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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178632
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ガス遮断器及び吸着剤装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/915 20060101AFI20221125BHJP
   H02B 13/055 20060101ALI20221125BHJP
   H02B 13/035 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01H33/915
H02B13/055 B
H02B13/035 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085577
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 蛍子
【テーマコード(参考)】
5G001
5G017
【Fターム(参考)】
5G001AA06
5G001BB03
5G017BB01
5G017DD03
(57)【要約】
【課題】吸着剤の急激な吸着能力の低下を抑制し、安定した吸着性能を実現することができるガス遮断器及び吸着剤装置を提供する。
【解決手段】ガス遮断器1は、絶縁ガスが充填される容器3と、容器3内に配置された第一電極61と、容器3内に配置され、第一電極61に対して接触する接触位置と第一電極61に対して離れる離間位置とに切り替えられる第二電極62と、離間位置にある第二電極62と第一電極61との間に生じたアーク放電A1に対して絶縁ガスを吹き付けてアーク放電A1を消弧するノズル73と、容器3内に配置され、消弧した際に生じる分解ガスと水分との少なくとも一方を取込み可能な取込み口87を有し、分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着する吸着剤K1を収容する吸着剤ケース81と、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を吸着剤ケース81内において攪拌する撹拌部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガスが充填される容器と、
前記容器内に配置された第一電極と、
前記容器内に配置され、前記第一電極に対して接触する接触位置と前記第一電極に対して離れる離間位置とに切り替えられる第二電極と、
前記離間位置にある前記第二電極と前記第一電極との間に生じたアーク放電に対して前記絶縁ガスを吹き付けて前記アーク放電を消弧するノズルと、
前記容器内に配置され、前記消弧した際に生じる分解ガスと水分との少なくとも一方を取込み可能な取込み口を有し、前記分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着する吸着剤を収容する吸着剤ケースと、
前記吸着剤ケースに収容された前記吸着剤を前記吸着剤ケース内において攪拌する撹拌部と、
を備える、
ガス遮断器。
【請求項2】
前記撹拌部は、
前記吸着剤ケース内に配置されたブレードと、
前記ブレードを前記吸着剤ケース内で動かす駆動部と、
を有する、
請求項1記載のガス遮断器。
【請求項3】
前記撹拌部は前記ブレードの回転軸となるシャフトを有し、
前記駆動部は、前記シャフトを回転させるモータである、
請求項2記載のガス遮断器。
【請求項4】
前記撹拌部は、加圧された前記絶縁ガスを前記吸着剤ケースに吹きこんで前記吸着剤を前記吸着剤ケース内において攪拌する配管を有する、
請求項1記載のガス遮断器。
【請求項5】
絶縁ガスを加圧するパッファ室と、
前記パッファ室と前記ノズルとをつなぐ流路と、
を更に備え、
前記配管は、前記流路から分岐している、
請求項4記載のガス遮断器。
【請求項6】
前記撹拌部は、駆動源から出力された動力によって前記吸着剤ケースを動かす動力伝達具である、
請求項1記載のガス遮断器。
【請求項7】
前記動力伝達具は、前記第二電極の動きを前記吸着剤ケースに伝達するように構成されている、
請求項6記載のガス遮断器。
【請求項8】
前記吸着剤ケースは、
前記吸着剤を収容し、底面の少なくとも一部がメッシュ材で構成された収容部と、
前記収容部の下方に設けられた受け部と、
を有し、
前記メッシュ材は、網目の対向間の寸法が前記吸着剤の平均粒子径よりも小さくなるように構成されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載のガス遮断器。
【請求項9】
前記メッシュ材を第一メッシュ材とし、
前記収容部は、前記底面以外の部分の少なくとも一部が、前記取込み口としての複数の網目を含む第二メッシュ材で構成されており、
前記第二メッシュ材の各網目の開口面積は、前記第一メッシュ材の各網目の開口面積よりも小さい、
請求項8記載のガス遮断器。
【請求項10】
