(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178668
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】測定装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G01G 9/00 20060101AFI20221125BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01G9/00
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085628
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾形 健太
(72)【発明者】
【氏名】湯川 浩平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056EB29
2C056EB39
2C056KD06
(57)【要約】
【課題】記録媒体の電気抵抗を測定する測定時間を短くできるようにする。
【解決手段】測定装置は、画像形成装置で使用される記録媒体の電気抵抗を、予め定められた電気抵抗値の第一範囲で測定する第一モードと、前記第一範囲とは異なる電気抵抗値の第二範囲で前記電気抵抗を測定する第二モードと、を有する測定部であって、前記第二範囲及び前記第一範囲は、複数銘柄の記録媒体の電気抵抗について前記第二範囲に属する銘柄数が前記第一範囲に属する銘柄数よりも多くなるように設定されている前記測定部と、前記第一モードよりも前記第二モードを優先して実行させる制御を前記測定部に対して行う制御部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置で使用される記録媒体の電気抵抗を、予め定められた電気抵抗値の第一範囲で測定する第一モードと、前記第一範囲とは異なる電気抵抗値の第二範囲で前記電気抵抗を測定する第二モードと、を有する測定部であって、前記第二範囲及び前記第一範囲は、複数銘柄の記録媒体の電気抵抗について前記第二範囲に属する銘柄数が前記第一範囲に属する銘柄数よりも多くなるように設定されている前記測定部と、
前記第一モードよりも前記第二モードを優先して実行させる制御を前記測定部に対して行う制御部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第二モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第二範囲に含まれている場合に、前記第一モードを実行させない制御を前記測定部に対して行う
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第二モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第二範囲に含まれている場合に、前記第二範囲で前記電気抵抗を測定し且つ前記第二モードよりも電気抵抗の測定に用いるサンプル数が多い、又は、測定時間が長い第三モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う
請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第二モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第二範囲に含まれない場合に、前記第一モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う
請求項2又は3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第一モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第一範囲に含まれている場合に、前記第一範囲で前記電気抵抗を測定し且つ前記第一モードよりも電気抵抗の測定に用いるサンプル数が多い、又は、測定時間が長い第四モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う
請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第一モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第一範囲に含まれない場合に、
前記第一範囲及び前記第二範囲とは異なる電気抵抗値の第三範囲で前記電気抵抗を測定する第五モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う
請求項4又は5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記第二範囲は、半数を超える銘柄の電気抵抗が属する範囲として設定されている
請求項1~6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記制御を実行する実行指示を取得する取得部、を備え、
前記制御部は、
前記取得部が前記制御を実行する実行指示を取得した場合に、前記制御を前記測定部に対して行い、
前記取得部が前記制御を実行する実行指示を取得しない場合には、前記制御を前記測定部に対して行わない
請求項1~7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記取得部は、
前記制御としての第一制御を実行する実行指示と、第二制御を実行する実行指示と、のいずれかを取得し、
前記制御部は、
前記取得部が前記第一制御を実行する実行指示を取得した場合に、前記第一制御を前記測定部に対して行い、
前記取得部が前記第二制御を実行する実行指示を取得した場合に、前記測定部が測定した測定結果に関わらず、前記第一モード及び前記第二モードの両方を実行させる前記第二制御を前記測定部に対して行う
請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の測定装置と、
前記測定装置によって電気抵抗が測定された記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記測定装置によって測定された電気抵抗に基づき、前記画像形成部の画像形成動作を制御する制御装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、4端子法を用いて薄膜の抵抗測定を測定するために用いる測定用端子であって、測定した電圧値を電流値で除したものと薄膜のシート抵抗値とが等しくなるように4本の測定用端子位置を固定してあることを特徴とする測定用端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測定装置としては、画像形成装置で使用される記録媒体の電気抵抗を、予め定められた電気抵抗値の第一範囲で測定する第一モードと、第一範囲とは異なる電気抵抗値の第二範囲で前記電気抵抗を測定する第二モードと、を有し、第二範囲及び第一範囲は、複数銘柄の記録媒体の電気抵抗について第二範囲に属する銘柄数が第一範囲に属する銘柄数よりも多くなるように設定されている測定装置が考えられる。
