(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178608
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】電子部品包装体の製造システム
(51)【国際特許分類】
B65B 15/04 20060101AFI20221125BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20221125BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
B65B15/04 N
B65G1/137 B
B65B15/04 P
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085539
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】高木 勇也
(72)【発明者】
【氏名】大屋 達彦
(72)【発明者】
【氏名】丸林 央樹
【テーマコード(参考)】
2G051
3F522
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB20
3F522AA03
3F522BB02
3F522BB03
3F522BB32
3F522BB33
3F522BB36
3F522CC06
3F522DD03
3F522DD04
3F522DD05
3F522DD25
3F522DD34
3F522DD36
3F522EE11
3F522FF04
3F522FF05
3F522GG17
3F522GG44
3F522GG46
3F522JJ01
3F522JJ02
3F522LL25
(57)【要約】
【課題】電子部品のロット単位で、電子部品包装体の管理を行うことができる電子部品包装体の製造システムを提供する。
【解決手段】製造システム1は、電子部品10を包装して包装体20を生成し、包装体20を運搬具30に収容する包装装置100と、運搬具30を保管する保管庫300と、制御装置500とを備える。包装装置100は、電子部品10の処理ロットに関連するロット関連識別情報を取得するデバイス120と、運搬具30の運搬具識別情報を取得するデバイス130とを有する。制御装置500は、ロット関連識別情報と運搬具識別情報とを関連付けた情報を生成する生成部と、特定の処理ロットの電子部品を指定処理ロットとして指定する指定部と、関連付け情報に基づいて、保管庫300から、指定処理ロットの電子部品10を包装した包装体20を収容した運搬具30を指定運搬具として指定する指定部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を包装した電子部品包装体を製造するシステムであって、
複数の前記電子部品を包装材により包装して前記電子部品包装体を生成し、複数の前記電子部品包装体を運搬具に収容する包装装置と、
複数の前記運搬具を保管する保管庫と、
制御装置と、
を備え、
前記包装装置は、
前記電子部品の処理ロット情報を含む、または前記電子部品の処理ロット情報と関連付けられた、ロット関連識別情報を取得するロット関連識別情報取得デバイスと、
複数の前記運搬具の運搬具識別情報を取得する第1運搬具識別情報取得デバイスと、
を有し、
前記制御装置は、
前記ロット関連識別情報取得デバイスによって取得された前記ロット関連識別情報と、前記第1運搬具識別情報取得デバイスによって取得された運搬具識別情報とを関連付けて、第1関連付け情報を生成する第1関連付け情報生成部と、
特定の処理ロットの電子部品を指定処理ロットとして指定する処理ロット指定部と、
前記指定処理ロットと前記第1関連付け情報とに基づいて、前記保管庫に保管されている複数の運搬具の中から、前記指定処理ロットの電子部品を包装した電子部品包装体を収容した運搬具を指定運搬具として指定する運搬具指定部と、
を有する、
電子部品包装体の製造システム。
【請求項2】
前記運搬具を前記保管庫から次工程エリアに搬送する搬送機をさらに備え、
前記制御装置は、前記運搬具指定部によって指定された指定運搬具を前記保管庫から前記次工程エリアに搬送するよう指示する搬送指示信号を、前記搬送機に出力する搬送指示信号出力部をさらに有する、
請求項1に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記保管庫に保管されている個々の運搬具の運搬具識別情報と、前記個々の運搬具の保管場所を示す保管場所情報とを関連付ける第2関連付け情報を生成する第2関連付け情報生成部をさらに有し、
前記搬送指示信号出力部は、前記第2関連付け情報に基づいて、前記運搬具指定部によって指定された指定運搬具の保管場所情報を特定し、特定した保管場所情報を含む前記搬送指示信号を前記搬送機に出力する、
請求項2に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項4】
前記搬送機は、第1搬送機と第2搬送機とを含み、