絶縁ガスが充填される容器と、
前記容器内に配置され、互いに接触又は離間するように切り替えられる一対の電極と、
前記一対の電極が離間した際に前記一対の電極の間に生じたアーク放電に対して前記絶縁ガスを吹き付けて前記アーク放電を消弧するノズルと、
を備えるガス遮断器に用いられる吸着剤装置であって、
アーク放電が消弧した際に生じる分解ガスと水分との少なくとも一方を取込み可能な取込み口を有し、前記分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着する吸着剤を収容する吸着剤ケースと、
前記吸着剤ケースに収容された前記吸着剤を前記吸着剤ケース内において攪拌する撹拌部と、
を備える、
吸着剤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮断器及び吸着剤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のガス遮断器が記載されている。特許文献1記載のガス遮断器は、一対の接触子と、一対の接触子が離れた際に生じるアークを消弧する絶縁ノズルと、これらを収める容器と、を備える。容器には絶縁ガスが充填されている。
【0003】
絶縁ノズルによって、アークを消弧すると、分解ガスが生じる。この分解ガスは、絶縁ガスの絶縁性能を低下させたり、装置内部の腐食を引き起こしたりする可能性がある。このため、引用文献1記載のガス遮断器では、容器の内面に、分解ガスを吸着するための吸着剤を敷いている。これによって、特許文献1記載の発明では、分解ガスを吸着し、絶縁ガスの絶縁性能を維持しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-189798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸着剤によって分解ガスを吸着する際、分解ガスは、吸着剤の表面に対して接触して吸着される。このため、容器内に敷かれた吸着剤のうち、容器内の空間に面する表面にて分解ガスを吸着することになるが、表面のみでしか分解ガスを吸着することができない。このため、特許文献1記載の発明では、吸着剤の吸着能力が急激に低下することがあって、吸着性能が安定しないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、吸着剤の急激な吸着能力の低下を抑制し、安定した吸着性能を実現することができるガス遮断器及び吸着剤装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様のガス遮断器は、絶縁ガスが充填される容器と、前記容器内に配置された第一電極と、前記容器内に配置され、前記第一電極に対して接触する接触位置と前記第一電極に対して離れる離間位置とに切り替えられる第二電極と、前記離間位置にある前記第二電極と前記第一電極との間に生じたアーク放電に対して前記絶縁ガスを吹き付けて前記アーク放電を消弧するノズルと、前記容器内に配置され、前記消弧した際に生じる分解ガスと水分との少なくとも一方を取込み可能な取込み口を有し、前記分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着する吸着剤を収容する吸着剤ケースと、前記吸着剤ケースに収容された前記吸着剤を前記吸着剤ケース内において攪拌する撹拌部と、を備える。
【0008】
本発明に係る一態様の吸着剤装置は、絶縁ガスが充填される容器と、前記容器内に配置され、互いに接触又は離間するように切り替えられる一対の電極と、前記一対の電極が離間した際に前記一対の電極の間に生じたアーク放電に対して前記絶縁ガスを吹き付けて前記アーク放電を消弧するノズルと、を備えるガス遮断器に用いられる吸着剤装置であって、アーク放電が消弧した際に生じる分解ガスと水分との少なくとも一方を取込み可能な取込み口を有し、前記分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着する吸着剤を収容する吸着剤ケースと、前記吸着剤ケースに収容された前記吸着剤を前記吸着剤ケース内において攪拌する撹拌部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記態様のガス遮断器及び吸着剤装置は、吸着剤の急激な吸着能力の低下を抑制し、安定した吸着性能を実現することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るガス遮断器において、第二電極が接触位置にある場合の断面図である。
図2】同上のガス遮断器において、第二電極が離間位置にある場合の断面図である。
図3】同上のガス遮断器の吸着剤装置の鉛直面での概略断面図である。
図4】変形例1に係るガス遮断器の鉛直面での概略断面図である。
図5】変形例2に係るガス遮断器の鉛直面での概略断面図である。