【0005】
この測定装置において、第二モードよりも第一モードを優先して実行した場合では、記録媒体の電気抵抗を測定する測定時間が長くかかる場合がある。
【0006】
本発明は、第二モードよりも第一モードを優先して実行させる制御を測定部に対して行う構成に比べ、記録媒体の電気抵抗を測定する測定時間を短くできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様は、画像形成装置で使用される記録媒体の電気抵抗を、予め定められた電気抵抗値の第一範囲で測定する第一モードと、前記第一範囲とは異なる電気抵抗値の第二範囲で前記電気抵抗を測定する第二モードと、を有する測定部であって、前記第二範囲及び前記第一範囲は、複数銘柄の記録媒体の電気抵抗について前記第二範囲に属する銘柄数が前記第一範囲に属する銘柄数よりも多くなるように設定されている前記測定部と、前記第一モードよりも前記第二モードを優先して実行させる制御を前記測定部に対して行う制御部と、を備える。
【0008】
第2態様では、前記制御部は、前記第二モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第二範囲に含まれている場合に、前記第一モードを実行させない制御を前記測定部に対して行う。
【0009】
第3態様では、前記制御部は、前記第二モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第二範囲に含まれている場合に、前記第二範囲で前記電気抵抗を測定し且つ前記第二モードよりも電気抵抗の測定に用いるサンプル数が多い、又は、測定時間が長い第三モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う。
【0010】
第4態様では、前記制御部は、前記第二モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第二範囲に含まれない場合に、前記第一モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う。
【0011】
第5態様では、前記制御部は、前記第一モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第一範囲に含まれている場合に、前記第一範囲で前記電気抵抗を測定し且つ前記第一モードよりも電気抵抗の測定に用いるサンプル数が多い、又は、測定時間が長い第四モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う。
【0012】
第6態様では、前記制御部は、前記第一モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が前記第一範囲に含まれない場合に、前記第一範囲及び前記第二範囲とは異なる電気抵抗値の第三範囲で前記電気抵抗を測定する第五モードを実行させる制御を前記測定部に対して行う。
【0013】
第7態様では、前記第二範囲は、半数を超える銘柄の電気抵抗が属する範囲として設定されている。
【0014】
第8態様は、前記制御を実行する実行指示を取得する取得部、を備え、前記制御部は、前記取得部が前記制御を実行する実行指示を取得した場合に、前記制御を前記測定部に対して行い、前記取得部が前記制御を実行する実行指示を取得しない場合には、前記制御を前記測定部に対して行わない。
【0015】
第9態様では、前記取得部は、前記制御としての第一制御を実行する実行指示と、第二制御を実行する実行指示と、のいずれかを取得し、前記制御部は、前記取得部が前記第一制御を実行する実行指示を取得した場合に、前記第一制御を前記測定部に対して行い、前記取得部が前記第二制御を実行する実行指示を取得した場合に、前記測定部が測定した測定結果に関わらず、前記第一モード及び前記第二モードの両方を実行させる前記第二制御を前記測定部に対して行う。
【0016】
第10態様は、第1~第9態様のいずれか1つの態様に係る測定装置と、前記測定装置によって電気抵抗が測定された記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記測定装置によって測定された電気抵抗に基づき、前記画像形成部の画像形成動作を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の構成によれば、第二モードよりも第一モードを優先して実行させる制御を測定部に対して行う構成に比べ、記録媒体の電気抵抗を測定する測定時間を短くできる。
【0018】
第2態様の構成によれば、第二モードを実行させた後、常に、第一モードを実行させる構成に比べ、記録媒体の電気抵抗を測定する測定時間を短くできる。
【0019】
第3態様の構成によれば、第二モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が第二範囲に含まれている場合に、第三モードを実行せずに処理を終了する構成に比べ、記録媒体の電気抵抗を高精度に測定できる。
【0020】
第4態様の構成によれば、記録媒体の電気抵抗が、第一範囲に含まれる電気抵抗値であるか否かを特定できる。
【0021】
第5態様の構成によれば、第一モードにより測定した記録媒体の電気抵抗が第一範囲に含まれている場合に、第四モードを実行せずに処理を終了する構成に比べ、記録媒体の電気抵抗を高精度に測定できる。
【0022】
第6態様の構成によれば、記録媒体の電気抵抗が、第三範囲に含まれる電気抵抗値であるか否かを特定できる。
【0023】
第7態様の構成によれば、第二範囲が、半数以下の銘柄の電気抵抗が属する範囲として設定されている構成に比べ、記録媒体の電気抵抗を測定する測定時間を短くできる。
【0024】
第8態様の構成によれば、第一モードよりも第二モードを優先して実行させる制御を実行するか否かを選択できる。
【0025】
第9態様の構成によれば、第一制御及び第二制御のいずれを実行するかを選択できる。
【0026】
第10態様の構成によれば、記録媒体の電気抵抗に関係なく画像形成部の画像形成動作が実行される構成に比べ、高画質の画像を記録媒体に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る測定装置の構成を示す概略図である。
【
図3】本実施形態に係る測定装置の測定範囲を説明するためのグラフである。
【