前記第1搬送機は、前記搬送指示信号に基づいて、前記搬送指示信号が指示する指定運搬具を、前記搬送指示信号が指示する保管場所情報が示す前記保管庫の保管場所から前記第2搬送機に搬送し、
前記第2搬送機は、前記第1搬送機によって搬送された指定運搬具を前記次工程エリアまで搬送する、
請求項3に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項5】
前記運搬具を前記保管庫に搬入する搬入機をさらに備え、
前記第2関連付け情報生成部は、前記搬入機によって搬入された運搬具の運搬具識別情報と、前記搬入機によって搬入された運搬具の保管場所情報とを関連付ける前記第2関連付け情報を生成する、
請求項3または請求項4に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項6】
前記搬入機は、同じ処理ロットの電子部品を収容している複数の運搬具が離れた位置で保管されることを許容するように、前記複数の運搬具を、前記保管庫の空いている保管場所に順次搬入する、請求項5に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項7】
前記保管庫または前記搬送機は、前記運搬具の運搬具識別情報を取得する第2運搬具識別情報取得デバイスを有し、
前記制御装置は、前記搬送機が前記指定運搬具を前記保管庫の保管場所から搬送する際に、前記第2運搬具識別情報取得デバイスによって取得された前記運搬具識別情報と、前記指定運搬具の運搬具識別情報との照合処理を行う照合処理部をさらに有する、
請求項2~6のいずれか1項に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項8】
前記次工程エリアは、前記電子部品包装体を検査する検査工程エリアである、請求項2~7のいずれか1項に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項9】
前記指定運搬具は、複数の運搬具を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の電子部品包装体の製造システム。
【請求項10】
前記ロット関連識別情報取得デバイスは、前記ロット関連識別情報として、前記電子部品の収容容器情報を取得し、
前記制御装置は、前記電子部品の収容容器情報に基づいて、前記電子部品の収容容器に収容されている電子部品の処理ロットを特定する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の電子部品包装体の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品包装体の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の電子部品が収納されたテープリール(電子部品包装体)を複数収納・保管することができるリールストッカーが開示されている。このリールストッカーでは、テープリールを取り出す場合、電子部品の種類を示すバーコードをバーコードリーダにて読みとると、該当テープリールが収納されている収納位置のLEDが点灯し、作業者に収納位置を報知する。これにより、目的とする電子部品を正確かつ迅速に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子部品包装体の製造システムにおいて、電子部品の種類よりも小さな単位であるロット単位で、電子部品包装体を管理することが望まれている。
【0005】
本発明は、電子部品のロット単位で、電子部品包装体の管理を行うことができる電子部品包装体の製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品包装体の製造システムは、複数の電子部品を包装した電子部品包装体を製造するシステムであって、複数の前記電子部品を包装材により包装して前記電子部品包装体を生成し、複数の前記電子部品包装体を運搬具に収容する包装装置と、複数の前記運搬具を保管する保管庫と、制御装置と、を備える。前記包装装置は、前記電子部品の処理ロット情報を含む、または前記電子部品の処理ロット情報と関連付けられた、ロット関連識別情報を取得するロット関連識別情報取得デバイスと、複数の前記運搬具の運搬具識別情報を取得する第1運搬具識別情報取得デバイスと、を有する。