図6】変形例3に係るガス遮断器の吸着剤装置の鉛直面での概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本実施形態に係るガス遮断器1は、絶縁ガスが充填された容器3内において、電路の開閉が行われる遮断器である。ガス遮断器1は、例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS)の一構成要素として用いられる。本発明に係るガス遮断器1としては、例えば、機械的にパッファ室の容積を変化させる機械パッファ型、磁気駆動併用熱パッファ型、ブラスト型、機械パッファ室と熱パッファ室とを直列に設ける直列熱パッファ型等が挙げられる。磁気駆動併用熱パッファ型ガス遮断器は、駆動コイルで生じる磁力によってアークをガス雰囲気中で回転させ、これによって当該アークに相対的なガスの吹き付けを行う磁気駆動作用と、アーク熱にて蓄圧されたガスの放出の際にアークに対して吹き付けを行う熱パッファ作用とを共に得られるように構成された遮断器である。本実施形態では、機械パッファ型のガス遮断器1を一例として挙げて、説明する。
【0012】
ガス遮断器1は、図1に示すように、遮断器本体2と、吸着剤装置8と、を備える。
【0013】
(1)遮断器本体
遮断器本体2は、ガス遮断器1の主体を構成する。遮断器本体2は、容器3と、一対の導体41,42と、電流遮断装置5とを備える。
【0014】
(1.1)容器
容器3は、ガス遮断器1の筐体である。容器3の材質は、特に制限はなく、例えば、金属、碍子等によって構成されている。容器3は、容器本体部31と、一対の管状部32と、各管状部32内に取り付けられたスペーサ33と、を備える。
【0015】
容器本体部31は、容器3の主体を構成する部分である。容器本体部31は中空状に形成されている。容器本体部31の形状としては、特に制限はなく、例えば、円筒状、角筒状、箱状等が挙げられる。本実施形態の容器本体部31は、水平面に沿って中心軸が延びる円筒状に形成されている。
【0016】
管状部32は、電流遮断装置5の一対の電極のうちの一方の電極(第一電極61)に電気的に接続された第一導体41と、他方の電極(第二電極62)に電気的に接続された第二導体42とが、内部に通される部分である。管状部32は、容器本体部31から容器本体部31の中心軸に交差する方向に突出している。管状部32の内部は容器本体部31の内部に通じている。
【0017】
スペーサ33は、管状部32内に各導体41,42を通した状態で、各導体41,42を支持する。スペーサ33は、電気絶縁性を有する材料で構成されている。スペーサ33によって、各導体41,42は、管状部32に接触することなく、管状部32の中心軸に沿って支持されている。
【0018】
容器3の内部には、電流遮断装置5を収容する収容空間S1が形成されている。収容空間S1は、気密に保たれており、絶縁ガスが充填される。収容空間S1は、本実施形態では、容器本体部31、管状部32の基部、及びスペーサ33で仕切られた空間である。ただし、本発明では、収容空間S1は、気密に保たれていれば、スペーサ33によって仕切られていなくてもよいし、容器本体部31内において当該容器本体部31よりも小さい空間であってもよい。
【0019】
絶縁ガスは、絶縁性及び消弧性を有するガスであり、不活性ガスが用いられる。絶縁ガスとしては、例えば、SFガス(六フッ化硫黄ガス)、COガス(二酸化炭素ガス)、CFI(ヨウ化トリフルオロメタン)とN(窒素)との混合ガス、CFIとCOとの混合ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が用いられる。
【0020】
(1.2)電流遮断装置
電流遮断装置5は、第一導体41と第二導体42と間の電路において、開路と閉路とを切り替える装置である。電流遮断装置5は、図1に示すように、電流遮断部6と、消弧部7と、を備える。電流遮断装置5は、容器本体部31内において、一対の絶縁支持体51によって支持されている。
【0021】
(1.2.1)電流遮断部
電流遮断部6は、第一電極61と、第二電極62と、駆動装置63と、を備える。電流遮断部6は、第二電極62を、第一電極61に対して接触する位置(接触位置)と、第一電極61に対して離れる位置(離間位置)とに切り替えることができる。
【0022】
第一電極61は、第一導体41に電気的に接続された接触子である。第一電極61は、後述の排気筒74の中心軸に沿って延びており、当該排気筒74及び絶縁支持体51を介して容器3に支持されている。本実施形態に係る第一電極61は、容器3に対して固定されており、すなわち、固定接触子である。
【0023】
第二電極62は、第二導体42に電気的に接続された接触子である。第二電極62は、後述のシリンダ71の中心軸に沿って延びており、当該シリンダ71に対して固定されている。したがって、第二電極62は、図2に示すように、シリンダ71が中心軸に沿って移動すると、シリンダ71と一緒に当該中心軸に沿って移動する。本実施形態に係る第二電極62は、第一電極61に対して可動な可動接触子である。
【0024】