図4】本実施形態に係る制御回路のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態に係る制御回路のプロセッサの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係る制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本実施形態に係る時間優先処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態に係る精度優先処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0029】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示すブロック図である。
【0030】
図1に示される画像形成装置10は、画像を形成する装置である。具体的には、画像形成装置10は、
図1に示されるように、画像形成装置本体11と、媒体収容部12と、画像形成部14と、搬送機構15と、制御装置16と、測定装置20と、を備えている。画像形成装置10は、ユーザ端末19との間で送受信が可能とされている。以下、画像形成装置10の各部について説明する。
【0031】
(画像形成装置本体11)
図1に示される画像形成装置本体11は、画像形成装置10の各構成部が設けられる部分である。具体的には、画像形成装置本体11は、例えば、箱状に形成された筐体で構成されている。本実施形態では、媒体収容部12、画像形成部14、及び搬送機構15が、画像形成装置本体11の内部に設けられている。
【0032】
(媒体収容部12)
図1に示される媒体収容部12は、画像形成装置10において、用紙Pを収容する部分である。この媒体収容部12に収容された用紙Pが、画像形成部14へ供給される。なお、用紙Pは、「記録媒体」の一例である。
【0033】
(画像形成部14)
図1に示される画像形成部14は、媒体収容部12から供給された用紙Pに画像を形成する機能を有している。画像形成部14としては、例えば、インクを用いて用紙Pに画像を形成するインクジェット式の画像形成部、及び、トナーを用いて用紙Pに画像を形成する電子写真式の画像形成部などが挙げられる。
【0034】
インクジェット式の画像形成部では、例えば、吐出部から用紙Pにインク滴を吐出して用紙Pに画像を形成する。インクジェット式の画像形成部としては、吐出部から転写体にインク滴を吐出し、当該インク滴を転写体から用紙Pに転写することで、用紙Pに画像を形成してもよい。
【0035】
電子写真式の画像形成部では、例えば、帯電、露光、現像、転写及び定着の各工程を行い、用紙Pに画像を形成する。電子写真式の画像形成部としては、帯電、露光、現像、転写の各工程を行って転写体に画像を形成し、当該画像を転写体から用紙Pに転写した後、当該画像を用紙Pに定着することで、用紙Pに画像を形成してもよい。
【0036】
なお、画像形成部の一例としては、前述のインクジェット式の画像形成部、及び、前述の電子写真式の画像形成部に限られず、種々の画像形成部を用いることが可能である。
【0037】
(搬送機構15)
図1に示される搬送機構15は、用紙Pを搬送する機構である。搬送機構15は、一例として、搬送ロール及び搬送ベルト等の搬送部材(図示省略)によって、用紙Pを搬送する。搬送機構15は、予め定められた搬送経路にて、媒体収容部12から画像形成部14へ用紙Pを搬送する。
【0038】
(ユーザ端末19、制御装置16、及び測定装置20の概要)
図1に示されるユーザ端末19は、例えば、スマートフォン、タブレット、及びパーソナルコンピュータ等の端末で構成されている。ユーザ端末19は、無線又は有線により、測定装置20及び制御装置16と通信可能とされている。測定装置20及び制御装置16は、
図1に示されるように、一例として、画像形成装置本体11の外部に設けられている。なお、ユーザ端末19及び制御装置16の各々は、プロブラムが記録されたストレージ等で構成された記録部と、プログラムに従って動作するプロセッサと、を有する制御部(制御基板)を有して構成されている。
【0039】
本実施形態では、画像形成装置10の使用者(すなわちユーザ)は、例えば、画像を形成したい用紙Pを測定装置20に配置し、ユーザ端末19から測定指示を行う。測定装置20は、ユーザ端末19から測定指示を取得すると、用紙Pの物性を測定し、物性の測定値を示す測定値情報をユーザ端末19へ送信する。
【0040】
画像形成装置10の使用者(すなわちユーザ)は、例えば、測定装置20による測定を行った用紙Pを、媒体収容部12に収容し、ユーザ端末19から測定指示及び画像形成指示を行う。なお、画像形成指示は、測定指示を兼ねていてもよい。
【0041】
制御装置16は、ユーザ端末19から取得指示を取得すると、ユーザ端末19から測定値情報を取得する。制御装置16は、ユーザ端末19から画像形成指示を取得すると、画像形成部14及び搬送機構15に画像形成動作を実行させる共に、測定値情報に基づき、画像形成部14及び搬送機構15の動作を制御する。具体的には、制御装置16は、測定値情報に基づき、搬送機構15における用紙Pの搬送速度、並びに、画像形成部14における転写電圧及び定着温度などを制御する。
【0042】
なお、前述の例では、制御装置16は、画像形成装置本体11の外部に設けられていたが、画像形成装置本体11の内部に設けられていてもよい。また、制御装置16は、ユーザ端末19を介して、測定装置20の測定値情報を取得していたが、測定装置20から直接、測定値情報を取得する構成であってもよい。
【0043】
また、測定装置20は、画像形成装置本体11の外部に設けられていたが、画像形成装置本体11の内部に設けられていてもよい。具体的には、測定装置20は、媒体収容部12又は、用紙Pの搬送経路において、物性を測定する装置として構成されていてもよい。
【0044】
(測定装置20の具体的な構成)
図2は、本実施形態に係る測定装置20の構成を示す概略図である。なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0045】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」は、横方向、水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。前後方向は、横方向、水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0046】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0047】
測定装置20は、画像形成装置10に用いられる用紙Pの物性を測定する装置である。具体的には、測定装置20は、用紙Pの坪量、電気抵抗、及び塗工層の有無を測定する。なお、「測定」は、物性の値(すなわち程度)を測ることを意味するが、当該物性の値は、0(ゼロ)を含む概念である。換言すれば、「測定」には、物性の値が0(ゼロ)であるか否かを測ること、すなわち、物性を有するか否かを測ることが含まれる。
【0048】
測定装置20は、具体的には、