前記制御装置は、前記ロット関連識別情報取得デバイスによって取得された前記ロット関連識別情報と、前記第1運搬具識別情報取得デバイスによって取得された運搬具識別情報とを関連付けて、第1関連付け情報を生成する第1関連付け情報生成部と、特定の処理ロットの電子部品を指定処理ロットとして指定する処理ロット指定部と、前記指定処理ロットと前記第1関連付け情報とに基づいて、前記保管庫に保管されている複数の運搬具の中から、前記指定処理ロットの電子部品を包装した電子部品包装体を収容した運搬具を指定運搬具として指定する運搬具指定部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品のロット単位で、電子部品包装体の管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る電子部品包装体の製造システムを示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る電子部品収容容器の一例を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る電子部品包装体の一例を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る運搬具の一例を示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る保管庫の一例を示す概略構成図である。
【
図6】本実施形態に係る制御装置(ホスト装置)の一例を示す概略構成図である。
【
図7】本実施形態に係る電子部品包装体の製造システムによる包装・保管動作を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る電子部品包装体の製造システムによる指定動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0010】
<電子部品包装体の製造システム>
図1は、本実施形態に係る電子部品包装体の製造システムを示す概略構成図である。
図2は、本実施形態に係る電子部品収容容器の一例を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る電子部品包装体の一例を示す斜視図である。
図4は、本実施形態に係る運搬具の一例を示す斜視図である。
図5は、本実施形態に係る保管庫の一例を示す概略構成図である。
図6は、本実施形態に係る制御装置(ホスト装置)の一例を示す概略構成図である。
【0011】
図1に示す電子部品包装体の製造システム1は、複数の電子部品、例えば複数の積層セラミックコンデンサ、を包装した電子部品包装体(electronic component package)を製造し、保管するシステムである。製造システム1は、1または複数の包装装置100と、保管庫300と、ホスト装置としての制御装置500とを備える。また、製造システム1は、搬入機310と、搬送機320と、次工程エリアとしての検査工程エリア400と、を備えてもよい。
【0012】
<<包装装置>>
包装装置100は、複数の電子部品10を包装材により包装して電子部品包装体20を生成する。具体的には、
図2に示すように、複数の電子部品10は、収容容器15に収容された状態で、各包装装置100まで運搬される。
図3に示すように、包装装置100は、複数の電子部品10を、長尺状または帯状のキャリアテープ22のポケット23に収容し、キャリアテープ22およびカバーテープ24(包装材)により複数の電子部品10を包装する。包装装置100は、長尺状または帯状のキャリアテープ22およびカバーテープ24(包装材)をリール形状に巻き取って、電子部品包装体20を生成する。電子部品の収容容器15および電子部品包装体20の詳細は後述する。
【0013】
また、包装装置100は、複数の電子部品包装体20を運搬具(transport bucket/ transport container)30に収容する。例えば、
図4に示すように、包装装置100は、運搬具30に、生成された電子部品包装体20を順次に重ねて配置する。運搬具30の詳細は後述する。
【0014】
<<<電子部品の収容容器>>>
上述した電子部品の収容容器15に関し、1つの収容容器15には、同じ処理ロットの電子部品10が収容される。なお、同じ処理ロットの電子部品10が、複数の電子部品収容容器15に収容されている場合もある。
【0015】
図2に示すように、電子部品の収容容器15には、電子部品10の処理ロットに関連するロット関連識別情報を保持する識別子11が設けられている。例えば、ロット関連情報を識別する識別子11として、バーコードまたは2次元コードが収容容器15の外表面に貼りつけられている。または、ロット関連情報を識別する識別子11として、RFIDが収容容器15に設けられていてもよい。
【0016】
ロット関連識別情報は、電子部品10の処理ロット情報を直接的に含んでいてもよい。あるいは、ロット関連識別情報は、電子部品10の処理ロット情報と関連付けられる識別情報であってもよい。例えば、ロット関連識別情報は、電子部品10の処理ロット情報が関連付けられている電子部品の収容容器15の情報であってもよい。この場合、例えば収容容器15内に電子部品10を収容する収容工程において、制御装置500によって、電子部品10の処理ロット情報と、電子部品の収容容器15の情報が関連付けられればよい。これにより、この収容工程後において、制御装置500は、電子部品の収容容器15の情報に基づいて、収容容器15に収容されている電子部品10の処理ロットを特定することができる。
【0017】
<<<電子部品包装体>>>