シリンダ71の中心軸は、容器3の中心軸に沿っている。したがって、第二電極62は、容器3の中心軸に沿って、接触位置(図1)と離間位置(図2)との間で往復移動し得る。接触位置にある第二電極62は、第一電極61と接触し、これによって、第一導体41と第二導体42との間の電路が閉路になる。一方、離間位置にある第二電極62は、第一電極61と離れ、これによって、第一導体41と第二導体42との間の電路が開路になる。第二電極62は、駆動装置63及び絶縁支持体51を介して、容器3に対して移動可能に支持されている。
【0025】
駆動装置63は、第二電極62及びシリンダ71を駆動する。第二電極62及びシリンダ71は、駆動装置63によって、シリンダ71の中心軸に沿って、接触位置と離間位置との間で移動する。駆動装置63としては、特に制限はなく、例えば、電動シリンダ、空圧シリンダ、油圧シリンダ、モータ、リニアアクチュエータ、ソレノイド等が挙げられる。
【0026】
(1.2.2)消弧部
消弧部7は、第二電極62が離間位置に切り替えられたときに、第一電極61と第二電極62との間に生じるアーク放電A1(電弧)を消弧する。消弧部7は、シリンダ71と、ピストン72と、ノズル73と、排気筒74と、を備える。
【0027】
シリンダ71は、円筒状に形成されている。シリンダ71の内部には、上述した通り、中心軸に沿って第二電極62が配置されている。シリンダ71の中心軸方向の端部のうちの第一電極61側の端部には、ノズル73が取り付けられている。また、シリンダ71と第二電極62との間には、ピストン72が、シリンダ71に対して移動可能に取り付けられている。ピストン72は、シリンダ71に対して移動可能に取り付けられるが、本実施形態では、容器3に対して動かないように取り付けられている。
【0028】
ノズル73は、シリンダ71内にある絶縁ガスを吐出する部分である。ノズル73は筒状に形成されており、図1に示すように、第二電極62が接触位置に切り替えられると、第一電極61がノズル73の内部に通される。一方、第二電極62が離間位置に切り替えられると、図2に示すように、第一電極61がノズル73の内部から外れ、第一電極61と第二電極62との間に生じたアーク放電A1がノズル73の内部に生成される。
【0029】
ここで、シリンダ71の内周面、ピストン72及び第二電極62で囲まれた室を、「パッファ室75」という。パッファ室75とノズル73とは、流路76を介して通じている。シリンダ71及び第二電極62が中心軸に沿って、接触位置に向かって移動すると、図1に示すように、パッファ室75の圧力が下降し、パッファ室75内に絶縁ガスが充填される。一方、シリンダ71及び第二電極62が中心軸に沿って、離間位置に向かって移動すると、図2に示すように、パッファ室75の絶縁ガスが加圧され、加圧された絶縁ガスは、流路76を通って、ノズル73から吐出される。
【0030】
ノズル73を通る絶縁ガスは、第一電極61と第二電極62との間に生じたアーク放電A1に吹き付けられる。これによって、第一電極61と第二電極62との間に生じたアーク放電A1を消弧することができる。
【0031】
ノズル73から出た絶縁ガスは、排気筒74内に流れる。排気筒74に流れた絶縁ガスは、排気筒74の中心軸方向の端部のうちの第二電極62とは反対側の端部から排気筒74の外に出る。排気筒74の外に出た絶縁ガスは、容器3内を対流する。
【0032】
(2)吸着剤装置
吸着剤装置8は、消弧の際に生じる分解ガス及び絶縁ガス中に含まれる微量の水分(以下、「分解ガス等」という)を取り込み、吸着する装置である。吸着剤装置8によって分解ガス等を吸着することで、絶縁ガスの絶縁性及び消弧性の低下を抑制することができる。
【0033】
絶縁ガスは、アーク放電A1に吹き付けられた際、アーク放電A1の熱によって、一部の絶縁ガスがプラズマ化して、絶縁ガスの分子が解離及び再結合し、分解ガスが発生することがある。例えば、絶縁ガスがCFIを含むガスの場合、ヨウ素、フッ化水素及びヨウ化水素等を含む分解ガスが生成される。また、例えば、絶縁ガスがCOを含む場合、CO分子の解離により生じる酸素イオンが金属と反応して、COガスを含む分解ガスが生成される。これら分解ガスや、絶縁ガスに含まれる水分は、絶縁ガスの絶縁性及び消弧性の低下を引き起こす可能性がある。
【0034】
吸着剤装置8は、図3に示すように、吸着剤K1を収容した吸着剤ケース81と、撹拌部9と、を備える。吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1は、吸着剤K1の表面を構成する吸着剤K1の粒子が、分解ガス等と接触し、当該分解ガスを吸着するため、吸着剤K1の接触面(表面)近傍の吸着剤K1粒子の吸着性能が低下しやすい。そこで、本実施形態に係る吸着剤装置8では、撹拌部9を備え、吸着剤K1を吸着剤ケース81内で攪拌することで、吸着剤K1の急激な吸着能力の低下を抑制し、安定した吸着性能を実現することができる。
【0035】
吸着剤K1は、分解ガスを吸着できれば特に制限はなく、例えば、ゼオライト、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、活性炭、ゼオラム、イオン交換樹脂、チタニア、マグネシア、ジルコニア、グラファイトの一種又は複数種を組み合わせて使用することができる。なお、ここでいう「吸着剤K1」は吸着剤粒子の集合体を意味する。吸着剤K1は、例えば、固形状、粒状、粉末状等であってよく、特に制限はない。