図2に示されるように、第一筐体21と、第二筐体22と、坪量測定部30と、抵抗測定部50と、塗工層測定部70と、を備えている。以下、測定装置20の各部について説明する。
【0049】
(第一筐体21)
第一筐体21は、測定装置20の各構成部の一部が設けられる部分である。この第一筐体21は、測定装置20の下方側の部分を構成している。第一筐体21は、用紙Pの下面に対向する対向面21Aを有している。対向面21Aは、用紙Pを下方側から支持する支持面でもある。第一筐体21の内部には、坪量測定部30の一部、及び抵抗測定部50の一部が配置されている。
【0050】
(第二筐体22)
第二筐体22は、測定装置20の各構成部の他の一部が設けられる部分である。この第二筐体22は、測定装置20の上方側の部分を構成している。第二筐体22は、用紙Pの上面に対向する対向面22Aを有している。第二筐体22の内部には、坪量測定部30の他の一部、塗工層測定部70、及び抵抗測定部50の他の一部が配置されている。測定装置20では、第一筐体21と第二筐体22との間に、測定対象の一例としての用紙Pが配置される。
【0051】
なお、第二筐体22は、例えば、第一筐体21に対して、接近及び離間する方向(具体的には、上下方向)に相対移動可能とされ、第一筐体21と第二筐体22との間に用紙Pが配置された後、第一筐体21に対して接近する方向に相対移動して、
図2に示される位置に位置する構成とされる。
【0052】
(坪量測定部30)
図2に示される坪量測定部30は、超音波により用紙Pを振動させて用紙Pの坪量[g/m
2]を測定する機能を有している。坪量測定部30は、具体的には、
図2に示されるように、駆動回路31と、発信部32と、受信部35と、処理部36と、を有している。
【0053】
発信部32は、超音波を用紙Pへ発信する機能を有している。発信部32は、第二筐体22に配置されている。すなわち、発信部32は、用紙Pの一方の面(具体的には、上面)に対向する位置に配置されている。なお、第二筐体22における発信部32の下方側には、発信部32からの超音波を用紙Pへ通過させる開口24が形成されている。
【0054】
駆動回路31は、発信部32を駆動させる回路である。この駆動回路31が発信部32を駆動することで、発信部32は、超音波を用紙Pの上面側から付与し、用紙Pを振動させる。振動された用紙Pは、用紙Pの下方側の空気を振動させる。換言すれば、発信部32からの超音波は、用紙Pを透過する。
【0055】
受信部35は、用紙Pを透過した超音波を受信する機能を有している。受信部35は、第一筐体21に配置されている。すなわち、受信部35は、用紙Pの他方の面(具体的には、下面)に対向する位置に配置されている。受信部35は、用紙Pを透過した超音波を受信することで、受信信号を生成する。なお、第一筐体21における受信部35の上方側には、用紙P側からの超音波を受信部35へ通過させる開口23が形成されている。
【0056】
このように、坪量測定部30では、発信部32及び受信部35が、用紙Pの坪量を示す情報(具体的には用紙Pを透過した超音波)を検知する検知部(具体的には検知センサ)を構成している。当該検知部を駆動する回路を駆動回路31が構成している。
【0057】
処理部36は、受信部35から取得した受信信号に対して、増幅等の処理を行って測定値を得る。さらに、処理部36は、得られた測定値を示す測定値情報をユーザ端末19へ出力する。この処理部36は、一例として、増幅回路等を含む電気回路により構成されている。
【0058】
処理部36で得られた測定値は、用紙Pの坪量と相関を有する値である。したがって、坪量測定部30における測定には、用紙Pの坪量自体を測定する場合だけでなく、用紙Pの坪量と相関がある測定値を測定することが含まれる。
【0059】
なお、坪量測定部30において、処理部36で得られた測定値に基づき、用紙Pの坪量を算出してもよい。具体的には、坪量測定部30は、例えば、測定値と坪量との相関を示す相関データから、坪量を算出する。
【0060】
(塗工層測定部70)
図2に示される塗工層測定部70は、用紙Pの塗工層の有無を測定する機能を有している。塗工層は、用紙の表面に塗工剤を塗布することで形成される層である。換言すれば、塗工層測定部70は、用紙Pが塗工紙(すなわちコート紙)であるか否かを測定する。塗工層測定部70は、具体的には、
図2に示されるように、駆動回路71と、光照射部72と、受光部75と、処理部76と、を有している。
【0061】
光照射部72は、光を用紙Pへ照射する機能を有している。光照射部72は、第二筐体22に配置されている。すなわち、光照射部72は、用紙Pの一方の面(具体的には、上面)に対して隙間を有した状態で対向する位置に配置されている。なお、第二筐体22における光照射部72の下方側には、光照射部72からの光を用紙Pへ通過させる開口28が形成されている。
【0062】
駆動回路71は、光照射部72を駆動させる回路である。この駆動回路71が光照射部72を駆動することで、光照射部72は、光を用紙Pへ照射し、当該光は用紙Pで反射する。
【0063】
受光部75は、用紙Pで反射した反射光を受光する機能を有している。受光部75は、第二筐体22に配置されている。すなわち、受光部75は、用紙Pの一方の面(具体的には、上面)に対して隙間を有した状態で対向する位置に配置されている。受光部75は、用紙Pで反射した反射光を受光することで、受光信号を生成する。なお、第二筐体22における受光部75の下方側には、用紙P側からの光を受光部75へ通過させる開口29が形成されている。
【0064】
このように、塗工層測定部70では、光照射部72及び受光部75が、用紙Pの塗工層の有無を示す情報(具体的には用紙Pで反射した反射光)を検知する検知部(具体的には検知センサ)を構成している。当該検知部を駆動する回路を駆動回路71が構成している。
【0065】
処理部76は、受光部75から取得した受光信号に対して、増幅等の処理を行って測定値を得る。さらに、処理部76は、得られた測定値を示す測定値情報をユーザ端末19へ出力する。この処理部76は、一例として、増幅回路等を含む電気回路により構成されている。
【0066】
処理部76で得られた測定値は、用紙Pの塗工層の有無と相関を有する値である。したがって、塗工層測定部70における測定には、用紙Pの塗工層の有無自体を測定する場合だけでなく、用紙Pの塗工層の有無と相関がある測定値を測定することが含まれる。
【0067】
なお、塗工層測定部70において、処理部76で得られた測定値に基づき、用紙Pの塗工層の有無を測定してもよい。具体的には、塗工層の有無は、例えば、測定値が、予め定められた閾値を超えるか否によって、測定される。
【0068】
(抵抗測定部50)
図2に示される抵抗測定部50は、用紙Pの表面抵抗値[Ω]を測定する機能を有している。抵抗測定部50は、「測定部」の一例である。表面抵抗は、「電気抵抗」の一例である。抵抗測定部50は、具体的には、
