると判断すると、殺菌装置3bを作動する。収容部2b内は殺菌装置3bで発生され、供給された殺菌成分で満たされ、挿入部11bから挿入され、収容されたシートが殺菌される。
【0122】
本第3の実施形態では、収容部2bが受容体81の受容部82に受容されるので、収容部2bを受容部82へ装着することで、容易に殺菌成分を収容部2bへ供給できるようになる。また、収容部2bを殺菌装置3bを収容部2bから取り外したいときも収容部2bを引き出すことで、容易に殺菌装置bを収容部2bと切り離し可能である。
【0123】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
図12は本発明の第4の実施形態に係る収容装置100cの外観斜視図である。前記第3の実施形態では、受容体81に前側の側壁76に設置された殺菌装置3bが、殺菌成分の供給機構41bと除去機構51bとを一体に備えたが、本第4の実施形態では、これに替えて、殺菌装置3cの殺菌成分の供給機構41cが受容体81cの前側の側壁76cに、除去機構51cが後側の側壁77cに設置される。
【0124】
供給機構41cと除去機構51cとを接続する電線75cは、前側の側壁76c、右側の側壁79c及び後側の側壁77cにわたって設置される。
【0125】
上記と同様に、除去機構51cが収容部2cの背面下部に設置されているので、収容部2の前面に設置されている場合に比較して、収容部2cの前面にいる作業者に、排出部55から排出された空気が作業者に直接あたるのを回避可能である。
【0126】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る収容装置100dを以下に説明する。
図13は第5の実施形態に係る収容装置100dの部分拡大断面図である。上記第1-4の実施形態では、殺菌成分発生器42―42cで発生させた殺菌成分を供給部19―19cから収容部2―2cに供給したが、本第5の実施形態では、これに替えて収容部2d内に設けた殺菌部4dによってシートを殺菌する。殺菌部4dは紫外線を発生させる紫外線発生器47を備える。
【0127】
紫外線発生器47は、挿入部11dの近傍に設置される。収容部2dの天板23dに2つの挿入口12dが設けられている。挿入口12dの下方には、一対のガイド13が所定量離間して設けられる。ガイド13は天板23dの下面に垂下されている。天板23dの下面にはさらに、2つの挿入口12dの間に、制御装置90dが垂設される。紫外線発生器47は、挿入口12dを挟んで設置されたガイド13の外方に設置される。
【0128】
シートの通過経路と紫外線発生器47との間に、ガイド13が設置されることで、挿入口12dから挿入されたシートが紫外線発生器47に接触するのを回避できる。よって、紫外線発生器47が発熱したときに、シートに悪影響が及ぶのを回避できる。即ち、例えば、シートが樹脂などにより表面加工されている場合に、ガイド13によって、紫外線発生器47に対し断熱することで、シートが損傷するのを抑制できる。また、シートが発熱した紫外線発生器47に接触して、付着し、落下することができず、収容部2dの上部にとどまり、挿入部11dを詰まらせる危険を排除できる。
【0129】
ガイド13は、紫外線の透過率が高い材料とすることが好ましい。具体的には、ガイド13は、石英ガラス、水晶等を用いることができる。ガイド13が紫外線透過率の高い材料とされることで、ガイド13を透過した紫外線がシートまで容易に到達可能となる。ガイド13の紫外線透過度が高くない場合には、シートへの紫外線照射用の開口部やスリット、孔等を設けることで、紫外線をシートの照射することができる。
【0130】
殺菌部は、紫外線を発生させる紫外線発生器を備えたので、紫外線を用いてシートを効果的に殺菌できる。また、紫外線を照射することでシートを殺菌でき、送風機など殺菌成分を拡散させる部品が不要となる。よって、製造部品点数を減少でき、組み立て容易となり、コストダウンできる。
【0131】
尚、上記実施形態では、収容部2は直方体箱状に形成されたが、これに限定されず、立方体、球体、他の多角形柱状、多面体、凹凸のある形状等他の形状であってもよい。また、収容部2は、シートを収容する収容本体25と、収容本体25に対し開閉自在な蓋体24とを備えたが、収容部が蓋体のない構成としてもよい。その場合例えば、収容部が伸縮自在に形成され、開口部からシートを出し入れできる構成、シートが通過可能なスリットが形成された構成、またはスナップやファスナー等の留め具によって開口部を閉止可能な構成、収容部内にシートの搬送装置を設置し、シートを撹拌しつつ搬送し、連続的に殺菌を行う構成等採用することができる。