【0036】
(2.1)吸着剤ケース
吸着剤ケース81は、吸着剤K1を収容するケースである。吸着剤ケース81は、容器3の収容空間S1内に配置されている。本実施形態では、吸着剤ケース81は、容器3の底面における接触した第一電極61と第二電極62との近傍に配置されているが、収容空間S1内であれば、天面や、天面と側面との入隅部等、どの位置に配置されてもよい。
【0037】
吸着剤ケース81は、吸着剤K1を収容することができれば、形状には特に制限はなく、例えば、箱状、円筒状、角筒状、球状、角錐台状等が挙げられる。また、吸着剤ケース81の材質としては、特に制限はなく、例えば、金属、合成樹脂、布、不織布、織布等が挙げられる。吸着剤ケース81は、容器3に対して取外し可能に取り付けられており、吸着剤K1を交換する際に、吸着剤ケース81ごと交換することもできるし、吸着剤ケース81を容器3から取り外した上で、吸着剤K1を入れ替え、再度、容器3に取り付けることもできる。
【0038】
本実施形態に係る吸着剤ケース81は、図3に示すように、底壁811と、複数の周壁812と、天壁813とを備える。底壁811、周壁812及び天壁813は、メッシュ材で構成されている。本実施形態では、メッシュ材の各網目が、分解ガスを吸着剤ケース81の内部に取り込む取込み口87となっている。
【0039】
本明細書でいう「メッシュ材」は、多数の貫通孔を有する素材を意味する。メッシュ材としては、例えば、網材、パンチングメタル、エキスパンドメタル、多孔質状の板材、ハニカム板等が挙げられる。
【0040】
吸着剤ケース81の網目は、対向間の寸法L1が吸着剤K1の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。ここでいう「対向間の寸法L1」とは、網目の開口縁間の寸法を意味し、網目が矩形状の場合は、向かい合う各辺間の寸法であり、網目が円形の場合は、網目の直径である。これによって、吸着剤ケース81から吸着剤K1が出るのを抑制することができる。ここでいう「平均粒子径」は、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折法・散乱法により測定された結果の平均値とすることができる。
【0041】
(2.2)撹拌部
撹拌部9は、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を、吸着剤ケース81内において攪拌する。撹拌部9によれば、吸着剤ケース81内で堆積された吸着剤K1を、堆積方向において、表面側と奥側とで入れ替えることができ、吸着性能が損なわれていない吸着剤K1を表面側に配置することができる。この結果、吸着剤K1の急激な吸着性能の低下を抑制することができる。
【0042】
撹拌部9は、後述の変形例でも説明するように、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を吸着剤ケース81内において撹拌するものであれば種々の態様を取り得るが、本実施形態では、ブレード91によって、吸着剤K1を攪拌する。吸着剤ケース81内におけるブレード91の動きは、例えば、回転運動、旋回運動、直線運動、揺動運動、振動等が挙げられるが、ここでは、回転運動をするブレード91を一例として説明する。
【0043】
本実施形態に係る撹拌部9は、図3に示すように、複数のブレード91と、シャフト92と、駆動部93と、制御部94と、を備える。
【0044】
ブレード91は、吸着剤ケース81内に配置される。ブレード91は、駆動部93によって吸着剤ケース81内で移動し、これによって吸着剤K1を攪拌する。各ブレード91は、翼形に形成されており、吸着剤K1の撹拌に適した形状に形成されている。複数のブレード91は、シャフト92の周囲に取り付けられている。シャフト92は、駆動部93の出力軸につながっており、駆動部93によって回転する。これによって、複数のブレード91は、シャフト92を回転軸として回転することができる。
【0045】
駆動部93は、ブレード91の駆動源となる。駆動部93は、本実施形態では、シャフト92を回転させるモータにより構成される。ただし、ブレード91を直線運動、揺動運動等の他の動作をさせる場合、駆動部93は、モータのほか、例えば、エアシリンダ、ソレノイド、リニアアクチュエータ等であってもよい。
【0046】
制御部94は、駆動部93を制御する。制御部94は、例えば、マイクロプロセッサを主構成要素とする制御回路によって構成される。制御部94は、タイマーを有しており、タイマーを用いた駆動部93の制御が可能である。
【0047】
制御部94は、電流遮断装置5の駆動装置63が動作し、第二電極62が離間位置に切り替えられると、その電気信号を受信し、これに応じて、駆動部93の動作を開始する。制御部94は、所定時間経過した後、駆動部93の動作を停止する。ここでいう「所定時間」とは、吸着剤K1の撹拌が適切にできる程度の時間を意味する。撹拌を行う時間は、吸着剤K1の量に応じて変わるため、特に制限はない。
【0048】