図2に示されるように、電気回路51と、一対の端子52と、電源53と、一対の対向部材54と、検知回路55と、処理部56と、を有している。
【0069】
一対の端子52は、例えば、第一筐体21に配置されている。この一対の端子52は、互いに左右方向に間隔を有した状態で、第一筐体21に形成された開口25を通じて、用紙Pの下面に対して接触する。一対の端子52の各々は、電気回路51を通じて、電源53に電気的に接続されている。
【0070】
一対の対向部材54の各々は、一対の端子52の各々との間に用紙Pが配置された状態で、一対の端子52の各々に対向している。一対の対向部材54の各々は、第二筐体22に形成された開口26を通じて、用紙Pの上面に対して接触する。すなわち、一対の対向部材54の各々と一対の端子52の各々とで用紙Pを挟む。一対の対向部材54の各々及び一対の端子52の各々は一例として、ロールで構成されている。
【0071】
電源53は、電気回路51を通じて一対の端子52に予め定められた電圧([V])を印加する。これにより、一対の端子52の間には、用紙Pの表面抵抗に応じた電流が流れる。検知回路55は、一対の端子52に電気的に接続されている。この検知回路55は、一対の端子52の間を流れる電流を検知することで検知信号を生成する。
【0072】
このように、抵抗測定部50では、一対の端子52及び検知回路55が、用紙Pの表面抵抗を示す情報(具体的には用紙Pを流れる電流)を検知する検知部(具体的には検知センサ)を構成している。当該検知部を駆動する回路を電気回路51が構成している。
【0073】
処理部56は、検知回路55から取得した検知信号に対して、増幅等の処理を行って測定値(具体的には電流値[A])を得る。さらに、処理部56は、得られた測定値を示す測定値情報をユーザ端末19へ出力する。この処理部56は、一例として、増幅回路等を含む電気回路により構成されている。
【0074】
処理部56で得られた測定値は、用紙Pの表面抵抗値と相関を有する値である。したがって、抵抗測定部50における測定には、用紙Pの表面抵抗値自体を測定する場合だけでなく、用紙Pの表面抵抗値と相関がある測定値を測定することが含まれる。なお、抵抗測定部50において、処理部56で得られた測定値に基づき、用紙Pの表面抵抗値を算出してもよい。
【0075】
なお、抵抗測定部50では、一対の端子52に予め定められた電圧を印加し、一対の端子52の間を流れる電流を検知することで表面抵抗値を求める構成とされていたが、これに限られない。例えば、一対の端子52に予め定められた電流値の電流を流し、一対の端子52の間の電圧を検知することで表面抵抗値を求める構成であってもよい。
【0076】
(抵抗測定部50の測定モード)
抵抗測定部50は、複数の測定モードを有している。具体的には、抵抗測定部50は、第一、第二、第三、第四、第五測定モードを有している。第一、第二、第三、第四、第五測定モードの各々は、予め定められた表面抵抗値の範囲で測定するモードである。
【0077】
第一測定モード及び第四測定モードは、11.5[logΩ]を超え、14.5[logΩ]以下の測定範囲(以下、高抵抗測定範囲(
図3参照)という)にて、表面抵抗値を測定するモードである。第一測定モード及び第四測定モードでは、高抵抗測定範囲に対応して、用紙Pへ印加する電圧、及び増幅処理における増幅率等が設定されている。
【0078】
さらに、第四測定モードは、第一測定モードよりも高精度に表面抵抗値を測定するモードである。具体的には、第四測定モードでは、第一測定モードよりも、表面抵抗値の測定に用いるサンプル数が多くされ、又は測定時間が長くされる。さらに具体的には、処理部56は、例えば、検知回路55から取得する検知信号の取得数(すなわち、サンプル数)を多くし、その検知信号から平均を求める等の処理を行って測定値を得る。
【0079】
以下、第一測定モードを「高抵抗測定モード」と称し、第四測定モードを「高抵抗測定モード(高精度)」と称する。なお、高抵抗測定モードは、「第一モード」の一例であり、高抵抗測定モード(高精度)は、「第四モード」の一例である。高抵抗測定範囲は、「第一範囲」の一例である。
【0080】
第二測定モード及び第三測定モードは、9[logΩ]を超え、11.5[logΩ]以下の測定範囲(以下、中抵抗測定範囲(
図3参照)という)にて測定するモードである。第二測定モード及び第三測定モードでは、中抵抗測定範囲に対応して、用紙Pへ印加する電圧、及び増幅処理における増幅率等が設定されている。具体的には、第二測定モード及び第三測定モードでは、高抵抗測定モードにおける電圧、及び増幅率の少なくとも一方が低く設定される。すなわち、高抵抗測定モードにおいて、第二測定モード及び第三測定モードよりも、用紙Pへ印加する電圧、及び増幅率の少なくとも一方が高く設定されている。これは、高抵抗測定範囲では、中抵抗測定範囲よりも電流が流れにくく、検知回路55で検知される電流が微小となるためである。
【0081】
さらに、第三測定モードは、第二測定モードよりも高精度に表面抵抗値を測定するモードである。具体的には、第三測定モードでは、第二測定モードよりも、表面抵抗値の測定に用いるサンプル数が多くされ、又は測定時間が長くされる。さらに具体的には、処理部56は、例えば、検知回路55から取得する検知信号の取得数(すなわち、サンプル数)を多くし、その検知信号から平均を求める等の処理を行って測定値を得る。
【0082】
以下、第二測定モードを「中抵抗測定モード」と称し、第三測定モードを「中抵抗測定モード(高精度)」と称する。なお、中抵抗測定モードは、「第二モード」の一例であり、中抵抗測定モード(高精度)は、「第三モード」の一例である。中抵抗測定範囲は、「第二範囲」の一例である。
【0083】
第五測定モードは、4[logΩ]を超え、9[logΩ]以下の測定範囲(以下、低抵抗測定範囲(
図3参照)という)にて、表面抵抗値を測定するモードである。第五測定モードでは、低抵抗測定範囲に対応して、用紙Pへ印加する電圧、及び増幅処理における増幅率等が設定されている。具体的には、第五測定モードでは、中抵抗測定モードにおける電圧、及び増幅率の少なくとも一方が低く設定される。すなわち、中抵抗測定モードにおいて、第五測定モードよりも、用紙Pへ印加する電圧、及び増幅率の少なくとも一方が高く設定されている。これは、中抵抗測定範囲では、低抵抗測定範囲よりも電流が流れにくく、検知回路55で検知される電流が微小となるためである。
【0084】
以下、第五測定モードを「低抵抗測定モード」と称する。なお、低抵抗測定モードは、「第五モード」の一例である。低抵抗測定範囲は、「第三範囲」の一例である。
【0085】
ここで、
図3に示されるように、中抵抗測定範囲及び高抵抗測定範囲は、複数銘柄の用紙Pの電気抵抗について、中抵抗測定範囲に属する銘柄数が、高抵抗測定範囲に属する銘柄数よりも多くなるように設定されている。
【0086】
高抵抗測定範囲及び低抵抗測定範囲は、複数銘柄の用紙Pの電気抵抗について、高抵抗測定範囲に属する銘柄数が、低抵抗測定範囲に属する銘柄数よりも多くなるように設定されている。したがって、各測定範囲に属する銘柄数は、低抵抗測定範囲、高抵抗測定範囲、及び中抵抗測定範囲の順で多くなるように設定されている。