図3に示すように、電子部品包装体20には、包装体20の識別情報を保持する識別子21が設けられている。例えば、包装体情報を識別する識別子21として、バーコードまたは2次元コードが包装体20の外表面に貼りつけられていてもよい。または、包装体情報を識別する識別子21として、RFIDが包装体20に設けられていてもよい。
【0018】
<<<運搬具>>>
図4に示すように、運搬具30は、複数の包装体20を収容して、運搬可能に構成されている。運搬具30には、運搬具30の識別情報を保持する識別子31が設けられている。例えば、運搬具情報を識別する識別子31として、バーコードまたは2次元コードが運搬具30の外表面に貼りつけられている。または、運搬具情報を識別する識別子31として、RFIDが運搬具30に設けられていてもよい。
【0019】
<<<電子部品の処理ロット>>>
ここで、処理ロットは、同じ条件で製造される複数の電子部品10によって構成される製造ロットである。例えば、処理ロットとしての製造ロットは、1または複数の運搬具30に収容された複数の電子部品包装体20に包装された複数の電子部品10によって構成されていてもよい。
【0020】
再び
図1を参照し、各包装装置100は、ロット関連識別情報取得デバイス120と第1運搬具識別情報取得デバイス130とを備える。すなわち、ロット関連識別情報取得デバイス120および第1運搬具識別情報取得デバイス130は、包装装置100ごとに設けられている。また、各包装装置100は、第1包装体識別情報取得デバイス140を備えていてもよい。すなわち、第1包装体識別情報取得デバイス140は、包装装置100ごとに設けられていてもよい。
【0021】
ロット関連識別情報取得デバイス120は、電子部品10のロット関連識別情報として、電子部品10の処理ロット情報を直接的に含む識別情報を取得する。或いは、ロット関連識別情報取得デバイス120は、電子部品10のロット関連識別情報として、電子部品10の処理ロット情報と関連付けられる識別情報を取得してもよい。例えば、ロット関連識別情報取得デバイス120は、バーコードリーダまたは2次元コードリーダであり、電子部品の収容容器15に設けられたバーコードまたは2次元コード等の識別子11から、ロット関連識別情報を読み取る。または、ロット関連識別情報取得デバイス120は、RFIDリーダであり、RFID等の識別子11から、ロット関連識別情報を読み取る。
【0022】
第1運搬具識別情報取得デバイス130は、運搬具30の運搬具識別情報を取得する。例えば、第1運搬具識別情報取得デバイス130は、バーコードリーダまたは2次元コードリーダであり、運搬具30に設けられたバーコードまたは2次元コード等の識別子31から、運搬具識別情報を読み取る。または、第1運搬具識別情報取得デバイス130は、RFIDリーダであり、RFID等の識別子31から、運搬具識別情報を読み取る。
【0023】
第1包装体識別情報取得デバイス140は、電子部品包装体20の包装体識別情報を取得する。例えば、第1包装体識別情報取得デバイス140は、バーコードリーダまたは2次元コードリーダであり、包装体20に設けられたバーコードまたは2次元コード等の識別子21から、包装体識別情報を読み取る。または、第1包装体識別情報取得デバイス140は、RFIDリーダであり、RFID等の識別子21から、包装体識別情報を読み取る。
【0024】
なお、ロット関連識別情報取得デバイス120は、ユーザがロット関連識別情報を入力する入力部であってもよい。また、第1運搬具識別情報取得デバイス130は、ユーザが運搬具識別情報を入力する入力部であってもよい。また、第1包装体識別情報取得デバイス140は、ユーザが包装体識別情報を入力する入力部であってもよい。この場合、ロット関連識別情報取得デバイス120、第1運搬具識別情報取得デバイス130、および第1包装体識別情報取得デバイス140は、例えば物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等、で構成される。
【0025】
<<搬入機>>
図1および
図5に示すように、搬入機310は、電子部品包装体20を収容した運搬具30を保管庫300に搬入する。搬入機310は、第1搬入機311と第2搬入機312とから構成されてもよい。
【0026】
第1搬入機311は、例えばAGV(Automatic Guided Vehicle)であり、制御装置500からの指示信号に基づいて、運搬具30を、包装装置100から第2搬入機312まで搬送する。
【0027】
第2搬入機312は、例えばコンベア、スタッカークレーン、作業アーム等を備えた入庫ロボットであり、制御装置500からの指示信号、例えば保管場所情報、に基づいて、第1搬入機311によって搬送された運搬具30を、保管庫300の保管場所まで搬送する。
【0028】
なお、搬入機310は、制御装置500の指示信号に基づいて、同じ処理ロットの電子部品10を収容している複数の運搬具30が離れた位置で保管されることを許容するように、複数の運搬具30を、保管庫300の空いている保管場所に順次搬入してもよい。なお、搬入機310は、作業者によって運搬される運搬台車であってもよい。
【0029】
<<保管庫>>