【0132】
また、挿入部11は、天板23に設けられた2つの開口部だったが、挿入部は、天板、側板または底板の少なくともいずれかに設けることができる。また、挿入部は、1つであってもよく3個以上であってもよい。また、挿入部11は開口部に替えて、シートを挿入するための挿入機構や挿入台を設けてもよく、搬送ローラ、搬送ベルト、搬送用吸引機、搬送用送風機等を設置することで、自動で収容部へ搬送し、シートを挿入させてもよい。
【0133】
また、供給部19は、収容部2の前側の側板26に設けられた円形状の複数の開口部であったが、これに限定されず、供給部は、側板、天板、底板または蓋体の少なくともいずれかに設けてもよい。また、供給部は、四角形や三角形他の多角形の開口部であってもよく、1つでもよく少数であってもよい。
【0134】
収容部2内の殺菌成分の濃度を検出する検出部15を備えたが、検出部は必ずしも備えなくてもよい。また、検出部は殺菌成分の濃度を計測できず、収容部における所定量の殺菌成分の有無のみを検出できるものでもよい。
【0135】
殺菌成分の供給機構41または殺菌成分発生器42は、収容装置とは別に設置してもよい。この場合、殺菌成分発生器で発生される殺菌成分を収容部内へ供給するためのチューブやパイプ、配管、ジョイント等を供給部に設置してもよい。
【0136】
取出部20と、除去部52とを備えたが、これらを備えなくてもよい、
【0137】
殺菌成分の供給機構41は、収容部2の外部の前側の側板26の上部に着脱自在に設置したが、該収容部の後側、左右側板、底板の少なくともいずれかに設置してもよく、収容部の上方や上部、下方、底部、左右側面のうち、少なくともいずれかに設置することができる。また、殺菌成分発生器を着脱自在でなく、収容部に固定したまま外せない構成としてもよい。
【0138】
また、殺菌成分の供給機構41は、収容部の内部に設置してもよい。殺菌成分の供給機構を収容部の内部に設置する場合、収容部に供給部を設ける必要はない。また、第1送風機も不要となる。吸引部も不要となる。殺菌成分発生器は、収容部内部の底板上に設置することができる。また、殺菌成分発生器は、収容部の側板内面または天板下面の少なくともいずれかに取り付けることも可能である。殺菌成分発生器を、収容部の側板に取り付けるかまたは天板の下面に垂下することで、殺菌成分発生器から発生された殺菌成分を容易に収容部内に満たすことができる。この場合、収容部の下部に積み重ねられて収容されたシートによって殺菌成分の拡散が阻害されるといったことが抑制できる。供給機構が収容部の内部に設置される場合に、除去機構を収容部の外部に設けてもよく、収容部の内部に設けてもよい。また、除去部のみ収容部の内部に設置し、第2送風機を収容部の外部であって、除去部を通過した空気が通過可能な位置に設置してもよい。更には、除去機構を設置しない構成とすることも可能である。
【0139】
また、 受容部82に収容部2bを装着したとき、収容部2bの上部が、受容体81上面より突出するよう収容部2bが受容体81の4つの側壁76―79より所定量高く形成されたが、同じ高さであってもよく、側壁の方が収容部の上面より所定量高くなるように形成してもよい。更には、収容部が完全に受容部に覆われるよう構成してもよい。側壁の上面を収容部より高い位置とするとともに、受容部に蓋体を設け、収容部全体を受容部の中に収容できるウにしてもよい。この場合、受容体の蓋体または側壁の少なくともいずれかに、収容部の挿入部に位置合わせして、シートの挿入部を形成する必要がある。これより、収容部に収容されるシートだけでなく、収容部全体を殺菌することができる。
【0140】
また、紫外線発生器47は、天板下面に取り付けられたが、収容部の他の内壁面であってもよい。また、収容装置100は、除去部52を備えたが、除去部を設けず、収容部の空気を回収することなく収容装置の外部に放出し、拡散させてもよい。
【符号の説明】
【0141】
2 収容部、4 殺菌部、11 挿入部、19 供給部、20 取出部、26 側板、42 殺菌成分発生器、47 紫外線発生器、52 除去部、100 収容装置。