【0087】
なお、
図3は、画像形成装置10で使用される用紙Pの全銘柄(例えば2506銘柄)の表面抵抗値をプロットしたものである。
図3に示されるように、中抵抗測定範囲は、全銘柄のうち、半数を超える銘柄の表面抵抗値が属する範囲として設定されている。具体的には、中抵抗測定範囲は、全銘柄のうち、90%を超える銘柄の表面抵抗値が属する範囲として設定されている。
【0088】
(制御回路80)
制御回路80は、抵抗測定部50の動作を制御する制御機能を有している。具体的には、制御回路80は、
図4に示されるように、プロセッサ81と、メモリ82と、ストレージ83と、を有している。
【0089】
プロセッサは、広義的なプロセッサを指し、プロセッサ81としては、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)及び、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)などが用いられる。
【0090】
ストレージ83は、制御プログラム83A(
図5参照)を含む各種プログラムと、各種データと、を格納する。ストレージ83は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記録装置により実現される。
【0091】
メモリ82は、プロセッサ81が各種プログラムを実行するための作業領域であり、プロセッサ81が処理を実行する際に一時的に各種プログラム又は各種データを記録する。プロセッサ81は、ストレージ83から制御プログラム83Aを含む各種プログラムをメモリ82に読み出し、メモリ82を作業領域としてプログラムを実行する。
【0092】
制御回路80において、プロセッサ81は制御プログラム83Aを実行することにより、各種の機能を実現する。以下、ハードウェア資源としてのプロセッサ81とソフトウェア資源としての制御プログラム83Aの協働によって実現される機能構成について説明する。
図5は、プロセッサ81の機能構成を示すブロック図である。
【0093】
図5に示されるように、制御回路80において、プロセッサ81は、制御プログラム83Aを実行することにより、取得部81Aと、制御部81Bとして機能する。
【0094】
取得部81Aは、ユーザ端末19から、測定指示として、時間優先制御を実行する実行指示と、精度優先制御を実行する実行指示と、のいずれかを取得する。なお、本実施形態では、測定指示として、時間優先制御及び精度優先制御のいずれかの実行指示のみが可能であるものとする。時間優先制御は、「第一制御」の一例であり、精度優先制御は、「第二制御」の一例である。
【0095】
制御部81Bは、取得部81Aが時間優先制御を実行する実行指示を取得した場合に、時間優先制御を抵抗測定部50に対して行う。制御部81Bは、取得部81Aが精度優先制御を実行する実行指示を取得した場合には、精度優先制御を抵抗測定部50に対して行う。換言すれば、制御部81Bは、取得部81Aが時間優先制御を実行する実行指示を取得しない場合には、時間優先制御を抵抗測定部50に対して行わない。
【0096】
時間優先制御は、低抵抗測定モード及び高抵抗測定モードよりも中抵抗測定モードを優先して実行させる制御である。具体的には、時間優先制御では、制御部81Bは、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に、低抵抗測定モード及び高抵抗測定モードを実行させない制御を行う。すなわち、制御部81Bは、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に、低抵抗測定モード及び高抵抗測定モードを実行せずに、処理を終了する。
【0097】
さらに、時間優先制御では、制御部81Bは、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に、中抵抗測定モード(高精度)を実行させる制御を行う。
【0098】
さらに、時間優先制御では、制御部81Bは、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれない場合に、高抵抗測定モードを実行させる制御を行う。
【0099】
さらに、時間優先制御では、制御部81Bは、高抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれている場合に、高抵抗測定モード(高精度)を実行させる制御を行う。
【0100】
さらに、時間優先制御では、制御部81Bは、高抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれない場合に、低抵抗測定モードを実行させる制御を行う。
【0101】
一方、精度優先制御では、制御部81Bは、低抵抗測定モード測定した測定結果に関わらず、高抵抗測定モード、中抵抗測定モード、及び低抵抗測定モードの全てを実行させる制御を行う。具体的には、制御部81Bは、精度優先制御において、例えば、低抵抗測定モード、中抵抗測定モード、及び高抵抗測定モードの順で、これらの全てのモードを実行させる制御を行う。
【0102】
本実施形態では、制御回路80が「制御部」の一例である。なお、プロセッサ81又は制御部81Bを「制御部」の一例と把握することも可能である。
【0103】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態の作用の一例について説明する。
図6、
図7及び
図8は、制御回路80によって実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0104】
本処理は、プロセッサ81が、ストレージ83から制御プログラム83Aを読み出して実行することにより行なわれる。本処理は、一例として、プロセッサ81がユーザ端末19から測定指示を取得した場合に実行が開始される。
【0105】
図6に示されるように、まず、プロセッサ81は、ユーザ端末19から測定指示として、時間優先制御を実行する実行指示を取得したか否かを判定する(ステップS101)。プロセッサ81は、測定指示として、時間優先制御を実行する実行指示を取得したと判定した場合に(ステップS101:YES)、高抵抗測定モードよりも中抵抗測定モードを優先して実行させる時間優先制御を抵抗測定部50に対して実行させる(ステップS102)。
【0106】
一方、プロセッサ81は、測定指示として、時間優先制御を実行する実行指示を取得していないと判定した場合には(ステップS101:NO)精度優先制御を抵抗測定部50に実行させる(ステップS103)。
【0107】
なお、本実施形態では、測定指示としては、時間優先制御及び精度優先制御のいずれかの実行指示のみが可能であるため、「測定指示として、時間優先制御を実行する実行指示を取得していない場合」は、「測定指示として、精度優先制御を実行する実行指示を取得した場合」に等しい。