図5に示すように、保管庫300は、電子部品包装体20を収容した運搬具30を保管する自動倉庫である。保管庫300は、運搬具30を保管する保管場所ごとに保管場所情報(アドレス情報)を有する。運搬具30は、制御装置500の指令により、保管庫300の空いている保管場所に順次搬入される。後述するように、運搬具30が保管庫300に搬入される際に、保管庫300に保管されている個々の運搬具30の運搬具識別情報と、個々の運搬具30の保管場所を示す保管場所情報とは、制御装置500により関連付けられて記憶される。
【0030】
<<搬送機>>
図1および
図5に示すように、搬送機320は、電子部品包装体20を収容した運搬具30を保管庫300から次工程エリア400に搬送する。搬送機320は、第1搬送機321と第2搬送機322とから構成されてもよい。
【0031】
第1搬送機321は、例えばコンベア、スタッカークレーン、作業アーム等を備えた出庫ロボットであり、制御装置500からの搬送指示信号に基づいて、搬送指示信号が指示する指定運搬具を、搬送指示信号が指示する保管場所情報が示す保管庫300の保管場所から第2搬送機322に搬送する。これにより、第1搬送機321は、保管庫300に保管されている複数の運搬具30の中から、指定の処理ロットの電子部品10を包装した包装体20を収容する運搬具30を出庫することができる。
【0032】
第2搬送機322は、例えばAGV(Automatic Guided Vehicle)であり、第1搬送機によって搬送された指定運搬具30を次工程エリアである検査工程エリア400まで搬送する。なお、搬送機320は、作業者によって運搬される運搬台車であってもよい。
【0033】
保管庫300または搬送機320は、第2運搬具識別情報取得デバイス330をさらに備えていてもよい。第2運搬具識別情報取得デバイス330は、運搬具30を保管庫300から搬送する際に、運搬具30の運搬具識別情報を取得する。例えば、第2運搬具識別情報取得デバイス330は、バーコードリーダまたは2次元コードリーダであり、運搬具30に設けられたバーコードまたは2次元コード等の識別子31から、運搬具識別情報を読み取る。または、第2運搬具識別情報取得デバイス330は、RFIDリーダであり、RFID等の識別子31から、運搬具識別情報を読み取る。
【0034】
なお、第2運搬具識別情報取得デバイス330は、ユーザが運搬具識別情報を入力する入力部であってもよい。この場合、第2運搬具識別情報取得デバイス330は、例えば物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等、で構成される。
【0035】
<<次工程エリア(検査工程エリア)>>
次工程エリア400は、電子部品包装体20を検査する検査工程エリア400である。電子部品包装体20の検査内容としては、例えば、電子部品包装体20の外観検査(テーピング状態の確認等)または電子部品10の外観検査等が挙げられる。検査工程における検査内容は、電子部品の処理ロットごとに変更する必要がある場合がある。この点に関し、本実施形態によれば、指定の処理ロット単位の電子部品を保管庫300から次工程エリアに搬送することができるので、次工程エリアが検査工程エリアの場合に特に有用である。
【0036】
なお、次工程エリア400は検査工程エリアに限らない。例えば、次工程エリア400は出荷準備エリアであってもよい。この場合、包装装置100による包装工程と、保管庫300による保管工程との間に、上述同様の検査工程が行われてもよい。次工程エリア400が出荷準備エリアの場合、特定の処理ロットの電子部品と、出荷先とを紐づけて出荷管理を行う上で有用である。また、ロット単位での出荷作業が容易となる。
【0037】
<<制御装置(ホスト装置)>>
図6に示すように、制御装置500は、指定の処理ロットの電子部品10を包装した電子部品包装体20を収容した運搬具30を、保管庫300から次工程エリアとしての検査工程エリア400に搬送するよう、搬送機320を制御する。制御装置500は、第1関連付け情報生成部511と、処理ロット指定部520と、運搬具指定部530と、搬送指示信号出力部540と、記憶部560とを有する。また、制御装置500は、第2関連付け情報生成部512と、照合処理部550とを有していてもよい。
【0038】
<<<第1関連付け情報生成部>>>
第1関連付け情報生成部511は、無線または有線の通信規格に従う通信インタフェースを介して、包装装置100のロット関連識別情報取得デバイス120によって取得されたロット関連識別情報と、包装装置100の第1運搬具識別情報取得デバイス130によって取得された運搬具識別情報とを受信する。第1関連付け情報生成部511は、ロット関連識別情報と運搬具識別情報とを関連付けて、第1関連付け情報を生成する。生成された第1関連付け情報は、記憶部560に記憶されてもよい。
【0039】
なお、第1関連付け情報生成部511は、包装装置100の第1包装体識別情報取得デバイス140によって取得された包装体識別情報を受信し、さらに包装体識別情報を関連付けて第1関連付け情報を生成してもよい。
【0040】
<<<第2関連付け情報生成部>>>