また、制御部94は、第二電極62が離間位置に切り替えられたことの電気信号を受信した後、所定時間経過してから駆動部93の動作を開始してもよい。
【0049】
(3)動作
以下、本実施形態のガス遮断器1の動作の一例について説明する。
【0050】
図1に示すように、第二電極62が接触位置に切り替えられると、第一電極61と第二電極62とが接触し、第一導体41と第二導体42との間の電路が閉じる。この状態から、第二電極62が離間位置に切り替えられると、図2に示すように、第一電極61と第二電極62とが離れ、第一導体41と第二導体42との間の電路が開き、離間位置の第二電極62と、第一電極61との間にアーク放電A1が生じる。このとき、パッファ室75が絶縁ガスを加圧するため、加圧された絶縁ガスは、流路76を通ってノズル73からアーク放電A1に吹き付けられる。これによって、アーク放電A1は消弧する。
【0051】
絶縁ガスがアーク放電A1によって加熱されて生じた分解ガスは、絶縁ガスと共に排気筒74に流れ、容器3内に流れる。容器3内に流れた分解ガスは、吸着剤ケース81に流れ込み、吸着剤K1によって吸着される。第二電極62が離間位置に切り替えられたことで動作を開始したブレード91は、吸着剤ケース81内の吸着剤K1を攪拌する。制御部94は、所定時間経過した後、ブレード91の動きを止める。
【0052】
<変形例>
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0053】
(1)変形例1
上記実施形態に係る吸着剤装置8は、撹拌部9として、ブレード91、シャフト92及び駆動部93を備えたが、変形例1に係る撹拌部9は、図4に示すように、配管95を備えており、加圧された絶縁ガスを吸着剤ケース81に吹き込むことで、吸着剤K1を攪拌する。
【0054】
配管95は、加圧された絶縁ガスを吸着剤ケース81に吹きこんで吸着剤K1を吸着剤ケース81内において攪拌する。配管95は、長手方向の一方の端部が流路76に開口しており(この開口を「注入口」という)、他端部が吸着剤ケース81内に開口している。配管95は、本実施形態では、柔軟性をもつ耐熱性ホースで構成されるが、例えば、チューブ、剛性をもつ鋼管、樹脂管等であってもよい。なお、配管95の注入口は、周壁812に形成されているが、天壁813に形成されてもよい。また、配管95を途中で分岐し、吸着剤ケース81の複数箇所に対して接続されてもよい。
【0055】
第二電極62が離間位置に切り替えられると、これに応じてパッファ室75が絶縁ガスを加圧する。すると、加圧された絶縁ガスは流路76を通ってノズル73に向かうが、一部の絶縁ガスは流路76から分岐した配管95を通って吸着剤ケース81に吹き込まれる。吸着剤ケース81に吹き込まれた絶縁ガスは、吸着剤K1を吸着剤ケース81内で撹拌する。
【0056】
本変形例では、配管95は、パッファ室75につながる流路76から分岐されたが、例えば、コンプレッサ、シリンダ装置等のパッファ室75とは別の加圧機構を利用して、絶縁ガスを加圧し、配管95から吸着剤ケース81に吹き込んでもよい。
【0057】
(2)変形例2
本変形例では、図5に示すように、駆動源(ここでは、第二電極62及び/又はシリンダ71)から出力された動力によって吸着剤ケース81を動かす動力伝達具96によって、撹拌部9が構成されている。
【0058】
動力伝達具96は、シリンダ71に対して固定され、かつ吸着剤ケース81に対して固定されている。吸着剤ケース81は、容器3に対して移動可能である。このため、動力伝達具96は、シリンダ71の動き(すなわち、第二電極62の動き)に連動して動き、吸着剤ケース81を動かして、吸着剤K1を攪拌することができる。
【0059】
動力伝達具96の材料としては、例えば、金属、合成樹脂、カーボン等の剛性のある材料が挙げられる。動力伝達具96とシリンダ71との固定方法としては、例えば、溶接、ねじ止め、ピン止め、リベット止め、嵌め込み、差し込み、接着、溶着等が挙げられる。動力伝達具96が第二電極62に直接取り付けられる場合、絶縁性を有する材料を用いることが好ましい。
【0060】
本変形例では、動力伝達具96の端部が吸着剤ケース81に取り付けられたが、吸着剤ケース81は、動力伝達具96のどの部位に取り付けられてもよい。また、動力伝達具96は、吸着剤ケース81に対して固定されていなくてもよく、例えば、動力伝達具96の先端面が、吸着剤ケース81の表面を擦ることで、吸着剤ケース81を振動させてもよい。
【0061】
本変形例では、動力伝達具96の駆動源は、第二電極62又は/及びシリンダ71であったが、例えば、モータ、エアシリンダ、ソレノイド、リニアアクチュエータ、加振器等の駆動源を別途設け、当該駆動源からの出力を、動力伝達具96を介して吸着剤ケース81に伝達してもよい。
【0062】
(3)変形例3
上記実施形態に係る吸着剤ケース81は、吸着剤K1を収容する収容部82のみを有したが、本変形例に係る吸着剤ケース81は、図6に示すように、収容部82の下方に、吸着剤K1の破片K2等を受ける受け部83が設けられている。
【0063】