【0108】
時間優先制御(ステップS102)では、
図7に示されるように、プロセッサ81は、まず、中抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させる(ステップS201)。次に、プロセッサ81は、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれているか否かを判定にする(ステップS202)。プロセッサ81は、当該表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれていると判定した場合に(ステップS202:YES)、中抵抗測定モード(高精度)を抵抗測定部50に実行させ(ステップS203)、本処理を終了する。換言すれば、プロセッサ81は、当該表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれていると判定した場合に(ステップS202:YES)、高抵抗測定モード及び低抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させることなく、本処理を終了する。
【0109】
プロセッサ81は、当該表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれていないと判定した場合には(ステップS202:NO)、高抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させる(ステップS204)。次に、プロセッサ81は、高抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれているか否かを判定にする(ステップS205)。プロセッサ81は、当該表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれていると判定した場合に(ステップS205:YES)、高抵抗測定モード(高精度)を抵抗測定部50に実行させ(ステップS206)、本処理を終了する。換言すれば、プロセッサ81は、当該表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれていると判定した場合に(ステップS205:YES)、低抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させることなく、本処理を終了する。
【0110】
プロセッサ81は、当該表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれていないと判定した場合には(ステップS205:NO)、低抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させ(ステップS207)、本処理を終了する。
【0111】
精度優先制御(ステップS103)では、
図8に示されるように、プロセッサ81は、まず、低抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させる(ステップS301)。次に、プロセッサ81は、中抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させる(ステップS302)。次に、プロセッサ81は、高抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させ(ステップS303)、本処理を終了する。
【0112】
このように、精度優先制御では、各測定モードで測定した用紙Pの表面抵抗値の結果について判定することなく、低抵抗測定モード、中抵抗測定モード、及び高抵抗測定モードの全てのモードを、抵抗測定部50に実行させる。すなわち、精度優先制御では、プロセッサ81は、各測定モードで測定した測定結果に関わらず、低抵抗測定モード、中抵抗測定モード、及び高抵抗測定モードの順で、これらの全てのモードを抵抗測定部50に実行させる。
【0113】
以上のように、本実施形態では、例えば、画像形成装置10の使用者が、用紙Pの表面抵抗値を測定する際に、時間及び精度のいずれかを優先するかによって、時間優先制御を実行させるか否かを選択可能となっている。すなわち、画像形成装置10の使用者は、用紙Pの表面抵抗値の測定について、例えば、時間を優先する場合には、時間優先制御を実行させることを選択し、精度を優先する場合には、精度優先制御を実行させることを選択可能となっている。
【0114】
また、プロセッサ81は、ユーザ端末19から測定指示として、時間優先制御を実行する実行指示を取得した場合に(ステップS101:YES)、高抵抗測定モードよりも中抵抗測定モードを優先して実行させる時間優先制御を抵抗測定部50に対して実行させる(ステップS102)。
【0115】
これにより、測定範囲に属する銘柄数が高抵抗測定範囲よりも多い中抵抗測定範囲による測定が優先されるので、中抵抗測定モードよりも高抵抗測定モードを優先して実行させる構成(以下、構成Aという)に比べ、測定結果を早く出すことが可能となる。この結果、構成Aに比べ、用紙Pの表面抵抗値を測定する測定時間が短くなる。
【0116】
本実施形態では、
図3に示されるように、中抵抗測定範囲は、全銘柄のうち、半数を超える銘柄の表面抵抗値が属する範囲として設定されているので、中抵抗測定範囲が全銘柄のうち、半数以下の銘柄の表面抵抗値が属する範囲として設定されている構成に比べ、用紙Pの表面抵抗値を測定する測定時間が短くなる。
【0117】
時間優先制御において、プロセッサ81は、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS202:YES)、中抵抗測定モード(高精度)を抵抗測定部50に実行させる(ステップS203)
【0118】
このため、プロセッサ81が、当該表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS202:YES)、中抵抗測定モード(高精度)を実行させることなく、処理を終了する構成に比べ、用紙Pの表面抵抗値を高精度に測定可能となる。
【0119】
このように、プロセッサ81は、当該表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS202:YES)、高抵抗測定モード及び低抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させることなく、本処理を終了する。
【0120】
このため、中抵抗測定モードを実行させた後、常に、高抵抗測定モード及び低抵抗測定モードを実行させる構成に比べ、用紙Pの表面抵抗値を測定する測定時間が短くなる。
【0121】