第2関連付け情報生成部512は、保管庫300に保管されている個々の運搬具30の運搬具識別情報と、個々の運搬具30の保管場所を示す保管場所情報とを関連付けて、第2関連付け情報を生成する。例えば、制御装置500は、搬入機310、例えば第1搬入機311および第2搬入機312、によって保管庫300に搬入される運搬具30を、保管庫300のどの保管場所に搬入するかを決定し、搬入機310、例えば第1搬入機311および第2搬入機312、に指示を行ってもよい。これにより、第2関連付け情報生成部512は、搬入機310によって搬入された運搬具30の運搬具識別情報と、搬入機310によって搬入された運搬具30の保管場所情報とを関連付けることができる。
【0041】
<<<処理ロット指定部>>>
処理ロット指定部520は、特定の処理ロットの電子部品を指定処理ロットとして指定する。例えば、処理ロット指定部520は、例えば物理的な操作ボタンを有するキーボードまたはマウス等、或いは仮想的な操作ボタンを有するタッチパネル等を介してオペレータの入力情報を受信し、オペレータの入力情報に基づいて指定処理ロットを指定してもよい。或いは、例えば、処理ロット指定部520は、無線または有線の通信規格に従う通信インタフェースを介して上位装置からの指令を受信し、上位装置からの指令に基づいて指定処理ロットを指定してもよい。
【0042】
<<<運搬具指定部>>>
運搬具指定部530は、指定処理ロットと第1関連付け情報とに基づいて、保管庫300に保管されている複数の運搬具30の中から、指定処理ロットの電子部品10を包装した電子部品包装体20を収容した運搬具30を指定運搬具として指定する。なお、同じ処理ロットの電子部品10が複数の運搬具30に分割されている場合、指定運搬具はこれらの複数の運搬具30を含む。
【0043】
<<<搬送指示信号出力部>>>
搬送指示信号出力部540は、運搬具指定部530によって指定された指定運搬具を保管庫300から次工程エリア400に搬送するよう指示する搬送指示信号を、無線または有線の通信規格に従う通信インタフェースを介して、搬送機320、例えば第1搬送機321および第2搬送機322、に出力する。また、搬送指示信号出力部540は、第2関連付け情報に基づいて、運搬具指定部530によって指定された指定運搬具の保管場所情報を特定し、特定された保管場所情報を含む搬送指示信号を、搬送機320、例えば第1搬送機321および第2搬送機322、に出力してもよい。
【0044】
<<<照合処理部>>>
照合処理部550は、搬送機320が指定運搬具を保管庫300の保管場所から搬送する際に、保管庫300または搬送機320の第2運搬具識別情報取得デバイス330によって取得された運搬具識別情報と、指定運搬具30の運搬具識別情報との照合処理を行う。これにより、異なる処理ロットの電子部品が出庫される可能性をさらに低減することができる。
【0045】
制御装置500の第1関連付け情報生成部511、第2関連付け情報生成部512、処理ロット指定部520、運搬具指定部530、搬送指示信号出力部540および照合処理部550は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の1または複数の演算プロセッサで構成される。これらの制御装置500の各種機能は、例えば記憶部560に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。これらの制御装置500の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0046】
これらの制御装置500の全て機能は、必ずしもホスト装置に設けられていなくともよく、これらの制御装置500の一部機能は、ホスト装置以外の装置に分離されて設けられていてもよい。例えば、第1関連付け情報生成部511は包装装置100に設けられていてもよいし、第2関連付け情報生成部512は保管庫300または搬入機310に設けられていてもよい。
【0047】
記憶部560は、制御装置500の各部により実行されるプログラム(ソフトウェア)を記憶する。また、記憶部560は、第1関連付け情報、第2関連付け情報を記憶する。記憶部560は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。
【0048】
次に、本実施形態に係る電子部品包装体の製造システムによる包装・保管動作、および、指定動作について説明する。
図7は、本実施形態に係る電子部品包装体の製造システムによる包装・保管動作を示すフローチャートであり、
図8は、本実施形態に係る電子部品包装体の製造システムによる指定動作を示すフローチャートである。
【0049】
<包装・保管動作>
図7に示すように、包装装置100は、複数の電子部品10を包装して電子部品包装体20を生成する。また、包装装置100は、複数の電子部品包装体20を運搬具30に収容する(S11)。
【0050】