収容部82は、吸着剤K1を収容する部分である。収容部82の底面84は、複数の網目を有するメッシュ材(これを「第一メッシュ材85」とする)で構成されている。また、収容部82の底面84以外の面も、複数の網目を有するメッシュ材(これを「第二メッシュ材86」とする)で構成されている。
【0064】
第一メッシュ材85の網目は、対向間の寸法L2が、吸着剤K1の平均粒子径よりも小さくなるように形成されている。したがって、吸着剤粒子が撹拌によって割れたり、粉砕したりして破片K2ができた場合、その破片K2は、収容部82の底面84を通過して、受け部83に移動する。
【0065】
第二メッシュ材86の網目の対向間の寸法L1は、第一メッシュ材85の網目の対向間の寸法L2よりも小さくなるように形成されている。すなわち、第二メッシュ材86の網目の開口面積は、第一メッシュ材85の網目の開口面積よりも小さい。このため、吸着剤粒子の破片K2は、吸着剤ケース81から漏れることを抑制することができる。この結果、破片K2が絶縁ガスの雰囲気中に分散することを抑制でき、絶縁性能に影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0066】
受け部83は、収容部82の下方に設けられている。受け部83は、本実施形態では、第二メッシュ材86と同じメッシュ材で構成されているが、網目の無い板材で構成されてもよい。また、受け部83は、収容部82に対して取外し可能に取り付けられてもよい。
【0067】
なお、本変形例では、撹拌部9として、ブレード91、シャフト92及び駆動部93を有する構成を図示したが、変形例1,2に係る撹拌部9に対して、本変形例に係る吸着剤ケース81を適用してもよい。
【0068】
(4)その他の変形例
以下、実施形態の変形例を列挙する。
【0069】
本実施形態に係るガス遮断器1は、ガス絶縁開閉装置(GIS)の一構成要素として用いられたが、単独で用いられてもよい。
【0070】
上記実施形態に係る吸着剤ケース81は、取込み口が、メッシュ材の各網目で構成されたが、本発明では、例えば、吸着剤ケース81を金属板で構成し、一つの取込み口と、一つの排出口と、を有するように構成してもよい。
【0071】
上記実施形態に係るガス遮断器1は、第一電極が固定接触子、第二電極が可動接触子であったが、第一電極と第二電極とは互いに接触と離間を切り替えることができれば、第一電極と第二電極は共に可動電極であってもよい。
【0072】
上記実施形態に係るガス遮断器1では、吸着剤K1は、分解ガスと水分との両方を吸着するように構成されたが、本発明では、吸着剤K1は、水分のみを吸着するように構成されてもよい。すなわち、本発明に係る吸着剤K1は、分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着するものであればよい。
【0073】
本明細書にて、「略平行」、又は「略直交」のように「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、「略平行」とは、実質的に「平行」であることを意味し、厳密に「平行」な状態だけでなく、数度程度の誤差を含む意味である。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0074】
また、本明細書において「端部」及び「端」などのように、「…部」の有無で区別した表現が用いられている。例えば、「端」は物体の末の部分を意味するが、「端部」は「端」を含む一定の範囲を持つ域を意味する。端を含む一定の範囲内にある点であれば、いずれも、「端部」であるとする。他の「…部」を伴った表現についても同様である。
【0075】
<まとめ>
以上説明したように、第1の態様に係るガス遮断器1は、容器3と、第一電極61と、第二電極62と、ノズル73と、吸着剤ケース81と、撹拌部9と、を備える。容器3は、絶縁ガスが充填される。第一電極61は、容器3内に配置される。第二電極62は、容器3内に配置され、第一電極61に対して接触する接触位置と第一電極61に対して離れる離間位置とに切り替えられる。ノズル73は、離間位置にある第二電極62と第一電極61との間に生じたアーク放電A1に対して絶縁ガスを吹き付けてアーク放電A1を消弧する。吸着剤ケース81は、容器3内に配置され、消弧した際に生じる分解ガスと水分との少なくとも一方を取込み可能な取込み口87を有し、分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着する吸着剤K1を収容する。撹拌部9は、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を吸着剤ケース81内において攪拌する。
【0076】
この態様によれば、撹拌部9によって、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を攪拌することができるため、吸着剤K1の急激な吸着能力の低下を抑制し、安定した吸着性能を実現することができる。この結果、従来と同じ量の吸着剤K1を用いた場合でも、従来と比較して、吸着容量を大きくすることができ、吸着剤K1の寿命を延ばすことができる。