また、時間優先制御では、プロセッサ81は、当該表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれていない場合に(ステップS202:NO)、高抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させる(ステップS204)。これにより、用紙Pの表面抵抗値が、高抵抗測定範囲に含まれる表面抵抗値であるか否かを特定可能となる。
【0122】
また、時間優先制御では、プロセッサ81は、高抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS205:YES)、高抵抗測定モード(高精度)を抵抗測定部50に実行させる(ステップS206)。
【0123】
このため、プロセッサ81が、当該表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS205:YES)、高抵抗測定モード(高精度)を実行させることなく、処理を終了する構成に比べ、用紙Pの表面抵抗値を高精度に測定可能となる。
【0124】
また、時間優先制御では、プロセッサ81は、高抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれていない場合には(ステップS205:NO)、低抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させる(ステップS207)。これにより、用紙Pの表面抵抗値が、低抵抗測定範囲に含まれる表面抵抗値であるか否かを特定可能となる。
【0125】
また、本実施形態では、制御装置16は、ユーザ端末19から画像形成指示を取得すると、画像形成部14及び搬送機構15に画像形成動作を実行させる共に、測定値情報に基づき、画像形成部14及び搬送機構15の動作を制御する。このため、用紙Pの物性に関係なく画像形成動作が実行される構成に比べ、高画質の画像が用紙Pに形成される。
【0126】
(変形例)
本実施形態では、時間優先制御及び精度優先制御のいずれかを選択的に実行可能とされていたが、これに限られない。例えば、時間優先制御のみが実行可能とされる構成であってもよい。
【0127】
本実施形態では、
図3に示されるように、中抵抗測定範囲は、全銘柄のうち、半数を超える銘柄の表面抵抗値が属する範囲として設定されていたが、これに限られない。例えば、中抵抗測定範囲が、全銘柄のうち、半数以下の銘柄の表面抵抗値が属する範囲として設定されていてもよい。この場合でも、例えば、複数銘柄の用紙Pの表面抵抗値について、中抵抗測定範囲に属する銘柄数が、高抵抗測定範囲及び低抵抗測定範囲の各々に属する銘柄数よりも多くなるように設定される。
【0128】
時間優先制御において、プロセッサ81は、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS202:YES)、中抵抗測定モード(高精度)を抵抗測定部50に実行させていたが(ステップS203)、これに限られない。例えば、プロセッサ81は、中抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が中抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS202:YES)、中抵抗測定モード(高精度)を実行せず、ステップS202における中抵抗測定モードにより測定した測定値を測定結果として利用してもよい。この場合では、ステップS202において、中抵抗測定モード(高精度)を実行させてもよい。
【0129】
また、時間優先制御において、プロセッサ81は、高抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS205:YES)、高抵抗測定モード(高精度)を抵抗測定部50に実行させていたが(ステップS206)、これに限られない。例えば、プロセッサ81は、高抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が高抵抗測定範囲に含まれている場合に(ステップS205:YES)高抵抗測定モード(高精度)を実行せず、ステップS205における高抵抗測定モードにより測定した測定値を測定結果として利用してもよい。この場合では、ステップS205において、高抵抗測定モード(高精度)を実行させてもよい。
【0130】
また、プロセッサ81は、ステップS204において、低抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させ、ステップS205において、低抵抗測定モードにより測定した用紙Pの表面抵抗値が低抵抗測定範囲に含まれているか否かを判定にしてもよい。この場合では、プロセッサ81は、当該表面抵抗値が低抵抗測定範囲に含まれていると判定した場合に(ステップS205:YES)、低抵抗測定モード(高精度)を抵抗測定部50に実行させ(ステップS206)、本処理を終了する。一方、プロセッサ81は、当該表面抵抗値が低抵抗測定範囲に含まれていないと判定した場合には(ステップS205:NO)、高抵抗測定モードを抵抗測定部50に実行させ(ステップS207)、本処理を終了する。低抵抗測定モード(高精度)は、低抵抗測定モードよりも高精度に表面抵抗値を測定するモードである。具体的には、低抵抗測定モード(高精度)では、低抵抗測定モードよりも、表面抵抗値の測定に用いるサンプル数が多くされ、又は測定時間が長くされる。さらに具体的には、処理部56は、例えば、検知回路55から取得する検知信号の取得数(すなわち、サンプル数)を多くし、その検知信号から平均を求める等の処理を行って測定値を得る。
【0131】
また、本実施形態では、記録媒体の一例として、用紙Pを用いたが、これに限られない。記録媒体の一例としては、用紙P以外の、金属製又は樹脂製のフィルム等のシート状の記録媒体であってもよい。
【0132】
本実施形態では、測定装置20は、坪量測定部30及び塗工層測定部70を備えていたが、これに限られない。測定装置20は、例えば、坪量測定部30及び塗工層測定部70の少なくとも一方を備えていない構成であってもよく、少なくとも、抵抗測定部50を備えていればよい。
【0133】
本実施形態では、測定部の一例として、用紙Pの表面抵抗値を測定する抵抗測定部50を用いたが、これに限られない。測定部の一例としては、例えば、記録媒体の体積抵抗、その他の物性を測定する測定部であってもよい。すなわち、電気抵抗の一例としては、例えば、記録媒体の体積抵抗、その他の物性であってもよい。
【0134】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例に含まれる構成は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0135】
10 画像形成装置
14 画像形成部
16 制御装置
20 測定装置
50 抵抗測定部(測定部の一例)
80 制御回路(制御部の一例)
81A 取得部
81B 制御部
P 用紙(記録媒体の一例)