このとき、包装装置100のロット関連識別情報取得デバイス120は、電子部品の収容容器15の識別子11から、電子部品10の処理ロットに関連するロット関連識別情報を取得する(S12)。また、包装装置100の第1運搬具識別情報取得デバイス130は、運搬具30の識別子31から、運搬具30の運搬具識別情報を取得する(S12)。すると、制御装置500の第1関連付け情報生成部511は、ロット関連識別情報と運搬具識別情報とを関連付けて第1関連付け情報を生成する(S13)。
【0051】
搬入機310は、運搬具30を包装装置100から保管庫300に搬送し、保管庫300の保管場所に保管する(S14)。このとき、制御装置500の第2関連付け情報生成部512は、運搬具30と保管場所情報とを関連付けて第2関連付け情報を生成する(S15)。
【0052】
上述したステップS11~S15の動作が繰り返される。これにより、保管庫300に、電子部品10の処理ロットごとに、電子部品10を包装した電子部品包装体20を収容した運搬具30であって複数の運搬具30が保管される。また、制御装置500に、ロット関連識別情報と運搬具識別情報とが関連付けされた第1関連付け情報が生成される。また、運搬具30と保管場所情報とが関連付けされた第2関連付け情報が生成される。
【0053】
<指定動作>
オペレータによって特定の処理ロットが入力される。すると、
図8に示すように、制御装置500の処理ロット指定部520は、特定の処理ロットに基づいて、指定処理ロットを指定する(S21)。制御装置500の運搬具指定部530は、指定処理ロットと第1関連付け情報とに基づいて、指定処理ロットの電子部品10を包装した電子部品包装体20を収容する指定運搬具30を指定する(S22)。制御装置500の搬送指示信号出力部540は、指定運搬具30を搬送するよう指定する搬送指示信号を出力する(S23)。このとき、搬送指示信号出力部540は、第2関連付け情報に基づいて、指定運搬具30の保管場所情報を含む搬送指示信号を出力してもよい。
【0054】
搬送機320は、搬送指示信号が指示する指定運搬具30を、搬送指示信号が指示する保管場所情報が示す保管庫300の保管場所から次工程エリア400に搬送する(S24)。
【0055】
このとき、搬送機320の第2運搬具識別情報取得デバイス330は、出庫する指定運搬具30の識別子31から、運搬具識別情報を取得する(S25)。制御装置500の照合処理部550は、出庫する指定運搬具30の運搬具識別情報と、指令した指定運搬具30の運搬具識別情報とを照合する(S26)。
【0056】
これにより、保管庫300に保管されている複数の運搬具30の中から、特定の処理ロットの電子部品10を包装した電子部品包装体20を収容する運搬具30を、次工程エリア400に搬送することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の電子部品包装体の製造システム1によれば、
包装装置100は、電子部品10の処理ロット情報に関連するロット関連識別情報を取得するロット関連識別情報取得デバイス120と、複数の運搬具30の運搬具識別情報を取得する第1運搬具識別情報取得デバイス130とを有し、制御装置500は、ロット関連識別情報取得デバイス120によって取得されたロット関連識別情報と、第1運搬具識別情報取得デバイス130によって取得された運搬具識別情報とを関連付けて、第1関連付け情報を生成する第1関連付け情報生成部511と、特定の処理ロットの電子部品を指定処理ロットとして指定する処理ロット指定部520と、指定処理ロットと第1関連付け情報とに基づいて、保管庫300に保管されている複数の運搬具30の中から、指定処理ロットの電子部品10を包装した電子部品包装体20を収容した運搬具30を指定運搬具として指定する運搬具指定部とを有する。これにより、電子部品10の種類よりも小さな単位であるロット単位で、電子部品包装体20の管理を行うことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、電子部品は積層セラミックコンデンサに限らず、例えば圧電部品、サーミスタ、インダクタ等のチップ状の積層セラミック電子部品や、その他の電子部品であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 電子部品包装体の製造システム
10 電子部品
11 識別子(ロット関連識別情報)
15 電子部品の収容容器
20 電子部品包装体
21 識別子(包装体識別情報)
23 キャリアテープ(包装材)
24 カバーテープ(包装材)
30 運搬具
31 識別子(運搬具識別情報)
100 包装装置
120 ロット関連識別情報取得デバイス
130 第1運搬具識別情報取得デバイス
140 第1包装体識別情報取得デバイス
300 保管庫
310 搬入機
311 第1搬入機
312 第2搬入機
320 搬送機
321 第1搬送機
322 第2搬送機
330 第2運搬具識別情報取得デバイス
400 検査工程エリア(次工程エリア)
500 制御装置(ホスト装置)
511 第1関連付け情報生成部
512 第2関連付け情報生成部
520 処理ロット指定部
530 運搬具指定部
540 搬送指示信号出力部
550 照合処理部
560 記憶部