【0077】
第2の態様に係るガス遮断器1では、第1の態様において、撹拌部9は、吸着剤ケース81内に配置されたブレード91と、ブレード91を吸着剤ケース81内で動かす駆動部93と、を有する。
【0078】
この態様によれば、ブレード91によって、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を攪拌することができるため、ブレード91が動く領域では、効果的に、吸着剤K1を攪拌することができる。
【0079】
第3の態様に係るガス遮断器1では、第2の態様において、撹拌部9はブレード91の回転軸となるシャフト92を有し、駆動部93は、シャフト92を回転させるモータである。
【0080】
この態様によれば、簡略化した構成で、ブレード91の動きを実現することができる。
【0081】
第4の態様に係るガス遮断器1では、第1の態様において、撹拌部9は、加圧された絶縁ガスを吸着剤ケース81に吹きこんで吸着剤K1を吸着剤ケース81内において攪拌する配管95を有する。
【0082】
この態様によれば、圧縮された絶縁ガスを利用して撹拌することができ、部品点数の増加を抑制することができる。
【0083】
第5の態様に係るガス遮断器1では、第4の態様において、絶縁ガスを加圧するパッファ室75と、パッファ室75とノズル73とをつなぐ流路76と、を更に備え、配管95は、流路76から分岐している。
【0084】
この態様によれば、配管95を用いて攪拌する構造において、部品点数の増加を抑制しながら、簡略化した構成を実現することができる。
【0085】
第6の態様に係るガス遮断器1では、第1の態様において、撹拌部9は、駆動源から出力された動力によって吸着剤ケース81を動かす動力伝達具96である。
【0086】
この態様によれば、吸着剤ケース81を動かして撹拌することができるため、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を全体にわたって撹拌することができる。
【0087】
第7の態様に係るガス遮断器1では、第6の態様において、動力伝達具96は、第二電極62の動きを吸着剤ケース81に伝達するように構成されている。
【0088】
この態様によれば、可動接触子である第二電極62の動きを動力源として、吸着剤ケース81を動かすことができるため、新たな駆動源は必要でなく、簡略化した構成を実現することができる。
【0089】
第8の態様に係るガス遮断器1では、第1~7のいずれか1つの態様において、吸着剤ケース81は、吸着剤K1を収容し、底面84の少なくとも一部がメッシュ材で構成された収容部82と、収容部82の下方に設けられた受け部83と、を有し、メッシュ材は、網目の対向間の寸法が吸着剤K1の平均粒子径よりも小さくなるように構成されている。
【0090】
この態様によれば、吸着剤K1を攪拌することで生じ得る吸着剤K1の破片K2を受け部83に集めることができ、回収作業が容易である。
【0091】
第9の態様に係るガス遮断器1では、第8の態様において、メッシュ材を第一メッシュ材85とし、収容部82は、底面84以外の部分の少なくとも一部が、取込み口87としての複数の網目を含む第二メッシュ材86で構成されており、第二メッシュ材86の各網目の開口面積は、第一メッシュ材85の各網目の開口面積よりも小さい。
【0092】
この態様によれば、吸着剤K1の破片K2が容器3内に漏れることを抑制することができ、破片K2が容器3内の絶縁性に影響を与えることを防ぐことができる。
【0093】
第10の態様に係る吸着剤装置8は、絶縁ガスが充填される容器3と、容器3内に配置され、互いに接触又は離間するように切り替えられる一対の電極と、一対の電極が離間した際に一対の電極の間に生じたアーク放電A1に対して絶縁ガスを吹き付けてアーク放電A1を消弧するノズル73と、を備えるガス遮断器1に用いられる吸着剤装置8である。アーク放電A1が消弧した際に生じる分解ガスと水分との少なくとも一方を取込み可能な取込み口87を有し、分解ガスと水分との少なくとも一方を吸着する吸着剤K1を収容する吸着剤ケース81と、吸着剤ケース81に収容された吸着剤K1を吸着剤ケース81内において攪拌する撹拌部9と、を備える。
【0094】
この態様によれば、既存のガス遮断器1に対して、吸着剤装置8を設置することで、分解ガスを吸収することができるだけでなく、吸着剤K1の急激な吸着能力の低下を抑制し、安定した吸着性能を実現することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 ガス遮断器
3 容器
61 第一電極
62 第二電極
73 ノズル
75 パッファ室
76 流路
8 吸着剤装置
81 吸着剤ケース
82 収容部
83 受け部
84 底面
85 第一メッシュ材
86 第二メッシュ材
87 取込み口
9 撹拌部
91 ブレード
92 シャフト
93 駆動部
95 配管
96 動力伝達具
A1 アーク放電
K1 吸着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6